(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モータ電流測定回路は、前記モータ電流を一定の時間間隔で測定し、前記注入装置制御回路は前記モータ電流の測定の都度、前記注入圧力を算出する請求項1に記載の薬液注入装置。
前記モータ電流測定回路は、前記モータ電流を一定の時間間隔で測定し、前記注入装置制御回路は、直前の複数回分の測定値の平均値を用いて前記注入圧力を算出する請求項1に記載の薬液注入装置。
前記注入装置制御回路は、薬液の注入動作中、前記注入圧力の経時的変化を表すグラフを前記表示デバイスに表示させる請求項1から3のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
前記注入装置制御回路は、前記モータの起動時に、前記モータへの突入電流が前記注入圧力の算出に影響を及ぼさない所定時間で、薬液の注入速度が前記注入プロトコルに従った注入速度になるように、前記モータの回転数を経時的に上昇させる請求項1から5のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
前記薬液注入装置は、前記表示デバイスを備えたコンソールと、前記ピストン駆動機構を備え前記コンソールとは別ユニットとして構成された注入ヘッドと、を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
前記アンテナは、導体からなるパターンが形成されたフレキシブルプリント基板を有し、前記シリンジと同心状となるように円弧状に曲げられている請求項9に記載の薬液注入装置。
シリンダとピストンとを有するシリンジ内に充填されている薬液を、モータで駆動されるピストン駆動機構で前記ピストンを前進させることによって注入しているときの、表示デバイスへの注入圧力の表示方法であって、
モータ電流を測定するステップと、
前記モータ電流の測定結果を利用して注入圧力を算出するステップと、
算出された注入圧力を前記表示デバイスに表示させるステップと、
算出された注入圧力が、予め設定されたリミット圧力に到達したら、前記モータの動作を一時的に停止させるステップと、
前記モータの動作が一時的に停止している間、前記注入圧力として、算出された注入圧力に代えて前記予め設定されたリミット圧力を前記表示デバイスに表示させるステップと、
を有する表示方法。
シリンダとピストンとを有するシリンジ内に充填されている薬液を、モータで駆動されるピストン駆動機構で前記ピストンを前進させることによって注入し、薬液の注入圧力を表示デバイスに表示させる薬液注入装置のためのコンピュータプログラムであって、
モータ電流を測定するステップと、
前記モータ電流の測定結果を利用して注入圧力を算出するステップと、
算出された注入圧力を前記表示デバイスに表示させるステップと、
算出された注入圧力が、予め設定されたリミット圧力に到達したら、前記モータの動作を一時的に停止させるステップと、
前記モータの動作が一時的に停止している間、前記注入圧力として、算出された注入圧力に代えて前記予め設定されたリミット圧力を前記表示デバイスに表示させるステップと、
を薬液注入装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、透視撮像装置200と、薬液注入装置100とを有する、本発明の一実施形態による透視撮像システムが示されている。透視撮像装置200と薬液注入装置100とは、相互間でデータの送受信を行えるように互いに接続されることができる。透視撮像装置200と薬液注入装置100との接続は、有線接続とすることもできるし、無線接続とすることもできる。
【0018】
透視撮像装置200は、撮像動作を実行するスキャナ201と、スキャナ201の動作を制御する撮像制御ユニット(不図示)とを有しており、薬液注入装置100によって薬液が注入された被験者の断層画像を撮像することができる。撮像制御ユニットは、撮像条件の設定用画面、撮像された断層画像およびその他撮像に関する様々な情報を表示することのできるモニタを有することができる。
【0019】
薬液注入装置100は、例えば、スタンド121の上部に旋回アーム122を介して取り付けられた注入ヘッド110と、薬液注入装置100全体の動作を制御するためのコンソール101とを有している。本実施形態では、注入ヘッド110とコンソール101とは別ユニットとして構成されている。スタンド121は、注入ヘッド110の移動を容易にするためにキャスター付きのスタンドとすることができる。
【0020】
コンソール101にはACアダプタ141が接続されており、これによって、交流から直流に変換された電力がコンソール101に供給される。
図2に示すように、コンソール101は、注入を強制停止させるためのストップボタン102a、ホーム画面を表示させるためのホームボタン102bおよび電源オン/オフのための電源ボタン102cを含むボタン群102と、入力デバイスおよび表示デバイスを兼ねたタッチパネル103とを有している。
【0021】
注入ヘッド110は、
図3に示すように、薬液として例えば造影剤が充填されたシリンジ800を着脱自在に装着することができる。シリンジ800は、薬液を収容し先端に導管が形成されたシリンダと、シリンダ内に進退移動可能に挿入されたピストンとを有する。注入ヘッド110は、このシリンダを保持するシリンダ保持機構111と、シリンダ保持機構111にシリンダが保持されたシリンジ800のピストンをシリンダ内に押し込むように動作するプレッサー112とを有する。
【0022】
プレッサー112は、モータの回転運動を直線運動に変換するリードスクリュー機構やラックピニオン機構等の適宜の回転運動変換機構によって進退移動させられるロッド113の先端部に固定されている。ピストンを進退移動させるための、これらモータ、回転運動変換機構、ロッド113およびプレッサー112を有する機構を、本発明ではピストン駆動機構という。ピストン駆動機構は、プレッサー112を除き、合成樹脂製の外装体115の内部に収容されている。
【0023】
ピストン駆動機構の駆動源となるモータとしては、直流モータを用いることができ、その中でも特に、直流ブラシレスモータを好ましく用いることができる。ブラシレスモータは、ブラシが無いことから、静音性および耐久性に優れている。また、ブラシレスモータは、より高速回転が可能であるため、外部ギア比を高くしてモータにかかるトルクを小さくすれば、所望の注入圧力で薬液を注入するのに必要な電流をブラシモータに比べて小さくすることができる。さらに、ブラシレスモータは、内部のマグネットの位置を検出するために、ホールセンサなどのセンサを一般的に有している。そこで、このセンサからの出力を利用すれば、モータの回転量および回転速度を容易に知ることができる。モータの回転量および回転速度は、プレッサー112の位置および移動速度に対応するので、結果的に、モータのセンサを利用して薬液の注入量などを検出することができる。これにより、注入ヘッド110は薬液の注入量などを検出するためのセンサが不要となり、注入ヘッド110の構成を簡略化することができる。
【0024】
注入ヘッド110は、ピストン駆動機構の一部(例えばプレッサー112)を除き、全体が合成樹脂製の筐体115で覆われている。筐体115の上面には、ユーザの操作によってピストン駆動機構を動作させることができるように、幾つかの操作ボタン116が配置されている。
【0025】
本実施形態の注入ヘッド110は、操作ボタン116として、注入可能な状態にするために操作されるチェックボタン116a、注入を開始する際に操作されるスタートボタン116b、プレッサー112を任意の距離だけ前進させる際(例えば、1.5ml/secの注入速度で)に操作される前進ボタン116c、プレッサー112の移動速度を加速する際(例えば、現在の注入速度にさらに8ml/sec加える。前進および後退のどちらも可。)に操作される加速ボタン116d、プレッサー112を任意の距離だけ後退させる際(例えば、1.5ml/secの注入速度で)に操作される後退ボタン116e、プレッサー112をイニシャライズ位置まで後退させる際に操作されるオートリターンボタン116f、動作を手動で停止または中断する際に操作されるストップボタン116g、116hおよびプレッサーを低速(例えば、0.7ml/sec)で前進/後退させる際に操作されるルートスイッチ116iと、を有している。
【0026】
シリンダ保持機構111は、アダプタ600を介してシリンジ800が装着されるように構成されている。シリンジ800には、充填可能な薬液の容量に応じて様々なサイズのものがある。アダプタ600は、シリンジ800のサイズごとに用意されており、
図4に示すように、それぞれ適合するシリンジ800のシリンダの末端に形成されているシリンダフランジ801を保持できるように構成されており、注入ヘッド110のシリンダ保持機構111に着脱自在に装着される。
【0027】
注入ヘッド110へのシリンジ800の装着は、例えば、注入ヘッド110のシリンダ保持機構111にアダプタ600を装着し、次いで、シリンジ800のシリンダフランジ801をアダプタ600に保持させることによって行うことができる。アダプタ600は、シリンダフランジ801を受け入れる溝を有しており、シリンダフランジ801が溝に挿入されることによってシリンジ800がアダプタ600に保持される。また、シリンダフランジ801がアダプタ600の溝に挿入された後、シリンジ800をその軸周りに所定の角度(例えば90度)回転させることによってシリンダをロックするロック機構を有していてもよい。このようにアダプタ600を用いることによって、種々のサイズのシリンジ800を注入ヘッド110に装着することができる。
【0028】
シリンジ800は、薬液が充填された状態で製剤メーカーから提供されるプレフィルドタイプのシリンジであってもよいし、医療現場で薬液を充填した現場充填タイプのシリンジであってもよい。
【0029】
再び
図1を参照すると、薬液注入装置100は、注入ヘッド110とは別ユニットとして構成された電源ボックス130をさらに有することができる。電源ボックス130は、電源ケーブル142を介して入力された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を、注入ヘッド110と電源ボックス130とを接続するヘッドケーブル143を介して供給する。
【0030】
被験者への薬液注入および画像の撮像に際し、上述した構成のうちスキャナ201、注入ヘッド110および電源ボックス130は検査室に設置され、透視撮像装置200の撮像制御ユニットおよび薬液注入装置100のコンソール101は、検査室とは壁で隔てられた操作室に設置される。したがって、コンソール101と注入ヘッド110との間での信号およびデータの送受信は、無線通信によることが好ましい。もちろん、検査室と操作室を隔てる壁にケーブル用の通路を形成し、この通路を通して引き回されたケーブルによる有線通信も可能である。本形態では、電源ボックス130に無線通信機能を持たせ、コンソール101と注入ヘッド110との間での信号の送受信は電源ボックス130を介して行われるようにしている。
【0031】
以下、上述した薬液注入装置100の機能について、
図5に示すブロック図を参照して説明する。なお、
図5では、本形態の薬液注入装置100の主要な機能のみを示しており、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
電源ボックス130は、AC/DC電源ユニット156と、無線通信モジュール155とを有する。AC/DC電源ユニット156は、電源ケーブル142を介して商用電源から供給された交流電力を直流電力に変換し、無線通信モジュール155および注入ヘッド110に供給する。無線通信モジュール155は、通信用のアンテナ157を備え、コンソール101と注入ヘッド110との間での信号の送受信を仲介する。本形態では、コンソール101との間で無線通信し、注入ヘッド110との間ではヘッドケーブル143を介して有線通信するように構成されているが、注入ヘッド110との間でも無線通信するように構成されていてもよいし、この無線通信モジュール155を注入ヘッド110が内蔵し、コンソール101と注入ヘッド110との間で直接無線通信するように構成されていてもよい。
【0033】
コンソール101は、電源モジュール151と、コンソール制御回路152と、無線通信モジュール153と、スイッチ回路154と、上述したタッチパネル103とを有する。
【0034】
電源モジュール151は、ACアダプタ141を介して供給された直流電力を、コンソール制御回路152、無線通信モジュール153、スイッチ回路154およびタッチパネル103に供給する。スイッチ回路154は、
図2に示したボタン群102およびその駆動回路を含み、ボタン群102の操作に応じた信号をコンソール制御回路152に伝送する。無線通信モジュール153は、アンテナ(不図示)を備え、電源ボックス130の無線通信モジュール155を介して、注入ヘッド110から伝送された信号をコンソール制御回路152に伝送し、かつ、コンソール制御回路152から伝送された信号を注入ヘッド110に伝送する。
【0035】
コンソール制御回路152は、スイッチ回路154からの信号の入力(ボタン群102の操作)、無線通信モジュール153からの信号の入力、およびタッチパネル103からの信号の入力に応じて、タッチパネル103に表示させる画面およびデータ等を制御したり、タッチパネル103から入力されたデータおよび注入ヘッド110から伝送されたデータ等に基づいて薬液の注入プロトコルを作成したり、作成した注入プロトコルに関するデータを、無線通信モジュール153および電源ボックス130を介して注入ヘッド110に伝送したりする。
【0036】
コンソール制御回路152は、いわゆるワンチップマイコンとして構成することができ、CPU、ROM、RAM、インターフェースなどのハードウェアを有することができる。ROMにはコンピュータプログラムが実装されており、このコンピュータプログラムに対応して各種処理動作を実行することで、CPUはコンソール101の各部を制御する。
【0037】
タッチパネル103は、表示デバイスであるディスプレイ、入力デバイスであるタッチスクリーン、およびこれらの制御回路をモジュール化したものであって、コンソール制御回路152から伝送された信号に基づいた所定の画面およびデータをディスプレイに表示させ、また、タッチスクリーンが検出した信号に基づく入力情報をコンソール制御回路152に伝送する。ディスプレイとしては、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイなどを含む任意のディスプレイを用いることができる。
【0038】
注入ヘッド110は、ヘッド制御回路158と、電源回路159と、ヘッドスイッチ回路160と、モータ162を備えたピストン駆動機構161と、モータ電流測定回路163と、RFIDモジュール166とを有する。
【0039】
電源回路159は、ヘッドケーブル143を介して電源ボックス130から供給された直流電力を、ヘッド制御回路158、ヘッドスイッチ回路160、モータ162、モータ電流測定回路163およびRFIDモジュール166に供給する。ヘッドスイッチ回路160は、
図3に示した操作ボタン116およびその駆動回路を含み、操作ボタン116の操作に応じた信号をヘッド制御回路158に伝送する。
【0040】
RFIDモジュール166は、RFID制御回路164とアンテナ165とを有している。本実施形態では、シリンジ800は、そのシリンダの外周面にデータキャリアであるRFIDタグ802が貼付されており(
図4参照)、RFIDモジュール166は、ICタグであるRFIDタグ802に記録された情報をRFIDタグ802から読み出し、読み出した情報をヘッド制御回路158に伝送する。また、ヘッド制御回路か158から伝送された情報を、RFIDタグ802に書き込む機能をさらに有していてもよい。RFID制御回路164は、このRFIDモジュール166の送受信動作を制御する。すなわち、RFIDモジュール166は、RFIDタグ802から情報を読み出すリーダ、または、さらにRFIDタグ802に情報を書き込むリーダ/ライタとして機能する。
【0041】
RFIDモジュール166の出力は、例えば200mWとすることができる。これにより、より広範囲での検出が可能となり、さらにはシリンジ800内に充填されている薬液を通しての情報の送受信が可能となる。
【0042】
RFIDタグ802に記録されている情報としては、例えば、シリンジ800に充填されている薬液に関する、製造メーカー、薬液の種類、品番、含有成分(特に、薬液が造影剤の場合はヨード含有濃度など)、充填量、ロット番号、消費期限などの他に、シリンジに関する、製造メーカー、品番といった固有識別番号、許容圧力値、シリンジの容量、ピストンストローク、必要な各部の寸法、ロット番号などが挙げられる。これらの情報の少なくとも一部は、透視撮像装置200と薬液注入装置100との間のデータの送受信のための有線または無線の接続手段を介して透視撮像装置200へ伝送することができる。
【0043】
RFID制御回路164は、注入ヘッド110の任意の位置に設置することができるが、アンテナ165は、シリンジ800がシリンダ保持機構111に正常に保持された状態においてRFIDタグ802と対向する位置に設置されることが望ましい。
【0044】
特に本実施形態では、
図4に示すように、RFIDタグ802は長手方向を有する形状とされ、その長手方向をシリンジ800の周方向と一致させて貼付されている。シリンジ800は、シリンダ保持機構111の溝に挿入された後、シリンジ800を特定の向きとなるように回転させることによって正常に保持され、その保持された状態では、RFIDタグ802が下向きとなるように設計されている。
【0045】
そして、RFIDモジュール166のアンテナ165は、導体からなる所定のパターン(例えば、1つまたは複数のループ状パターン)を形成したFPC(フレキシブルプリント基板)を有し、
図6に示すように、RFIDタグ802と対向する位置に、シリンジ800と同心状となるように円弧状に曲げられて配置されている。これにより、曲面上に貼付されたRFIDタグ802の検出範囲の拡大を図っている。
【0046】
また本実施形態では、RFIDタグ802の貼付位置にばらつきがあったとしても、RFIDタグ802が確実にアンテナ165と対向することができるように、アンテナ165は、RFIDタグ802よりも大きな面積を有している。したがって、アンテナ165のサイズは、シリンジ800へのRFIDタグ802の貼付位置のばらつきを考慮して設計することが好ましい。
【0047】
一方、アンテナ165を円弧状に曲げることにより、アンテナ165の曲率半径が小さくなるほど、また、アンテナ165の周方向での長さが長くなるほど、通信用の電波が干渉しやすくなり、通信感度が低下する傾向がある。そこで、電波の干渉を抑制するため、アンテナ165は、FPCのRFIDタグ802と対向する面と反対側の面に、フェライトシート165aを有することが好ましい。
【0048】
再び
図5を参照すると、ヘッド制御回路158は、ヘッドスイッチ回路160からの入力(操作ボタン116の操作)、およびコンソール101のコンソール制御回路152から伝送された注入プロトコルなどに従って、ピストン駆動機構161のプレッサー112(
図3参照)の駆動源であるモータ162の動作を制御したり、RFIDモジュール166がRFIDタグ802から読み出した情報をコンソール制御回路152に伝送したり、注入ヘッド110の動作全般を制御する。
【0049】
ヘッド制御回路158は、いわゆるワンチップマイコンとして構成することができ、CPU、ROM、RAM、インターフェースなどのハードウェアを有することができる。ROMにはコンピュータプログラムが実装されており、このコンピュータプログラムに対応して各種処理動作を実行することで、CPUは注入ヘッド110の各部を制御する。
【0050】
シリンジ800に充填されている薬液を、薬液注入装置100を用いて被験者に注入するときに気をつけなければならない項目の一つに、シリンジ800およびシリンジ800から被験者までの注入経路(チューブや注入針など)における耐圧値がある。薬剤の粘度が高い場合、薬液を高速で注入する場合、および注入経路の径が小さい場合などには、シリンジ800に高い圧力が作用する。薬液の注入圧力がこの耐圧値を超えると、シリンジ800が破損したり、注入経路から薬液が漏れたりすることがある。
【0051】
本形態の薬液注入装置100は、薬液の注入圧力がシリンジ800の耐圧値を超えないように、薬液の注入圧力をリアルタイムで検出し監視できるように構成されている。注入圧力の検出には、モータ162に流れる電流値であるモータ電流が利用される。モータ電流を測定するため、注入ヘッド110は、モータ電流を測定するモータ電流測定回路163をさらに有している。
【0052】
モータ162を駆動源として動作するプレッサー112(
図3参照)を前進させてシリンジ800のピストンをシリンダ内に押し込むことによって薬液を注入するとき、注入圧力とモータ162に作用する負荷の大きさは比例関係にある。つまり、注入圧力が高くなるほど、モータ162に作用する負荷が増加する。一方、モータ162を回転させるためにモータ162に流す電流の大きさは、モータ162に作用する負荷の大きさと比例関係にある。したがって、薬液の注入圧力とモータ電流とは比例関係にあり、モータ電流から注入圧力を算出することができる。
【0053】
本実施形態では、モータ電流測定回路163で測定されたモータ電流は、ヘッド制御回路158にデータとして伝送され、ヘッド制御回路158は、モータ電流測定回路163から伝送されたモータ電流の測定結果を利用して注入圧力を算出する機能をさらに有している。
【0054】
注入圧力の算出に際しては、モータ162の無負荷電流およびモータ電流の測定値と注入圧力とを対応づけるための比例定数が考慮される。無負荷電流は、モータ162の回転数が高くなるほど大きくなり、したがって、負荷に応じたモータ電流をより正確に求めるためには、実際のモータ電流から、この無負荷電流を減ずることが好ましい。注入圧力をP、モータ162がある回転数で回転しているときのモータ電流値をC1、その回転数での無負荷電流値をC0、比例定数をaとすると、注入圧力Pは、以下の式、
P=a(C1−C0)
で求めることができる。
【0055】
また、ヘッド制御回路158は、算出した注入圧力をコンソール制御回路152に伝送し、コンソール制御回路152は、伝送された注入圧力のデータを、タッチパネル103への表示のためにタッチパネル103に伝送する。これらコンソール制御回路152の機能およびヘッド制御回路158の機能を合わせたものが、本発明における注入装置制御回路に相当する。
【0056】
次に、上述した薬液注入システム100の動作についてより詳しく説明する。なお、本形態の薬液注入装置100では、シリンジ800の保持や、シリンジ700および注入経路内のエア抜きなど、薬液注入のための準備段階での動作は従来と同様でよいので、ここでは準備段階が完了した後からの動作を説明する。
【0057】
準備段階が完了した状態では、プレッサー112はシリンジ800のピストンの末端に当接しており、RFIDタグ802から取得した情報およびタッチパネル103から入力されたデータ等に基づいてコンソール制御回路152により、注入速度、注入量および注入時間などをパラメータとした注入プロトコルが作成されており、シリンジ800から被験者までの注入経路が確立され、かつ、注入に用いる用具(シリンジ800、チューブ、注入針など)にその許容圧力を超える圧力が加わらないように注入圧力を制限する基準であるリミット圧力が設定されている。作成された注入プロトコルは、タッチパネル103上に、グラフィック的、あるいは数値データの形式で表示されることができる。また、注入プロトコルは操作者によって承認済みとされている。
【0058】
この状態で、操作者が注入ヘッド110の操作ボタンのうちスタートボタンを操作すると、それに応じた信号がヘッドスイッチ回路160からヘッド制御回路158に送られ、ヘッド制御回路158は、コンソール制御回路152へ注入プロトコルデータ伝送要求指令を出し、この要求指令に従って、コンソール制御回路152は注入プロトコルデータをヘッド制御回路158へ伝送する。ヘッド制御回路158は、注入プロトコルデータを受け取ると、それに基づいてピストン駆動機構161のモータ162を駆動し、これによって、シリンジ800内に充填された薬液を被験者に注入することができる。
【0059】
注入プロトコルとは、どのような薬液を、どれくらいの量、どれくらいの速度で注入するかを示すものである。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するこのであってもよい。また、複数種の薬液、例えば造影剤と生理食塩水とを注入する場合、それらの薬液をどのような順序で注入するかといった情報も注入プロトコルに含まれる。注入プロトコルは、公知の任意の注入プロトコルを用いることができる。また、注入プロトコルの作成手順についても、公知の任意の手順であってよい。
【0060】
薬液として例えば造影剤を注入する場合、造影剤による造影効果には被験者ごとの個人差がある。この造影効果の個人差の程度を把握するために、薬液の注入では、透視撮像装置200による断層画像の撮像のための注入に先立ってテスト注入を行い、撮像のための注入量よりも少ない注入量で薬液を注入し、その結果に基づいて、撮像タイミングを決定することなどが行われる。
【0061】
このような場合、テスト注入後の薬液の注入動作は、透視撮像装置200から送信される指令をコンソール制御回路158がその指令を受信することによって開始させることもできる。透視撮像装置200は、例えば、透視撮像装置200のモニタに表示されている断層画像をCCDカメラ(不図示)で撮影し、その断層画像のROIにおける明るさ(白さ)を監視し、明るさが予め定められた閾値以上となったとき、あるいは、モニタに接続されるケーブルからの信号強度を測定し、その測定結果が、予め定められた閾値以上となったときに、注入動作開始のための指令をコンソール制御回路158へ送信することができる。また、断層画像の撮像のための注入(本注入)に先立ってテスト注入を実施する場合、テスト注入時のCT値およびTDC(Time Density Curve)をモニタし、その結果に応じて注入プロトコルを決定し、それに適した最適な撮像開始を薬液注入装置100から透視撮像装置200へ送信してもよい。
【0062】
注入動作の間、モータ電流がモータ電流測定回路163によって一定の時間間隔で繰り返し測定され、測定の都度、データとしてヘッド制御回路158に伝送される。伝送されたモータ電流のデータを用いて、ヘッド制御回路158は測定値として注入圧力を算出する。算出された注入圧力は、コンソール制御回路152へデータとして伝送される。
【0063】
一方、コンソール101においては、タッチパネル103から入力されたデータおよびRFIDモジュール166によってRFIDタグ802から取得されて、ヘッド制御回路158を介して伝送されたデータに基づいてリミット圧力が設定されている。設定されたリミット圧力は、注入動作に先立ってヘッド制御回路158に送られている。また、タッチパネル103には、ヘッド制御回路158から送られた注入圧力が、数値で、または注入グラフ(例えば、横軸を時間、縦軸を注入圧力とする、注入圧力の経時的な変化を表すグラフ)で表示されている。
【0064】
薬液の注入動作は、ヘッド制御回路158において、算出した注入圧力がコンソール制御回路152から送られたリミット圧力と比較されながら実行される。この注入動作の間、注入圧力がリミット圧力を超えなければ(さらには、他のエラーが発生しなければ)、ヘッド制御回路158は、コンソール制御回路152からの注入プロトコルに従って、モータ162を駆動することによって薬液の注入動作を実行する。
【0065】
注入圧力とリミット圧力との比較の結果、注入圧力がリミット圧力に到達したら、ヘッド制御回路158は、モータ162の動作を一時的に停止させ、所定の時間の経過後、再びモータ162を動作させる。モータ162の動作を停止することによって、注入圧力は徐々に低下していく。したがって、モータ162を一時停止させる時間は、モータ162を再動作させてもリミット圧力に到達しないような時間、例えば0.1〜1秒、好ましくは0.2〜0.5秒とすることができる。また、モータ162を再動作するときのモータ162の駆動条件は、モータ162が停止した時間が経過後の駆動条件とされる。なお、上記のような、モータ162の一時停止と再動作を繰り返し、その期間が例えば5秒を経過しても注入圧力が低下しない場合は、ヘッド制御回路158は、シリンジ800から被験者までの注入経路に詰まりが生じたと判断し、薬液の注入動作、すなわちモータ162の動作を停止させるようにしてもよい。
【0066】
注入圧力がリミット圧力に到達したらモータ162の動作を一時的に停止させることで、注入圧力がリミット圧力を超えないように薬液注入動作が制御される。なお、このリミット圧力は、操作者が必要に応じて任意に設定値を変更可能であるが、薬液注入装置100は、リミット圧力とは別に、極限圧力が設定されていることが多い。極限圧力は、何らかの異常のためにリミット圧力を超えてしまったような場合の安全手段として、薬液注入装置自身に固定的に設定されるものであり操作者が変更することはできない。リミット圧力は、この極限圧力よりも小さい値に設定される。
【0067】
以上が、薬液注入動作の基本的な流れである。本実施形態では、以下の動作をさらに実施する。
【0068】
第一に、ヘッド制御回路158は、薬液注入の開始時など、ピストン駆動機構161の起動時、すなわちモータ162の起動時に、起動直後に目標とする速度になるようにモータ162を駆動するのではなく、起動開始から所定時間で目標とする速度となるように、モータ162の回転数を経時的に上昇させる。
【0069】
モータ162は、その起動時に、定格の数倍という大きな突入電流が流れ、回転し始めると通常の電流で動作する。モータ電流測定回路163は、注入動作中のモータ電流値だけでなく、この突入電流も測定し、電流値データとしてヘッド制御回路158に出力する。ヘッド制御回路158では、モータ電流測定回路163から入力された突入電流を用いて注入圧力が算出される。
【0070】
したがって、突入電流の大きさによっては、リミット圧力を超える注入圧力が算出され、結果的に薬液が注入される前にモータ162が停止されて薬液が注入されなくなってしまうことが考えられる。そこで本実施形態では、
図7に示すように、実際の注入速度(IRr)が、注入開始から所定時間が経過した時点での時間である目標到達時間(T1)で目標の注入速度(IRs)となるように、モータ162の回転数を経時的に上昇させる。これによって、突入電流により注入動作が停止されることを防止することができる。
【0071】
実際の注入速度(IRr)が目標の注入速度(IRs)になる目標到達時間(T1)は、モータ162への突入電流が注入圧力の算出に影響を及ぼさない時間であればよく、モータ162の特性、および薬液の注入量や注入時間といった注入条件に応じて任意に設定することができる。具体的には、目標到達時間(T1)は1〜2秒とすることができる。このヘッド制御回路158によるモータ起動時の制御は、注入開始時だけでなく、モータ162が停止した状態から起動されるすべての場合に適用することができる。例えば、注入プロトコルが、薬液の注入を一時的に中断するインターバルを含む場合、インターバル終了後に薬液の注入を再開する際にも上記の制御を適用することができる。また、経時的な変化を伴う注入速度を含む注入プロトコルの場合、目標の注入
速度(IRs)は、目標到達時間(T1)での注入
速度とされる。
【0072】
第二に、コンソール制御回路152は、注入動作中の、タッチパネル103への薬液の注入速度の表示をモータ162のオン/オフに応じて制御する。
【0073】
モータ電流の測定結果を利用して薬液の注入圧力を算出し、算出した注入圧力が予め設定されたリミット圧力に到達したらモータ162の動作を一時的に停止させるようにした場合、モータ162の動作を停止している間はモータ電流が流れないので注入圧力はゼロと算出されてしまう。したがって、注入動作中の注入圧力をタッチパネル103上にグラフあるいは数値でリアルタイムに表示させる場合、以下に述べるような現象が生じる。
【0074】
例えば、
図8に示すように、注入開始から時間t1後に注入圧力がリミット圧力Plに到達し、モータ162の動作を停止すると、それ以降は注入圧力が徐々に低下していく。しかし、
図9に示すように、モータ電流の測定結果を利用して算出された注入圧力Pcは、モータ162の動作の停止とともにゼロとなってしまい、実際の注入圧力とは大きくかけ離れてしまう。
【0075】
そこで、本形態では、コンソール制御回路152は、
図9に示すように、算出された注入圧力(Pc)がリミット圧力(Pl)に到達し、モータ162の動作が一時的に停止されている期間(時間t1からt2までの期間)は、算出された注入圧力(Pc)に代えて、リミット圧力(Pl)を注入圧力として表示し、モータ162が再起動された後、モータ電流の測定結果を利用して算出された注入圧力(Pc)を表示させるように、タッチパネル103の表示を制御する。
図9において、Prは実際の注入圧力を示し、Pdは、タッチパネル103に表示される注入圧力を示す。
【0076】
なお、モータ162の再起動時には突入電流が流れるため、モータ162の再起動に際しては、上述したような、突入電流を考慮したモータ162の制御がヘッド制御回路158によって行われ、コンソール制御回路152は、注入速度が目標の注入
速度に達した時点で、タッチパネル103への注入圧力の表示を、リミット圧力(Pl)から、算出された注入圧力(Pc)へ切り替える。また、注入グラフの見かけ上の問題ではあるが、表示の切り替えの前後で注入グラフが不自然にならないように、切り替えの前後の境界を曲線で補完してもよい。また、
図9ではタッチパネル103への表示が、横軸を時間、縦軸を注入圧力として注入圧力の経時的な変化を表す注入グラフである場合を例に挙げたが、上述したことは、注入圧力を数値で表示する場合に適用可能なものは適用することが好ましい。
【0077】
タッチパネル103への表示をこのように制御することによって、モータ162が一時停止されている間であっても、より実際に近い注入圧力を表示することができる。その結果、注入動作中のモータ162の動作の停止が、注入圧力がリミット圧力を超えないようにした結果での停止であることを、操作者は容易に判別することができる。
【0078】
以上、本発明を代表的な実施形態によって説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0079】
例えば、上述した形態では、モータ電流を一定の時間間隔で測定し、その都度、注入圧力を算出している。しかし、注入圧力の算出は、直前の複数回(例えば5〜10回)分の測定値を蓄積しておき、その蓄積された複数回分の測定値の平均値から注入圧力を算出してもよい。これにより、測定値の誤差やばらつきの影響が抑制された、より実際の注入圧力に近い注入圧力を算出することができる。
【0080】
算出された注入圧力は、薬液が充填されていない空のシリンジ800を誤って注入ヘッド110に装着し、そのまま注入動作を実行させてしまった場合、およびシリンジ800を装着せずに注入動作を実行させてしまった場合の警告にも利用することができる。これらの場合は、極めて小さい圧力が測定される。そこで、例えば、注入速度が3.0ml/sec以上である場合に、測定された圧力が49×10
3Pa以下の状態で10数ml以上の注入動作を行った場合は、ヘッド制御回路158またはコンソール制御回路152は、空のシリンジ800を使用して注入動作が実行されている、あるいはシリンジが装着されずに注入動作が実行されていると判断し、それに対応する処理を実行することができる。対応する処理としては、例えば、注入動作を停止させること、タッチパネル103(
図2参照)に、空のシリンジが装着されているかシリンジが装着されていない旨を表示させること、およびブザー等の発音装置(不図示)から音または音声による警告を発することなどが挙げられる。
【0081】
上述した実施形態では、コンソール制御回路152およびヘッド制御回路158を有し、薬液注入装置100全体の制御に関する機能がこれらに振り分けられている。しかし、どの機能をどちらの制御回路に振り分けるかは、コンソール101および注入ヘッド110のそれぞれの役割に応じて適宜変更することができる。また、コンソール制御回路101およびヘッド制御回路110を単一の制御回路に統合し、この統合された制御回路で薬液注入装置100全体の操作を制御することもできる。統合された制御回路を用いる場合、統合された制御回路は、コンソール101に備えられていてもよいし、注入ヘッド110に備えられていてもよい。
【0082】
さらには、注入プロトコルの決定(演算)などを含むヘッド制御回路158の機能の一部または全部、および/またはコンソール制御回路152の機能の一部または全部を、薬液注入装置100とは別のユニット、例えば透視撮像装置200に組み込むこともできる。特に、注入プロトコルの決定(演算)に関する機能を透視撮像装置200に組み込んだ場合は、撮像条件の設定および注入条件の設定に共通するデータを、透視撮像装置200および薬液注入装置100に重複して入力する必要がなくなる。また、コンソール制御回路152の機能の全部を透視撮像装置200に組み込んだ場合は、薬液注入装置100のコンソール101が不要となり、システム全体を簡略化することができる。逆に、透視撮像装置200による撮像条件の設定に関する機能を薬液注入装置100に組み込み、透視撮像装置200のコンソールを不要とすることもできる。
【0083】
コンソール制御回路152の持つ機能およびヘッド制御回路158の持つ機能は、必要により各種ハードウェアを利用して実現し得るが、その主体はコンピュータプログラムに対応してCPUが機能することにより実現される。
【0084】
そのコンピュータプログラムは、少なくとも、ピストン駆動機構166の駆動源であるモータ162に流れる電流であるモータ電流を測定するステップと、モータ電流の測定結果を利用して注入圧力を算出するステップと、算出された注入圧力を表示デバイスに表示させるステップと、算出された注入圧力が、予め設定されたリミット圧力に到達したら、モータ162の動作を一時的に停止させるステップと、モータ162の動作が一時的に停止している間、注入圧力として、算出された注入圧力に代えてリミット圧力を表示デバイスに表示させるステップと、を含む処理を実行させるためのソフトウェアとして実装されることができる。
【0085】
また、構造的な点では、注入ヘッド110と電源ボックス130とが一体に構成されていてもよいし、さらにコンソール101も一体に構成することもできる。コンソール101と注入ヘッド110が一体に構成された場合、コンソールも検査室に配置されることになる。そこで、注入動作の開始および停止には、リモートコントローラを用いることが好ましい。リモートコントローラを用いることにより、操作者は、操作室内で注入動作の開始および停止を制御できる。リモートコントローラは、例えば、詳しくは後述するが、
図10A〜10Gに示すようなものであってよい。
【0086】
上述した実施形態では、信号およびデータの送受信の一部に無線通信技術を用いているが、すべての信号およびデータの送受信を有線通信によるものとすることもできる。
【0087】
薬液注入装置100は、注入動作の開始および停止を操作室内からでも行えるようにするための、リモートコントローラであるスイッチユニットをさらに有することができる。
【0088】
図10A〜10Gに、本発明で用いることのできるスイッチユニットの一例を示す。
図10A〜10Gに示すスイッチユニット300は、ケーブル305を介してコンソール101(
図1参照)に接続することができる。スイッチユニット300は、注入を開始するときに操作されるスタートボタン301および注入を停止するときに操作されるストップボタン303を有する。スタートボタン301の一部は、誤操作防止のために、スライドカバー302で覆われている。
図10Gに示すように、スライドカバー302は、手動でスライドさせることによって開閉可能に設けられており、スタートボタン301の操作の際に開かれるが、それ以外は閉じた状態とされる。スイッチユニット300は、ディスプレイ304を有することができる。ディスプレイ304には、薬液の注入状態や注入時間などを表示させることができる。スイッチユニット300のコンソール101との接続は、図示するようなケーブル305によるものであってもよいし、無線接続であってもよい。
【0089】
シリンジとしては具体的には
図11の(a)および(b)に示すようなものであってもよく、このシリンジは例えば100ml用のものである。このシリンジは、シリンダ部材501とピストン部材502とを備え、シリンダ部材501の末端に形成されたシリンダフランジ501aはIカット形状の輪郭形状を有し、同フランジ501aの外周部には2つの切欠き部505(一方のみを示す)が形成されている。シリンダ部材501の先端の導管部501bは、同軸状に配置された内側および外側の2つの筒状部を有するルアーロック接続用のものであってもよい。
図11の(b)に示すように、シリンダフランジ501aの後面には、リング状の突起部501cが形成されていてもよい。
【0090】
シリンジの他の例としては、
図12の(a)、(b)に示すようなシリンジであってもよく、このシリンジは例えば200ml用のものである。このシリンジも、上記シリンジと同様、シリンダ部材501とピストン部材502とを備え、シリンダ部材501の末端に形成されたシリンダフランジ501aはIカット形状の輪郭形状を有するものであってもよい。シリンダフランジ501aの外周部には2つの切欠き部505(一方のみを示す)が形成されている。シリンダ部材501の先端の導管部501bは、同軸状に配置された内側および外側の2つの筒状部を有するルアーロック接続用のものであってもよい。
図12の(b)に示すように、シリンダフランジ501aの後面には、リング状の突起部501cと、その突起部501cから外側に向かって延びる複数のリブ501dが形成されていてもよい。
【0091】
なお、
図12ではシリンダフランジ501aに切欠き部505とリブ501dの両方が形成されたものが描かれているが、いずれか一方のみが形成されたもの(例えば、切欠き部S505が形成されていないもの)であってもよい。また、リブS501dに関し、図示上下方向に並んだ複数のリブのうち上部と下部の2つのリブのみを残し、他のリブを省略したような形状としてもよい。このようなリブ群が、フランジ部の左右両側のいずれか一方のみに形成されたシリンジとしてもよい。
【0092】
図11および12に示すような、シリンダフランジ501aに切欠き部505を有するシリンジが装着されるアダプタは、図示した姿勢でシリンダフランジ501aが上方から挿入される溝を有し、シリンダフランジ501aが挿入され、さらに軸周りに90度回転した状態で切欠き部505に係合する突起を有することが好ましい。これにより、シリンダがより確実に保持される。したがって、仮に注入動作中に注入圧力制御に不具合が発生し、過剰な圧力がシリンジに作用した場合であってもシリンジはしっかりと保持されるため、シリンダフランジ501aが破損しにくくなっている。また、シリンジが斜めに装着されることに起因する偏荷重も生じにくく、ピストンとシリンダとの隙間による液漏れも防止できる。
【0093】
図11および12に示したシリンジも、前述したシリンジ800と同様、シリンダの外周面にRFIDタグを有していてもよい。
【0094】
注入ヘッド110を支持するスタンドは、
図1では略S字状にカーブした形状のものを示したが、
図13に示すような直線状のスタンド124など、任意のスタンドを用いることができる。また、いずれのスタンドを用いた場合であっても、電源ボックス130(
図1参照)をスタンドに固定してもよい。注入ヘッド110と電源ボックス130は常に一緒に使用されるものであるため、電源ボックス130をスタンドに固定することにより、室間でのこれらの移動を容易に行うことができる。注入ヘッド110は、天井に固定された多関節の支持アームアセンブリに支持することもできる。
【0095】
注入ヘッド110は、2本以上のシリンジ800を同時に装着できるように構成することもできる。その一例として、
図14に、2本のシリンジを同時に装着できる注入ヘッド110を示す。
図14に示す注入ヘッド110は、互いに別個に動作することができるピストン駆動機構を有している。各ピストン駆動機構は、それぞれモータを駆動源とするプレッサー112を備えている。2本のシリンジを同時に装着できるようにすることで、例えば、造影剤が充填されたシリンジと生理食塩水が充填されたシリンジを注入ヘッド110に装着し、造影剤の注入後に生理食塩水を注入し、生理食塩水によって造影剤を後押ししたり、造影剤を生理食塩水で所望の濃度に希釈して注入したり、様々な注入手順を実現することができる。
【0096】
上述したモータ162の起動時の速度制御は、薬液注入動作中に限らず、モータ162の動作を伴うすべての動作に適用可能である。例えば、薬液注入に先だって、シリンジ内およびシリンジと被験者とを接続するチューブ内から気泡を除去する「エア抜き」という作業が一般に行われる。「エア抜き」では、シリンジを注入ヘッドに装着した状態でモータ162を動作させ、ピストンの前進および後退を繰り返す。この際にも、上述したようにモータ162の回転数を経時的に上昇させる制御を行うことにより、突入電流による誤動作を防止できる。
【0097】
さらには、ヘッド制御回路158は、モータ162の停止時に、モータ162の起動時の制御とは逆に、モータ162の回転数を経時的に減少させてもよい。これにより、より安定した動作が可能となる。また、駆動機構に与えるダメージも低減することができる。この場合、モータ162の現在の速度から停止までの時間は、1〜2秒とすることができる。このような動作は、回転しているモータ162を停止させるすべての場合に適用可能であるが、特に有効な動作としては、注入ヘッド110の前進ボタン116cおよび加速ボタン116dを同時に押すことにより最大の速度でプレッサー112を前進させている状態から、これらのボタン116c、116dを同時に離してプレッサー112を停止させる場合が挙げられる。
【0098】
薬液注入装置は、注入圧力を検出するためのロードセルをさらに有していてもよい。ロードセルは、例えばプレッサー112に備えることができる。
図14に示したように複数のプレッサー112を有する場合は、それらの中のいずれか少なくとも1つにロードセルを有していてもよい。ロードセルを有している場合、通常はロードセルによって注入圧力を検出し、ロードセルが故障したときのみモータ電流の測定結果を利用して注入圧力を測定することができる。
【0099】
透視撮像装置としては、薬液注入装置100と共に使用し得るものであれば、CT装置、MRI装置、PET装置、アンギオ装置および超音波画像診断装置など任意の透視撮像装置であってよい。
【0100】
薬液注入システムは、
図15に示すように、薬液注入装置100および透視撮像装置200の他に、使用前のシリンジ800を所定の温度に加温する加温器900および使用済みであり廃棄されるべきシリンジ800を収納する廃棄ボックス910をさらに含んでいてもよい。加温器900および廃棄ボックス910は、薬液注入装置100および透視撮像装置200とは独立した装置であってもよいし、これらの少なくとも1つとネットワークを介してデータ通信可能に接続されていてもよい。加温器900と廃棄ボックス910との間についても、互いに独立していてもよいし、ネットワークを介してデータ通信可能に接続されていてもよい。加温器900および廃棄ボックス910はそれぞれ、RFIDタグ802に記録されている情報を読み出したり、情報をRFIDタグ802に書き込んだりするためのリーダ/ライタ902、912を備えることができる。シリンジ800には、加温器900により加温されることにより、リーダ/ライタ902によりシリンジ800のRFIDタグ802に加温された旨の情報が記録される。また、使用済みのシリンジ800は、廃棄ボックス910に収納される際に、廃棄されたシリンジ800である旨の情報が、912によってRFIDタグ802に記録される。
【0101】
薬液注入システムは、薬液充填装置920をさらに備えることもできる。薬液充填装置920は、薬液が充填されていない空のシリンジを搭載し、この空シリンジに薬液を充填することのできる装置である。薬液充填装置920も、薬液注入装置100、透視撮像装置200、加温器900および廃棄ボックス910とは独立した装置であってもよいし、これらの少なくとも1つとネットワークを介してデータ通信可能に接続されていてもよい。空シリンジには、ピストンが最前進位置にある状態で、薬液が収容されている袋およびボトルといった任意の形態の薬液容器930が、チューブなどによって流体連通するように接続される。空シリンジと薬液容器930との接続後、薬液充填装置920によってピストンを後退させることで、空シリンジに薬液を充填することができる。空シリンジにはデータキャリアであるRFIDタグが装着されていることが好ましい。以下の説明では、空シリンジは、RFIDタグ802が装着された薬液が充填される前のシリンジ800であるものとして説明する。
【0102】
薬液容器930にもデータキャリアであるRFIDタグ932が装着されている。RFIDタグ932には、例えば、収容されている薬液の種類、内容量、製薬メーカー、品番、粘度、消費期限、薬液が造影剤の場合はそのヨード含有濃度など、薬液に関する情報がデータとして記録されている。薬液充填装置920は、RFIDタグ932からデータを読み出すことのできるリーダ922aと、シリンジ800に装着されているRFIDタグ802にデータを書き込むことのできるライタ922bと、を備えている。
【0103】
以上のような構成において、薬液充填装置920を用いて薬液容器930からシリンジ800に薬液を充填するとき、薬液容器930に装着されたRFIDタグ932に記録されたデータが、リーダ922aによって読み出される。薬液充填装置920は、メモリなどの記憶装置を備えており、読み出されたデータは、この記憶装置に一時的に記憶される。次いで、操作者は、薬液充填装置920に充填量を設定し、薬液充填装置920を動作させる。
【0104】
これによって、設定された量の薬液がシリンジ800内に充填される。充填量は、薬液充填装置920の所定の操作手順に従って設定することができる。薬液の充填後、ライタ922bは、記憶装置に一時的に記憶されたデータとともに、薬液の充填量および充填日時をシリンジ800のRFIDタグ802に書き込む。以上により、シリンジ800には、薬液が充填され、充填された薬液に関するデータがRFIDタグ802に記録されることになる。
【0105】
なお、RFIDタグ802には、前述したような、シリンジに関するデータが予め記録されていてもよい。また、薬液容器930のRFIDタグ932からデータを読み出すリーダ922aを、データの書き込みも行えるリーダ/ライタとすることもできる。この場合、薬液容器930に収容されていた充填前の内容量から充填量を減算した現在の内容量(残量)をRFIDタグ932に書き込むようにすることもできる。残量の計算は、薬液充填装置920が有するCPUにて行うことができる。
【0106】
薬液注入装置100は現在日時を計時する時計回路を内蔵していてもよい。その場合は、RFIDタグ932に記録された充填日時をRFIDモジュール166(
図5参照)にて読み出し、上記時計回路により計時された現在日時と、読み出した充填日時とを、ヘッド制御回路158(
図5参照)にて比較し、その結果、現在日時が充填日時から所定の期間経過後、すなわち使用期限超過であれば、ヘッド制御回路158は、この薬液の注入防止のための処理を行うようにすることができる。薬液の注入防止のための処理とは、例えば、ピストン駆動機構161(
図5参照)の動作を不能とすること、薬液の使用期限が超過している旨を意味する信号をコンソール制御回路152(
図5参照)へ送信し、コンソール制御回路152により、タッチパネル103(
図5参照)に、薬液の使用期限が超過していることを表示させること、およびブザー等の発音装置(不図示)から音または音声による警告を発することなどが挙げられる。薬液の使用期限は、薬液注入装置100に予め設定されているが、設定された使用期限は操作者が任意に変更することもできる。このように、薬液の充填日時を管理することによって、注入される造影剤の安全性を確保することができる。
【0107】
薬液注入装置100、透視撮像装置200、加温器900、廃棄ボックス910および薬液充填装置920等の、薬液注入システムを構成する各医療機器は、医療ネットワークに接続されていてもよい。これにより、被験者に対する処置の履歴、薬液の使用履歴、シリンジの使用履歴等を簡単に保存および追跡することができる。
【0108】
また、少なくとも薬液注入装置100および透視撮像装置200を含む薬液注入システムが医療ネットワークに接続されていてもよい。これによって、薬液注入装置100により注入された薬液の注入速度、注入時間、注入量、モータ電流の測定結果に基づいて算出された注入圧力を利用して作成した注入グラフを含む注入結果、さらに、透視撮像装置200による撮像条件(撮像時間、撮像装置がCT装置の場合は管電圧、などを含む)は、医療ネットワークを通じて透視撮像装置、RIS、PACS、HISなどに注入データとして保存できる。これにより、保存した注入データは、注入履歴の管理に利用されるが、特に注入量などは会計処理にも利用することができる。また、被験者の体重等の身体的情報、ID、氏名、検査部位、検査手法を、RIS、PACS、HISなどから取得して薬液注入装置に表示し、それにあった注入を実施することもできる。
【0109】
また、薬液充填装置920による薬液の充填量は、その薬液の被験者への注入量とすることができる。そうすることにより、充填した薬液を無駄なく使用できる。注入量は、被験者の体重といった身体的特徴、撮像部位および撮像時間などのファクターを考慮した計算式を用いて算出することもできるし、医師等が値を直接決定することもできる。注入量の算出に用いられる上記のファクター、あるいは医師等が決定した注入量の値は、操作者が入力することもできるし、ネットワーク経由あるいはダイレクト回線で接続されたRIS、HIS、PACS、外部サーバ、クラウドなどの外部データベースから入手することもできる。注入量の計算に用いるファクターを外部データベースから入手することで、操作者による入力ミスを防止することができる。
【0110】
計算式を用いた注入量の計算は、コンソール制御回路で実行される。コンソール制御回路の機能は、薬液注入装置、透視撮像装置および薬液充填装置が含む各種制御回路など任意のコンピュータ装置の何れが有していてもよい。すなわち、薬液の注入量は、薬液注入装置ではなく、他の任意のコンピュータ装置の何れかが計算するように構成することができる。また、コンソール制御回路の機能を薬液注入装置ではなく他の任意のコンピュータ装置が有することで、薬液の注入量だけでなく、注入速度および注入時間などをパラメータとした注入プロトコルも、その任意のコンピュータ装置で作成することができる。
【0111】
以下、薬液注入装置の具体的な動作の一例について、
図14に示すような、2本のシリンジを装着できる注入ヘッド110を用い、薬液として造影剤および生理食塩水を注入する場合を例に挙げて、
図5のブロック図等を参照しつつ説明する。
【0112】
タッチパネル103には、通常の薬液注入を実施するための画面と、他の注入方式で注入するもしくは所定の編集を行うための画面とが表示可能とされる。これらのモードは、コンソール101上のスイッチの操作、あるいはタッチパネル103に表示されたアイコンの操作で切り替え可能とされる。
【0113】
まず、通常の薬液注入を実施するモードについて説明する。
【0114】
通常の薬液注入を実施するモードでは、まず、操作者によって、注入ヘッド110に、造影剤が充填されたシリンジおよび生理食塩水が充填されたシリンジが装着される。各シリンジにはそれぞれRFIDタグ802が装着されている。シリンジが装着されると、RFIDタグ802に記録された情報がRFID制御回路164によって読み出される。読み出される情報は、例えば、造影剤の量、ヨード濃度、造影剤の製品名、そのシリンジの耐圧に関する情報などである。さらに、注入プロトコルに関する情報がRFIDタグ802に記録されており、この注入プロトコルに関する情報もRFIDタグ802から読み出されるようにすることも可能である。コンソール制御部152は、記憶部を有し、RFIDタグ802から読み出された情報がこの記憶部に記憶されるようにしてもよい。
【0115】
造影剤の量は、例えば100ml、150ml、200mlなどである。ヨード濃度は、例えば240mgI/ml、300mgI/ml、320mgI/ml、350mgI/ml、370mgI/などである。シリンジの耐圧は、例えば15kgf/cm
2などである。
【0116】
「シリンジの耐圧」に関する数値は、その数値を超える圧力で注入が行われるとシリンジが破損するおそれのある数値を意味している。この数値は、RFIDタグ802から自動的に読み出されて、その数値がピストン駆動機構161の耐圧値として設定されてもよいし、または、耐圧値とは別の数値がユーザからの入力によって設定できるようにされてもよい。例えば、RFIDタグ802から読み出された数値が15kg/cm
2であって、一方、ユーザによって入力された数値が20kg/cm
2の場合、より小さい値である15kg/cm
2の方が優先されるように構成されていることが好ましい。
【0117】
読み出されたこれらの情報はコンソール制御回路152に送られ、必要に応じてタッチパネル103に表示される。
【0118】
(通常の薬液注入モードについて)
通常の薬液注入モードでは、例えば、タッチパネル103の画面の中央に、横向きの人体形状の画像が表示される。この人体画像は、頭部、胸部、腹部および脚部を表す複数のアイコンを含むことができる。撮像部位は、適宜アイコンをタッチすることによって選択することができる。
【0119】
人体画像の下にさらに他のアイコン群を表示させることも可能であるが、初期画面では、これらは表示されておらず、人体画像のみが表示されている。初期画面において、人体画像と他のアイコン群との両方が表示される構成としてもよいが、人体画像のみを表示する構成の場合、画面上の表示項目がシンプルとなり、これによって、ユーザがより直感的に操作できるようになる。
【0120】
人体画像のうちの1つのアイコン(例えば腹部を表すアイコン)にタッチすることで、腹部に対応する撮像部位(ここでは、「腫瘍部」、「肝臓」、「腎臓」、および「血管」)のアイコンが表示される。これらのアイコンは、人体画像の下に横一列で表示されることができる。各アイコンには、臓器を表す絵のみが表示されており、「腫瘍部」、「肝臓」、「腎臓」、「血管」などといった文字は表示されていない。これらの文字は、表示されていてもよいし、されていなくてもよいが、文字の表示がなく、絵のみのアイコンの場合、表示内容がよりシンプルとなる。なお、文字を表示するかどうかが、切替え可能に構成されていてもよい。選択されたアイコンは、ハイライト表示されることが好ましい。これにより、この身体区分が現在選択されていることを識別できるようになる。
【0121】
次いで、撮像部位の選択を行う。一例として、例えば、肝臓のアイコンにタッチすると、肝臓の絵が人体画像の腹部に向かって吸い込まれるように移動し、腹部の中に表示される構成であってもよい。
【0122】
こうして撮像部位が選択されると、この撮像部位に関連付けられた薬液注入時間がコンソール制御回路152の記憶部から読み出され、タッチパネル103に表示される。例えば、肝臓に対応する注入時間は30秒であり、画面下部に、「0:30sec」と表示されたアイコンを表示させることができる。
【0123】
また、タッチパネル103に被験者の体重を選択するための複数の体重アイコンが表示されるようにしてもよい。複数の体重アイコンは、人体画像の下方で、横一列に配置されることができる。体重は例えば、40kg未満を表す軽体重アイコン、40kg以上70kg未満の体重を表す中体重アイコン、70kg以上を表す重体重アイコンの3つの区分に分けることができる。
【0124】
なお、体重の区分数を変更できるように構成されていてもよい。各区分の体重の値に関しても、それらの値が自由に変更できるように構成されていてもよい。さらに、体重アイコンへの所定の操作によりテンキーを表示させるようにし、このテンキーを用いて数値を直接入力できるようにしてもよい。
【0125】
また、体重アイコンと人体画像との間に、体重計の絵が表示された体重計アイコン、および注射器の絵が表示された注射器アイコンが表示されていてもよい。体重計アイコンをタッチすると、体重の詳細な入力が可能となる(詳細後述)。注射器アイコンをタッチすると、注入速度を任意に選択できる「フローレートモード」に切り替わる(詳細後述)。なお、注射器アイコンは、初期画面に表示されてもよい。
【0126】
次いで、操作者は、複数の体重アイコンのいずれか1つにタッチし、被験者の体重の入力を行う。以下、40kg以上70kg未満の中体重アイコンがタッチされた場合について説明する。
【0127】
体重アイコンのタッチにより体重の区分が決定されると、選択された1つのアイコンがハイライトされた状態となる。なお、表示形態の一例として、注入時間のアイコンが、画面下部から、体重計アイコンの左付近の位置まで移動し、そこに表示されるようになっていてもよい。
【0128】
また、
図6の画面では、ICタグ225から読み取られた情報が表示される。例えば、アイコン173aに、シリンジの耐圧が「15.0kgf/cm
2」と表示される。アイコン173bに、肝臓を造影するために必要な単位体重当たりのヨード量が「540mgI/kg」と表示される。これらのアイコン173a、173bは、人体画像161の上に表示されている。
【0129】
また、この段階で、「A 100ml」、「B 60ml」と表示されている注入量アイコンを表示させてもよい。これは、造影剤の注入量が100mlで、生理食塩水の注入量が60mlであることを表している。この注入量アイコンの下には、「量調整」と示された量調整アイコンを表示させてもよい。
【0130】
シリンジの薬液残量(例えば70ml)が注入設定量(例えば76ml)よりも少ない場合、この量調整アイコン173dにタッチすることで、薬液残量が注入量として設定される。
【0131】
次に、造影剤の注入量を決定する手順を説明する。本実施形態では、(i)被験者の体重と、(ii)造影剤のヨード濃度と、(iii)撮像部位に対応した単位体重当たりに必要なヨード量とに基づいて、注入量が計算される。具体的には、被験者の体重は、一例として、40kg〜70kgの中間値である55kgとして計算される。この体重と、必要ヨード量とに基づいてその患者に注入すべき総ヨード量を算出し、そして、この総ヨード量と、造影剤のヨード濃度とに基づいて、注入すべき造影剤の量を算出する。
【0132】
なお、ここでは40kg〜70kgの区分の代表値が55kgである例を示したが、この値は、初期設定で変更できるようになっていてもよい。さらには、体重区分(例えば40kg〜70kgの区分)そのものの範囲も初期設定で変更できるようになっていてもよい。
【0133】
従来の薬液注入装置では、通常、患者体重を考慮して造影剤の量を決定するためには、例えば体重情報や造影剤情報をユーザがマニュアル入力する必要があり、作業が煩雑であった。しかし、本装置によれば、1つの体重アイコンをタッチするだけで体重情報が入力され、また、造影剤情報もRFIDタグ802から読み出されるため、非常に簡単である。
【0134】
次いで、造影剤の注入速度の算出について説明する。
【0135】
本実施形態では、例えば撮像部位としてば肝臓を選択した時点で、注入時間が「0:30sec」と決定される。上記工程で算出した注入すべき造影剤量を、この注入時間で除することによって、造影剤の注入速度が自動的に算出される。
【0136】
上述した一連の工程によって造影剤の注入時間〔sec〕、造影剤の注入量〔ml〕、および造影剤の注入速度〔ml/sec〕が求められ、造影剤の注入条件が決定される。なお、生理食塩水の注入条件は公知の方法により決定可能であるのでここでは詳細な説明を省略する。
【0137】
こうして求められた造影剤の注入条件および生理食塩水の注入条件は、横軸を経過時間、縦軸を注入速度とした注入グラフを模式的に示したサムネイル画像として表示されることができる。なお、体重入力および注入速度の決定を経ずにサムネイル画像が表示される構成も可能である。例えば、撮像部位を1つ選択した時点で、デフォルトの体重区分が選択され、かつ、それに対応した注入速度が決定され、そしてそれらに対応するサムネイル画像が自動的に表示されるようになっていてもよい。
【0138】
サムネイル画像には、横軸が経過時間で縦軸が注入速度のグラフが表示される。このグラフ内には、薬液の注入速度および注入量を表した横長矩形ブロック状の条件画像が表示されることができる。条件画像は、例えば、注入時間に対応した横幅を有しており、注入速度に対応した高さの位置に表示される。条件画像には、注入速度および注入量を数値で表示される。
【0139】
従来の装置は、一般的に、注入条件を設定した時点で、その注入時間、注入速度、および注入量などの情報が単に数値として表示するものであった。そのため、どのような注入条件が設定されたかを直感的に確認しにくいことがあったが、本実施形態の装置によれば、サムネイル画像を通じて注入条件を良好に確認できる。
【0140】
また、設定した注入条件を、サムネイル画像を拡大した注入グラフとして表示させることも考えられる。しかし、この場合、注入条件を設定するための種々のアイコン(例えば注入時間アイコン、体重アイコン、人体画像など)を表示するスペースが無くなる。これに対して、サムネイル画像で表示する構成によれば、これらの各アイコンおよび人体画像等をそのまま表示させておくことができ、必要であれば、それらのアイコンを使って簡単に修正を行うことができる。
【0141】
なお、サムネイル画像中の条件画像に関して、その横幅および高さが設定された条件に応じて変化する構成でもよいし、変化しない構成でもよい。
【0142】
一例として、サムネイル画像にタッチすると、この画像が拡大された画像がタッチパネル103に表示されるようにしてもよい。この拡大された画像では、例えば、造影剤の注入後に生理食塩水を注入するようにした場合、造影剤の条件画像と、それに引き続く生理食塩水の条件画像とが表示され、さらにグラフの右上にシリンジの耐圧が表示されることができる。また、造影剤の条件画像の横に上向き矢印と下向き矢印を表示させ、これを操作することで注入条件を修正することができる。同様にして生理食塩水の注入条件も修正可能である。
【0143】
なお、上記方式に代えて、例えば条件画像にタッチしながら条件画像を上下に移動させることで、注入速度が変更されるようになっていてもよい。また、条件画像内の数値が、テンキーを使用した数値入力によって変更できるように構成されていてもよい。条件画像は、所定の「上」ボタンおよび「下」ボタンを押すことにより、変更されるように構成されていてもよい。
【0144】
注入条件が決定すると、最終的に設定された条件を確認するための画面がタッチパネル103に表示される。この画面では、画面中央に、上記のサムネイル画像を拡大した、横軸を経過時間、縦軸を注入速度で表すグラフを模した画像が表示されている。この画像の上には、横長のウィンドウが表示され、この中には、被験者の体重、体重当たり必要なヨード量、注入時間などの情報が表示されている。ウィンドウの右には注入量アイコンが表示されており、それにより、造影剤(A)および生理食塩水(B)の量を確認することができる。
【0145】
なお、ウィンドウに、例えば選択された体重区分などの他の情報が表示されるように構成されていてもよい。体重当りのヨード量が表示されてもよいし、体重・時間当りのヨード量が表示されてもよい。
【0146】
上記の画面で注入条件を確認した後、操作者が、一例として、タッチパネル103上に表示された「チェック」ボタン、または注入ヘッド110のチェックボタン116a(
図3参照)を操作することにより、薬液の注入が開始可能な状態となる。薬液注入は、この例では、造影剤および生理食塩水の順で行われる。
【0147】
造影剤の注入が開始されると、タッチパネル103には、横軸を経過時間、縦軸を注入圧力で表す圧力グラフが表示される。このグラフは、注入中における薬液の注入圧力をリアルタイムに示すものである。注入圧力は、前述したとおり、モータ電流の測定結果を利用して算出されたものである。
【0148】
圧力グラフに関して、このグラフ内に、検出された薬液のリアルタイムの圧力だけでなく、その注入条件で注入を行った場合に得られるであろう理想のパターン(単一の線で表示されるものであってもよいし、ある程度の幅を有するバンドとして表示されるものであってもよい)が描かれてもよい。
【0149】
前述した体重計アイコンと注射器アイコンは、注入条件を設定するためのモードを切り替えるためのものである。体重計アイコンが選択されている状態では、「体重入力モード」(上述した一連の設定手順)で設定が行われる。本実施形態ではこのモードがデフォルトとなっている。注射器アイコンが選択されると、「フローレートモード」での設定が可能となる。体重入力モードでは、注入時間(例えば、0:30sec)が優先され、注入速度はそれに基づいて算出された値となる。これに対して、フローレートモードでは、例えば1.5ml/sec、2.0ml/secのように、任意の注入速度が設定できる。このモードは、例えば、造影において注入速度が重要なファクターとなる場合に利用される。
【0150】
なお、上述した一連の動作は、基本的には次のような処置を含む:
(a)表示デバイスに複数の撮像部位の画像を表示する処理、
(b)それらの撮像部位のうち1つが選択された場合に、その撮像部位に対応する注入時間を読み出す処理、
(c)被験者に注入すべき造影剤の量を決定する処理、
(d)決定されたその造影剤量と注入時間とに基づいて、造影剤の注入速度を決定する処理、
(e)注入時間と注入速度との関係を示す注入条件のグラフを、サムネイル画像として前記表示デバイスに表示する処理、
(f)その後、前記表示デバイス上の所定のアイコンおよび/または注入ヘッドの所定のボタンが押された場合に、注入条件に従った注入をできる状態とする処理。そして、これらの各処理はそれぞれコンソール制御回路152によって実行可能である。
【0151】
以上のような一連の処理によれば、注入条件を設定すると、その条件がサムネイル画像としてタッチパネル103に表示される。したがって、操作者は、このサムネイル画像を通じて設定内容を確認することができる。また、この画像は、大きな画像ではなく、比較的小さなサムネイル画像として表示されるので、注入条件を設定するための他のアイコンなどをそのままの位置で表示させることができ、それらのアイコンを使って簡単に修正を行うことができる。
【0152】
また、本実施形態の薬液注入装置では、基本的には、(i)シリンジを注入ヘッドにセットする、(ii)撮像部位を選択する、(iii)患者体重を選択するというシンプルなステップで注入条件の設定を行うことができる。このような簡単な設定を実現するためにも、例えば、撮像部位を選択した時点で、それに対応する、造影剤の注入時間(例えば「0:30sec」)が決まるように構成されていることが好ましい。また、造影剤の情報をマニュアル入力する手間を省略するためにも、シリンジRFIDタグ802から、造影剤のヨード濃度の情報、造影剤の量の情報などが自動的に読み取られるようになっていることが好ましい。
【0153】
患者の体重入力は、テンキーを用いて具体的な数値が入力されるものであってよいが、本実施形態のように複数の体重アイコンのうちの1つを選ぶものであれば、より簡単な操作で済む。
【0154】
また、本実施形態の装置では、造影剤の注入時間は、選択された撮像部位によって決まり(上述の例では0:30sec)、原則としてこの時間は、被験者の体重に関わらず一定である。このような構成によれば、1人の被験者に対して複数回の診断を行う場合(撮像部位は共通)、または、複数人の被験者に対して診断を行う場合(撮像部位は共通)であっても、注入時間が同じになるため、CT装置等のスキャン開始のタイミングの調整が不要となる。
【0155】
本発明は上記に限定されるものではなく、次のようなものであってもよい。
【0156】
例えば、RFIDタグ802の付いていないシリンジに対応するために、例えば、タッチパネル103に「製品名」アイコンを表示させ、このアイコンをタッチすることによりプルダウンリストが表示され、そのリスト中の1つの製品を選択することで、製品名およびそのヨード量の情報などが入力されるようにすることもできる。
【0157】
本実施形態の装置では、撮像部位(例えば、腫瘍部、肝臓、腎臓、および血管など)ごとに所定の注入時間(例えば、30秒、45秒、60秒など)が登録されている。このようなデータは、コンソール制御回路152の記憶部に記憶されていてもよいし、または、外部の機器に記憶されており、ネットワーク経由でそのデータがコンソール制御回路152に読み込まれるものであってもよい。
【0158】
また、被験者の体重を測定する機器、もしくは、被験者の体重情報を有する機器がコンソール101に接続され、その機器から体重の情報が入力されることにより、自動的に患者の体重区分が選択されるようになっていてもよい。これによれば、体重を選択する工程を省略することが可能となる。
【0159】
体重アイコンに関し、2つまたは4つ以上のアイコンが表示される構成としてもよい。また、体重区分を選択するのではなく、デフォルトの1つの体重値(例えば60kg)が自動的に選択される構成としてもよい。
【0160】
薬液注入を開始する手順としては、上述したようなグラフを模した拡大した条件画像を表示することなく、サムネイル画像の状態で所定のボタン(画面上のアイコンおよび/または注入ヘッド上のボタン)を押すことにより注入が開始可能な状態となるようになっていてもよい。一例としては、サムネイル画像が表示された画面の状態で、タッチパネル103上のチェックボタンまたは注入ヘッド110のチェックボタン116aを操作することにより、画面上のチェックボタンの表示が「スタートOK」の表示となり、注入が開始可能な状態となる。
【0161】
人体画像について、上記の説明では、一例として横向きの人体画像であることを述べたが、それに限らず縦向きの人体画像を表示するものであってもよい。人体画像に含まれる身体区分の数は、4つに限定されるものではなく、3つ以下または5つ以上であってもよい。
【0162】
次に、タッチパネル103に表示される画像の例について説明する。
【0163】
(他の注入方式の選択・所定の編集などを行うためのモード)
ここでは、注入モードや条件設定方式(以下、これらを単に「注入モード等」ともいう)をコンソール101上で簡単に設定または変更することができ、様々な方式での注入に対応可能な造影剤注入装置について説明する。また、当該注入装置を使用する医師が複数人居る場合であっても、各医師の好みに応じた注入モード等を設定可能な造影剤注入装置について説明する。
【0164】
タッチパネル103にはホーム画面を表示させることができる。ホーム画面は、例えば、コンソール101に設けられたホームボタン102b(
図2参照)を操作することで表示させることができる。なお、タッチパネル103上の所定のアイコン等を押すことでホーム画面が表示される構成であってもよいし、または、所定時間(アイドル時間)経過後に自動的にホーム画面が表示される構成であってもよい。
【0165】
ホーム画面においては、複数のアイコンがマトリクス状(一例として3行4列)に配置されている。この例では、各アイコンは角部に丸みがつけられた略正方形であるが、アイコン自体の形状は、長方形、多角形、円形など、他の形状であってもよい。ホーム画面に表示されるアイコンの数は特に限定されないが、アイコンが多すぎる場合にはユーザが直感的に操作しにくくなる可能性もある。したがって、例えば、行数を3〜5、列数を3〜6(すなわち3×3のマトリクス〜5×6のマトリクス)のアイコン数とすることが、操作性を損なうことなくかつ十分な情報を表示でき、好ましい。
【0166】
一例として、ホーム画面の上段には、4つのアイコンが横に並んで表示されている。アイコンはそれぞれ「小児モード」、「救急モード」、「プロット注入モード」、および「テストボーラストラッキング(TBT)注入モード」用である。
【0167】
ホーム画面の中段には、この造影剤注入装置を使用する医師1〜医師4を選択するための4つのアイコンが表示されている。なお、アイコンの数は特に限定されるものではなく、例えば、1つ、2つ、または3つのみが表示されるものであってもよい。
【0168】
ホーム画面の下段には、薬液注入装置の各種機能を実施するためのアイコンが複数表示されている。一例として、薬液注入の結果を表示するためのアイコン、プロトコル設定を行うためのアイコン、種々の環境設定を行うためのアイコン、さらにユーザ(医師等)の編集を行うためのアイコンが表示さている。
【0169】
ホーム画面のアイコンの配置は、適宜変更できるように構成されていることが好ましい。基本的には、アイコンの並べ替えや、各アイコンの表示/非表示を自由に変更できるよう構成されている。もっとも、一定のアイコンに関しては、画面上に常に表示される(すなわち非表示とすることができない)ようにしてもよい。例えば救急モード用のアイコンが常に表示される構成とすることで、救急時の薬液注入に好適に対応できることとなる。
【0170】
次に、各アイコンの機能について説明する。以下では、まず「救急モード」について説明し、次いで「小児モード」やその他のモードについて説明する。
【0171】
(救急モード)
「救急モード」とは、例えば夜間の診療などにおいて専門の医師が不在の場合であっても、他の医師による造影剤注入を可能にするためのものである。ホーム画面で救急モードアイコンが選択されると、救急モードが開始され、タッチパネル103には、所定の操作後(詳細下記)、救急モード画面が表示される。
【0172】
この画面では、ステータスバーが画面上部に表示され、このステータスバーには、現在救急モードが選択されていることを示すER表示と、幾つかのその他のアイコンとが表示される。
【0173】
「その他のアイコン」としては、例えば、薬液注入時に患者までのルートが正常に確保されていることを確認するため動作を行わせるための「ルート」アイコンや、従来公知の「タイミングテスト」を行うためのアイコンなどである。さらに、シリンジ内の薬液の製品名および/または製造メーカー等の識別マークがステータスバーに表示されてもよい。ステータスバーの右側にはスタートボタンが表示されている。
【0174】
画面中央には、大きなウィンドウが表示されており、このウィンドウ内には救急モード用の注入条件画像や、ユーザに対し操作の案内を行うためのガイダンス画像が表示されている。
【0175】
注入条件画像は、縦軸が薬液の注入速度で横軸が注入時間であるグラフであり、グラフ内には条件バー画像が表示されている。救急モードでは注入条件を迅速に設定できることが重要であるため、条件バー画像には、予め設定された注入速度および注入時間(一例で速度が1.0ml/sec、量が100ml)の注入条件が表示されている。なお、この注入条件は、ユーザによって変更されうるものであってもよいし、変更不可でもよい。
【0176】
ガイダンス画像は、注入ヘッド110および/またはコンソール101に対してどのような操作をすべきかを案内するための情報をユーザに対して提供する。例えば、コンソール101の操作器(
図10A〜10Gに示すスイッチユニット300)を操作すべき旨の情報が画像として表示されている。
【0177】
なお、救急モード画面は、「i」マークのボタンを含んでいてもよい。このボタンを操作することによりガイダンス画像が表示されるように構成されていてもよい。他の形態においては、iボタンを操作しなくても、所定時間経過後に自動的にガイダンス画像が表れる構成としてもよい。
【0178】
救急モード画面では、画面中央のウィンドウと画面上部のステータスバーとの間に、横長の情報表示バーが表示されており、そこには、例えば、患者の身体画像や、薬液注入時間が表示されている。例えば、患者の身体画像は複数の身体区分からなるものであって、選択された身体区分(詳細下記)がハイライトされてもよい。これにより、ユーザが、現在どの身体区分が選択されているかを知ることができる。
【0179】
横長の情報表示バーの右側には、シリンジの薬液量を表示する薬液量表示部が表示されている。例えば、シリンジ内の造影剤が150mlである場合、薬液量表示部には「150ml」と表示される。
【0180】
救急モード画面で注入条件等を確認し、画面上のスタートボタンまたはコンソール101の操作器(不図示)を操作すると、画面表示が変更される。変更された画面では、スタートボタン内の文字が「チェック」に変わり、また、ガイダンス画像内の指示内容も変わっている。具体的には、注入ヘッド110上のチェックボタン116a(
図2参照)を押すべき旨の情報が画像として表示されている。次いで、このチェックボタン116aまたは画面上のスタートボタンを操作することにより、救急モードでの薬液注入がスタートする。
【0181】
本実施形態の構成によれば、操作者は、(1)ホーム画面で救急モードを選択し、(2)次いでその注入条件を確認した後に画面上またはコンソールに対して「スタートOK」の入力を行い、(3)その後、注入ヘッドの所定のボタン(一例)を押すことで、救急モードで注入を安全かつ迅速に開始することができる。
【0182】
なお、救急モードを行う場合、まず、プリセットされた複数の注入条件を表す選択画面が表示され、複数の注入条件の候補のうち1つを選択できるように構成されていてもよい。プリセットされた注入条件の一例としては、「頭部CTA」、「胸腹部CTA」、「腹部急性腹症(条件1)」、「腹部急性腹症(条件2)」、「腹部急性腹症(条件3)」が挙げられ、それぞれ撮像部位、注入速度、注入量が表示されている。このような構成によれば、救急モードであっても、部位や患者特性を考慮した好適な造影剤注入が可能となる。複数の注入条件の候補のうち1つを選択すると例えば、前述した救急モード画面が表示される。
【0183】
上記のような例の他にも、次のように画像を表示する構成としてもよい。すなわち、上記同様のホーム画面で救急モードを選択と、それにより、プリセットされた注入条件の選択画面が表示される。選択画面中のいずれかの注入条件候補を選択することで、上述した救急モード画面が表示される。そして、救急モード画面中のチェックボタンまたは注入ヘッドのチェックボタンを押すと、画面上のアイコンの表示が「チェック」から「スタートOK」に変わる。次いで、注入ヘッド上のスタートボタンもしくはスイッチユニットのスイッチを押すことで、注入がスタートする。このように、画面の表示態様は必要に応じて変更可能である。
【0184】
(小児モード)
ホーム画面で小児モードアイコンが選択されると、小児モードが開始され、タッチパネル103には称にモード画面が表示される。小児モード画面では、その左側に、小児を表した縦形(一例)の人体画像が表示される。この人体画像は、選択可能な複数の身体区分(例えば頭部、胸部、腹部、脚部など)のアイコンを含んでいる。選択された区分は、ハイライト表示させることができる。
【0185】
選択された身体区分に応じて、予め設定された所定の注入条件がサムネイル画面に表示される。一例として、サムネイル画面には、造影剤を1.5ml/secで20ml注入した後に生理食塩水を1.5ml/secで10ml注入する注入条件が表示されている。小児モード画面中央には、また、小児の体重を設定するための体重表示部と、注入時間を表示する注入時間表示部が表示されていてもよい。
【0186】
上述のように構成された本実施形態の構成によれば、成人のみではなく、小児に対しても、各被験者に応じた好適な注入条件を設定可能となる。小児モードにおいても、救急モードで説明したプリセットされた複数の注入条件の候補を表示するようにしてもよい。もっとも、小児の場合、成人患者に比べて細かい注入条件の設定が不要なこともあるので、そのような機能が省略され、より迅速で簡単に設定が行える構成としてもよい。
【0187】
なお、小児の人体画像は縦形に限定されるものではなく、横形に表されてもよい。また、小児モードは、例えば、小型シリンジ(一例で20ml)用のアダプタが注入ヘッドに装着された場合に開始されてもよい。具体的には、例えば、アダプタが装着された場合に小児の人体画像の画面に自動的に切り換わるように構成されていてもよい。
【0188】
(その他の注入モード)
ホーム画面で、プロット注入アイコンまたはテストボーラストラッキング注入アイコンを選択すると、プロット注入モードまたはテストボーラストラッキング注入モードが開始される。これらの注入モードについては、従来より公知であるので詳細な説明は省略するが、本実施形態の構成によれば、ホーム画面から各種注入モードを直感的に選択できるので、ユーザの注入条件設定時に手間を軽減することが可能となる。
【0189】
なお、ホーム画面に表示されるアイコンの内容は何ら本発明を限定するものではない。すなわち、他の条件設定方式(例えば体重入力モード、除脂肪体重モード、体表面積モード、血液量モードなど)のためのアイコンを、ユーザの好みに応じて、ホーム画面上に表示させることができるように構成されていることが好ましい。
【0190】
これらの注入モード/条件設定方式も従来公知のものを利用可能であるが、例えば除脂肪体重モードとして、除脂肪体重モード画面が表示されてもよい。この画面では、被験者体重、身長、薬液情報、注入条件などに加えて、被験者が男性であるか女性であるかを選ぶためのアイコンが表示されることが好ましい。また、除脂肪体重モード画面では、ウィンドウに、現在除脂肪体重モードが選択されていることを示す「LBW」の表示および、体重あたりのヨード量(540mgl/Kg)が表示されている。
【0191】
各注入モードにおいては、従来公知のユーザに対する所定の警告がなされるように構成されていてもよい。例えば、設定される注入速度、注入量、または注入圧力が所定の基準値を超えるまたは下回る場合に、警告が発せられるような構成としてもよい。この際、警告だけでなく、対象の動作を強制停止するような構成としてもよい。
【0192】
(医師選択アイコン)
ホーム画面に表示される医師選択用のアイコンは、どの医師が選択されているかをチェックマークで示すことができる。医師の選択が行われていない場合は、デフォルトとして医師1にチェックマークが付されるようにしてもよい。
【0193】
各医師は、予め、自分の好みに従った注入条件を設定しておくことができる。(i)一例として、撮像部位選択モードにおいて、各身体区分を選択した際にどのような撮像部位が表示されるか、(ii)どの程度の注入時間、注入速度とするか、(iii)どのような注入パターンを利用するか等を詳細に設定できるように構成されている。
【0194】
このような構成によれば、医師は、自分の好みに従った条件設定モードを使用可能となる。
【0195】
なお、各医師の好みに従って他の事項(例えば、どのようなアイコンをホーム画面に表示するか、各アイコンをどのような配置で表示するかなど)を自由に変更できるように構成されていてもよい。例えば、ホーム画面のアイコンの配置を任意に変更してもよい。
【0196】
一方で、ホーム画面から削除できないアイコンが設定されていてもよい。例えば、救急モードがどの病院でも比較的重要と考えられる場合には、上述のように、この救急モードのアイコンをホーム画面に必ず表示し、他のアイコンのみが、好みのアイコンに変更できる構成としてもよい。
【0197】
(各種機能を実施するためのアイコン等)
ホーム画面は、「プロトコル設定」のアイコンを含むことができる。「プロトコル設定」のアイコンは、注入プロトコルを新規に設定したり、既存の注入プロトコルを変更したりするためのものである。注入プロトコルとしては、特に限定されるものではないが、薬液の注入速度が時間とともに変化する可変注入と呼ばれるプロトコルや、造影剤の注入の後に生理食塩水の注入が行われるようなプロトコルなど種々の方式を設定できることが好ましい。
【0198】
なお、「プロトコル設定」のモードにおいて、注入プロトコルの新規登録や変更が行い易いようにガイダンスが表示されてもよい。一例として、注入プロトコルとして設定すべき幾つかの項目が並んで表示されており、項目ごとに具体的な数値範囲などを入力していくことで、登録または変更が完了するような設定画面を利用してもよい。項目の配列方向は、上下方向であってもよいし、左右方向であってもよい。
【0199】
ホーム画面は、「環境設定」のアイコンを含むこともできる。「環境設定」のアイコンは様々な設定を行うためのものであり、例えば、日時の設定、音量の設定、他の医療機器との連携(連動)のための設定、漏出検出の設定などが挙げられる。
【0200】
ホーム画面は、「ユーザ編集」のアイコンを含むこともできる。「ユーザ編集」のアイコンは、医師の新たな設定登録や、既に登録してある事項の変更のためのものである。
【0201】
ホーム画面は、「注入結果」のアイコンを含むこともできる。「注入結果」のアイコンは、薬液の結果を表示するためのものであり、例えば、1回の薬液注入における注入グラフを表示させてもよいし、または、過去に行われた複数回分の薬液注入のデータ(一例として、日時、注入パターン、注入速度、注入量、注入圧力、造影剤製品名など)の一覧を表示させてもよい。例えば、薬液注入の結果のグラフ(一例として、どのような圧力でどのような薬液がどれくらいの時間注入されたかの情報を含む)が外部出力され、撮像装置によって撮像された診断画像とともに表示されてもよい。
【0202】
タッチパネル103には次のような種々の画面が表示されてもよい。例えば、コンソール101が撮像装置200に接続された状態を示す画像である。この場合、撮像装置200側から所定の注入プロトコルが読み込まれ、その注入プロトコルが注入条件として設定されるようになっていてもよい。画面上のメッセージウインドウには、一例として、「スキャナからプロトコルが設定されました」とのメッセージが表示される。
【0203】
なお、本実施形態の造影剤注入装置においては、デフォルトとして登録された部位画面がまず表示され、例えばホームボタン(コンソールのハードキー)を押すことで、ホーム画面が表示されるように構成されていてもよい。ホームボタンを押す代わりに、タイマーが設定されており、所定の時間で自動的にホーム画面を表示させてもよい。
【0204】
〔注入装置のさらに別の機能について〕
(セルフチェック)
薬液注入装置は次のような動作を行うように構成されていてもよい。
【0205】
本発明の一形態の薬液注入装置は、主電源(例えばコンソール101の電源ボタン102c)が入れられると「セルフチェック」と呼ばれる一連の動作を自動的に実施するものであってもよい。「セルフチェック」では、注入ヘッド110のピストン駆動機構や所定のスイッチまたはセンサ等を動作させ、正常に動作するか否かをチェックする。例えば、ピストン駆動機構であれば、その駆動源であるモータを実際に回転させてみて、正常な動作が行われているかどうかをチェックする。この場合、モータの回転量は微小であってもよく、例えば、薬液注入(造影のための本注入や、本注入前の所定の事前注入)での回転量よりも少ない回転量でチェックが実施されてもよい。
【0206】
また、スイッチやセンサ等の場合には、例えば、それらの部品の通電状態を確認する、もしくは、出力値が所定の範囲内であるかどうかを確認する等のチェックをする。また、機器同士の接続が正常であるかどうかのチェックが行われてもよい。
【0207】
セルフチェックの結果は、ディスプレイ上に順次表示されるように構成されていてもよく、例えば、「速度」、「量」、「圧力」、「STOP」「スイッチ」、「接続」などの項目が順次チェックされるようにすることができる。
【0208】
このような構成によれば、注入装置の起動時のセルフチェックによって注入装置の各機能が正常であることを確認したうえで注入装置の使用を開始することができるので、注入装置の故障や接続不良などに起因するトラブルを未然に防止することができる。
【0209】
(プロトコル設定時のガイダンス機能)
上述した救急モードにおいて、「i」ボタンを押すことにより所定のガイダンス画像が表示されることを述べたが、このようなガイダンス画像が、例えば注入プロトコル(すなわち注入条件)を設定する手順の中で表示されるように構成されていてもよい。例えば、注入プロトコルを設定するために幾つかの項目の入力が必要な場合、1つの項目の入力が終了した後に、例えば、次の入力項目が何であるか等を示すガイダンス表示がされてもよい。このようなガイダンス表示は、自動的に表示されるものであってもよいし、ユーザによって所定の入力がなされた場合に表示されるものであってもよい。
【0210】
(TBTモード)
従来、撮像装置の撮像タイミングを決定するために例えばテストインジェクション法やボーラストラッキング法を使用することが提案されている。ボーラストラッキング法の詳細については、例えば、本出願人によって先に出願されたWO2011/136218等にも記載されているので詳しい説明は省略するが概要は次の通りである:ボーラストラッキング法では、造影剤の注入しながら所定の関心部位のCT値上昇を撮像装置で監視し、CT値が所定値に達したことをトリガとして、その後所定の遅延時間を挟んで、本スキャンが開始される。本実施形態の注入装置においては、前述したように、ホーム画面にテストボーラストラッキング注入モード用のアイコンが表示され、このアイコンにタッチすることで、このテストボーラストラッキングモードに入るように構成されている。
【0211】
ボーラストラッキングテストにおいては、WO2011/136218にも記載されている通り、最初の造影剤注入後の遅延時間の間に、患者が息を止めこれにより心拍数を安定させることが行われる。このような一連の注入に関して、例えば、コンソールのタッチパネルに生理食塩水および造影剤の注入条件と、ボーラストラッキングのタイムラインのウィンドウが表示される構成としてもよい。タイムラインのウィンドウ内には、インターバル(遅延時間)部分を有し、ここに、例えば「遅延」、「息止め」、「心拍安定」等の文字情報を表示してもよい。それら各々には、対応する秒数(ここではいずれも5sec)が表示されていてもよい。
【0212】
薬液の注入が開始された場合、現在の注入状況が表示されるようになっていてもよい。特に、画面上部のステータスバー部に、現在どのプロセスが行われているかを示す複数のインジケータが表示されるようになっていてもよい。第1のインジケータは「テストボーラス」注入が行われていることを示し、第2のインジケータはインターバル中であることを示し、第3のインジケータは「ボーラス」注入が行われていることを示す。現在実行中の動作は、インジケータをハイライト表示させることができる。
【0213】
(外部記録媒体へのデータ書き出し)
本発明の一形態の注入装置では、注入が終了した後、その注入結果の情報等を外部の記憶媒体に書出し可能に構成されていてもよい。この記憶媒体としては、コンソールの所定のスロット(不図示)に差し込まれるメモリ媒体であってもよい。書き出される情報は特に限定されるものではなく、注入結果に関するものであればどのようなものであってもよい。注入結果を他のパーソナルコンピュータ等でも利用しやすいようにCSV方式でデータが書き出されてもよい。ただし、データの方式はこれに限定されるものではなく、様々な方式を利用可能である。上記のような注入結果の書出しは、メモリ等の記憶媒体に限らず、例えばネットワークを介して所定のシステム(例えば病院管理システムなど)に送られ、その内部の記憶装置に保存されてもよい。
【0214】
(ヘッドディスプレイでの情報の表示)
本発明はさらに、次のような機能を備えていてもよい。例えば、コンソール101のタッチパネル103とは別のサブディスプレイ(ヘッドディスプレイともいう)を備えることができる。サブディスプレイは、注入ヘッドと一体であってもよいし、注入ヘッドを支持する機構(例えばスタンド、天井取り付け用多関節アーム)に取り付けられていてもよい。サブディスプレイには、例えば、注入中の圧力グラフを表示させることができる。具体的には、コンソール側とヘッド側とが同期して、メインディスプレイおよびサブディスプレイの少なくとも一方に圧力グラフをリアルタイムで表示するようにしてもよい。例えば「ルート確認」を行なっている間の圧力グラフがサブディスプレイに表示されてもよい。「ルート確認」は、主に、薬液ルートが正常に確保されているかどうか(例えば、注入針が正常に穿刺されているか、チューブにキンクが生じていないか等)を確認するためのものである。したがって、このようなルート確認における圧力グラフを、被験者の近くのサブディスプレイで確認できることは、注入針の穿刺異常を見つけたり、キンク箇所を直したりする作業がやりやすくなる点で好適である。
【0215】
なお、ルート確認のための薬液注入における注入速度が、いわゆる本注入における注入速度と自動的に同じになるように構成されていてもよい。あるいは、本注入の注入速度とは別に、ルート確認の注入速度を設定する構成であってもよい。
【0216】
(プリセットされた注入プロトコル)
注入プロトコルは、プリセットしておくこともできる。注入プロトコルがプリセットされていることで、注入プロトコル設定手順を簡略化することができる。注入プロトコルをプリセットする場合、1つの注入プロトコルのみをプリセットすることもできるが、複数の注入プロトコルをプリセットし、それらの中から操作者が1つの注入プロトコルを選択できるようにすることが好ましい。
【0217】
図16A〜16Cを用いて、複数の注入プロトコルをプリセット可能である場合の、タッチパネルへの画面表示例を説明する。
【0218】
図16A〜16Cは、それぞれプリセット番号1〜3のアイコンを選択したときの表示例である。プリセット番号は、例えば、画面に表示されたアイコンをタッチすることによって選択することができる。選択されたアイコンは、他のアイコンと表示色が変わるなど、選択されていないアイコンと視覚的に区別できるようになっている。
【0219】
プリセット番号が選択されると、それに対応する注入グラフ、シリンジに充填されている薬液の量、圧力リミットなどが表示される。注入グラフは、図示するように、注入速度および注入量を数値で示して模式化したものであってもよい。なお、図示した例では、注入グラフは、縦軸が注入速度、横軸が時間で表される注入グラフである。注入グラフの縦軸および横軸に適宜目盛が付されていることが好ましい。操作者が注入グラフ等を確認し、選択された注入プロトコルでよければ、選択したアイコンをさらにタッチしたり、画面上に表示されている「チェック」アイコンをタッチしたりするなどの追加の操作によって、選択された注入プロトコルを決定することができる。
【0220】
注入グラフを表示させなくても操作者がプリセット番号に対応する注入プロトコルの概要を知ることができるようにするために、プリセット番号を示すアイコンの下部にドットが表示されるようにすることができる。図示した例では、注入アイコンの下部に表示されたドットは、フェーズの数およびインターバルの有無を表している。すなわち、ドットの数が注入フェーズの数を表しており、また、複数の注入フェーズを有する注入プロトコルの場合には、ドットの間隔が狭いと連続したフェーズであり、広いとインターバルを挟んだフェーズであることを意味している。また、ドットが表示されていないアイコンは、注入プロトコルがプリセットされていないことを意味する。以上は表示の一例であって、任意の表示が可能である。
【0221】
(2筒式の場合の注入圧力表示例)
例えば
図14に示したように2本以上のシリンジを同時に装着でき、装着したシリンジ内の薬液を個別にまたは同時に注入できる薬液注入装置において、複数のシリンジから同時に薬液を注入する場合、すべての薬液についての注入圧力グラフを、表示デバイス(例えば、コンソールのタッチパネルおよび/または他のディスプレイを有する場合はそのディスプレイ)に表示させるのが好ましい。しかし、画面上での注入圧力グラフの表示エリアの制限などにより、1つの注入圧力グラフしか表示できない場合がある。そのような場合の、注入圧力がリミット圧力に達してモータを一時停止させたときの表示の考え方について、第1および第2のピストン駆動機構の動作によってそれぞれ薬液を注入する場合を例に説明する。
【0222】
まず、注入動作が正常に実行されている間は、第1あるいは第2の何れか任意のピストン駆動機構による注入圧力グラフを表示することができる。どちらの注入圧力グラフを表示させるかは、予め設定された特定のピストン駆動機構についての注入グラフを表示させてもよいし、操作者が任意に設定してもよい。例えば、注入圧力の高い方の注入グラフを表示させることもできるし、低い方を表示させることもできる。この場合、好ましいのは、注入圧力の高い方の注入グラフを表示させることである。また、両方の注入圧力の平均値を演算し、得られた平均注入圧力のグラフを表示させてもよい。
【0223】
そして、第1あるいは第2の何れかのピストン駆動機構による薬液の注入圧力がリミット圧力に達し、そのピストン駆動機構のモータの駆動を停止した場合、停止したピストン駆動機構による注入圧力グラフ、あるいは正常に動作しているピストン駆動機構による注入圧力グラフのどちらを表示させてもよい。ただし、異常が生じたことを操作者に知らせるために、停止したピストン駆動機構による注入圧力グラフを表示させることが好ましい。すなわち、停止前までに表示されていた注入圧力グラフが停止したピストン駆動機構による注入圧力グラフである場合は、そのまま注入圧力グラフの表示を継続し、逆の場合は、停止したピストン駆動機構による注入圧力グラフに表示を切り替える。
【0224】
モータ電流に基づいて測定された注入開始からの注入圧力をメモリ(例えば、ヘッド制御回路158のRAMなど)に蓄積しておき、停止したピストン駆動機構による注入圧力グラフを表示させる際、蓄積しておいた注入開始からの注入圧力を表示させ、圧力上昇の経過を操作者が認識できるようにすることができる。
【0225】
第1および第2の両方のピストン駆動機構が停止した場合も上記と同様、どちらのピストン駆動機構による注入圧力を表示させてもよい。また、注入圧力グラフを表示させるピストン駆動機構を操作者が切り換えることもできる。ここで、両方のピストン駆動機構が停止した場合とは、両方が同時に停止した場合、および一方が停止している間に他方も停止し、結果的に両方が停止した場合を含む。
【0226】
上述のように、表示する注入圧力グラフはどちらのピストン駆動機構によるものでよいが、薬液として一方のピストン駆動機構により造影剤を注入し、他方のピストン駆動機構により生理食塩水を注入する場合は、造影剤を注入するピストン駆動機構による注入圧力を優先して表示させることが好ましい。
【0227】
(充填装置としての利用)
薬液注入装置は、薬液が充填されておらずピストンが最前進位置にある空シリンジを搭載し、その前または後に、空シリンジを、薬液が収容されている外部の薬液容器(袋およびボトルなど任意の形態が可能)とチューブなどによって流体連通させ、その状態で、ピストンが後退するようにピストン駆動機構を動作させることによって、薬液充填装置として機能させることもできる。空シリンジは、
図11および12を用いて説明したシリンジと同じ構成を有することができる。
【0228】
薬液注入装置を薬液充填装置として使用する場合、プレッサー112(
図3参照)は、シリンジのピストンを押圧するだけでなく、ピストンのフランジを保持して後退させることができる、複数の爪のようなピストンフランジ保持構造を備えるようにする。これにより、ピストン駆動機構の動作によってプレッサー112を後退させて、ピストンを後退させることができる。
【0229】
プレッサー112の後退動作は、例えば、注入ヘッド110に設けられた後退ボタン116e(
図3参照)を操作者が操作することによって行うことができ、これによって、操作者が任意の量だけシリンジ内に薬液を充填することができる。
【0230】
あるいは、前述したホーム画面に「充填モード」用のアイコンを追加し、このアイコンをタッチ(選択)することによって充填モードへ移行するようにすることができる。充填モードでは、充填量が設定され、設定された量の薬液がシリンジに充填されるようにピストン駆動機構の動作が制御される。以下に説明するような充填モードにおける充填量の設定、タッチパネル103への表示画面の設定およびピストン駆動機構161(
図5参照)の動作制御は、コンソール制御回路152(
図5参照)およびヘッド制御回路158(
図5参照)が実行するコンピュータプログラムとして実装することができる。
【0231】
以下に、充填モードへ移行後の処理の一例について説明する。
【0232】
充填モードでは、少なくとも充填量のみが設定されればよく、充填速度についてはピストン駆動機構の動作に支障のない適切な充填速度を予め設定しておくことができる。薬液の充填量は、装着されたシリンジの内径とプレッサー112の後退距離から算出できる。よって、シリンジの内径あるいは型番(型番からシリンジの内径を特定できる)と充填量がタッチパネル103などの入力デバイスから入力されると、コンソール制御回路152は、これらに基づいてプレッサー112の後退距離を算出し、算出したデータをヘッド制御回路158へ送信する。ヘッド制御回路158は、コンソール制御回路152から送信されたデータに基づいてピストン駆動機構161を駆動する。これによって、シリンジには、入力された量の薬液が充填される。
【0233】
薬液が充填される空シリンジには、前述したRFIDタグ802が装着されていることが好ましい。RFIDタグ802に、シリンジの内径を含むシリンジに関する各種データを記録しておき、RFIDモジュール166にて、このRFIDタグに記録されたデータを取得し、コンソール制御回路152に送信することで、操作者によるシリンジの内径の入力を省略することができる。
【0234】
さらに、薬液の充填後、充填した薬液の充填量、種類、製薬メーカー、品番、粘度、薬液が造影剤の場合はそのヨード含有濃度、消費期限、充填日時など薬液に関する情報を、RFIDモジュール166によってRFIDタグ802に書き込むようにすることもできる。充填する薬液を収容している薬液容器にも、シリンジに装着しているRFIDタグ802と同様のRFIDタグを装着し、このRFIDタグに、これらの薬液に関する情報のうち充填量を除く情報を記録しておくと、その情報を、シリンジのRFIDタグ802に書き込む情報として利用することができる。薬液容器に装着されたRFIDタグに書き込まれた情報をシリンジに装着されたRFIDタグ802に書き込む情報として利用するには、注入ヘッド110に備えられたRFIDモジュール166とは別のRFIDモジュール(RFIDリーダ)を注入ヘッド110に接続し、そのRFIDモジュールを用いて、薬液容器に装着されたRFIDタグから情報を読み出し、読み出した情報をヘッド制御回路158に一時的に保持し、保持した情報をRFIDモジュール166にてRFIDタグ802に書き込むようにすることができる。この情報の書き込みは、充填量および充填日時についての情報の書き込みと同時であってもよいし別であってもよい。
【0235】
薬液の充填量は、例えばシリンジの容量に応じて操作者が任意に設定することができるが、被験者への注入量と同量とすることが、薬液を無駄なく使用できるためより好ましい。薬液の充填量を被験者への注入量と同量とする場合は、例えば前述した手順に従って、被験者の体重や撮像部位、薬液容器に装着されたRFIDタグから取得した薬液に関する情報などに基づいて注入量をコンソール制御回路152にて算出し、これを充填量としてコンソール制御回路152内にて設定すればよい。
【0236】
このように、充填した薬液に関する情報をRFIDタグ802に書き込むことで、薬液を充填したシリンジが直ぐには使用されず、注入ヘッド110から一度取り外されて一時的に保管されるような場合であっても、必要な情報はRFIDタグ802に書き込まれているので、RFIDタグ付きのプレフィルドシリンジと同様に取り扱うことができる。
【0237】
薬液の充填中は、充填中であることを操作者が視覚的に認識できるように、薬液の充填状況をタッチパネル103に表示させるようにすることが好ましい。その際の表示画面としては、例えば、シリンジ内に薬液が充填されている様子をアニメーション表示した画像、ピストン駆動機構161の動作に対応して薬液の充填量を示す数値が刻々と増加していくような画像またはこれらを組み合わせた画像を含むことができる。
【0238】
また、薬液の充填中に、シリンジ内への気泡の混入を検出するために、薬液容器とシリンジとを接続するチューブに気泡検出センサを配置することが好ましい。気泡検出センサとしては、チューブ内に気泡が存在しているか否かを検出することができるものであれば、光学式、超音波式および静電容量式など任意の方式の検出センサを用いることができる。いずれの方式も、チューブ内に気泡が存在しているときとしていないときとでの特性変化、例えば光学式であれば屈折率、反射率、透過率などといった光学特性の変化、超音波式であれば共振特性の変化、静電容量式であれば静電容量の変化を検出することによって、チューブ内の気泡の有無を検出する。
【0239】
(データキャリア)
上述した形態では、シリンジや薬液容器にデータキャリアがRFIDタグである例を示したが、本発明においては、RFIDタグの他に、バーコードや二次元コードなど種々の形態のデータキャリアを利用することができる。もちろん、RFIDタグ以外のデータキャリアを利用する場合は、リーダとしては、そのデータキャリアに適合したリーダが用いられる。
【0240】
ただし、バーコードおよび二次元コードはデータの追記、書き換えなどができないため、データキャリアとしてバーコードあるいは二次元コードを使用できるのは、データの追記や書き換えが必要ない用途に限られる。また、バーコードは、記録できるデータの容量が小さいため、データそのものを記録するのではなく、個々のシリンジ等を区別するための識別コードとして利用することができる。薬液等の各種データは、薬液注入システムの内部あるいは外部のデータベースに個々のシリンジ等に対応させて格納しておき、識別コードがリーダによって読み取られると、その識別コードに対応した各種データがデータベースから取得されるようにすることができる。
【0241】
(データキャリア付きのシリンジが搭載されたことを検出した場合の画面表示例)
注入ヘッドが備えるリーダ(リーダ/ライタ)は、データキャリアが装着されたシリンジが注入ヘッドに搭載されると、データキャリアに記録されているデータを自動的に読み出すことのできる位置に搭載されている。
【0242】
そこで、データキャリア付きのシリンジが注入ヘッドに搭載され、そのデータキャリアに記録されているデータの読み出しのためにリーダが作動すると、ヘッド制御回路は、リーダがデータキャリアからデータの検出を開始したことを意味するデータキャリア検出開始信号をコンソール制御回路へ送信し、コンソール制御回路は、データキャリア検出中の画像をコンソールその他の表示デバイスに表示させるようにすることもできる。
【0243】
図17に、その一例として、データキャリアがRFIDタグである場合の、データキャリア検出中画面を示す。
図17に示す例では、画面の中央部に、データキャリア検出中画像として、シリンジを模した画像が、RFIDタグをデザイン化したマークとともに表示されている。このマークと同じマークを有するシールがシリンジにも貼付され、またはこのマークと同じマークがシリンジに印刷されていることが好ましく、これにより、ユーザは、RFID付きのシリンジが注入ヘッドに搭載され、データを読み出し中であることが一目で分かる。
図17に示すように、シリンジを摸した画像は、もともと表示されていた画像の上にオーバーラップさせて表示させることができる。
【0244】
あるいは、コンソール制御回路は、データキャリアからデータを読み出した後、ヘッド制御回路から送信されたデータに基づき、読み出したデータの少なくとも一部についての情報をコンソールその他の表示デバイスに表示させるようにすることもできる。
【0245】
図18に、データ読み出し後の表示画面の一例を示す。
図18に示す例では、画面の中央部に、薬液の種類を表す情報、シリンジを摸した画像、およびシリンジに充填されている薬液の内容量を含む、シリンジ情報画像が表示されている。これらは、
図18に示すように、もともと表示されていた画像の上にオーバーラップさせて表示させることができる。薬液を表す情報としては、薬液メーカー、薬液の種類および薬液の製品名などの少なくとも1つであってよい。このように、データキャリアから読み出した情報の少なくとも一部を表示させるようにすることで、装着されたシリンジが、これから注入しようとしている薬液が充填されているシリンジかどうか一目で確認することができる。
【0246】
なお、
図17および
図18は、画面表示の一例であって、表示する内容はこれらに限られるものではない。所望により適宜変更することが可能である。また、表示する画像は、
図17に示したような検出中の画像のみであってもよいし、
図18に示したような読み出した情報を表示する画像のみであってもよいし、これらの両方であってもよい。両方を表示する場合、検出中は、
図17に示したようなデータキャリア検出中画像を例えば1.5秒間表示し、その後、データの読み取りが正常に終了したら、
図18に示したようなシリンジ情報画像を例えば3秒間表示し、その後、シリンジ情報画像を閉じるようにすることができる。