【課題を解決するための手段】
【0026】
ある態様では、本発明は、電気ケーブルの状態をモニタするための方法であって、
電気ケーブルの少なくともケーブル・インピーダンスによって位相及び振幅変調され周波数fを有する広帯域信号波を、電気ケーブルの第1の端部に印加するステップと、
電気ケーブルの第1の端部において、電気ケーブルによって伝送及び反射された、位相及び振幅変調された広帯域信号波を取得するステップと、
取得された反射広帯域信号波に対し、
ケーブル・インピーダンスZ
DUTを、振幅及び位相によって特定された周波数fの関数として計算するステップと、
計算された
ケーブル・インピーダンスを時間領域t’に変換するステップと、
時間領域t’における周波数f’を計算するステップであって、周波数f’とは、電気ケーブルの一端から距離dにおける広帯域信号波の波反射に起因する時間領域t’における角周波数w’及び振幅Aの擬似周期関数の基本周波数であり、v
0を真空中の光速度、v
rを電気ケーブルにおける電気信号の推定相対位相速度として、
【数8】
を適用することによって計算される、ステップと、
電気ケーブルの絶縁に対するすべての局所的劣化を発見し位置を特定するために、時間領域t’における
ケーブル・インピーダンスの振幅及び位相の両方のパワー・スペクトル解析を実行するステップと、
電気ケーブルの電気的パラメータが不連続性であることを原因として電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nにおいて生じる広帯域信号波の波反射に起因する時間領域t’のパワー・スペクトルにおける周波数成分f”
1,f”
2,・・・,f”
nを識別して、位置Xiのそれぞれを、
【数9】
を適用することによって計算するステップと、
電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nの少なくとも1つの前後にある区間におけるパワー・スペクトルの位相インピーダンス・スペクトルのフーリエ変換の実数部と虚数部との間の関係を確立するステップと、
実数部及び虚数部から、電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nの少なくとも1つにおけるインピーダンス変化を識別するステップと、
を含む方法を提供する。
【0027】
ある実施例では、インピーダンスの変化を識別するステップは、ステップアップ・インピーダンス変化、ステップダウン・インピーダンス変化、高インピーダンス・スポット又は低インピーダンス・スポットの中の少なくとも1つを識別するステップを含む。高インピーダンス・スポットは、虚数部がゼロであり実数部が
正であるときに識別される。低インピーダンス・スポットは、虚数部がゼロであり実数部が
負であるときに識別される。ステップアップ・インピーダンス変化は、実数部がゼロであり虚数部が
正であるときに識別される。ステップダウン・インピーダンス変化は、実数部がゼロであり虚数部が
負であるときに識別される。
【0028】
ある実施例では、この方法は、より低いインピーダンスを備えたケーブル・セグメントを、ケーブル・セグメントの始点におけるステップダウン・インピーダンス変化及びそれに続くケーブル・セグメントの終点におけるステップアップ・インピーダンス変化として識別するステップを更に含み得る。更に、この方法は、より高いインピーダンスを備えたケーブル・セグメントを、ケーブル・セグメントの始点におけるステップアップ・インピーダンス変化及びそれに続くケーブル・セグメントの終点におけるステップダウン・インピーダンス変化として識別するステップを更に含み得る。
【0029】
別の態様では、本発明は、電気ケーブルの状態をモニタするための方法であって、
電気ケーブルの少なくともケーブル・インピーダンスによって位相及び振幅変調され周波数fを有する広帯域信号波を、電気ケーブルの第1の端部に印加するステップと、
電気ケーブルの第1の端部において、電気ケーブルによって伝送及び反射された、位相及び振幅変調された広帯域信号波を取得するステップと、
取得された反射広帯域信号波に対し、
ケーブル・インピーダンスZ
DUTを、振幅及び位相によって特定された周波数fの関数として推定/計算するステップと、
計算された
ケーブル・インピーダンスを時間領域t’に変換するステップと、
時間領域t’における周波数f’を計算するステップであって、周波数f’とは、電気ケーブルの一端から距離dにおける広帯域信号波の波反射に起因する時間領域t’における角周波数w’及び振幅Aの擬似周期関数の基本周波数であり、v
0を真空中の光速度、v
rを電気ケーブルにおける電気信号の推定相対位相速度として、
【数10】
を適用することによって計算される、ステップと、
電気ケーブルの絶縁へのすべての局所的劣化を発見し位置を特定するために、時間領域f’における
ケーブル・インピーダンスの振幅及び位相との両方のパワー・スペクトル解析を実行するステップと、
電気ケーブルの電気的パラメータの不連続性を原因として電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nにおいて生じる広帯域信号波の波反射に起因する時間領域t’のパワー・スペクトルにおける周波数成分f”
1,f”
2,・・・,f”
nを識別して、位置Xiのそれぞれを、
【数11】
を適用することによって計算するステップと、を含む方法において、
電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nの少なくとも1つでの電気ケーブルの絶縁における識別された故障の局所的劣化の深刻度を、識別された故障の位置における広帯域信号の二次反射を解析することにより確立するステップを更に含む方法を提供する。
【0030】
ある実施例では、この方法は、パワー・スペクトルにおける一次反射ピークの高さと二次反射ピークの高さとの差を確立して、終端から任意の距離にある任意のピークの高さを正規化するために電気ケーブルの減衰を評価するステップを更に含み得る。
【0031】
更に、上述した態様に係るこれらの方法は、パワー・スペクトルにおける終端ピークを解析することにより電気ケーブル端部の状態に関する尺度を確立するステップを更に含み得る。このステップは、終端ピークのそれぞれの側における2つの谷の間の差dyと終端ピークの高さdzとの間の関係を確立するステップを含む。
【0032】
ある実施例では、この方法は、解析器を用いて推定相対位相速度v
rを推定するステップを更に含んでおり、推定相対位相速度Vrを推定するこのステップは、
ケーブル・インピーダンスZDUTの少なくとも2つの共振周波数を評価するステップと、
ケーブル・インピーダンスZDUTの2つの連続的な共振周波数値f
k及びf
k+をそれぞれ識別するステップと、
Lを電気ケーブルの長さとして、v
r=2L(f
k+1−f
k)/v
0を適用することにより、電気ケーブルの相対位相速度Vrの第1の値を計算するステップと、
第1の相対位相速度Vrを用いて、
【数12】
を適用することにより、時間領域t’における電気ケーブルの基本周波数f’を計算するステップと、
f’の前後における選択可能な区間において時間領域t’における最大ピーク値を発見することにより、基本周波数f’の第2の値f”を計算するステップと、
【数13】
を適用することにより、相対位相速度v
finalrの推定値を計算するステップと、
を含む。
【0033】
別の態様では、本発明は、電気ケーブルの状態をモニタするためのシステムであって、
ケーブル・インピーダンスZDUTを、振幅及び位相によって特定された周波数fの関数として計算するための解析器と、
ケーブル・インピーダンスによって位相及び振幅変調され電気ケーブルの第1の端部に印加される周波数がfである広帯域信号波を生成するための生成手段と、
第1の端部において、ケーブル・インピーダンスによって位相及び振幅変調された広帯域信号波を取得するための取得手段と、
ケーブル・インピーダンスZDUTを、時間領域t’に変換するための変換手段と、
時間領域t’における周波数f’を計算するための解析器であって、周波数f’とは、電気ケーブルの一端から距離dにおける広帯域信号波の波反射に起因する時間領域t’における角周波数w’及び振幅Aの擬似周期関数の基本周波数であり、Voを真空中の光速度、Vrを電気ケーブルにおける電気信号の推定相対位相速度として、
【数14】
を適用することによって計算される、解析器と、を備えており、
解析器は、電気ケーブルの絶縁に対するすべての局所的劣化を発見し位置を特定するために、時間領域f’における
ケーブル・インピーダンスの振幅及び位相の両方のパワー・スペクトル解析を実行し、
解析器は、電気ケーブルの電気的パラメータが不連続であることを原因として電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nにおいて生じる波反射に起因する時間領域t’のパワー・スペクトルにおける周波数成分f”
1,f”
2,・・・,f”
nを識別し、
解析器は、位置Xiのそれぞれを、
【数15】
を適用することによって計算し、
解析器は、電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nの少なくとも1つの前後にある区間におけるパワー・スペクトルの位相インピーダンス・スペクトルのフーリエ変換の実数部と虚数部との間の関係を確立し、
実数部及び虚数部から、電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nの少なくとも1つにおけるインピーダンスの変化を識別する、システムを提供する。
【0034】
インピーダンスの変化を識別するステップは、ステップアップ・インピーダンス変化、ステップダウン・インピーダンス変化、高インピーダンス・スポット又は低インピーダンス・スポットの中の少なくとも1つを識別するステップを含み得る。高インピーダンス・スポットは、虚数部がゼロであり実数部が
正であるときに識別される。低インピーダンス・スポットは、虚数部がゼロであり実数部が
負であるときに識別される。ステップアップ・インピーダンス変化は、実数部がゼロであり虚数部が
正であるときに識別される。ステップダウン・インピーダンス変化は、実数部がゼロであり虚数部が
負であるときに識別される。
【0035】
ある実施例では、このシステムは、より低いインピーダンスを備えたケーブル・セグメントを、ケーブル・セグメントの始点におけるステップダウン・インピーダンス変化及びそれに続くケーブル・セグメントの終点におけるステップアップ・インピーダンス変化として識別することを更に含み得る。このシステムは、より高いインピーダンスを備えたケーブル・セグメントを、ケーブル・セグメントの始点におけるステップアップ・インピーダンス変化及びそれに続くケーブル・セグメントの終点におけるステップダウン・インピーダンス変化として識別することを更に含み得る。
【0036】
更に、電気ケーブルに沿った位置x
1,x
2,・・・,x
nの少なくとも1つでの電気ケーブルの絶縁における識別された故障の局所的劣化の深刻度を確立するステップは、識別された故障の位置における広帯域信号の二次反射を解析することにより実行される。このシステムは、パワー・スペクトルにおける一次反射ピークの高さと二次反射ピークの高さとの差を確立し、高さの差をパワー・スペクトルにおける終端ピークの高さに正規化することを更に含み得る。電気ケーブル端部の状態に関する尺度を確立するステップは、パワー・スペクトルにおける終端ピークを解析することによってシステムによって実行され、終端ピークのそれぞれの側における2つの谷の間の差dyと終端ピークの高さdzとの間の関係を確立するステップを含む。
【0037】
このシステムの別の実施例では、解析器は、
ケーブル・インピーダンスZ
DUTの少なくとも2つの共振周波数を評価し、
ケーブル・インピーダンスZ
DUTの2つの連続的な共振周波数値f
k及びf
k+1をそれぞれ識別し、
Lを電気ケーブルの長さとして、v
r=2L(f
k+1−f
k)/v
0を適用することにより、電気ケーブルの相対位相速度v
rの第1の値を計算し、
第1の相対位相速度v
rを用いて、
【数16】
を適用することにより、電気ケーブルの基本周波数f’を計算し、
f’の前後における選択可能な区間において時間領域t’における最大ピーク値を発見することにより、基本周波数f’の第2の値f”を計算し、
【数17】
を適用することにより、相対位相速度v
finalrの推定値を計算するように動作可能である。
【0038】
本発明は、電気ケーブルの状態モニタリングのシステムであって、基準信号CH0を提供する生成手段と、基準信号CH0と信号CH1とを取得する取得手段であって、信号CH1は電気ケーブルのケーブル・インピーダンスZ
DUTによって振幅及び位相変調された後の基準信号CH0である、取得手段と、基準信号CH0と信号CH1とに基づいて、印加された信号周波数の関数として
ケーブル・インピーダンスZ
DUTを計算して、ケーブル状態及び/又はケーブル故障の査定を提供する解析手段とを備えているシステムを、提供する。
【0039】
生成手段は、w
1からw
2まで(両者とも選択可能)の周波数帯域幅を有する掃引信号(sweep signal)で構成されるグリッド・ゾーンから選択された基準信号CH0を提供するように動作し得る。
【0040】
取得手段は、デジタル・ストレージ・オシロスコープであり得る。
【0041】
LIRA(線路共振解析システム)は、過酷な環境条件(例えば、高温、湿気、放射能)に起因するケーブル絶縁の大域的で進行性の劣化をモニタして、機械的影響又は局所的な異常環境条件に起因する絶縁材料の局所的劣化を検出することができる。
【0042】
LIRAシステムは、あらゆる種類の電気ケーブル(電力及び信号ケーブル)、すなわち、発電、配電及び送電におけるケーブル、プロセス産業におけるケーブル、航空宇宙産業におけるケーブル、又はオンショア、オフショア及び海面下への設置におけるケーブルにおける絶縁劣化及び線路破損を検出してモニタし、損傷/破損の位置を識別するのに用いられ得る。モニタリング及び検出は、遠隔地からリアルタイムで実行され得る。
【0043】
本発明による改善されたLIRAシステムは、次に掲げる2つの態様に関する改善を提供する。
1.位置が特定された特徴の深刻度査定と、損傷位置における電気的パラメータの振る舞い、すなわち、インピーダンスが増加しているのか低下しているのかに関するより良い理解。インピーダンスが上昇しているのか、下降しているのかに関する査定。これは、損傷原因の査定に役立つ。例えば、水分又は湿気の侵入は、常に、結果として、インピーダンスの低下を生じさせる。
2.終端におけるケーブル状態。これについては、後で詳述する。
【0044】
本発明による改善されたLIRAシステムは、ケーブル終端における状態のモニタリングを可能にする。ケーブル端部の状態を確立することは、例えば、石油及びガス産業、油井におけるダウンホール、海面下、原子力発電所、送配電及びそれ以外の到達困難な場所などの環境において、特に重要である。
【0045】
本発明は、添付の特許請求の範囲において定義されている。
【0046】
以下では、本発明の実施例が、次の図面を参照して説明される。