(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複合樹脂発泡成形体が、前記ポリプロピレン系樹脂と前記ポリスチレン系樹脂とを質量比99/1〜80/20で含むシード重合用種粒子と、スチレン系単量体とをシード重合法に付して得られた複合樹脂粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体である請求項1に記載の複合樹脂発泡成形体。
前記ポリプロピレン系樹脂が3.0〜12g/10分の160℃でのMFR及び1.0〜6.0cNの230℃での溶融張力を有し、かつ前記ポリスチレン系樹脂が1.5〜5g/10分の200℃でのMFR及び8.0〜20cNの200℃での溶融張力を有する請求項1又は2に記載の複合樹脂発泡成形体。
前記ポリプロピレン系樹脂が3.0〜12g/10分の160℃でのMFR及び1.0〜6.0cNの230℃での溶融張力を有し、かつ前記ポリスチレン系樹脂が1.5〜5g/10分の200℃でのMFR及び8.0〜20cNの200℃での溶融張力を有する請求項4に記載のシード重合用種粒子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、良好な成形性を維持しつつ高い剛性、すなわち優れた曲げ強度及び圧縮応力を有する複合樹脂発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子、発泡性粒子及び発泡粒子をシード重合法で製造するためのシード重合用種粒子、それから得られる複合樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び複合樹脂発泡成形体に関し、以下、この順に説明する。
【0017】
(1)シード重合用種粒子
本発明のシード重合用種粒子(「マイクロペレット」、「シード粒子」、「種粒子」ともいう)は、ポリプロピレン系樹脂と、ポリスチレン系樹脂とを、質量比99/1〜80/20で含むことを特徴とする。
本発明のシード重合用種粒子において、ポリプロピレン系樹脂は基材樹脂、ポリスチレン系樹脂は改質用樹脂種である。
本発明のシード重合用種粒子は、後述する発泡成形体を発泡成形して得るための複合樹脂粒子を得るためのシード重合用種粒子として好ましい。
【0018】
[ポリプロピレン系樹脂:PP]
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、公知の重合方法で得られた樹脂が挙げられ、それは架橋されていてもよく、耐衝撃性の観点で、ポリエチレン樹脂及びエチレンアクリル共重合樹脂から選択される成分を含んでいてもよい。例えば、プロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体などが挙げられ、具体的には、実施例において用いているような市販品が挙げられる。
本発明では、上記のようなポリプロピレン系樹脂の1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30万〜70万程度である。
【0019】
[ポリスチレン系樹脂:PS]
本発明で用いられるポリスチレン系樹脂としては、当該技術分野で用いられるスチレン系単量体を主成分とする樹脂であり、本発明の効果を阻害しないものであれば特に限定されず、スチレン又はスチレン誘導体の単独又は共重合体が挙げられる。
スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体を併用したものであってもよい。
ビニル系単量体としては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体;(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、多官能性単量体が好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン単位数が4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、単量体を併用する場合、その含有量は、スチレン系単量体が主成分となる量(例えば、50質量%以上)になるように設定されることが好ましい。
本発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
本発明では、上記のようなポリスチレン系樹脂の1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10万〜40万程度である。
【0020】
[ポリプロピレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂のメルトマスフローレート:MFR]
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、3.0〜12g/10分の160℃でのMFRを有するのが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂のMFRが3.0g/10分未満では、シード重合用粒子の製造における溶融混練工程で、溶融樹脂混合物の流動性がないために押出機が過負荷となることがある。また、押出孔が塞がり易く、適当なシード重合用粒子が得られないことがある。一方、ポリプロピレン系樹脂のMFRが12g/10分を超えると、溶融樹脂混合物の流動性が高すぎるためにシード重合用粒子の造粒時にカッター刃に絡み付いてしまうことがある。
より好ましいポリプロピレン系樹脂のMFRは、6.5〜10.5g/10分である。
【0021】
また、本発明で用いられるポリスチレン系樹脂は、1.5〜5g/10分の200℃でのMFRを有するのが好ましい。
ポリスチレン系樹脂のMFRが1.5g/10分未満では、シード重合用粒子の製造における溶融混練工程で、溶融樹脂混合物の流動性がないために押出機が過負荷となることがある。また、押出孔が塞がり易く、適当なシード重合用粒子が得られないことがある。一方、ポリスチレン系樹脂のMFRが5g/10分を超えると、溶融樹脂混合物の流動性が高すぎるためにシード重合用粒子の造粒時にカッター刃に絡み付いてしまうことがある。
より好ましいポリスチレン系樹脂のMFRは、1.6〜2.3g/10分である。
MFRは、JIS K7210:1999熱可塑性プラスチックのMFRおよびMVRの試験方法により測定することができ、その詳細については実施例で説明する。
【0022】
[ポリプロピレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂の溶融張力:MT]
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、1.0〜6.0cNの230℃での溶融張力を有するのが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が1.0cN未満では、シード重合用粒子の造粒時にカッター刃に絡み付いてしまうことがある。一方、ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が6.0cNを超えると、シード重合用粒子の製造における溶融混練工程で押出機が過負荷となることがある。また、押出孔が塞がり易く、適当なシード重合用粒子が得られないことがある。
より好ましいポリプロピレン系樹脂の溶融張力は、1.8〜3.3cNである。
【0023】
また、本発明で用いられるポリスチレン系樹脂は、8.0〜20cNの200℃での溶融張力を有するのが好ましい。
ポリスチレン系樹脂の溶融張力が8.0cN未満では、本発明の効果である良好な成形性を維持しつつ高い剛性を付与することができないことがある。一方、ポリスチレン系樹脂の溶融張力が20cNを超えると、シード重合用粒子の製造における溶融混練工程で押出機が過負荷となることがある。また、押出孔が塞がり易く、適当なシード重合用粒子が得られないことがある。
より好ましいポリスチレン系樹脂の溶融張力は、8.5〜10cNである。
溶融張力は、ツインボアキャピラリ−レオメ−タ−Rheologic5000T(イタリア チアスト社製)を用いて測定することができ、その詳細については実施例で説明する。
【0024】
[ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン樹脂との質量比]
本発明の種粒子は、ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを、質量比99/1〜80/20で含む。
種粒子の質量比が99/1を超える、すなわちポリプロピレン系樹脂が過多になり、ポリスチレン系樹脂が過少になると、ポリスチレン系樹脂による樹脂改質が不十分になり、本発明の十分な剛性向上効果が得られないことがある。一方、種粒子の質量比が80/20未満、すなわちポリプロピレン系樹脂が過少になり、ポリスチレン系樹脂が過多になると、本発明の複合樹脂粒子が特徴とする特異なモルフォロジーが得られず、ポリオレフィンの柔軟性とポリスチレンの剛性を合わせ持った優れた機械物性を発現できないことがある。
好ましい種粒子の質量比は、99/1〜90/10であり、より好ましくは99/1〜95/5である。
【0025】
[シード重合用種粒子の製造]
本発明の種粒子は、例えば、上記のポリプロピレン系樹脂とポリスチレン樹脂成分とを押出機で溶融混練後、ストランド状に押し出し、所望の粒子径でカットすることにより得ることができる。
【0026】
所定の大きさの種粒子を得るためのダイスは、その樹脂吐出孔の直径は0.2〜1.0mmが好ましく、孔数は80〜150個程度であり、樹脂流路のランド長はポリスチレン系樹脂の高分散性を維持するために10〜20MPaでダイスの樹脂流路入口の圧力が保持できるよう2.0〜6.0mmに、押出機から押出されてくる樹脂のダイス入口での樹脂温度は200〜270℃に調整されることが好ましい。
前記スクリュー構造を有する押出機やダイス、押出条件、水中カット条件を組み合わせることで所望の種粒子が得られる。
例えば、吐出量は50〜120kg/h程度であり、カッター回転数は2000〜4000rpm程度、水温は40〜70℃程度である。
また、上記種粒子は本発明の効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂の相溶化剤、気泡調整剤、帯電防止剤などの添加剤を含有することができる。
【0027】
(粒子径)
種粒子の粒子径は、複合樹脂粒子の平均粒子径などに応じて適宜調整でき、好ましい粒子径は、0.4〜1.5mmの範囲であり、より好ましくは0.4〜1.0mmの範囲であり、その平均質量は30〜90mg/100粒である。また、その形状は、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。
【0028】
(開口率、連結粒子率及びヒゲ発生率)
上記により製造された種粒子は、90%以上の開口率、1.0%以下の連結粒子率及び0.5%以下のヒゲ発生率を有するのが好ましい。
これらの測定方法の詳細については、実施例で説明する。
【0029】
(2)複合樹脂粒子
本発明の複合樹脂粒子は、上記の種粒子と、スチレン系単量体とをシード重合法に付することにより得られる。
【0030】
(シード重合)
シード重合法は、一般に、種粒子に単量体を吸収させ、吸収させた後又は吸収させつつ単量体の重合を行うことにより複合樹脂粒子を得ることができる。また、重合させた後又は重合させつつ複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得ることもできる。
【0031】
具体的には、まず、水性媒体中で、上記の種粒子に、スチレン系単量体を吸収させ、吸収させた後又は吸収させつつスチレン系単量体の重合を行うことで複合樹脂粒子を得る。
スチレン系単量体は、これを構成する単量体を全て同時に水性媒体中に供給する必要はなく、単量体の全部あるいは一部を別々のタイミングで水性媒体中に供給してもよい。複合樹脂粒子中に添加剤を含有させる場合には、添加剤をスチレン系単量体や水性媒体中に添加しても、あるいは、種粒子中に含有させてもよい。
なお、単量体と樹脂の量はほぼ同一である。
【0032】
スチレン系単量体の重合は、例えば、60〜150℃で、2〜40時間加熱することにより行うことができる。
重合工程では、重合温度もしくは重合温度よりも高温で長時間保持する、すなわちアニールするのが好ましい。
アニール工程に至るそれまでの工程において、種粒子に吸収させたスチレン系単量体及び重合開始剤は完全には反応を完了しておらず、複合樹脂粒子内部には未反応物も少なからず存在している。そのため、アニールせずに得た複合樹脂粒子を用いて発泡成形体を得た場合、スチレン系単量体等低分子量の未反応物の影響により、発泡成形体の機械的物性や耐熱性の低下や揮発性の未反応物を原因とした臭気が問題となる。そこで、アニール工程を導入することによって未反応物が重合反応を起こす時間を確保し、発泡成形体の物性に影響しないように残存する未反応物を除去することができる。
【0033】
(ポリスチレン系樹脂)
シード重合により得られるポリスチレン系樹脂としては、当該技術分野で用いられるスチレン系単量体を主成分とする樹脂であれば特に限定されず、スチレン又はスチレン誘導体の単独又は共重合体が挙げられる。
具体的には、シード重合用種粒子で例示のものが挙げられる。
これらのスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
【0034】
本発明の複合樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂と種粒子とを、質量比90/10〜50/50で含むのが好ましい。
複合樹脂粒子の質量比が90/10を超える、すなわちポリスチレン系樹脂が過多になり、種粒子が過少になると、発泡成形体の耐薬品性や耐衝撃性が不十分になることがあり、また耐熱性が低下することがある。一方、複合樹脂粒子の質量比が50/50未満、すなわちポリスチレン系樹脂が過少になり、種粒子が過多になると、発泡成形性が低下することがある。
より好ましい複合樹脂粒子の質量比は、70/30〜55/45である。
【0035】
(水性媒体)
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、メチルアルコールやエチルアルコールなどの低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
【0036】
(分散剤)
水性媒体には、スチレン系単量体の液滴及び種粒子の分散性を安定させるために分散剤を用いてもよい。このような分散剤としては、例えば、部分けん化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの有機系分散剤;ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの無機系分散剤が挙げられる。これらの中でも、より安定な分散状態を維持することができることがあるため、無機系分散剤が好ましい。
無機系分散剤を用いる場合には、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0037】
(重合開始剤)
スチレン系単量体は、通常重合開始剤の存在下で重合する。重合開始剤は、通常スチレン系単量体と同時に種粒子に含浸させる。
重合開始剤としては、従来からスチレン系単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これら重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部の範囲である。
【0038】
重合開始剤を種粒子又は種粒子から成長途上の粒子に均一に吸収させるために、重合開始剤を水性媒体中に添加するにあたって、重合開始剤を水性媒体中に予め懸濁又は乳化分散させた上で分散液中に添加するか、あるいは重合開始剤をスチレン系単量体に予め溶解させた上で水性媒体中に添加することが好ましい。
【0039】
重合開始剤の添加量は、スチレン系単量体100質量部あたり0.1〜0.9質量部である。
重合開始剤の添加量が0.1質量部未満では、分子量が高くなりすぎて発泡性が低下することがある。一方、重合開始剤の添加量が0.9質量部を超えると、重合速度が速くなりすぎて、ポリスチレン系樹脂の粒子がポリオレフィン系樹脂中の分散状況を制御しきれないことがある。好ましい重合開始剤の添加量は、0.2〜0.5質量部である。
【0040】
(他の成分)
なお、複合樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、着色剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、滑剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤等の添加剤を添加してもよい。
【0041】
着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維などのカーボンブラックが挙げられ、樹脂に配合されたマスターバッチであってもよい。
具体的には、実施例で用いているカーボンブラックが挙げられる。
好ましい複合樹脂粒子のカーボンブラックの含有量は、1.5〜5.0質量%である。
【0042】
難燃剤としては、トリ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアネート、ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]スルホン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
好ましい複合樹脂粒子の難燃剤及び難燃助剤の含有量は、それぞれ1.0〜5.0質量%及び0.1〜2.0質量%である。
【0043】
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が挙げられる。
好ましい複合樹脂粒子の可塑剤の含有量は、0.1〜3.0質量%である。
【0044】
結合防止剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
気泡調整剤としては、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
架橋剤としては、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等の有機過酸化物等が挙げられる。
充填材としては、合成又は天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0045】
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
融着促進剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
【0046】
(平均粒子径)
複合樹脂粒子は、0.5〜2.0mmの平均粒子径を有するのが好ましい。
複合樹脂粒子の平均粒子径が0.5mm未満では、高い発泡性を得られないことがある。一方、複合樹脂粒子の平均粒子径が2.0mmを超えると、成形加工時の予備発泡粒子の充填性が不十分になることがある。より好ましい複合樹脂粒子の平均粒子径は、0.8〜1.5mmである。
【0047】
(3)発泡性粒子
本発明の発泡性粒子は、本発明の複合樹脂粒子に、公知の方法により発泡剤を含浸させて得られる。
複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させる温度としては、低いと、含浸に時間を要し、発泡性粒子の製造効率が低下することがある一方、高いと、発泡性粒子同士の合着が多量に発生することがあるので、50〜130℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
【0048】
(発泡剤)
発泡剤としては揮発性発泡剤が好ましく、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、n−ペンタン、ネオペンタン等炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤が挙げられ、特にブタン系発泡剤、ペンタン系発泡剤が好ましい。なお、ペンタンは可塑剤としての作用も期待できる。
【0049】
発泡剤の発泡性粒子中における含有量は、通常2〜15質量%の範囲とされ、4〜15質量%の範囲が好ましく、4〜12質量%の範囲が特に好ましい。
発泡剤の含有量が少なく、例えば2質量%未満では、発泡性粒子から低密度の発泡成形体を得ることができないことがあると共に、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために、発泡成形体の外観が低下することがある。一方、発泡剤の含有量が多く、例えば15質量%を超えると、発泡性粒子を用いた発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなり生産性が低下することがある。
【0050】
(発泡助剤)
発泡性粒子には、発泡剤と共に発泡助剤を含有させることができる。
発泡助剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の1気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
【0051】
発泡助剤の発泡性粒子中における含有量は、通常0.3〜2.5質量%の範囲とされ、0.5〜2質量%の範囲が好ましい。
発泡助剤の含有量が少なく、例えば0.3質量%未満では、ポリスチレン系樹脂の可塑化効果が発現しないことがある。一方、また、発泡助剤の含有量が多く、2.5質量%を超えると、発泡性粒子を発泡させて得られる発泡成形体に収縮や融けが発生して外観が低下する、あるいは発泡性粒子を用いた発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなることがある。
【0052】
(4)発泡粒子
本発明の発泡粒子は、本発明の発泡性粒子を予備発泡させて、具体的には、密閉容器内で、導入したゲージ圧力0.004〜0.09MPaの水蒸気(スチーム)で加熱し、所定の嵩密度に予備発泡させて得られる。
その方式は、蒸気を導入するバッチ式発泡や連続発泡、加圧下からの放出発泡が挙げられ、必要に応じて発泡する際に水蒸気と同時に空気を導入してもよい。
【0053】
(嵩密度)
本発明の発泡粒子は、0.015〜0.250g/cm
3の嵩密度を有するのが好ましい。発泡粒子の嵩密度が0.015g/cm
3未満では、発泡成形体が収縮しやすく外観を損なうことがあり、機械的強度も十分ではなくなることがある。一方、発泡粒子の嵩密度が0.250g/cm
3を超えると、発泡成形体として軽量化のメリットが損なわれることがある。好ましい発泡粒子の嵩密度は、0.020〜0.100g/cm
3である。
【0054】
(平均粒子径)
本発明の発泡粒子は、0.5〜7.0mmの平均粒径を有するのが好ましい。発泡粒子の平均粒子径が0.5mm未満では、発泡成形時の発泡性が低く、成形体表面の伸びが悪くなることがある。一方、発泡粒子の平均粒子径が7.0mmを超えると、成形加工時の発泡粒子の充填性が不十分になることがある。より好ましい複合樹脂粒子の平均粒子径は、1.5〜6.0mmである。
【0055】
(5)発泡成形体
本発明の発泡成形体は、ポリプロピレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂を含む複合樹脂発泡成形体であり、
複合樹脂発泡成形体の試料10mgをテトラヒドロフラン4mLに160℃で24時間浸漬させて得られた抽出液をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定したときに、
抽出液のクロマトグラフから得られる分子量分布が、そのピーク分子量の高分子量側に少なくとも2個の変曲点により形成された上に凸なショルダー部を有するバイモーダルな形状を有することを特徴とする。
すなわち、本発明のスチレン改質ポリプロピレン系複合樹脂発泡体からテトラヒドロフラン(THF)に溶出したポリスチレン成分の分子量分布は、ピーク分子量の高分子量側にショルダー部を有し、その分子量分布はバイモーダルな分布を形成している。
GPC測定の詳細については、実施例で説明する。
【0056】
本発明の発泡成形体は、分子量分布が重量平均分子量(Mw)10万〜40万のポリスチレン系樹脂の分子量分布であり、ショルダー部のピークトップが重量分子量20万〜60万の範囲にあり、ショルダー部を形成する低分子量側の変曲点から重量分子量60万までの重量分率が分子量分布全体の15〜40%であるのが好ましい。
【0057】
(重量平均分子量)
GPC測定により得られる分子量分布は、重量平均分子量(Mw)10万〜40万のポリスチレン系樹脂の分子量分布であるのが好ましい。
重量平均分子量が10万未満では、複合樹脂発泡成形体の機械物性が著しく低下することがある。一方、重量平均分子量が40万を超えると、複合樹脂発泡成形体の成形性が 低下することがある。
より好ましい重量平均分子量は、20万〜30万である。
【0058】
(ショルダー部の分子量の範囲)
分子量分布は、そのピーク分子量の高分子量側に少なくとも2個の変曲点により形成された上に凸な、ピークトップが重量分子量20万〜60万の範囲にあるショルダー部を有するのが好ましい。
変曲点の数は、分子量分布曲線から突出するような上に凸なショルダー部が形成される限り限定されず、少なくとも2個であり、それ以上であってもよい。
ピークトップの重量分子量の範囲の下限が20万未満では、ポリスチレン系樹脂による樹脂改質が不十分になり、本発明の十分な剛性向上効果が得られないことがある。一方、ピークトップの重量分子量の範囲の上限が60万を超えると、複合樹脂発泡成形体の成形性が低下することがある。
より好ましい重量分子量の範囲は、25万〜50万である。
【0059】
(ショルダー部の重量分率)
ショルダー部を形成する低分子量側の変曲点から重量分子量60万までの重量分率が分子量分布全体の15〜40%であるのが好ましい。
これは、ショルダー部が、ショルダー部が形成されていない分子量分布からどの程度突出しているかを数値化するものである。
ショルダー部の重量分率が分子量分布全体の15%未満では、ポリスチレン系樹脂による樹脂改質が不十分になり、本発明の十分な剛性向上効果が得られないことがある。一方、重量分率が分子量分布全体の40%を超えると、複合樹脂発泡成形体の成形性が低下することがある。
より好ましい範囲は、20〜35%である。
【0060】
本発明の発泡成形体は、本発明のシード重合用種粒子と、スチレン系単量体とをシード重合法に付して得られた複合樹脂粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体であるのが好ましい。
具体的には、発泡成形体は、公知の方法、例えば、発泡粒子を発泡成形機の金型(キャビティ)内に充填し、再度加熱して発泡粒子を発泡させながら、発泡粒同士を熱融着させることにより得られる。
【0061】
(密度)
本発明の発泡成形体は、0.015〜0.250g/cm
3の密度を有するのが好ましい。発泡成形体の密度が0.015g/cm
3未満では、耐衝撃性が十分でないことがある。一方、発泡成形体の密度が0.250g/cm
3を超えると、発泡成形体の軽量化効果が限定的になってしまう。好ましい発泡成形体の嵩密度は、0.020〜0.100g/cm
3である。
【0062】
(曲げ強度)
本発明の発泡成形体は、従来の同種の発泡成形体よりも優れた曲げ強度、通常350〜500kPaを有する。
曲げ強度は、JIS K7221−2:2006により測定することができ、その詳細については実施例で説明する。
【0063】
(50%圧縮応力)
本発明の発泡成形体は、従来の同種の発泡成形体よりも優れた50%圧縮強度、通常300〜550kPaを有する。
50%圧縮強度は、JIS K7220:2006により測定することができ、その詳細については実施例で説明する
【実施例】
【0064】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。
実施例及び比較例においては、原料樹脂、得られた種粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体を次のようにして評価した。
【0065】
<ポリプロピレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂のMFR>
ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレイトは、東洋精機製作所社製のセミオートメルトインデクサー2Aを用い、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載のb)ピストンが所定の距離を移動する時間を測定する方法により測定する。測定条件は試料3〜8g、予熱270秒、ロードホールド30秒、試験温度160℃、試験荷重49.03N、ピストン移動距離(インターバル):25mmとする。試料の試験回数は3回とし、その平均をメルトマスフローレイト(g/10min)の値とする。
ポリスチレン系樹脂のメルトマスフローレイトは、試験温度160℃を200℃に変更すること以外はポリプロピレン系樹脂と同様にして測定する。
【0066】
<ポリプロピレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂の溶融張力MT>
ポリプロピレン系樹脂の溶融張力は、ツインボアキャピラリ−レオメ−タ−Rheologic5000T(イタリア チアスト社製)を用いて測定する。すなわち試験温度230℃に加熱された径15mmのバレルに測定試料樹脂を充填後、5分間予熱したのち、上記測定装置のキャピラリーダイ(口径2.095mm、長さ8mm、流入角度90度(コニカル))からピストン降下速度(0.07730mm/s)を一定に保持して紐状に押出しながら、この紐状物を上記キャピラリーダイの下方27cmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いて、その巻取り速度を初速3.94388mm/s、加速度12mm/s
2で徐々に増加させつつ巻き取っていき、当紐状物が切断した点の直前の張力の極大値と極小値の平均を試料樹脂の溶融張力(MT)とする。
ポリスチレン系樹脂の溶融張力は、試験温度230℃を200℃に変更すること以外はポリプロピレン系樹脂と同様にして測定する。
【0067】
<ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量Mw>
試料3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLに72時間静置で溶解させ(完全溶解)、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過したものを測定試料とし、予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の重量平均分子量を求める。また、クロマトグラフの条件は下記の通りとする。
・装置:高速GPC装置
・商品名:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSEC-WorkStation(RI検出器内蔵)
・分析条件
カラム:TSKgel SuperHZM−H×2本(4.6mmI.D×15cmL×2本)
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperHZ−H×1本(4.6mmID×2cmL)
流量:サンプル側 0.175ml/min、
リファレンス側 0.175ml/min
検出器:RI検出器
濃度:0.3g/L
注入量:50μL
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
溶離液:THF
【0068】
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、500、2630、9100、37900、102000、355000、3840000、及び5480000である標準ポリスチレン試料と、昭和電工社製商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を用いる。
検量線の作成方法は以下の通りである。まず、上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(重量平均分子量が1030000のもの)、グループB(重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000のもの)及びグループC(重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000のもの)にグループ分けする。グループAに属する重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を5mg秤量した後にTHF20mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。グループBに属する重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ10mg、5mg、5mg、及び5mg秤量した後にTHF50mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。グループCに属する重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ5mg、5mg、5mg、及び1mg秤量した後にTHF40mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。これら標準ポリスチレン試料の保持時間から較正曲線(三次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成し、これをポリスチレン換算重量平均分子量測定の検量線として用いる。
【0069】
<種粒子の開口率、連結粒子及びヒゲ発生率>
『種粒子の開口率』
一定時間当たりにおけるカッターでの切断回数(回転数(rpm)×刃数)を「R」とし、一定時間に得られる種粒子の数を「N(個/分)」として、下記式により金型吐出口の開口数を求める。
開口数=N/R
ただし、一定時間に得られる種粒子の数「N(個/分)」については、一定時間の溶融ポリスチレン系樹脂吐出量「M(kg/分)」を種粒子の平均質量「m(kg/個)」で除して求める(N=M/m)。
また、種粒子の平均質量「m(kg/個)」は、無作為に100個の種粒子を数え採り、その質量「Mx(kg)」を個数で除して求める(m=Mx/100)。
開口率は上記式から金型全体の吐出口数を除することで求められる(例えば金型吐出口数が120個の場合、開口率=開口数/120×100(%)となる。)
【0070】
『種粒子の連結粒子率』
種粒子1g中から種粒子同士が結合している粒子の質量「Nr(g/個)」を測定し、上記種粒子の平均質量「m'(g/個)」で除することで、その比率を求める。
連結粒子率=Nr/m'×100(%)
【0071】
『種粒子のヒゲ発生率』
種粒子1g中からひも状の切れ損じが発生している粒子の質量「Nh(g/個)」を測定し、上記種粒子の平均質量「m'(g/個)」で除することで、その比率を求める。
ヒゲ発生率=Nh/m'×100(%)
【0072】
<種粒子の生産効率>
得られた種粒子の評価結果、すなわち開口率、連結粒子率及びヒゲ発生率の結果から、下記の基準で生産性を評価する。
○:開口率≧90%、連結粒子率≦1.0、ヒゲ発生率≦0.5を全て満たす
△:開口率≧90%、連結粒子率≦1.0、ヒゲ発生率≦0.5のいずれかを満たす
×:開口率≧90%、連結粒子率≦1.0、ヒゲ発生率≦0.5を全て満たさない
【0073】
<複合樹脂粒子のTEM観察>
測定サンプル(複合樹脂粒子)を、エポキシ樹脂を用いて包埋固定し、次に、四酸化ルテニウム(RuO4)を用いて染色処理を行い、ウルトラミクロトームを使用して、測定サンプルを薄膜化する。その後、透過型電子顕微鏡(H−7600(株)日立製作所製)を使用して、複合樹脂粒子表面および中心付近の構造を観察する。
【0074】
<発泡成形体の発泡倍率>
発泡成形体(成形後、50℃で4時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の重量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm
3)を求める。なお、倍数は密度の逆数、すなわち式(b)/(a)とする。
【0075】
<発泡成形体の曲げ強度>
発泡成形体の曲げ強度をJIS K7221−2:2006に記載の方法に準拠して測定する。
発泡成形体から縦25mm×横130mm×厚み20mm(片面スキン下側)の直方体形状の試験片を5個切り出し、23℃±2℃、湿度50±5%の条件で24時間放置する。この試験片を曲げ強度測定器(オリエンテック株式会社製、型式:UCT−10T)を用いて、下記の測定条件下で曲げ強度(MPa)を測定する。
(測定条件)
試験速度:10mm/分
支点間距離:100mm
たわみ量:50mm
加圧くさび:5R
支持台:5R
【0076】
<発泡成形体の50%圧縮応力>
JIS K7220:2006に準拠して測定する。
発泡成形体を縦50mm×横50mm×厚み25mmに切断加工した試験片を、圧縮速度10mm/分の条件で圧縮し、50%圧縮時の強度(MPa)を測定する。
【0077】
<総合評価>
得られた発泡成形体の評価結果、すなわち曲げ強度及び50%圧縮応力の結果から、下記の基準で総合評価する。
○:曲げ強度≧350kPa、50%圧縮応力≧300kPaを満たす
△:曲げ強度≧250kPa、50%圧縮応力≧200kPaを満たす
×:曲げ強度≧250kPa、50%圧縮応力≧200kPaを満たさない
【0078】
<発泡成形体の分子量分布Mw>
試料10mgにテトラヒドロフラン(THF)4mLを加えて密栓し、160℃で2時間溶解させたものを測定試料(抽出液)とし、ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量の測定と同様にしてGPC測定により分子量分布を測定し、予め測定して作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の重量平均分子量を求める。
また、得られた分子量分布のピーク分子量の高分子量側に少なくとも2個の変曲点により形成された上に凸なショルダー部の存在を確認する。
さらに、確認される場合には、ショルダー部のピークトップMpおよびその範囲(ショルダー部を形成する両端の変曲点の重量分子量)を、微分分子量分布を用いることにより算出し、分子量分布全体のショルダー部の重量分率(両端の変曲点の分子量間の重量分率:%)およびショルダー部を形成する低分子量側の変曲点から重量分子量60万までの重量分率を、上記算出方法により得られた分子量範囲を積分分子量分布曲線によりに変換することで求める。実施例では後者を求める(
図1参照)。
【0079】
(実施例1)
(種粒子の作製)
ポリプロピレン系樹脂PP1[MFR(230℃)7.0g/10分、溶融張力(230℃)2.0cN、株式会社プライムポリマー製、商品名:プライムポリプロ(フィルム)、銘柄:F−744NP]1900gと、ポリスチレン系樹脂PS1[Mw324×10
3、MFR(200℃)2.1g/10分、溶融張力(200℃)9.7cN、東洋スチレン株式会社製、商品名:トーヨースチロールGP、品種:HRM48N]100gとを、タンブラーミキサーに投入し、7分間混合した。
次いで、得られた樹脂混合物を押出機[TUNG TAI MACHINE WORKS社製、型式:SEG−09030]に供給して温度(樹脂温度)220℃で溶融混練し、溶融樹脂混合物を押出孔(孔数120個、孔径0.51mm)から押出孔1つあたりの押出速度2.2kg/mm
2・h、吐出量109kg/hの条件で押出し、水温50℃、カッター回転数3700rpmの条件で水中カット方式により造粒ペレット化することにより、ポリプロピレン系樹脂にポリスチレン系樹脂を5質量%含有させた球状のポリプロピレン系樹脂粒子(種粒子)を得た。このときの樹脂粒子を100粒あたり56mg(=ペレット質量56g/100粒)に調整した。
水中カット造粒開始から5時間後に、得られた種粒子の開口率、連結粒子及びヒゲ発生率を測定し、生産効率を評価した。それまで種粒子を温度23℃、2時間の条件に静置した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表1に示す。
【0080】
(第1の重合)
次いで、攪拌機付の容量5リットルのオートクレーブ(日東高圧株式会社製)に、得られた種粒子800gを入れ、水性媒体としての純水2000g、分散剤としてのピロリン酸マグネシウム10g及び界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5gを加え、撹拌して種粒子を水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後70℃に昇温して水性懸濁液を得た。
次いで、得られた水性懸濁液に、予め重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド0.8gを溶解させて調製しておいたスチレン単量体400gを30分掛けて滴下した。滴下終了後、30分間保持することで、種粒子中にスチレン単量体を含浸(吸収)させた。
次いで、反応系の温度を140℃に昇温し、この温度で2時間保持して、スチレン単量体を種粒子中で重合(第1の重合)させた。
【0081】
(第2の重合)
次いで、第1の重合の反応液を125℃に降温(冷却)し、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5gを加えた。その後、予め重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド4.5gを溶解させて調製しておいたスチレン単量体800gを4時間掛けて滴下し、種粒子中にスチレン単量体を含浸(吸収)させながら、スチレン単量体を種粒子中で重合(第2の重合)させた。
滴下終了後、反応系の温度を125℃で1時間保持し、その後、140℃に昇温し、この温度で2時間30分保持し、重合を完結させて複合樹脂粒子を得た。
得られた複合樹脂粒子の(a)粒子表面及び(b)粒子内部のTEM画像を
図2に示す。
【0082】
(発泡性粒子の作製)
次いで、複合樹脂粒子を含む混合液の温度を約60℃まで冷却し、オートクレーブから複合樹脂粒子(約2000g)を取り出した。
得られた複合樹脂粒子2,000gと水2リットルとを、再び攪拌機付の容量5リットルのオートクレーブに入れた。さらに、発泡剤としてブタン(n−ブタン:i−ブタン=7:3)300g(520mL、複合樹脂粒子100質量部に対して15質量部)をオートクレーブに注入した。注入後、混合液を70℃に昇温し、この温度で4時間攪拌を続けて発泡性粒子を得た。
その後、混合液を常温まで冷却し、オートクレーブから発泡性粒子を取り出し、脱水乾燥させた(約2000g)。
【0083】
(発泡粒子の作製)
次いで、発泡性粒子1,000gを、缶容量40リットルの予備発泡機(笠原工業株式会社製、型式:PSX40)に投入し、缶内にゲージ圧力0.03MPaの水蒸気を導入して加熱し、嵩密度0.024g/cm
3に予備発泡させて発泡粒子を得た。
【0084】
(発泡成形体の作製)
次いで、得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、400mm×300mm×50mmの内寸のキャビティを有する成形型のキャビティ内に充填した。
次いで、成形型に0.29MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡倍数40倍の発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体の曲げ強度及び50%圧縮応力を測定し、それらの結果を総合評価した。
また、GPCにより分子量分布を測定し、ピーク分子量の高分子側のショルダー部のピークトップの重量分子量Mp及び分子量分布全体のショルダー部を形成する低分子量側の変曲点から重量分子量60万までの重量分率(%)を測定した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表1に示す。また、GPCによる分子量分布を
図1に示す。
【0085】
(実施例2)
(種粒子の作製)において、ポリスチレン系樹脂PS1の代わりに耐熱のポリスチレン系樹脂PS2[Mw235×10
3、MFR(200℃)1.9g/10分、溶融張力(200℃)9.4cN、東洋スチレン株式会社製、商品名:トーヨースチロール高機能グレード、品種:T080]を用い、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)245℃、水温48℃及び吐出量107kg/hの条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表1に示す。
【0086】
(実施例3)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1の5質量%の代わりにカーボンブラックCB(三菱化学株式会社製、商品名:三菱カーボンブラック、銘柄:中級カラー(MCF)#900)100gを、ポリスチレン系樹脂PS1の代わりにポリスチレン系樹脂PP3[Mw312×10
3、MFR(200℃)1.8g/10分、溶融張力(200℃)8.9cN、東洋スチレン株式会社製、商品名:トーヨースチロールGP、品種:HRM26]を用い、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)232℃及び吐出量110kg/hの条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表1に示す。
【0087】
(実施例4)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1の代わりにポリプロピレン系樹脂PP2[MFR(230℃)10.0g/10分、溶融張力(230℃)3.1cN、サンアロマー株式会社製、商品名:クオリア、銘柄:CM645V]1800gを、ポリプロピレン系樹脂PP1の5質量%の代わりにカーボンブラックCB100gを用い、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)240℃、水温45℃及び吐出量113kg/hの条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表1に示す。
【0088】
(実施例5)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1とポリスチレン系樹脂PS1とカーボンブラックCBとを質量割合をそれぞれ80質量%、15質量%及び5質量%になるように配合し、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)235℃、水温42℃及び吐出量113kg/hの条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表1に示す。
【0089】
(実施例6)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1とポリスチレン系樹脂PS1とカーボンブラックCBとを質量割合をそれぞれ90質量%、5質量%及び5質量%になるように配合し、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)240℃、水温45℃及び吐出量110kg/hの条件に変え、(第1の重合)において種粒子及びスチレン単量体をそれぞれ400g及び200g用い、(第2の重合)においてスチレン単量体を1400g用いたこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表1に示す。
【0090】
(比較例1)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1のみを用い、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)230℃、水温45℃及び吐出量107kg/hの条件に変えること以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表2に示す。
また、GPCによる分子量分布を
図1に、得られた複合樹脂粒子の(a)粒子表面及び(b)粒子内部のTEM画像を
図3に示す。
【0091】
(比較例2)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1の5質量%の代わりにカーボンブラックCB100gを用い、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)230℃及び吐出量107kg/hの条件に変えること以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表2に示す。
【0092】
(比較例3)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1の代わりにポリプロピレン系樹脂PP3[MFR(230℃)2.0g/10分、溶融張力(230℃)7.3cN、サンアロマー株式会社製、商品名:クオリア、銘柄:CS335N]1800g、ポリプロピレン系樹脂PP1の5質量%の代わりにカーボンブラックCB100gを用い、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)250℃及び吐出量90kg/hの条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表2に示す。
【0093】
(比較例4)
(種粒子の作製)において、ポリプロピレン系樹脂PP1の5質量%の代わりにカーボンブラックCB100gを、ポリスチレン系樹脂PS1の代わりにポリスチレン系樹脂PP4[Mw224×10
3、MFR(200℃)5.2g/10分、溶融張力(200℃)7.0cN、東洋スチレン株式会社製、商品名:トーヨースチロールGP、品種:HRM12]を用い、かつ溶融混練の温度(樹脂温度)240℃、水温45℃及び吐出量100kg/hの条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、中間品を含めてそれらの物性を評価した。
それらの結果を、原料及び製造条件と共に表2に示す。
得られた発泡成形体のGPCによる分子量分布測定では、ショルダー部が確認できたが、そのピークトップMpはピーク分子量の低分子量側に存在した。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
表1及び2の結果から、次のことがわかる。
・実施例1〜6の発泡成形体は、良好な成形性を維持しつつ、従来の発泡成形体よりも更に高い剛性、すなわち優れた曲げ強度及び圧縮応力を有する。これは、溶融混練時に特定のMFRおよび溶融張力を持ったポリスチレン系樹脂を配合することで、複合樹脂粒子中にポリスチレン系樹脂のドメインが形成され、優れた機械強度の発現に寄与していると考えられる。また、従来の複合樹脂粒子の特徴である特異なモルフォロジーを維持することの出来る配合量であることも優れた物性を有する理由となる。
【0097】
また、
図1から、実施例1の発泡成形体は、分子量分布のピーク分子量の高分子量側の重量分子量30万〜45万の範囲に上に凸なショルダー部を有することがわかる。
さらに、
図2および3から、実施例1の複合樹脂粒子では、ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂との海島構造のモルフォロジーが球状でなく歪な形であり、比較例1の複合樹脂粒子では、そのようなモルフォロジーがないことがわかる。
これらのことは、分子量分布のショルダー部に該当するポリスチレン系樹脂がモルフォロジーを変化させている要因であり、その影響により複合樹脂発泡成形体の機械物性が優れたものとなっていると考えられる。