特許第6404170号(P6404170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6404170-土木用資材製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404170
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】土木用資材製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 3/04 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   E01C3/04
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-76200(P2015-76200)
(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公開番号】特開2016-196747(P2016-196747A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2017年6月29日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598113254
【氏名又は名称】株式会社フクユー緑地
(73)【特許権者】
【識別番号】500305380
【氏名又は名称】株式会社シーマコンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】栗山 和道
(72)【発明者】
【氏名】中島 観司
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−181456(JP,A)
【文献】 特開2002−104886(JP,A)
【文献】 特開2002−146708(JP,A)
【文献】 特開2013−140021(JP,A)
【文献】 特開2002−363904(JP,A)
【文献】 米国特許第05389702(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料である骨材を粒径5mm以下の小径骨材と、粒径5mmを超える大径骨材とに分級する工程と、前記小径骨材と固化材と団粒化剤と水とを混合して前記小径骨材と前記固化材とが立体的に結合して形成された連続した空隙を有する団粒物を含む混合物を形成する工程と、前記混合物が形成された後、前記混合物に前記大径骨材を混合する工程と、を備えた土木用資材製造方法。
【請求項2】
前記骨材が、砕石、再生コンクリート、再生クラッシャーランのうちの1以上である請求項記載の土木用資材製造方法。
【請求項3】
前記団粒化剤が、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含むものである請求項または記載の土木用資材製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、園路、駐車場あるいは遊歩道などの舗装構造あるいはブロック体などの原材料並びに路盤材、貯水材などとして使用可能な土木用資材に関する。
【背景技術】
【0002】
透水性、保水性を有する舗装構造を構築する技術については、従来、様々な提案が行われているが、本発明に関連するものとして、特許文献1記載の「舗装構造」がある。特許文献1には、砕石、固化材、団粒化剤及び水の混合物を地盤上に打設し、敷き均して、転圧を行った後、静置することにより、固化した表層を有する舗装構造を形成する技術が記載されている。
【0003】
特許文献1記載の「舗装構造」においては、時間の経過に伴って固化した表層中に、連続した空隙を有し、比較的高強度の団粒構造が存在するので、透水性及び保水性を有し、施工後の遊び砂が少なく、寒冷期に表面剥離が発生し難い舗装構造を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−181456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の「舗装構造」の施工過程においては、混合容器内に、砕石、固化材、団粒化剤及び水を投入して撹拌して形成された混合物を地盤上に打設しているが、このような混合物を形成する際に添加される団粒化剤の分量は、混合物の体積の大部分を占める砕石の総重量に応じて左右される。
【0006】
一方、本願発明者の研究によれば、前述した混合物中において、団粒化剤による団粒構造の形成に寄与しているのは比較的小さな粒径の砕石であって、粒径の大きな砕石は団粒化に寄与していないことが判明している。
【0007】
しかしながら、実際に使用される砕石の粒径にはバラつきがあるため、砕石の総重量に応じて団粒化剤の添加量を決めた場合、団粒構造の形成に寄与しない比較的大径の砕石に対しても団粒化剤が消費されていることになり、団粒化剤が無駄になっている面がある。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、比較的少ない団粒化剤により、透水性及び保水性を兼備した団粒構造を形成することができる土木用資材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の土木用資材製造方法により製造された土木用資材は、粒径5mm以下の小径骨材、固化材、団粒化剤及び水を混合して形成された、前記小径骨材と前記固化材とが立体的に結合して形成された連続した空隙を有する団粒物を含む混合物に、粒径5mmを超える大径骨材を混合して形成したことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記小径骨材及び前記大径骨材は、砕石、再生コンクリート、再生クラッシャーランのうちの1以上であることが望ましい。
【0011】
また、前記団粒化剤は、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含むものであることが望ましい。
【0012】
次に、本発明の土木用資材製造方法は、原材料である骨材を粒径5mm以下の小径骨材と、粒径5mmを超える大径骨材とに分級する工程と、前記小径骨材と固化材と団粒化剤と水とを混合して前記小径骨材と前記固化材とが立体的に結合して形成された連続した空隙を有する団粒物を含む混合物を形成する工程と、前記混合物が形成された後、前記混合物に前記大径骨材を混合する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、前記骨材は、砕石、再生コンクリート、再生クラッシャーランのうちの1以上を使用することができる。
【0014】
また、前記団粒化剤は、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含むものを使用することができる。
【発明の効果】
【0015】
比較的少ない団粒化剤により、透水性及び保水性を兼備した団粒構造を形成することができる土木用資材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態である土木用資材製造方法を示す工程図である。
図2図1に示す工程を経て形成された土木用資材を使用して舗装構造を施工する事例を示す図である。
図3図2に示す施工事例によって形成された舗装構造を示す断面図である。
図4図3の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態である土木用資材製造方法及び土木用資材について説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の土木用資材製造方法においては、原材料である骨材(砕石11)を、篩(図示せず)を用いて、粒径5mm以下の小径骨材(小径砕石)11bと、粒径5mmを超える大径骨材(大径砕石)11aと、に分級する。一般的な砕石11の粒径分布は0.075mm〜40mm程度であるので、分級した後の小径砕石11bの粒径は0.075mm〜5mmであり、大径砕石11aの粒径は5mm超〜40mmである。また、1立方メートルの砕石11を篩で分級すると、大径砕石11aが0.7立方メートル程度、小径砕石11bが0.3立方メートル程度に分けられる。
【0019】
次に、混合容器20内に、小径砕石11b、固化材12、団粒化剤13及び水14を投入して十分に撹拌することによって混合物10を形成する。小径砕石11bに対する固化材12、団粒化剤13及び水14の混合量は施工条件に応じて設定するので、一律に決められないが、本実施形態では以下のように設定した。
小径砕石11b:1立方メートル(若しくは2,500kg)
固化材12:40kg〜100kg
団粒化剤13:1L〜1.5L
水12:60L〜90L
【0020】
団粒化剤13については特に限定しないが、本実施形態では、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含む薬剤である「有限会社グローバル研究所」の「SS−M1(商品名)」を使用した。
【0021】
混合容器20内の混合物10においては、団粒化剤13に含まれるイオンの作用により、小径砕石11bと固化材12とが立体的に結合した団粒構造が形成され、やがて混合物10中に連続した空隙を有する団粒物10x(図4参照)が形成される。また、図1に示すように、砕石11から、団粒構造の形成に寄与しない大径砕石11aを取り除いた、小径砕石11bを用いて混合物10を形成することにより、砕石11に対して団粒化剤13の使用していた場合に比べ、団粒化剤13の使用量を低減することができる。
【0022】
さらに、大径砕石11aを含まない小径砕石11bに固化材12、団粒化剤13及び水14を添加して混合物10を形成することにより、団粒化が促進され、多数の団粒物10xが形成されるので、後述する舗装構造40(図3参照)を形成した場合の透水性及び保水性の向上に有効である。
【0023】
次に、混合容器20内の混合物10に対し、大径砕石11a(2.33立方メートル)を投入して十分に撹拌すると、土木用資材30が形成される。土木用資材30は大小様々な粒径の団粒物10xと大径砕石11aが混じり合った、湿気の少ない、そぼろ状の物質である。土木用資材30は、放置しているだけでは、固化しないので、図1下方に示すように、所謂、野積み状態で保管することもできる。
【0024】
次に、図2図4に基づいて、土木用資材30を使用して施工された舗装構造40ついて説明する。図2に示すように、図1に示す工程で形成された土木用資材30を地盤21上に打設し、敷き均して、転圧した後、静置すると、時間の経過に伴って、図4に示すように、固化した表層41を有する舗装構造40が形成される。表層41中に含まれる大径砕石11aは、表層41を一定形状に保つ作用を発揮し、特に圧縮強度を高めることができる。
【0025】
図4に示すように、舗装構造40の表層41中には、大径砕石11a間の隙間の他に、連続空隙を有する大小様々な粒径の団粒物10xが存在しているので、優れた透水性及び保水性を発揮する。また、施工後の舗装構造40の表層41は固化材12(図1参照)の作用によって固化しているので、通常の外力程度では破壊されることはなく、表層41の表面41aは、遊び砂が少なく、寒冷期に表面剥離も生じ難い。なお、土木用資材30の用途は、舗装構造40に限定しないので、ブロック体などの材料として使用することもできる。
【0026】
本実施形態では、砕石11を、粒径5mmを境にして、大径砕石11aと小径砕石11bとに分級して使用しているが、これに限定するものではないので、その他の粒径サイズ、例えば、2.5mm〜10mmを境にして大径砕石11aと小径砕石11bとに分級して使用することもできる。また、本実施形態では、原材料である骨材として、砕石11を使用しているが、これに限定するものではないので、再生コンクリートや再生クラッシャーランなどを使用することもできる。
【0027】
なお、図1図4に基づいて説明した土木用資材40及びその製造方法は本発明の一例を示すものであり、本発明に係る土木用資材及びその製造方法は、前述した土木用資材40及びその製造方法に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
園路、駐車場あるいは遊歩道などの舗装構造あるいはブロック体などの原材料として、土木建設業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 混合物
11 砕石
11a 大径砕石
11b 小径砕石
11x 団粒物
12 固化材
13 団粒化剤
14 水
20 混合容器
30 土木用資材
40 舗装構造
41 表層
41a 表面
図1
図2
図3
図4