特許第6404197号(P6404197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404197繊維強化発泡体、その製造方法及び繊維強化発泡体を芯材とする繊維強化複合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404197
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】繊維強化発泡体、その製造方法及び繊維強化発泡体を芯材とする繊維強化複合体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/228 20060101AFI20181001BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   C08J9/228CER
   C08J5/04CEZ
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-186998(P2015-186998)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-61600(P2017-61600A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2017年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】人見 一迅
(72)【発明者】
【氏名】福永 洋一郎
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−501647(JP,A)
【文献】 特開2010−254930(JP,A)
【文献】 特開2002−332367(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/010089(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/228
C08J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂発泡体とバインダー樹脂と強化繊維とを含む繊維強化発泡体であって、前記繊維強化発泡体が前記強化繊維を1〜40体積%含み、前記強化繊維がバインダー樹脂中に少なくとも一部存在し
前記熱可塑性発泡体が、複数の発泡粒子の融着体であり、
前記バインダー樹脂と強化繊維とがバインダー樹脂と強化繊維とを含む繊維強化樹脂に由来し、前記強化繊維が織布、不織布、及び繊維束からなるシート状物から選択される面材であり、前記面材が0.01〜100mm2の最大面の表面積を有することを特徴とする繊維強化発泡体。
【請求項2】
前記強化繊維が1mm以上の繊維長の長繊維であり、前記発泡粒子が表面に非発泡層を有し、前記長繊維が前記非発泡層上に存在する請求項に記載の繊維強化発泡体。
【請求項3】
前記強化繊維が、3個以上の発泡粒子と接する長繊維を少なくとも一部含む請求項1又は2に記載の繊維強化発泡体。
【請求項4】
前記強化繊維が、炭素繊維又はガラス繊維からなる請求項1〜のいずれか1つに記載の繊維強化発泡体。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1つに記載の繊維強化発泡体を芯材とすることを特徴とする繊維強化複合体。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1つに記載の繊維強化発泡体の製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂発泡体が成形により得られ、前記バインダー樹脂が熱硬化性樹脂の場合、前記バインダー樹脂が前記成形と同時に熱硬化性樹脂からの熱硬化により得られることを特徴とする繊維強化発泡体の製造方法。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂発泡体が発泡粒子の成形により得られ、前記バインダー樹脂中に織布、不織布、及び繊維束からなるシート状物から選択される面材である強化繊維が含まれている請求項に記載の繊維強化発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化発泡体、その製造方法及び繊維強化発泡体を芯材とする繊維強化複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維で強化された繊維強化合成樹脂は軽量でかつ高い機械的強度を有していることから、自動車分野、船舶分野、航空機分野等の高い機械的強度及び軽量性が求められる分野において需要が拡大している。
自動車、船舶、航空機等の分野の中でも特に自動車分野においては、その構成用部材が軽量で、高い強度を有することが強く求められている。
上述の要求を満たすものとして、芯材に発泡体やビーズ発泡成形体等の樹脂発泡体を用い、芯材の表面に繊維強化樹脂材を積層一体化させてなる繊維強化複合体が提案されている。
この繊維強化複合体は、繊維強化樹脂材によって表層部に強度に優れた繊維強化樹脂層が形成されているとともに芯材によって優れた軽量性が発揮されることから、自動車のルーフ、ボンネット、フェンダー、アンダーカバー、トランクリッド等の部材として有用であるとされている。
【0003】
このような繊維強化複合体に関し、特開2015−017190号公報(特許文献1)には、複数の樹脂発泡小片と、熱硬化性樹脂の硬化物とからなる複合成形体が記載されている。この複合成形体は、樹脂発泡小片間に熱硬化性樹脂原料を含浸し硬化させることにより硬化物が形成されている。また、複合成形体を構成する硬化物が3〜30体積%を占めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−017190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の複合成形体は、熱硬化樹脂にて強度を発現させる構成のため、重量単位あたりの強度・剛性が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、熱硬化樹脂では重量単位あたりの強度・剛性の向上効果が不十分であるとの上記知見に基づき十分な向上効果を示す部材を鋭意検討した。その結果、熱硬化樹脂に代えて、発泡体内にバインダー樹脂と共に強化繊維を存在させれば重量単位あたりの強度・剛性を大きく向上できることを見出して本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、熱可塑性樹脂発泡体とバインダー樹脂と強化繊維とを含む繊維強化発泡体であって、前記繊維強化発泡体が前記強化繊維を1〜40体積%含み、前記強化繊維がバインダー樹脂中に少なくとも一部存在し
前記熱可塑性発泡体が、複数の発泡粒子の融着体であり、
前記バインダー樹脂と強化繊維とがバインダー樹脂と強化繊維とを含む繊維強化樹脂に由来し、前記強化繊維が織布、不織布、及び繊維束からなるシート状物から選択される面材であり、前記面材が0.01〜100mm2の最大面の表面積を有することを特徴とする繊維強化発泡体が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、上記繊維強化発泡体を芯材とすることを特徴とする繊維強化複合体が提供される。
更に、本発明によれば、上記繊維強化発泡体の製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂発泡体が成形により得られ、前記バインダー樹脂が熱硬化性樹脂の場合、前記バインダー樹脂が前記成形と同時に熱硬化性樹脂からの熱硬化により得られることを特徴とする繊維強化発泡体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた機械強度を有する繊維強化発泡体、その製造方法及び繊維強化複合体を提供できる。
また、以下のいずれかの場合、より優れた機械強度を有する繊維強化発泡体を提供できる。
(1)熱可塑性発泡体が、複数の発泡粒子の融着体である。
(2)強化繊維が1mm以上の繊維長の長繊維であり、発泡粒子が表面に非発泡層を有し、長繊維が非発泡層上に存在する。
(3)強化繊維が、3個以上の発泡粒子と接する長繊維を少なくとも一部含む。
(4)強化繊維が、炭素繊維又はガラス繊維からなる。
(5)バインダー樹脂と強化繊維とがバインダー樹脂と強化繊維とを含む繊維強化樹脂に由来し、強化繊維が織布、不織布、及び繊維束からなるシート状物から選択される面材であり、面材が0.01〜100mm2の最大面の表面積を有する。
【0009】
更に、繊維強化発泡体の製造方法において、熱可塑性樹脂発泡体が発泡粒子の成形により得られ、バインダー樹脂中に織布、不織布、及び繊維束からなるシート状物から選択される面材である強化繊維が含まれている場合、より優れた機械強度を有する繊維強化発泡体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の繊維強化発泡体の概略図である。
図2】本発明の繊維強化発泡体の概略図である。
図3】実施例1の繊維強化発泡体の断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(繊維強化発泡体)
繊維強化発泡体は、熱可塑性樹脂発泡体とバインダー樹脂と強化繊維とを含む。なお、バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂の場合は、熱硬化させることにより得られた樹脂を意味する。一方、熱可塑性樹脂の場合は、型内発泡成形時において、発泡粒子の発泡時に溶融状態となって発泡粒子の表面に膜状に付着し、発泡粒子を発泡させて得られる発泡体中の発泡粒子と強化繊維を接着一体化することが可能な樹脂を意味する。
(1)熱可塑性樹脂発泡体
(a)熱可塑性樹脂
熱可塑性発泡体を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、通常、ジカルボン酸と二価アルコールとを縮合重合させてなる線状ポリエステルを採用することができる。熱可塑性樹脂は、1種又は2種以上の樹脂からなっていてもよい。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えば、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0012】
芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを含むポリエステルである。この樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。この内、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0013】
なお、芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分及びジオール成分以外に、例えば、トリメリット酸のようなトリカルボン酸、ピロメリット酸のようなテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸やその無水物、グリセリンのようなトリオール、三価以上の多価アルコール(例えば、ペンタエリスリトールのようなテトラオール)を構成成分として含有していてもよい。
また、芳香族ポリエステル樹脂は、使用済のペットボトル等から回収、再生したリサイクル材料を用いることもできる。
【0014】
ポリエチレンテレフタレートは架橋剤によって架橋されていてもよい。架橋剤としては、公知のものが用いられる。架橋剤としては、例えば、無水ピロメリット酸等の酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物等が挙げられる。なお、架橋剤は、1種又は2種以上併用してもよい。
【0015】
ポリエチレンテレフタレートを架橋剤によって架橋する場合には、押出機にポリエチレンテレフタレートと共に架橋剤を供給すればよい。押出機に供給する架橋剤の量は、ポリエチレンテレフタレート100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。架橋剤の量が少なすぎると、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が小さくなりすぎて、破泡してしまうことがある。多すぎると、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が大きくなりすぎて、発泡体を押出発泡によって製造する場合には押出発泡が困難となることがある。
【0016】
脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂としては、乳酸がエステル結合により重合した樹脂を用いることができる。ポリ乳酸系樹脂は、商業的な入手容易性及び発泡粒子への発泡性付与の観点から、D−乳酸(D体)及びL−乳酸(L体)の共重合体、D−乳酸又はL−乳酸のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群から選択される1又は2以上のラクチドの開環重合体が好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂は、1種又は2種以上併用してもよい。
【0017】
ポリ乳酸系樹脂は、乳酸以外のモノマー成分として、例えば、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の脂肪族多価カルボン酸;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の脂肪族多価アルコール等を含有していてもよい。
【0018】
ポリ乳酸系樹脂は、アルキル基、ビニル基、カルボニル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基等のその他の官能基を含んでいてもよい。ポリ乳酸系樹脂はイソシアネート系架橋剤等によって架橋されていてもよく、エステル結合以外の結合手により結合していてもよい。
【0019】
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることによって製造される。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂は、上記(メタ)アクリル系モノマー以外にこれと共重合可能なモノマー成分を含有していてもよい。このようなモノマーとしては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
【0020】
ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又は共重合体、スチレン系モノマーと、このスチレン系モノマーと共重合可能な一種又は二種以上のビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、熱硬化樹脂と親和性に優れる、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂等が好ましい。
【0021】
(b)発泡粒子
熱可塑性樹脂発泡体は、複数の発泡粒子の融着体であることが好ましい。発泡粒子の形状は特に限定されない。例えば、球状、円柱状等が挙げられる。この内、できるだけ球状に近いことが好ましい。発泡粒子は、0.5〜5mmの平均粒子径を有していることが好ましい。
また、発泡粒子は、表面に非発泡層を有していることが好ましい。非発泡層によって発泡粒子が強固に融着するばかりでなく、繊維強化発泡体の荷重下における変形を抑制できる。
【0022】
非発泡層の平均厚みは、0.005〜1.0mmが好ましく、0.01〜0.8mmがより好ましい。非発泡層の平均厚みは、薄すぎると、荷重下での変形抑制効果が低くなるため、繊維強化発泡体の機械的強度が低下することがある。厚すぎると、繊維強化発泡体が硬くなりすぎて脆くなること、及び重量が重くなり軽量性が失われることがある。
なお、非発泡層の厚みは、非発泡層の表面に対して直交する方向の厚みをいう。非発泡層の平均厚みは、非発泡層の最小厚みと最大厚みの平均値をいう。
発泡粒子は、以下のような方法により製造できる。
(i)樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から樹脂押出物を押出発泡させながら切断した後に冷却して発泡粒子を製造する方法。
(ii)樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から押出発泡してストランド状の樹脂押出物を製造し、この樹脂押出物を所定間隔毎に切断して発泡粒子を製造する方法。
(iii)樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けた環状ダイ又はTダイから押出発泡して発泡体を製造し、この発泡体を切断することによって発泡粒子を製造する方法。
(iv)懸濁重合で熱可塑性樹脂粒子を作製し、オートクレーブで発泡剤を含浸させて発泡性粒子を製造した後、水蒸気のような熱媒体を供給できる予備発泡機を用いて加熱発泡させて発泡粒子を製造する方法。
(v)熱可塑性樹脂を押出機内に供給して溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から押出してストランド状の押出物を製造し、この押出物を所定間隔毎に切断して樹脂粒子を製造し、それをオートクレーブで発泡剤を含浸させ発泡性粒子を製造した後、水蒸気のような熱媒体を供給できる予備発泡機を用いて加熱発泡させて発泡粒子を製造する方法。
【0023】
物理発泡剤は、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチル、ハロゲン化炭化水素、二酸化炭素、窒素等が挙げられる。中でも、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、物理発泡剤は、1種又は2種以上併用してもよい。
【0024】
(2)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、成形による発泡体の製造に先立って、強化繊維の表面に付着させたもの、又は強化繊維と発泡粒子とにドライブレンドしたものに由来する。このバインダー樹脂を構成している樹脂としては、型内発泡成形時において、発泡粒子の発泡時に溶融状態となって発泡粒子の表面に膜状に付着し、発泡粒子を発泡させて得られる熱可塑性樹脂発泡体を構成する発泡粒子と強化繊維とを接着一体化することができれば、特に限定されない。バインダー樹脂としては熱可塑性樹脂及び熱硬化樹脂を使用できる。
(a)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。この内、熱可塑性ポリエステル系樹脂が好ましく、接着樹脂の結晶化により発泡成形体の機械的強度を向上させる観点から、結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂がより好ましい。具体的には、熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、DIC社から商品名「M8843」にて市販されているテレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、ネオペンチルグリコールを主たるグリコール成分としてなる非晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂(ガラス転移温度:65.9℃)、東京インキ社から商品名「G−125」にて市販されているテレフタル酸とアジピン酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分としてなる結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂(融点:100.6℃、ガラス転移温度:8.3℃)等が挙げられる。
(b)熱硬化樹脂
熱硬化樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを重合した熱硬化性樹脂由来の樹脂等が挙げられる。この内、耐熱性、衝撃吸収性又は耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。
【0025】
エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物と、このエポキシ化合物と重合し得るモノマーとの共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。なお、エポキシ樹脂は、1種又は2種以上併用してもよい。
【0026】
(3)強化繊維
強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維等の無機繊維;ステンレス繊維やスチール繊維等の金属繊維;アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維等の有機繊維;ボロン繊維等が挙げられる。
強化繊維は、1種又は2種以上併用してもよい。
中でも、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維が好ましく、炭素繊維及びガラス繊維がより好ましい。これらの強化繊維は、軽量であるにも関わらず優れた機械的物性を有している。
強化繊維の繊維長としては、1mm以上の長繊維が好ましく、1〜30mmがより好ましく、1〜10mmが特に好ましい。繊維長が短すぎると強度が発現しないことがある。繊維が長すぎると、発泡体製造時に発泡粒子の充填性が悪化するばかりでなく、面内での強度のばらつきが大きくなる可能性がある。
【0027】
発泡粒子間のバインダー樹脂としては、上述の繊維強化層と同様な組成・構成が好ましい。繊維強化発泡体に含まれるバインダー樹脂量としては、1〜40重量%が好ましく、2〜35重量%が更に好ましく、3〜30重量%が特に好ましい。樹脂量が少ない場合、繊維と発泡体間の接着性が低下し、繊維強化複合体となった場合に低強度となることがある。樹脂量が多い場合、軽量化効果が低くなることがある。繊維の分散性については、表面近傍への繊維量が多い方が好ましい。均一であっても問題ないが、表面近傍に多く存在することによって、強度の向上効果が高い。
また、強化繊維は、発泡粒子に3個以上接する長繊維を少なくとも一部含むことが好ましい。3個以上となる場合、発泡粒子間での見かけ上の融着強度が向上し、効果的に強度の向上が図られる。
なお、強化繊維は、リサイクル材料を用いることもできる。リサイクル材料とは、プリプレグ等において、製品として使用される部分以外の廃棄される部分を示す。
【0028】
強化繊維の限定されない観察方法を下記に示す。
まず、繊維強化複合体をその表面に対して直交する面に沿って切断し、この切断面を電子顕微鏡を用いて100〜200倍に拡大して拡大写真を得る。なお、電子顕微鏡としては、例えば、キーエンス社から商品名「デジタルマイクロスコープ VHX−1000」にて市販されている電子顕微鏡を用いることができる。
なお、各領域の決定(熱硬化樹脂の有無)には、マイクロスコープにて同定される領域の内外において、顕微FT−IR測定に基づき決定できる。エポキシ樹脂については、例えば、3100cm-1、3600cm-1付近に吸収ピークが見られ、判別できる。
繊維強化発泡体中の強化繊維の量としては、1〜40重量%が好ましく、1〜30重量%が更に好ましく、3〜30重量%が特に好ましい。この範囲であれば、強度と繊維の添加量と重量のバランスがよい構成となる。なお、半硬化性樹脂であるかの判定としては、DSCのような熱量測定において、発熱ピークを有することで判定できる。
【0029】
強化繊維は、所望の形状に加工された強化繊維基材として用いられることが好ましい。
強化繊維基材としては、強化繊維を用いてなる織物、編物、不織布、及び強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる面材等が挙げられる。
織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。
また、結束用の糸としては、ポリアミド樹脂糸やポリエステル樹脂糸等の合成樹脂糸、及びガラス繊維糸等のステッチ糸が挙げられる。
【0030】
強化繊維基材は、一枚の強化繊維基材のみを積層せずに用いてもよく、複数枚の強化繊維基材を積層して積層強化繊維基材として用いてもよい。
複数枚の強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材としては、例えば、以下のような態様が挙げられる。
(i)一種のみの強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材。
(ii)複数種の強化繊維基材を用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材。
(iii)強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた強化繊維基材どうしを糸で一体化(縫合)してなる積層強化繊維基材。
【0031】
強化繊維は、バインダー樹脂と強化繊維とを含む繊維強化樹脂として、繊維強化発泡体中に存在することが好ましい。繊維強化樹脂は、強化繊維にバインダー樹脂を含浸させ硬化させたものが好適である。
繊維強化樹脂シートには、熱硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤や硬化促進剤を含有させてもよく、その他の添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、1種又は2種以上併用してもよい。
繊維強化樹脂中におけるバインダー樹脂の含有量は、20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。樹脂の含有量が少なすぎると、強化繊維同士の結着性が不十分となり、繊維強化発泡体の機械物性を十分に向上させることができないことがある。また、樹脂の含有量が多すぎる場合、機械物性が低下することがある。
【0032】
繊維強化樹脂は面材であることが好ましく、その厚みは、0.01〜2mmが好ましく、0.02〜1mmがより好ましい。厚みがこの範囲内である面材によれば、軽量であるにも関わらず機械物性に優れた繊維強化発泡体を提供できる。
面材は、0.01〜100mm2の最大面の表面積を有することが好ましい。面積がこの範囲内である面材によれば、機械物性に優れた繊維強化発泡体を提供できる。
繊維強化樹脂の目付は、50〜4000g/m2が好ましく、100〜1000g/m2がより好ましい。目付がこの範囲内である繊維強化樹脂は、軽量であるにも関わらず機械的物性に優れている。
【0033】
芯材に繊維強化樹脂材を積層した予備成形体に対して隆起部等の立体的な形状を賦与するための熱成形としては公知の方法を用いることができる。
熱成形としては、例えば、真空成形法、圧空成形法、圧縮成形法等が挙げられる。
真空成形法、圧空成形法及び圧縮成形法を応用した熱成形方法としては、例えば、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、プラグアシスト・エアスリップ成形法、マッチモールド成形法、プレス成形法、SMC成形法及び、これらの成形法を組み合わせた熱成形方法が挙げられる。この内、成形性に乏しい繊維強化樹脂材を使用しても外観の良好な繊維強化複合体を得ることができるので、プレス成形法、マッチモールド成形法が好ましい。
【0034】
(4)繊維強化発泡体の構成
繊維強化発泡体の密度は、0.05〜1.2g/cm3が好ましく、0.08〜0.9g/cm3がより好ましい。密度が、低すぎると、繊維強化発泡体の機械的強度が低下することがある。高すぎると、繊維強化発泡体の形状を維持し難くなることがある。
厚みは、1〜30mmであることが好ましく、1〜10mmであることが特に好ましい。
繊維強化発泡体の好適な構造の概略図を図1及び2に示す。これら図では、熱可塑性樹脂発泡体が複数の発泡粒子の融着体であり、発泡粒子間に強化繊維が位置している。また、熱硬化樹脂は、発泡粒子間に位置する強化繊維を覆っており、強化繊維を繊維強化発泡体内に保持する役割を果たしている。図1は強化繊維が短繊維の場合、図2は強化繊維が長繊維の場合である。図1及び2中、1は発泡粒子、2は熱硬化樹脂、3は短繊維、4は長繊維を意味する。
【0035】
(繊維強化発泡体の製造方法)
熱硬化樹脂をバインダー樹脂とする繊維強化発泡体は、熱可塑性樹脂発泡体が成形により得られる場合、熱硬化樹脂を成形と同時に熱硬化性樹脂から熱硬化させることにより得ることができる。熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とする繊維強化発泡体は、成形と同時に熱可塑性樹脂を軟化させ、成形後、固化させることにより得ることができる。
熱可塑性樹脂発泡体が発泡粒子の成形により得られ、バインダー樹脂中に面材(織布、不織布、又は繊維束からなるシート状物)である強化繊維が含まれていることが製造の容易性の観点から好ましい。具体的には、発泡粒子を金型内に充填し、熱水や水蒸気等の熱媒体、及びヒーター熱源による金型からの伝熱によって発泡粒子を加熱して発泡させ、発泡粒子の発泡圧によって発泡粒子同士を融着一体化させて所望形状を有する発泡体を製造する方法(型内発泡成形法)が挙げられる。なお、シート状物とは、強化繊維表面同士の間隔が20μm以内にて凝集した形態を示す。
【0036】
(繊維強化複合体)
上記繊維強化発泡体は、圧縮強度、曲げ強度等の機械的強度及び軽量性に優れているため、自動車、航空機、鉄道車輛又は船舶等の輸送機器分野、家電分野、情報端末分野、風力発電用部材分野、産業機械分野、医療機器分野、家具の分野等の広範な用途で芯材として用いることができ、特に自動車部品(フロアパネル等)、風車等のブレードの繊維強化複合体の芯材として好適に用いることができる。
なお、繊維強化複合体は、平面視における輪郭形状が長方形、正方形やその他の多角形、円形、楕円形、半円形、三日月形、不定形等の種々の形態とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を示して、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものでもない。実施例における各種測定値の測定法を下記する。
(密度)
発泡体の密度は、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に準拠して測定された値をいう。
【0038】
(最大点強度)
繊維強化発泡体又は繊維強化複合体から、短冊状試料(横方向寸法が15mm、厚み20mm、奥行き方向寸法が100mmの短冊状試料)を10個採取する。この試料を用い、「最大点荷重」を測定し、この「最大点荷重」を試料の質量で除して「質量効率」を求める。
繊維強化発泡体等の最大点強度は、小型卓上試験機(日本電産シンポ社製 商品名「FGS−1000TV/1000N+FGP−100」)及び小型卓上試験機用ソフトウェア「FGS−TV Ver2」を用いて測定する。
また、冶具は日本電産シンポ社製の「FGTT-531」を用いる。
短冊状試料を支持台に載置し、ロードセル1000N、試験速度5mm/分、支持台の先端治具5R、開き幅80mmの条件下にて最大点強度を測定し、最大点強度を試験片の質量で除して得られた値を質量効率とする。
【0039】
(実施例1)
ジオール単位の一部に1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む変性ポリエチレンテレフタレート(変性PET、イーストマン社製 商品名「EN099」、融点:238.5℃、ガラス転移温度Tg:75.6℃)100重量部、ポリエチレンテレフタレートにタルクを含有させてなるマスターバッチ(ポリエチレンテレフタレート含有量:60重量%、タルク含有量:40重量%)1.8重量部及び無水ピロメリット酸0.26重量部を含む変性ポリエチレンテレフタレート組成物を口径が65mmでかつL/D比が35の単軸押出機に供給して290℃にて溶融混練した。
次に、単軸押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%を含むブタンを変性ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートの総量100重量部に対して1.3重量部となるように溶融状態の変性ポリエチレンテレフタレート組成物に圧入して、変性ポリエチレンテレフタレート組成物中に均一に分散させた。
【0040】
しかる後、押出機の前端部において、溶融状態の変性ポリエチレンテレフタレート組成物を280℃に冷却した後、押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型のノズルから変性ポリエチレンテレフタレート組成物を押出発泡させた。なお、マルチノズル金型は、出口部の直径が1mmのノズルを有していた。
マルチノズル金型のノズルの出口部から押出された押出物を回転刃によって切断した後に直ちに冷却して略球状の再発泡性を有する発泡粒子を製造した。押出物は、マルチノズル金型のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなっていた。押出物の切断は、ノズルの出口部の開口端の未発泡部において行われていた。発泡粒子は再発泡性を有していた。
【0041】
続いて、炭素繊維(CF)からなる綾織の織物から形成され、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂40wt%、表中にはEPと表記)が含浸されてなるプリプレグ(三菱レイヨン社製 商品名「パイロフィルプリプレグ TR3523−395GMP」、目付:200g/m2、厚み:0.23mm)を長さ4mm幅2mmに切断し、上記発泡粒子にドライブレンドした。
雌雄金型を備えた油圧プレス機を用意した。雄金型と雌金型とを型締めした状態において、雌雄金型間には内法寸法が縦200mm×横200mm×高さ20mmの直方体形状のキャビティが形成されていた。ドライブレンドした発泡粒子とカットしたプリプレグとを表1の配合量となるように金型内に充填した。充填後、140℃で5分間の加熱プレスし、次いで型を開いて離型することで、繊維強化発泡体を得た。得られた繊維強化発泡体の断面写真を図3に示す(図に記入されている点線は、発泡粒子の粒界を示している)。なお、得られた繊維強化発泡体の非発泡層の平均厚みは、0.01mmであった。
【0042】
(実施例2〜4及び比較例1)
表1に記載の量で原料を配合すること以外は実施例1と同様にして繊維強化発泡体を得た。
【0043】
(実施例5)
繊維強化樹脂材として、炭素繊維からなる綾織の織物に熱硬化性樹脂が含浸されている面材(三菱レイヨン社製 商品名「パイロフィルプリプレグ TR3523−395GMP」、目付:200g/m2、厚み:0.23mm、CFRP)を2枚用意した。面材は、一辺250mmの平面正方形状であった。また、面材には、熱硬化性樹脂として未硬化のエポキシ樹脂が50質量%含有されていた。
2枚の面材をそれらの経糸の長さ方向が互いに90°の角度をなすように表裏面それぞれに重ね合わせて多層面材とした。
【0044】
続いて、上記多層面材と実施例1の繊維強化発泡体(芯材)との積層体を雌雄金型間に配設し、雌雄金型を型締めすることによって、プレス成形し多層面材を芯材に熱接着させることで、繊維強化複合体を得た。
なお、プレス成形の条件詳細としては、下記のとおりである。プレス温度としては、積層体が145℃となるように保持し、多層面材に含まれているエポキシ樹脂が硬化することなく流動性を保持するように制御した。その後、積層体を145℃で5分間加熱し、多層面材に含有されている未硬化のエポキシ樹脂を硬化させて、多層面材の繊維同士を硬化したエポキシ樹脂で結着、固定して多層面材を芯材の両面に積層一体化させて繊維強化複合体を製造した(硬化工程)。しかる後、繊維強化複合体を30℃以下に冷却した後、雌雄金型を開いて繊維強化複合体を取り出した。
【0045】
(実施例6〜8及び比較例2〜3)
表1に記載の量で配合すること以外は実施例5と同様にして繊維強化複合体を得た。
(実施例10)
実施例1の繊維強化樹脂材の代わりに、炭素繊維クロスTR3523M(三菱レイヨン社製、坪量:200g/m2、厚み:0.20mm)とバインダー樹脂として共重合ポリエステル樹脂(東京インキ社製 商品名「G125」、融点:100.6℃、密度:1.28g/cm3、平均粒径:0.1mm、表中にはPEと表記)を表1の記載の量で配合すること以外は実施例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
【0046】
【表1】
【0047】
表1から、繊維強化発泡体が強化繊維を1〜40体積%含み、強化繊維がバインダー樹脂中に少なくとも一部存在している熱可塑性樹脂発泡体とバインダー樹脂と強化繊維とを含む繊維強化発泡体であれば、優れた機械物性を実現できることが分かる。
【符号の説明】
【0048】
1 発泡粒子、2 熱硬化樹脂、3 短繊維、4 長繊維
図1
図2
図3