【文献】
Cary L. Pint et al.,Three dimensional solid-state supercapacitors from aligned single-walled carbon nanotube array templates,CARBON,ELSEVIER,2011年,Vol.49,p.4890-4897
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材は、ケイ素、インジウムスズ酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、ガラス、ポリマー、金属箔からなる群より選択される1種または複数種の材料を含み、または、前記基材は、導電する薄い金属層によって被覆され、または、これらの組み合わせである、請求項1に記載のデバイス。
前記誘電体層は、窒素、ホウ素、酸素、水素、または、ヒドロキシルからなる群より選択される1種または複数種の物質でドープされている、請求項5に記載のデバイス。
前記導電性材料は、Al、Ca、Mg:Ag、LiF:Al、Ti、In、Ta、Hf、Zr、これらの組み合わせからなる群より選択される1種または複数種の低仕事関数金属を含む、請求項1に記載のデバイス。
前記導電性材料は、Pt、Au、W、Co、Ni、Pd、Ir、Os、導電性ポリマーからなる群より選択される1種または複数種の高仕事関数金属/材料を含む、請求項1に記載のデバイス。
前記デバイスは、前記カーボンナノ構造体を支持する支持層をさらに備え、前記支持層は、前記基材と前記カーボンナノ構造体との間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
前記デバイスは、前記カーボンナノ構造体の形成に触媒作用を及ぼす触媒層をさらに備え、前記触媒層は、前記基材と前記カーボンナノ構造体との間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I.定義
本願において用いられる「基材」又は「支持体」とは、その上にナノチューブが成長する材料をいう。多種の材料が、多層基材の支持体としての役割を果たすことができる。一般的に、支持体は不活性であり、これは、支持体は、多層基材上でのナノチューブの形成には化学的に関与しないことを意味する。一部の実施形態において、支持体は、それらに限定はされないが、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、タンタル、白金、金、ニッケル、鉄、スズ、鉛、銀、チタン、インジウム、銅、若しくはそれらの組み合わせを始めとする金属、及び/又は1種又は複数種の、上記に掲げた金属の酸化物などの金属酸化物から、少なくとも一部が形成される。他の材料としては、それらに限定はされないが、セラミックス及びケイ素又は二酸化ケイ素などのケイ素化合物が挙げられる。一部の実施形態において、支持体の表面は、接着層との接着を向上させるために処理されてもよい。かかる処理としては、それらに限定はされないが、プラズマ支援の又は化学系の表面浄化を挙げることができる。別な処理としては、支持体上への金属又は金属酸化物の被膜又は粒子の成膜が挙げられる。一部の実施形態において、支持体の表面は、カーボンナノチューブアレイとの接着を低下させるために処理されてもよい。かかる処理としては、それらに限定はされないが、ナノチューブ成長時の水蒸気の使用又はナノチューブを支持体から遊離させるために化学的に除去することができる支持層の使用が挙げられる。
【0014】
本願において用いられる「支持層」とは、一般的に、基材の導電性を向上させるために、基材と多層とCNTとの間の基材に付け加えられる金属層をいう。
【0015】
本願において用いられる「接着層」とは、一般的に、界面層の支持体に対する接着を向上させる材料をいう。一般的に、接着層は、CNTを形成するために用いられる高温において、連続した膜として残存するために十分に厚くなくてはならない。接着層はまた、一般的に、高温でのCNT合成時の酸化物及び炭化物の形成に対する耐性をも提供する。
【0016】
本願において用いられる「界面層」とは、一般的に、ナノチューブ合成の条件下、又はナノチューブ合成の後の、適宜の酸化物を形成するための空気への曝露時に酸化される、通常は金属である材料をいう。一般的に、界面層は、触媒層及び接着層が界面層を通って拡散することができる程に十分に薄い。触媒層及び接着層が同一の組成を有する一部の実施形態において、触媒層及び接着層が同一の組成を有することは、触媒の界面層中への移行を低減し、ナノチューブ成長時の触媒寿命を向上させる。他の実施形態において、ナノチューブの基材からの取り外しを容易にするために、界面層は、接着層なしで用いられる。
【0017】
本願において用いられる「触媒層」又は「触媒作用をもつ層」とは、CNTアレイを形成するために用いられる化学蒸着条件下での酸化及び/又は炭化物形成に対する耐性を有する材料又は複数の材料をいう。触媒作用をもつ層は、化学蒸着を通じたカーボンナノチューブの形成を触媒することができる遷移金属から形成される薄膜とすることができる。触媒作用をもつ層を形成するために用いることができる好適な材料の例としては、鉄、ニッケル、コバルト、ロジウム、パラジウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。触媒作用をもつ層は、ナノチューブ形成時に用いられるアニーリング条件下において、触媒作用をもつナノ粒子又は凝集体を形成するために適当な厚さを有する。
【0018】
本願において用いられる「カーボンナノチューブアレイ」又は「CNTアレイ」又は「CNTフォレスト」とは、材料の表面上に垂直配向した複数のカーボンナノチューブをいう。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブがその上に支持される、又は付着する表面に対して実質的に直角で存在する場合、「垂直配向」しているといわれる。ナノチューブは、ナノチューブが、平均で、面法線の30度、25度、20度、15度、10度、又は5度以内で配向している場合、実質的に直角であるといわれる。
【0019】
本願において用いられる「誘電体層」とは、ナノチューブ上に形成される、一般的には金属酸化物又は金属酸化物多層の組み合わせである、共形被膜を意味する。一部の実施形態において、この層は、支持層を研磨することにより開口されるナノチューブ先端部に対してのみ塗工される。一部の実施形態において、誘電体層は、ポリマー又は分子又は電解質である。
【0020】
本願において用いられる「低仕事関数材料」とは、カーボンナノチューブの仕事関数よりも少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、又は3eV低い仕事関数を有する、金属などの材料をいう。
【0021】
本願において用いられる「高仕事関数材料」とは、カーボンナノチューブの仕事関数よりも少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、又は3eV高い仕事関数を有する、金属などの材料をいう。
【0022】
本願において用いられる「高い非対称性」とは、正の印加電圧における電流が増加する電圧と共に増加する場合に、負の印加電圧における電流が、同様の電圧範囲の絶対値にわたって、正の電圧における電流の変化の約10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、又は5%未満の幅で変化することを意味する。あるいは、負の印加電圧における電流が増加する負の電圧と共に増加する場合に、正の印加電圧における電流が、同様の電圧範囲の絶対値にわたって、負の電圧における電流の変化の約10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、又は5%未満の幅で変化することを意味する。一部の実施形態において、高い非対称性は、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60の整流比と同義である。
【0023】
本願において用いられる「非線形性」とは、電圧が増加する際に電流が増加する割合が、電圧と共に同様に増加することを意味する。
【0024】
本願において用いられる「ターンオン電圧」とは、電流−電圧曲線の直線部分に重なる直線がy軸と交差する(すなわち、ゼロ電流)電圧を意味する。
【0025】
本願において用いられる「カットオフ周波数」とは、CNT−酸化物−金属ダイオード又はレクテナの効率が、ゼロへと急激に減少し始める周波数を意味する。ダイオード抵抗がアンテナ抵抗よりも大幅に大きい場合、レクテナに関するカットオフ周波数は以下のように定義される。
f
c=1/2π・R
A.C
D
式中、R
Aはアンテナ抵抗、C
Dはレクテナダイオードの静電容量である。
【0026】
本願において用いられる「レクテナ」とは、整流ダイオードに結合されたアンテナを含有するデバイスをいう。レクテナは、IRの検知及び太陽エネルギーの変換を始めとする広帯域の電磁波エネルギーの変換に用いることができる。レクテナは、交流(AC)の太陽電磁波を、アンテナで受容しダイオードで整流することにより、直流(DC)の電力に変換する。
【0027】
本願において用いられる「整流」とは、交流(AC)の直流(DC)への変換を意味する。
【0028】
本願において用いられる「整流比」とは、ある印加電圧における順電流の逆電流に対する比率を意味する。
【0029】
本願において用いられる「共形」とは、下地の材料を露出させるピンホール又は欠陥が全くない状態で表面微細構成を被覆することを意味する。
【0030】
II.カーボンナノ構造体(CNS)ダイオードアレイ
本願においては、カーボンナノチューブ(CNT)−酸化物−金属ダイオードなどのカーボンナノ構造体−酸化物−金属ダイオードを含有するアレイ、並びにその製造方法及びその使用方法が記載される。好適なカーボンナノ構造体としては、それらに限定はされないが、カーボンナノファイバー、ホーン、コーン、チューブ、又は他の高アスペクト比の黒鉛状ナノカーボンが挙げられる。一部の実施形態において、上記アレイは、垂直配向した、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)などのカーボンナノチューブを含有する。上記ナノ構造体は、金属酸化物などの誘電体の共形被膜によって被覆される。カーボンナノ構造体の先端部は低又は高仕事関数金属により被覆され、該先端部にカーボンナノ構造体−酸化物−金属界面を形成する。上記アレイは、平面幾何配置よりも高充填密度を与え、以下に議論するような向上した電気的性能をもたらす。一部の実施形態において、チューブなどのナノ構造体の密度は約10
8〜10
12CNT/cm
2である。一部の実施形態において、上記密度は約10
10CNT/cm
2である。
【0031】
A.カーボンナノチューブ(CNT)
一部の実施形態において、上記アレイは、該アレイの上部(すなわち、基材上に垂直配向したときの、カーボンナノチューブの端部により形成される表面)からアレイの底部(すなわち、基材表面)まで連続したナノチューブを含有する。
【0032】
上記アレイは、多層カーボンナノチューブ(MWNT)から形成されてもよく、一般的にMWNTは、概略4層と概略10層との間、好ましくは約6層〜約10層、より好ましくは約8層〜約10層、最も好ましくは約10層の層を有するナノチューブをいう。アレイは、また、金属状少層ナノチューブ(FWNT)から形成されてもよく、一般的にFWNTは、概略1〜3層を含有するナノチューブをいう。FWNTとしては、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層カーボンナノチューブ(DWNT)、及び3層カーボンナノチューブ(TWNT)が挙げられる。アレイは、また、カーボンナノファイバー、ホーン、コーン、又は任意の他の高アスペクト比の黒鉛状ナノカーボン構造体から形成されてもよい。
【0033】
ある実施形態において、ナノチューブはMWNTである。一部の実施形態において、アレイ中のMWNTの直径は5〜40nm、好ましくは5〜20nm、より好ましくは5〜10nm、最も好ましくは約7〜約8nmの範囲である。ナノチューブの直径は、電気的活動の有効面積を決定する。カットオフ周波数は、ナノチューブの直径の2乗に反比例する。ダイオード抵抗がアンテナ抵抗よりも大幅に大きい場合、レクテナに関するカットオフ周波数は以下のように定義される。
f
c=l/2π・R
A・C
D
式中、R
Aはアンテナ抵抗、C
Dはレクテナダイオードの静電容量である。ダイオードの静電容量はダイオードの面積に比例する。
【0034】
上記アレイは、平面幾何配置よりも大幅に大きな充填密度を与え、以下に議論するような向上した電気的性能をもたらす。一部の実施形態において、チューブなどのナノ構造体の密度は約10
8〜10
12CNT/cm
2である。一部の実施形態において、上記密度は約10
10CNT/cm
2である。
【0035】
上記アレイ中のMWNTの長さ(高さ)は、約0.5ミクロン〜約50ミクロンとすることができ、好ましくは、MWNTの長さは、レクテナデバイス又はレクテナデバイスのMWNTアンテナ構成要素と結合される電磁エネルギーの波長と対等である。例えば、500nm波長の光用の検知器としては0.5ミクロン長が最も好ましく、10ミクロン波長の赤外エネルギー用の検知器としては、10ミクロン長が最も好ましいこととなる。他の好適な波長としては、300〜2500nm(太陽スペクトル中の波長)、1,100〜2,500nm(当該デバイスが太陽電池の背後に配置され、ケイ素が吸収できない太陽エネルギーを「捕捉」する「捕捉」用途向け)、740〜1,000nm(遠隔通信用途)、1,000〜3,000nm(遠隔検知)、3,000〜5,000nm(高温での監視)、8,000〜14,000nm(周囲温度での監視)、及び14,000〜50,000nm(分光分析及び天文学用途)が挙げられる。
【0036】
広帯域の太陽放射吸収に関しては、MWNTの長さは、好ましくは最大太陽放射波長の1、2、3、又は4倍、より好ましくは最大太陽放射波長の2、3、又は4倍、最も好ましくは最大太陽放射波長の4倍である。
【0037】
ダイオード接合部において、カーボンナノチューブの内側の層へ電気的に接触させるために、カーボンナノチューブを操作することができる。単一のCNTダイオード接合の直列抵抗は、少なくとも20GΩであることが示唆され、これは、開端多層CNTへのオーミック接触に関して得られたものに比べて約8桁高い。ナノ加工技法を用いて、ダイオード接合部のCNTの端部を開放し、低抵抗接触及び多数の多層CNTシェルを介した導通を容易にし、単一の接合の直列抵抗に対する達成可能な下限を定量化及び理解することができる。例えば、スピンオンガラスを用いてCNTアレイに浸み込ませることができ、当該ガラスが研磨され、CNTの開末端が露出される。これにより、多層CNTの内側の層に対して形成された接触によってダイオード接合を形成することができ、有効な導通経路が増加する。また、気相又は溶液相での化学的処理を用いても、多層CNTの片端又は両端を開放して、低抵抗の接触を形成することができる。プラズマエッチング又はイオンエッチングを始めとする他のエッチング加工を用いて、多層CNTの片端又は両端を開放し、低抵抗の接触を形成することができる。メタルコンタクト及び/又は誘電体層は、多層ナノ構造体の層又は表面に接触することができる。
【0038】
接着促進層が用いられない実施形態において、当該層がないことにより、触媒粒子のエッチング及びガラス−CNT層の基材からの剥離が容易になる。ガラス中のCNTアレイの底部は、成長のための基材から取り外されれば、研磨及び/又はエッチングしてCNTの開末端を露出させることができる。これにより、底部金属を成膜し、多数のCNT層と接触させることができる。上部及び底部の金属層の厚さを必要に応じて制御し、レクテナの試験に十分な光学的透明性を与えることができる。また、1又は複数の高い仕事関数を有する金属(例えばAu)及び1又は複数の低い仕事関数を有する金属(例えばAl又はCa)を選択し、酸化物誘電体層による障壁の高さを最適化することができる。
【0039】
ドーピングを介して、ドナー準位又はアクセプター準位を導入することにより(例えば、窒素又はホウ素)、ナノチューブの電子的構造を操作することもできる。かかるドーパントは、格子中にナノドメインを形成するために、CNTのフェルミ準位に非常に近接した(0.5eV以内)アクセプター様状態又はドナー様状態を導入することができる。窒素ドーピングは、CNT成長時にチャンバー内の窒素濃度を調整することにより、イン・シチュで行うことができる。ホウ素ドーピングは、CNT成長後に、別なプラズマチャンバー内で行うことができる。
【0040】
B.誘電体層
カーボンナノチューブは誘電体層の共形被膜により被覆される。代表的な材料としては、それらに限定はされないが、Al
2O
3、AlO
x、ZrO
2、TiO
2、ZnO、SiO
2、MgO、Nb
2O
5、CoO、NiO、Ta
2O
5、及びHfO
2などの金属酸化物又は半金属酸化物、ポリマー誘電体、有機表面改質剤又は分子、イオン性液体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態において、誘電体層は、それぞれ1.0、2.5及び3.9eVの異なる電子親和度を有するAl
2O
3、ZrO
2、及びTiO
2などの金属酸化物又は半金属酸化物である。絶縁体の電子親和度を電極の仕事関数の一つの値に近接させることが、トンネルダイオードにおける障壁の高さを低下させる一つの可能性のある方法である。特定の実施形態において、誘電体層はアルミナである。一部の実施形態において、カーボンナノチューブを、1種又は複数種の反応性官能基により機能化し、ナノチューブの共形被覆を可能にすることができる。
【0041】
誘電体層の電子密度は、誘電体層をドーピングすることにより、可逆的又は非可逆的に変えることができる。好適なドーパントとしては、それらに限定はされないが、窒素、ホウ素、酸素、水素、及びヒドロキシルが挙げられる。
【0042】
被膜の厚さは変えることができる。実験データは、酸化物絶縁層の厚さは障壁高さに影響を与え、結果としてターンオン電圧及びトンネル電流と相関することを示唆している。酸化物の核形成密度を向上させるCNTの機能化などの改善された作製手法により、絶縁体の厚さの下限及び量子力学的トンネリングによるダイオード動作の根本的な限界を、更に探索することができる。一部の実施形態において、誘電体層の厚さは、約0.5〜約15nm、好ましくは約8〜約1nm、より好ましくは約5〜1nm、最も好ましくは約4〜2nmである。
【0043】
C.メタルコンタクト
カーボンナノチューブの先端部すなわち端部は、金属で被覆され低抵抗金属接触を形成する。片端又は両端を金属で被覆することができる。一部の実施形態において、両端が金属により被覆される。金属は、低仕事関数金属又は高仕事関数金属とすることができる。代表的な低仕事関数金属としては、それらに限定はされないが、Al、Ca、Mg:Ag、LiF:Al、Ti、In、Ta、Hf、Zr、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態において、低仕事関数金属はアルミニウム又はカルシウムである。
【0044】
代表的な高仕事関数金属としては、それらに限定はされないが、Pt、Au、W、Co、Ni、Pd、Ir、及びOsが挙げられる。一部の実施形態において、金属はPt又はAuである。接触を被覆するために用いることができる他の高仕事関数材料としては、それらに限定はされないが、インジウムスズ酸化物を始めとする金属酸化物、並びに、それらに限定はされないが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリチオフェン(アルキル置換ポリチオフェンを含む)、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(p−フェニルスルフィド)、及びポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアセチレン、及びポリジアセチレンなどの芳香族及び非芳香族共役ポリマーを始めとする導電性ポリマーが挙げられる。上に掲げたポリマー種は、ポリマー骨格が、アルキル基などの1種又は複数種の官能基で置換された置換ポリマーを包含する。
【0045】
上記被覆された先端部は、局所電場を高めることができる点接触として作用し、電流の局所的な向上をもたらす。本願記載のダイオードアレイは、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60の整流を示す。
【0046】
III.CNTレクテナの製造方法
A.CNTアレイ
CNTは、本技術分野で公知の任意の技法を用いて、基材上に成長させることができる。一部の実施形態において、CNTは、低圧化学蒸着(LPCVD)法を用いて基材上に成長する。触媒技術及び蒸着時の加工を用いて、ナノチューブの直径、高さ、及び配向を制御することができる。プラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD)法などの技法を用いて、CNTアレイにおける大きな配向を促進することができ、該配向が、CNT−O−Mダイオードにおける整流を向上させる。
【0047】
基材は、必要な場合には、CNTの成長の前にアニールすることができる。基材は、一般的には、例えば概略10分間などの短時間アニールされる。一般的に、多層基材は、窒素又はアルゴンなどの不活性ガス流下でアニールされる。ある実施形態にいて、アニーリング温度は、約500℃と約650℃との間、より好ましくは約500℃と約600℃との間、最も好ましくは約525℃と約575℃との間である。
【0048】
任意の好適な炭素源ガスを用い得る。一部の実施形態において、炭素源ガスはアセチレンである。他の好適な炭素源ガスとしては、エテン、エチレン、メタン、n−ヘキサン、アルコール、キシレン、金属触媒ガス(例えば、カルボニル鉄)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態において、炭素源ガスは金属触媒ガスであり、該ガスは触媒層と共に、あるいは触媒層なしで用いることができる。
【0049】
基材は、CNT成長のための支持層及び触媒層によって被覆することができる。支持層は多種の材料から形成することができる。一部の実施形態において、支持層は、Ti、Ni、Pt、Au、又はそれらの組み合わせなどの、1種又は複数種の金属を含む、あるいは該金属から形成される。触媒層は、多種の材料から形成することができる。一部の実施形態において、触媒層は、Al,Ni、Co、他の遷移金属、又はそれらの組み合わせなどの、1種又は複数種の金属を含む、あるいは該金属から形成される。一部の実施形態において、Ti、Al、及びFeの膜であって、それぞれ100、10、及び3nmの厚さを有する膜が基材上で蒸発した。C
2H
2などの炭素源ガスが反応器に導入され、ナノチューブを形成した。CNTを成長させるために用いられる温度及び/又は圧力は、特に基材の温度の制約の観点から、変えることができる。一部の実施形態において、温度は約850℃であり、圧力は約1kPaである。成長時間も変えることができる。一部の実施形態において、成長時間は約1〜約5分間、好ましくは約1〜3分間である。
【0050】
CNTが触媒層及び支持体層から成長する実施形態においては、CNTは、主として、触媒粒子が基材によく接着した状態を維持し、CNTがこの根から成長する基礎的な成長機構を通して成長するため、基材とCNTとの間の接触は、回路に抵抗を付加する金属粒子によって介在される。従って、一部の実施形態において、触媒スタック中において、触媒粒子を除去し、CNTの端部を開放する更なる加工のためのCNTの基剤からの移動を容易にするためには、接着促進剤層(例えばTi)を用いる必要はない。Fe/Al
2O
3などの触媒スタックは、接着促進層を用いずとも、弱い基材との接着を生み出すことが知られている。
【0051】
他の実施形態において、CNTは、第1の基材上で成長させ、ダイオードアレイ用の基材に移動させることができる。移動の前に、CNTの端部を加工して開放することができ、あるいは端部を閉じたままとすることができる。次に、導電性ポリマー、金属、又は有機表面改質剤などの導電性結合剤が先端部に塗工され、先端部は導電性基材に結合する。一部の実施形態において、この基材は光学的に透明である。
【0052】
カーボンナノチューブを成長させるために多種の基材を用いることができる。好適な基材としては、それらに限定はされないが、ケイ素、上記の金属の任意のものなどの金属、上記したものなどの金属又は半金属の酸化物、セラミック、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
B.誘電体被覆/先端部被覆
CNTは、本技術分野で公知の任意の技法を用いて塗工することができる誘電体被膜によって被覆される。一部の実施形態において、該被膜は、原子層成膜(ALD)を用いて塗工される。ALDは、高い共形性及び精密な厚さ制御を伴って、絶縁体の超薄膜を成膜するために用いることができる。該成膜は、自己制限的な表面反応により、原子レベルで制御される。その結果、表面化学の自己不動態化によって、高アスペクト比の多孔質構造の上に、均一で共形の成膜を生じることとなる。一方の表面部位において反応が完了すると、反応剤が高アスペクト比の細孔を下方に移動し続け、未反応の表面部位に到達することとなる。
【0054】
ALDは一般的に以下の4ステップを含む:1)前駆体Aへの曝露、2)試料及びチャンバーからの前駆体及び全ての副生物の排気又はパージ、3)反応種Bの曝露、4)チャンバーからの反応剤及び副生分子の排気又はパージ。上記表面反応を繰り返すことにより、酸化物(例えばアルミナ)の成長は、ABサイクルの数に対して極めて直線的になる。空気中では、殆どの表面に水蒸気が吸着して水酸基を形成する。一般的に、前駆体は水酸基と反応し、これが核形成部位として働く。ALDの核形成は、連続し且つピンホールのない超薄膜にとって重要である。
【0055】
CNTの表面は非常に不活性且つ疎水性であり、一般的に、前駆体と反応することができる化学種を含まない。その結果、CNT上へのAl
2O
3のALDは、孤立した核形成及びナノスフェアの成長を生み出す。これらのナノスフェアは、最終的には更に成長し、共形のより厚い膜を形成し、該膜はダイオード抵抗を増加させ、性能を制限する。高品質の共形且つ薄いALD被膜を成膜するために、CNT表面全体にわたる酸化物の均一な核形成及び成長に向けて、種々の出力及び暴露時間での酸素プラズマの使用により、CNTの機能化を最適化することができる。
【0056】
上記先端部は、本技術分野で公知の技法を用いて、金属、金属酸化物、及び/又は他の導電性材料によって被覆することができる。一部の実施形態において、金属、金属酸化物、又はポリマーを、先端部上に蒸着することができる。ポリマー被膜が塗工される実施形態に関しては、ポリマーを噴霧被覆することができ、又はデバイスをポリマー溶液中に浸漬することができる。
【0057】
IV.カーボンナノ構造体(CNS)−酸化物−金属ダイオードの使用方法
本願記載のダイオードアレイは、例えば、太陽放射から電気への変換及び太陽放射から熱への変換、並びに、軽量且つ安価な材料を用い、室温で動作する、軍事、保安、及び医療用途向けの赤外(IR)検知器などの様々な用途に用いることができる。強化された目標捕捉、監視、暗視等が、軍事及び保安用途に対して、かかるIR検知器が提供し得る利点の一部である。該デバイスは、コンピュータの利用及び検知(例えば、メモリスタなどのメモリーシステム)におけるデータ移送を始めとする様々な光電子工学的システム、及びテラヘルツでの検知用途に用いることができる。
【0058】
一部の実施形態において、本願記載のデバイスは、アンテナと結合されて、レクテナ太陽電池などのレクテナを形成することができる。これらの太陽電池は、広帯域の太陽放射から電気及び太陽放射から熱へのエネルギー変換に用いることができる。本願記載のデバイスは、現在の集光型太陽発電(CSP)吸熱体を補完する又はこれに取って代わることもできる。レクテナは、交流(AC)の太陽電磁波をアンテナで受容し、電流をダイオードで整流することにより、交流(AC)の太陽電磁波を直流(DC)電力に変換する。このプロセスは、高温では顕著に性能低下することが知られている半導体での太陽エネルギーの変換と基本的に異なる。但し、太陽放射周波数における整流は、極めて低いダイオードの静電容量を必要とし、該静電容量は、現存する製造手法では達成することが困難である。
【0059】
これに対して、本願記載のデバイスは、多層CNTの直径で規定されるダイオード接合面積において、低い静電容量を示す。CNTレクテナのダイオードは、穏和な加温(例えば、5℃〜77℃)において、及び繰り返し周期に対して、顕著な変化を示さない(例えば、優れた動作安定性)。上記デバイスは、順(+V)電流及び逆(−V)電流の間で顕著な非対称性を示す。この非対称性は、効率的なレクテナエネルギー変換にとって必要な高整流比を可能にする。これらもまた、CNTの低い固有抵抗及びCNT先端部における電場増強を利するものである。エネルギー変換効率は、現在の、20GΩに匹敵するダイオード抵抗の場合で約0.00002%であるが、効率はダイオード抵抗の逆数として大きさが測られるため、ダイオード抵抗を10kΩまで低下させることにより、40%の効率まで高めることができるはずであり、該抵抗は達成可能な水準である。
【0060】
本願では、優れた電気的性能を有する高密度(約1010/cm
2)MWCNT−O−Mトンネルダイオードを製造するための、効率的且つ大規模化可能な手法が記載される。上記MWCNT−O−Mダイオードアレイは、過去に観測されたことがない、低電圧における高い整流比及び電流密度、並びに広い温度範囲(例えば、5〜77℃)での多数の走査に対して安定した性能の組み合わせを生み出す。一部の実施形態において、整流比は、例えば2.5Vである低い動作電圧において、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60である。一部の実施形態において、動作電圧は、約0.3〜約3.0V、好ましくは約1.0〜約2.5V、より好ましくは約2.0Vである。一部の実施形態において、上記デバイスは、上記の整流比及び、少なくとも約1〜10,000A/cm
2、より好ましくは100〜10,000A/cm
2、最も好ましくは5,000〜10,000A/cm
2のトンネリング電流を示す。一部の実施形態において、トンネリング電流は、2.5Vなどの低動作電圧において、少なくとも又は約7,800A/cm
2である。これは、従来技術のM−O−Mダイオードに対して顕著な向上である。
【0061】
MWCNTと上部金属電極との間の仕事関数のより大きな違いは、より小さな動作電圧及びより高い整流比を生み出した。MWCNT−O−Mダイオードにおける有効障壁厚さは、測定されたデータから、同等の平面デバイスにおける有効厚さに比較して1/2近くまで小さいと推定され、これはMWCNT先端部における幾何配置的電場増強が最も考えられる要因である。
【0062】
本願記載の、半透明上部金属電極を用いたデータは、印加バイアスゼロにおける、太陽シミュレータからの1000W/m
2のAM1.5照射への曝露下での光電流及び光電圧を示す。太陽放射の照射下でのJ−V曲線における所与の印加バイアスに対する電流密度の大幅な増加は、本願記載のCNTレクテナデバイスが、室温及び太陽放射周波数において光検知器として動作することを証明している。太陽放射の照射下で、印加バイアスゼロにおいて測定可能な光電流及び光電圧が観察されたことは、上記構成が光検知器に加えて、エネルギー回収デバイスであることをも示唆している。このデータは、低透明度の上部メタルコンタクトを用い、アンテナ長さを入射電磁波長に整合させずに得た。酸化物/上部金属界面における障壁高さを低下させること(例えば、Ca電極デバイス)は、絶縁体/上部電極界面におけるより高い障壁高さを有するデバイス(例えば、Al電極デバイス)との比較において、ダイオードの整流/非対称性を向上させることが観測された。
【0063】
ダイオード抵抗がアンテナ抵抗よりも大幅に大きい場合、レクテナに対するカットオフ周波数は以下で定義される。
f
c=1/2π・R
A・C
D
式中、R
Aはアンテナ抵抗であり、C
Dはレクテナダイオードの静電容量である。測定される本願記載のデバイスの静電容量は2アトファラッドと推定される。アンテナ抵抗の合理的な推定値は100Ωである。従って、f
cは約800THzと推定され、これは375nmのカットオフ波長と等価であり、CNTレクテナアレイが、全ての赤外及び可視光太陽スペクトルを電気に変換できることを示す。
【0064】
レクテナのアンテナに結合される電圧は、以下で表される。
V=(2/π)
1/2・(R
A・G)
1/2・(P
solar_t)
1/2・λ
式中、Gはアンテナゲインであり、P
solar_tはレクテナデバイス中のトップコンタクトを透過した入射太陽放射束であり、λは太陽放射波長である。
【0065】
発電を行うダイオードに移送された電圧は以下で表される。
V
D=V
2/[1+(ω・C
D・R
A)
2]
式中、ωは太陽電磁照射の角周波数であり、C
Dはレクテナダイオードの静電容量である。V
Dは、ゼロバイアス、AM1.5 0.1W/cm
2の太陽放射の照射下、デバイスのトップコンタクトの推定透過率10%において、概略1mVであると測定された。同一のデバイスにおいて、単一のCNT−酸化物−金属ダイオードの抵抗(R
D)は、20GΩであると測定された。
【0066】
低下したダイオード抵抗のレクテナ効率に及ぼす効果を実証する目的で、V
D=1mAと仮定すると、レクテナ電流は以下で表される。
i=(γ・V
D2)/(4・R
0)
式中、γはダイオードの電流応答性(すなわち、電圧に対する電流の、二次導関数の一次導関数に対する比)である。本願記載のデバイスは、室温において、16という高いレクテナ電流を示す。かかる値は、高温では、熱的に励起された電子が酸化物障壁を通して漏洩するために小さくなる場合がある。
【0067】
CNTレクテナのアレイに関する電流は、i・Nとして表され、但しNはアレイ中のCNTの数密度である(10
10CNT/cm
2、ダイオード抵抗の推定はこの同一の数密度に基づく。)。実際のデバイス上での電流密度は、0.1〜1μA/cm
2の範囲であって、これはi・Nに基づく推定値と合理的に一致する。レクテナ電力は、簡単にV
D・iで表すことができる。本願記載のCNTアレイに基づくデバイスの太陽放射から電気へのレクテナ効率は、以下のように表すことができ、
η=(V
D・i・N)/P
solar_t=(V・V
D2・N)/(4・R
D・P
solar_t)
R
D=20GΩである現行の場合に関してはη=0.00002%であるが、R
Dが10kΩに低下すればη=40%まで増加させることができる。R
Dが、R
D>>R
Aが有効でなくなる程に低下する場合、ηが1より大きくならないように、V
DがR
Dと共に低下する。候補であるCa/Ag上部メタルコンタクトに関して70%の予想される透過率の場合、有効なデバイスの太陽放射から電気への効率は、少なくとも28%と予想される。
【実施例】
【0068】
材料及び方法
電気的計測
MWCNT−O−Mダイオードアレイの電流−電圧(J−V)特性は、温度制御されたステージを有するDC電気的プロービングステーションに接続されたアジレント社E5272Aソース監視装置を用いて測定した。プローブ及び導線の抵抗は1Ωのオーダーである。静電容量―周波数特性は、室温において、HP4284静電容量計を用いて測定した。MWCNT−O−Mデバイスの静電容量及び動作電場強度の限界は、105Hzの周波数及び20Vrmsにおいて、8及び15nmの酸化物の厚さについて、DCバイアスの関数として比静電容量を測定することにより確認した。測定された静電容量は、8及び15nmの酸化物に対して、それぞれ−2.75〜2.75V及び−3V〜+3Vで一定であり、これは、MWCNT−O−MダイオードアレイのJ−V特性の収集の間に、酸化物障壁に対する検知可能な損傷は生じていないことを示している。
【0069】
レクテナの測定
レクテナの応答を試験するために、1064nm波長(約281THz)をもつ赤外(IR)cwレーザーを用いた。MWCNTアンテナアライメントに対してレーザービームの偏光角を回転させることにより、開回路DC電圧を測定した。IRレーザービームの偏光は、半波長板及び直線偏光子を用いて制御した。
【0070】
仕事関数の測定
MWCNTの仕事関数は、空気中、ケルビンプローブ(Besocke Delta Phi社)を用いて、高配向熱分解黒鉛(HOPG)結晶試料を対照として測定した。
【0071】
構造的モルフォロジー分析
電解放出電子顕微鏡(ツァイス社、Ultra−60)を用い、走査電子顕微鏡(SEM)によるキャラクタリゼーションを行い、成長したままのCNTアレイ及び酸化物被覆されたCNTアレイの構造及びモルフォロジーを分析した。JEOL 4000EXを用い、少数の酸化物被覆試料について透過型電子顕微鏡(TEM)分析を行った。窒化ケイ素チップを有するアジレント社(Pico)の装置を用いて、平面デバイス構造についての原子間力顕微鏡(AFM)測定を行った。
【0072】
実施例1 デバイスの作製
低圧化学蒸着(LPCVD)法を用い、Aixtron Black Magic(著作権)反応器中、85℃及び1kPaで、炭素源ガスとしてC
2H
2を用い、単結晶Si基材上にCNTの垂直アレイを成長させた。上記Si上に、CNT成長のための支持体層及び触媒層として、厚さ100、10、及び3nmを有するTi、Al、及びFe膜を蒸発させた。成長時間は1分と3分の間で、平均高さ5〜8μmを有するMWCNTを生成させた。MWCNTの平均直径は概略7〜8nmであり、層の平均数は6であった。
【0073】
トリメチルアルミニウム(TMA)及び水(H
2O)蒸気を用い、250℃で、ALDにより上記MWCNT上に5、8、12、又は15nmのAl
2O
3誘電体層を成膜した。これらの厚さは、最適化したALDサイクル(100サイクル=10nm)に基づくものであり、該サイクルはSi基材上でキャリブレーションを行った。TMA及びH
2O蒸気をMWCNT先端部から基材底面まで完全に拡散することができるように、TMA及びH2Oの両方について、各ALDサイクルにおいて30秒のパージ時間を用いた。均一な核形成及びMWCNTのアレイ上への共形被覆を容易にするために、2組のALDサイクルの間に5分間の酸素プラズマを用いた。
【0074】
次に、シャドウマスクを用い、アレイ上に、Al(150nm)又はCa(40nm)/Al(100nm)のメタルトップコンタクトを真空蒸着し、MWCNT−O−Mデバイスを形成した。上記アレイ中の相対的により高いMWCNTの密度が、ALD対比でより高い蒸着速度と組み合わさり、真空蒸着された上部メタルコンタクトをMWCNT−O−Mアレイの先端領域に限局した。
【0075】
Si基材の半面上にSiO
x障壁層(250nm)を成膜させ、基材の他の半面上にCNT触媒層を成膜させることにより、定性的により直線的な、より錯綜していないMWCNTが調製された。この設計は、MWCNT−O−Mダイオードの大面積を探査する間の有効領域への突き抜け現象を防止し、レクテナ用途に対して半透明の上部金属電極が必要とされる場合に有用である。
【0076】
デバイス製造の概略図を
図1に示す。
【0077】
実施例2 CNT−O−Mデバイスの電気的計測
CNT−O−M(Ca)デバイスの電気的計測を行った。
図2は、0.01cm
2の有効面積を有する6個の異なるMWCNT−O−M(Ca)デバイスに対して、例外的に計測したJ−V特性の再現性を示す。別段の記載がない限りにおいて、上部金属電極の面積が、全てのデバイスに対して有効面積を定義する。1×1インチの基材上の2種の異なるデバイス領域の視覚的な画像を
図2bの右下の挿入図に示す。MWCNT−O−MデバイスのJ−V特性は、
図2bに示すように、多数の電圧走査時(12回)に一致し、このことは、該デバイスの優れた動作安定性を実証している。
図2a及び
図2bの左上の挿入図は、データの片対数プロットを示し、これらは、順(+V)電流と逆(−V)電流との間の顕著な非対称性を強調している。
【0078】
上記デバイスは、2.5Vの低動作電圧において、極めて高い7,800A/cm
2のトンネリング電流及び概略10.5の整流比(逆電流に対する順電流の比)を生み出した。個々のMWCNT−O−Mダイオード接合を通過する最低電流は、本願記載の方法を用いて製造されたMWCNTの数密度(約1010/cm
2)及び外径(7〜8nm)に基づいて、2.5Vにおいて0.77nAと推定される。この値は、従来技術のMWCNTにおいて大きなジュール熱を発生させるために必要な電流よりも数桁低い。一部のMWCNTは、成長時に引き抜かれることがあり、それは有効なダイオード接合の数密度を減少させることとなることを考慮すると、この推定された最低値よりも高い電流が発生し得たかも知れない。但し、かかる変化は、加工ステップの終了時に描かれる想像に基づいた本来の数密度の桁数内であると予想される。
【0079】
上記に議論した、MWCNT−O−Mダイオードに関する魅力的な電気的特性は、従来のM−O−Mダイオードの実証試験を凌ぐ。極薄(3.6nm)AlO
xを用いた転写捺染では、より高電圧(>±3.5V)においてのみ、しかも相当に低い電流で整流が起こった。ALD成膜Al
2O
3(<10nm)及び種々の電極仕事関数の組み合わせを有するダイオードは、大幅に高い電圧(±4V)において、相当に低い電流(nA)及び整流比(約1.5)しか発生しなかった。他のM−O−Mダイオードでは、製造の複雑さの度合いがより大きいデバイスにおいて、大幅に低い電流しか発生しなかった。
【0080】
最近の研究において、垂直配向したCNTが薄い酸化物上に成長してダイオード接合を形成した金属−酸化物−CNT構造体が、4Vにおいて合計で22nAの電流を発生させたことが示された(デバイス面積は報告がない)。本研究のMWCNT−O−M垂直ダイオードアレイによって発生する最大トンネル電流(約78mA、すなわち7,800mA/cm
2)は、相当に低い電圧において数桁高い。更に、薄い酸化物障壁上での直接のCNTの成長に必要な高温が、触媒金属を酸化物中に拡散せしめてデバイスを短絡させ、恐らく一貫性のない性能を生み出し得る。
【0081】
単層CNT(SWCNT)又はMWCNTを用いてショットキー接合を形成した平面デバイス幾何配置、金属/Si又はCNT/ナノワイヤー又はSWCNT/MWCNT構造を有するデバイスは、全てnA〜μA範囲の最大電流しか発生しなかった。これらの結果は、本願において作製されるMWCNT−O−Mトンネルダイオードの垂直アレイが、他のM−O−M系又はナノ構造体系整流デバイスに比較して、優れた性能及びより簡易な製造を提供することができることを示す。
【0082】
図3は、同一のバッチの酸化物被覆MWCNTアレイ上に、上部電極としてCa又はAlのいずれかを用いた数種のデバイス(面積=0.01cm
2)のJ−V特性を比較する。Caを用いた場合のAlを用いた場合に対するより高い整流電圧及びより低いターンオン電圧(
図4)(それぞれ約10.5V及び0.3V対それぞれ約2V及び1.6V)は、Caの約1.4eV低い仕事関数に起因する。J−V特性における同様の傾向は、MWCNT(底部電極)の仕事関数が異なる場合に観察された。
【0083】
上部をCaとしたデバイスと上部をAlとしたデバイスとの間のターンオン電圧及び整流比の違いもまた、異なるバッチで作製されたデバイス及び異なる面積で作製されたデバイスに対するものと類似する。ダイオードの整流及びターンオン電圧は、また、MWCNTの先端部の幾何配置電場増強によっても影響され得る。そこで、MWCTN−O−Caデバイスにおける仕事関数のコントラストと酸化物の厚さとを厳密に対等にして設計された平面Au−Al
2O
3−Caダイオードを、比較のために試験した(
図5)。該平面デバイスは、整流比(±2.75VのDCバイアスにおいて約1.2)及びMWCNT−O−Caダイオードにおいて発生する電流よりも数桁低いトンネル電流(2.75Vにおいて約1.5μA/cm2)を生み出す(
図3a)。これらの結果は、幾何配置電場増強に起因して低下した有効な障壁抵抗が、MWCNT−O−Mダイオードにおいて得られた大幅に高いトンネル電流及び非対称性に寄与することができたことを示唆する。
図3bに、MWCNT−O−Caデバイスにおける、仕事関数コントラスト及び電場増強が電子トンネリングに対する抵抗に及ぼす電位効果を説明するための、簡単なエネルギー準位の概略図を示す。電場増強は順方向にのみ期待されるものであるため、電場増強は、一方向性のトンネリング障壁の薄化に寄与する。これは、単一のダイオードは、大まかにいって、平面表面に対するMWCNT点接触エミッタと見なすことができることによる。
【0084】
シモンズによる電子トンネリング式は、しばしばM−O−Mダイオードに関する実験データを適合させるために用いられる。しかしながら、これらの式は平面構造体の挙動を定性的に予測する一方、電流密度はしばしば相当に過少予測される。CNTデバイスのJ−V曲線は、しばしば、これまでの研究における電流と電圧との間の級数的な関係から何がしか異なり、該関係は、本願記載のMWCNTデバイスのデータにおける観測と一致する。この理論の限界を理解すると、シモンズ式は、MWCNT−O−AlデバイスとMWCNT−O−Caデバイスとのターンオン電圧の違いが、実験データから上記に計算されたように、AlとCaとの仕事関数の違い、約1.4eV(
図3c)に帰すことができることを示すために用いられた。ターンオン電圧に基づいて、8nmの成膜した酸化物を有するMWCNT−O−Caデバイス及びMWCNT−O−Alデバイスは、1.5nmである同一の有効トンネリング障壁厚さを有することが判り(
図3cより)、該障壁厚さは、等価な平面デバイスにおける厚さ(
図6より2.8nm)よりも1/2近くまで小さい。これらの結果は、MWCNTデバイス中には電場増強が存在し、より高い電流密度に寄与しているとの結論を支持する。
【0085】
異なる酸化物の厚さを有するMWCNT−O−Mダイオードアレイの見掛けのデバイス面積(0.1cm
2)に基づいて測定される静電容量(C)は、我々の測定能力(106Hzまで)の周波数範囲において、ほぼ一定であることが
図7aに示される。ナノスケールの酸化物絶縁体の絶対誘電率は、厚さと共に減少し得ることから、上記結果は、従来の平行平板キャパシターの厚さの逆関係を示すものではない。SEMにおいて観測されたMWCNTの数密度(約1010/cm
2)及びMWCNTの直径(8nm)から推定される、大幅に小さい実際の又は有効なデバイス面積(0.5×10−3cm
2)を考慮すると、8nmのAl
2O
3を用いて作製されたMWCNT−O−Mアレイに関して、概略3.4μF/cm
2すなわちMWCNT接合当たり概略2アトファラッドの比静電容量、及び3.8の誘電率(ε)が
図7aより抽出される。等価の平面デバイスに対する測定からは、5.14のεが抽出される(
図8)。SEMにおけるMWCNTの計数に基づく有効なMWCNT−O−Mダイオード面積の決定における大きな不確かさを考慮すると、MWCNTダイオード及び平面ダイオードの両方のεは、この厚さの範囲におけるALD Al
2O
3の誘電率に対する報告値と合致する。
【0086】
8及び15nmのAl
2O
3を有するMWCNT−O−Mダイオードアレイのインピーダンスは、容量性リアクタンス(Xc)と抵抗(RD)とを並列とすることを想定して測定した(
図7b)。低周波数では、予想したように、Xcは15nmの酸化物を有するデバイスの方がより高い。概略104Hzを超える周波数においては、両方の酸化物の厚さ共に同様の大きさの低いRD及びXcを生み出し、これは106Hz及び20mVrmsにおける2〜106Ωのインピーダンス値に相当する。インピーダンスの実数部はこの周波数で2〜714Ωであり、これはゼロバイアスでのCa及びAlデバイスに関するDC抵抗の範囲307〜423Ω(Vbias≒0において(A・dJ/dV)^(−1)と定義される)と合致する。アレイ中のMWCNTの数密度を考慮すると、単一の接合抵抗の範囲は20〜7140GΩである。これらの抵抗は、酸化物被覆MWCNTの固有抵抗及び接触抵抗、並びに酸化物の厚さと共に級数的に増加する酸化物障壁の抵抗を包含する。単一の接合抵抗は、MWCNT及びその接触について一般的に観測される抵抗よりも4〜7桁大きく、従って、これらの高い抵抗は、恐らく、ゼロ又は低いバイアスにおける比較的厚い酸化物トンネル障壁に帰すことができる。
【0087】
規模拡大を実証するために、0.0025、0.01、及び0.1cm
2の面積を有する数種のMWCNT−O−Mダイオードを作製した(
図9a)。Ca及びAlの0.1cm
2の上部電極を有するデバイスにおける整流比(Caは±2Vにおいて10〜12、Alは±2Vにおいて2.5)(
図9b)は、理論的予想及びより小さな面積を有するデバイスにおいて示された傾向と合致する。しかしながら、合計の電流は、予想した通りには面積と共に増加せず、恐らくこれは、より大きな面積にわたって成長したアレイ中のMWCNTの高さの不均一性が増加したことに起因する、MWCNTと上部電極との接触が低下したことによる。
【0088】
定性的により直線的であり、よりより錯綜していないMWCNTを有するアレイは、他の全てのデバイスよりもより良好な整流挙動(3Vで60の比)及び非対称性を有するMWCNT−O−M(Al)ダイオードを生み出した(
図10a)。但し、MWCNTの直径は2倍近く大きく、恐らく先端部における電場増強を減少させるため、これらのデバイスにおけるトンネル電流は大幅に低い。より直線的なMWCNTを有するデバイスにおけるより良好な整流の理由は明確ではないが、そのことは、アレイのモルフォロジーに対してより大きな制御を及ぼすことの潜在的な重要性を強調している。数種のMWCNT−O−MデバイスのJ−V特性は、5〜77℃の範囲において実質的に変化せず(
図10b)、このことは、該デバイスが、強い温度依存性を有し、その静電容量により、真の量子トンネルダイオードによって達成することができる動作周波数よりも低い動作周波数に限定される半導体系ダイオード又は半導体性ショットキー接合のようには挙動しないことを示している。
【0089】
極高周波数における動作を実証するために、MWCNT−O−M垂直トンネルダイオードアレイ及び半透明上部金属電極、すなわち10nmのAlでキャップされた20nmのCa、を用いてレクテナデバイスを作製した。レクテナデバイスは、ダイオードの性能に関する制約のため、これまで太陽放射波長で実証しなければならない。MWCNTに基づく上記ダイオードは、ナノスケールの大きさ、及びこれらの制約を克服するために必要な整流性能を有することが観察された。MWCNT−O−Mレクテナアレイの、暗所及び1064nm(約281THz)レーザー照射での電流−電圧特性を
図11aに示す。該デバイスは、MWCNTの配向に対して概略45度の角度で上部から照射された。この照射は、MWCNT−O−Mダイオード応答の非線形性を増加させた。IRレーザーをオンオフさせるスイッチングは、
図11bに示すように、ゼロバイアスにおいて、速やかな−我々の測定感度の制約内では瞬時の−電流応答を生み出した。開回路電圧はレーザー偏光角の関数として測定したが、整流電圧に対する明確なアンテナ効果を示した(
図11c)。データは、上記MWCNT−O−Mダイオードは、少なくとも281THzの周波数で動作可能であることを示し、これは太陽スペクトルの範囲内に収まる。532nmでの照射に関するデータを
図12に示す。種々のデバイスに対する、AM1.5 0.01W/cm
2の太陽光による照射に関するデータを
図13及び
図14に示す。上記アレイは、1064nm又は532nmのレーザー波長により照射される場合、又はAM1.5 0.01W/cm
2の太陽光により照射される場合、0.1μA/cm
2又は1μA/cm
2よりも大きい短絡電流密度を生み出す。