特許第6404157号(P6404157)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404157
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/00 20060101AFI20181001BHJP
   A01D 61/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A01D57/00 L
   A01D61/00 302H
   A01D61/00 301E
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-65056(P2015-65056)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-182093(P2016-182093A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】持田 幹夫
【審査官】 後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2985312(JP,B2)
【文献】 特開2012−050404(JP,A)
【文献】 実開平01−155731(JP,U)
【文献】 特開2001−275459(JP,A)
【文献】 特開2009−072119(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1203733(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 57/00−57/30
A01D 61/00−61/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部を有する走行機体の前方に前処理部を昇降自在に配置し、該前処理部で刈取った穀稈を穀稈搬送装置により前記脱穀部のフィードチェンに搬送するコンバインにおいて、
前記穀稈搬送装置は、穀稈の株元側を、前記前処理部の幅方向一方から他方に向けてかつ走行機体側に向けて搬送する第1の搬送体と、前記前処理部の幅方向他方から前記第1の搬送体に向けて合流するように搬送する第2の搬送体と、前記前処理部の幅方向中間位置から前記第1の搬送体に向けて合流するように搬送する第3の搬送体と、前記第1の搬送体から前記フィードチェンに向けて搬送する扱深搬送体と、を有し、
前記第1の搬送体を、前記第3の搬送体との合流部における穀稈の詰り圧力が減少するよう操作し得る操作レバーと、前記穀稈の株元側を前記扱深搬送体との間に挟む扱深レールと、を備え、
前記扱深レールは、フレームに取外し自在に設けられ、
前記操作レバーは、前記第1の搬送体の搬送方向下手側に向って前記扱深搬送体の上方まで延設され、前記前処理部の他方側の側方から操作可能であり、かつ前記穀稈の詰り圧力を減少しない操作位置にあっては、前記扱深搬送体により搬送される穀稈と干渉しない該扱深搬送体の搬送側より機体内方に位置し、前記穀稈の詰り圧力を減少する操作位置にあっては、前記扱深搬送体により搬送される穀稈と干渉する解除位置にある、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記第2の搬送体を、前記第1の搬送体との合流部において該第1の搬送体から離れる方向に操作し得る解除レバーを備え、
該解除レバーは、前記前処理部の幅方向他方に向けて延設され、前記操作レバーと同じ前記前処理部の他方側の側方から操作可能である、
請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀稈を刈取りつつ脱穀するコンバインに係り、詳しくは穀稈を刈取って脱穀装置に向けて搬送する前処理部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンバインの前処理装置にあっては、穀稈を左右両側から集めて搬送するため、合流部で搬送穀稈(特に株元側)の詰りが生じることがある。該穀稈の詰りを取除き、掃除を狭い空間で行うのは面倒で手数を必要としていた。
【0003】
従来、左右の搬送チェンの一方、例えば右搬送チェンの始端部側に回動支点部を、上記一方のチェンの終端部側にフックにより係脱自在な被係止部を設けた前処理部の穀稈搬送装置が案出されている(特許文献1)。該穀稈搬送装置は、フックによる被係止部の係止を外すことにより、上記一方の搬送チェンを回動して、左右の搬送チェンの合流部を開放することにより、該合流部に詰った搬送穀稈を取除くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2985312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記一方の搬送チェンは、ロックレバーによりフックをピンに対して解放するように操作し、この状態で開閉ハンドルによりその終端側の張設輪を案内レールと共に回動して合流部を開放する。このため、上記ロックレバー及び開閉ハンドルの2個の操作レバーの操作が必要であり、上記合流部を開放する操作が面倒であり、かつ上記2個の操作レバーの操作のためのスペースを必要とする。また、他方の搬送チェンである左搬送チェンを、その合流側のスプロケットを移動して該合流部を開放する場合、一方の搬送チェンの開放操作のためのロックレバー及び開閉ハンドルの操作とは異なる場所から上記他方の搬送チェンを開放する操作レバーに近づく必要があり、操作が面倒になってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、搬送チェン(体)の開放操作を簡単にして、上記課題を解決することを目的としたコンバインを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、脱穀部(5)を有する走行機体(2)の前方に前処理部(3)を昇降自在に配置し、該前処理部で刈取った穀稈を穀稈搬送装置(17)により前記脱穀部のフィードチェン(16)に搬送するコンバイン(1)において、
前記穀稈搬送装置(17)は、穀稈の株元側を、前記前処理部(3)の幅方向一方から他方に向けてかつ走行機体(2)側に向けて搬送する第1の搬送体(32B)と、前記前処理部の幅方向他方から前記第1の搬送体(32B)に向けて合流するように搬送する第2の搬送体(32A)と、前記前処理部(3)の幅方向中間位置から前記第1の搬送体(32B)に向けて合流するように搬送する第3の搬送体(32C)と、前記第1の搬送体(32B)から前記フィードチェン(16)に向けて搬送する扱深搬送体(36)と、を有し、
前記第1の搬送体(32B)を、前記第3の搬送体(32C)との合流部(N)における穀稈の詰り圧力が減少するよう操作し得る操作レバー(135)と、前記穀稈の株元側を前記扱深搬送体(36)との間に挟む扱深レール(150)と、を備え、
前記扱深レール(150)は、フレーム(158)に取外し自在に設けられ、
前記操作レバー(135)は、前記第1の搬送体(32B)の搬送方向下手側に向って前記扱深搬送体(36)の上方まで延設され、前記前処理部(3)の他方側の側方から操作可能であり、かつ前記穀稈の詰り圧力を減少しない操作位置にあっては、前記扱深搬送体(36)により搬送される穀稈と干渉しない該扱深搬送体の搬送側より機体内方に位置し、前記穀稈の詰り圧力を減少する操作位置にあっては、前記扱深搬送体(36)により搬送される穀稈と干渉する解除位置にある、ことを特徴とする。
【0008】
前記第2の搬送体(32A)を、前記第1の搬送体(32A)との合流部(M)において該第1の搬送体(32B)から離れる方向に操作し得る解除レバー(122)を備え、
該解除レバー(122)は、前記前処理部(3)の幅方向他方に向けて延設され、前記操作レバー(135)と同じ前記前処理部(3)の他方側の側方から操作可能である。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、図面を対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明によると、第1の搬送体は、1本の操作レバーにより第3の搬送体の合流部における詰り圧力を減少するように操作され、かつ上記操作レバーは、第1の搬送体の搬送方向下手側に向って延びているので、小スペースで効率よく操作可能であり、また上記操作レバーは、前処理部の他方側の側方から操作されるので、上記詰り圧力が減少した穀稈を前記合流部から効率よく除去でき、メンテナンス性を向上することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明によると、前記第1の搬送体の操作レバーの操作と同じ立ち位置で第2の搬送体の解除レバーを操作することができるので、前処理部における穀稈搬送装置の詰りを効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を適用し得るコンバインを示す側面図。
図2】その平面図。
図3】前処理部を示す側面図。
図4】前処理部の伝動展開図。
図5】前処理部の株元搬送装置を示す平面図。
図6】左搬送チェンの作業状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は平面図。
図7】左搬送チェンの除去状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は平面図。
図8】右搬送チェンの作業状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図。
図9】右搬送チェンの除去状態を示す平面図。
図10】右搬送チェンのフレーム構造を示す平面図。
図11】右搬送チェンの操作部分を示す拡大断面図。
図12】右搬送チェンの終端部分を示す斜視図で、(a)は搬送チェンを装着した図、(b)は搬送チェンを取外した図。
図13】右搬送チェンの操作レバーを切換えた状態を示す扱深チェン側からみた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に沿って、本発明に係る実施の形態について説明する。コンバイン1は、図1及び図2に示すように、クローラにより支持される走行機体2を有しており、該走行機体2の前方には穀稈の刈取りと搬送を行う前処理部3が配置されている。上記走行機体2は、その一側(左側)に、刈取った穀稈から穀粒を脱穀する脱穀部5が配置され、他側(右側)に、運転操作部6及びエンジンが配置されており、その後方に脱穀された穀粒を一時貯蔵するグレンタンク7及び該グレンタンク7内の穀粒を機外へ排出する排出オーガ9が配置されている。
【0014】
上記前処理部3は、図3に示すように、エンジンからの動力を上記前処理部3に伝達する横筒10を回動中心として走行機体2に昇降自在に支持されており、該前処理部3の前部に設けられる穀稈を分草するデバイダ11と、該デバイダ11の後方で分草された穀稈を引起こす引起装置12と、穀稈を刈取るレシプロ式の刈刃13と、引起こされた穀稈の株元側を掻き込む株元掻込装置15と、上記刈刃13によって刈取られた穀稈を後方に搬送して上記脱穀部5のフィードチェン16に受け渡す穀稈搬送装置17と、から構成されている。また、前処理部3の両側面には、それぞれ保守・整備のために簡単に着脱することを可能としたサイドカバー19が配設されている。
【0015】
上記前処理部3にエンジンからの動力を伝達する上記横筒10は、機体左右幅方向に延設され、該横筒10からは、縦伝動筒20が前方斜め下方に向けて延出される。該縦伝動筒20の下端は、上記前処理部3の略々全幅に亘って左右に延設された下部伝動筒21に接続されており、該下部伝動筒21は、その両端にブラケット22を介して前処理部前方を囲むようにして延びる前処理フレーム23が取付けられている。該前処理フレーム23の前部には、圃場の穀稈を刈取り条ごとに分ける複数のデバイダ11……が幅方向所定間隔に固定されており、前処理フレーム23の下面には、上記刈刃13が配置され、該刈刃13により上記引起装置12で引起こされた穀稈の株元を切断し、穀稈の刈取りを行う。
【0016】
上記下部伝動筒21の左端近傍からは、中間伝動筒25が前方斜め上方に向けて延出され、該中間伝動筒25の上端は、圃場の穀稈の状況に応じて上記引起装置12の引起し速度を変速する引起変速装置26を介して、走行機体幅方向に延設される上部伝動筒27に接続されている。該上部伝動筒27からは、前方に向けて複数の引起伝動筒29が突設しており、該引起伝動筒29の前方に穀稈を起立させる引起装置12が配置される。該引起装置12は、爪付きチェン(不図示)と引起ケース12aとを有し、該爪付きチェンの爪が引起ケース12a内を上方に回動して穀稈を引起こす。
【0017】
上記引起装置12によって引起こされた穀稈は、上記株元掻込装置15によって後方に掻込まれて集束される。該株元掻込装置15は、上記引起装置12によって引起こされた穀稈の株元を掻込む掻込ベルト30と、該掻込ベルト30によって掻込まれた穀稈を集束するスターホイール31とから構成されており、これら掻込ベルト30及びスターホイール31は、それぞれ刈取り条数に応じた数(本実施形態においては6つ)だけ設けられている。該スターホイール31(機体左側から31A,31a,31C,31c,31b,31B)は、樹脂からなる略々星型形状であり、スターホイール31と掻込ベルト30とは同軸上に設けられ、同期して回転するように構成されている。
【0018】
上記穀稈搬送装置17は、図4及び図5に示すように、スターホイール31A,31B,31Cから後送された穀稈の株元側を搬送する左右及び中間の株元搬送体であるチェン32,32B,32Cと、その穂先側を搬送する左右及び中央の穂先搬送体であるチェン33A,33B,33Cと、これらによって後方に搬送されて合流した穀稈の株元側を搬送する後方株元搬送体(チェン)35と、穀稈の扱ぎ深さを調節する扱深搬送体(チェン)36と、から構成されている。これらは、機体進行方向左側の穀稈を左(第2の)株元搬送チェン32A及び左穂先搬送チェン33Aが、右側の穀稈を右(第1の)株元搬送チェン32B及び右穂先搬送チェン33Bが、中間の穀稈を中間(第3の)株元搬送チェン32C及び中間穂先搬送チェン33Cが、それぞれ後方に搬送し、上記扱深搬送チェン36によって穀稈の挟持位置が変更されつつ、これらの穀稈を上記右穂先搬送チェン33B及び後方株元搬送チェン35が受け取って、上記フィードチェン16へと受け渡される。
【0019】
図1及び図3に示すように、上記横筒10内の駆動軸S1(図6参照)は、左端が該横筒10の左外方に突出されると共に、横筒10から突出した突出部Pの先端部は断面六角形状に形成されて、ラチェットレンチ等の工具を嵌めて手動で逆転(逆方向に)駆動できるように構成されている。
【0020】
次に、本コンバイン1の動力伝達について説明する。コンバイン1は、走行機体2にエンジンEを搭載しており、該エンジンEの動力は、図4に示すように、脱穀クラッチ46を介して搬送HST47に伝達され、ギヤ変速装置49を介して、上記フィードチェン16に伝達されると共に、入力プーリ50aに入力される。該入力プーリ50aに入力された動力は、ベルト50bに配置されたテンションクラッチである刈取クラッチ51を介して、出力プーリ50cから上記横筒10内の駆動軸S1に伝達され、該駆動軸S1から上記縦伝動筒20内の駆動軸S2に伝達されている。該駆動軸S2からの動力は、下部伝動筒21内の駆動軸S3に伝達されると共に、中間伝動筒25及び上部伝動筒27内の駆動軸S4,S5を介して、引起伝動筒29内の駆動軸S6へと伝達される。
【0021】
また、上記縦伝動筒20内の駆動軸S2の中途部からは、複数の副伝動軸が分岐しており、これらの副伝動軸に設けられた複数の駆動スプロケット52,53,55,56,57,59によって、上述した右穂先搬送チェン33B、後方株元搬送チェン35、右(第1の)株元搬送チェン32B、扱深搬送チェン36、中間(第3の)株元搬送チェン32C、中間穂先搬送チェン33Cを駆動させている。該右穂先搬送チェン33Bの駆動軸S7の動力は、該駆動軸S7と上記右穂先搬送チェン33Bの駆動スプロケット52との間に設けられたワンウェイクラッチ60によって、一方向のみの回転動力が該駆動スプロケット52に伝達される。駆動軸S7が逆転駆動される場合には、上記ワンウェイクラッチ60において動力が遮断されて、上記駆動スプロケット52は回転しない。なお、該ワンウェイクラッチ60は、左穂先搬送チェン33A及び中間穂先搬送チェン33Cの駆動軸にも設けられて、穂先搬送チェン33A,33B,33Cの爪付きチェンの爪が逆転駆動されたとしても破損しないように構成されている。
【0022】
更に、下部伝動筒21内の駆動軸S3からの動力は、上記前処理フレーム23に取付けられた刈刃13に伝達され、上記中間伝動筒25内の駆動軸S4から分岐した副伝動軸S8には駆動スプロケット61,62が設けられており、左(第2の)株元搬送チェン32A、左穂先搬送チェン33Aに動力を伝達している。上記中間伝動筒25に設けられた引起変速装置26内には複数の変速ギヤが設けられ、これらの噛合によって変速された動力が上部伝動筒27内の駆動軸S5に伝達される。なお、上記引起変速装置26は、変速ギヤを噛合させずに、引起装置12へ動力が伝達しないように設定することもできる。上記駆動軸S5から上記上部伝動筒27内の駆動軸S6に伝達された動力は、複数の(本実施の形態においては4個)引起伝動筒29内の駆動軸S6を介して、上記引起装置12の駆動スプロケット63に伝達されている。
【0023】
上述した左(第2の)株元搬送チェン32A及び右(第1の)株元搬送チェン32Bの従動スプロケット65,66は、それぞれ機体左右端に設けられたスターホイール31A,31Bの取付軸S9,S10に固設されており、これら取付軸S9,S10に動力を伝達して駆動側のスターホイール31A,31Bを回転させる。該スターホイール31Aの回転は、まず取付軸S11に取付けられる従動側のスターホイール31aに、次に取付軸S12に取付けられる中央のスターホイール31Cに、互いに噛み合うことで伝達され、上記取付軸S12には、中間株元搬送チェン32Cの従動スプロケット67が遊嵌されている。更に、上記スターホイール31Cの回転は、中央のスターホイール31Cと対となる、取付軸S13に取付けられるスターホイール31cに伝達される。他方、上記右端のスターホイール31Bの回転は、取付軸S14に取付けられる従動側のスターホイール31bに伝達される。上記取付軸S9,S10,S11,S12,S13,S14の動力は、各駆動軸の同軸上にそれぞれ設けられた掻込ベルト30……を駆動させている。
【0024】
ついで、図5に沿って、前処理部における穀稈搬送装置17の株元搬送について説明する。右(第1の)株元搬送体(以下右搬送チェンという)32Bは、右前部に配置されたスプロケット66と中側後部に配置された2個のスプロケット55a,55bとの間に斜めに巻掛けられており、左(第2の)株元搬送体(以下左搬送チェンという)32Aは、左前部に配置されたスプロケット65と中側後部に配置された2個のローラ101,102との間に斜めに巻掛けられている。中間(第3の)株元搬送体(以下中搬送チェンという)32Cは、上記左右搬送チェン32A,32Bの間でスプロケット67と2個のスプロケット57a,57bの間に巻掛けられている。前処理部3の略々幅一杯に刈刃13が配置されており、その後方に幅方向に並んで6個のスターホイール31A,31a,31C,31c,31b,31Bが配置されており、これらスターホイールから刈刃13に向ってそれぞれ掻込みベルト30が配置されている。また、刈刃13の上方に対向して3対の引起装置12…が配置されている。
【0025】
刈刃13で刈取られた穀稈は、穂先側を引起装置12で引起されながら、それぞれ矢印A,B,Cに示すように、株元側を各掻込みベルト30及びスターホイール31…で掻込まれながら、右搬送チェン32Bにより矢印Dに示すように搬送される穀稈に、中搬送チェン32Cにより矢印Eに示すように搬送される穀稈が合流(合流部N)し、更に左搬送チェン32Aにより矢印Fに示すよう搬送される穀稈が合流(合流部M)する。そして、該合流された穀稈が、矢印Gに示すように扱深搬送体(以下扱深チェンという)36に搬送され、後方株元搬送体(チェン)35を経てフィードチェン16に搬送される。
【0026】
左(第2の)搬送チェン32Aは、図6及び図7に示すように、従動スプロケット65、駆動スプロケット61、固定ローラ107、テンションローラ109及び終端側ローラ101,102の間に張設されており、駆動スプロケット61の回転により駆動され、かつテンションローラ109及び固定ローラ107により所定張力が付与されて外れを防止されて、一側のガイド板110及び挟やくレール108との間に穀稈を挟持して搬送移動する。従動スプロケット66の回転は、軸を介してスターホイール31Aに伝達されると共に、掻込みベルト30に伝達される。
【0027】
2個の終端側ローラ101,102は、支持プレート111に回転自在に支持されており、該支持プレート111は、スプロケット61,65、他のローラ107,109及びガイド板110を支持する前処理部本体側の固定フレーム112に移動(スライド)自在に支持されている。また、支持プレート111及び固定フレーム112の間にノブボルト113が螺合されており、該ノブボルトの締付けにより、上記支持プレート111を固定フレーム112に固定し得る。支持プレート111の先端側(従動スプロケット65側)にはカム115が形成されており、該カム115にローラ116が転接している。ローラ116は、上記固定フレーム112に枢支軸117により揺動自在に支持されているプレート119に配置されており、該ローラ116の支軸とプレート119における枢支軸117の反対側に植設されたピン120との間にスプリング(トグルスプリング)121が張設されている。上記プレート119には解除レバー122が一体に取付けられている。上記支持プレート111に一体に、上記終端側ローラ101,102の下側を支えるように穀稈巻付き防止用プレート123が取付けられており、該プレート123は、後述するように終端側ローラ101,102が穀稈除去位置(図7参照)に移動した際、左搬送チェン32Aが外れ落ちないように支える搬送体(チェン)外れ規制部材を構成する。また、スイッチ201と板バネ202からなる詰り検出手段203が固定フレーム112に設けられている。
【0028】
図5の実線で示すように、終端側ローラ101,102を右搬送チェン32Bに近づけて、左搬送チェン32Aで搬送される穀稈(矢印F参照)を、右搬送チェン32Bから搬送される穀稈(矢印D参照)と合流して穀稈搬送状態にある場合、図6に示すように、左搬送チェン32Aは、解除レバー122が作業位置にあって、ローラ116がカム115により支持プレート111を従動スプロケット65から離れる位置に位置決めされている。この状態では、スプリング121により該支持プレート111に支持される2個の終端側ローラ101,102が従動スプロケットから離れる方向に付勢される。従って、上記終端側ローラ101,102に巻掛けられている左搬送チェン32Aの終端側は、右搬送チェン32Bに近接した位置にあって、両搬送チェン32A,32Bが共働して穀稈を搬送する作業位置にある。
【0029】
穀稈搬送に詰りが生じた場合、解除レバー122を図7に示すように後方向に回動操作する。これにより、枢支軸117に支持されているプレート119に取付けられているローラ116は、後方向に移動して、それと接触しているカム115を介して支持プレート111を後方に移動し、トグルスプリング121によりその位置に位置決めされる。
【0030】
ついで、図8図9図10に沿って、右(第1の)搬送チェンについて説明する。右搬送チェン32Bは、スターホイール31Bと同軸状に設けられた始端(従動)スプロケット66と、終端側スプロケット55a,55b(一方が駆動スプロケット55となる)と、固定ローラ128と、ローラ124、テンションローラ125との間に巻掛けられている。上記始端側スプロケット66、終端側スプロケット55a,55bは、前処理フレームに一体的に取付けられた支持フレーム126に配置されており、該支持フレーム126には、図10に示すように、回動支軸127により回動自在に回動フレーム129が連結されている。該回動フレーム129は右搬送チェン32Bの穀稈搬送側の背面側を支持する支持部材129Sを一体に有しており、かつブラケット130を介して固定ローラ128が一体に取付けられている。
【0031】
前記支持フレーム126は、始端側プレート126aと、終端側プレート126bと、これら両プレート126a,126bを連結する連結部126cとからなる。なお、連結部126cは、上側のパイプ部126P、右搬送チェン32Bの上下面をガイドするガイド部126G等からなる。始端側プレート126aには始端側スプロケット66が回転自在に支持されていると共に筒状部材S10を介して上記スターホイール31B及び掻込みベルト30が支持されている。終端側プレート126bには、終端側スプロケット55a,55bが支持されていると共に、図11及び図12に詳示するように、アーム131が上記プレート126bの面に直交するシャフト132により回転自在に、かつ上記プレート126bの面に並行する回動ボルト133により回動自在に支持されており、かつ該アーム131には操作レバー135が右搬送チェン32Bの搬送方向下手側延長線に沿うように後方に延びて一体に取付けられている。従って、該操作レバー135の操作により、上記アーム131は、シャフト132を中心に前後方向に、かつ回動ボルト133を中心に上下方向にそれぞれ回動自在となっている。なお、操作レバー135は、図5及び図13に示すように、走行機体2の幅方向他側方(左側方)から操作可能となるように延設されており、また前記左(第2の)搬送チェン32Aの解除レバー122も、同じ走行機体の他側方(左側方)から操作可能となるように配設されている。
【0032】
上記アーム131の先端には長孔131a及びピン137を介して抜差しロッド138が連結されている。該ロッド138は、前記回動フレーム129の先端部に固定されたスリーブ139に摺動自在に嵌挿されている。上記終端側プレート126bは、上下2枚のプレート126U,126Dからなり、上記シャフト132が2枚のプレートを貫通して回転自在に支持され、また抜差しロッド138が上記2枚のプレートを貫通して延びている。上側プレート126U上方に上記アーム131が配置され、下側プレート126Dの下方において上記シャフト132と抜差しロッド138との間をバックアーム140が連結している。
【0033】
抜差しロッド138の下方側は延長ボルト138aとなっており、該ボルト138aに螺着された座金と上記バックアーム140との間にスプリング141が縮設されている。抜差しロッド138は、径大となっている2個の膨径部138bと、その間及び上下の細径部138cを有しており、また上記終端側プレート126bには、上記膨径部138bが係合し得る2個の係合孔142,143とその間を連結すると共に上記細径部138cが通る連通部145が形成されている。
【0034】
上記終端側プレート126bの上側及び下側プレート126U,126Dの間において、図12(b)に詳示するように、下側プレート126Dにチェン乗上げ部148が配置され、その先端にチェンガイド149が一体に形成されている。終端側プレート126bには、図9に示すように、テンションアーム147がブラケット144を介して回転自在に支持されており、該テンションアーム147の枢支軸147aはローラ124の支軸を共用している。上記テンションアーム147にはテンションローラ125が支持されていると共に、回動フレーム129から延びている固定ローラ128用のブラケット130との間にスプリング154が張設されている。また、テンションアーム147は、調節自在なストッパ134に当接して、テンションローラ125による右搬送チェン32Bの弛緩位置が規制されている。
【0035】
右搬送チェン32Bの穀稈搬送作業状態にあっては、図8に示すように、抜差しロッドの膨径部138bが係合孔143に係合した位置(図11参照)にあり、回動フレーム129が前方向に回動した位置にある。この状態では、回動フレーム129の支持部材129Sが右搬送チェン32Bの背面を支持しつつ案内して、該右搬送チェン32Bで、掻込みベルト30及びスターホイール31Bで掻込んだ穀稈の株元側を前処理部の右方向から左方向に向って後方側に搬送する。
【0036】
上記搬送中の穀稈に詰りを生じると、刈取クラッチ51を切ることにより前処理部3への伝動を停止し、オペレータは、操作レバー135を下方に押下げることによりアーム131を回動ボルト133を中心にその先端側を上方に回動する。これにより、抜差しロッド138は、スプリング141に抗して膨径部138bが係合孔143から抜けてシャフト132を中心に回動可能となる。この状態で、操作レバー135を機体前方に向けて操作することによりアーム131も一体に回動し、抜差しロッド138の細径部138cが連通部145を通って前方の係合孔142に移動し、操作レバー135を押上げることにより抜差しロッド138の膨径部138bが係合孔142に係合して位置決めされる。
【0037】
回動フレーム129の先端側スリーブ139は、上記抜差しロッド138と一体に移動して、図9に示すように、回動フレーム129は、支軸127を中心に図10の矢印Iに示すように回動されて、該回動フレームと一体の支持部材129Sも退入方向に移動する。これにより、右搬送チェン32Bは、図5の鎖線で示すように退入方向に弛んで、詰まった穀稈を右搬送チェン32Bから抜き易くなる。
【0038】
図13に示すように、右搬送チェン32Bから搬送される穀稈は、穂先側を右穂先搬送チェン33Bにより搬送されると共に、株元側が扱深搬送チェン36に受渡される。扱深搬送チェン36は、扱深レール150との間に穀稈を挟んで脱穀部のフィードチェン16に搬送し、かつ搬送方向に交差する方向に移動して、フィードチェンとの受渡し位置を変更して扱深さを調節し得る。
【0039】
前記右搬送チェン32Bの操作レバー135は、後方に延びて扱深チェン36による穀稈搬送部に位置する。該操作レバー135が作業位置にある場合、図13の鎖線で示すように、扱深チェン36の上方でかつ該チェンの搬送側より機体内方に位置しており、扱深チェン36による穀稈の搬送に干渉することはない。上記操作レバー135が前方向(矢印J参照)に回動されて解除位置にある場合、図13の実線に示すように、扱深チェン36により搬送される穀稈に干渉して、該穀稈を扱深チェン36から落下する(矢印K参照)。
【0040】
次に、本コンバイン1の作用について説明する。作業者は、コンバイン1を走行させて、圃場の穀稈を刈取りつつ脱穀して収穫作業を進めていく。コンバイン1が圃場を走行すると、前処理部3のデバイダ11によって穀稈が分草されると共に、引起装置12によって分草された穀稈が引起こされて直立する。該引起こされた穀稈は、掻込ベルト30によって掻込まれると共に、スターホイール31によって集束され、その過程において刈刃13によって刈取られる。
【0041】
刈取られた穀稈は、前処理部3の左右及び中央に配置される株元搬送チェン32A,32B,32Cによって株元側が、穂先搬送チェン33A,33B,33Cによって穂先側が後方に搬送される。後方に搬送された穀稈は、扱深搬送チェン36によって自動的に適正な扱ぎ深さに調整された後、右穂先搬送チェン33B及び後方株元搬送チェン35によってフィードチェン16へと受け渡されて、脱穀部5に運ばれる。
【0042】
上記穀稈の株元側は、図5に示すように、右搬送チェン32Bによる矢印D方向の搬送穀稈に、中搬送チェン32Cによる矢印E方向の搬送穀稈が合流部Nで合流し、更に左搬送チェン32Aによる搬送穀稈が合流部Mで合流する。該合流部N,Mに穀稈の詰りが生じると、左搬送チェン32Aの終端側ローラ101,102部分を圧縮し、該終端側ローラを支持する支持プレート111を、ローラ116を介してスプリング121に抗して押圧する。これにより、詰り検出手段203が作動して刈取クラッチ51を切断する。
【0043】
上記支持プレート111に作用する押圧力は、ローラ116に作用しているので、ノブボルト113を容易に回転して取外すことができ、オペレータは、該ノブボルトを取外した状態で解除レバー122を図7に示す解除位置に操作する。これにより、支持プレート111と共に1対の終端側ローラ101,102は、図7(b)に示すように、所定量従動スプロケット65側に移動する。この状態では、駆動スプロケット61が停止状態にあり、従って固定ローラ107及びガイド板110により左搬送チェン32Aの終端側は所定長さ状態に保持され、終端側ローラ101,102と左搬送チェン32Aの終端側との間に隙間があき、終端側ローラ101,102と左搬送チェン32Aとの間に入った穀稈を容易に抜取ることができる。なおこの際、左搬送チェン32Aの終端側が緩んでも、チェン外れ規制部材を兼用する穀稈巻付け防止用プレート123により支えられ外れることはない。
【0044】
一方、右搬送チェン32Bにおいて、オペレータは、操作レバー135を一旦押し下げ、抜差しロッド138の膨径部138bを作業位置用係合孔143から外した後、該操作レバー135を前方に操作して押下げ、抜差しロッド138の膨径部138bを解除位置用係合孔142に係合して位置決めする。該抜差しロッド138の抜差し操作に際して、右搬送チェン32Bがチェンガイド149に案内されており、穀稈の詰り圧力が抜差しロッドに作用せず、該抜差しロッドの抜差し操作を容易に行うことができる。
【0045】
上記操作レバー135を解除位置に操作した状態にあっては、抜差しロッド138を嵌挿したスリーブ139を介して、回動フレーム129が回動支軸127を中心に図10の矢印I方向に回動する。該回動フレーム129に一体に支持部材129Sも回動し、右搬送チェン32Bの搬送側背面を退入して穀稈詰り圧力を減少する。これにより、中搬送チェン32Cとの合流部Nにおける穀稈の詰り圧力が減少する。
【0046】
上述したように、穀稈搬送装置17における穀稈の搬送において、藁詰まりが発生した場合には、刈取クラッチ51及び引起変速装置26によって、駆動軸S5,S6及び入力プーリ50aよりエンジン側に動力伝達が行われない。その上で、上記横筒10から外方に突出した逆転駆動用の突出部Pを、ラチェットレンチ等によって手動で逆転させ、駆動軸S1,S2,S3,S4及びこれらに接続される副駆動軸が逆転駆動し、詰まった藁をほぐして取り除きやすくする。なお、引起装置12及び掻込ベルト30には、ワンウェイクラッチにより逆回転は伝わらない。
【0047】
上記前処理部の穀稈搬送装置17の逆回転により、左搬送チェン32Aにおいて、駆動スプロケット61が逆回転して、左搬送チェン32Aは、従動スプロケット65から終端側ローラ101,102側に穀稈搬送側を張り側として、終端側ローラ101,102との間がなくなるように引張られ、該引張られた上記終端側ローラ101,102との間の弛み分はテンションローラ109により吸収される。この状態では、左搬送チェン32Aの終端部分と右搬送チェン32Bの終端部分との間隙が広がり、かつ右搬送チェン32Bの穀稈搬送側は、回動フレーム129の支持部材129Sが退入して穀稈詰り圧力を減少しており、これらが相俟って、搬送チェン32A,32Bを逆転しつつ、詰り穀稈を容易に引き抜くことができる。
【0048】
右搬送チェン32Bは、回動フレーム129の後方への回動により、該回動フレームと一体の固定ローラ128も一体に同方向に回動する。上記支持部材129Sの後方向(退入)の移動により、右搬送チェン32Bの穀稈搬送側が緩み、その分右搬送チェン32Bが弛むが、上記固定ローラ128の移動により、テンションローラ125が略々同じ位置にて右搬送チェン32Bの張力を維持できる。
【0049】
前記突出部Pによる実動回転は、逆転に限らず正転でもよい。左搬送チェン32Aは、終端側ローラ101,102が右搬送チェン32Bから離れた位置にあってかつテンションローラ109により所定張力が付与された状態で、駆動スプロケット61の正転により回転する。これにより、残った穀稈は、挟やくレール108とガイド板110との間に挟まれて後方に搬送される。また、右搬送チェン32Bは、固定ローラ128及びテンションローラ125により所定張力が付与された状態でかつ支持部材129Sが退入位置にあって搬送側の圧力が減少された状態で、駆動スプロケット55a又は55bの正回転により回転する。
【0050】
該右搬送チェン32Bの終端部は、チェン乗上げ部148により掬上げられ、その内側面をチェンガイド149にガイドされて終端側スプロケット55a,55bに導かれる。これにより、右搬送チェン32Bに残った穀稈は、退入位置にある支持部材129Sにより圧力が減少した状態で該右搬送チェン32Bの移動により搬送され、左搬送チェン32Aからの穀稈との合流部分にあっては、上記チェンガイド149にガイドされて通常の搬送位置にあるが、左搬送チェン32Aの終端部分は上述したように離れた位置にあって、詰りを生じることなく該左搬送チェン32Aからの残り穀稈と合流されて、扱深チェン36側に排出される。なお、突出部Pによる手動による正転で説明したが、刈取クラッチ51を接続して、エンジンEからの駆動力により左搬送チェン32A及び右搬送チェン32Bを正転して、上記解除位置にて両搬送チェン32A,32B,32Cを駆動して詰り穀稈を扱深チェン36側に排出してもよい。なお、エンジンEからの駆動力により上記左右搬送チェン32A,32B,32Cを駆動する場合、図1の鎖線で示すように、刈取クラッチ操作用スイッチ74を前処理部3の近傍に設けて、該スイッチ74を操作して刈取クラッチ51を接続しつつ、上記搬送チェンを正転して穀稈を排出すると望ましい。該スイッチ74は、上記突出部Pと同様な操作部を構成する。
【0051】
上記手動又はエンジンにより、藁詰り解除のため穀稈搬送装置17を正転方向に駆動して、詰り穀稈を右搬送チェン32B及び左搬送チェン32Aから扱深チェン36に排出する際、右搬送チェン32Bの詰り圧力を解除する操作レバー135は、図13の実線で示すように、扱深チェン36による穀稈と干渉する解除位置にある。従って、上記右搬送チェン32Bから搬送される穀稈は、扱深チェン36に受渡されて、該扱深チェン36の正回転によりフィードチェン16に向って搬送する途中で上記操作レバー135に当接して、機体の外方向に落下される。なおこの際、図13に示すように、扱深レール150は、フレーム158から取外されている。
【0052】
前記右搬送チェン32Bの操作レバー135は、走行機体2の左側方に向けて延びており、また前記左搬送チェン32Aの解除レバー122も同様に走行機体2の左側方に向けて延びている。従って、オペレータは、走行機体2の左側方に立って、前処理部3のサイドカバー19を走行機体2のサイドカバーとの間から上記操作レバー135を解除位置に操作すると共に、上記解除レバー122を解除位置に操作することができる。そして、上述したように、穀稈詰り圧力を減少した状態で、右搬送チェン32Bと左搬送チェン32Aとの合流部M及び右搬送チェン32Bと中搬送チェン32Cとの合流部Nから詰り穀稈を取除くことができる。この際、前処理部サイドカバー19は、取外してまた取付けたままでもよい。詰り穀稈を取除いた後、オペレータは、同じ立ち位置で前記操作レバー135及び解除レバー122を搬送位置に復帰操作することができる。
【0053】
なお、上記実施の形態は、6条刈りのコンバインについて説明したが、これに限らず、少なくとも左搬送チェン、右搬送チェン、中搬送チェンを備えた5条刈り、又はそれ以上の多条刈りコンバインにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 コンバイン
2 走行機体
3 前処理部
5 脱穀部
16 フィードチェン
17 穀稈搬送装置
32B 第1の(右)搬送体(チェン)
32A 第2の(左)搬送体(チェン)
32C 第3の(中)搬送体(チェン)
122 解除レバー
135 操作レバー
M,N 合流部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13