【実施例】
【0164】
(実施例1)
栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内のマイクロキャリア上でのhUTCの増殖及び採取
本実施例では、各種栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内のマイクロキャリア上でのhUTCの増殖及び採取が調査された。本実施例での研究のために、臍帯組織由来細胞を接種材料から増殖させ、次いで各種様々な増殖条件(条件1〜9)で増殖させ、それぞれの条件は以下に略述した様に様々な培養培地を使用した。
【0165】
本研究で使用したマイクロキャリアは、515cm
2/gの表面積を有する、Hillex(登録商標)Ultra(Solohill Engineering(Ann Arbor,MI))であった。
【0166】
本実施例で使用される際、用語「継代」は、別の容器からのコンフルエントのマイクロキャリアを有する新しいマイクロキャリアを含有する容器をインキュベートすることとして定義される。更に、本実施例で使用される際、用語「集団倍加」は所与の時間にわたって細胞の集団が倍加された回数として定義され以下のように計算される。
【0167】
【数1】
【0168】
細胞計数の手順
各種条件で必要とされるような細胞計数は以下の手順によって実施された。10mLのサンプルを無菌的に培養物から取り出し、15mL円錐遠心管に移した。次いで、サンプルを1600RPMで5分間遠心分離した。マイクロキャリアを確実に一切除去しないようにしながら、上清を注意深く除去した。次いで、37℃に事前に加温された5〜10mLのTrypLE(商標)Select(Gibco(登録商標))をマイクロキャリアに添加し、回転機上で15〜30分間撹拌した。次いで、遠心管の内容物を、マイクロキャリアを除去しかつ脱着した細胞だけを通過させる40μmフィルタを通過させて50mL円錐遠心管内へ移した。フィルタを通過させて1×PBSで2回の洗浄を行った。次いで、50mL円錐遠心管を1600RPMで5分間遠心分離した。管内に約1〜2mLの上清が残るまで、細胞ペレットを掻き乱さないように上清を注意深く除去した。ピペットを使用して残った物の体積を測定し、細胞は、この体積中で再懸濁された。得られた細胞懸濁液は、トリパンブルー排除法を使用するCEDEX(Innovatis)細胞計数装置を使用して計数された。CEDEX細胞計数に基づいて、培養容器中の細胞濃度が以下のように計算された。
【0169】
【数2】
【0170】
細胞培養手順
凍結されたhUTCのバイアルを解凍し、新鮮培地で洗浄した。細胞懸濁液を、培地及びマイクロキャリアを含有する125mLガラス製スピナーフラスコ内へ移した。これらの解凍した細胞を使用して接種材料を調製した。
【0171】
接種材料用の細胞の調製
接種材料を、種々のサイズ(125mL,500mL、及び3L)のガラス製スピナーフラスコ(Corning(NY))内の12g/L濃度のマイクロキャリアを有するDMEM及び15% v/vのFBSからなる管理培地において複数の継代にわたって増殖させた。接種材料内の細胞の集団倍加の累計は、35未満であった。接種材料の増殖中の継代に対する基準及び培養条件は、以下の表において一覧表にした。継代の目標日に、細胞計数を行い、継代の目標密度が達成された場合、細胞は、新容器内の目標播種密度に基づく新容器内へ継代された。継代の目標密度が達成されていない場合、80%の培地を交換し翌日に細胞計数した。培地交換のために、容器をスピナープラットフォームから除いて、マイクロキャリアを5分間重力で沈殿させ、培地の80%を無菌的に除去し(マイクロキャリアを除去しないで)、等量の新鮮培地を添加し、容器をインキュベーター内のスピナープラットフォーム上に戻した。
【0172】
接種材料を調製するための連続継代の間の増殖条件及びパラメーターを表1−1において以下に概述する。
【0173】
【表3】
【0174】
本実施例で使用された様々な増殖条件
条件1〜9のそれぞれに関して、接種の日は0日目と見なされる。更にそれぞれの条件に関して、細胞計数は、接種時に行われた。
【0175】
条件1(対照):この条件の目標播種密度は、約18g/Lのマイクロキャリア濃度において、約6000の生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内では最終重量が約9gのマイクロキャリアが得られた。DMEMと15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10%CO
2のインキュベーターにおいて60RPMでスピナープラットフォーム上に設置した。3日目に、DMEM+15% FBSを使用して80%培地交換を実施した。上述した手順を用いて周期的に細胞計数を行った。3日目及び5日目にそれぞれ3mL及び2.5mLのグルコースをフラスコに添加した。3日目に2.5mLの200mMのL−グルタミン溶液を添加した。
【0176】
条件2:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度で、約6000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。更に、3日目に2.5mLのグルコースを添加した。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。5日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0177】
条件3:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて、所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M1基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF1を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0178】
条件4:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M2基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF2を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0179】
条件5:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M3基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF3を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0180】
条件6:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M4基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF4を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0181】
条件7:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0182】
条件8:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M6基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF6を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0183】
条件9:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M7基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF7を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0184】
採取
6日目に全てのフラスコを採取した。採取のために、マイクロキャリアを重力で沈殿させ、マイクロキャリアを一切取り出さないで出来るだけ多くの培地を除去した。事前に37℃で加温された250〜300mLのTrypLE(商標)をフラスコに添加し、37℃のインキュベーター内のスピナープラットフォーム上に設置した。30分後に撹拌を停止し、フラスコから25mLのサンプルを除去し、40μmフィルタで濾過した。フィルタ上に留まったマイクロキャリアは廃棄し、サンプルを直接CEDEXにかけてサンプルの細胞計数を行った。添加したTrypLE(商標)の体積及び得られた細胞計数を基に、容器内の全細胞数を算出し、細胞密度(細胞/cm
2)を算出した。
【0185】
細胞培養培地の組成
DMEM(1g/Lのグルコース、4mMのL−グルタミン、及び3.7g/Lの重炭酸ナトリウムを有し、かつピルビン酸ナトリウム及びフェノールレッドを有さない)が条件1(対照)用の基本培地であった。
【0186】
幾つかのその他の基本培地も試験し、培地の交換をなくすのに重要であり、それにより血清の消費を減少させる成分を同定した。配合に使用された成分のうちの一つは、ウシ血清アルブミンであり、ウシ血清アルブミンは、脂質の豊富なウシ血清アルブミンであって、市販のAlbuMax(登録商標)I(Gibco(商標)Cell Culture、Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))の形態で提供された。表1〜2により、基本培地(M1〜M7)の配合が提供される。基本培地及びフィード培地の両方が。市販の細胞膜の安定化剤及び消泡剤のPluronic(登録商標)F−68を含有した。
【0187】
【表4-1】
【0188】
【表4-2】
【0189】
上記で概説したように、条件1では3日目で80%培地交換を実施した。残りの条件については、フィードを添加し培地交換を実施しなかった。種々のフィードの配合を表1−3に示す。表1−3に示した量は、フィードが添加される場合の培養容積リットル(L)あたりの成分の増加重量(g)を示す。
【0190】
【表5-1】
【0191】
【表5-2】
【0192】
条件1〜9に使用された培地は全て、FBSが添加されている。FBSの成分を以下に示す。
【0193】
【表6】
【0194】
結果
種々の条件からの細胞計数を以下の表1−5に示す。結果は、2つの部分で解析できる。条件1と2との比較によって、M5倍地と3日目のF5フィードとの組み合わせにより培地交換を省くことができることが明らかである。これにより、血清濃度を44%超顕著に下げることとなるので重要である。条件3〜9の比較によって、以下の3つの条件(6,8,及び9)がその他の条件と比較して、最も低い性能であることが明らかである。条件6:M4基本培地+15% FBS、3日目にF4フィード、条件8:M6基本培地+15% FBS、3日目にF6フィード、及び条件9:M7基本培地+15% FBS、3日目にF7フィード。より詳しく配合を見ると、これら3つの条件はいずれも培地又はフィードの中に核酸誘導体を有さないことが分かる。それ故、核酸誘導体がhUTCの増殖に決定的な意味をもつと推察することができる。本実施例により、培養培地を高栄養化し、3日目に追加の培地成分を補充することによって、培地の交換なしにhUTCを6日間増殖させることができ、核酸誘導体が同程度の細胞増殖を維持するために重要であることが実証される。
【0195】
【表7】
【0196】
(実施例2)
マイクロキャリア上でかつ栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内でのHUTCの増殖及び連続継代
スピナーフラスコ内の懸濁培養下のマイクロキャリア上に付着したヒト臍帯組織細胞(hUTC)の連続継代は、細胞が3日目において20,000細胞/cm
2超の所定の最適細胞密度に達していない場合に培地交換が必要となる。この培地交換によりそのプロセスに追加の操作が加えられ、細胞継代の計画を予測するのが困難になる。したがって、この手順で細胞を継代させることは商業的に望ましくない。hUTCは、15%ウシ胎児血清を含有する細胞増殖培地に交換することによって高細胞密度に増殖することができる。本実施例では、hUTCを継代するためのより商業的に望ましい代替方法を検討した。マイクロキャリアに付着したhUTCは、増殖培地を無血清栄養物で高栄養化することによって、スピナーフラスコ内の懸濁培養下で高細胞密度に増殖した。この方法により、細胞は、3日目の培地交換をなくしても、一貫して20,000細胞/cm
2超の細胞に増殖することができる。この方法により、hUTCの継代のためのプロセスの堅牢性が改善される。
【0197】
以下が本研究で使用された。DMEM(2g/Lのグルコース、4mMのL−グルタミン、及び3.7g/Lの重炭酸ナトリウムを有するが、ピルビン酸ナトリウム及びフェノールレッドを有さない)、ウシ胎児血清(15% v/v)、M5基本培地(上記実施例1を参照)、F5フィード(上記実施例1を参照)、及びHillex(登録商標)Ultra(Solohill Engineering(Ann Arbor,MI))マイクロキャリアを使用した。
【0198】
表面マーカー解析法
Ca又はMgを有さない、3% FBSのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Dulbecco's Phosphate Buffer Saline)(DPBS)を染色緩衝液として使用した。表面マーカーを同定するために6種の抗体を使用し、対照として2種の抗体を使用した。抗体のリスト及び効力検定のための染色緩衝液における抗体の希釈物を以下の表2−1に示す。
【0199】
【表8】
【0200】
手法:サンプルについて細胞計数を行い、2.5×10
6個の細胞を10mLのDMEM+15% FBSの培地内に再懸濁させた。次いで、細胞を遠心分離し、上清を除去し、染色緩衝液中に再懸濁させ、1×10
6細胞/mLの細胞濃度を得た。その後、この細胞懸濁液を各種遠心管に分配し、各遠心管が20000細胞を受容した。次いで、適切な量の希釈した抗体及び染色緩衝液を上記表2−1に示されるように添加した。その後、サンプルを2〜8℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、3mLのDPBSを添加し、サンプルを遠心分離した。上清を除去し、細胞パレットを500μLのDPBSの中に再懸濁させた。次いで、そのサンプルをGuava(登録商標)PCA(商標)機器(Millipore(MD,USA))にかけた。6種の表面マーカーのうち、3種は陽性マーカー(CD13、CD90、HLA−ABC)であり、3種は陰性マーカー(CD34、CD117、HLA−DR)であった。
【0201】
培養条件
hUTCの培養及び連続継代の方法を実施例1で説明した。上記のように、この連続継代では15% FBSを有するDMEMが培養培地として使用され、継代基準を満たすために度々培地交換が必要であった。本実施例では、連続継代中の度々の培地交換の必要性を排除することを試みた。これは、(1g/Lではなくて2g/Lのグルコースを有する)改変M5培地と15% FBS(v/v)との使用によって達成された。15% FBSを有するこの改変M5培地の使用により、継代の日数を固定し、6継代数にわたって培地交換なしで行われた。培養条件及び評価基準を以下の表2−2に示す。
【0202】
【表9】
【0203】
細胞は、以下の表2−3に示したように6継代数にわたってしっかりと増殖した。DMEM+15% FBSのみのプロセスでは、細胞は、1.5回の集団倍加を達成するために継代前日に度々培地交換を必要とし、それによって継代の期間が余分に1日だけ延長した。栄養強化培地によって、細胞は、3日(バイアル解凍から4日)以内に一貫して少なくとも1.5回超の集団倍加を行い、培地交換は一切不要であった。細胞は、この培地における7継代数後、それらの同一性を保持し、6日培養の3日目にF5フィードを行った本培地において6日間これらの細胞を増殖させた。これらの細胞の表面マーカー解析を以下の表2−4に示す。
【0204】
【表10】
【0205】
【表11】
【0206】
(実施例3)
スピナースラフコ内の血清が削減された培地におけるマイクロキャリア上でのhUTCの増殖
ヒト臍帯組織細胞(hUTC)は、連続稼動3日目に15% FBSを含有する細胞増殖培地を交換することによって高細胞密度に増殖することができる。血清コストが高いこと、産生のための血清使用が多いこと、及び追加的な作動操作であることによって、培地内の高血清濃度及び培地交換は商業的見地から望ましくない。本実施例では、高細胞密度を達成しつつ、血清が削減された増殖培地内のマイクロキャリア上に付着したhUTCを培地交換無しで増殖させる方法を開示する。
【0207】
本実施例で使用された培養培地は、1g/Lの代わりに2g/LのD−グルコースを有し、ウシ胎児血清が添加されたM5基本培地(上記参照)であった。F5フィード培地が使用された。グルコースを、220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液として与えた。グルタミンは、200mM溶液として与えた。本実施例では、さまざまな増殖条件が研究された。これらの条件は、以下に概説されている。これらの条件で使用される場合、接種の日が0日目であると見なされる。更に、各条件において、Hillex(登録商標)Ultra(Solohill Engineering(Ann Arbor,MI))を使用した。
【0208】
条件1(15% FBS):接種材料について細胞計数を行った。この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において約6000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目及び5日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0209】
条件2(10% FBS):接種材料について細胞計数を行った。この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において約6000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と10%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目及び5日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0210】
条件3(7.5% FBS):接種材料について細胞計数を行った。この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において約6000生存細胞/cm
2であった。接種材料の細胞計数に基づいて、所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と7.5%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO
2のインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目及び5日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0211】
採取:6日目に両フラスコを採取した。採取のために、マイクロキャリアを重力で沈殿させ、一切マイクロキャリアを除去せずにできるだけ多くの培地を除去した。37℃に事前に加温された300mLのTrypLE(商標)をフラスコに添加し、フラスコを37℃のインキュベーター内のスピナープラットフォーム上に設置した。30分後、撹拌を停止し、フラスコから25mLのサンプルを除去し、40μmフィルタを通過させて濾過した。フィルタ上に留まったマイクロキャリアを廃棄し、サンプルを直接的にCEDEX上にかけることによってサンプルの細胞計数を行った。添加したTrypLE(商標)の体積及び得られた細胞計数に基づいて、容器内の全細胞数を算出し、細胞密度(細胞/cm
2)を算出した。
【0212】
結果:それぞれにおいて異なるFBS濃度を有する3種類の条件から得られた細胞計数を以下の表に示す。本実施例からの結果に加えて、実施例1の条件1(DMEM+15% FBSで3日目に培地交換有り)の結果を比較のために含める。その結果、栄養強化培地により、培地交換を無くすだけではなく、培地内の血清濃度を低減することができ、それによって培養において使用される血清の量を更に最小化することができる。
【0213】
【表12】
【0214】
(実施例4)
細胞の単離
臍細胞の単離。臍帯は、National Disease Research Interchange(NDRI(Philadelphia,PA))から得た。それらの組織は、正常分娩の後に得たものであった。細胞単離プロトコルを、層流フード内で、無菌的に実行した。血液及び残滓を除去するため、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100mg/mL、アンホテリシンB 0.25μg/mL(Invitrogen(Carlsbad,CA))の存在下において、臍帯をリン酸緩衝生理食塩水(PBS;Invitrogen(Carlsbad,CA))で洗浄した。次いで、それらの組織を、150cm
2の組織培養プレート内で、50mLの培地(DMEM−低グルコース又はDMEM−高グルコース(Invitrogen))の存在下で、組織が微細なパルプ状に細断されるまで機械的に解離させた。細断した組織を、50mL円錐遠心管に移した(遠心管1本当り組織約5グラム)。
【0215】
次いで、それぞれペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100mg/mL、アンホテリシンB 0.25μg/mL、及び消化酵素を含有する、DMEM−低グルコース培地又はDMEM−高グルコース培地のいずれかにおいて組織を消化した。幾つかの実験では、コラゲナーゼ及びディスパーゼの酵素混合物(「C:D」)を使用した。(DMEM−低グルコース培地において、コラゲナーゼ(Sigma(St Louis,MO))、500単位/mL、及びディスパーゼ(Invitrogen)、50単位/mL、)その他の実験では、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、及びヒアルロニダーゼの混合物(「C:D:H」)を使用した(DMEM−低グルコースにおいて、C:D:H=コラゲナーゼ、500単位/mL、ディスパーゼ、50単位/mL、及びヒアルロニダーゼ(Sigma)、5単位/mL)。これらの組織、培地、及び消化酵素を含有する円錐遠心管を、225rpmの軌道振盪器(Environ(Brooklyn,NY))内で、37℃で2時間インキュベートした。
【0216】
消化後、150×gで5分間、組織を遠心分離して、上清を吸引した。ペレットは20mLの増殖培地において再懸濁された(DMEM:低グルコース(Invitrogen)、15%(v/v)ウシ胎児血清(FBS、規定のウシ胎児血清、ロット番号AND18475(Hyclone(Logan,UT))、0.001%(v/v)メルカプトエタノール(Sigma)、ペニシリン、100単位/mL、ストレプトマイシン、100μg/mL、及びアンホテリシン、0.25μg/mL(それぞれInvitrogen(Carlsbad,CA)製)。細胞懸濁液を70μmナイロン製BD FALCON細胞濾過器(BD Biosciences(San Jose,CA))に通して濾過した。増殖培地を含む、追加の5mLの洗液を、濾過器に通過させた。次いで、細胞懸濁液を40−μmのナイロン製細胞濾過器(BD Biosciences(San Jose,CA))に通過させ、続いて、増殖培地の洗液を追加で5mL通過させた。
【0217】
この濾液を、増殖培地(総容積50mL)中に再懸濁させ、150×gで5分間、遠心分離した。上清を吸引して、50mLの新鮮増殖培地中に、細胞を再懸濁させた。この過程を更に2回繰り返した。
【0218】
最終的な遠心分離の後に、上清を吸引して、5mLの新鮮増殖培地中に、細胞ペレットを再懸濁させた。トリパンブルー染色を使用して、生存細胞の数を判定した。次いで、標準条件下で、細胞を培養した。
【0219】
臍帯組織から単離した細胞を、増殖培地中、ゼラチンコーティングT−75cmフラスコ(Corning Inc.(Corning,NY))上に、5,000細胞/cm
2で播種した。2日後、消費した培地及び未付着の細胞を、フラスコから吸引した。PBSで付着細胞を3回洗浄して、残渣及び血液由来細胞を除去した。次いで、細胞に、増殖培地を補充して、コンフルエンスまで増殖させた(継代数0から継代数1まで約10日)。その後の継代(継代数1から継代数2までなど)の際には、細胞は、4、5日でサブコンフルエンス(75〜85%コンフルエンス)に到達した。これらの後続の継代に関しては、細胞を、5,000細胞/cm
2で播種した。細胞を、37℃、二酸化炭素5%で、加湿したインキュベーター内で増殖させた。
【0220】
幾つかの実施形態において、細胞は、LIBERASE(2.5mg/mL、Blendzyme 3、Roche Applied Sciences(Indianapolis,IN))及びヒアルロニダーゼ(5単位/mL、Sigma)を用いて消化させた後、DMEM−低グルコース培地内において、分娩後組織から単離した。組織の消化、及び細胞の単離は、上記の他のプロテアーゼ消化に関する説明と同様であったが、C:D又はC:D:H酵素混合物の代わりに、LIBERASE/ヒアルロニダーゼ混合物を使用した。LIBERASEを使用する組織の消化は、分娩後組織から、容易に増殖する細胞集団の単離をもたらした。
【0221】
種々の酵素の組み合せを使用して、臍帯から細胞を単離するための手順を比較した。消化に関して比較する酵素には、i)コラゲナーゼ、ii)ディスパーゼ、iii)ヒアルロニダーゼ、iv)コラゲナーゼ:ディスパーゼ混合物(C:D)、v)コラゲナーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:H)、vi)ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(D:H)、vii)コラゲナーゼ:ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:D:H)を含めた。これらの種々の酵素消化条件を使用して、細胞単離の差異を観察した(表4−1を参照)。
【0222】
種々の手法によって臍帯から細胞のプールを単離するために、他の試みを行なった。一例では、臍帯を薄切りにして、増殖培地で洗浄し、血餅及びゼラチン状物質を除去した。血液、ゼラチン状物質、及び増殖培地の混合物を回収して、150×gで遠心分離した。ペレットを再懸濁させ、ゼラチンコーティングされたフラスコ上に、増殖培地中で播種した。これらの実験から、容易に増殖する細胞集団が単離された。
【0223】
細胞はまた、NDRIから入手した臍帯血サンプルからも単離されている。単離プロトコルは、Hoらの国際特許出願PCT/US第2002/029971号に記載するものを使用した。臍帯血(NDRI(Philadelphia PA))のサンプル(それぞれ50mL及び10.5mL)は、溶解用緩衝液(フィルタ殺菌済み155mMの塩化アンモニウム、10ミリモルの重炭酸カリウム、pH 7.2に緩衝された0.1mMのEDTA(全成分はSigma(St.Louis,MO)製)と混合した。臍帯血と溶解緩衝液との比率1:20で、細胞を溶解させた。得られた細胞懸濁液を、5秒間ボルテックス攪拌して、周囲温度で2分間インキュベートした。この溶解液を、遠心分離した(200×gで10分間)。細胞ペレットは、10%のウシ胎児血清(Hyclone(Logan UT))、4mMのグルタミン(Mediatech(Herndon,VA))、100単位/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco(Carlsbad,CA))を含有する完全最小必須培地(Gibco(Carlsbad CA))において再懸濁された。再懸濁した細胞を、遠心分離して(200×gで10分間)、上清を吸引し、完全培地において細胞ペレットを洗浄した。T75フラスコ(Corning(NY))、T75ラミニンコーティングフラスコ、又はT175フィブロネクチンコーティングフラスコ(双方ともBecton Dickinson(Bedford,MA))内に、細胞を直接播種した。
【0224】
細胞集団が種々の条件下で単離され、単離の直後に様々な条件下で増殖することが可能か否かを判定するために、上記の手順に従って、0.001%(v/v)の2−メルカプトエタノール(Sigma(St.Louis,MO))を有する増殖培地中、又は有さない増殖培地中で、C:D:Hの酵素の組み合せを使用して、細胞を消化させた。全細胞を100単位/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンの存在下で増殖させた。全ての試験条件下で、細胞は、継代数0〜継代数1で良好に付着し増殖した(表4−2)。条件5〜8及び条件13〜16における細胞は、播種後、継代数4まで良好に増殖することが実証され、その時点でそれらの細胞を凍結保存した。
【0225】
C:D:Hの組み合せにより、単離後の、最良の細胞収量をもたらされ、他の条件よりも、多くの世代にわたって培養下で増殖する細胞が生じた(表4−1)。コラゲナーゼ又はヒアルロニダーゼを単独で使用しても、増殖可能な細胞集団は得られなかった。この結果が、試験したコラゲナーゼに特異的なものであるか否かを判定する試みは行なわなかった。
【0226】
【表13】
【0227】
細胞は、酵素消化及び増殖に関して試験した全条件下で、継代数0〜1の間で、良好に付着し増殖した(表4−2)。実験条件5〜8及び実験条件13〜16における細胞は、播種後、継代数4まで良好に増殖し、その時点で、それらの細胞を凍結保存した。全細胞は、更なる分析のために凍結保存された。
【0228】
【表14】
【0229】
有核細胞が付着し、急速に増殖した。これらの細胞をフローサイトメトリーによって分析したところ、酵素消化によって得られた細胞と同様であった。
【0230】
これらの調製物は、赤血球及び血小板を含有した。最初の3週間は、有核細胞が付着及び分裂することはなかった。播種の3週間後に、培地を交換したが、細胞の付着及び増殖は観察されなかった。
【0231】
酵素併用コラゲナーゼ(メタロプロテアーゼ)、ディスパーゼ(中性プロテアーゼ)及びヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を破壊する粘液溶解酵素)を効果的に使用して、臍組織から細胞集団を単離することができた。コラゲナーゼと中性プロテアーゼとの配合物であるLIBERASEも使用することができる。コラゲナーゼ(4 Wunsch単位/g)及びサーモリシン(1714カゼイン単位/g)である、Blendzyme 3もまた、細胞を単離するために、ヒアルロニダーゼと共に使用した。これらの細胞をゼラチンコーティングされたプラスチック上の増殖培地において培養した場合、多数回の継代にわたって、容易に増殖した。
【0232】
細胞はまた、臍帯内の残留血液からも単離されたが、臍帯血からは単離されなかった。使用した条件下で付着及び増殖する、この組織から洗い流された血餅中の細胞の存在は、解剖プロセス中に細胞が遊離することによるものである可能性がある。
【0233】
(実施例5)
細胞の核型分析
細胞療法に使用される細胞株は、好ましくは、同種であり、いずれの汚染細胞型も含まない。細胞治療に使用されるヒト細胞は、正常な構造を有する、正常な数(46個)の染色体を有していなければならない。同種であり、かつ、非臍組織起源の細胞を含まない臍由来細胞株を同定するため、細胞サンプルの核型分析を行った。
【0234】
新生男児の分娩後組織由来のUTCを、増殖培地中で培養した。新生児由来細胞と母体由来細胞(X,X)との識別が可能となるように、新生男児由来の分娩後組織(X,Y)が選択された。細胞を、T25フラスコ(Corning(Corning,NY))内の増殖培地中に、5,000細胞/平方センチメートルで播種し、80%コンフルエンスまで増殖させた。細胞を含有するT25フラスコは、首部分まで増殖培地で充填した。臨床細胞遺伝学研究所に、急送便でサンプルを配送した(研究所間の推定輸送時間は、1時間である)。染色体分析は、New Jersey Medical School(Newark,NJ)に所在するCenter for Human & Molecular Geneticsにより行われた。細胞は、染色体が最も良好に可視化される、分裂中期の間に分析された。計数した分裂中期の20個の細胞のうち、5個の細胞を、正常な同種核型数(2)に関して分析した。細胞サンプルは、2つの核型が観察された場合に同種であると特徴付けられた。細胞サンプルは、3つ以上の核型が観察された場合に異種であると特徴付けられた。異種性の核型数(4)が識別されると、更なる分裂中期細胞を計数して、分析した。
【0235】
染色体分析に送られた全細胞サンプルは、細胞遺伝学研究所のスタッフによって、正常外見を呈していると解釈された。分析された16個の細胞株のうちの3つは、新生児起源及び母体起源の双方に由来する細胞の存在を示す、異種性の表現型(XX及びXY)を呈した(表5−1)。それぞれの細胞サンプルは、同種であると特徴付けられた。(表5−1)。
【0236】
【表15】
【0237】
染色体分析により、臨床細胞遺伝学研究所により解釈されると、核型が正常である臍由来UTCが同定された。核型分析はまた、同種核型により判断される、母体細胞を含まない細胞株も同定した。
【0238】
(実施例6)
細胞表面マーカーのフローサイトメトリー評価
フローサイトメトリーによる細胞表面タンパク質又は「マーカー」の特性評価を用いて、細胞株の同一性を判定することができる。この発現の一貫性は、複数のドナーから、並びに種々の処理及び培養条件に曝された細胞において、判定することができる。臍から単離された分娩後細胞株を、フローサイトメトリーによって特徴付けることにより、これらの細胞株の同定に関するプロファイルが提供された。
【0239】
プラズマ処理されたT75、T150、及びT225組織培養フラスコ(Corning,Corning,NY)内で、細胞をコンフルエンスまで培養した。2%(w/v)のゼラチン(Sigma(St.Louis,MO))を、室温で20分間インキュベートすることによって、これらのフラスコの増殖表面をゼラチンでコーティングした。
【0240】
フラスコ内の付着細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco(Carlsbad,MO))内で洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco)を使用して剥離させた。細胞を採取して遠心分離し、1×10
7細胞/mLの濃度で、3%(v/v)FBSのPBS中に再懸濁した。製造業者の仕様書に従って、100μLの細胞懸濁液に対象の細胞表面マーカーに対する抗体(下記参照)を添加し、その混合物を暗所において4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離することにより、非結合抗体を除去した。細胞を500μLPBS中に再懸濁させ、フローサイトメトリーによって分析した。フローサイトメトリー分析は、FACS calibur計器(Becton Dickinson(San Jose,CA))を使用して実行した。
【0241】
細胞表面マーカーに対する以下の抗体を使用した。
【0242】
【表16】
【0243】
臍由来細胞を、継代数8、15、及び20で分析した。
【0244】
ドナー間の差異を比較するため、種々のドナーからの臍帯由来細胞を相互に比較した。更に、ゼラチンコーティングフラスコ上で培養した臍由来細胞を、非コーティングフラスコ上で培養した臍由来細胞と比較した。
【0245】
細胞の単離及び準備に関して使用される、4つの処理を比較した。1)コラゲナーゼ、2)コラゲナーゼ/ディスパーゼ、3)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ、4)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ/ディスパーゼを使用する処理によって、分娩後組織から得られた細胞を比較した。
【0246】
フローサイトメトリーによって分析された、継代数8、15、及び20における臍帯由来細胞は、全て、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cを発現し、このことは、IgG対照と比較しての蛍光の増大によって示された。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQに関しては陰性であり、このことは、IgG対照と一致する蛍光値によって示された。
【0247】
フローサイトメトリーによって分析された、別個のドナーから単離された臍帯由来細胞はそれぞれ、IgG対照と比較しての蛍光値の増大に反映される、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cの産生について陽性を示した。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQの産生に関しては陰性であり、IgG対照と一致する蛍光値を有していた。
【0248】
ゼラチンコーティングフラスコ及び非ゼラチンコーティングフラスコ上で増殖して、フローサイトメトリーにより分析された臍帯由来細胞は、全てCD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cの産生に関して陽性であり、IgG対照と比較して増加した蛍光値を有していた。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQの産生に関しては陰性であり、IgG対照と一致する蛍光値を有していた。
【0249】
フローサイトメトリーによる臍帯由来細胞の分析を通じて、これらの細胞株の同一性が実証された。これらの臍帯由来細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cに関して陽性であり、かつCD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQに関して陰性である。この同一性は、ドナー、継代数、培養容器の表面コーティング、消化酵素、及び胎盤の層を含む変数が変動しても、一貫していた。個々の蛍光値ヒストグラム曲線の平均及び範囲には、ある程度の変動が観察されたが、全ての試験条件下での、全ての陽性曲線は正常であり、発現した蛍光値は、IgG対照よりも大きく、それゆえ、これらの細胞が、マーカーの陽性発現を有する同種の集団を含むことが確認された。
【0250】
(実施例7)
オリゴヌクレオチドアレイによる細胞分析
オリゴヌクレオチドアレイを使用して、臍由来細胞及び胎盤由来細胞の遺伝子発現プロファイルを、線維芽細胞、ヒト間葉系幹細胞、及びヒト骨髄由来の別の細胞株と比較した。この解析により、分娩後由来細胞の特性評価が提供され、これらの細胞に関係する固有の分子マーカーが特定された。
【0251】
分娩後組織由来細胞。ヒト臍帯及びヒト胎盤は、National Disease Research Interchange(NDRI(Philadelphia,PA))より、患者の同意を得て、正常な満期分娩から得た。C:D:Hの混合物による消化後、実施例5に記述されるとおり、組織の受領及び細胞の単離が行われた。細胞は、ゼラチンコーティングされたプラスチック製組織培養フラスコ上の増殖培地において増殖された。この培養物を、5%のCO
2を使用して、37℃でインキュベートした。
【0252】
線維芽細胞ヒト皮膚線維芽細胞は、Cambrex Incorporated(Walkersville,MD);ロット番号9F0844)及びATCC CRL−1501(CCD39SK)より購入した。双方の株を、10%(v/v)ウシ胎児血清(Hyclone)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を有する、DMEM/F12培地(Invitrogen(Carlsbad,CA))中で培養した。これらの細胞は、標準的な組織処理プラスチック上で増殖させた。
【0253】
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)。ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、Cambrex Incorporated(Walkersville,MD);ロット番号2F1655、2F1656、及び2F1657)より購入し、製造業者の仕様書に従って、MSCGM培地(Cambrex)中で培養した。これらの細胞は、5%のCO
2を使用して、37℃で標準的な組織培養プラスチック上で増殖させた。
【0254】
ヒト腸骨稜骨髄細胞(ICBM)。ヒト腸骨稜の骨髄は、患者の同意を得て、NDRIより受け取った。この骨髄を、Hoらによって概説される方法(国際公開第03/025149号)に従って処理した。この骨髄を、溶解緩衝液(155mMのNH
4Cl、10mMのKHCO
3、及び0.1mMのEDTA、pH 7.2)と、骨髄1部対溶解緩衝液20部の比率で混合した。この細胞懸濁液を、ボルテックス攪拌して、周囲温度で2分間インキュベートし、500×gで10分間、遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを、10%(v/v)ウシ胎児血清及び4mMのグルタミンが補充された最小必須培地−α(Invitrogen)中に再懸濁させた。これらの細胞を、再び遠心分離して、新鮮培地中に細胞ペレットを再懸濁させた。トリパンブルー色素排除(Sigma,St.Louis,MO)を使用して、生存単核細胞を計数した。単核細胞は、5×10
4細胞/cm
2にて、プラスチック製細胞培養フラスコ中に播種された。細胞を、標準大気O
2又は5% O
2のいずれかで、5% CO
2、37℃でインキュベートした。培地を交換することなく、細胞を5日間培養した。5日間の培養の後、培地及び非付着細胞を除去した。付着細胞は、培養物中に維持された。
【0255】
活発に増殖する細胞培養物を、低温のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、細胞スクレーパによってフラスコから除去した。これらの細胞を、300×gで5分間、遠心分離した。上清を除去して、新鮮なPBS中に細胞を再懸濁させ、再び遠心分離した。上清を除去して、細胞ペレットを直ちに凍結させ、−80℃で保存した。細胞のmRNAを抽出し、cDNAへと転写させた。次に、cDNAをcRNAに転写させし、ビオチンで標識した。ビオチン標識済みcRNAについて、Affymetrix GENECHIP HG−U133Aオリゴヌクレオチドアレイ(Affymetrix(Santa Clara,CA))によってハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション及びデータ収集は、製造業者の仕様書に従って実施した。データ解析は、「Significance Analysis of Microarrays」(SAM)version1.21コンピュータソフトウェア(Tusher、V.G.ら、2001年,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5116〜5121)を使用して実施した。解析ソフトウェアのライセンスはOffice of Technology Licensing,Stanford Universityから入手可能であり、詳細な情報は、Dep’t of Statistics,Stanford UniversityのProfessor Tibshiraniのウェブサイトにおいてインターネット情報検索システムから入手可能である。
【0256】
14個の異なる細胞集団を、この試験において分析した。これらの細胞を、継代情報、培養基質、及び培養培地と共に、表7−1に列記する。細胞株については、分析時の継代、細胞増殖基質、及び増殖培地と共に識別コードを列記した。
【0257】
【表17】
【0258】
データは、上述したSAMソフトウェアによる主成分分析で評価した。分析により、試験対象の細胞において、様々な相対量で発現した290個の遺伝子が明らかとなった。この分析により、集団間の相対比較がもたらされた。
【0259】
表7−2は、細胞対の比較のために算出された、ユークリッド距離を示す。ユークリッド距離は、細胞型間で示差的に発現した290個の遺伝子に基づく、細胞の比較に基づいたものである。ユークリッド距離は、290個の遺伝子の発現における類似性と反比例している。ユークリッド距離は、細胞の種類ごとに異なる発現をしたこれらの290個の遺伝子を使用して、細胞の種類に対して算出された。細胞間の類似性は、ユークリッド距離に反比例している。
【0260】
【表18】
【0261】
表7−3、表7−4、及び表7−5は、胎盤由来細胞内で増加した遺伝子の発現(表7−3)、臍帯由来細胞内で増加した遺伝子の発現(表7−4)、並びに臍帯由来細胞及び胎盤由来細胞内で減少した遺伝子の発現(表7−5)を示す。
【0262】
【表19】
【0263】
【表20】
【0264】
【表21-1】
【0265】
【表21-2】
【0266】
表7−6、表7−7、及び表7−8は、ヒト線維芽細胞(表7−6)、ICBM細胞(表7−7)、及びMSC(表7−8)内で増加した、遺伝子の発現を示す。
【0267】
【表22】
【0268】
【表23】
【0269】
【表24】
【0270】
本実施例は、臍帯由来細胞及び胎盤由来細胞の分子の特性評価を提供するために実行された。この分析は、3つの異なる臍帯及び3つの異なる胎盤に由来する細胞を含んだ。この研究はまた、皮膚繊維芽細胞の2つの異なる株、間葉系幹細胞の3つの株、及び腸骨稜骨髄細胞の3つの株も含んだ。これらの細胞により発現されたmRNAは、オリゴヌクレオチドプローブを含むGENECHIPオリゴヌクレオチドアレイにおいて、22,000の遺伝子について分析された。
【0271】
分析により、これら5つの異なる細胞型には、290の遺伝子の転写産物が異なる量で存在していることが明らかとなった。これらの遺伝子には、胎盤由来細胞内で特異的に増加した10種の遺伝子、及び臍帯由来細胞内で特異的に増加した7種の遺伝子が含まれる。54種の遺伝子が、胎盤由来細胞及び臍帯由来細胞において、特異的に低い発現レベルを有することが分かった。
【0272】
(実施例8)
細胞表現型の免疫組織化学的特性評価
ヒト臍帯組織に見出される細胞の表現型を、免疫組織化学的検査によって分析した。
【0273】
ヒト臍帯組織を採取し、4%(w/v)パラホルムアルデヒドにより4℃で一晩浸漬固定した。免疫組織化学的検査は、以下のエピトープに対する抗体を使用して実行した(表8−1を参照)。ビメンチン(1:500、Sigma(St.Louis,MO))、デスミン(1:150、抗ウサギ、Sigma、又は1:300、抗マウス、Chemicon(Temecula,CA))、α−平滑筋アクチン(SMA、1:400、Sigma)、サイトケラチン18(CK18、1:400、Sigma)、ヴォン・ヴィレブランド因子(vWF、1:200、Sigma)、及びCD34(ヒトCD34クラスIII、1:100、DAKOCytomation(Carpinteria,CA))。更に、以下のマーカーを試験した。抗ヒトGROα−PE(1:100、Becton Dickinson(Franklin Lakes,NJ))、抗ヒトGCP−2(1:100、Santa Cruz Biotech(Santa Cruz,CA))、抗ヒト酸化LDL受容体1(ox−LDL R1、1:100、Santa Cruz Biotech)、及び抗ヒトNOGO−A(1:100、Santa Cruz Biotech)。固定された検体を外科用メスを使用してトリミングし、エタノールを含有するドライアイス浴上の、OCT包理化合物(Tissue−Tek OCT、Sakura(Torrance,CA))内に定置した。次いで、凍結ブロックを、標準的なクリオスタット(Leica Microsystems)を使用して切片(厚さ10μm)とし、染色のためにスライドガラス上に載置した。
【0274】
以前に行われた試験に類似した免疫組織化学的検査を実施した。(例えば、Messinaら、Exper.Neurol.,2003年、184:816〜829)。組織切片を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、細胞内抗原にアクセスするために、PBS、4%(v/v)ヤギ血清(Chemicon(Temecula,CA))、及び0.3%(v/v)Triton(Triton X−100、Sigma)を含有するタンパク質ブロッキング溶液に1時間曝した。目的のエピトープが細胞表面(CD34、ox−LDL R1)上に位置している場合には、エピトープの損失を防ぐために、この手順の全ての段階で、Tritonを省略した。更に、一次抗体がヤギ(GCP−2、ox−LDL R1、NOGO−A)に対して産生された場合には、手順全体を通して、ヤギ血清の代わりに、3%(v/v)ロバ血清を使用した。次いで、ブロッキング溶液で希釈された一次抗体を、室温で4時間にわたって、これらの切片に適用した。一次抗体溶液を除去し、培養物をPBSで洗浄した後、ヤギ抗マウスIgG−Texas Red(1:250;Molecular Probes(Eugene,OR))及び/若しくはヤギ抗ウサギIgG−Alexa 488(1:250;Molecular Probes)又はロバ抗ヤギIgG−FITC(1:150;Santa Cruz Biotech)と共にブロックを含有する、二次抗体溶液を付与した(室温で1時間)。培養物を洗浄し、10マイクロモルのDAPI(Molecular Probes)を10分間付与して、細胞核を可視化した。
【0275】
免疫染色の後に、Olympus倒立エピ蛍光顕微鏡(Olympus(Melville,NY))上で、適切な蛍光フィルタを使用して、蛍光を可視化した。陽性染色は、対照染色を上回る蛍光シグナルによって表された。代表的な画像を、デジタルカラービデオカメラ及びImageProソフトウェア(Media Cybernetics(Carlsbad,CA))を使用して取り込んだ。3重染色サンプルに関しては、1回に1つのみの発光フィルタを使用して、各画像を撮影した。次いで、Adobe Photoshopソフトウェア(Adobe(San Jose,CA))を使用して、階層モンタージュを準備した。
【0276】
【表25】
【0277】
ビメンチン、デスミン、SMA、CK18、vWF、及びCD34マーカーは、臍帯内部に見出される細胞のサブセットで発現した(データ示さず)。具体的には、vWF及びCD34の発現は、臍帯内部に含まれる血管に限定されていた。CD34+細胞は、最内層(内腔側)に存在した。ビメンチンの発現は、臍帯のマトリックス及び血管の全域に見られた。SMAは、動脈並びに静脈の、マトリックス及び外壁に限定されたが、血管自体には含まれなかった。CK18及びデスミンは、血管内部のみに観察され、デスミンは、中層及び外層に限定された。
【0278】
これらのマーカーのいずれも、臍帯内部では観察されなかった(データ示さず)。
【0279】
ビメンチン、デスミン、α−平滑筋アクチン、サイトケラチン18、ヴォン・ヴィレブランド因子、及びCD34は、ヒト臍帯内部の細胞内で発現する。ビメンチン及びα−平滑筋アクチンのみが発現することを示したインビトロ特性分析に基づいて、データは、臍帯由来細胞を単離する本プロセスが細胞の亜集団を採取するものであること、又は単離した細胞がマーカーの発現を変化させてビメンチン及びα−平滑筋アクチンを発現することを示唆している。
【0280】
(実施例9)
栄養因子の分泌
UTCからの選択された栄養因子の分泌を測定した。因子は、以下より選択した。血管由来の活性を有するもの(例えば、肝細胞増殖因子(HGF)(Rosenら、Ciba Found.Symp.、1997年、212、215〜26)、単球走化性タンパク質1(MCP−1)(Salcedoら、Blood、2000年、96、34〜40)、インターロイキン−8(IL−8)(Liら、J.Immunol.、2003年、170、3369〜76)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)(Hughesら、Ann.Thorac.Surg.2004年、77、812〜6)、マトリックスメタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤(TIMP1)、アンジオポエチン2(ANG2)、血小板由来成長因子(PDGFbb)、トロンボポエチン(TPO)、ヘパリン結合性上皮成長因子(HB−EGF)、間質由来因子1α(SDF−1α)、神経栄養活性/神経保護活性を有するもの(脳由来神経栄養因子(BDNF)(Chengら、Dev.Biol.2003年、258、319〜33)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球走化性タンパク質−2(GCP−2)、トランスフォーミング増殖因子β2(TGFβ2))、又はケモカイン活性を有するもの(マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)、マクロファージ炎症性タンパク質1β(MIP1β)、単球化学誘引物質−1(MCP−1)、ランテス(Rantes)(活性化時調節正常T細胞発現及び分泌物)、I309、胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)、エオタキシン、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、及び(IL−8)。
【0281】
臍帯由来細胞、並びにヒト新生児包皮由来のヒト繊維芽細胞を、ゼラチンコーティングされたT75フラスコ上の増殖培地において培養した。継代数11で、細胞を凍結保存し、液体窒素中で保存した。細胞の解凍後、それらの細胞に増殖培地を添加し、その後、15mL遠心管に移して、150×gで5分間、それらの細胞を遠心分離した。4mLの増殖培地中に、細胞ペレットを再懸濁させ、細胞を計数した。細胞を、それぞれが15mLの増殖培地を含有するT75フラスコ内において、5,000細胞/cm
2で播種し、24時間の培養を行った。培地を、無血清培地(DMEM−低グルコース(Gibco)、0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(Sigma)、ペニシリン(50単位/mL)及びストレプトマイシン(50μg/mL、Gibco))に変えて、8時間培養した。インキュベーションの終了時に、14,000×gで5分間遠心分離を行い無血清馴化培地を収集し、−20℃で保存した。
【0282】
各フラスコ内の細胞数を推算するため、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2mLのトリプシン/EDTA(Gibco)を使用して脱離させた。8mLの増殖培地の添加によって、トリプシン活性を抑制した。これらの細胞を、150×gで5分間、遠心分離した。上清を除去し、1mLの増殖培地中に、細胞を再懸濁させた。細胞数は、血球計数器によって推算した。
【0283】
細胞を5% CO
2及び大気酸素中37℃で増殖させた。そらぞれの細胞サンプルによって産生された、MCP−1、IL−6,VEGF、SDF−1α、GCP−2、IL−8、及びTGF−β2の量はELISA(R&D Systems(Minneapolis,Mn.))によって測定した。全てのアッセイは、製造業者の説明書に従って行われた。提示された値は、1mLごと、細胞100万個ごとのピコグラムである(n=2,sem)。
【0284】
ケモカイン(MIP1α、MIP1β、MCP−1、ランテス(Rantes)、I309、TARC、Eotaxin、MDC、IL8)、BNDF、及び血管由来因子(HGF、KGF、bFGF、VEGF、TIMP1、ANG2,PDGFbb、TPO、HB−EGF)は、SearchLight Proteome Array(Pierce Biotechnology)を使用して測定された。このProteome Arrayは、ウェル当り2〜16のタンパク質を定量測定するための、多重サンドイッチELISAである。これらのアレイは、96ウェルプレートのそれぞれのウェル内に、2×2、3×3、又は4×4のパターンの、4〜16個の異なる捕捉抗体をスポットすることによって産生される。サンドイッチELISA手順の後に、プレート全体を画像化して、プレートの各ウェル内部の各スポットで生成された、化学発光シグナルを捕捉する。各スポットで生成されるシグナルは、元の標準又はサンプル中の、標的タンパク質の量に比例する。
【0285】
MCP−1及びIL−6は、臍由来PPDC及び皮膚線維芽細胞によって分泌された(表9−1)。SDF−1α及びGCP−2は、線維芽細胞によって分泌された。GCP−2及びIL−8は、臍由来PPDCによって分泌された。TGF−β2は、いずれの細胞型においても、ELISAによって検出されなかった。
【0286】
【表26】
【0287】
SearchLight(商標)多重ELISAアッセイ。TIMP1、TPO、KGF、HGF、FGF、HBEGF、BDNF、MIP1β、MCP1、ランテス(RANTES)、I309、TARC、MDC、及びIL−8が、臍帯由来PPDCから分泌された(表9−2及び9−3)。Ang2、VEGF、又はPDGFbbは検出されなかった。
【0288】
【表27】
【0289】
【表28】
【0290】
臍由来細胞は、多数の栄養因子を分泌した。HGF、bFGF、MCP−1、及びIL−8などの、これらの栄養因子のうちの一部は、血管新生において重要な役割を果たす。BDNF及びIL−6などの他の栄養因子は、神経再生又は保護に重要な役割を果たす。
【0291】
(実施例10)
テロメラーゼ活性の分析
テロメラーゼは、染色体の完全性を保護し、また細胞の複製寿命を延長するために役立つ、テロメア繰り返し体を合成するように機能する(Liu,Kら、PNAS,1999年:96:5147〜5152)。テロメラーゼは、テロメラーゼRNAテンプレート(hTER)、及びテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)の2つの成分からなる。テロメラーゼの調節は、hTERではなく、hTERTの転写によって決定される。hTERT mRNAに関するリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、それゆえ、細胞のテロメラーゼ活性を判定するための容認された方法である。
【0292】
細胞単離
リアルタイムPCR実験を実行して、ヒト臍帯組織由来細胞のテロメラーゼ産生を判定した。ヒト臍帯組織由来細胞は、上記実施例及び米国特許第7,510,873号に記載の実施例に従って調製された。全般的には、正常な分娩後の、National Disease Research Interchange(Philadelphia,Pa.)から得た臍帯を洗浄して、血液及び残渣を除去し、機械的に解離させた。次いで、その組織を、培養培地中、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、及びヒアルロニダーゼを含む消化酵素と共に、37℃でインキュベートした。ヒト臍帯組織由来細胞は、‘012号特許出願の実施例に記載の方法に従って培養した。間葉系幹細胞及び通常の皮膚線維芽細胞(cc−2509ロット番号9F0844)は、Cambrex(Walkersville,Md)から入手した。多能性ヒト精巣胎児性癌(テラトーマ)細胞株nTera−2細胞(NTERA−2 cl.D1)(Plaiaら,Stem Cells,2006年;24(3):531〜546を参照)は、ATCC(Manassas,Va.)から購入し、米国特許第7,510,873号に記載の方法に従って培養した。
【0293】
総RNAの単離
RNeasy(登録商標)キット(Qiagen(Valencia,Ca.))を使用して、RNAを細胞から抽出した。RNAは、50μLのDEPC−処理水で溶出させ、−80℃で貯蔵した。RNAは、TaqMan(登録商標)逆転写剤(Applied Biosystems(Foster City,Ca.))を有するランダムヘキサマーを使用して、25℃で10分間、37℃で60分間、95℃で10分間逆転写させた。サンプルを−20℃で保存した。
【0294】
リアルタイムPCR
Applied Biosystems Assays−On−Demand(商標)(TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイとしても既知)を、製造業者の仕様書(Applied Biosystems)に従って使用して、cDNAサンプルに対してPCRを実行した。この市販のキットは、ヒト細胞内のテロメラーゼをアッセイするために、広く使用されている。簡潔には、hTert(ヒトテロメラーゼ遺伝子)(Hs00162669)及びヒトGAPDH(内部対照)を、ABI prism 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)と共に7000配列検出システムを使用して、cDNA及びTaqMan(登録商標)Universal PCRマスターミックスと混合した。熱サイクル条件は、最初に50℃で2分間及び95℃で10分間とし、その後に、95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルとした。PCRデータを、製造業者の仕様書に従って解析した。
【0295】
ヒト臍帯組織由来細胞(ATCCアクセッション番号PTA−6067)、線維芽細胞、及び間葉系幹細胞を、hTert及び18S RNAに関してアッセイした。表10−1に示すように、hTert、よってテロメラーゼは、ヒト臍帯組織由来細胞内では検出されなかった。
【0296】
【表29】
【0297】
ヒト臍帯組織由来細胞(単離株022803、ATCCアクセッション番号PTA−6067)及びnTera−2細胞をアッセイしたところ、それらの結果は、ヒト臍帯組織由来細胞の2つのロットでは、テロメラーゼの発現を示さなかったが、一方で、テラトーマ細胞株は、高レベルで発現することが明らかとなった(表10−2)。
【0298】
【表30】
【0299】
したがって、本発明のヒト臍帯組織由来細胞は、テロメラーゼを発現しないと結論付けることができる。
【0300】
(実施例11)
インペラスピナーフラスコリアクター内のマイクロキャリ上でのUTCの増殖
材料及び方法
細胞。CBATロット番号050604B継代数8細胞からの細胞を解凍し、1つの継代の間、T225フラスコ内で増殖させた。
【0301】
マイクロキャリア。Cytodex(登録商標)3(GE Healthcare Life Sciences、カタログ番号17−0485)のマイクロキャリアビーズをPBS内で少なくとも3時間水和させ、高圧滅菌した。
【0302】
スピナーフラスコ。100mL及び250mLの、内部オーバーヘッドベアリングインペラアセンブリ(Overhead Bearing Impeller Assembly)を備えたスピナーフラスコ(Bellco,Inc.)。
【0303】
コンフルエンス。コンフルエンスは、代表的な顕微鏡観察視野内で観察されるマイクロキャリアのおよそ90%として定義され、細胞で覆われた表面積のおよそ60%超である。
【0304】
継代。継代は、新しいマイクロキャリアを含有するスピナーフラスコに、別個のスピナーフラスコ培養から得られたコンフルエントなマイクロキャリアの分取物を接種することとして定義される。
【0305】
接種及び培養。細胞は、トリプシンによってT225フラスコから採取され、4.0E+06細胞の分取物は、40mLの培地を含有する100mLインペラ又はガラス棒付きスピナーフラスコ内の300mgのマイクロキャリアビーズに添加された。インキュベーションの前に、フラスコを5% CO
2ガスで1分間フラッシングした。接種材料の速度−頻度は、8時間にわたって30分毎に2分間、30rpmであった。8時間目に、培地の容積は、100mLに増加し、スピナー速度は、45rpmの連続回転に設定され、37℃でインキュベートした。
【0306】
継代。継代数1−(100mL〜250mLフラスコ)細胞を8日間培養した。全てのマイクロキャリアを100mLフラスコから回収し、重力によって培地から分離させた。培地を吸引し、マイクロキャリアを100mLの新鮮培地に再懸濁させた。ピペット操作後、確実に同等な分配を行うように、マイクロキャリアを有する5mLの培地を除去し250mLスピナーフラスコ内に送達したおよそ660mgの水和及び高圧滅菌された新しいCytodex(登録商標)3マイクロキャリア及び培地もまた、フラスコに添加された。培地の容積を200mLに増加させ、フラスコを5% CO
2ガスで1分間フラッシングしてからインキュベートした。スピナー速度を45rpmの連続回転に設定し、37℃でインキュベートした。残った細胞をトリプシン処理によって採取し、GuavaPCA機器(Guava Technologies(Hayward,CA))を使用して計数した。
【0307】
継代2−(250mL〜250mLフラスコ)細胞を6日間培養した。全てのマイクロキャリアを250mLフラスコから回収し、重力によって培地から分離させた。培地を吸引し、マイクロキャリアを25mLの新鮮培地に再懸濁させた。ピペット操作後、確実に同等に分配するように、マイクロキャリアを有する5mLの培地を除去し、250mLスピナーフラスコ内に送達した。およそ660mgの水和及び高圧滅菌した新しいCytodex(登録商標)3マイクロキャリア及び培地もまたフラスコに添加された。培地の容積を200mLに増加させ、フラスコを5% CO
2ガスで1分間フラッシングしてからインキュベートした。スピナー速度を45rpmの連続回転に設定し、37℃でインキュベートした。残った細胞をトリプシン処理によって採取し、GuavaPCA機器(Guava Technologies(Hayward,CA))を使用して計数した。
【0308】
培地交換。スピナーフラスコを培養物から除去し、マイクロキャリアを重力でフラスコの底に沈殿させた。およそ半分の培地容積を吸引によって除去し、同じ容積の新鮮培地で置換した。フラスコを5% CO
2ガスで1分間フラッシングし培養物に戻した。培地交換を1日目、及び4日目に実行した。
【0309】
活性染色法。1mLの分取物をフラスコから除去し、マイクロキャリアを重力で沈殿させた。培地を吸引によって除去し、1mLの生存/死亡染色溶液(Molecular Probesカタログ番号L3224)で置換し、37℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後、20マイクロリットルの分取物をガラス製顕微鏡スライドに塗布し螢光顕微鏡によって観察した。生存細胞は、緑色に染色し、死細胞は赤色に染色する。顕微鏡視野を手動で分析し、マイクロキャリアに付着した生存細胞と死細胞の分布及び比率を評価した。少なくとも3つの顕微鏡視野を評価し、生存細胞の近似的な割合を計算した。
【0310】
細胞採取。スピナーフラスコからマイクロキャリアを採取し、PBSで3回洗浄し、2つの50mL円錐遠心管の間に均等に配分した。各遠心管を25mLのトリプシンで37℃において10分間インキュベートした。遠心管をPBSで50mLの容量にし、マイクロキャリアを重力で沈殿させた。細胞を含有する上清を吸引によって回収し、2.5mLのFBSが事前に充填してある50mL円錐遠心管に移した(結果として5% FBS溶液をもたらしトリプトシンを不活性化した)。このプロセスを4回繰り返し、各々の画分を別々に回収した。全ての採取した細胞を遠心分離し、血清を含有する増殖培地中に再懸濁させ、Guava PCA機器の使用によって細胞を計数した。
【0311】
静置T−フラスコ培養。T225フラスコから採取した細胞の分取物を使用し2つのT225フラスコに播種し、米国特許出願第10/877012号に記述の方法を使用して4日間インキュベートした。細胞を採取しフローサイトメトリーによって分析した。
【0312】
フローサイトメトリー。採取した細胞を、Becton−Dickinson FACSCalibur(商標)(BectonDickinson(San Jose,CA))を使用するフローサイトメトリーによって分析し、細胞表面マーカーのプロファイルを判定した。全ての抗体は、BD PharMingen(San Diego,CA)から購入した。
【0313】
結果
細胞採取。表11−1に、スピナーフラスコ培養においてUTC細胞株050604BをCytodex(登録商標)3マイクロキャリア上で継代数9から継代数11まで増殖させた際の継代毎の採取画分、細胞収量及び生存率を示す。
【0314】
【表31】
【0315】
細胞動態。表11−2に、スピナーフラスコ培養においてUTC細胞株050604BをCytodex(登録商標)3マイクロキャリア上で継代数9から継代数11に増殖させた際の増殖速度を示す。表は、全倍加数(total doublings)が7.48であり、倍加あたりの平均時間が69.53(±17.52)時間であったと示している。
【0316】
【表32】
【0317】
生存/死亡の染色。生存/死亡の染色を行ったマイクロキャリア分取物の解析により、マイクロキャリア表面の大部分は緑色染色(生存)細胞で被覆され、僅か中心が赤色染色核(死亡)であることが示される。細胞は、静置条件で培養された細胞の形態と類似の形態を示す。
【0318】
フローサイトメトリー解析。表11−3は、スピナーフラスコ内のマイクロキャリアビーズから採取されたヒト臍組織由来細胞(hUTC)によって発現された細胞表面マーカーに対する結果(「+陽性」又は「−陰性」)を静置Tフラスコ内の培養物から採取されたhUTCによるものと対比させて示す。表は、2つの方法によって産生された細胞によって発現されたマーカーは一致していたことを示している。
【0319】
【表33】
【0320】
結論:ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)をインペラスピナーフラスコバイオリアクター内のCytodex(登録商標)3マイクロキャリア上で培養した。細胞は、20日間にわたって7.48回の集団倍加を達成し、平均集団倍加時間は69時間であった。継代あたりの細胞生存率は94.4%〜99.7%の範囲であった。マイクロキャリア上で培養されたhUTC上の13個の細胞表面マーカーの発現の解析は、細胞培養Tフラスコにおいて培養されたhUTCによる細胞表面マーカーの発現と一致していた。本実施例により、マイクロキャリアを使用してバイオリアクターシステムにおいてhUTCを播種、増殖、及び採取することができることが示される。
【0321】
(実施例12)
スピナーフラスコ内のコラーゲンコーティングしたMGSA及びPLGAマイクロキャリア上での増殖したhUTCの増殖
スピナーフラスコ培養における生存率を維持する能力及び静置培養内へ再播種すると増殖する能力など、コラーゲンコーティングされた再吸収性合成生体材料で製造された材料に付着したhUTCの能力を調査した。増殖したhUTCを、コラーゲンをコーティングした、又はコーティングしてないポリ−(D、L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、及びポリ(モノステアロイルグリセリド・コ−コハク酸)(MGSA)のマイクロキャリア上に播種した。細胞を有するマイクロキャリアをスピナーフラスコ内で5日間培養し、トリプシン処理によって採取し、静置培養内に再播種した。
【0322】
材料及び方法
【0323】
【表34】
【0324】
マイクロキャリアの調製。マイクロキャリアの湿潤−MGSA及びPLGAマイクロキャリアをそれぞれおよそ1gを無菌的に25mLの70%エタノール内に30分間懸濁させ、マイクロキャリアを湿潤させた。吸引によってエタノールを除去し、次いでマイクロキャリアをPBSで3回濯ぎ、25mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に再懸濁させた。
【0325】
コラーゲンのコーティング。湿潤化マイクロキャリア(PBS)を遠心分離によってペレット化し、PBSを吸引によって除去し、マイクロキャリアを2.9%コラーゲン溶液(Vitrogen 1000,Cohesion,Inc.(Palo Alto,CA))において再懸濁した。マイクロキャリアをコラーゲンにおいて30分間インキュベートさせた。コラーゲン残留物を吸引によって除去し、コラーゲンをコーティングしたマイクロキャリアをPBSで3回洗浄した。
【0326】
【表35】
【0327】
接種及び培養実施例11で使用された、材料、細胞型、増殖培地、スピナーフラスコ、接種及び培養条件、培地交換、活性染色、及び細胞採取方法を本実施例で使用した。
【0328】
結果
【0329】
【表36】
【0330】
採取細胞の再播種。コーティング有り及びコーティング無しのMGSA及びPLGAマイクロキャリアから採取された細胞をおよそ5,000細胞/cm
2でT225中に再播種した。再播種後4日で両材料から採取した細胞は、50%コンフルエンスを超えて増殖していた。
【0331】
増殖したhUTCをコラーゲンをコーティングしたPLGAマイクロキャリア及びMGSAマイクロキャリア上に播種し、スピナーフラスコ内で5日間培養し、トリプシン処理によって採取し、静置培養内に再播種した。合成マイクロキャリアから採取された細胞は、90%超生存していた。静置培養内で4日以内増殖した再播種細胞は、それらが増殖能を保持していることを実証した。本実施例により、合成生体材料がスピナーフラスコ培養用のマイクロキャリアとして使用される性能を有することが実証される。
【0332】
(実施例13)
連続型スピナーフラスコ培養内でのマイクロキャリア上でのhUTCの増殖
本研究の目的は、スピナーフラスコ内で市販のマイクロキャリアに付着し増殖したhUTCを複数回の集団倍加にわたって連続的に増殖させることである。複数回の集団倍加にわたってマイクロキャリア上でhUTCを増殖させる能力により、細胞療法の用途に向けてhUTCを大量生産するための規模拡大であるモデルシステムが提供されることとなる。2種類のhUTC単離株である、120304−研究条件下で単離、増殖、及び凍結保存、並びにCNTO 2476−GMP条件下で単離、増殖、及び凍結保存、を評価した。市販のマイクロキャリアCytodex(登録商標)1又はHillex(登録商標)IIもまた評価された。凍結保存された細胞は、解凍して直ぐにスピナーフラスコ培養に接種するために使用された。細胞は、およそ30回の集団倍加に達するまで、複数の継代数にわたって連続的に培養された。hUTCはまた、対照としてT225フラスコ内で静置培養された。
【0333】
集団倍加数12.8で凍結保存されたhUTC単離株120304を解凍し、Cytodex(登録商標)1及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が28.6及び28.7となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致していて、安定した対数増殖を示し、かつTフラスコでの増殖速度と一致していた。集団倍加数22.6で凍結保存したhUTC単離株CNTO 2476を解凍し、Cytodex(登録商標)1及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が33.2及び31.0となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致していて、安定した対数増殖を示し、かつTフラスコでの増殖速度と一致していた。集団倍加あたりの全時間データ点の一元配置分散分析(one-way ANOA)による統計分析は、試験された全条件について、hUTCの増殖速度に有意差がないことを示している。(p=0.988)。細胞表面のタンパク質の発現は、試験された全条件について、最終の採取において一致していた。
【0334】
本実施例により、細胞の表面のタンパク質表現型を維持する、安定し、一貫したやり方で、マイクロキャリア上でおよそ集団倍加数30に増殖するhUTCの能力が実証されている。
【0335】
材料及び方法
細胞。凍結保存した増殖したhUTC単離株12034集団倍加(PD)数12、及びhUTC単離株CNTO 2476ロット番号25126078 PD数22を使用した。
【0336】
増殖培地。ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)−低グルコース(Gibco(Grand Island,NY))、15% FBS(Hyclone(Logan,UT))、ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Gibco(Grand Island,NY))、β−メルカプトエタノール(BME)(Sigma(St.Louis,MO))
【0337】
マイクロキャリア。Cytodex(登録商標)1(GE Healthcare Life Sciences(Piscataway,NJ))マイクロキャリアをPBS内で少なくとも3時間水和し、高圧滅菌した。Cytodex(登録商標)1マイクロキャリアを3g/Lの濃度で使用した。Hillex(登録商標)II(SoloHill Engineering,Inc.(Ann Arbor,MI))マイクロキャリアを脱イオン水内で少なくとも30分間水和し、高圧滅菌した。Hillex(登録商標)IIマイクロキャリアを12g/Lの濃度で使用した。
【0338】
スピナーフラスコ。100mL及び500mLの、1回使用、すなわち使い捨てのスピナーフラスコ(Corning,Inc.(Corning,NY))を使用した。
【0339】
100mLスピナーフラスコ内での接種及び培養。hUTCの凍結保存バイアルを解凍、洗浄し、増殖培地に再懸濁した。6.6×10
6個のhUTCを、100mLの培地を含有する100mLスピナーフラスコ内の3000mgのCytodex(登録商標)1(5.0×10
3細胞/cm
2)に添加し、37℃の組織培養インキュベーター上に設置し3〜4日間インキュベートした。スピナープレートを60−rpmの連続回転に設定した。3.1×10
6個のhUTCを、100mLの培地を含有する100mLスピナーフラスコ内の1.2gのHellex(登録商標)II(5.0×10
3細胞/cm
2)に添加し、60−rpm連続回転に設定されたスピナープレート上に設置した。スピナープレートを5% CO
2内に設置した。
【0340】
1つの100mLスピナーフラスコから1つの500mLスピナーフラスコへの培養の継代。スピナープレートから100mLスピナーフラスコを除去し、マイクロキャリアを沈殿させた。培地の上清を吸引によって除去した。細胞が付着した残りのマイクロキャリア一組を、20mLの新鮮増殖培地に再懸濁した。次いで、細胞が付着したマイクロキャリアを、480mLの新鮮増殖培地と、4.8gのHillex(登録商標)II(6gの最終マイクロキャリア含量)、又は1.2gのCytodex(登録商標)1(1.5gの最終マイクロキャリア含量)と、を含有する500mLスピナーフラスコにピペットによって無菌的に移した。次いで、スピナーフラスコを60−rpm連続回転に設定されたスピナープレート上に設置した。スピナープレートを5% CO
2、37℃の組織培養インキュベーター内に設置し、3〜4日間インキュベートした。
【0341】
1つの500mLスピナーフラスコから5つのスピナーフラスコへの培養の継代。500mLスピナーフラスコが、スピナープレートから除去され、マイクロキャリアが据え置かれた。培地の上清を吸引によって除去した。細胞が付着した残りのマイクロキャリア一組を、50mLの新鮮増殖培地に再懸濁した。次いで、細胞が付着したマイクロキャリアの5つの別々の10mLの分取物を、それぞれが490mLの新鮮増殖培地と、4.8gのHillex(登録商標)II(6gの最終マイクロキャリア含量)、又は1.2gのCytodex(登録商標)1(1.5gの最終マイクロキャリア含量)と、を含有する、5つの別々の500mLスピナーフラスコに、ピペットで無菌的に移した。次いで、スピナーフラスコを、60−rpmの連続回転に設定されたスピナープレート上に設置した。スピナープレートを、5% CO
2、37℃の組織培養インキュベーター内に設置し、3〜4日間インキュベートした。
【0342】
Cytodex(登録商標)1マイクロキャリアに付着した細胞の採取。500mLスピナーフラスコをスピナープレートから除去し、細胞が付着したマイクロキャリアを重力によって沈殿させた培地の上清を吸引によって除去した。スピナーフラスコに500mLのPBSを添加し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。PBSの上清を吸引によって除去した。スピナーフラスコに500mLのDMEM−低グルコースを添加した。次いで、スピナーフラスコをスピナープレート上で20分間60rpmでインキュベートした。500mLスピナーフラスコを、スピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。DMEM−低グルコースの上清を吸引によって除去した。500mLのPBSをスピナーフラスコに添加した。次いで、スピナーフラスコをスピナープレート上で20分間60rpmでインキュベートした。スピナーフラスコをスピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力で沈殿させた。PBSの上清を吸引によって除去した。250mLのTrypLE selectをスピナーフラスコに添加した。次いで、スピナーフラスコを、スピナープレート上で10分間60rpmでインキュベートした。スピナーフラスコをスピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力により沈殿させた。50mLの血清ピペットを使用して、マイクロキャリア−TrypLE(商標)select溶液を、約10回の上下のピペット操作によって撹拌し、残りの付着細胞をマイクロキャリアから解離させた。次いで、250mLのPBSをスピナーフラスコに添加し、マイクロキャリアを重力により沈殿させた。上清を含有する細胞は、ピペット操作を繰り返すことによって回収され、事前処置として5mLのFBS及び100μmのフィルタユニットを管の開口部内に挿入した複数の円錐遠心管へ移送する遠心管を、300rcfで5分間遠心分離し、上清を移し、細胞を増殖培地に再懸濁した。
【0343】
Hillex(登録商標)IIマイクロキャリアに付着した細胞の採取。500mLスピナーフラスコをスピナープレートから除去し、細胞が付着したマイクロキャリアを重力によって沈殿させた。培地の上清を吸引により除去した。500mLのPBSをスピナーフラスコに添加し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。100mLのTrypLE(商標)selectをスピナーフラスコに添加した。次いで、スピナーフラスコを10分間、60rpmでスピナープレート上でインキュベートした。スピナーフラスコをスピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。25mLの血清ピペットを使用して、マイクロキャリア−TrypLE(商標)select溶液を、約10回の上下のピペット操作によって撹拌し、残りの付着細胞をマイクロキャリアから解離させた。細胞を含有する上清を、ピペット操作を繰り返して回収し、5mLのFBSを事前に充填し、遠心管開口部に100μmフィルタユニットを事前に挿入した複数の円錐遠心管に移した。遠心管を、300rcfで5分間遠心分離し、上清を移し、細胞を増殖培地に再懸濁した。
【0344】
活性染色法。培地の1mLの分取物及びマイクロキャリアを、15mLの円錐遠心管へ移し、マイクロキャリアを重力によって分離させた。培地を吸引によって除去し、1mLの生存/死亡の染色溶液(Molecular Probes、カタログ番号L3224)で置換し、37℃で15分インキュベートした。インキュベーション後、20μLの分取物を、ガラス製の顕微鏡スライドに塗布し、蛍光顕微鏡によって観察した。生存細胞は緑色に染色する。顕微鏡視野を、手動で分析し、マイクロキャリアに付着した生存細胞の分布を評価した。少なくとも3つの顕微鏡視野を評価し、生存細胞の近似的割合を計算した。
【0345】
培養中の細胞計数−核放出評価。同種のマイクロキャリア懸濁液の5mL(100mLスピナーフラスコ)又は10mL(500mLスピナーフラスコ)の分取物を、スピナーフラスコ容器から得て、15mL遠心管へ移した。マイクロキャリアを重力分離させ、上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、10mLのPBSで一回洗浄し、マイクロキャリアを重力分離させ、PBSの上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、核放出溶液(0.1% w/vのクリスタルバイオレット(Sigma(St.Louis,MO))を含有する0.1Mのクエン酸(Sigma(St.Louis,MO))内で、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、核放出溶液を含有するマイクロキャリアの100μLの分取物を100μLのPBSに添加した。次いで、この溶液の10μLの分取物を血球計算器内へ入れ、放出した核を計数した。
【0346】
培養中の細胞の計数−TrypLE(商標)評価。同種のマイクロキャリア懸濁液の5mL(100mLスピナーフラスコ)又は10mL(500mLスピナーフラスコ)の分取物を、スピナーフラスコ容器から得て、15mL遠心管へ移した。マイクロキャリアを重力分離させ、上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、10mLのPBSで一回洗浄し、マイクロキャリアを重力分離させ、PBSの上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、TrypLE(商標)select内で、37℃で10分間インキュベートした。インキュベーション後、5mLのPBSを添加し、マイクロキャリアを重力分離した。細胞を含有する上清を、ピペット操作を繰り返すことにより回収し、1mLのFBSを予め充填した複数の円錐遠心管へ移した。遠心管を300rcfで5分間遠心分離し、上清を移し、細胞を増殖培地内に再懸濁し、分取物を用い、Guava PCA器具(Guava Technologies(Haywood,CA))を使用して細胞計数を行った。
【0347】
静置T−フラスコ培養。hUTCの凍結保存したバイアルを解凍、洗浄し、増殖培地に再懸濁した。細胞は、米国特許第2004/877012A号に記述された方法を使用して、複数継代にわたって、T225内で静置培養された。
【0348】
フローサイトメトリー。米国特許第2004/877012A号に記述された方法を使用して、Becton−Dickinson FACSCalbur(商標)機器(Becton Dickinson(San Jose,CA))を用いたフローサイトメトリーによって、採取したhUTCを分析し、細胞表面マーカーのプロファイルを判定した。全ての抗体は、BD PharMingen(SanDiego,CA)から購入した。
【0349】
結果
【0350】
【表37】
【0351】
【表38】
【0352】
【表39】
【0353】
【表40】
【0354】
【表41】
【0355】
【表42】
【0356】
集団倍加数12.8で凍結保存されたhUTC単離株120304を解凍し、Cytodex(登録商標)1マイクロキャリア及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が28.6と28.7となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致しており、安定した対数的増殖を示し、Tフラスコでの増殖速度と一致していた。集団倍加数22.6で凍結保存されたhUTC単離株CNTO 2476を解凍し、Cytodex(登録商標)1マイクロキャリア及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が33.2と31.0となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致しており、安定した対数的増殖を示し、Tフラスコでの増殖速度とも一致していた。集団倍加あたりの全時間データ点の一元配置分散分析による統計分析は、試験された全条件について、hUTC増殖速度に有意差がないことを示している。(p=0.988)。更に、最終的な採取における細胞表面タンパク質の発現は、試験された全条件について一致していた。このデータにより、細胞の表面タンパク質表現型を維持する、安定し、一貫したやり方で、マイクロキャリア上でおよそ集団倍加数30まで増殖するhUTCの能力が実証された。
【0357】
以上、本発明を、様々な特定の材料、手順及び実施例を参照しながら、本明細書において説明及び例示したが、本発明は、その目的のために選択された特定の材料及び手順の組み合わせに限定されない点は理解されるであろう。当業者には認識されるように、かかる細部には多くの変形例を含み得ることが示唆される。本明細書及び実施例はあくまで例示的なものとしてみなされるべきものであり、本発明の真の範囲及び趣旨は以下の「特許請求の範囲」によって示されるものである。本出願において引用される参照文献、特許、及び特許出願は、いずれもそれらの全容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0358】
〔実施の態様〕
(1) アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB
12(シアノコバラミン)と、
塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための培養培地。
(2) 前記培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、
それぞれが約5×10
−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、H
2O、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na
2HPO
4・7H
2O)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10
−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様1に記載の培養培地。
(3) アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB
12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための無血清培養液。
(4) 実施態様1に記載の培養培地を含む、付着依存性細胞を増殖させるためのキット。
(5) 無血清培養液を更に含み、該無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB
12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様4に記載のキット。
【0359】
(6) 単離された臍帯組織由来細胞を培養する方法であって、
a.アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウムを含む培養培地におけるマイクロキャリア上に播種された臍帯組織由来細胞を増殖させる工程であって、該培養培地は、該細胞が所望の初期個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって、血清が補充される、工程と、
b.該細胞が該所望の初期個体群密度に達した後、無血清培養液を添加する工程であって、該無血清培養液は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、亜セレン酸ナトリウムを含む、工程と、
c.該細胞が所望の最終個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって該細胞を増殖させる工程と、を含み、
該臍帯組織由来細胞は、実質的に血液を含んでいないヒト臍帯組織から単離され、培養中の自己再生及び自己増殖が可能であり、分化する潜在能力を有し、CD13、CD90、HLA−ABCを発現し、CD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない、方法。
(7) 前記方法は、前記マイクロキャリア上に前記細胞を播種する工程を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記方法は、工程cの後に前記細胞を単離する工程を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(9) 前記方法は、培地交換を必要としない、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記方法は、スピナーフラスコ培養システムにおいて行われる、実施態様6に記載の方法。
【0360】
(11) 培養の前及び後の前記細胞の特性は、実質的に同じである、実施態様6に記載の方法。
(12) 培養の前及び後の前記細胞の特性は、同じである、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記所望の初期個体群密度は、3〜4日後に達成される、実施態様6に記載の方法。
(14) 前記マイクロキャリアは、アミン処理された表面を有する、実施態様6に記載の方法。
(15) 前記培養培地は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB
12(シアノコバラミン)と、
塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、実施態様6に記載の方法。
【0361】
(16) 前記1種又は2種以上のエネルギー源は、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムである、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、
それぞれが約5×10
−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、H
2O、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na
2HPO
4・7H
2O)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10
−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記培養培地は、2〜20%のFBSが補充されている、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%のFBSが補充されている、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記培養培地は、プトレシン、安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含む、実施態様15に記載の方法。
【0362】
(21) 前記無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB
12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
微量のミネラル類である硫酸銅(II)5水和物(CuSO
4・5H
2O)、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO
4・7H
2O)と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様6に記載の方法。
(22) 前記無血清溶液は、プトレシン、安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含む、実施態様21に記載の方法。