(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の電気エネルギー貯蔵セル(11、12、21、22、31、32)、及び前記セル(11、12、21、22、31、32)を互いに接続する電気ネットワーク(5)を備える蓄電池(1)であって、前記セル(11、12、21、22、31、32)は、セルの数が偶数である複合セル(10、20、30)としてグループ化され、前記複合セルは互いに直列に接続されており、前記電気ネットワーク(5)は、
各複合セル(10、20、30)の前記セル(11、12、21、22、31、32)を並列に及び直列に接続する接続手段(52)、
前記蓄電池(1)に接続される電池充電器又は電気モータの少なくとも1つの作動パラメータを獲得する獲得手段(54)、
前記セルの充電の状態に関わらず、前記電池充電器又は電気モータの効率を最適化するように、獲得された前記作動パラメータに従って、前記蓄電池(1)の端子にわたって送達される最適電圧を推定する推定手段、及び
前記推定手段によって事前に推定された前記最適電圧に従って、各複合セル(10、20、30)の前記セル(11、12、21、22、31、32)を並列に及び直列に接続するのに適切な前記接続手段(52)を制御する制御手段(57)を備え、
前記制御手段(57)は、前記蓄電池(1)が電気モータに電流を供給しているか、又は、前記蓄電池(1)が充電されているかを推定し、
前記蓄電池(1)が電気モータに電流を供給している場合、
前記獲得手段(54)は、前記電気モータの回転速度及び電流を取得し、
前記推定手段は、前記電気モータの回転速度及び電流と最適電圧との対応付けが予め記憶された第1のレジスタから、取得した前記回転速度及び前記電流に対応付けられた最適電圧を取得し、
蓄電池(1)が充電されている場合、
前記獲得手段(54)は、前記蓄電池(1)によって引き込まれた最大電流強度Imaxを取得し、
前記推定手段は、最大電流強度と最適電圧との対応付けが予め記憶された第2のレジスタから、取得した前記最大電流強度Imaxに対応付けられた最適電圧を取得し、
前記制御手段(57)は、取得した前記最適電圧に基づいて、前記接続手段(52)を制御する、
蓄電池(1)。
前記獲得手段(54)は、各複合セル(10、20、30)及び/又は各セル(11、12、21、22、31、32)の、電圧及び/又は充電状態及び/又は容量を、獲得する、請求項1から5のいずれか一項に記載の蓄電池(1)。
外部ケーシング(4)であって、そこから2つの接続端子(2、3)が現れ、その中の電池において前記複合セル(10、20、30)が前記2つの接続端子(2、3)の間で直列に接続される、外部ケーシングが設けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の蓄電池(1)。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、セルを接続することによってセルの平衡化並びに電気モータ及び充電器の効率低下の問題を未然に防ぐ、新しい蓄電池のアーキテクチャを提案する。
【0011】
より具体的には、導入部で定義されたような蓄電池が本発明に従って提案されており、複数のセルがセルの数が偶数である複合セルとしてグループ化されること、複数の複合セルが直列に接続されること、並びに電気ネットワークが、各複合セルのセルを並列に又は直列に接続する手段、及び各複合セルのセルを並列に又は直列に接続するのに適切な前記接続する手段を制御する手段を備えることが提供される。
【0012】
したがって、本発明によって、電池の端子にわたって電圧を所望の電圧に調整するように各複合セルのセルを選択的に直列に又は並列に接続することが可能である。
【0013】
実際に、この所望の電圧は、電気モータ又は電池充電器のために最大効率を保証するものである。
【0014】
さらに、この電池のアーキテクチャによって、セルが直列に接続されている複合セルを、セルが並列に接続されている複合セルと定期的に互い違いにして、蓄電池の寿命及び再充電の間の車両の範囲のためにセルの充電を再平衡化することが可能である。
【0015】
本発明による蓄電池の他の有利な且つ非限定的な特徴は、以下の通りである:
‐ 前記接続する手段は、各複合セル内に3つのブレーカスイッチを備え、
‐ 各複合セルは、それぞれ少なくとも1つのセルから構成される2つの同一の分岐を備え、
‐ 前記接続する手段は、2つの分岐を直列に又は並列に接続するのに適切であり、
‐ 複合セルはすべて同一であり、
‐ 電気ネットワークは、電圧及び電流を獲得する手段を備え、それにより各複合セル及び/又は各セルの充電状態及び/又は容量を推定することが可能となり、
‐ 外部ケーシングであって、そこから2つの接続端子が現れ、複合セルが2つの接続端子の間で直列に接続される、外部ケーシングが設けられる。
【0016】
本発明は、このような蓄電池の接続する手段を制御する方法であって、
‐ 蓄電池に接続される電池充電器又は電気モータの少なくとも1つの作動パラメータを獲得するステップ、
‐ 作動パラメータに従って蓄電池の端子にわたって送達される最適電圧を推定するステップ、
‐ 蓄電池の各複合セル及び/又は各セルの端子にわたる瞬時電圧を獲得するステップ、
‐ 獲得された瞬時電圧に従って各複合セルの充電状態パラメータを推定するステップ、
‐ 獲得された最適電圧及び瞬時電圧に従って複合セルの数「k」を推定するステップであって、蓄電池の端子にわたる電圧が実質的に最適電圧に等しいようにセルが直列に接続されなければならない、ステップ
‐ 「k」個の複合セルであって、その充電状態パラメータが、蓄電池の放電の場合に最大であり、又は蓄電池の充電の場合に最小である、「k」個の複合セルを決定するステップ、
‐ これらの「k」個の複合セルを接続する手段を制御し、それらのセルを直列に接続するステップ、
‐ 残りの複合セルを接続する手段を制御し、それらのセルを並列に接続するステップ
を含む方法をさらに提案する。
【0017】
有利には、最適電圧を推定するステップにおいて、獲得された作動パラメータに対応する記録に対してデータベースレジスタ内で検索が行われ、データベースレジスタの各記録は、前記作動パラメータの決定値を最適電圧と関連付け、関連付けられた最適電圧が記録から読み取られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1では、自動車車両用の蓄電池1が表されている。
【0021】
本明細書では表されていない自動車車両は、自動車車両を推進させるように設計される電気モータ、及び蓄電池1を再充電するための充電器を備える。
【0022】
この自動車車両は、回復制動手段をさらに備えることができ、この回復制動手段は、蓄電池1を再充電できるように、自動車車両の制動によって発生したエネルギーを回復することを可能にする。
【0023】
ここでは、蓄電池は、電気モータ及び車両のいわゆる「高電圧」ネットワークに接続される多用な補助アイテムに電流を供給する専用のトラクション電池1である。
【0024】
これは、従来、収納ケーシング4を備え、そこから正極端子2及び負極端子3が現れる。
【0025】
さらに、トラクション電池1は、収納ケーシング4の内部に複数の電気エネルギー貯蔵セル11、12、21、22、31、32、及び特にこれらのセル11、12、21、22、31、32を負極端子3及び正極端子2に接続することを可能にする電気ネットワーク5を備える。
【0026】
ここでは、これらのセル11、12、21、22、31、32は、リチウムイオンタイプである。これらの各セルは一度充電されると、その端子にわたって2から5Vの電圧を示す。
【0027】
図面の明瞭性のために、これらのセル11、12、21、22、31、32のうちの6つのみが図面で表されている。
【0028】
実際には、トラクション電池1は、遥かに多くの数、N個のセルを備える。セルの数は、電気モータが所定期間において車両を推進させるのに十分なトルクと電力を発生させることができるように選択される。
【0029】
通常、トラクション電池1の正極端子2及び負極端子3にわたる電圧が約400Vであり且つ十分な容量をもつように、約200個のセルが使用される。
【0030】
本発明は、より正確には、これらのセル11、12、21、22、31、32が互いに接続される態様に関するものである。
【0031】
より正確には、本発明によると、セル11、12、21、22、31、32は、セルの数が偶数である複合セル10、20、30によって分配される。
【0032】
電気ネットワーク5は、導電体51(電線など)を備え、導電体は、複合セル10、20、30を正極端子2と負極端子3の間で直列に接続する。
【0033】
電気ネットワーク5は、各複合セル10、20、30の内部に、この複合セルのセル11、12、21、22、31、32を、直列にだけではなく、並列に接続するのに適切な接続する手段52をさらに備える。
【0034】
電気ネットワーク5は、前記接続する手段52を制御するのに適切な制御手段57をさらに備え、それにより各複合セル10、20、30のセル11、12、21、22、31、32を選択的に直列に又は並列に接続する。
【0035】
好適には、複合セル10、20、30はすべて同一である。
【0036】
図面において示されるように、これらの複合セルはそれぞれちょうど2つのセルを備える。
【0037】
図1では、接続する手段52の好適な実施形態が表されている。
【0038】
この
図1において第1の複合セル10をみると、導電体53を介して正極端子2に接続される入力点S1、及び電線51によって第2の複合セル20に接続される出力点S2を備えることが見受けられる。
【0039】
2つのセル11、12を選択的に直列に又は並列に接続するための、この複合セル10内に設けられる接続する手段52は、
‐ セル11の2つの端子をそれぞれ入力点S1及び出力点S2に接続するための導電体(電線又はプリント回路トラック(printed circuit tracks)など)、並びにセル11と出力点S2の間に接続されるブレーカスイッチ102を備える第1の分岐54と、
− 第1のセル11と並列して、セル12の2つの端子をそれぞれ入力点S1及び出力点S2に接続するための導電体、並びに入力点S1とセル12の間に接続されるブレーカスイッチ101を備える第2の分岐55と、
− セル11と出力点S2の間に位置する点S3を、入力点S1とセル12の間に位置する点S4に接続するための導電体、並びにブレーカスイッチ103を備える第3の分岐56と
を備える。
【0040】
例えばMOSFET型でありうるブレーカスイッチ101、102、103はそれぞれ、可能状態と不能状態の間で制御可能である。
【0041】
制御手段57は、複合セル10、20、30の組のブレーカスイッチ101、102、103を制御するように設計される。
【0042】
制御手段57は、より正確に、各複合セル10、20、30の最初の2つのブレーカスイッチ101、102を同じ状態(両方可能状態又は両方不能状態であろうと)に制御するために、第3のブレーカスイッチ103を反対状態に制御するために、及び「活線」状態、すなわち電流が電池を通過するときの状態を変化させることを任意選択的に許容するために設計される。
【0043】
これらの制御手段は、ここでは、マイクロプロセッサ(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、アナログ・デジタル変換器、並びに様々な入力及び出力インターフェースを備えるマイクロコントローラ57によって形成される。
【0044】
入力インターフェースを用いることによって、マイクロコントローラ57が、ランダムアクセスメモリ(RAM)内に保存することを目的として、電気モータ、充電器、及びトラクション電池1のセルに関連するデータを獲得することが可能になる。
【0045】
この目的のために、これらの入力インターフェースは、作動パラメータを獲得する手段に接続され、具体的には、電気モータの回転速度ωを獲得する手段、充電器が引き寄せることができる最大強度I
maxを獲得する手段、トラクション電池1の各セルの端子にわたって個別の電圧U
jを獲得する手段、及びトラクション電池1によって引き寄せられた又は受信された全体的な強度I
batを獲得する手段に接続される。好適には、作動パラメータを獲得する手段は、充電器が引き寄せることができる最大強度を獲得する少なくとも1つの手段、又はモータの瞬時回転速度を獲得する手段を備える。
【0046】
プロセッサは、読取専用メモリ内に保存される様々なプログラムを実行することができる。
【0047】
具体的には、プロセッサは、セルの端子にわたる個別の電圧U
jに従って、及び強度I
batに従って、各セル11、12、21、22、31、32の個別の容量Q
jを計算するプログラムを実行するのに特に適している。
【0048】
このプログラムは、例えば、カルマンフィルタ型のソフトウェアセンサアルゴリズムに基づくことができる。
【0049】
マイクロコントローラ57の読取専用メモリは、さらに2つのデータベースレジスタを記憶する。
【0050】
第1のレジスタは、それぞれ電気モータの回転速度ω及び電流のスパンを最適電圧U
optに関連付ける複数の記録を備え、最大電圧に達したときには、これらの回転速度における電気モータの最適効率が保証される。
【0051】
第2のレジスタは、複数の記録を備え、この複数の記録はそれぞれ充電器が引き寄せることができる最大強度Imaxのスパン及びハードウェアの制約を最適電圧Uoptに関連付ける。最適電圧Uoptに達したときには、トラクション電池1の充電の最適効率が保証される。
【0052】
マイクロコントローラ57の出力インターフェースは、ブレーカスイッチ101、102、103に接続され、それらを可能状態又は不能状態に制御する。
【0053】
次いで、マイクロコントローラ57は、各複合セル10、20、30のブレーカスイッチ101、102、103を制御するのに適切であり、この複合セルのセルを並列に又は直列に接続する。
【0054】
図2の第1の複合セル10で示されるように、マイクロコントローラ57は、2つのセル11、12が直列に接続されるように、ブレーカスイッチ101、102を不能状態に制御し、ブレーカスイッチ103を可能状態に制御することができる。
【0055】
次いで、複合セル10の端子にわたる全体的な電圧U
10は、2つのセル11、12の端子にわたる個別の電圧U
11、U
12の合計に等しくなる。
【0056】
複合セル10の全体的な容量Q
10は、2つのセル11、12の個別の容量Q
11、Q
12の最小容量に等しくなる。
【0057】
図2の第2の複合セル20で示されるように、マイクロコントローラ57は、他には、2つのセル21、22が並列に接続されるように、ブレーカスイッチ201、202を可能状態に制御し、ブレーカスイッチ203を不能状態に制御することができる。
【0058】
次いで、複合セル20の端子にわたる全体的な電圧U
20は、2つのセル21、22の端子にわたる個別の電圧U
21、U
22に等しくなる。
【0059】
複合セル20の全体的な容量Q
20は、2つのセル21、22の個別の容量Q
21、Q
22の合計に等しくなる。
【0060】
マイクロコントローラ57は、次いで、トラクション電池1の端子にわたる電圧U
batを最適電圧U
optに等しく維持するようにプログラムされ、電気モータ又は充電器のための最適効率を保証する。
【0061】
マイクロコントローラ57は、さらに、様々なセルの充電状態を同じレベルに維持するようにプログラムされ、トラクション電池1の寿命及び再充電の間の車両の範囲に対して害を及ぼすセル間の任意の不均衡を回避する。
【0062】
このために、マイクロコントローラ57は、以下の方法を実装する。
【0063】
第1のステップの過程で、マイクロコントローラ57は、トラクション電池1がその端子にわたって示さなければならない最適電圧U
optを獲得する。
【0064】
したがって、マイクロコントローラ57は、第1に、トラクション電池1が、電気モータに電流を供給しているか、又は充電しているかを判断する。
【0065】
トラクション電池1が電気モータに供給している場合、マイクロコントローラ57は、電気モータの回転速度ω及び電流を獲得し、次いで、第1のレジスタで、速度及び電流のスパンが、獲得された電気モータの回転速度ω及び電流に対応する記録を探し、且つ最終的にこの記録から関連付けられる最適電圧U
optを読み取る。
【0066】
反対に、トラクション電池1が充電している場合、マイクロコントローラ57は、充電器が引き寄せることができる最大強度I
maxを獲得し、次いで、第2のレジスタで、強度のスパンが、獲得された最大強度I
maxに対応する記録を探し、且つ最終的にこの記録から関連付けられる最適電圧U
optを読み取る。
【0067】
第2のステップの過程で、マイクロコントローラ57は、トラクション電池1の各セル11、12、21、22、31、32の個別の充電状態を判定する。
【0068】
したがって、マイクロコントローラ57は、第1に各セル11、12、21、22、31、32の端子にわたる個別の電圧U
j、並びに全体的な強度I
batを獲得する。
【0069】
この目的のために読取専用メモリ内に記憶されたプログラムにより、マイクロコントローラ57は、そこからトラクション電池1のセル11、12、21、22、31、32の個別の充電状態の優れた近似値を推定する。
【0070】
第3のステップの過程で、マイクロコントローラ57は、トラクション電池1の端子にわたる電圧U
batが最適電圧U
optに実質的に等しいように、セルが直列に接続されなければならない複合セルの数kを判定する。
【0071】
マイクロコントローラ57は、最適電圧U
opt及び獲得された個別の電圧U
jに基づいてこの計算を実行する。
【0072】
第4のステップの過程で、マイクロコントローラ57は、好適な態様で直列に接続されるk個の複合セルを選択する。
【0073】
蓄電池を充電する場合、これらのk個の複合セルは、そのセルが最小の個別の充電状態を示す複合セルである。
【0074】
蓄電池を放電する場合、これらのk個の複合セルは、そのセルが最大の個別の充電状態を示す複合セルである。
【0075】
次いで、マイクロコントローラ57は、セルを直列に接続するためにこれらのk個の複合セルのブレーカスイッチを制御し、残りの複合セルのブレーカスイッチは、それらのセルが並列に接続されたままでいるように制御される。
【0076】
これらの4つのステップは、トラクション電池1の端子にわたる電圧U
batが、最適電圧が変化するときでも、最適電圧U
optに等しいままでいるように、ループで繰り返される。
【0077】
したがって、
図2で示されるように、セルの個別の容量が減少するとき、又は最適電圧が増大するとき、より多くの数のセルを直列に接続することが可能である。
【0078】
これらの4つのステップのループ化された繰返しによって、さらに、選択されたk個の複合セルが同一のままであること、且つこれらの複合セルのセルがより速く放電することを防ぐことが可能になる。反対に、選択されたk個の複合セルは、最も極端な充電状態を示すセルであり続ける。
【0079】
したがって、直列に接続されたときに充電状態が修正されたセルは、より少ない負荷を受けるように、及びトラクション電池1の他のセルのレベルに再平衡化することができるように、並列に接続することができる。
【0080】
本発明は、使用される充電器が特許文献FR 2 964 510に記載される種類のものであれば特に有益である。
【0081】
ここではその詳細を記載しないが、この充電器は、
− 三相ネットワークに接続されている抵抗‐誘導‐容量の種類のフィルタ処理段階、
− 降圧段階、
− トラクション電池に接続されている昇圧段階、及び
− 降圧段階と昇圧段階との間に介在する誘導コイル
を備える。
【0082】
前記文献に記載の制御目的のために、(降圧段階の出力における)中性点における電流は、いかなる瞬間においても、安全マージンを伴って、三相ローカル電気ネットワーク(three−phase local electrical network)の電流の強度よりも、そして全体的な強度I
batよりも大きくなければならない。
【0083】
本発明によって、トラクション電池1の端子にわたる全体的な電圧U
batを高い値に保つことが可能である。したがって、等しい電力のために、電池に送られる電流I
batの強度を減少させることが可能である。したがって、中性点における強度を減少させることが可能であり、それにより電気的損失を著しく減少させることが可能になる。
【0084】
本発明は、使用される電気モータが同期型のものであると、さらに特に有益となる。
【0085】
このようなモータにおいては、トラクション電池1の端子にわたる全体的な電圧U
batは、電気モータが提供できるようになる電力領域を画定する。
【0086】
磁石を有する同期機の場合、電動モータの動作を支配する方程式は、次の通りである:
− V
dとV
qは、モータのパーク平面の2つの軸に印加される電圧(ボルト単位)であり、
− I
dとI
qは、パーク平面の2つの軸の上でモータに流れる電流の強度(アンペア単位)であり、
− R
sは、モータの固定子の等価抵抗(オーム単位)を表し、
− L
dとL
qは、モータの各軸上のインダクタンス(ヘンリー単位)であり、
− ω
Γは、モータの磁界の回転速度(これは同期機であるので、前記速度は、モータの対をなす極の任意の数を乗じた回転子回転速度に等しい)(ラジアン/秒)であり、
− Φ
fは、回転子の磁石によって生じる流束を表す(ウェーバ単位)。
【0087】
滑らかな極を有する機械という単純な事例では、電気モータによって供給されるトルクは、電流I
qに比例する。したがって、電流I
dは、ジュール損失しか引き起さない。
【0088】
さて、インバータを介する電圧の印加に関連する制約は、以下のように表される:
【0089】
電流I
dを可能な限りゼロに維持するためには、トラクション電池1の端子にわたって高電圧を印加することが有用である場合があり、本発明はこれを可能にする。
【0090】
本発明は、記載され示された実施形態に限定されないが、当業者は、本発明の本質に従って、任意の変形例を適用することができる。
【0091】
一変形例として、各複合セルが、2つのセルではなく2つの同一の分岐を備え、それぞれが直列に接続されるセルの組から構成される、という変形例を提供することが可能である。したがって、接続する手段は、2つの分岐を直列に又は並列に接続するのに適切である。
【0092】
このトラクション電池の変形実施例は、使用するブレーカスイッチの数が減少するため、より安価になる。一方で、トラクション電池の端子にわたる電圧の制御は、それほど優れていない。