特許第6404216号(P6404216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404216
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】歯の清掃組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/18 20060101AFI20181001BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20181001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 31/145 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 33/16 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 8/9783 20170101ALI20181001BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A61K36/18
   A61P1/02
   A61P43/00 121
   A61K31/145
   A61K33/16
   A61K31/085
   A61K9/06
   A61K8/9783
   A61Q11/00
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-531330(P2015-531330)
(86)(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公表番号】特表2015-527410(P2015-527410A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】US2013059135
(87)【国際公開番号】WO2014043163
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年9月12日
(31)【優先権主張番号】61/699,640
(32)【優先日】2012年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515066140
【氏名又は名称】エスエルエイチ オプティマル ヘルス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SLH OPTIMAL HEALTH LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヒエール,ローレンス,エー.
(72)【発明者】
【氏名】バジリ,ベン
【審査官】 横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07182935(US,B1)
【文献】 特開2001−190573(JP,A)
【文献】 特表平08−509239(JP,A)
【文献】 米国特許第04064229(US,A)
【文献】 米国特許第03723613(US,A)
【文献】 米国特許第04348378(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0189553(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0014934(US,A1)
【文献】 特表2006−516654(JP,A)
【文献】 特開昭60−186245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A61K 9/00
A61K 31/00
A61K 33/00
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物であって:
青色着色料と、水−アルカリ抽出により調製されたものであるアナトー種子抽出物に由来する天然着色料の混合物を含む、ヒトの口内における歯垢の存在を明らかにするための歯科用顕示剤を含み、アナトー種子抽出物が0.1および3.0%w/wの間の量で存在し、青色着色料が0.02および1.25%w/wの間の量で存在し、混合物が500nm以上580nm以下の波長を有する色を作り出す、前記組成物。
【請求項2】
青色着色料がFD&C青色1号である、請求項に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項3】
歯科用顕示剤組成物が、フッ化ナトリウムをさらに含む、請求項1に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項4】
歯科用顕示剤送達組成物が、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(トリクロサン)をさらに含む、請求項1に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項5】
1または2以上の界面活性剤、フッ化物源、研磨材、保湿剤、増粘剤、保存剤、抗微生物剤、フレーバー付与剤、甘味料、ビタミンおよび着色剤をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項6】
口腔組成物が少なくとも1種のキレート化剤を含む、請求項1に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項7】
少なくとも1種のキレート化剤が、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム二水和物およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物からなる群から選択される、請求項に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項8】
口腔組成物がフレーバー剤を含む、請求項1に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項9】
フレーバー剤が天然源に由来する、請求項に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項10】
アナトー種子抽出物および青色着色料との混合物を含アナトー種子抽出物が0.1および3.0%w/wの間の量で存在し、青色着色料が0.02および1.25%w/wの間の量で存在し、混合物が500nm以上580nm以下の波長を有する緑色を作り出す、ヒトの口内における歯垢の存在を明らかにするための歯科用顕示剤組成物、および
ヒトの口内に歯科用顕示剤を送達するための歯科用顕示剤送達組成物であって、リン酸二カルシウムを約37.0%〜約45.0%の濃度で、水を約5.0%〜約25.0%の濃度で、ソルビトールを約10.0%〜約20.0%の濃度で、グリセリンを約8.0%〜約20.0%の濃度で、ピロリン酸四ナトリウムを約0.25%〜約3.0%の濃度で、ラウリル硫酸ナトリウムを約0.5%〜約2.0%の濃度で、サッカリンナトリウムを約0.10%〜約2.5%の濃度で、二酸化チタンを約0.0%〜約1.5%の濃度で、安息香酸ナトリウムを約0.0%〜約3.0%の濃度で、セルロースガムを約0.5%〜約4.0%の濃度で、アルファ−トコフェロールを約0.0%〜約0.5%の濃度で、フッ化ナトリウムを約0.0%〜約0.25%の濃度で、トリクロサンを約0.0%〜約3.0%の濃度で、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム二水和物を約0.0%〜約1.5%の濃度で、およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物を約0.0%〜約1.5の濃度で含む、前記歯科用顕示剤送達組成物
を含む、ヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【請求項11】
青色着色料が0.1および1.0%w/wの間の量で存在する、請求項10に記載のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年9月11日に提出された、米国仮出願第61/699,640号の35 U.S.C. § 119(e)に基づく利益を主張し、その内容は全て参照として本明細書に組み込まれる。
本発明の分野
本発明は、一般的にプラーク顕示剤に関し、歯の清掃(dental cleaning)組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
歯垢は、歯の表面に蓄積されると、いずれ歯肉炎、歯周病、齲蝕および歯石をもたらし得ることは、広く認められた事実である。したがって、歯垢の堆積物の効果的な除去が、口腔健康のために絶対不可欠であることは明らかである。したがって、自身の歯への個人によって、または歯医者によって実施されてもよい、適切な口腔衛生習慣は、口腔内のプラーク堆積物の同定および位置を特定するために容易に利用可能な手段を必要とする。歯垢は通常、透明で無色であるため、簡単には見えず、個人は口の中に存在する歯垢の量または位置を頻繁に認識していない。
【0003】
先行技術は、プラークを除去するための様々な歯磨剤を含み、これらは、歯磨ペースト、粉末、および微生物液体を含む。一般的な事項として、これらの歯磨剤は、歯を擦り磨き(scouring)、擦り洗い(scrubbing)するための艶出し剤(polishing agent)および研磨材(abrasive)などの材料を含み、そしてある程度、歯の間の隙間に存在する様々な酸を中和するためにさらに動作可能である、様々な成分の混合物を含有する。これらの同じ物質は、齲蝕および他の障害の発生に寄与する細菌の様々な形態のその後の増殖をある程度阻害する。先行技術の歯磨剤は、様々な度合の成功を有しているが、矯正の使用によって悪化される脱灰および他の病気の進行を止めるためには、成功をおさめていなかった。
【0004】
歯列矯正患者において見つかる脱灰および虫歯の量は、実際、異様である。多くの研究が行われ、歯列矯正患者集団におけるこの問題の深刻さを示してきている。毎年、年に3〜5百万人の米国で矯正を受ける患者の半分が、初期の虫歯を患う。
【0005】
したがって、歯の清潔さを測定する手段としての、および適切な口腔衛生習慣をもたらすための、歯垢のための指示染料が、先行技術において広く検討されてきた。
【0006】
U. S.公報2007 0237726(「‘726公報」)は、プラークに吸収されこれを可視化する着色剤または色素を含有するプラーク顕示製品を教示する。‘726公報によれば:「ほとんどのプラーク顕示組成物は、米国特許第3,309,274号;第3,624,219号;第3,997,658号;第4,302,439号;第4,459,277号;第4,517,172号;第4,590,061号;第4,666,700号;4,992,256号;第5,098,691号;第5,190,743号;第7,182,935に開示されているような着色料をベースとしている。例としては、数ある中でも、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッド(FD&C赤色40号)、緑色8号、赤色19号、赤色22号、赤色28号、フルオレセイン(黄色7号)およびフルオレセイン二ナトリウム塩(黄色8号)などの合成有機着色料が挙げられる。
【0007】
726公報は、テンサイから抽出された赤色染料、サンギナリンの塩、およびコバラミン化合物、特にシアノバラミン(ビタミンB12)を含む、天然着色料がプラーク顕示剤として使用されてきたと教示している。‘726公報によれば、これらの着色料のいくつかは、通常の日の光または人工の光の下ではヒトの目に見えず、見えるようにするために、特定の波長の光の使用を必要とする場合がある。
【0008】
米国特許第7,182,935号もまた、プラーク顕示剤としての合成有機着色料の使用の代替として、天然着色料を提案することを開示する。‘935特許によれば、合成着色料は、天然着色料が与えない不都合な点を有する。「いくつかの合成着色料は、甲状腺、肝臓の病変、胃酸過多、ならびに例えば喘息、鼻炎および発疹などのアレルギーを引き起こす。」
【0009】
‘935特許によれば、細菌性プラークを顕示するために使用される天然着色料の例は、米国特許第4,431,628号および米国特許第4,517,172号において教示されている。「米国特許第4,431,628号は、テンサイから抽出された天然着色料を効率的な量で含む、細菌性プラークの存在を示す方法に言及している。・・・米国特許第4,517,172号は、紫外線下において肉眼で見ることができるような方式での、プラークの視覚化のための方法を記載する。当該方法は、Sanguinaria canadensis、Macleaya cordata、Corydalis sevctvozii、C. ledebouni、Chelidonium majusからなる群およびこれらの混合物から選択される植物の抽出物から沈殿したサンギナリンの塩を用いる。」
【0010】
‘935特許自体は、アサイー(aai)(Euterpe oleracea)から抽出した着色料、および植物Bixa orellanaのベニノキ(urucum)種子(アナトー種子としても知られる)から抽出した着色料からなる群から選択される天然着色料の濃縮液を少なくとも1つを含む、天然着色料に基づく顕示剤に関する。
【0011】
これらの先行技術の天然着色料はいずれも、商業的には成功していないと考えられる。成功しない理由は、これらの着色剤が、十分に見えない、十分に濃縮されていない、視覚的に十分魅力的ではない、および/または効果的な製品を構成するのに十分に安定ではないことにあると考えられる。UV光源を必要とせずに、プラークを同定する歯磨剤において、安全および効果的に使用することができる着色料を持つことが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、ヒトの口内における歯垢の存在を明らかにするための天然歯科用顕示剤組成物を含む、ヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物に関する。予想外に、アナトー種子中の天然着色料と青色着色料との組み合わせが、他の着色料よりも、プラークの顕示において優れていることが見出された。本発明者らは、(i)天然染料物質を可能な限り用い、(ii)in situで容易に見ることができ、(iii)容易な可視化のために必要な濃度で安全であり、(iv)許容され、使用されやすいように、視覚的に魅力的であり、(v)保存のために歯磨剤中で安定である、適した顕示剤を見つけ出す試みで、40よりも多い異なる染料物質のプラークを顕示する力(capacity)についてテストし、そして非常に多くの組み合わせをテストした。驚くべきことに、青色着色料は、アナトー種子に含まれている天然着色料と組み合わせた場合に、本発明者らによって求められた特徴を有する染料をもたらすことが見出された。当該組み合わせは、いずれかの着色料単独よりも、より優れたコントラストでプラークを顕示し、in situで容易に見ることができる。当該組み合わせはこれに加えて、望ましいミントグリーンであり、歯磨剤自体に、一般の人々に魅力的であると信じられている色を与える。最後に、適切な保存剤の存在により、当該組み合わせは、練り歯磨(tooth-paste)等の歯科用組成物中で安定であり、商用的な用途のために適したものとすることができる。
【0013】
したがって、本発明の一側面において、ヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物を提供する。当該組成物は、アナトー種子における天然着色料、およびプラークを染め、アナトー種子抽出物に添加した場合に、500nm〜580nm、好ましくは505nm〜535nmの波長を有する色をもたらす着色料を含む。一態様において、アナトー種子抽出物は、水−アルカリ抽出によって調製する。一態様において、アナトー種子抽出物は、およそ3:1重量部の炭水化物および脂質である。
【0014】
一態様において、顕示剤はアナトー種子抽出物および青色着色料である。一態様において、青色着色料はFD&C青色1号である。他の態様において、着色料はFD&C青色2号である。一態様において、着色料は、1%水溶液(E1%、1重量%)において、425の波長で11.5〜12.5の色の濃さを有する、紫ニンジン抽出物である。
【0015】
一態様において、アナトー種子抽出物は0.1%および3.0%w/wの間の量で存在し、青色着色料は0.02および1.25%w/wの間の量で存在する。一態様において、アナトー種子抽出物は0.5%および2.5%w/wの間の量で存在し、青色着色料は0.1および1.0%w/wの間の量で存在する。一態様において、アナトー種子抽出物は1.5%および2.0%w/wの間の量で存在し、青色着色料は0.2および0.3%w/wの間の量で存在する。
【0016】
他の態様において、アナトー種子抽出物を紫ニンジン中の天然着色料と組み合わせる。この場合、顕示剤は完全に天然物質から作られる。一態様において、アナトー種子抽出物を、0.1%〜5.0%の間の量で存在する紫ニンジン抽出物と組み合わせる。一態様において、アナトー種子抽出物は0.1%および3.0%w/wの間の量で存在し、紫ニンジン抽出物は、0.1および5.0%w/wの間の量で存在する。一態様において、アナトー種子抽出物は0.5%および2.5%w/wの間の量で存在し、紫ニンジン抽出物は1.0および4.0%w/wの間の量で存在する。一態様において、紫ニンジン抽出物は噴霧乾燥によって調製する。一態様において、紫ニンジン抽出物は、およそ等しい重量部の炭水化物および糖を含む。
【0017】
着色料は、プラークを染め、アナトー種子抽出物と組み合わせた場合に約500nmおよび580mnの間の波長を有する緑色をもたらす、いかなる着色料であってもよい。一態様において、当該組み合わせは、505nmおよび535nmの間の波長を有するミントグリーンをもたらす。一態様において、顕示剤はアナトー種子抽出物、紫ニンジン抽出物およびFD&C1号または2号などの青色着色料である。
【0018】
有利には、プラークのin situでの容易な同定を達成するために必要なアナトー種子抽出物の量を減らすために、アナトー種子抽出物に着色料を添加する。
【0019】
顕示剤は、全体の色が指定した波長の範囲内である限り、任意で1または2以上の追加の着色料を含んでもよい。例えば、ビート、ザクロおよびトマトからのものなどの、天然の着色料を含んでもよい。かかる天然の着色料は、紫ニンジン抽出物、レッドビート抽出物、ザクロ濃縮物、トマト抽出物(例えばリコピン)などの、抽出物または濃縮物であり得る。同様に、FD&C橙色5号、FD&C赤色3号、FD&C赤色40号、FD&C緑色3号、FD&C黄色5号、FD&C黄色6号、b−カロテン、マイカベースの真珠光沢色素、カラメル、および/またはクロロフィン銅錯体(銅クロロフィリンカリウムを含む)を含んでもよい。しかしながら、他の着色料が含まれる場合、これらは本発明の望ましい特徴、すなわち、望ましいin situコントラスト、全体の望ましいミントグリーン色、および練り歯磨などの歯科用組成物における安定性を保つ組み合わせの限りにおいてのみ、これらを加えるべきである。
【0020】
上述の態様のいずれにおいても、顕示剤は、ヒトの口への歯科用顕示剤を送達するための、練り歯磨などの歯科用顕示剤送達組成物の成分であってもよい。
【0021】
上述の態様のいずれにおいても、ヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物は、フッ化スズ(および/または他のスズの塩)を含み得る。上述の態様のいずれにおいても、ヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物は、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(トリクロサン)を含み得、ただし、フッ化スズおよびトリクロサンが同じ歯磨剤において用いられないことが望ましい。かかる組成物は、歯列矯正患者による使用のために特に有益である。本発明はしたがって、清掃されるべき範囲を強調する顕示物質と組み合わせて、臨床的に有効な量のスズ含有またはトリクロサン含有組成物を含有する、安定な歯磨剤組成物を対象に塗布することによる、効果的な歯石制御を有するスズ含有またはトリクロサン含有組成物の効果的な送達のための方法を提供する。
【0022】
本発明の口腔組成物は、安全に使用でき、歯科用顕示剤のもととして着色料を使うことにより起こり得る害を防ぐと考えられる。
【0023】
一態様において、口腔組成物は、歯列矯正患者における脱灰の量を顕著に減らす、ヒトの口内に位置するプラークを同定するためのものである。
【0024】
歯の清掃における、あらゆる患者のために要する時間が、徐々に減り、より良いコンプライアンスおよび成功がもたらされることが考えられる。
【0025】
本発明の一側面は、患者が自分の歯のどこにプラークが形成されているかをブラッシングの間にすぐに見ることを可能とする、ヒトの口への歯科用顕示剤の送達のための組成物および処置方法である。ブラッシングのプロセスの間に染め色(stain)が除去された時点で、歯は清潔であり、脱灰のリスクは最小限となる。一態様において、本発明は、(歯のエナメルの強度を強め、齲歯(decay)のリスクを減らす)フッ化スズのかなりの濃縮物と、患者が自分の歯のどこにプラークが形成されているかをブラッシングの間にすぐに見ることができるようにする顕示剤とを兼ね備える。ブラッシングのプロセスの間に染め色が除去された時点で、歯は清潔であり、脱灰のリスクは最小限となる。
【0026】
一側面において、本発明は、患者に、清掃を最大化し、象牙質のすり減りを最小化する観点で必要なブラッシングの量の視覚的な判断を可能とする。
【0027】
本発明のこれらのおよび他の特徴、側面、および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになる。
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、ヒトの口内における歯垢の存在を明らかにするための歯科用顕示剤組成物、当該顕示剤は、青色着色料およびアナトー種子に由来する天然着色料を含み、および患者が自分の歯のどこにプラークが形成されているかをブラッシングの間にすぐに見ることを可能とする歯科用顕示剤とヒトの口に送達するための歯科用顕示剤送達組成物とを兼ね備えた、一側面において練り歯磨の形状である、口腔組成物である。ブラッシングのプロセスの間に染め色が除去された時点で、歯は清潔であり、脱灰のリスクは最小限となる。この製品は、患者が使用してきているあらゆる他の練り歯磨に取って代わり、家族全員が毎日使うために優れている。
【0029】
当該組成物における2つの重要な顕示剤の1つは、アナトー種子からの抽出物であり、Bixaceaeの種(species)から得られる。Bixaceaeまたはベニノキファミリー(achiote family)は、双子葉植物のファミリーである。Bixaceaeは3つの属、合計で25の種を含む。この科で最も知られている種は、この科のタイプ属に属する、アナトーのもとである、ベニノキ(achiote)である。ベニノキ(achiote)(Bixa orellana)は、アメリカの熱帯地方由来の低木または小さな木である。アナトーは、ベニノキ(achiote)の種子を囲んでいる赤い果皮から抽出される。粗抽出物における脂溶性の色は、ビキシンと呼ばれ、これは、水溶性のノルビキシンに鹸化することができる。アナトー種子は、4.5〜5.5%の色素を含有し、これは、70〜80%のビキシンからなる。カロテノイドとして分類される、化合物ビキシンおよびノルビキシンによって、黄色からオレンジの色が作り出される。しかしながら、ベータ−カロテン、他の周知のカロテノイドとは異なり、アナトーベースの色素は、ビタミンAの前駆体ではない。より多くのノルビキシンがアナトー抽出物に存在すると、これはより黄色くなり;高いレベルのビキシンが、よりオレンジの色調をこれに与える。一態様において、アナトー抽出物は、Roha USA, LLC, St. Louis, Mo, 63110によって、Natracol Annatto Extract WSPの商標で販売される製品である。Natracol Annatto Extract WSPは、水−アルカリ抽出法を使用して、アナトー種子から得られる。これをさらに噴霧乾燥し、自由流動性の微粉末を得る。ノルビキシン含有量は、4%+/−0.2%であり、pHは>9であり、材料は水溶性であり、成分は、マルトデキストリン、アナトー抽出物、およびポリソルベート80である。
【0030】
第1の着色料は、プラークを染め、アナトー種子抽出物と組み合わせた場合に、500nmおよび580nm、好ましくは505nmおよび535nmの間の波長の色をもたらす、いかなる着色料であってもよい。一態様において、着色料は、アナトー抽出物と組み合わせた場合に、ミントグリーンの色をもたらす青色着色料である。一態様において、青色着色料は、FD&C青色1号である:
【化1】
他の態様において、青色着色料はFD&C青色2号である。
【0031】
一態様において、第1の着色料は、紫ニンジン中の天然の着色料である。一態様において、第1の着色料は、紫ニンジン抽出物である。一態様において、紫ニンジン抽出物は噴霧乾燥により調製される。一態様において、紫ニンジン抽出物は、およそ等しい重量部の炭水化物および糖を含む。一態様において、紫ニンジン抽出物は、1重量パーセント(1%)よりも少ないタンパク質を含んだ。一態様において、紫ニンジン抽出物は、およそ等しい重量部の炭水化物および糖を基礎とし、1重量パーセント(1%)よりも少ないタンパク質を含有する。一態様において、紫ニンジン抽出物は、1%水溶液(E1%、1重量%)において、425の波長で、11.5〜12.5の色の濃さを有する。かかる抽出物の1つは、Roha USA, LLC, St. Louis, Mo, 63110から入手可能である。
【0032】
いくつかの合成染料または合成着色料は、喘息、甲状腺腫瘍、うつ病および不安、とくに小児における注意欠損障害を含む、多くの疾患または病気と関係があるとされてきた。さらに、数種の合成染料または合成着色料は、発がん性であると考えられている。事実、ヨーロッパの数か国は、これらの合成染料または合成着色料のいくつかの使用を禁止した。これらの染料のいくつかについての、有害な効果についての研究は決定的ではないかもしれないが、本願発明は、ある着色料の有害な効果のリスクを克服する。
【0033】
本明細書において、用語「天然の着色料」は、レーキ、染料、これに限定されないが植物化学物質を含む化学物質、植物、藻、スパイス、ハーブまたは、これらに限定されないが果物および野菜を含む食品源に由来する、またはこれらから抽出された色素などの着色料である。
【0034】
したがって、本願発明において使用される歯科用顕示剤は、プラーク堆積物に十分に染み込む能力を有し、過度に長時間の染色効果を奏することなく、使用者がただちに見ることができるようにプラークを染めなければならない。この染色有効性は、全ての歯の表面におけるプラーク形成の範囲を同定し、歯肉または他の口腔組織を染めないために、選択的でなければならない。この選択的な染色有効性は、単に、ブラッシング、洗浄、または使用後のすすぎによって、口からの容易な除去性を伴わなければならない。さらに、味は心地よく、使用者に受け入れられるものでなければならず、色は心地よくなければならない。最後に、これは無害であり無毒でなければならない。
【0035】
本発明の口腔組成物は、口腔に歯科用顕示剤を送達し、歯を洗浄および維持する機能を提供するために練り歯磨の形状へと一緒に混合されることができる、活性および不活性成分の両方である、様々な成分で形成されている、歯科用顕示剤送達組成物を含む。口腔組成物は好ましくは練り歯磨として調合されるが、ゲルまたは液体等の他の送達手段を調合することもできる。
【0036】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は界面活性剤を含む。界面活性剤の適切な非限定例は、硫酸化オレイン酸ブチル、中鎖および長鎖脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、フマル酸の塩、カリウムグロメート(potassium glomate)、モノ−およびジグリセリドの有機酸エステル、クエン酸モノグリセリジルステアリル、スクシステアリン(succistearin)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、トリステアリン酸グリセロール、レシチン、ヒドロキシル化レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、アセチル化モノグリセリド、スクシニル化モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、エトキシル化モノ−およびジグリセリド、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリル−2−ラクチル酸カルシウム、ステアリルラクチル酸ナトリウム、グリセロールおよびプロピレングリセロールの乳酸化脂肪酸エステル、C.sub.8-C.sub.24脂肪酸のグリセロール−ラクトエステル、C.sub.8-C.sub.24脂肪酸のポリグリセロールエステル、アルギン酸プロピレングリコール、ショ糖C.sub.8-C.sub.24脂肪酸エステル、モノ−およびジグリセリドのジアセチル酒石酸およびクエン酸エステル、トリアセチン、サルコシン酸塩界面活性剤、イセチオン酸塩界面活性剤、タウリン酸塩(tautate)界面活性剤、プルロニック、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、プロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合に由来する生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、およびこれらの混合物を含んでもよい。
【0037】
ある態様において、フッ化物は、それ自体が歯のエナメルに取り込まれ、虫歯を予防し、歯をより強くすると知られているので、フッ化物源を含む。フッ化物化合物は、歯の齲蝕を制御するための効果的な成分として幅広い使用が見出されている。これらのフッ化物化合物の中で、スズイオンを含有するフッ化物塩(例えばフッ化スズ)は、スズイオンを含まないフッ化物塩と比較して、歯のエナメルによるフッ化物の取り込み、およびその結果として処理後のエナメルの酸耐性の増加をもたらすと報告されている。米国特許第3,105,798号は、水溶性フッ化物塩、第一スズおよび第一スズと水溶性錯体を形成することのできる6個の炭素のアルドン酸基の水溶性の給源から実質的になる歯磨剤組成物であって、アルドン酸基の第一スズに対するモル比が、約1:1〜約3:1の範囲内であり、第一スズのフッ化物イオンに対するモル比が、約1:1よりも大きく、歯磨剤が約5〜7のpHを有する、前記歯磨剤組成物を開示する。1モルのフッ化ナトリウムを2モルのフッ化スズと反応させることにより得られるナトリウムペンタフルオロスタナイト(NaSn.sub.2 F.sub.5)の結晶が、米国特許第3,490,866号に記載されている。メタンジホスホン酸またはエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸などのポリリン酸のスズ塩の使用が、米国特許第3,549,677号に記載されている。スズイオンおよびフッ化物イオンを含有する先行技術の組成物は、ある程度は歯の齲蝕の減少に効果的であるが、これらの効果は顕著に高くはない。さらに、これらは、適用時の歯の表面に対するこれらのより低い反応性、または有効性の保持の容易な減少のために、繰り返しの適用を必要とする。
【0038】
フッ化物の非限定的な代表的な形状は、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、およびフッ化スズを含む。歯の齲蝕の制御における治療効果のために、フッ化スズは一般に練り歯磨に組み込まれる。フッ化スズゲル、リンス、および歯磨剤は、歯の齲蝕、象牙質知覚過敏、歯垢および歯肉炎の減少のための臨床効果を提供することが示されている。これらの臨床効果に加え、フッ化スズを含有する処方物は、化学的および抗菌作用を介して、改善された息の恩恵を提供することにも役立つ可能性がある。
【0039】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は、研磨材を含む。適切な非限定的な代表的な研磨材は、シリカ、アルミナ、リン酸塩、炭酸塩およびこれらの組み合わせを含む。ある態様において、研磨剤は、沈殿シリカ、シリカゲルおよびこれらの組み合わせから選択されるシリカである。さらに、ある態様において、研磨剤は、以下から選択される:炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、脱水リン酸二カルシウム、オルトリン酸水素カルシウム、およびこれらの組み合わせ。
【0040】
ケイ酸は、清掃を最大化し、歯のすり減りを最小化するために、歯科用の研磨材として使用される。これまで、かかる特徴を最適化する能力は、個人がどれだけの長さブラッシングをすべきかを判断する方法が存在しなかったために、かかる目的のために用いられる個々の成分の構造を制御することに一般的に限定されていた。例えば、歯が清潔である場合、歯科用の研磨材の使用は、清掃に対する効果はなく、実際には有害かもしれない。しかしながら、歯が清潔でない場合、歯科用の研磨材の使用は、異物を効率的に取り除くために必要である。従来技術は、歯科用の研磨材の改良に限定され、すり減りの接触がどれだけ必要かを判断することへの教示は存在しない。本願発明は、消費者に視覚的に必要とされるブラッシングの量を判断することを可能とする:つまり、全ての顕示材料が取り除かれるまでブラッシングをする必要がある。かかる歯磨剤目的のための沈殿シリカ構造における改変の例は、Wasonの米国特許第3,967,563号、第3,988,162号、第4,420,312号、および4,122,161号、Aldcroft et al.の米国特許第4,992,251号および5,035,879号、Newton et al.の米国特許第5,098,695号、ならびにMcGill et al.の米国特許第5,891,421号および第5,419,888号などの刊行物の中に記載されている。シリカゲルにおける改変は、McGill et al.の米国特許第5,647,903号、DeWolf, II et al.の米国特許第4,303,641号、Seybertの米国特許第4,153,680号、ならびにPader et alの米国特許第3,538,230号などの刊行物の中に記載されている。かかる開示は、歯磨剤の利益のために、増強された清掃力(cleaning capacity)を与え、象牙質のすり減りレベルにおける削減を与えるための、かかるシリカ材料における改良を開示する。しかしながら、これらの改良は、かかる清掃およびすり減り特性の異なる結果レベルを実現するために、個々の材料を異なる量で顕示成分と共に組み込む能力を歯磨剤製造者に与える好ましい特性レベルを送達する能力に欠ける。異なる粒子径および特定の表面面積の組成物を伴うシリカの組み合わせは、Karlheinz Scheller et al.の米国特許第3,577,521号、Macyarea et al.の米国特許第4,618,488号、Muhlemannの米国特許第5,124,143号、Ploger et al.の米国特許第4,632,826に開示されている。かかる結果の歯磨剤は、しかし、視覚的な指示薬を使用することによる、すり減りおよび清掃の望ましいレベルを同時に提供できない。本発明は、単一のペースト内で、歯科用顕示剤、フッ化物イオン、および歯科用の研磨材の使用を組み合わせる。
【0041】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は、これらに限定されないが、水、ソルビトール、グリセリン、キシリトール、またはこれらの組み合わせなどの、保湿剤を含む。
【0042】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は増粘剤を含む。適切な非限定的な代表的な増粘剤は、メチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、イナゴマメ、トラガカント、ローカストビーン、およびカルボキシメチルセルロース、セルロースガム、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸などの酸味料、およびこれらの混合物を含む。
【0043】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は保存料を含む。適切な非限定的な代表的な保存料は、安息香酸ナトリウム、エチルパラベン、メチルパラベン、およびこれらの組み合わせを含む。
【0044】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は、フレーバー付与剤を含む。適切な非限定的な代表的なフレーバー付与剤は、天然または人工フレーバーなどの当業者に既知のフレーバーであって、合成フレーバーオイルおよびフレーバー付与芳香族および/または植物、葉、花、果実などに由来する、オイル、オレオレジンおよび抽出物、ならびにこれらの組み合わせを含む。非限定的な代表的なフレーバーオイルは、スペアミントオイル、シナモンオイル、ウィンターグリーンのオイル(サリチル酸メチル)、ペパーミントオイル、クローブオイル、ベイオイル、アニスオイル、ユーカリオイル、タイムオイル、ニオイヒバオイル、ナツメグのオイル、オールスパイス、セージのオイル、メース、ビターアーモンドのオイル、およびカッシアオイルを含む。また、有用なフレーバー剤は、バニラなどの人工の、天然の、および合成のフルーツフレーバー、およびレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツを含むシトラスオイル、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットを含むフルーツエッセンス、アルデヒドフレーバー剤およびこれらの組み合わせである。
【0045】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は甘味料を含む。適切な非限定的な代表的な甘味料は、水溶性甘味料、水溶性人工甘味料、天然に存在する水溶性甘味料に由来する水溶性甘味料、ジペプチドベースの甘味料、およびタンパク質ベースの甘味料を含み、これらの組み合わせを含む幅広い材料から選択されるものを含む。典型的な例は、可溶性サッカリン塩、すなわち、ナトリウムまたはカルシウムサッカリン塩、L−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミドを含む。
【0046】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は、ビタミンE、アルファ−トコフェロールなどのビタミン類を含む。
【0047】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は、抗微生物剤/抗菌剤を含む。適切な非限定的な代表的な抗微生物剤/抗菌剤は、トリクロサン、キシリトールまたは塩化セチルピリジニウム単独、またはこれらの組み合わせを含む。抗菌剤は歯科用組成物の保存期間を延長するが、さらに口内における微生物の固体数を最小限にすることもできる。口腔環境は微生物の成長を助長し、食品および微生物の再導入の対象となることから、ならびにプラークおよび歯石は継続的に歯に堆積するので、組成物は清掃プロセスの間の微生物増殖に対処する必要がある。歯の表面に形成し復原する歯垢は、単に水ですすぐだけでは洗い流すことのできない、有害な細菌のコロニーである。付着したプラークの除去には活発な歯のブラッシングが必要であり、トリクロサンの使用は、有害な菌を破壊する。
【0048】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は、キレート化剤を含む。非限定的なキレート化剤は、ピロリン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、二アルカリ金属ピロホスフェート塩、テトラアルカリ、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)および炭酸エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム二水和物(CaNa2EDTA・2H20、EDTAカルシウム二ナトリウム FCC)またはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物(Na2H2EDTA・2H20、EDTA二ナトリウム FCC、エデト酸二ナトリウム USP)などのEDTAの塩、およびこれらの組み合わせを含む。歯科用顕示剤送達組成物または顕示剤組成物のいずれかにおける、EDTAおよびその塩の使用は、複数の機能を提供する。第1に、これはプラーク軟化及び分解剤として働き、プラークの除去を支援する。実際のプロセスは、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)などの多価イオンを有する微量金属のキレートに関与するであろう。さらに、EDTAおよびその塩は、微量金属に化学的に結合し、効果的にキレートすることにより、色、フレーバー、長期保存力(shelf-life capacity)への微量金属の影響を最小限にする。
【0049】
ある態様において、歯科用顕示剤送達組成物は、ピロリン酸四ナトリウムなどの抗歯石剤を含む。
【0050】
以下の表は、歯科用顕示剤送達組成物および歯科用顕示剤組成物の実例の態様である。表1は、練り歯磨の好ましい態様における歯科用顕示剤送達組成物を記載するが、顕示剤送達組成物は、これらに限定されないが、ゲルまたは液体処方などの他の形状で処方されてもよい。
【0051】
表1は、本発明の歯科用顕示剤送達組成物の一般的な例である。
【0052】
【表1-1】
【表1-2】
【0053】
表1において、0.1〜5.0%の間の量で存在する紫ニンジン抽出物は、FD&C青色1号で置き換えられてもよく、またはFD&C青色1号と組み合わせてもよい。
【0054】
表2は、本発明による歯科用顕示剤組成物の特定の態様を例示する。
【0055】
【表2-1】
【表2-2】
【0056】
本発明のヒトの口内に位置するプラークを同定するための口腔組成物の歯科用顕示剤送達組成物を製造するためのプロセスは以下のとおりである:
基本的な配合プロセスの概要
フェーズ−A
グリシン、ソルビトールおよびCMCを混合し、透明になる(塊がなくなる)まで適度な撹拌で組み合わせる。
フェーズ−B
TSPP、サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム、および安息香酸ナトリウムを50〜60Cの水(蒸留またはRO/DI)に添加し、溶解するまで適度な撹拌で混合する。
盛んな撹拌を伴って、BをAに添加し、透明になる(塊がなくなる)まで混合し、A/Bを得る。
フェーズ−C
フッ化ナトリウム溶液をA/Bに添加する。フェーズ−C
フェーズ−D
均一になるまで盛んな撹拌を伴って、リン酸二カルシウムをA/Bに添加する。減速し、完全に脱気する。
フェーズ−E
染料パッケージ、フレーバーを添加し、均一になるまで適度な撹拌で混合する。維持する。
【0057】
染料パッケージの基本的な配合プロセスの概要
すべてのサプリメント/染料パッケージに関して2つのフェーズが存在する:
フェーズA: SLS、安息香酸ナトリウムを40〜50Cの水に添加する。透明になるまで混合する。
フェーズB: Aに全ての着色料を添加し、低速の撹拌で透明になるまで混合し(空気を入れない)、染料パッケージを形成する。
*上述の骨格染料パッケージに規定された量で最終温度にて添加する。
最終pH調整:
pHレベルを確認するためにLab/R&Dのために最終製品をサンプリングする。必要であれば、Lab/R&Dによって提供された所定量の水酸化ナトリウムを用いて、低速度の撹拌下で、バッチに添加する。6.2〜7.9のpH範囲が達成されたことを保証するために、再度サンプリングする。
【0058】
本発明の特定の形態が開示されているが、本明細書に記載され、示された特定の形態または配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がされてもよいこと、および明細書において示され、記載されているものに限定されるものではないことは、当業者には明らかであろう。目的を遂行し、言及された結果および利点、ならびにそれらに内在するものを得るために、本発明をうまく適合することを、当業者は容易に理解するであろう。本明細書に記載の態様、方法、手順、および技術は、好ましい形態の現在の代表であり、例示を意図したものであり、範囲を限定するものではない。本発明の精神の範囲内に包含され、添付の特許請求の範囲によって定義される、その中の変更および他の使用は、当業者には思い浮かぶであろう。本発明は特定の好ましい態様に関連して説明したが、請求された本発明はそのような特定の態様に不当に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際、当業者に明らかである本発明を実施するための記載された様式の様々な改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。