(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電部材は、前記第1インシュレータを成形することにより前記第1インシュレータに保持され且つ前記コンタクトの前端部の近傍に配置されるミッドプレートを含む請求項1に記載のコネクタ。
前記1つ以上のコンタクトは、前記ミッドプレートを挟んで前記ミッドプレートの両面にそれぞれ対向するように配列された複数の第1コンタクトおよび複数の第2コンタクトを有する請求項2〜9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シェル用連結片3を介して連結されているシェル1とシェル用キャリア4との間に製造公差に起因する位置のばらつきが存在すると共に、同様に、コンタクト用連結片5を介して連結されている複数のコンタクト2とコンタクト用キャリア6との間にも製造公差に起因する位置のばらつきが存在する場合には、シェル用キャリア4とコンタクト用キャリア6を互いに接合しても、シェル1とシェル1内に配置される複数のコンタクト2の先端部との間に位置ずれが発生し、この位置ずれを有したまま樹脂成形が行われるおそれがある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、部品相互間の位置ずれを抑制した高精度のコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るコネクタは、嵌合方向の前方に向けて開口する相手側コネクタ収容部を有するコネクタにおいて、前部が相手側コネクタ収容部内に位置し且つ後部が相手側コネクタ収容部の後方に位置する第1インシュレータと、嵌合方向に延びると共に前端部が相手側コネクタ収容部内に位置するように第1インシュレータに保持されると共に後端部が第1インシュレータの後部から突出する導電部材と、前端部が第1インシュレータの前部において露出すると共に後端部が第1インシュレータの後部から突出するように第1インシュレータに結合された1つ以上のコンタクトと、第1インシュレータの後部と導電部材の中央部とコンタクトの中央部を覆うと共に導電部材の後端部とコンタクトの後端部が露出するように成形された第2インシュレータと、コンタクトの前端部の外周を囲むように第1インシュレータに被せられて内部に相手側コネクタ収容部を形成すると共に導電部材に電気的に接続された金属からなる外周シェルとを備えたものである。
【0008】
導電部材は、第1インシュレータを成形することにより第1インシュレータに保持され且つコンタクトの前端部の近傍に配置されるミッドプレートを含むことが好ましい。
また、導電部材は、ミッドプレートの後部に接続され且つ後端部が露出するように第1インシュレータにより覆われる第1ジョイントプレートと、第1インシュレータから露出する第1ジョイントプレートの後端部に接続され且つ後端部が露出するように第2インシュレータにより覆われる第2ジョイントプレートとを含むように構成することができる。
第1ジョイントプレートは、第1インシュレータから嵌合方向に対して直交する方向に露出するグランドプレート接続部を有し、第1インシュレータの表面上に配置され且つ第1ジョイントプレートのグランドプレート接続部に接続されるグランドプレートをさらに備えることが好ましい。
【0009】
さらに、外周シェルは、グランドプレートを介して前記第1ジョイントプレートに接続されることが好ましい。
また、好ましくは、第2ジョイントプレートは、嵌合方向から見て、コンタクトの周囲を囲む環状部を有する。
第2インシュレータから露出する第2ジョイントプレートの後端部は、基板に接続される基板接続部を有することが好ましい。
第2インシュレータから露出する第2ジョイントプレートの後端部は、バックシェル接続部を有し、第2インシュレータの後部を覆うと共に第2ジョイントプレートのバックシェル接続部に接続されるバックシェルをさらに備えることもできる。
【0010】
第1ジョイントプレートは、第1インシュレータで覆われる部分に水の浸入を遮断するためのジョイントプレート側防水形状部を有し、コンタクトは、第2インシュレータで覆われる部分に水の浸入を遮断するためのコンタクト側防水形状部を有するように構成することができる。
1つ以上のコンタクトは、ミッドプレートを挟んでミッドプレートの両面にそれぞれ対向するように配列された複数の第1コンタクトおよび複数の第2コンタクトを有していてもよい。
第2インシュレータの外周部を囲み且つ継ぎ目のない防水部材をさらに備えることもできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、導電部材が第1インシュレータに保持されると共に1つ以上のコンタクトが第1インシュレータに結合され、第1インシュレータの後部と導電部材の中央部とコンタクトの中央部を第2インシュレータで覆い、コンタクトの前端部の外周を囲むように第1インシュレータに被せられると共に導電部材に電気的に接続された外周シェルを備えているので、部品相互間の位置ずれを抑制した高精度のコネクタを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の実施の形態に係るコネクタを斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】実施の形態に係るコネクタを斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るコネクタに用いられた第1コンタクトを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るコネクタに用いられた第2コンタクトを示す斜視図である。
【
図5】第1コンタクトおよび第2コンタクトの前端部を通る面で切断した実施の形態に係るコネクタの側面断面図である。
【
図6】実施の形態に係るコネクタに用いられたミッドプレートを示す斜視図である。
【
図7】実施の形態に係るコネクタに用いられたグランドプレートを示す斜視図である。
【
図8】実施の形態に係るコネクタに用いられた第1ジョイントプレートを示す斜視図である。
【
図9】実施の形態に係るコネクタに用いられた第2ジョイントプレートを示す斜視図である。
【
図10】実施の形態に係るコネクタに用いられた外周シェルを示す斜視図である。
【
図11】実施の形態に係るコネクタに用いられたバックシェルを示す斜視図である。
【
図12】実施の形態に係るコネクタに用いられた防水部材を示す斜視図である。
【
図13】ミッドプレートと一対の第1ジョイントプレートとの連結部を示す断面図である。
【
図14】ミッドプレートおよび第1ジョイントプレートが保持された第1インシュレータを示す斜視図である。
【
図15】第1ジョイントプレートに第2ジョイントプレートが接続されると共に第1コンタクトおよび第2コンタクトが結合された第1インシュレータを示す斜視図である。
【
図16】第1インシュレータの後部に第2インシュレータを成形した状態を示す斜視図である。
【
図17】第1インシュレータにグランドプレートを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図18】第1インシュレータに外周シェルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図19】第2コンタクトのコンタクト側防水形状部を通る面で切断したコネクタの側面断面図である。
【
図20】従来のコネクタの製造方法を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1および
図2に、実施の形態に係るコネクタ11を示す。このコネクタ11は、携帯機器および情報機器等の電子機器内における基板に固定されるレセプタクルコネクタで、それぞれ嵌合軸C方向に延び且つ嵌合軸Cに対して直交する方向に配列された複数の第1コンタクト12と、それぞれ嵌合軸C方向に延び且つ複数の第1コンタクト12と平行に配列された複数の第2コンタクト13を有している。
【0014】
複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13の嵌合軸C方向の前端部の外周を覆うように嵌合軸Cに沿って延び且つ金属からなる扁平な筒形状の外周シェル14が配置され、外周シェル14の内部に、図示しない相手側コネクタが挿入される相手側コネクタ収容部14Aが形成されている。相手側コネクタ収容部14Aには、絶縁性樹脂からなる第1インシュレータ15が収容されており、第1インシュレータ15に複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13のそれぞれのY方向の中央部が保持されると共に、金属からなるミッドプレート16が第1インシュレータ15に埋め込まれて複数の第1コンタクト12と複数の第2コンタクト13の間に配置されている。
【0015】
外周シェル14の嵌合軸C方向の後端部を閉じるように絶縁性樹脂からなる第2インシュレータ17が成形され、第2インシュレータ17の後端部に複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13の背部を覆い且つ金属からなるバックシェル18が配置されている。
また、第2インシュレータ17の外周部を囲む継ぎ目のない防水部材19が配置されている。
【0016】
ここで、便宜上、嵌合軸Cに沿ってコネクタ11の前部から後部に向かう方向をY方向、複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13の配列方向をX方向、XY面に垂直で且つ第2コンタクト13側から第1コンタクト12側へ向かう方向をZ方向と呼ぶこととする。
【0017】
図3に示されるように、第1コンタクト12は、Y方向に伸張する板状部材からなり、−Y方向端部に相手側コネクタ収容部14Aに露出する接点部12Aを有し、接点部12Aの+Y方向側に隣接して第1インシュレータ15に圧入される圧入部12Bを有し、圧入部12Bの+Y方向側に隣接して第2インシュレータ17に固定される固定部12Cを有し、さらに、固定部12Cに隣接して+Y方向端部に図示しない基板に接続されるコンタクト側基板接続部12Dを有している。圧入部12Bには、X方向に突出する突起が形成され、固定部12Cの表面上に、第2インシュレータ17との界面に沿った水の浸入を遮断するためのコンタクト側防水形状部12Eが形成されている。
【0018】
同様に、
図4に示されるように、第2コンタクト13は、Y方向に伸張する板状部材からなり、−Y方向端部に相手側コネクタ収容部14Aに露出する接点部13Aを有し、接点部13Aの+Y方向側に隣接して第1インシュレータ15に圧入される圧入部13Bを有し、圧入部13Bの+Y方向側に隣接して第2インシュレータ17に固定される固定部13Cを有し、さらに、固定部13Cに隣接して+Y方向端部に図示しない基板に接続されるコンタクト側基板接続部13Dを有している。圧入部13Bには、X方向に突出する突起が形成され、固定部13Cの表面上に、第2インシュレータ17との界面に沿った水の浸入を遮断するためのコンタクト側防水形状部13Eが形成されている。
コンタクト側防水形状部12Eおよび13Eは、第1コンタクト12および第2コンタクト13の固定部12Cおよび13Cの周囲を囲って閉じる複数の溝または複数の突起から形成されている。
【0019】
図5に示されるように、第1インシュレータ15は、インシュレータ本体15Aと、インシュレータ本体15Aから嵌合軸Cに沿って−Y方向に延びる舌状部15Bを有し、舌状部15Bに形成された嵌合軸Cと平行な複数の貫通孔15Cに複数の第1コンタクト12の圧入部12Bおよび複数の第2コンタクト13の圧入部13Bがそれぞれ圧入され、複数の第1コンタクト12の接点部12Aおよび複数の第2コンタクト13の接点部13Aは、それぞれ相手側コネクタ収容部14Aに露出している。
インシュレータ本体15Aの後部を覆うように第2インシュレータ17が配置されており、複数の第1コンタクト12の固定部12Cおよび複数の第2コンタクト13の固定部13Cがそれぞれ一体成形された第2インシュレータ17により固定され、複数の第1コンタクト12のコンタクト側基板接続部12Dおよび複数の第2コンタクト13のコンタクト側基板接続部13Dがそれぞれ第2インシュレータ17の背面から+Y方向に突出している。
【0020】
また、第1コンタクト12の圧入部12Bの+Z方向側に第1インシュレータ15を介して金属からなるグランドプレート20が配置されている。このグランドプレート20の+Y方向端部に形成されたシェル接続部20Aが外周シェル14の+Z方向側の内面に接続されている。
同様に、第2コンタクト13の圧入部13Bの−Z方向側にも第1インシュレータ15を介して金属からなるグランドプレート20が配置されている。このグランドプレート20の+Y方向端部に形成されたシェル接続部20Aが外周シェル14の−Z方向側の内面に接続されている。
【0021】
第1コンタクト12の固定部12Cの+Z方向側に位置する第1インシュレータ15に金属からなる第1ジョイントプレート22が埋め込まれており、第1ジョイントプレート22の−Y方向端部が第1インシュレータ15から+Z方向に露出して+Z方向側のグランドプレート20のシェル接続部20Aに接続されている。
同様に、第2コンタクト13の固定部13Cの−Z方向側に位置する第1インシュレータ15に金属からなる、もう一つの第1ジョイントプレート22が埋め込まれており、第1ジョイントプレート22の−Y方向端部が第1インシュレータ15から−Z方向に露出して−Z方向側のグランドプレート20のシェル接続部20Aに接続されている。
【0022】
双方の第1ジョイントプレート22の+Y方向端部は、第1インシュレータ15の背面から+Y方向に突出し、それぞれ、第2インシュレータ17に埋め込まれた金属からなる第2ジョイントプレート24に接続されている。
さらに、第2ジョイントプレート24の+Y方向端部は、第2インシュレータ17の背面から+Y方向に突出し、バックシェル18に接続されている。
【0023】
図6に示されるように、ミッドプレート16は、XY面に沿って延びる平板部16Aを有し、平板部16Aの−Y方向側の+X方向端部および−X方向端部に、それぞれ相手側コネクタ連結部16Bが形成されると共に、平板部16Aの+Y方向側の+X方向端部および−X方向端部に、それぞれジョイントプレート接続部16CがX方向に突出形成されている。
【0024】
図7に示されるように、+Z方向側に配置されているグランドプレート20は、X方向に配列されている複数の第1コンタクト12のすべての圧入部12Bの+Z方向側に第1インシュレータ15を介して対向する平板形状のグランドプレート本体20Bと、グランドプレート本体20Bの+Y方向端部から+Z方向に屈曲する立ち上がり部20Cと、立ち上がり部20Cの+Z方向端部から+Y方向に屈曲してグランドプレート本体20Bと平行に延びる上段部20Dを有し、上段部20Dの中央部分の2箇所にそれぞれシェル接続部20Aが配置されている。シェル接続部20Aは、グランドプレート20を形成する金属板を折り返して2重にしたものから形成されている。
【0025】
また、グランドプレート本体20Bの+Z方向を向いた表面は、外周シェル14の相手側コネクタ収容部14Aに露出し、コネクタ11が相手側コネクタと嵌合したときに、相手側コネクタのグランド用ばね接点に接触するものである。
−Z方向側に配置されているグランドプレート20も、
図7に示した+Z方向側のグランドプレート20と同一の構造を有しているが、シェル接続部20Aが−Z方向を向くように、+Z方向側のグランドプレート20に対してZ方向に裏返しに配置されている。
【0026】
図8に+Z方向側に配置されている第1ジョイントプレート22の構成を示す。第1ジョイントプレート22は、X方向に配列されている複数の第1コンタクト12のすべての圧入部12Bの+Z方向側を跨ぐようにX方向に延びる橋状部22Aを有し、橋状部22AのX方向の両端にそれぞれミッドプレート接続部22BがX方向に突出形成されている。また、橋状部22Aの中央部分の3箇所からそれぞれXY面に沿って+Y方向に延びる3本の腕部22Cが形成されると共に、橋状部22Aの+X方向端部の近傍からYZ面に沿って+Y方向に延びる1本の腕部22Dが形成され、腕部22Cの+Y方向端部に第2ジョイントプレート接続部22Eが形成され、腕部22Dの+Y方向端部に第2ジョイントプレート接続部22Fが形成されている。
【0027】
さらに、腕部22Cおよび22Dの表面に、それぞれ、第1インシュレータ15との界面に沿った水の浸入を遮断するためのジョイントプレート側防水形状部22Gが形成されている。これらのジョイントプレート側防水形状部22Gは、腕部22Cおよび22Dの周囲を囲って閉じる複数の溝または複数の突起から形成されている。
また、橋状部22Aの+X方向端部から延びる腕部22Dの根本部分に外周シェル接続部22Hが形成されている。
複数の第2コンタクト13の−Z方向側に配置される第1ジョイントプレート22も、
図8に示した+Z方向側の第1ジョイントプレート22と同一の構造を有しているが、腕部22Dが橋状部22Aの−X方向端部から+Y方向に延びるように、+Z方向側の第1ジョイントプレート22に対してZ方向に裏返しに配置されている。
【0028】
図9に示されるように、第2ジョイントプレート24は、X方向に配列されている複数の第1コンタクト12のすべての固定部12Cおよび複数の第2コンタクト13のすべての固定部13Cの周囲を囲むように形成された環状部24Aを有している。環状部24Aの+Z方向側部分に、それぞれXY面に沿って−Y方向に突出する3つの第1ジョイントプレート接続部24Bが形成されると共にそれぞれXY面に沿って+Y方向に突出する3つのバックシェル接続部24Cが形成されている。同様に、環状部24Aの−Z方向側部分にも、それぞれXY面に沿って−Y方向に突出する3つの第1ジョイントプレート接続部24Bが形成されると共にそれぞれXY面に沿って+Y方向に突出する3つのジョイントプレート側基板接続部24Dが形成されている。
【0029】
また、環状部24Aの+X方向端部および−X方向端部からそれぞれYZ面に沿って+Y方向に一対の腕部24Eが延び、これらの腕部24Eに、それぞれ−Z方向に延びるジョイントプレート側基板接続部24Fが形成されると共にそれぞれ+X方向および−X方向に屈曲してXY面上に延びるバックシェル接続部24Gが形成されている。さらに、環状部24Aの+X方向端部および−X方向端部に、それぞれ、第1ジョイントプレート接続部24Hが形成されている。
【0030】
図10に示されるように、外周シェル14は、扁平な筒形状を有し、それぞれXY面に沿って延び且つ互いに反対方向を向いた一対の平坦なシェル外面14Bを有している。外周シェル14の+Y方向端部には、+X方向端部および−X方向端部からそれぞれYZ面に沿って+Y方向に突出する一対の第1ジョイントプレート接続部14Cが形成されている。また、+Z方向側のシェル外面14Bおよび−Z方向側のシェル外面14Bの+Y方向端部の中央部分の2箇所に、それぞれ、グランドプレート接続部14Dが配置されている。これらのグランドプレート接続部14Dは、外周シェル14を構成する金属板の厚さを薄型化することにより形成されている。
【0031】
図11に示されるように、バックシェル18は、XY面に沿って延びる平板形状の上面部18Aと、上面部18Aの+Y方向端部から−Z方向に屈曲してXZ面に沿って延びる平板形状の背面部18Bを有し、上面部18Aの+X方向端部および−X方向端部にそれぞれXY面に沿って突出する第2ジョイントプレート接続部18Cが形成されると共に、背面部18Bの+X方向端部および−X方向端部にそれぞれXZ面に沿って−Z方向に突出するシェル側基板接続部18Dが形成されている。
図12に示されるように、防水部材19は、ゴム等の弾性材料からなり、継ぎ目のないリング形状を有している。
【0032】
次に、実施の形態に係るコネクタ11を製造する方法について説明する。
まず、
図13に示されるように、ミッドプレート16の一対のジョイントプレート接続部16Cの+Z方向側の面上に、+Z方向側に配置される第1ジョイントプレート22の一対のミッドプレート接続部22Bを位置させると共に、ミッドプレート16の一対のジョイントプレート接続部16Cの−Z方向側の面上に、−Z方向側に配置されるもう一つの第1ジョイントプレート22の一対のミッドプレート接続部22Bを位置させ、この状態で、例えばレーザ溶接により、ミッドプレート16のジョイントプレート接続部16Cに双方の第1ジョイントプレート22のミッドプレート接続部22Bをそれぞれ溶接することにより、ミッドプレート16の+Y方向側に2つの第1ジョイントプレート22を連結する。
【0033】
このようにミッドプレート16に一対の第1ジョイントプレート22が連結された連結体を図示しない成形型の内部に位置させて、成形型内に溶融樹脂を注入することにより、
図14に示されるように、連結体が埋め込まれた第1インシュレータ15を成形する。
【0034】
このとき、ミッドプレート16の平板部16Aが第1インシュレータ15の舌状部15B内に埋め込まれると共にミッドプレート16の相手側コネクタ連結部16Bが第1インシュレータ15の舌状部15Bから+X方向および−X方向に露出し、+Z方向側に配置されている第1ジョイントプレート22の腕部22Cおよび22Dの第2ジョイントプレート接続部22Eおよび22Fがそれぞれ第1インシュレータ15の背面から+Y方向に突出し、第1ジョイントプレート22の橋状部22Aが第1インシュレータ15から2箇所で+Z方向に露出して2つのグランドプレート接続部22Jを形成し、第1ジョイントプレート22の外周シェル接続部22Hが第1インシュレータ15から+X方向に露出する。同様に、−Z方向側に配置されているもう一つの第1ジョイントプレート22の腕部22Cおよび22Dの第2ジョイントプレート接続部22Eおよび22Fがそれぞれ第1インシュレータ15の背面から+Y方向に突出し、この第1ジョイントプレート22の橋状部22Aが第1インシュレータ15から2箇所で−Z方向に露出して2つのグランドプレート接続部22Jを形成し、第1ジョイントプレート22の外周シェル接続部22Hが第1インシュレータ15から−X方向に露出する。
【0035】
また、第1インシュレータ15には、複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13を圧入するための複数の貫通孔15Cが形成されると共に、舌状部15Bの+Z方向側の表面および−Z方向側の表面上に、それぞれ対応する貫通孔15Cに接続されるY方向に沿った複数のコンタクト用溝15Dが形成される。
さらに、第1インシュレータ15には、複数の貫通孔15Cに対応する位置に+Z方向および−Z方向を向いた平坦面15Eがそれぞれ形成される。
【0036】
次に、
図15に示されるように、第1インシュレータ15に形成された複数の貫通孔15Cに、
図3および
図4に示した複数の第1コンタクト12の圧入部12Bおよび複数の第2コンタクト13の圧入部13Bを圧入して、第1インシュレータ15に複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13を結合する。このとき、それぞれの第1コンタクト12の接点部12Aおよび第2コンタクト13の接点部13Aが、第1インシュレータ15の対応するコンタクト用溝15Dに挿入される。
【0037】
また、第2ジョイントプレート24の環状部24Aの内部に複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13を挿入するように、第2ジョイントプレート24を+Y方向側から第1インシュレータ15に接近させて第1インシュレータ15の背部に位置させる。そして、第2ジョイントプレート24の複数の第1ジョイントプレート接続部24Bを+Z方向側の第1ジョイントプレート22の複数の第2ジョイントプレート接続部22Eおよび−Z方向側の第1ジョイントプレート22の複数の第2ジョイントプレート接続部22Eにそれぞれ溶接し、さらに、第2ジョイントプレート24の一対の第1ジョイントプレート接続部24Hを+Z方向側の第1ジョイントプレート22の第2ジョイントプレート接続部22Fおよび−Z方向側の第1ジョイントプレート22の第2ジョイントプレート接続部22Fにそれぞれ溶接する。これにより、一対の第1ジョイントプレート22と第2ジョイントプレート24が、互いに接続される。
【0038】
その後、このように複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13が結合されると共に一対の第1ジョイントプレート22に第2ジョイントプレート24が連結された第1インシュレータ15を図示しない成形型の内部に位置させ、成形型内に溶融樹脂を注入することにより、
図16に示されるように、第1インシュレータ15の後部を覆う第2インシュレータ17を成形する。
なお、このとき、環状部24Aを有する第2ジョイントプレート24が、成形型の押さえの役目を果たしながら、第2インシュレータ17の成形を行うことができる。
また、第2ジョイントプレート24の3つのバックシェル接続部24C、3つのジョイントプレート側基板接続部24Dおよび一対のバックシェル接続部24Gは、第2インシュレータ17に覆われることなく、露出しているものとする。
さらに、第2インシュレータ17の外周部には、環状の防水部材用溝17Aが形成されている。
【0039】
次に、
図17に示されるように、第1インシュレータ15の+Z方向側の平坦面15E上にグランドプレート本体20Bが位置するように+Z方向側のグランドプレート20を第1インシュレータ15に配置すると共に、インシュレータ15の−Z方向側の平坦面15E上にグランドプレート本体20Bが位置するように−Z方向側のもう一つのグランドプレート20を第1インシュレータ15に配置する。
このとき、+Z方向側に配置されるグランドプレート20の一対のシェル接続部20Aが、第1インシュレータ15から+Z方向に露出している第1ジョイントプレート22の2つのグランドプレート接続部22Jにそれぞれ接触し、同様に、−Z方向側に配置されるグランドプレート20の一対のシェル接続部20Aが、第1インシュレータ15から−Z方向に露出している第1ジョイントプレート22の2つのグランドプレート接続部22Jにそれぞれ接触する。
【0040】
さらに、
図18に示されるように、外周シェル14の+Y方向端部が第2インシュレータ17の−Y方向端部に突き当たるまで外周シェル14を−Y方向側から第1インシュレータ15の外周部に被せる。このとき、
図19に示されるように、外周シェル14の+Z方向側の2つのグランドプレート接続部14Dが+Z方向側に配置されているグランドプレート20の一対のシェル接続部20Aに接触し、外周シェル14の−Z方向側の2つのグランドプレート接続部14Dが−Z方向側に配置されているグランドプレート20の一対のシェル接続部20Aに接触する。
【0041】
すなわち、外周シェル14の+Z方向側のシェル外面14Bおよび−Z方向側のシェル外面14Bのそれぞれにおいて、外周シェル14のグランドプレート接続部14Dと第1グランドプレート20のシェル接続部20Aと第1ジョイントプレート22のグランドプレート接続部22Jが互いにZ方向に重なることとなる。
そこで、+Z方向側および−Z方向側からそれぞれ外周シェル14のグランドプレート接続部14Dに例えばレーザ光を照射して、外周シェル14のグランドプレート接続部14Dとグランドプレート20のシェル接続部20Aと第1ジョイントプレート22のグランドプレート接続部22Jを互いに溶接する。
【0042】
また、外周シェル14を第1インシュレータ15の外周部に被せることで、
図18に示されるように、外周シェル14の一対の第1ジョイントプレート接続部14Cが、それぞれ、第1インシュレータ15から露出している第1ジョイントプレート22の外周シェル接続部22Hに重なるので、外周シェル14の第1ジョイントプレート接続部14Cに例えばレーザ光を照射して、外周シェル14の第1ジョイントプレート接続部14Cと第1ジョイントプレート22の外周シェル接続部22Hを互いに溶接する。
これにより、外周シェル14と一対のグランドプレート20と一対の第1ジョイントプレート22が、互いに接続される。
【0043】
さらに、第2インシュレータ17の後端部にバックシェル18を配置すると、バックシェル18の上面部18Aの−Y方向端部が第2インシュレータ17から露出している第2ジョイントプレート24の3つのバックシェル接続部24Cの上に重なると共に、バックシェル18の一対の第2ジョイントプレート接続部18Cが、第2インシュレータ17から露出している第2ジョイントプレート24の一対のバックシェル接続部24Gに重なる。
そこで、バックシェル18にレーザ光を照射して、バックシェル18の上面部18Aを第2ジョイントプレート24の3つのバックシェル接続部24Cに溶接すると共に、バックシェル18の一対の第2ジョイントプレート接続部18Cを第2ジョイントプレート24の一対のバックシェル接続部24Gに溶接する。
これにより、バックシェル18と第2ジョイントプレート24が、互いに接続される。
【0044】
このようにして、ミッドプレート16、一対のグランドプレート20、一対の第1ジョイントプレート22、第2ジョイントプレート24、外周シェル14およびバックシェル18が、互いに電気的に接続される。
さらに、第2インシュレータ17の外周部に形成された防水部材用溝17Aに継ぎ目のない環状の防水部材19を嵌め込むことで、
図1および
図2に示されるコネクタ11が製造される。
【0045】
このように、ミッドプレート16と一対の第1ジョイントプレート22を埋め込んだ第1インシュレータ15に複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13が結合され、第1インシュレータ15の後部を覆うように第2インシュレータ17が成形され、外周シェル14が複数の第1コンタクト12の接点部12Aおよび複数の第2コンタクト13の接点部13Aの外周を囲むように第1インシュレータ15に被せられるので、第2インシュレータ17の成形時に複数の第1コンタクト12および複数の第2コンタクト13と外周シェル14の位置合わせを行う必要がなく、多数の部品を備えながらも部品相互間の位置ずれを抑制した高精度のコネクタ11が実現される。
【0046】
また、外周シェル14が第2インシュレータ17の成形後の後付けとなるので、外周シェル14の代わりに、例えば電子機器の筐体に形成された筒状の開口部を使用し、
図17に示した状態の第1インシュレータ15の舌状部15B、複数の第1コンタクト12の接点部12Aおよび複数の第2コンタクト13の接点部13Aを筒状の開口部に挿入することでコネクタを構成することもできる。すなわち、電子機器の筐体を外周シェルとして兼用させることも可能となる。
【0047】
このコネクタ11においては、
図2および
図5に示されるように、第2インシュレータ17の−Z方向側の表面上に、バックシェル18の一対のシェル側基板接続部18Dおよび第2ジョイントプレート24の一対のジョイントプレート側基板接続部24Fが突出すると共に第2ジョイントプレート24のジョイントプレート側基板接続部24Dが露出している。そこで、バックシェル18のシェル側基板接続部18D、第2ジョイントプレート24のジョイントプレート側基板接続部24Fおよび24Dを、それぞれ、図示しない電子機器内の基板の対応する接続パッドに接続してグランド電位とすることにより、ミッドプレート16、一対のグランドプレート20、一対の第1ジョイントプレート22、第2ジョイントプレート24、外周シェル14およびバックシェル18が共にグランド電位となり、電磁波による影響を抑制しつつ信頼性の高い信号伝送を行うことが可能となる。
【0048】
また、第1インシュレータ15内に埋め込まれる第1ジョイントプレート22の腕部22Cおよび22Dの表面に、それぞれ、ジョイントプレート側防水形状部22Gが形成されると共に、第2インシュレータ17内に埋め込まれる複数の第1コンタクト12の固定部12Cおよび複数の第2コンタクト13の固定部13Cの表面に、それぞれ、コンタクト側防水形状部12Eおよび13Eが形成されているので、たとえ、相手側コネクタ収容部14A内に露出している第1インシュレータ15の表面に沿って水が浸入したとしても、浸入した水は、ジョイントプレート側防水形状部22G、コンタクト側防水形状部12Eおよび13Eによって遮断され、第2インシュレータ17の背部にまで至ることが防止される。
なお、防水効果を高めるために、ジョイントプレート側防水形状部22G、コンタクト側防水形状部12Eおよび13Eに形成される溝または突起は、例えば0.01mm以上の高低差を有することが望ましい。
【0049】
上記の実施の形態では、複数の第1コンタクト12と複数の第2コンタクト13が、ミッドプレート16の両面にそれぞれ対向するように2列に配列されているが、これに限るものではなく、複数のコンタクトが1列に配列されたコネクタにこの発明を適用することもできる。
また、コンタクトの個数は制限されるものではなく、1つ以上のコンタクトが第1インシュレータに結合されていればよい。