特許第6404167号(P6404167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404167ハニカムコアの側壁を選択的に切断するために用いられる自動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404167
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】ハニカムコアの側壁を選択的に切断するために用いられる自動装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 15/22 20060101AFI20181001BHJP
   B23D 23/00 20060101ALI20181001BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B23Q15/22
   B23D23/00 Z
   G05B19/19 H
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-75741(P2015-75741)
(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-202564(P2015-202564A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】14/254,500
(32)【優先日】2014年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ ペロン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ヘイデン オルバーグ
(72)【発明者】
【氏名】マーク アラン ネグリー
【審査官】 田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4776034(JP,B2)
【文献】 特開2002−018629(JP,A)
【文献】 特開平04−057675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 15/22
B23D 23/00
G05B 19/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカムコア(208)の側壁(216)を選択的に切断するために用いられる自動装置(200)であって、
エンドエフェクタ(206)と、
前記エンドエフェクタ(206)に接続された切断ツール(202)と、を含み、前記エンドエフェクタ(206)は、前記ハニカムコア(208)の概略的ジオメトリ(228)に基づいて、前記切断ツール(202)を初期切断位置(230)に配置するように構成されており、
前記エンドエフェクタ(206)に前記初期切断位置(230)を変更することを指示するように構成された適応ビジョンシステム(224)を更に含み、当該指示は、前記適応ビジョンシステム(224)によって取得される前記ハニカムコア(208)の実際のジオメトリに基づいて行われるようになっており
前記切断ツール(202)は、前記ハニカムコア(208)の少なくとも1つのコアセル(210)に隙間嵌めで挿入されるようにサイズが決定されているガイド部(212)を含んでいる、自動装置(200)。
【請求項2】
ハニカムコア(208)の側壁(216)を選択的に切断するために用いられる自動装置(200)であって、
エンドエフェクタ(206)と、
前記エンドエフェクタ(206)に接続された切断ツール(202)と、を含み、前記エンドエフェクタ(206)は、前記ハニカムコア(208)の概略的ジオメトリ(228)に基づいて、前記切断ツール(202)を初期切断位置(230)に配置するように構成されており、
前記エンドエフェクタ(206)に前記初期切断位置(230)を変更することを指示するように構成された適応ビジョンシステム(224)を更に含み、当該指示は、前記適応ビジョンシステム(224)によって取得される前記ハニカムコア(208)の実際のジオメトリに基づいて行われるようになっており、
前記エンドエフェクタ(206)は、前記ハニカムコア(208)に対する所定のツールパス(226)に沿って、前記切断ツール(202)を移動させるように構成されており、前記所定のツールパス(226)は、前記ハニカムコア(208)のうちの選択された側壁(216)に対応する複数の初期切断位置(230)を含んでおり
前記適応ビジョンシステム(224)は、前記複数の初期切断位置(230)の各々を、前記適応ビジョンシステム(224)によって取得される前記ハニカムコア(208)の実際のジオメトリに基づいて変更することを指示するように構成されている、自動装置(200)。
【請求項3】
前記適応ビジョンシステム(224)は、更に
前記ハニカムコア(208)の前記概略的ジオメトリ(228)と、前記実際のジオメトリとの間のコアセル・オフセットを決定し、
少なくとも部分的に前記コアセル・オフセットに基づいて、前記切断ツール(202)の前記初期切断位置(230)を変更するように構成され、前記初期切断位置(230)は、前記切断ツール(202)を最終切断位置(232)に配置するために変更される、請求項1又は2に記載の自動装置。
【請求項4】
前記切断ツール(202)は、前記ガイド部(212)に摺動可能に関連づけられたカッター(220)を更に含み、前記ガイド部(212)は、前記ハニカムコア(208)の外面(222)に対して略法線方向に前記カッター(220)を誘導するように構成されている、請求項1に記載の自動装置(200)。
【請求項5】
前記適応ビジョンシステム(224)は、前記少なくとも1つのコアセル(210)に対して、前記ガイド部(212)を略整列させるように構成されている、請求項4に記載の自動装置(200)。
【請求項6】
前記ガイド部(212)は、前記少なくとも1つのコアセル(210)と略相補的な断面形状を有する、請求項4に記載の自動装置(200)。
【請求項7】
前記エンドエフェクタ(206)は、その中心軸(234)を中心として回転可能であり、当該回転により、ガイド部(212)を前記少なくとも1つのコアセル(210)に対して略整列させる、請求項4に記載の自動装置(210)。
【請求項8】
ハニカムコア(208)の側壁(216)を選択的に切断する方法であって、前記側壁(216)は、切断ツール(202)と、適応ビジョンシステム(224)とを含む自動装置(200)を用いて選択的に切断され、
前記ハニカムコア(208)の概略的ジオメトリ(228)に基づいて、前記切断ツール(202)を初期切断位置(230)に配置することと、
前記適応ビジョンシステム(224)を用いて、前記ハニカムコア(208)の実際のジオメトリを取得することと、
前記適応ビジョンシステム(224)によって取得された前記ハニカムコア(208)の前記実際のジオメトリに基づいて、前記切断ツール(202)の前記初期切断位置(230)を変更することと、
前記ハニカムコア(208)の少なくとも1つのコアセル(210)に、前記切断ツール(202)のガイド部(212)を、隙間嵌めで挿入することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記ハニカムコア(208)の前記概略的ジオメトリ(228)と、前記実際のジオメトリとの間のコアセル・オフセットを決定することと、
少なくとも部分的に前記コアセル・オフセットに基づいて、前記初期切断位置(230)を変更し、前記切断ツール(202)を最終切断位置(232)に配置することと、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ガイド部(212)のカッタースロット(218)内でカッター(220)を並進移動させて、前記側壁(216)を選択的に切断することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ガイド部(212)を挿入することは、前記適応ビジョンシステム(224)を用いて、前記少なくとも1つのコアセル(210)に対して、前記ガイド部(212)を略整列させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
カッター(220)を並進移動させることは、前記ハニカムコア(208)の外面(222)に対して略法線方向に前記カッター(220)を並進移動させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ハニカムコア(208)の側壁(216)を選択的に切断する方法であって、前記側壁(216)は、切断ツール(202)と、適応ビジョンシステム(224)とを含む自動装置(200)を用いて選択的に切断され、
前記ハニカムコア(208)の概略的ジオメトリ(228)に基づいて、前記切断ツール(202)を初期切断位置(230)に配置することと、
前記適応ビジョンシステム(224)を用いて、前記ハニカムコア(208)の実際のジオメトリを取得することと、
前記適応ビジョンシステム(224)によって取得された前記ハニカムコア(208)の前記実際のジオメトリに基づいて、前記切断ツール(202)の前記初期切断位置(230)を変更することと、を含み、
前記エンドエフェクタ(206)は、前記ハニカムコア(208)に対する所定のツールパス(226)に沿って、前記切断ツール(202)を移動させ、その際に、前記所定のツールパス(226)は、前記ハニカムコア(208)のうちの選択された側壁(216)に対応する複数の初期切断位置(230)を含んでおり、
前記適応ビジョンシステム(224)は、前記複数の初期切断位置(230)の各々を、前記適応ビジョンシステム(224)によって取得される前記ハニカムコア(208)の実際のジオメトリに基づいて変更することを指示する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、概してハニカム構造体に関し、より具体的には、ハニカム構造体の側壁を自動的に切断する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム構造体は、ハニカムコアとも呼ばれ、典型的には、複数の六角形セルを含む所望の形状に形成された構造体である。ハニカム構造体は、典型的には、金属、紙、及び/又は複合材料などの薄く扁平な基礎材料から製造される。扁平な基礎材料は、細長いストリップ状に切断されて、半六角形の山部と谷部の輪郭を有するストリップ状に折り曲げられるか、又は、折り畳まれる。例えば、細長いストリップ状の材料は、一定間隔で折り目をつけてもよい。規則的な六角形セルを形成するためには、ストリップの端部と略平行に複数の折り線をつけ、このストリップを、一方向に60°の角度で折り目に沿って2度折り畳み、次に、反対方向に、2度折り畳む作業を交互に連続して行う。このように折り畳んだストリップ同士を、接合剤、スポット溶接、ろう付け、又は他の既知の接合方法を用いて接合し、一連の六角形状のセルを有する構造体を形成することにより、扁平なハニカムコア構造体を形成する。
【0003】
少なくともいくつかの既知の航空機の組立品においては、エンジン収容部の防音パネルにハニカム構造体が組み込まれ、このハニカム構造体が、エンジン音を低減するために用いられている。航空機の組立品に用いられる既知の防音パネルは、概してサイズが大きい。単一の大きい防音パネルの製造には、通常、複数のハニカム構造体を互いに接合することが求められる。例えば、より大きいサイズの防音パネルを製造するために、個々のハニカム構造体を所望の形状及び輪郭を有するように切断して、これらのハニカム構造体同士をそれぞれの側壁フラップで接合することにより、ハニカム構造体を互いに継ぎ合わせることが度々行われる。一般的に、ハニカム構造体は、その側壁フラップが所定長を有するように、正確に切断しなければならない。しかしながら、ハニカム構造体を正確に切断する作業は、多くの時間と労力を必要とする。さらに、ハニカム構造体の製造工程では、ハニカム構造体にばらつきが生じるため、所定長を有するように側壁フラップを形成することが困難である。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、ハニカムコアの側壁を選択的に切断するために用いられる自動装置が提供される。上記装置は、エンドエフェクタと、エンドエフェクタに接続された切断ツールとを備え、エンドエフェクタは、ハニカムコアの概略的ジオメトリに基づいて、切断ツールを初期切断位置に配置するように構成されている。上記装置は、初期切断位置を変更することを、エンドエフェクタに指示するように構成された適応ビジョンシステムを更に備え、当該指示は、適応ビジョンシステムによって取得されるハニカムコアの実際のジオメトリに基づいて行われる。
【0005】
他の態様では、ハニカムコアの側壁を選択的に切断するために用いられる自動装置のエンドエフェクタが提供される。上記エンドエフェクタは、エンドエフェクタに接続された切断ツールを備え、エンドエフェクタは、ハニカムコアの概略的ジオメトリに基づいて、切断ツールを初期切断位置に配置するように構成されている。上記エンドエフェクタは、初期切断位置を変更することを、エンドエフェクタに指示するように構成された適応ビジョンシステムを更に備え、当該指示は、適応ビジョンシステムによって取得されるハニカムコアの実際のジオメトリに基づいて行われる。
【0006】
さらに別の態様では、ハニカムコアの側壁を選択的に切断する方法が提供される。側壁は、切断ツールと、適応ビジョンシステムとを含む自動装置を用いて選択的に切断される。上記方法は、ハニカムコアの概略的ジオメトリに基づいて、切断ツールを初期切断位置に配置することと、適応ビジョンシステムを用いて、ハニカムコアの実際のジオメトリを取得することと、適応ビジョンシステムによって取得されたハニカムコアの実際のジオメトリに基づいて、切断ツールの初期切断位置を変更することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的な航空機製造及び保守方法を示すフロー図である。
図2】例示的な航空機を示すブロック図である。
図3】例示的な自動装置を示す斜視図である。
図4図3に示される自動装置と共に用いることができる例示的な切断ツール202を示す拡大斜視図である。
図5】ハニカムコアを示す模式図である。
図6図5に示されるハニカムコアを、領域6に沿って切り取って示す模式図である。
図7図6に示されるハニカムコアを選択的に切断した後の状態にて示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載される実施例は、ハニカムコアの側壁を選択的に切断するために用いられる自動装置に関する。例示する実施例において、自動装置は、切断ツールと、ハニカムコアに対する切断ツールの所定のツールパス(tool path)について、当該ツールパスを変更することを容易にするための適応ビジョンシステム(adaptive vision system)とを含む。特に、切断ツールの所定のツールパスは、ハニカムコアの概略的なジオメトリ(geometry)に沿って、複数の初期切断位置を決定するようにプログラムされている。所定のツールパスは、所望のジオメトリを有するハニカムコアを形成するように選択されている。ハニカムコアの製造には不正確性が伴うため、ハニカムコアの概略的なジオメトリと実際のジオメトリとの間にコアセル・オフセット(core cell offset)が生じ、この結果、所定のツールパスに沿って切断されたハニカムコアが、所望のジオメトリと略一致する可能性が低くなる。したがって、適応ビジョンシステムは、ハニカムコアの側壁をより正確に切断するために、初期切断位置を変更することを容易にする。
【0009】
図面を参照すると、本開示の実施例は、航空機の製造及び保守方法100(図1に示す)に関連して、航空機102(図2に示す)に対して適用することもできる。生産開始前の工程として、仕様決定及び設計104を含み、航空機102のデータは、製造工程で用いられ、機体に関連する他の材料が、調達106される。生産中の工程として、航空機102の部品及び小組立品の製造108と、システムインテグレーション110とが行われ、その後、航空機102に対して、認証及び納品112の工程が行われる。機体の認証が完了し、その結果が十分に満足いくものであれば、航空機102は就航114に入る。顧客による運航中は、航空機102は、例えば、改良、再構成、及び/又は改修を含む定期的な整備及び保守116に組み込まれる。別の実施例において、製造及び保守方法100は、航空機以外の輸送体を介して実施されてもよい。
【0010】
航空機の製造及び/又は保守100と関連する各部分及び工程は、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)により実行又は完遂することができる。説明のために言及すると、システムインテグレーターは、航空機メーカー及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0011】
図2に示すように、方法100により製造された航空機102は、複数のシステム120及び内装122を有する機体118を含むことができる。高水準システム120の例としては、1つ又はそれ以上の推進系124、電気系126、油圧系128、及び/又は環境系130が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでいてもよい。
【0012】
本明細書で具現化される装置及び方法は、方法100の1つ又はそれ以上のいずれの段階でも用いることができる。例えば、部品の生産工程108に対応する部品又は小部品は、航空機102の運航中に生産される部品又は小部品と同様の方法で組み立て又は製造することができる。また、1つ又はそれ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、或はそれらの組み合わせを、例えば、実質的に航空機102の組み立て速度を速めたり、組み立てコストを削減したりすることによって、生産工程108及び110で用いてもよい。同様に、1つ又はそれ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、或はそれらの組み合わせを、航空機102の保守又は整備中に、例えば、定例の整備及び保守116に用いることもできる。
【0013】
本明細書で用いられる「航空機」は、飛行機、無人航空機(UAV)、グライダー、ヘリコプター、及び/又は、上空を飛行するその他の物体を含み、特に限定されない。更に、別の実施例において、本明細書に記載されている航空機の製造及び保守方法は、どの製造工程及び/又は保守工程でも用いることができる。
【0014】
図3は、例示的な自動装置200を示す斜視図であり、図4は、自動装置200と共に用いることができる例示的な切断ツール202を示す拡大斜視図である。例示的な実施例では、自動装置200は、ロボットアーム204と、ロボットアーム204に接続されたエンドエフェクタ206と、エンドエフェクタ206に接続された切断ツール202とを含む。ロボットアーム204及びエンドエフェクタ206は、ハニカムコア208などのワークピース(図示略)に対する切断ツール202の移動を容易にする。ハニカムコア208は、複数の略六角形のコアセル210を画定する側壁216を含む。これに代えて、ハニカムコア208は、コアセル210が任意の断面形状を有するように製造されてもよい。
【0015】
切断ツール202は、ガイド部212を含み、このガイド部は、ハニカムコア208の少なくとも1つのコアセル210に隙間嵌めで挿入可能なサイズに形成されている。具体的には、ガイド部212は、挿入可能なサイズに形成され、個々のコアセル210と略相補的である断面形状を有する複数の挿入部214を含む。ガイド部212をコアセル210に挿入することにより、コアセル210の側壁216の切断時に、切断ツール202が安定し易くなる。ガイド部212は、カッター220を内部に受け入れ可能なサイズのカッタースロット218をさらに含む。ガイド部212は、ハニカムコアの外面222(図4における上面)に対して略法線方向にカッター220を誘導することを容易にする。より具体的には、カッタースロット218が、外面222に対して略法線方向に延伸することにより、コアセル210の側壁216が当該略法線方向に切断される。カッター220は、ガイド部212に摺動可能に接続されており、より具体的には、側壁216を選択的に切断するために、カッタースロット218内を並進移動することができる。カッター220は、本明細書に記載されるように、切断ツール202を機能させることができれば、どのような切断機構であってもよい。例示的な切断機構は、限定するものではないが、超音波切断機構を含む。別の実施例において、カッター220を、エンドエフェクタ206に直接接続することにより、ガイド部212を省略してもよい。
【0016】
例示的な実施例では、自動装置200は、ロボットアーム204及び/又はエンドエフェクタ206と通信可能に接続された適応ビジョンシステム224を含む。以下でより詳細に説明するが、適応ビジョンシステム224は、ハニカムコア208の実際のジオメトリに関するデータを取得し、ロボットアーム204及び/又はエンドエフェクタ206に対して、ハニカムコア208に対する切断ツール202の所定のツールパス(図5〜7に示される)を選択的に変更するように指示する。
【0017】
図5は、ハニカムコア208(図4に示される)を示す模式図であり、図6は、領域6に沿って切り取ったハニカムコア208を示す模式図であり、図7は、選択的に切断された後のハニカムコア208を示す模式図である。例示的な実施例において、自動装置200(図3に示される)のための切断プログラムは、切断ツール202(図4に示される)のための所定のツールパス226を含んでおり、このツールパスは、ハニカムコア208の理論上の及び/又は概略的なジオメトリ228に重ね合わされている。所定のツールパス226は、ハニカムコア208を所定の形状に形成するために選択される。例えば、所定のツールパス226は、図面では略円形を有するように示されているが、これに代えて、ハニカムコア208をいずれかの適切な形状に形成するために選択されてもよいし、ハニカムコア208をいずれかの適切なジオメトリを有するように選択されてもよい。所定のツールパス226は、切断ツール202のための複数の初期切断位置230を含み、これらの位置は、所定のツールパス226に沿って、所定のツールパス226と側壁216との交点上にある。
【0018】
動作時には、切断プログラムは、ハニカムコア208の概略的ジオメトリ228に基づき、所定のツールパス226に沿って、切断ツール202を第1の初期切断位置230に配置するようにロボットアーム204及び/又はエンドエフェクタ206に指示する(それぞれ図3に示されている)。その後、適応ビジョンシステム224(図3に示される)は、ハニカムコア208の実際のジオメトリを取得する。具体的には、適応ビジョンシステム224は、第1の初期切断位置230に隣接するコアセル210に対して、ハニカムコア208の概略的ジオメトリ228と実際のジオメトリとの間のコアセル・オフセット(図示略)を決定することを容易にする。したがって、切断プログラムは、コアセル・オフセットを用いることにより、エンドエフェクタ206が、ハニカムコア208に対して、切断ツール202を適切に配向させたり、当該切断ツールを実質的に位置決めしたりすることができる。より具体的には、例示的な実施例において、コアセル・オフセットを用いることにより、第1の初期切断位置230を変更して、切断ツール202を、第1の最終切断位置232に位置決めすることができ、さらに、ガイド部212がコアセル210に挿入されたときに、当該ガイド部を適切に配向させることができる。一実施例において、エンドエフェクタ206は、その中心軸234(図3に示される)を中心として回転可能であり、この回転により、ガイド部212をコアセル210に対して略整列させ、カッタースロット218(図4に示される)を第1の最終切断位置232に実質的に位置決めすることができる。次に、カッター220は、カッタースロット218(どちらも図4に示されている)内を並進移動することにより、ハニカムコア208を切断して第1の切断側壁236を形成する。
【0019】
いくつかの実施例では、ハニカムコア208に対する切断ツール202の配向及び/又は位置決めは、少なくとも部分的には、第1の切断側壁236が所定長Lを有するようにハニカムコア208を切断することにも基づいて行われている。所定長Lは、第1の切断側壁236が、追加のハニカム構造体(図示略)に効果的に接続されるために十分な表面積を有するように選択される。例えば、例示する実施例では、適応ビジョンシステム224は、第1の初期切断位置230を変更して、切断ツール202を第1の最終切断位置232に位置決めすることを容易にしており、この結果、側壁216が、隣接するコアセル210同士の交点(図示略)で切断される。したがって、第1の最終切断位置232でハニカムコア208を切断すると、切断側壁236の表面積を増大させることが容易になる。
【0020】
第1の最終切断位置232において側壁216が切断されると、切断ツール202は、ハニカムコア208から外され、ロボットアーム204及び/又はエンドエフェクタ206は、切断ツール202を、第2の初期切断位置238に配置する。次に、適応ビジョンシステム224は、ハニカムコア208の実際のジオメトリを取得する。また、切断プログラムは、コアセル・オフセットを用いることにより、エンドエフェクタ206が、ハニカムコア208に対して、切断ツール202を適切に配向したり、当該切断ツールを実質的に位置決めしたりすることができるようにし、さらに、切断プログラムは、コアセル・オフセットを用いて、第2の初期切断位置238を変更して、切断ツール202を第2の最終切断位置240に位置決めする。次に、カッター220は、カッタースロット218内を並進移動して、ハニカムコア208を切断して、第2の切断側壁242を形成する。この処理は、ハニカムコア208の所定の形状及び/又はジオメトリが得られるまで繰り返される。
【0021】
本明細書では、ハニカムコア208の側壁216を選択的に切断する方法がさらに提供される。切断ツール202と、適応ビジョンシステム224とを含む自動装置200を用いて、側壁216が選択的に切断される。上記方法は、ハニカムコア208の概略的ジオメトリ228に基づいて、前記切断ツール202を初期切断位置230に配置することと、適応ビジョンシステム224を用いて、ハニカムコア208の実際のジオメトリを取得することと、適応ビジョンシステム224によって取得されたハニカムコア208の実際のジオメトリに基づいて、切断ツール202の初期切断位置230を変更することと、を含む。
【0022】
上記方法は、ハニカムコア208の概略的ジオメトリ228と、実際のジオメトリとの間のコアセル・オフセットを決定することと、少なくとも部分的にコアセル・オフセットに基づいて、初期切断位置230を変更し、切断ツール202を最終切断位置232又は240に配置することと、を更に含む。更に、上記方法は、ハニカムコア208の少なくとも1つのコアセル210に、切断ツール202のガイド部212を、隙間嵌めで挿入することと、ガイド部212のカッタースロット218内でカッター220を並進移動させて、側壁216を選択的に切断することと、を含む。一実施例において、ガイド部212を挿入することは、適応ビジョンシステム224を用いて、少なくとも1つのコアセル210に対して、ガイド部を位置合わせすることを含む。他の実施例において、カッター220を並進移動させることは、ハニカムコア208の外面222に対して略法線方向にカッター220を並進移動させることを含む。
【0023】
更に、本開示は、以下の付記に係る実施形態も含むものとする。
【0024】
付記1.ハニカムコアの側壁を選択的に切断するために用いられる自動装置であって、エンドエフェクタと、エンドエフェクタに接続されるとともに、エンドエフェクタにより、ハニカムコアの概略的ジオメトリに基づいて、初期切断位置に配置されるように構成された切断ツールと、エンドエフェクタに前記初期切断位置を変更することを指示するように構成された適応ビジョンシステムと、を含み、当該指示は、適応ビジョンシステムによって取得されるハニカムコアの実際のジオメトリに基づいて行われる、自動装置。
【0025】
付記2.エンドエフェクタは、ハニカムコアに対する所定のツールパスに沿って、切断ツールを移動させるように構成されており、所定のツールパスは、複数の初期切断位置を含む、付記1に記載の自動装置。
【0026】
付記3.適応ビジョンシステムは、更にハニカムコアの概略的ジオメトリと、実際のジオメトリとの間のコアセル・オフセットを決定し、少なくとも部分的にコアセル・オフセットに基づいて、切断ツールの初期切断位置を変更するように構成され、初期切断位置は、切断ツールを最終切断位置に配置するために変更される、付記1に記載の自動装置。
【0027】
付記4.切断ツールは、ハニカムコアの少なくとも1つのコアセルに隙間嵌めで挿入されるようにサイズが決定されているガイド部と、ガイド部に摺動可能に関連づけられたカッターと、を含み、ガイド部は、ハニカムコアの外面に対して略法線方向にカッターを誘導するように構成されている、付記1に記載の自動装置。
【0028】
付記5.適応ビジョンシステムは、少なくとも1つのコアセルに対して、ガイド部を略整列させるように構成されている、付記4に記載の自動装置。
【0029】
付記6.ガイド部は、少なくとも1つのコアセルと略相補的な断面形状を有する、付記4に記載の自動装置。
【0030】
付記7.エンドエフェクタは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該回転により、ガイド部を少なくとも1つのコアセルに対して略整列させる、付記4に記載の自動装置。
【0031】
付記8.切断ツールは、超音波切断ツールを含む、付記1に記載の自動装置。
【0032】
付記9.ハニカムコアの側壁を選択的に切断するために用いられる自動装置のエンドエフェクタであって、エンドエフェクタに接続されるとともに、エンドエフェクタにより、ハニカムコアの概略的ジオメトリに基づいて、初期切断位置に配置されるように構成された切断ツールと、、エンドエフェクタに前記初期切断位置を変更することを指示するように構成された適応ビジョンシステムと、を含み、当該指示は、適応ビジョンシステムによって取得されるハニカムコアの実際のジオメトリに基づいて行われる、エンドエフェクタ。
【0033】
付記10.適応ビジョンシステムは、更に、ハニカムコアの概略的ジオメトリと、実際のジオメトリとの間のコアセル・オフセットを決定し、少なくとも部分的にコアセル・オフセットに基づいて、切断ツールの初期切断位置を変更するように構成され、初期切断位置は、切断ツールを最終切断位置に配置するために変更される、付記9に記載のエンドエフェクタ。
【0034】
付記11.切断ツールは、ハニカムコアの少なくとも1つのコアセルに隙間嵌めで挿入されるようにサイズが決定されているガイド部と、ガイド部に摺動可能に関連づけられたカッターと、を含み、ガイド部は、ハニカムコアの外面に対して略法線方向にカッターを誘導するように構成されている、付記9に記載のエンドエフェクタ。
【0035】
付記12.適応ビジョンシステムは、少なくとも1つのコアセルに対して、ガイド部を略整列させるように構成されている、付記11に記載のエンドエフェクタ。
【0036】
付記13.ガイド部は、少なくとも1つのコアセルと略相補的な断面形状を有する、付記11に記載のエンドエフェクタ。
【0037】
付記14.エンドエフェクタは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該回転により、ガイド部を少なくとも1つのコアセルに対して略整列させる、付記11に記載のエンドエフェクタ。
【0038】
付記15.切断ツールは、超音波切断ツールを含む、付記9に記載のエンドエフェクタ。
【0039】
付記16.ハニカムコアの側壁を選択的に切断する方法であって、側壁は、切断ツールと、適応ビジョンシステムとを含む自動装置を用いて選択的に切断され、ハニカムコアの概略的ジオメトリに基づいて、切断ツールを初期切断位置に配置することと、適応ビジョンシステムを用いて、ハニカムコアの実際のジオメトリを取得することと、適応ビジョンシステムによって取得されたハニカムコアの実際のジオメトリに基づいて、切断ツールの初期切断位置を変更することと、を含む、方法。
【0040】
付記17.ハニカムコアの概略的ジオメトリと、実際のジオメトリとの間のコアセル・オフセットを決定することと、少なくとも部分的にコアセル・オフセットに基づいて、初期切断位置を変更し、切断ツールを最終切断位置に配置することと、を更に含む、付記16に記載の方法。
【0041】
付記18.ハニカムコアの少なくとも1つのコアセルに、切断ツールのガイド部を、隙間嵌めで挿入することと、ガイド部のカッタースロット内でカッターを並進移動させて、側壁を選択的に切断することと、を更に含む、付記16に記載の方法。
【0042】
付記19.ガイド部を挿入することは、適応ビジョンシステムを用いて、少なくとも1つのコアセルに対して、ガイド部を略整列させることを含む、付記18に記載の方法。
【0043】
付記20.カッターを並進移動させることは、ハニカムコアの外面に対して略法線方向にカッターを並進移動させることを含む、付記18に記載の方法。
【0044】
本明細書に記載される実施例は、ハニカムコアの側壁を選択的に切断する自動装置に関する。自動装置は、切断ツールと、ハニカムコアに対する切断ツールの所定のツールパスについて、当該ツールパスを変更することを容易にするための適応ビジョンシステムとを含む。より具体的には、適応ビジョンシステムは、ハニカムコアの実際のジオメトリを取得して、ハニカムコアの実際のジオメトリに基づいて、所定のツールパスを変更することを容易にする。ハニカムコアの側壁は、追加のハニカム構造体と効果的に接続するように、正確に切断しなければならないため、本明細書に記載される自動装置は、より時間効率よく、正確に、側壁を選択的に切断することを容易にする。
【0045】
本明細書では、実施例を用いることによって、ベストモードを含め様々な実施形態を開示しており、さらに、装置又はシステムの製造及び使用、並びに、組み込まれた方法の実行を含めて、当業者が様々な実施形態を実行することができるようにしている。本開示の特許を求める範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が思い付く他の実施例を含み得る。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構成要素を有する場合、あるいは、特許請求の範囲の文言とは僅かな相違しか有しない均等の構成要素を含む場合に、特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7