特許第6404178号(P6404178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404178有害物質を収納する気密容器及び容器開閉機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404178
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】有害物質を収納する気密容器及び容器開閉機構
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/36 20060101AFI20181001BHJP
   G21F 7/005 20060101ALI20181001BHJP
   B65D 85/82 20060101ALI20181001BHJP
   B65D 43/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   G21F9/36 501C
   G21F7/005
   B65D85/82
   B65D43/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-103208(P2015-103208)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-212071(P2016-212071A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391051360
【氏名又は名称】千代田メインテナンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 清司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】石井 光
【審査官】 右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−137477(JP,A)
【文献】 特公平07−095113(JP,B2)
【文献】 実開昭51−029159(JP,U)
【文献】 特開2011−149745(JP,A)
【文献】 特開昭50−022160(JP,A)
【文献】 特開平05−288894(JP,A)
【文献】 特開平06−084738(JP,A)
【文献】 特表2002−510788(JP,A)
【文献】 特開2002−267794(JP,A)
【文献】 実開昭58−043938(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0314774(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02613526(FR,A1)
【文献】 特開2007−290779(JP,A)
【文献】 仏国特許発明第1539845(FR,A)
【文献】 米国特許第05857308(US,A)
【文献】 特開平08−201587(JP,A)
【文献】 特開平06−193323(JP,A)
【文献】 特表2015−508460(JP,A)
【文献】 特開昭63−024198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/36
B65D 85/82
B65D 43/02
F16B 41/00
G21F 7/005
G21F 7/047
G21F 5/002− 5/005
G21F 5/06 − 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物質を含む空間を仕切る隔壁に容器を連結又は分離させるための容器開閉機構であって、
前記隔壁の開口部に設けた開口枠(2a)及び気密蓋(2b)と、
前記容器の開口部に設けた開口枠(3a)及び気密蓋(3b)と、
前記開口枠(2a)に軸方向に移動かつ回転可能に内装された両端オネジ(2c)と、
前記両端オネジ(2c)の両側に前記気密蓋(2b)及び前記開口枠(3a)を結合するために、前記両端オネジ(2c)と同軸上に、前記気密蓋(2b)に内装されたメネジ(2d)及び前記開口枠(3a)に内装されたメネジ(3d)と、
前記気密蓋(3b)に軸方向に移動かつ回転可能に内装された両端オネジ(3c)と、
前記両端オネジ(3c)の両側に前記気密蓋(2b)及び前記開口枠(3a)を結合するために、前記両端オネジ(3c)と同軸上に、前記気密蓋(2b)に内装された内装されたメネジ(2e)及び前記開口枠(3a)に内装されたメネジ(3e)と、を有し、
前記気密蓋(3b)は、前記開口枠(2a)内側に収まるように配置され、
前記気密蓋(2b)及び前記開口枠(3a)は、前記開口枠(2a)及び前記気密蓋(3b)を挟み込むように配置され、
前記開口枠(2a)及び前記開口枠(3a)は、互いに気密に連結又は分離可能に配置され、
前記気密蓋(2b)及び前記気密蓋(3b)は、互いに気密に連結又は分離可能に配置され、
前記気密蓋(2b)及び気密蓋(3b)は、前記開口枠(2a)が前記気密蓋(2b)と気密に連結した状態及び開口枠(3a)が前記気密蓋(3b)と気密に連結した状態で取り外し又は取り付け可能に配置され、
前記開口枠(2a)及び気密蓋(2b)は、前記開口枠(2a)が前記開口枠(3a)と気密に連結した状態及び前記気密蓋(2b)が前記気密蓋(3b)と気密に連結した状態で取り外し又は取り付け可能に配置され、
前記メネジ(2d)及び前記メネジ(3d)は、少なくとも一方が前記両端オネジ(2c)の軸方向に移動可能に設けられ、前記メネジ(2e)及び前記メネジ(3e)は、少なくとも一方が前記両端オネジ(3c)の軸方向に移動可能に設けられた、
ことを特徴とする容器開閉機構。
【請求項2】
前記メネジ(2d)及び前記メネジ(3d)を前記両端オネジ(2c)の軸方向に移動させる代わりに、前記両端オネジ(2c)を軸方向に伸縮可能にし、
前記メネジ(2e)及び前記メネジ(3e)を前記両端オネジ(3c)の軸方向に移動させる代わりに、前記両端オネジ(3c)を軸方向に伸縮可能にした、
ことを特徴とする請求項1に記載の容器開閉機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器開閉機構を備え、
当該有害物質を収納して密封隔離する、
ことを特徴とする気密容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日常生活空間から隔離すべき有害物質を収納する気密容器と、隔離空間中にある有害物質を日常生活空間中にある気密容器に収納する際に隔離空間中の有害雰囲気を日常生活空間中に露出させないための気密容器の開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明にかかわる従来技術としては、有害環境と清浄環境とを気密に遮断する隔壁にダブルポートカバーと呼ばれる二重窓(二重の蓋枠「ダブルポート」及び二重の蓋「ダブルカバー」の組み合わせ)を設けて、有害環境と清浄環境との気密遮断状態を保持したまま開閉するシステムがある。
【0003】
上記ダブルポートカバーシステムの用途例として有害環境作業時に着装する防護服がある。それは有害環境と清浄環境とを気密に遮断した隔壁の清浄環境側にいる作業者が隔壁面の有害環境側に備えられた防護服を隔壁に設置された二重窓を通り抜けて着装するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−95113 特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術である特許文献1に記載された隔離入出機構においては、両端にオネジが形成されそれが軸方向に移動できる結合部を備えた連結要素と、その連結要素の両側から挟むように配置される2つの連結要素で当該オネジと取り合うメネジが形成されそれが固定された結合部を備えた連結要素による計3つの連結要素の連結及び切り離しがなされる。この際に3つの結合要素が組み合わされた状態で当該両端オネジの位相とその両端に結合される2つの当該メネジの位相を同時に合わせることが要求される。
【0006】
両端オネジの片側が対応するメネジに結合した状態すなわち片側のネジの位相が合致した状態で両端オネジを所定方向に回転させることにより、結合状態にあるメネジからオネジを退却させながらもう片側のオネジを対応するメネジに結合させようとする時、もう片側のオネジとそれに対応するメネジの位相が合致していない場合はねじをかみ合わせることができない。
【0007】
本発明は、このような従来の隔離入出機構における課題である1つの両端オネジとその両側に同時に取り合う2つのメネジの位相を合致させる機構を備えた気密容器及び容器開閉機構を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
有害物質を密封隔離して取り扱うために有害物質を含む空間(1)を隔壁(2)で仕切る。空間(1)の外部から有害物質を収納する気密容器(3)を隔壁(2)に連結・分離する方法は以下のとおりである。隔壁(2)に有害物質を取り出すための開口部を設けて、開口部を気密に開閉するための開口枠(2a)と気密蓋(2b)を備える。また、容器(3)にも有害物質を収納するための開口部を設けて、開口部を気密に開閉するための開口枠(3a)と気密蓋(3b)を備える。隔壁(2)の開口枠(2a)に対して同一平面方向の内側に容器(3)の気密蓋(3b)を配置し、隔壁(2)の開口枠(2a)と容器(3)の気密蓋(3b)を挟み込むように隔壁(2)の気密蓋(2b)と容器(3)の開口枠(3a)を配置する。上記2つの開口枠(2a)、(3a)は互いに気密に連結・分離させる構造とし、上記2つの気密蓋(2b)、(3b)も互いに気密に連結・分離させる構造とする。上記2つの開口枠(2a)、(3a)が気密に連結した状態において、上記2つの気密蓋(2b)、(3b)が気密に連結した状態で空間(1)側に取り外し、空間(1)側から取り付けができる構造とする。
【0009】
隔壁(2)の開口枠(2a)には軸方向に移動しかつ回転する両端オネジ(2c)が内装され、その両側に配置された隔壁(2)の気密蓋(2b)と容器(3)の開口枠(3a)には上記両端オネジ(2c)と結合するメネジ(2d)、(3d)が上記両端オネジ(2c)と同軸上に内装される。容器(3)の気密蓋(3b)にも軸方向に移動しかつ回転する両端オネジ(3c)が内装され、その両側に配置された隔壁(2)の気密蓋(2b)と容器(3)の開口枠(3a)にも上記両端オネジ(3c)と結合するメネジ(2e)、(3e)が上記両端オネジ(2c)と同軸上に内装される。
【0010】
この時、両端オネジ(2c)、(3c)に対応する両側のメネジ(2d)、(3d)、(2e)、(3e)のうち、容器(3)の開口枠(3a)に内装されたメネジ(3d)、(3e)は固定するが、隔壁(2)の気密蓋(2b)に内装されたメネジ(2d)、(2e)は固定せずに軸方向に平行移動できる構造のメネジ(2f)、(2g)にすることで、両端オネジ(2c)、(3c)と対応する両側のメネジ(2f)、(3d)、(2g)、(3e)の位相を同時に合致させることが可能となる。さらにメネジ(2f)、(2g)に対してスプリング(2h)、(2i)の作用で常に両端オネジ(2c)、(3c)に近づこうとする力を加えることにより、かみ合い時のネジの逃げを防止できる。
【0011】
第2の課題解決手段は、メネジ(2d)、(3d)、(2e)、(3e)はすべて固定しておき、両端オネジ(2c)、(3c)を軸方向に2つに分割して、その分割された両端オネジ(2j)と(2k)、(3f)と(3g)が相互に回転力を伝達しながら軸方向に伸縮する構造とすることにより、分割された両端オネジ(2j)と(2k)、(3f)と(3g)と対応する両側のメネジ(2d)、(3d)、(2e)、(3e)の位相を同時に合致させることが可能となる。さらに分割されたオネジ(2j)と(2k)、(3f)と(3g)にスプリング(2l)、(3h)の作用で常に軸方向外向きに互いに離れようとする力を加えることにより、かみ合い時の逃げを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって1つの両端オネジとその両側に同時に取り合う2つのメネジの位相を合致させることが可能となり、その効果は以下の3つである。第1にネジの結合時に連結要素の取り合い部に隙間を生じることが無くなるため連結要素間の気密性向上に寄与する。第2にネジのかみ合い時に機構部の損傷が起こらなくなるため耐久性向上に寄与する。第3にネジの結合操作が円滑になるため操作性向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】気密容器及び容器開閉機構の全体概念図
図2】容器を隔壁から切り離した状態の概念図
図3】容器を隔壁に接続し開口した状態の概念図
図4】両端オネジとメネジの結合作用の説明図(図1のS部詳細図)
図5】位相ズレを吸収するメネジ機構の概念図(図1のS部詳細図)
図6】位相ズレを吸収するオネジ機構の概念図(図1のS部詳細図)
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態は上述の課題解決手段のとおりである。要約すれば有害物質を含む空間(1)を密封隔離した隔壁(2)に空間(1)の外部から有害物質を収納する気密容器(3)を隔壁(2)に連結・分離するため、隔壁(2)の開口部に開口枠(2a)と気密蓋(2b)を備え、容器(3)の開口部にも開口枠(3a)と気密蓋(3b)を備え、上記2つの開口枠(2a)、(3a)は互いに気密に連結・分離させる構造とし、上記2つの気密蓋(2b)、(3b)も互いに気密に連結・分離させる構造とし、更に上記2つの開口枠(2a)、(3a)が気密に連結した状態において、上記2つの気密蓋(2b)、(3b)が気密に連結した状態のままで空間(1)側に取り外し、空間(1)側から取り付けができる構造とする。
【0015】
上記4つの連結要素すなわち隔壁(2)の開口枠(2a)と気密蓋(2b)、容器(3)の開口枠(3a)と気密蓋(3b)において、連結要素を所定の配置及び組合せで連結させるために、開口枠(2a)と気密蓋(3b)には軸方向に移動しかつ回転する両端オネジ(2c)、(3c)を内装し、気密蓋(2b)と開口枠(3a)には両端オネジ(2c)、(3c)と結合するメネジ(2d)、(3d)、(2e)、(3e)を両端オネジ(2c)、(3c)と同軸上に内装するのであるが、開口枠(3a)に内装されたメネジ(3d)、(3e)を固定して気密蓋(2b)に内装されたメネジ(2d)、(2e)を固定せずに軸方向に平行移動できる構造のメネジ(2f)、(2g)にする。さらに平行移動するメネジ(2f)、(2g)に対してスプリング(2h)、(2i)の作用で常に両端オネジ(2c)、(3c)に近づこうとする力を加え、かみ合い時のネジの逃げを防止する。
【0016】
また別の実施形態としては、メネジ(2d)、(3d)、(2e)、(3e)はすべて固定しておき、両端オネジ(2c)、(3c)を軸方向に分割して、その分割された両端オネジ(2j)と(2k)、(3f)と(3g)が相互に回転力を伝達しながら軸方向に伸縮する構造とする。さらに分割されたオネジ(2j)と(2k)、(3f)と(3g)にスプリング(2l)、(3h)の作用で常に軸方向外向きに互いに離れようとする力を加えることにより、かみ合い時の逃げを防止する。
【実施例】
【0017】
実施例は上述の実施形態のとおりである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
原子力施設において人体に有害な放射能を持つ放射性物質は、原子力施設内の業務従事者が呼吸する雰囲気中に漏えい拡散しないように密封管理される必要がある。特に使用済み燃料などの放射性廃棄物は高レベルの放射能を持つ物質を含んでおり、その収納や保管に際しては外部の清浄な環境を汚染させないための密封管理が必要である。東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業においては燃料デブリの取り出し、容器収納作業が必須となっているが、本発明である有害物質を収納する気密容器及び容器開閉機構が有用な技術になり得る。
【符号の説明】
【0019】
1 空間:有害物質を含む隔離空間
2 隔壁:有害物質を含む空間(1)を仕切る
2a 開口枠:隔壁(2)の開口部に設ける
2b 気密蓋:隔壁(2)の開口部に設けた開口枠(2a)を開閉する
2c 両端オネジ:開口枠(2a)に内装される結合部
2d、2e メネジ:気密蓋(2b)に内装される結合部
2f、2g 可動メネジ:気密蓋(2b)に内装される結合部
2h、2i スプリング:可動メネジ(2f)、(2g)に作用する
2j、2k 分割オネジ:両端オネジ(2c)を分割した結合部
2l スプリング:分割オネジ(2j)、(2k)に作用する
3 容器:有害物質を収納する気密容器
3a 開口枠:容器(3)の開口部に設ける
3b 気密蓋:容器(3)の開口部に設けた開口枠(3a)を開閉する
3c 両端オネジ:気密蓋(3b)に内装される結合部
3d、3e メネジ:開口枠(3a)に内装される結合部
3f、3g 分割オネジ:両端オネジ(3c)を分割した結合部
3h スプリング:分割オネジ(3f)、(3g)に作用する
図1
図2
図3
図4
図5
図6