特許第6404227号(P6404227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404227
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】hUTC増殖用栄養強化培地
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0775 20100101AFI20181001BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20181001BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20181001BHJP
【FI】
   C12N5/0775
   C12N1/00 F
   !C12M1/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】84
(21)【出願番号】特願2015-547532(P2015-547532)
(86)(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公表番号】特表2016-501026(P2016-501026A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】US2013074615
(87)【国際公開番号】WO2014093598
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】13/715,532
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バティア・ラビンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホン・エル・エス・クローダイン
(72)【発明者】
【氏名】オズターク・サデッティン・エス
(72)【発明者】
【氏名】カマラジュ・ベンカット・エイチ
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平05−502379(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0151709(US,A1)
【文献】 特表2005−505240(JP,A)
【文献】 特表2008−518597(JP,A)
【文献】 特表2010−536357(JP,A)
【文献】 MINIMUM ESSENTIAL MEDIUM EAGLE - ALPHA MODIFICATION WITH NUCLEOSIDES,[ONLINE],2008年 4月 1日,URL,http://www.stemcell.com/~/media/Technical Resources/9/9/A/1/0/29846_PIS_1_1_0.pdf?la=en
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00− 7/08
C12M 1/00− 3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムから選択される1種又は2種以上のエネルギー基質と、を含む、付着依存性の臍帯組織由来細胞を増殖させるための培養培地であって、前記臍帯組織由来細胞は、実質的に血液を含んでいないヒト臍帯組織から単離され、培養中の自己再生及び自己増殖が可能であり、分化する潜在能力を有し、CD13、CD90、HLA−ABCを発現し、CD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない、培養培地
【請求項2】
約0.0006g/L〜約0.1g/Lの、それぞれのアミノ酸と、
約5×10−6g/L〜約0.015g/Lの、それぞれのビタミン類と、
約0.005g/L〜約7g/Lの、それぞれの塩類と、
約0.0001g/L〜約0.02g/Lの、それぞれのヌクレオシド類とを含む、請求項1に記載の培養培地。
【請求項3】
前記培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、
それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む、請求項1に記載の培養培地。
【請求項4】
プトレシン、安定化剤、及び/又は消泡剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の培養培地。
【請求項5】
付着依存性の臍帯組織由来細胞を増殖させるためのキットであって、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の培養培地と、
付着依存性の臍帯組織由来細胞を増殖させるための無血清培養液とを含む、キット。
【請求項6】
さらにマイクロキャリアを含む、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
請求項5または6に記載のキットであって、前記付着依存性の臍帯組織由来細胞を増殖させるための無血清培養液は、アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、キット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、例えば、臍帯組織由来細胞などの付着依存性細胞の増殖のための栄養強化培地に関する。
【背景技術】
【0002】
同種細胞療法(allogeneic cell therapy)用製品のために、細胞又は組織がドナーから採取され、採取物は患者への投与の前に更に処理される。一般的に、非相同性細胞療法(non-homologous cell therapy)用製品の製造プロセスは、以下の、細胞バンクバイアルを解凍し、細胞を増殖させて生産容器に接種する工程と、生産容器内で細胞を産生する工程と、血清及びトリプシンなど、細胞の産生中に使用される不要な不純物を除去する工程と、細胞を濃縮する工程と、細胞を最終処方緩衝液内へ処方する工程と、細胞を凍結させる工程と、を含む。かかる製造プロセスは、大変複雑で費用が高い。例えば、細胞療法用途の細胞は、一般的に、血清が補充された増殖培地において培養及び増殖される。プロセスにおいて使用される血清、培地、及びその他の消耗品が高コストであるために細胞療法の製品のコストは非常に高い。栄養的な制約、培養中の細胞副産物の蓄積、物理的環境などを含む多様な因子により、細胞が高密度に増殖することが制限される場合がある。したがって、細胞を高細胞密度に増殖することによって生産容器から産生される細胞の体積を増加させることが望まれている。
【0003】
以前、例えば、ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)などの付着依存性細胞は、15%のウシ胎児血清(FBS)を含有する細胞増殖培地を連続稼動第3日目に交換することによって高細胞密度に増殖されることが示された。しかしながら、かかる培地交換は、血清が高コストであることと、産生のために血清を多量に使用することと、操作処置が追加されることと、により望ましくない。したがって、培地交換のあるプロセスは、商業的に実現可能ではない。
【0004】
細胞増殖培地の交換が不要であり、商業的に実現可能である、細胞を増殖する新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、(1)アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、(2)ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、(3)塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、(4)ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、(5)インスリンと、(6)トランスフェリンと、(7)リポ酸/チオクト酸と、(8)エタノールアミンと、(9)亜セレン酸ナトリウムと、1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための培養培地である。
【0006】
一実施形態において、培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む。
【0007】
本発明の別の実施形態は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための無血清培養液である。
【0008】
本発明はまた、付着依存性細胞を増殖させるためのキットを提供する。キットは、培養培地及び/又は無血清培養液を含む。培養培地、無血清溶液、及びキットは、(例えば、臍帯組織由来細胞などの)付着依存性細胞を増殖させる方法において使用することができる。
【0009】
したがって、本発明の別の実施形態は、単離された臍帯組織由来細胞を培養する方法であって、
アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウムを含む培養培地におけるマイクロキャリア上に播種された臍帯組織由来細胞を増殖させる工程であって、該培養培地は、該細胞が所望の初期個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって、血清が補充される、工程と、
該細胞が該所望の初期個体群密度に達した後、無血清培養液を添加する工程であって、該無血清培養液は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、亜セレン酸ナトリウムを含む、工程と、
該細胞が所望の最終個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって該細胞を増殖させる工程と、を含む。
【0010】
方法は、追加の工程を更に含んでもよい。一実施形態において、方法は、マイクロキャリア上に細胞を播種する工程を更に含む。別の実地形態では、方法は、培養後に細胞を単離する工程を更に含む。一実施形態において、所望の初期個体群密度は、3〜4日後に達成される。方法は、培地交換を必要としない。方法は、ローラーボトル培養システムにおいて実施することができ、マイクロキャリアは、アミン処理された表面を有してもよい。
【0011】
本方法において使用される臍帯組織由来細胞は、実質的に血液を含んでいないヒト臍帯組織から単離され、培養中の自己再生及び自己増殖が可能であり、分化する潜在能力を有し、CD13、CD90、HLA−ABCを発現し、CD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない。一実施形態において、細胞は、hTert又はテロメラーゼを発現しない。培養の前及び後の細胞の特性は実質的に同じである。一実施形態において、培養の前及び後の細胞の特性は同じある。
【0012】
一実施形態において、本方法において使用される培養培地は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び1種又は2種以上のエネルギー源(例えば、D−グルコース、及びピルビン酸ナトリウムなど)と、を含む。
【0013】
別の実施形態において、本方法において使用される培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、
それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む。
【0014】
本方法において使用される培養培地は、2〜20%のFBSが補充されている。一実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%のFBSが補充されている。
【0015】
一実施形態において、本方法において使用される無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
微量のミネラル類である硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む。
【0016】
培養培地及び無血清培養液はまた、更なる成分を含有してもよい。例えば、培養培地及び/又は無血清培養液は、プトレシン、安定化剤、及び/又は泡剤を更に含んでもよい。
【0017】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の例示的実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付図面が参照されている。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践できるように十分に詳細に説明されおり、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、他の実施形態を用いることができること、及び論理構造的、機械的、電気的及び化学的変更がなされ得ることが理解されよう。当業者が本明細書に記載された実施形態を実践するために必要でない詳細な説明を避けるために、当業者に既知の特定の情報の説明が省略されている場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0019】
一態様において、本発明は、血清含有培地内のマイクロキャリアに付着した、例えば、ヒト臍帯組織由来細胞(「hUTC」)などの付着依存性細胞を、連続稼動の途中で無血清培養液による流加培養によって培地交換をせずに高細胞密度に増殖させるプロセスを提供する。本プロセスによって、細胞は、細胞の生物学的機能に影響を与えること無く、高細胞密度に増殖することができる。本発明により、産生バイオリアクターからの収量が増加するので、経済的及び商業的利点がもたらされる。
【0020】
別の態様では、本発明は、付着依存性細胞を、好ましくは培地交換の必要性なしにスピナーフラスコ内で増殖させるのに好適である培養培地及び培養液を提供する。
【0021】
一実施形態において、本発明は、培地交換なしでスピナーフラスコ内でhUTCを高密度に増殖させるための栄養強化培地及び濃縮された無血清培養液の組成を開示する。この方法により、血清の使用量が減少し、体積生産性が増加し、製造コストが低下する。特に、本方法は、培地交換によって倍加を増大させることができる。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、アミノ酸類(培養中に消費されたアミノ酸を補充するため)、ビタミン類、塩類(培養中の浸透圧バランスを維持するため)、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、並びに任意追加的にであるが好ましくはエタノールアミン及び亜セレン酸ナトリウムを含む、無血清培養液を提供する。本発明により、本プロセスは、大規模なバイオリアクターへ拡張することができる。更に別の実施形態において、本発明は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、並びに任意追加的にではあるが好ましくはエタノールアミン及び亜セレン酸ナトリウムを含む、培養培地を提供する。使用前に、この培養培地は、血清が補充されてもよい。
【0023】
本発明の別の態様は、スピナーフラスコ内の懸濁培養において血清含有増殖培地を栄養強化することによって、マイクロキャリアに付着したhUTCを高細胞密度に増殖させる方法であり、培養物に無血清の栄養物を供給する工程も開示される。本方法により、培地交換が排除され、hUTCを高密度に増殖させることができる。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲を通して様々な用語が使用される。これらの用語には、別途記載のない限り、当該技術分野における通常の意味が与えられるものとする。他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一致する様式で解釈される。
【0025】
一実施形態において、本発明に使用される細胞は、一般的に分娩後細胞(postpartum cell)又は分娩後由来細胞(postpartum-derived cell)(PPDC)と称される。これらの細胞は、より具体的には、「臍由来細胞」若しくは「臍帯由来細胞」(UDC)、又は「臍帯組織由来細胞」(UTC)である。更には、該細胞は、幹細胞又は前駆細胞であるとして説明することができ、後者の用語は広義に使用される。「由来する」という用語は、その細胞が、それらの生物学的起源から得られ、インビトロで、増殖されているか又は他の方法で操作されている(例えば、増殖培地中で培養されて、その個体群を増殖させ、かつ/又は細胞株を産生する)ことを示すために使用される。臍幹細胞のインビトロ操作、及び本発明の臍由来細胞の独自の特徴が、以下で詳細に説明される。
【0026】
幹細胞は、単一細胞の、自己再生する能力、並びに自己再生前駆細胞、非自己再生前駆細胞、及び最終分化細胞を含めた子孫細胞を産生するために分化する能力の双方によって定義される、未分化細胞である。幹細胞はまた、インビトロで、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉、及び外胚葉)から、様々な細胞系統の機能的細胞へと分化する能力によって、並びに、植え込み後に、複数の胚葉の組織を生じさせる能力、及び胚盤胞内への注射後に、全てではないが殆どの組織に実質的に寄与する能力によって特徴付けられる。
【0027】
幹細胞は、その発達能によって、(1)分化全能性、(2)多能性、(3)多分化能性、(4)少能性、及び(5)分化単能性として分類される。分化全能性細胞は、全ての胚細胞型及び胚体外細胞型を生じさせることが可能である。多能性細胞は、全ての胚細胞型を生じさせることが可能である。多分化能性細胞は、細胞系統の小集団で、特定の組織、臓器、又は生理系内の全てを生じさせることが可能であるものを含む。例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSC(自己再生)、血球限定の少能性前駆細胞、並びに血液の正常構成要素である全ての細胞型及び成分(例えば、血小板)を含む後代を産生することができる。少能性細胞は、多分化能性幹細胞より多くの制限された細胞系統小集団を生じさせることができる。分化単能性細胞は、単一細胞系統(例えば、精子形成幹細胞)を生じさせる能力がある。
【0028】
幹細胞はまた、それらの幹細胞を得ることができる供給源に基づいて分類される。成体幹細胞は、全般的には、複数の分化細胞型を含む組織内に見出される、多分化能の未分化細胞である。成体幹細胞は、自己再生することができる。通常の状況下では、成体幹細胞はまた、その細胞が起源とする組織の、特殊化した細胞型、また恐らくは他の組織型を産生するように、分化することもできる。胚幹細胞は、胚盤胞期の胚の内部細胞塊からの、多能性細胞である。胎生幹細胞は、胎児組織又は胎膜を起源とする幹細胞である。分娩後幹細胞は、出産後に入手可能な胚体外組織、すなわち、臍帯を実質的に起源とする、多分化能性若しくは多能性の細胞である。これらの細胞は、迅速な増殖、及び多くの細胞系統への分化に関する潜在能力を含む、多能性幹細胞に固有の特徴を保有することが分かっている。分娩後幹細胞は、血液由来の(例えば、臍帯血から得られる幹細胞のような)又は非血液由来(例えば、臍帯及び胎盤の非血液組織から得られるような)ものとすることができる。
【0029】
培養中の細胞を説明するうえで様々な用語が用いられる。「細胞培養物」は、一般的には、生存生物から取り出され、管理された条件下で増殖する(「培養中の」又は「培養される」)細胞を指す。「初代細胞培養物」は、最初の継代培養前に、(複数の)生体から直接取り出された細胞、組織、又は臓器の培養物である。細胞は、細胞の増殖及び/又は分裂を促進する条件下で、増殖培地内に置かれると、培養中「増殖」して、より大きな細胞集団を形成する。細胞を培養中増殖させる場合、細胞増殖の速度は、細胞の数が倍加するのに必要な時間の量によってしばしば測定される。これは「倍加時間」と呼ばれる。
【0030】
用語「細胞株」とは、一般的に初代細胞培養の1つ又は2つ以上の継代培養物によって形成される細胞集団を指す。継代培養の各回は、継代数と呼ばれる。細胞は、継代培養される時、「継代された」と呼ばれる。細胞の特定の母集団又は細胞株は、継代された回数でよばれたり、特徴付けられたりする場合がある。例えば、10回継代された培養細胞集団はP10培養物と呼ばれる場合がある。初代培養、すなわち、組織から細胞を単離した後の最初の培養はP0と称される。最初の継代培養の後、細胞は、2次培養(P1又は継代数1)といわれる。2回目の継代培養の後では、細胞は、3次培養(P2又は継代数2)となる、といった具合である。継代の期間中には、多くの集団倍加が存在し得るため、培養物の集団倍加の数は、継代の数よりも大きいことが、当業者には理解されるであろう。それぞれの継代間の期間における細胞の増殖(すなわち、集団倍加数)は、播種密度、基質、培地、増殖条件、及び継代間の時間等を含むがこれらに限定されない多くの因子に依存する。
【0031】
「分化」は、機能特化していない(「傾倒していない」)又は機能特化されていない細胞が、例えば、神経細胞又は筋肉細胞などの機能特化した細胞の特徴を取得するプロセスである。「分化した」細胞とは、細胞の系統内でより機能特化した(傾倒した)状態にある細胞である。分化のプロセスに用いられる際の用語「傾倒した」は、通常の環境下で特定の細胞型又は細胞型の小集合に分化し続ける分化経路の地点に進行しており、通常の環境下で異なる細胞型に分化することができない、又はより分化されていない細胞型に戻ることができない細胞を指す。「脱分化」とは、細胞が細胞の系統内においてより機能特化(又は傾倒)していない状態に戻るプロセスを指す。本明細書で使用する際、細胞の「系統」とは、細胞の遺伝、すなわち、その細胞がどの細胞に由来し、どのような細胞を発生させることができるかを定義する。細胞の系統により、発生及び分化の遺伝体系内に細胞を位置付けることができる。
【0032】
広義では、「前駆細胞」は、それ自身よりも分化した後代を産生する能力を有し、かつ、前駆体のプールを補充する能力も保持する細胞である。その定義によれば、幹細胞自体もまた、最終分化細胞へより近い前駆体であるため、前駆細胞である。以下でより詳細に説明されるように、本発明の細胞に言及する場合、この広い意味での前駆細胞の定義を使用することができる。より狭義には、前駆細胞は、分化経路での中間体である細胞として定義される場合が多く、すなわち、前駆細胞は、幹細胞から生じるものであり、成熟細胞型又は細胞型の小集団を産生する際の中間体である。このタイプの前駆細胞は、一般的に自己再生が不可能である。したがって、本明細書でこのタイプの細胞が言及される場合には、その細胞は「非再生前駆細胞」、又は「中間的前駆体若しくは前駆体細胞」と称される。
【0033】
一般的に、「栄養因子」は、細胞の生存、成長、増殖、及び/又は成熟を促進するか、あるいは細胞の活性の増大を刺激する物質として定義される。
【0034】
本明細書で使用される用語「標準増殖条件」は、5%のCOを含み、約100%の相対湿度に維持された標準大気において、37℃で細胞を培養することを指す。前述の条件は、培養にとって有用であるが、そのような条件は、細胞を培養するために当該技術分野において利用可能な選択肢を認識する当業者によって、変更することが可能である点を理解されたい。
【0035】
本明細書で使用される用語「単離する」は、一般に、その自然環境から分離されている細胞を指す。この用語は、その自然環境からの全体的な物理的分離、例えばドナー動物からの除去を含む。好ましい実施形態において、単離細胞は組織内に存在しない。すなわち、単離細胞は、その細胞が通常は接触している近隣細胞から分離又は切り離されている。好ましくは、細胞は細胞懸濁液として投与される。本明細書で使用される語句「細胞懸濁液」は、培地に接触していて、かつ、例えば、組織片を穏やかな粉砕にかけることによって、切り離されている細胞を含む。
【0036】
本発明の一実施形態は、単離された付着依存性細胞を本発明の培養培地及び無血清培養液を利用して培養する方法である。単離された付着依存性細胞(例えば、臍帯組織由来細胞など)を培養する方法は、少なくとも1種のキャリア粒子、例えばマイクロキャリア上で細胞を培養する工程を提供する。マイクロキャリアは、天然又は合成的に誘導された材料からなってもよい。例としては、コラーゲン系のマイクロキャリア、デキストラン系のマイクロキャリア、又はセルロース系のマイクロキャリア、並びにガラス、セラミックス、ポリマー(ポリスチレンなど)、又は金属が挙げられる。マイクロキャリアは、タンパク質を含まなくてもよく、又は例えばコラーゲンによってタンパク質コーティングされてもよい。更なる態様において、マイクロキャリアは、マイクロキャリアへの細胞の結合性を高め、かつマイクロキャリアからの細胞の放出を高める化合物から構成されてもよく、又はその化合物でコーティングされてもよく、それらの化合物としては、ヒアルロン酸ナトリウム、(ポリ(モノステアロイルグリセリド・コ−コハク酸)、ポリ−D、L−ラクチド−コ−グリコリド、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、リジン、n−イソプロピルアクリルアミド、ビトロネクチン、及びコラーゲンが挙げられるが、それらに限定されない。更なる例として、低レベルの生物学的に適切な電気を生じる、亜鉛と銅の微粒子ガルバニ対(particulate galvanic couple)を有するマイクロキャリアのような微少電流を有するマイクロキャリア、又は常磁性のアルギン酸カルシウムマイクロキャリアのような常磁性のマクロキャリアが挙げられる。本方法は、ローラーボトルシステムにおいて実施することができる。
【0037】
本発明は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的システムに限定されるものではなく、これらは無論のこと変更可能であることは理解されるはずである。また、本明細書において使用される用語は、あくまで特定の実施形態を説明することを目的としたものに過ぎず、限定的なものではない点も理解されるはずである。本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について特に明らかに断らないかぎり、複数の指示対象を含むものである。したがって、例えば、「a cell」と言う場合には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせなどを含む。
【0038】
「マイクロキャリア」は、培養中の付着依存性細胞の付着及び増殖に有用な粒子、ビーズ、又はペレットを指す。マイクロキャリアは以下の特性を有する。(a)(マイクロキャリア又は細胞に有意なせん断損傷を引き起こさない撹拌速度での)懸濁培養において使用可能な程度に十分に小さい、(b)中実である、あるいは表面に多孔質コーティングを有する中実コアを有している、及び(c)表面(多孔質キャリアの場合は外側表面及び内側表面)は、正又は負に帯電していてもよい。一態様では、マイクロキャリアは、全般的に、約150〜350μmの粒子直径を有し、約0.8〜2.0meq/gの正電荷密度を有する。代表的な有用なマイクロキャリアとして、Cytodex(登録商標)1、Cytodex(登録商標)2、又はCytodex(登録商標)3(GE Healthcare Life Sciences)が挙げられる。
【0039】
別の態様では、マイクロキャリアは中実キャリアである。中実キャリアは、接着性細胞(例えば、付着依存性細胞)に特に好適である。キャリアの粒子はまた、多孔性マイクロキャリアであってもよい。例としては、例えば、低レベルの生物学的に適切な電気を生じる、亜鉛と銅の微粒子ガルバニ対を有するマイクロキャリアのような微少電流を有するマイクロキャリア、又は常磁性のアルギン酸カルシウムマイクロキャリアのような常磁性のマクロキャリアが更に挙げられる。
【0040】
「多孔性マイクロキャリア」は、培養中の付着依存性細胞の付着及び増殖に有用な粒子を指す。多孔性マイクロキャリアは以下の特性を有する。(a)(マイクロキャリア又は細胞に有意なせん断損傷を引き起こさない撹拌速度での)懸濁培養において使用可能な程度に十分小さい、(b)細胞を粒子の内部空間へと遊走させるのに十分な大きさの孔と内部空間とを有する、及び(c)(外側及び内側)表面が、正又は負に帯電していてもよい。一連の実施形態において、キャリアは(a)全般的に約150〜350μmの粒子直径を有し、(b)約15μm〜約40μmの平均孔開口直径を有する孔を有し、(c)約0.8〜2.0meq/gの正電荷密度を有する。幾つかの実施形態において、DEAE(N,N−ジエチルアミノエチル)基により正電荷がもたらされる。有用な多孔性マイクロキャリアとして、Cytopore 1(登録商標)及びCytopore 2(登録商標)(GE Healthcare Life Sciences(Piscataway N.J.))が挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
「付着依存性細胞」は、組織培養で複製するために、表面(例えば、組織培養フラスコ表面又はマイクロキャリア粒子表面)に付着する必要のある、哺乳類細胞を含む細胞である。
【0042】
本明細書において使用される、量、時間の長さなどの測定可能な値を指す際の用語「約」は、具体的に示された値から±20%又は±10%、より好ましくは±5%、更により好ましくは±1%、いっそうより好ましくは±0.1%の変動を含むことを意味するが、かかる変動は開示される方法を実施するうえで適切なものである。
【0043】
I.培養培地及び無血清の栄養供給溶液
本発明により、栄養強化培地及び無血清の濃縮栄養供給溶液が提供される。その培地及び無血清培養液を使用して高密度に細胞を増殖させることができる。好ましい実施形態において、その培地及び無血清培養液を使用して、例えば、hUTCなどの付着依存性細胞を、スピナーフラスコ中でより低い血清消費量で高密度に増殖することができる。
【0044】
一実施形態において、培養培地及び無血清培養液は、臍帯組織由来細胞の増殖用に使用される。別の実施形態において、培養培地及び無血清培養液は、前駆細胞の増殖に好適であり、その前駆細胞として、間葉系幹細胞、骨髄由来幹細胞、胎盤組織由来細胞、例えば、脂肪組織、筋肉組織、内乳動脈由来細胞を含む血管、歯の歯髄由来細胞、羊水由来細胞、及び新生児包皮線維芽細胞を含む線維芽細胞などの非骨髄組織由来接着性細胞が挙げられるがそれらに限定されない。
【0045】
A.培養培地
本発明の一態様は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、D−グルコース、及びピルビン酸ナトリウムを含む培養培地である。
【0046】
一実施形態において、培養培地は、共通のL−アミノ酸類を含む。別の実施形態において、培養培地は、以下のアミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、並びに任意追加的にL−システイン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、それぞれが約0.0006g/L〜約0.1g/Lのアミノ酸を含む。
【0047】
更に別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.1g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.05g/LのL−シスチン、少なくとも約0.3g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.02g/Lのグリシン、少なくとも約0.03g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.08g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.08g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.1g/LのL−リシン、少なくとも約0.1g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.01g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.09g/LのL−チロシン、少なくとも約0.07g/LのL−バリン、及び任意追加的に少なくとも約0.007g/LのL−システイン、少なくとも約0.0005g/LのL−アラニン、少なくとも約0.02g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.01g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0006g/LのL−タウリンを含む。
【0048】
代替の実施形態において、培養培地は、約0.09705g/LのL−アルギニン、約0.06779g/LのL−シスチン、約0.009224g/LのL−システイン、約0.584g/LのL−グルタミン、約0.031125g/Lのグリシン、約0.048288g/LのL−ヒスチジン、約0.163713g/LのL−イソロイシン、約0.163713g/LのL−ロイシン、約0.16807g/LのL−リシン、約0.036748g/LのL−メチオニン、約0.073695g/LのL−フェニルアラニン、約0.05145g/LのL−セリン、約0.108609g/LのL−トレオニン、約0.018457g/LのL−トリプトファン、約0.121813g/LのL−チロシン、約0.111105g/LのL−バリン、約0.000668g/LのL−アラニン、約0.031978g/LのL−アスパラギン、約0.0080g/LのL−アスパラギン酸、約0.054728g/LのL−グルタミン酸、約0.02403g/LのL−プロリン、及び約0.000844g/LのL−タウリンを含む。
【0049】
培養培地は、1種又は2種以上のビタミン類を更に含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも以下のビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、並びに任意追加的にd−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。培地は、ビタミンC及びビタミンAを更に含んでもよい。別の実施形態において、培養培地は、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類を含む。一実施形態において、培養培地は、約0.004338g/LのD−パントテン酸カルシウム、約0.006094g/Lの塩化コリン、約0.004302g/Lの葉酸、約0.009568g/LのI−イノシトール、約0.004302g/Lのナイアシンアミド、約0.004153g/Lのピリドキサル、約0.000431g/Lのリボフラビン、約0.004304g/Lのチアミン、約3.75E−05g/Lのd−ビオチン、約1.85E−05g/Lのピリドキシン、及び約0.000102g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。
【0050】
培養培地は、1種又は2種以上の無機塩類を更に含む。一実施形態において、培養培地は、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩を含む。別の実施形態において、培養培地は、無水塩化カルシウム、塩化カリウム、無水硫酸マグネシウム、第一リン酸ナトリウム、HO、及び任意追加的に第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)を含む。使用される塩に応じて、培養培地は、少なくとも約0.005g/L〜最少で約7g/Lの塩類を含んでもよい。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.01g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び任意追加的に少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)を含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.2g/Lの無水塩化カルシウム、約0.4g/Lの塩化カリウム、約0.9767g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.13g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、約6.4g/Lの塩化ナトリウム、及び任意追加的に少なくとも約0.002g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)を含む。
【0051】
培養培地は、ヌクレオシド類を更に含む。一実施形態において、培養培地は、核酸誘導体(ヌクレオシド類)チミヂン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。代替の実施形態において、培地は、それぞれ少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.02g/Lのヌクレオシド類を含む。一実施形態において、培地は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれ最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。別の実施形態において、培地は、約0.00045g/Lのチミジン、それぞれが約0.015g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。
【0052】
一実施形態において、培養培地は、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、及びセレン酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.003g/Lのインスリンを含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.01g/Lのインスリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.05g/Lのトランスフェリンを含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.055g/Lのトランスフェリンを含む。更に別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.01g/Lのエタノールアミンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、約0.02g/Lのエタノールアミンを含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.000067g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。更に別の実施形態において、培養培地は、インスリン、トランスフェリン、及びエタノールアミンを更に含まない。
【0053】
本発明の一実施形態は、
アミノ酸類:L−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、ビタミン類:D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類:塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、ヌクレオシド類(核酸誘導体):チミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、インスリンと、トランスフェリンと、エタノールアミンと、亜セレン酸ナトリウムと、1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、培養培地である。一実施形態において、この培養培地は、それぞれが約0.0006g/L〜約0.1g/Lのアミノ酸類を含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類を含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.005g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約02g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.1g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)を含む。別の実施形態において、培地は、それぞれが少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.02g/Lのヌクレオシド類を含む。一実施形態において、培地は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも0.005g/Lのインスリン、及び少なくとも0.03g/Lのトランスフェリン、少なくとも0.01g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。1種又は2種以上のエネルギー源は、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムであってもよい。
【0054】
別の実施形態において、培養培地は、(1)アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、(2)ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、(3)塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、(4)ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、(5)インスリンと、(6)トランスフェリンと、(7)リポ酸/チオクト酸と、(8)エタノールアミンと、(9)亜セレン酸ナトリウムと、(10)1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む。
【0055】
本発明の一実施形態は、培養培地は、アミノ酸類:L−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、ビタミン類:D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類:塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、ヌクレオシド類(核酸誘導体):チミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、リポ酸/チオクト酸と、微量のミネラル類である硝酸鉄(III)、硫酸銅、硫酸亜鉛と、1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む。一実施形態において、培養培地は、それぞれが約0.0006g/L〜約0.1g/Lのアミノ酸を含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類を含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.01g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム(無水)、少なくとも約0.1g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び少なくとも約0.005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)を含む。別の実施形態において、培地は、それぞれが少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.02g/Lのヌクレオシド類を含む。一実施形態において、培地は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシンを含む。1種又は2種以上のエネルギー源は、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムであってもよい。
【0056】
微量のミネラルの亜セレン酸ナトリウムに加えて、特定の実施形態において、培養培地は、1種又は2種以上の追加的な微量のミネラル類を更に含む。一実施形態において、培地は、硝酸鉄(III)、硫酸銅、及び硫酸亜鉛を更に含む。一実施形態において、培地は、硝酸鉄(III)(9HO)、硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)、及び硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)を更に含む。微量のミネラル類は、それぞれの微量のミネラル類が約5×10−8g/L〜約3×10−4g/Lgの範囲の量で存在してもよい。代替の実施形態において、培地は、約0.001g/Lの硝酸鉄(III)(9HO)、約9.33E−08g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)、及び3.24E−05g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)を更に含む。
【0057】
更に、培地は、培養液の少なくとも約5×10−6g/Lを含んでもよいリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。一実施形態において、培地は、約0.000015g/Lのリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。
【0058】
任意追加的に、培地は、プトレシン、アルブミン、安定化剤、及び/又は泡剤を更に含んでもよい。一実施形態において、アルブミンは、ウシ血清アルブミンである。一実施形態において、ウシ血清アルブミンは、脂質の多いウシ血清アルブミンである、市販のAlbuMAX(登録商標)I(Gibco(商標)Cell Culture,Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))の形態で提供される。別の実施形態において、培地は、市販の安定化剤/消泡剤Pluronic(登録商標)F68(Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))を更に含む。
【0059】
培養培地の代表的な好適な実施形態は以下の表に示される。
【0060】
【表1-1】
【0061】
【表1-2】
【0062】
これらの培地は、ウシ血清アルブミン(BSA)、プトレシン、及びPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。具体的には、実施形態Aについては、培地は、3.02E−05g/Lのプトレシン、2.5g/LのBSA、及び0.015g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。同様に実施形態Bについては、無血清培養液は、少なくとも約1E−05g/Lのプトレシン、1g/LのBSA、及び少なくとも0.005g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。一実施形態において、培地は、例えば、3.02E−05g/Lのプトレシン、2.5g/LのBSA、及び0.015g/LのPluronic(登録商標)F68のようなプトレシン及びPluronic(登録商標)F68を更に含む。
【0063】
本発明の培養培地は、少なくとも0.8g/LのD−グルコース及び少なくとも0.1g/Lのピルビン酸ナトリウムを更に含んでもよい。一実施形態において、本発明の培養培地は、約1g/LのD−グルコース及び約0.11g/Lのピルビン酸ナトリウムを更に含む。
【0064】
本発明の一実施形態において、培養培地は、例えば、ウシ胎児血清(FBS)又は新生仔ウシ血清(NCS)などの血清が補充されている。血清含量は、培地の全容積の0(無血清培地)〜20%の濃度の範囲に及んでもよい。一実施形態において、培地は、培地の調製中、血清(例えば、FBSなど)で補充されている。別の実施形態において、培地は、(例えば、血清(例えば、FBS)を含む溶液の添加によってなど)使用直前に補充されている。一実施形態において、培養培地は、好ましくは、約2〜15%(v/v)のFBS、あるいは約2〜約10%、あるいは約3〜約12%、あるいは約5〜約15%、あるいは約4〜約10%のFBSが補充されている。選択された実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%(v/v)のFBSが補充されている。
【0065】
B.無血清培養液
本発明の別の態様は、アミノ酸類と、ビタミン類と、塩類と、ヌクレオシド類と、インスリンと、トランスフェリンと、エタノールアミンと、亜セレン酸ナトリウムと、を含む、無血清培養液である。本明細書で使用される場合、培養液に関連して、用語「無血清の」は、培養培地に添加する前、培養液が血清を含有しないことを意味する。別途記載のない限り、無血清培養液の成分に関して開示された量は、無血清培養液が培養物に添加された後のそれぞれの成分の重量の増加分の測定に基づいている。
【0066】
一実施形態において、無血清培養液は、一般的な20種のL−アミノ酸類を含む。別の実施形態において、無血清培養液は、アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、並びに任意追加的にL−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンを含む。一実施形態において、培養液は、それぞれが少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.03g/Lのこれらのアミノ酸を含む。別の実施形態において、無血清培養液は、少なくとも約0.005g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.002g/LのL−シスチン、少なくとも約0.0003g/LのL−システイン、少なくとも約0.0005g/Lのグリシン、少なくとも約0.002g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.01g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.01g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.008g/LのL−リシン、少なくとも約0.002g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.002g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.002g/LのL−セリン、少なくとも約0.003g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.0008g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.005g/LのL−チロシン、少なくとも約0.005g/LのL−バリン、少なくとも約0.0001g/LのL−アラニン、少なくとも約0.005g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.002g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも約0.01g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.008g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.008g/LのL−タウリンを含む。
【0067】
代替の実施形態において、無血清培養液は、約0.013g/LのL−アルギニン、HCl、約0.005g/LのL−シスチン、2HCl、約0.009g/LのL−システイン、HCl、HO、約0.001g/Lのグリシン、約0.006g/LのL−ヒスチジン、HCl、HO、約0.059g/LのL−イソロイシン、約0.059g/LのL−ロイシン、約0.022g/LのL−リシン、HCl、約0.007g/LのL−メチオニン、約0.008g/LのL−フェニルアラニン、約0.009g/LのL−セリン、約0.013g/LのL−トレオニン、約0.002g/LのL−トリプトファン、約0.018g/LのL−チロシン、2Na、2HO、約0.018g/LのL−バリン、約0.001g/LのL−アラニン、約0.032g/LのL−アスパラギン、HO、約0.008g/LのL−アスパラギン酸、約0.055g/LのL−グルタミン酸、約0.024g/LのL−プロリン、及び約0.0008のL−タウリンを含む。アミノ酸類は、培養中に消費されたアミノ酸を補充させると考えられる。
【0068】
無血清培養液は、1種又は2種以上のビタミン類を更に含む。一実施形態において、無血清培養液は、少なくとも以下のビタミン類:D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。培養液は、ビタミンC及びビタミンAを更に含んでもよい。一実施形態において、培養液は、それぞれが約5×10−6g/L〜0.001g/Lの1種又は2種以上のビタミン類を含む。一実施形態において、無血清培養液は、少なくとも約0.0001g/LのD−パントテン酸カルシウム、少なくとも約0.0008g/Lの塩化コリン、少なくとも約0.0001g/Lの葉酸、少なくとも約0.0008g/LのI−イノシトール、少なくとも約0.0001g/Lのナイアシンアミド、少なくとも約0.00005g/Lのピリドキサル、少なくとも約1×10−5g/Lのリボフラビン、少なくとも約0.00001g/Lのチアミン、少なくとも約1×10−5g/Lのd−ビオチン、少なくとも約1×10−5g/Lのピリドキシン、及び少なくとも約1×10−5g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。一実施形態において、無血清培養液は、約0.000338g/LのD−パントテン酸カルシウム、約0.002094g/Lの塩化コリン、約0.000302g/Lの葉酸、約0.002568g/LのI−イノシトール、約0.000302g/Lのナイアシンアミド、約0.000153g/Lのピリドキサル、HCl、約3.11E−05g/Lのリボフラビン、約0.000304g/Lのチアミン、HCl、約3.75E−05g/Lのd−ビオチン、約1.85E−05g/Lのピリドキシン、HCl、及び約0.000102g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。
【0069】
更に、無血清培養液は、1種又は2種以上の塩類を含む。別の実施形態において、培養液は、約0.0005g/L〜約0.001g/Lのリン酸塩を含む。代替の実施形態において、培養液は、第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物などのリン酸ナトリウムを含む。更に別の実施形態において、培養液は、少なくとも約0.005g/Lの第一リン酸ナトリウム及び少なくとも約0.001g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物を含む。代替の実施形態において、培養液は、約0.008g/Lの第一リン酸ナトリウム及び約0.002g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物を含む。
【0070】
無血清培養液は、ヌクレオシド類を更に含む。一実施形態において、無血清培養液は、核酸誘導体のチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。代替の実施形態において、培養液は、それぞれが約0.0001g/L〜少なくとも約0.005g/Lのヌクオレシド類を含む。一実施形態において、培養液は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシンを含む。別の実施形態において、培養液は、約0.0005g/Lのチミジン、それぞれが約0.015g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。
【0071】
無血清培養液は、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムを更に含む。一実施形態において、培養液は、少なくとも0.002g/L、あるいは約0.01g/Lのインスリンを含む。別の実施形態において、培養液は、少なくとも約0.01g/L、あるいは約0.06g/Lのトランスフェリンを含む。代替の実施形態において、培養液は、少なくとも約0.005g/L、あるいは約0.02g/Lのエタノールアミンを含む。更に別の実施形態において、培養液は、少なくとも約2×10−5g/L、あるいは約7×10−5g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。
【0072】
微量のミネラルの亜セレン酸ナトリウムに加えて、特定の実施形態において、無血清培養液は、1種又は2種以上の追加的な微量のミネラル類を更に含む。一実施形態において、培養液は、それぞれが約3×10−8g/L〜約2×10−5g/Lの1種又は2種以上の追加的な微量のミネラル類を含む。一実施形態において、培養液は、硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)及び硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)を更に含む。別の実施形態において、培養液は、少なくとも約3×10−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)及び少なくとも約5×10−6g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)を更に含む。代替の実施形態において、培養液は、約9×10−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)及び約3×10−5g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)を更に含む。
【0073】
更に、脂質エタノールアミンに加えて、無血清培養液は、培養液の少なくとも約1×10−5g/Lを含んでもよいリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。
【0074】
本発明の一実施形態において、無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム7水和物と
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリンと、トランスフェリンと、エタノールアミンと、亜セレン酸ナトリウムと、を含む。
【0075】
この無血清溶液は、任意追加的に硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)及び硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)を更に含む。更に、無血清溶液は、任意追加的にリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。一実施形態において、溶液は、(1)それぞれが約0.0001g/L〜約0.03g/Lのアミノ酸類、(2)それぞれが約0.00001g/L〜約0.001g/Lのビタミン類、(3)少なくとも約5×10−6g/Lの第一リン酸ナトリウム、及び0.001g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物、(4)少なくとも約0.0001g/Lのチミジン及びそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシン、(5)少なくとも0.002g/Lのインスリン、(6)少なくとも約0.03g/Lのトランスフェリン、(7)少なくとも約0.005g/Lのエタノールアミン、並びに(8)少なくとも約5×10−5g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。任意追加的に、この溶液は、(9)少なくとも約7×10−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)、(10)少なくとも約5×10−6g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)、及び(11)少なくとも約1×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸を更に含む。
【0076】
本発明の別の実施形態において、無血清培養液は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)、及びリポ酸/チオクト酸を含む。その実施形態において、培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類であるリン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、を含む。
【0077】
一実施形態において、この無血清培養液は、少なくとも約0.005g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.002g/LのL−シスチン、少なくとも約0.0003g/LのL−システイン、少なくとも約0.0005g/Lのグリシン、少なくとも約0.002g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.01g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.01g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.008g/LのL−リシン、少なくとも約0.002g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.002g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.002g/LのL−セリン、少なくとも約0.003g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.0008g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.005g/LのL−チロシン、少なくとも約0.005g/LのL−バリン、少なくとも約0.0001g/LのL−アラニン、少なくとも約0.005g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.002g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも約0.01g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.008g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.008g/LのL−タウリンを含む。別の実施形態において、この無血清培養液は、少なくとも約0.0001g/LのD−パントテン酸カルシウム、少なくとも約0.0008g/Lの塩化コリン、少なくとも約0.0001g/Lの葉酸、少なくとも約0.0008g/LのI−イノシトール、少なくとも約0.0001g/Lのナイアシンアミド、少なくとも約0.00005g/Lのピリドキサル、少なくとも約1×10−5g/Lのリボフラビン、少なくとも約0.00001g/Lのチアミン、少なくとも約1×10−5g/Lのd−ビオチン、少なくとも約1×10−5g/Lのピリドキシン、及び少なくとも約1×10−5g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を更に含む。代替の実施形態において、この培養液は、少なくとも約0.0001g/Lのチミヂン、それぞれが最少で0.01g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシンを更に含む。別の実施形態において、この培養液は、少なくとも約3×−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)、約5×10−5g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)、及び約2×10−5g/Lのリポ酸/チオクト酸を更に含む。
【0078】
任意追加的に、無血清培養液は、プトレシン、ウシ血清アルブミン、安定化剤、及び/又は泡剤を更に含んでもよい。一実施形態において、ウシ血清アルブミンは、脂質の多いウシ血清アルブミンである市販のAlbuMAX(登録商標)I(Gibco(商標)Cell Culture,Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))の形態で提供される。別の実施形態において、無血清培養液は、市販の安定化剤/消泡剤のPluronic(登録商標)F68(Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))を含む。
【0079】
無血清培養液の例示的な好適な実施形態は、以下の表において示される。
【0080】
【表2】
【0081】
これらの無血清培養液は、ウシ血清アルブミン(BSA)、プトレシン、及びPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。具体的には、実施形態Aについては、無血清培養液は、3.02×E−05g/Lのプトレシン、2.5g/LのBSA、及び0.015g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。同様に、実施形態Bについては、無血清培養液は、少なくとも約1E−05g/Lのプトレシン、1g/LのBSA、及び少なくとも0.005g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。一つの好ましい実施形態において、無血清培養液は、プトレシン及びPluronic(登録商標)F68を更に含む。
【0082】
実施形態において、無血清培養液は、セレン酸ナトリウム、エタノールアミン、インスリン、トランスフェリン、チミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、グアノシン、及び血清アルブミン(すなわち、ウシ血清アルブミン)を含む。
【0083】
任意追加的に、無血清培養液は、例えば、グルコース及び/又はピルビン酸塩などの1種又は2種以上のエネルギー基質を更に含んでもよい。
【0084】
本発明の一実施形態において、培養培地及び/又は無血清培養液は、未分化細胞の増殖を促進する、外因的に付加される因子を含有しない。一つの好ましい実施形態において、培養培地及び/又は無血清培養液は、例えば、塩基性FGF又はFGF−4などの線維芽細胞増殖因子を含まない。
【0085】
II.ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)
本発明の特定の実施形態で上述されたように、培養培地及び無血清培養液を使用して単離されたヒト臍帯組織由来細胞(「hUTC」又は「UTC」)を増殖させることができる。本発明の培養培地、無血清培養液、キット、及び方法での使用に好適なUTC及びUTC個体群は、以下の詳細にわたる本明細書、並びに米国特許第7,510,873号、同第7,524,489号、及び米国特許出願公開第2005/005863号(これらの特許は、hUTCの説明、単離及び特性評価に関連しているので、その全体が参照により組み込まれている)において詳細に説明されている。
【0086】
A.臍帯組織由来細胞の単離及び増殖
本明細書で説明される方法によれば、哺乳類の臍帯は、満期産若しくは早期産のいずれかの終了時に、又はその直後に、例えば、出産後の圧出の後に採取される。この分娩後組織は、出産場所から、実験室へと、フラスコ、ビーカー、培養皿、又は袋などの滅菌容器に入れて移送することができる。この容器は、溶液又は培地を有してもよく、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(ダルベッコ最小必須培地としても知られる)若しくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの食塩水、又はウィスコンシン大学溶液若しくはパーフルオロケミカル溶液などの、移植に使用される器官の移送のために使用される任意の溶液が挙げられるが、これらに限定されない。限定するものではないが、ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの1種又は2種以上の抗生物質及び/又は抗真菌剤を、培地又は緩衝液に添加することができる。分娩後組織は、ヘパリン含有溶液などの抗凝固溶液ですすぐことができる。UTCの抽出の前にこの組織を約4〜10℃で保つことが好ましい。この組織は、UTCの抽出前に凍結させないことが、更により好ましい。
【0087】
UTCの単離は、好ましくは、無菌環境内で実施される。臍帯は、当該技術分野において既知の手段によって胎盤から分離することができる。あるいは、臍帯及び胎盤は、分離することなく使用される。血液及び残渣は、UTCの単離前に、分娩後組織から除去することが好ましい。例えば、この分娩後組織は、緩衝溶液(リン酸緩衝生理食塩水を含むがこれに限定されない)で洗浄することができる。この洗浄緩衝液はまた、1種又は2種以上の抗真菌剤及び/又は抗生物質(例えばペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンを含むがこれらに限定されない)も含み得る。
【0088】
臍帯又はその断片若しくは切片を含む分娩後組織は、機械的な力(細断力又は剪断力)によって脱凝集される。現時点で好ましい実施形態において、この単離手順はまた、酵素消化プロセスも利用する。多くの酵素が、培養下での増殖を促進するための、複合組織マトリックスからの個々の細胞の単離に関して有用であることは、当該技術分野において既知である。消化酵素は、弱い消化性(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ、及び中性プロテアーゼであるディスパーゼ)から、強い消化性(例えば、パパイン及びトリプシン)まで様々であり、市販されている。本明細書に適合する酵素の非網羅的なリストとしては、粘液溶解酵素活性、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、又はエラスターゼなど)、及びデオキシリボヌクレアーゼが挙げられる。メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、及び粘液溶解活性から選択される酵素活性が、現時点で好ましい。例えば、コラゲナーゼは、組織から様々な細胞を単離するために有用であることが既知である。デオキシリボヌクレアーゼは、一本鎖DNAを消化することができ、単離中の細胞凝集を最小限に抑えることができる。好ましい方法には、例えばコラゲナーゼ及びディスパーゼで、又はコラゲナーゼ、ディスパーゼ及びヒアルロニダーゼで、酵素処置することを含む。特定の実施形態において、コラゲナーゼと中性プロテアーゼディスパーゼの混合物が、この分離する工程において使用される。より具体的な実施形態において、Clostridium histolyticum由来の少なくとも1種のコラゲナーゼ、並びにプロテアーゼ活性のディスパーゼ、及びサーモリシンのいずれかの存在下での消化を採用する。更に別の実施形態において、コラゲナーゼとディスパーゼ両方の酵素活性での消化を採用する。また、コラゲナーゼ活性及びディスパーゼ活性に加えて、ヒアルロニダーゼ活性での消化を含む方法も利用される。様々な組織源から細胞を単離するための、そのような多くの酵素処理が、当該技術分野において既知であることが、当業者には理解されるであろう。例えば、商品名LIBERASE(Roche(Indianapolis,Ind.))で販売される組織解離用の酵素混合物が本方法での使用に好適である。他の酵素の供給源が既知であり、当業者はまた、そのような酵素を、それらの天然源から直接取得することもできる。当業者はまた、本発明の細胞を単離する際の有用性に関して、新たな、又は追加的な酵素若しくは酵素の組み合せを評価するための設備も、十分に備えている。好ましい酵素処理は、0.5時間、1時間、1.5時間、又は2時間以上の長さである。他の好ましい実施形態において、解離工程の酵素処理の間、組織を37℃でインキュベートする。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態において、分娩後組織は、例えば、胎盤の、新生児、新生児/母体、及び母体の態様などの、様々な組織の態様を含む切片へと分離される。次いで、分離された切片は、本明細書で説明される方法に従って、機械的解離及び/又は酵素的解離によって解離される。新生児系統又は母体系統の細胞は、当該技術分野において既知の任意の手段によって、例えば、Y染色体に関して核型分析又は原位置ハイブリダイゼーションによって、同定することができる。
【0090】
単離された細胞又はUTCが由来する臍帯組織は、細胞培養を開始又は播種するのに使用することができる。細胞外マトリックス又はリガンド、例えば、ラミニン、コラーゲン(ネイティブ、変性、又は架橋)、ゼラチン、フィブロネクチン、及びその他の細胞外マトリックスタンパク質を用いてコーティングしてある又はコーティングしてない組織培養用滅菌容器に単離細胞を移入する。本明細書に開示される培養培地に加えて、UTCは、細胞の増殖を維持することができる任意の培養培地において培養することができ、これには例えば、DMEM(高グルコース又は低グルコース)、進化型DMEM、DMEM/MCDB 201、イーグル基本培地、ハムF10培地(F10)、ハムF12培地(F12)、イスコフ改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞増殖培地(MSCGM)、DMEM/F12、RPMI 1640、及び商品名CELL−GRO−FREE(Mediatech,Inc.(Herndon,VA))として販売される、無血清培地(serum/media free medium)などが挙げられるがこれらに限定されない。この培養培地は、例えば、好ましくは約2〜15%(v/v)のウシ胎児血清(FBS)、ウマ血清(ES)、ヒト血清(HS)、好ましくは約0.001%(v/v)のβ−メルカプトエタノール(BME又は2−ME)、1種又は2種以上の増殖因子、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、白血球阻止因子(LIF)、及びエリスロポエチン(EPO)、L−バリンを含むアミノ酸、例えば、単独若しくは組み合せでの、ペニシリンG、硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、微生物汚染を制御するための、1種又は2種以上の抗生物質並びに/あるいは抗真菌剤を含めた、1種又は2種以上の構成成分を添加することができる。培養培地は、実施例で定義される増殖培地を含んでもよい。
【0091】
細胞は、細胞増殖を可能にする密度で、培養容器中に播種される。好ましい実施形態において、細胞は、空気中、COが約0〜約5体積%で培養される。幾つかの好ましい実施形態において、細胞は、空気中、Oが約2〜約25%、好ましくは、空気中、Oが約5〜約20%で培養される。細胞は、好ましくは、約25〜約40℃の温度で培養され、より好ましくは、37℃で培養される。細胞は、好ましくは、インキュベーター内で培養される。培養容器内の培地は、静置状態であってもよく、又は例えば、バイオリアクターを使用して撹拌されてもよい。UTCは、好ましくは、低酸化ストレス下で(例えば、グルタチオン、ビタミンC、カタラーゼ、ビタミンE、N−アセチルシステインを添加して)増殖される。「低酸化ストレス」とは、培養される細胞に対するフリーラジカルによる損傷が無い又は最少である状態を指す。
【0092】
最も適切な細胞培地、培地調製、及び細胞培養技術の選択方法は、当該技術分野において周知であり、Doyleら(編)、1995年、「Cell & Tissue Culture:Laboratory Procedures」、John Wiley & Sons(Chichester)、Ho及びWang(編)、1991年、「Animal Cell Bioreactors」、Butterworth−Heinemann(Boston)を含む様々な出典に説明されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
単離された細胞又は組織断片を、十分な期間にわたって培養した後に、分娩後組織からの遊走、若しくは細胞分裂のいずれか、又は双方の結果として、UTCが増殖することとなる。本発明の幾つかの実施形態において、UTCは、継代され、又は、最初に使用されたものと同じタイプ、若しくは異なるタイプの新鮮培地を入れた、別個の培養容器に取り出され、そこにおいてその細胞の個体群は有糸分裂的に増殖することができる。本発明の細胞は、継代数0と老化との間の任意の時点で使用することができる。この細胞は、好ましくは、約3回〜約25回継代され、より好ましくは、約4回〜約12回継代され、好ましくは、10回又は11回継代される。クローニング及び/又はサブクローニングを実行することにより、細胞のクローン集団が単離されていることを確認することができる。
【0094】
特定の実施形態において、分娩後組織に存在する多種の細胞が、亜集団に分画され、これらの亜集団からUTCを単離することができる。分画又は選択は、細胞分離のための標準的技術を使用して達成することができ、それらの標準的技術としては、分娩後組織をその構成細胞へと解離する酵素処理、その後の特定の細胞型のクローニング及び選択、例えば、形態学的マーカー及び/又は生化学的マーカーに基づく選択、所望される細胞の選択的増殖(正の選択)、不必要な細胞の選択的破壊(負の選択)、例えば大豆凝集素を使用するような、混合集団中での示差的な細胞凝集能に基づく分離、凍結−解凍手順、混合集団中での示差的な細胞付着特性、濾過、従来の遠心分離法及びゾーン遠心分離法、遠心溶出法(対向流遠心分離法)、単位重力分離法、向流分布法、電気泳動、及び蛍光活性化細胞選別法(FACS)が挙げられるが、これらに限定されない。クローン選択及び細胞分離技術の概説に関しては、参照により本明細書に組み込まれる、Freshney,1994年,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Techniques,3rd Ed.(Wiley−Liss,Inc.,New York)を参照されたい。
【0095】
培養培地は、必要に応じて、例えばピペットで皿から培地を慎重に吸引し、かつ新鮮培地を補充することによって交換される。インキュベーションは、十分な数又は密度の細胞が皿内に蓄積するまで継続される。標準的技術を使用して、又はセルスクレーパーを使用して、元の外移植組織の切片を除去し、残余の細胞をトリプシン処理することができる。トリプシン処理の後、細胞を回収して、新鮮培地に除去し、上記のようにインキュベートする。いくつかの実施形態において、培地は、トリプシン処理の約24時間後に、少なくとも1回交換して、あらゆる浮遊細胞を除去する。培養物に残存する細胞が、UTCであると考えられる。
【0096】
UTCは、凍結保存することができる。したがって、自家移入に関する(母又は子のいずれかに関する)UTCは、子供の誕生後に適切な分娩後組織から誘導して、次いで、それらのUTCが後に移植に必要とされる事象で利用可能となるように、凍結保存することができる。
【0097】
B.臍帯組織由来細胞の特性
UTCは、例えば、増殖特性(例えば、集団倍加能力、倍加時間、老化までの継代数)、核型分析(例えば、正常核型;母体系統又は新生児系統)、フローサイトメトリー(例えば、FACS分析)、免疫組織化学及び/又は免疫細胞化学(例えば、エピトープの検出に関する)、遺伝子発現プロファイリング(例えば、遺伝子チップアレイ;ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、及び従来のPCR))、タンパク質アレイ、タンパク質分泌(例えば、血漿凝固アッセイ又はPDC−馴化培地の分析によるもの、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によるもの)、混合リンパ球反応(例えば、PBMCの刺激の尺度として)、及び/又は当技術分野において既知の他の方法によって、特徴付けることができる。
【0098】
臍組織由来の好適なUTCの例は、2004年6月10日に、American Type Culture Collection(10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110)に寄託されており、以下のATCCアクセッション番号が割り当てられている。(1)菌株表示UMB 022803(P7)は、アクセッション番号PTA−6067が割り当てられ、(2)菌株表示UMB 022803(P17)は、アクセッション番号PTA−6068が割り当てられている。
【0099】
様々な実施形態において、UTCは、1つ又は2つ以上の以下の増殖の特徴を有する。(1)培養下での増殖のためにL−バリンを必要とする、(2)約5%〜少なくとも約20%の酸素を含有する大気中での増殖が可能である、(3)老化に到達する前に、培養下で少なくとも約40回倍加する潜在能力を有する、(4)コーティングされた、若しくはコーティングされていない組織培養容器上に付着して増殖し、このコーティングされた組織培養容器は、ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチン、又はフィブロネクチンのコーティングを含む。
【0100】
特定の実施形態において、UTCは、その細胞が継代される際に維持される、正常核型を有する。核型分析に関する方法は、当業者に利用可能であり、既知である。
【0101】
他の実施形態において、UTCは、(1)組織因子、ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンのうちの少なくとも1つの産生;(2)フローサイトメトリーによって検出されるような、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、PD−L2、及びHLA−A、B、C細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生を含む、特定のタンパク質の産生によって特徴付けることができる。他の実施形態において、UTCは、フローサイトメトリーによって検出されるような、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7−H2、HLA−G、及びHLA−DR、DP、DQ細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生の欠如によって、特徴付けることができる。組織因子、ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンのうちの少なくとも2つを産生する細胞が、特に好ましい。タンパク質組織因子、ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンの3つ全てを産生するような細胞が、より好ましい。
【0102】
その他の実施形態において、UTCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞である、ヒト細胞と比べて、インターロイキン8、レチクロン1、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(黒色腫増殖刺激活性、α)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(顆粒球走化性タンパク質2)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド3、腫瘍壊死因子、及びα−誘導タンパク質3のうちの、少なくとも1つをコードする遺伝子に関して増大する、遺伝子の発現によって特徴付けることができる。
【0103】
更に他の実施形態において、UTCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞である、ヒト細胞と比べて、低身長ホメオボックス2、熱ショック27kDaタンパク質2、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド12(ストロマ細胞由来因子1)、エラスチン(大動脈弁上狭窄症、ウィリアムズ−ビューレン症候群)、ホモサピエンスmRNA、cDNA DKFZp586M2022(クローンDKFZp586M2022由来)、間葉ホメオボックス2(増殖停止特異的ホメオボックス)、sine oculisホメオボックスホモログ1(ドロソフィラ)、クリスタリン、αB、形態形成のdisheveled関連アクチベータ2、DKFZP586B2420タンパク質、ニューラリン1の類似体、テトラネクチン(プラスミノゲン結合タンパク質)、src相同性3(SH3)及びシステイン豊富ドメイン、コレステロール25−ヒドロキシラーゼ、runt関連転写因子3、インターロイキン11受容体α、プロコラーゲンC−エンドペプチダーゼエンハンサー、frizzledホモログ7(ドロソフィラ)、仮定的遺伝子BC008967、コラーゲン、VIII型、α1、テネイシンC(ヘキサブラキオン)、iroquoisホメオボックスタンパク質5、へファエスチン、インテグリンβ8、シナプス小胞糖タンパク質2、神経芽腫、腫瘍形成抑制1、インスリン様増殖因子結合タンパク質2、36kDa、ホモサピエンスcDNA FLJ12280fis、クローンMAMMA1001744、サイトカイン受容体様因子1、カリウム中間体/低コンダクタンスカルシウム活性化チャネル、サブファミリーN、メンバー4、インテグリン、β7、PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ、sine oculisホメオボックスホモログ2(ドロソフィラ)、KIAA1034タンパク質、小胞関連膜タンパク質5(ミオブレビン)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリックスタンパク質1、初期成長応答3、distal−lessホメオボックス5、仮定的タンパク質FLJ20373、アルド−ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC3(3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、II型)、バイグリカン、PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ、フィブロネクチン1、プロエンケファリン、インテグリン、β様1(EGF様リピートドメインを有する)、ホモサピエンスmRNA完全長インサートcDNAクローンEUROIMAGE 1968422、EphA3、KIAA0367タンパク質、ナトリウム利尿ペプチド受容体C/グアニル酸シクラーゼC(心房ナトリウム利尿ペプチド受容体C)、仮定的タンパク質FLJ14054、ホモサピエンスmRNA、cDNA DKFZp564B222(クローンDKFZp564B222由来)、BCL2/アデノウイルスE1B 19kDa相互作用タンパク質3様、AE結合タンパク質1、シトクロムcオキシダーゼサブユニットVIIaポリペプチド1(筋肉)のうちの、少なくとも1つをコードする遺伝子に関して減少する、遺伝子の発現によって特徴付けることができる。
【0104】
その他の実施形態において、UTCは、MCP−1、IL−6、IL−8、GCP−2、HGF、KGF、FGF、HB−EGF、BDNF、TPO、MIP1b、I309、MDC RANTES、及びTIMP1のうちの少なくとも一つの分泌物によって培養される場合に特徴付けることができる。加えて、UTCは、ELISAによって検出されるように、TGF−β2、ANG2、PDGFbb、MIP1A、及びVEGFのうちの少なくとも一つの分泌物が欠如して培養される場合に特徴付けることができる。
【0105】
幾つかの実施形態において、UTCは、実質的に血液を含まないで臍帯組織から誘導され、培養下で自己再生及び増殖が可能であり、増殖のためにL−バリンを必要とし、少なくとも約5%の酸素中で増殖可能であり、かつ、次の特性のうち少なくとも1つを含む。培養下で少なくとも約40回倍加する潜在能力を有する、コーティングされた又はコーティングされていない組織培養容器(ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチン、又はフィブロネクチンのコーティングを含む)上に付着して増殖する、ビメンチン及びα−平滑筋アクチンの産生、CD10、CD13、CD44、CD73、及びCD90の産生、並びに、遺伝子の発現が、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞であるヒト細胞と比べて、インターロイキン8及びレチクロン1をコードする遺伝子に関して増大する。幾つかの実施形態において、そのようなUTCは、CD45及びCD117を産生しない。
【0106】
好ましい実施形態では、その細胞は、上記の増殖特性、タンパク質/表面マーカーの産生特性、遺伝子発現特性、又は物質分泌特性のうちの2つ以上を含む。これらの特性のうちの3つ、4つ、5つ又はそれ以上を含む細胞が、より好ましい。それらの特性のうちの6つ、7つ、8つ又はそれ以上を含むUTCが、更により好ましい。上記特性の全てを含む細胞が、現時点で更により好ましい。
【0107】
幾つかの態様で本発明と共に使用するために、現時点で好ましい細胞は、とりわけ、上述の特性を有する分娩後細胞であり、より具体的には、それらの細胞が、正常核型を有し、継代で正常核型を維持する場合であり、更には、それらの細胞が、マーカーCD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cのそれぞれを発現する場合であり、それらの細胞が、列記されたマーカーに対応する、免疫学的に検出可能なタンパク質を産生する場合である。前述に加えて、フローサイトメトリーによって検出されるような、マーカーCD31、CD34、CD45、CD117、CD141、又はHLA−DR、DP、DQのいずれに対応するタンパク質も産生しないような細胞が、更により好ましい。
【0108】
一実施形態において、UTCは、実質的に血液が含まれないヒト臍帯組織由来細胞から単離され、培養下で自己再生及び増殖が可能であり、分化をする潜在能力を有し、CD117又はCD45の産生が欠如しており、hTERT又はテロメラーゼを発現しない。これらのUTCは、任意追加的に、酸化低比重リポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/若しくは顆粒球走化性タンパク質を任意追加的に発現し、並びに/又は、CD31若しくはCD34を発現せず、並びに/又は、ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、若しくは腸骨稜骨髄細胞に比べて、インターロイキン8若しくはレチクロン1の濃度上昇を発現し、並びに/又はCD10、CD13、CD44、CD73、及びCD90を発現する。
【0109】
別の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在力を有し、CD13及びCD90を発現し、かつCD34及びCD117を発現しない。任意追加的に、これらの細胞はhTERT又はテロメラーゼを発現しない。更に別の実施形態において、細胞はまた、CD10、CD44、及びCD43を発現しない。代替の実施形態において、細胞はまた、CD45及びCD31を発現しない。これらのUTCは任意追加的に、(i)酸化された低密度リポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/又は顆粒球走化性タンパク質を発現する、及び/又は(ii)ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞に対して、インターロイキン8又はレチクロン1の増加したレベルを発現する。
【0110】
別の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在能力を有し、CD13及びCD90を発現し、かつCD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない。任意追加的に、これらの細胞は、hTERT又はテロメラーゼを発現しない。一実施形態において、細胞はまた、CD10、CD44、及びCD43を発現する。代替の実施形態において、細胞はまた、CD45及びCD31を発現しない。これらのUTCは任意追加的に、(i)酸化された低密度リポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/又は顆粒球走化性タンパク質を発現する、及び/又は(ii)ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞に対して、インターロイキン8又はレチクロン1の増加したレベルを発現する。
【0111】
代替の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在能力を有し、かつ以下の特性を有する。(1)CD10、CD13、CD44、CD90、及びHLA−ABCを発現する、(2)CD31、CD34、CD45、HLA−DR及びCD117を発現しない、並びに(3)hTert及びテロメラーゼを発現しない。別の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在能力を有し、かつ以下の特性を有する。(1)CD10、CD13、CD44、CD90、及びHLA−ABCを発現する、(2)CD31、CD34、CD45、HLA−DR及びCD117を発現しない、(3)hTert及びテロメラーゼを発現しない、(4)酸化された低密度のリポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/又は顆粒球走化性タンパク質を発現する、並びに(4)ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞に対して、インターロイキン8又はレチクロン1の増加したレベルを発現する。
【0112】
一実施形態において、hUTCは、細胞集団として提供され、これらは同種であってもよい。いくつかの実施形態において、細胞集団は、異種であってもよい。本発明の異種の細胞集団は、本発明のUTCを少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%含み得る。本発明の異種の細胞集団は更に、幹細胞又はその他の前駆細胞(例えば筋芽細胞又はその他の筋肉前駆細胞、血管芽細胞、又は血管前駆細胞)を含んでもよく、あるいは更に、完全に分化した骨格筋細胞、平滑筋細胞、周細胞、又は血管内皮細胞を含んでもよい。いくつかの実施形態において、この集団は、実質的に同種であり、すなわち、実質的にUTCのみ(好ましくは、少なくとも約96%、97%、98%、99%以上のUTC)を含む。本発明の同種の細胞集団は、臍由来細胞からなる。臍由来細胞の同種の集団は、好ましくは、母体系統の細胞を含まない。細胞集団の同種化は当業界で既知の任意の方法、例えば、細胞選別法(例えばフローサイトメトリー)又は既知の方法に従ったクローン増殖によって達成することができる。同種のUTC集団は、分娩後由来細胞のクローン細胞株を含んでもよい。
【0113】
一実施形態において、培養後のhUTCは、実質的に培養前のhUTCと同一の特性(例えば、マーカープロファイル、及び/又は遺伝子発現プロファイル)を有する。代替の実施形態において、培養後のhUTCは、培養前のhUTCと同一の特性(例えば、マーカープロファイル、及び/又は遺伝子発現プロファイル)を有する。一実施形態において、培養後のhUTCは、少なくともCD13、CD34、CD90、及びCD117に関して、培養前のhUTCと同一の特性を有する。
【0114】
III.その他の好適な細胞
上述のように、本発明の特定の実施形態において、培養培地及び無血清培養液を使用して単離したヒト臍帯組織由来細胞(「hUTC」又は「UTC」)を増殖させることができる。加えて、培養培地及び無血清培養液を使用して他の付着依存性細胞を増殖させることができる。
【0115】
本発明の一実施形態において、培養培地及び無血清培養液を利用して、胎盤由来細胞などの他の付着依存性細胞を増殖させる。他の付着依存性細胞の例としては、限定するものではないが、骨髄由来の間葉系幹細胞、骨髄由来の間葉系幹細胞の前駆細胞、非骨髄組織由来細胞(脂肪組織、筋組織、内乳動脈由来細胞を含む血管など)、歯の歯髄由来細胞が挙げられる。更に、羊水は、付着依存性幹細胞が非常に豊富な供給源であることが示されている。付着依存性細胞の別の例は、新生児包皮線維芽細胞を含む線維芽細胞である。
【0116】
IV.培養の方法
本発明の別の実施態様は、本発明の馴化培地及び無血清培養液の使用を含む、細胞を培養する方法である。本方法は、ローラーボトル、スピナーフラスコ、及び/又はマイクロキャリアを利用することができる。好ましい実施形態において、本方法を使用して、例えばhUTC細胞などの付着依存性細胞を培養し、マイクロキャリアを必要とする。
【0117】
好ましい実施形態において、本方法は、本発明の馴化培地及び無血清培養液で、血清交換を必要としないhUTCを培養することを含む。上述のように、UTCは、様々な培養培地において増殖することができる。本発明の方法により、任意追加的に血清の使用が減少し、体積生産性が増加し、hUTCなどの付着依存性細胞を含む組成物を製造するコストが削減される。更に、本方法により、培地の交換なしに細胞(例えばhUTC)の増殖が可能である。
【0118】
ローラーボトル及びマイクロキャリアにおいて細胞を増殖させる例示的な方法は、それらが、ローラーボトル、マイクロキャリア、並びにローラーボトル及びマイクロキャリア上での培養の記述に関連しているので、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第2007/0141700号及び同第2008/0166328号にそれぞれ開示されている。例示的な好適なローラーボトル、スピナースラスコ、マイクロキャリア、それらの特性、及び好適な培養パラメーターが以下で考察される。
【0119】
A.ローラーボトル
ローラーボトル培養システムは、細胞培養の分野では既知である。本明細書で使用されるように、ローラーボトル培養システムは、少なくとも、対象となる細胞株と、増殖培地と、ローラーボトルと、そのボトルを回転させる装置と、細胞を採取する手段と、を含む。
【0120】
ローラーボトル培養システムは典型的に、インキュベーション中の温度を制御する手段、並びに、例えば細胞のボトルへの初期播種中、又はその後の移行中、培養物を無菌的に取り扱う手段を更に含む。細胞の採取は、トリプシン、トリプシン−EDTA、ディスパーゼ、及びコラゲナーゼ、若しくは他の酵素又は他の成分を有する又は有しない酵素の組み合わせを用いるなどの酵素処理によってなされる。TrypLE(商標)Express(Gibco,Inc)などの(それには限定されないが)他の市販品が利用されてもよい。細胞はまた、例えば、回分式遠心分離を含む手動操作によって採取されてもよく、又は採取は自動化されてもよい。
【0121】
一実施形態において、ボトルは、約100〜300mLの増殖培地で充填され、他の実施形態において、約100〜200mLが使用される。代替の実施形態において、約100〜120mLが、又は更には105〜115mLがボトル内に入れられる。他の実施形態において、ボトルは、約112mLの増殖培地で充填され、最大の集団倍加を得ることができる。一実施形態において、ボトルは、約2,500〜約10,000細胞/cm播種される。一実施形態において、その範囲の下端が使用され、例えば、1平方センチメートルあたり約3000未満の細胞が播種される。播種用ボトルは、付着及び増殖中に回転される。回転速度は、約0.5〜1rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約0.75〜1rpmである。より好ましくは、ボトルは、約0.8〜1rpmで回転される。
【0122】
別の実施形態において、ローラーボトルは、約100〜300mLの増殖培地で充填され、好ましくは約300mLが使用される。ボトルは、1平方センチメートルあたり約2,500〜約10,000の細胞が播種される。一実施形態において、その範囲の下端が使用され、例えば、1平方センチメートルあたり約3000未満の細胞が播種される。播種が、約2500細胞/cmである実施形態が更により好ましい。播種されたボトルは付着及び増殖中に回転される。回転速度は、約0.5〜1rpmに設定される。好ましくは回転は、約0.75〜1rpmである。より好ましくは、ボトルは、約0.8〜1rpmで回転される。現時点ではほぼ又は約0.9〜1.0rpmの回転が好ましい。
【0123】
充填及び播種されたローラーボトルは、約5〜7日間回転及びインキュベートされ、最高の倍加が達成される。現時点では、約5.5〜6.5日のインキュベーション時間が好ましい。
【0124】
ローラーボトルは、細胞がローラーボトルの内面に付着することを補助する、ゼラチン、細胞外マトリックス分子(例えば、ゼラチン、ラミニン、ビドロネクチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、IV、及びVI型)などの薬剤でコーティングされてもよい。かかる市販のコーティングされたボトルの一例は、CellBind(Corningからカタログ番号3907として入手可能)でコーティングされたものである。様々なコーティング剤が、本明細書に提供される方法に従う細胞の付着及び増殖用に受け入れ可能であると想定される。
【0125】
B.スピナーフラスコ
スピナーフラスコ培養システムもまた、細胞培養の技術分野において既知である。本明細書で用いられる際、スピナーフラスコ培養システムは、少なくとも、対象となる細胞株と、増殖培地と、1つ又は2つ以上のスピナーフラスコと、1つ又は2つ以上のフラスコを回転させる手段と、細胞を採取する手段と、を含む。
【0126】
スピナーフラスコ培養システムは典型的に、インキュベーション中の温度を制御する手段、並びに例えばフラスコ内への初期の細胞の播種中、又はその後の移行中、培養物を無菌的に取り扱う手段を更に含む。細胞の採取は、トリプシン、トリプシン−EDTA、ディスパーゼ、及びコラゲナーゼ、若しくはその他の酵素又は他の成分を有する又は有しない酵素の組み合わせによるなどの酵素処理によってなされる。それに限定されないが、TrypLE(商標)Express(Gibco,Inc.)などのその他の市販品が利用できる。細胞はまた、例えば回分式遠心分離を含む手動操作によって採取されてもよく、又は採取は自動化されてもよい。
【0127】
一実施形態において、回転速度は、約35〜約65rpm、あるいは約35〜約45rpm、あるいは約40〜約50rpm、あるいは約45〜約55rpm、あるいは約55〜約65rpm、あるいは約50〜約60rpmに設定される。好ましい実施形態において、約40rpm又は60rpmの回転速度が維持される。
【0128】
一実施形態において、3Lスピナーフラスコが使用され、該フラスコは、およそ3Lの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を充填することができる。その実施形態において、回転速度は、約35〜45rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約40rpmである。
【0129】
別の実施形態において、125mLフラスコが使用される。これらのフラスコは、増殖培地と、FBSと、無血清培養液と、マイクロキャリアと、細胞と、を含む、およそ100mLの溶液で充填され得る。一実施形態において、フラスコは、およそ85mL〜115mLの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を含有する。その実施形態において、回転速度は、約55〜65rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約50rpmである。
【0130】
更に別の実施形態において、500mLスピナーフラスコが使用される。これらのフラスコは、増殖培地と、FBSと、無血清培養液と、マイクロキャリアと、細胞と、を含む、およそ500mLの溶液が充填され得る。一実施形態において、フラスコは、およそ450mL〜500mLの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を含有する。その実施形態において、回転速度は、55〜65rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約50rpmである。
【0131】
代替の実施形態において、500mLスピナーフラスコが使用される。これらのフラスコは、増殖培地と、FBSと、無血清培養液と、マイクロキャリアと、細胞と、を含む、およそ500mLの溶液で充填され得る。一実施形態において、フラスコは、およそ450mL〜500mLの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を含有する。その実施形態において、回転速度は、約35〜45rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約40rpmである。
【0132】
フラスコは、約2,500〜約10,000細胞/cmで播種される。細胞は、フラスコ内へ直接播種されてもよく、フラスコの表面上に又はフラスコ内に配置されたマイクロキャリア上に播種されてもよい。好ましい実施形態において、播種は、約3,000〜約7,500、あるいは約3,000〜約7,000、あるいは約4,000〜約7,000、約3,000〜約5,000、あるいは約5,000〜約7,000、あるいは約3,500〜約5,000、あるいは約4,500〜約7,500、あるいは約3,500〜約5,500細胞/cmで実施される。フラスコは、付着及び増殖中、回転される。一実施形態において、集団倍加速度を最大にするために、充填及び播種されたフラスコは回転され、約5〜7日間インキュベートされるが、約5〜約6日のインキュベーション時間が好ましい。
【0133】
C.マイクロキャリア
マイクロキャリア培養は、例えば、付着依存性分娩後細胞などの付着依存性細胞の培養の実用的な高収率培養を可能にする技術である。マイクロキャリアは、哺乳類の分娩後細胞など、培養容積が数ミリリットルから1000リットル超までの範囲に及ぶ細胞の培養用に特別に開発された。マイクロキャリアは、生物学的に不活性であり、撹拌式マイクロキャリア培養に対して強度があるが非剛性である基質を提供する。マイクロキャリアは、透明であってもよく、付着した細胞の顕微鏡検査が可能である。Cytodex(登録商標)3(GE Healthcare Life Sciences(Piscataway N.J.))は、架橋デキストランのマトリックスに化学的に連結した変性コラーゲンの薄層からなる。Cytodex(登録商標)3の変性コラーゲン層は、トリプシン及びコラゲナーゼを含む、種々のプロテアーゼにより消化されやすく、最大の細胞生存率、機能及び、完全性を維持しながらマイクロキャリアから細胞を除去することができる。
【0134】
タンパク質を含まないマイクロキャリアを使用して細胞を培養することができる。例えば、商品名HILLEX(登録商標)(SoloHill Engineering,Inc.(Ann Arbor,MI))で販売されている、製造及び研究又は調査で使用されるマイクロキャリアビーズは、表面に、マイクロキャリアに正電荷表面をもたらすカチオン性トリメチルアンモニウムが付着している、改質ポリスチレンビーズである。ビーズの直径は、直径約90〜約200μmの範囲に及んでもよい。
【0135】
マイクロキャリアに基づく細胞培養法により、多くの用途において後処理加工のし易さを含む多くの利点がもたらされている。マイクロキャリアは典型的には、ほぼ球状形状であり、多孔性であるか又は中実であるかのいずれかであり得る。細胞付着用のマイクロキャリア使用により、付着依存性細胞の増殖用の撹拌槽及び関連するリアクターの使用が容易になる。細胞は、容易に懸濁されるマイクロ粒子に付着する。懸濁可能である必要があることから、マイクロキャリアの物理的パラメーターは制限されるしたがって、マイクロキャリアは通例、50〜2000μmの範囲の平均直径を有する。幾つかの用途では、中実型のマイクロキャリアは、約100〜約200μmの範囲であり、一方、多孔質型のマイクロキャリアビーズは、約250〜約2500μmの範囲である。これらのサイズ範囲は、多くの付着依存性の細胞を収容するのに十分な程度に大きく、かつ撹拌型リアクター内での使用に好適な特性を有する懸濁液を形成するのに十分小さいマイクロキャリアの選別を可能にする。
【0136】
マイクロビーズなどの使用の際に考慮される因子として、付着効率、免疫原性、生物適合性、生分解能、コンフルエンスに達する時間、単位表面積あたりの最大到達密度を含む付着細胞の増殖パラメーター、必要とされる箇所での脱着技術及び脱着効率、培養条件の拡張性、並びに規模が拡大された条件下での培養均質性、規模が拡大した脱離手順を成功裏に実施する能力、及びビーズが移植に使用できるかどうか、がある。これらの検討事項はマイクロキャリアビーズの表面特性、並びにマイクロキャリアの多孔性、直径、密度、及び取り扱い性によって影響され得る。
【0137】
例えば、マイクロキャリア粒子又はビーズの密度は、検討事項である。密度が過剰だと、マイクロキャリア粒子又はビーズが懸濁液から沈殿する場合があり、あるいは培養容器の底に完全に沈殿したままである傾向があり、それ故リアクター内で混合する細胞、培養培地、及び気相の大容量性が乏しくなる場合がある。一方、密度が低すぎる場合、マイクロキャリアに過剰に浮揚する場合がある。多くのマイクロキャリアビーズの密度は、典型的には1.02〜1.15g/cmである。
【0138】
リアクターに添加されるマイクロキャリア粒子の直径及び粒子の体積が小さいことにより、マイクロキャリアは、ローラーボトル又は付着依存性細胞を増殖させる他の方法(例えばプレート法)に見られる実質表面積よりはるかに大きい実質表面積をもたらすことができる。多孔性マイクロキャリアにより、単位体積又は単位重量あたり更に大きい表面積がもたらされる。これらの多孔性マイクロキャリアは、付着依存性細胞の増殖に利用できる大きい空洞を有している。これらの空洞により、表面積が大幅に増加し、例えば、混合又はガス吹込によるせん断応力などの有害な機械的影響から細胞を保護することができる。
【0139】
マイクロキャリアの表面は、細胞の付着及増殖を高めるためにテクスチャ加工されてもよい。マイクロキャリアの表面のテクスチャは、限定するものではないが、型成形、鋳造、リーチング、及びエッチングを含む手法によってなされる。テクスチャ加工された表面の形体の解像度(resolution)は、ナノスケールであり得る。テクスチャ加工された表面を使用してマイクロキャリア表面上に特異的な細胞配列を誘導することができる。多孔性マイクロキャリア内部の孔の表面もまた、テクスチャ加工され、細胞付着性及び細胞増殖性を高めることができる。孔表面のテクスチャ加工は、限定するものではないが、例えば、型成形、鋳造、リーチング、及びエッチングなどの手法によりなされる。
【0140】
マイクロキャリアの表面は、プラズマコーティングしてマイクロキャリア表面に特異的な電荷を付与することができる。これらの電荷は、細胞付着性と細胞増殖性を高めることができる。
【0141】
その他の実施形態において、マイクロキャリアは、例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドなどの熱応答性ポリマーを含む、若しくはそれでコーティングされるか、又は電気機械特性を有する。マイクロキャリアはまた、低レベルの生物学的に適切な電気を生成する銅と亜鉛の微粒子のガルバニ対を有するマイクロキャリアなど微小電流を有してもよい。マイクロキャリアは、常磁性アルギン酸カルシウムのマイクロキャリアのように常磁性であってもよい。
【0142】
多孔型と中実型の両方の微粒子キャリアが市販されている。市販されている中実型マイクロキャリアの例として、Cytodex(登録商標)1及びCytodex(登録商標)3が挙げられ、その両者ともGE Healthcare Life Sciences製のデキストラン系マイクロキャリアである。市販されている好適な多孔性マイクロキャリアとしては、GE Healthcare Life Sciences製のCitoline(商標)及びCytopore(商標)、Biosilon(NUNC)、及びCultispher(登録商標)(Percell Biolytical)が挙げられる。
【0143】
特定の実施形態において、本発明の方法及びキットは約60〜90μmのおよその粒子サイズ及び25℃において約1.03g/cmの密度を有するデキストランビーズマイクロキャリアを利用する。その他の実施形態において、本発明の方法及びキットは、約114〜198μmのおよその粒子サイズ及び25℃において約1.04g/cmの密度を有するデキストランビーズマイクロキャリアを利用する。更に別の実施形態において、本発明の方法及びキットは、約60〜87μmのおよその粒子サイズ及び25℃において約1.04g/cmの密度を有するデキストランビーズマイクロキャリアを利用する。代替の実施形態において、本発明の方法及びキットは、多孔性マイクロキャリアを利用する。これらの多孔性マイクロキャリアは、約200〜280μmの粒子直径、約1.1m/gの有効表面面積、及び約30μmの平均孔径開口部を有することができる。別の実施形態において、本発明の方法及びキットは、アミン処理した表面を有するマイクロキャリアを利用する。好ましい実施形態において、アミン処理した表面を有するマイクロキャリアは、約160〜200μmの粒子サイズ、約1.090〜1.150の相対密度範囲、約515cm/gの表面積を有する。かかるマイクロキャリアは、5.5×10マイクロキャリア/gを含有する溶液において提供され得る。
【0144】
キャリア粒子はまた、生物活性剤を含有してもよい。キャリア粒子はまた、細胞の増殖若しくは機能又は組織環境を調節することができる生物活性剤又は生物活性因子を有してもよい。好適な因子としては、限定するものではないが、線維芽細胞増殖因子、エリスロポエチン、脈管内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、骨形態形成タンパク質、形質転換増殖因子、腫瘍壊死因子、上皮増殖因子、及びインスリン様増殖因子が挙げられる。完全な因子、模倣体、又はそれらの活性フラグメントを使用することができる。
【0145】
D.方法
本発明の方法は、概ね、血清(例えば、FBS)が補充された、本発明の培養培地において細胞を培養する(例えば、増殖させる)工程を含む。細胞が、所望の密度に増殖された(例えば、約3〜4日の期間など)後、無血清培養液が添加される。細胞は、付着依存性細胞であってもよく、細胞は、マイクロキャリア上に播種されてもよい。培養は、ローラーボトル培養システム又はスピナーフラスコ培養システムにおいて実施することができる。好ましくは、付着依存性細胞がマイクロキャリア上に播種される際に、スピナーフラスコ培養システムが使用される。所望の時間は、例えば、所望の個体群密度、所望の集団倍加数又は時間などのかかるパラメーターによって決定される。特定の実施形態において、細胞は、4〜7日間培養され、約3日目に無血清培養液が添加される。その他の実施形態において、細胞は、1〜2日若しくは集団倍加の間、又は所望の初期個体群密度が得られるまで増殖された後、無血清培養液が添加される。上述のように、本方法は、培地の交換なしに細胞(例えば、hUTC)を増殖することができる。
【0146】
1.単離された付着依存性細胞を培養する方法
本発明の一実施形態は、付着依存性細胞を培養する(例えば、増殖させる)方法である。本方法は、血清が補充されている本発明の培養培地における組織フラスコ(tissue flask)の表面上又は好ましくはマイクロキャリア上に播種された単離された付着依存性細胞を培養する工程と、所望の初期個体群密度を可能にするに十分な時間、細胞を増殖させた後、無血清培養液を添加する工程と、を含む。一実施形態において、細胞は、約3〜約7日、あるいは約3〜5日、あるいは約4〜5日、増殖された後、無血清培養液が添加される。一実施形態において、細胞は、約3日増殖された後、無血清培養液が添加される。別の実施形態において、細胞は、少なくとも1又は2回の集団倍加を可能にするように増殖された後、無血清培養液が添加される。好ましい実施形態において、細胞は、本明細書に開示された任意のマイクロキャリア上に播種され、上述した条件下でスピナーフラスコにおいて増殖される。一実施形態において、本方法は、これらの細胞を含有する細胞バンクバイアルを解凍し、細胞を増殖させ、生産容器にインキュベートする工程を含む。別の実施形態は、細胞を最初に単離し、次いで単離された細胞を播種する工程を含む。
【0147】
考察したように、これらの方法で使用される培地を含む培地は、約2%〜約20%の血清(例えば、FBS)が補充されてもよい。一実施形態において、培地は、その培地の調製中、血清(例えば、FBSなど)が補充されている。別の実施形態において、培地は、使用直前に補充される(血清(例えばFBS)を含む溶液の添加によるなど)。別の実施形態において、培地は、好ましくは約2〜15%(v/v)、あるいは約2〜約10%、あるいは約3〜約12%、あるいは約3〜約12%、あるいは約5〜約15%、あるいは約4〜約10%(v/v)のFBSが補充されている。選択された実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%又は約15%(v/v)のFBSが補充されている。
【0148】
別の実施形態において、本方法はまた、付着依存性細胞を播種する工程を包含する。目標播種密度は、変化し得るが、特定の実施形態において、約5,000〜約8,000、あるいは約5,500〜約7,500、あるいは約6,000〜約8,000、あるいは約6,500〜約7,500の生存細胞/cmが、約12〜約30、あるいは約12〜約20、約18〜約25、約15〜約23g/Lのマイクロキャリア濃度で播種される。
【0149】
2.単離された臍帯組織由来細胞を培養する方法
本発明の一実施形態は臍帯組織由来細胞を培養する方法である。この方法は概ね、上記で考察した単離された付着依存性細胞を培養する方法の工程を含み、幾つかの変形例があり得る。したがって、本発明の一実施形態は、マイクロキャリアに付着した、単離した付着依存性hUTCをスピナーフラスコ内の懸濁培養において、無血清培養液を用いて増殖培地を高栄養化することによって、高細胞密度に培養する方法である。最適なことに、この方法により、(例えば、3日目の)培地交換の必要性がなくなり、一貫して20,000細胞/cm超の細胞を増殖させることができる。更に、この方法により、hUTCの継代のための堅牢性が強化される。この方法は、本発明の培養培地及び無血清培養液を利用する。
【0150】
方法は、血清(例えば、FBS)が補充された本発明の培養培地におけるマイクロキャリア上に播種された単離したhUTCを、細胞が所望の初期個体群密度に達することができるような十分な時間培養する工程を含む。特定の実施形態において、実施形態A、B、又はCの培養培地が使用される。特定の実施形態において、細胞は、ローラーボトルにおいて培養され、培養は、ローラーボトルシステム上で実施される。好ましい実施形態において、細胞は、マイクロキャリア上に播種され、スピナーフラスコ内で培養され、培養は、スピナーフラスコシステム内で実施される。一実施形態において、細胞は、およそ37℃で10% CO雰囲気下でインキュベートされる。
【0151】
別の実施形態において、フラスコは、約55〜約65rpm、あるいは約55〜約60rpm、あるいは約58〜約61rpmの速度で回転される。別の実施形態において、フラスコは、約35〜約45rpm、あるいは約38〜約42rpm、あるいは約40〜約43rpm、あるいは約36〜約45rpmの速度で回転される。別の実施形態において、培地内のマイクロキャリアの密度は、約11.0〜約13.0g/Lである。
【0152】
一実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO雰囲気下で125mLのフラスコ内で培養され、フラスコは、約55rpm〜約65rpm(好ましくは約60rpm)の範囲のrpmで回転される。更に別の実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO雰囲気下で500mLフラスコ内で培養され、フラスコは、約55rpm〜約65rpm(好ましくは約60rpm)の範囲のrpmで回転される。別の実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO雰囲気下で500mLフラスコ内で培養され、フラスコは、約35rpm〜約45rpm(好ましくは約40rpm)の範囲のrpmで回転される。別の実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO雰囲気下で3Lのフラスコ内で培養され、フラスコは、約35rpm〜約45rpm(好ましくは約40rpm)の範囲のrpmで回転される。これらの実施形態において、フラスコは、培地内で約11.0〜約13.0g/L(好ましくは12g/L)のマイクロキャリアを含有することができる。
【0153】
個体群密度を最大化するため、hUTCを含有する、充填及び播種されたフラスコ又はローラーボトルは、回転され、少なくとも約5〜7日間、インキュベートされるが、インキュベート時間は約5〜約6日が好ましい。インキュベーションのおよそ半分の時点で(すなわち、約2.5〜約3.5日(好ましくは、3日)後)、又は細胞が所望の初期細胞密度に達した際に、本発明の無血清培養液がhUTC培養物に添加される特定の実施形態において、実施形態A、B、又はCの無血清培養液が使用される。
【0154】
好ましい実施形態において、細胞は、細胞が所望の初期個体群密度に達することができるような十分な時間増殖された後、無血清培養液が添加される。
【0155】
したがって、一実施形態において、本方法は、マイクロキャリア上に播種された臍帯組織由来細胞を、本発明の培養培地において、細胞が所望の初期個体群密度に達することができるような十分な時間増殖させる工程と、細胞が所望の初期個体群密度に達した後に本発明の無血清培養液を添加する工程と、細胞が所望の最終個体群密度に達するのに十分な時間細胞を増殖させる工程と、を含む。
【0156】
別の実施形態において、実施形態Aの培養培地及び実施形態Aの無血清培養液が使用される。別の実施形態において、実施形態Bの培養培地及び実施形態Bの無血清培養液が使用される。一実施形態において、実施形態Cの培養培地及び実施形態Cの無血清培養液が使用される。
【0157】
一実施形態において、本方法は、培養する前にマイクロキャリアにhUTCを播種する工程を含む。マイクロキャリアは、上述のマイクロキャリアのうちのいずれか一つであってもよい。特定の実施形態において、マイクロキャリアは、アミン処理された表面を有する。好ましい実施形態において、アミン処理された表面を有するマイクロキャリアは、約160〜200μmの粒子サイズ、約1.090〜1.150の相対密度範囲、約515cm/gの表面積を有する。一実施形態において、マイクロキャリアは、Hillex(登録商標)II Ultraである。
【0158】
目標播種密度は、変化し得るが、特定の実施形態において、約5,000〜約8,000、あるいは約5,500〜約7,500、あるいは約6,000〜約8,000、あるいは約6,500〜約7,500の生存細胞/cmが、約15〜約30、あるいは約18〜約25、あるいは約15〜約23g/Lのマイクロキャリア濃度で播種される。播種された細胞は、フラスコに添加される。あるいは、播種は、フラスコ内で実施される。一実施形態において、播種する工程は、凍結保存されたhUTCを解凍する工程を含む。一実施形態において、本方法は、凍結保存されたhUTCを解凍し、細胞を増殖させた後、マイクロキャリアに播種する工程を更に含む。一実施形態において、細胞の増殖は、マイクロキャリア上で実施される。
【0159】
一実施形態において、hUTCを増殖するために本方法で使用される培養培地は、約2%〜約20%の血清(例えばFBS)が補充されている。一実施形態において、培地は、培地の調製中に血清(例えば、FBSなど)が補充される。別の実施形態において、培地は、使用直前に(血清(例えば、FBS)を含む溶液の添加によるなどで)補充される。一実施形態において、培養培地は、好ましくは約2〜15%(v/v)、あるいは約2〜約10%、あるいは約3〜約12%、あるいは約5〜約15%、あるいは約4〜約10%、あるいは約8〜約15%、あるいは約10〜約15%のFBSが補充されている。選択された実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%(v/v)のFBSが補充されている。
【0160】
3.本発明の方法のその他の特徴
スピナーフラスコ培養又はローラーボトル培養において培地の交換の必要なしに達成でき、集団倍加数を最大化するために使用される本発明の方法において、回転速度、ボトル内への細胞の播種密度、マイクロキャリアの量、インキュベーションの時間、培養培地の種類、無血清培養液の種類、及びボトル内に配置される培地の容積は、独立変数である。当業者は、試験された範囲外の他の値が同じ方法論を使用して普通に試験され、これらの値により集団倍加数に漸増した利益がもたらされると分かる可能性があることを認識するであろう。従属変数の最大応答、ここでは得られた集団倍加の数は、これらのパラメーターの関数として求められ、本明細書で具体的に例示されていない実施形態は、本開示の一部分として想到される。
【0161】
提供された方法により培養される細胞(例えば、hUTCなど)は、開始細胞と実質的に同一の細胞表面マーカープロファイル又は遺伝子発現プロファイルを有するとして特徴付けられる。一実施形態において、提供された方法により培養された細胞は、開始細胞と同一の細胞表面マーカープロファイル又は遺伝子発現プロファイルを有するとして特徴付けられる。細胞療法の多くの用途にとって、量的な増加のために培養条件の規模を拡大する際に細胞の特性が変化しないことは重要である。例えば、治療用細胞を識別又は示す、形態、細胞表面マーカー、及びホールマーク遺伝子(hallmark genes)の発現では、同じではないにしても、実質的に変化しないままであることが望ましい。本発明によって提供される細胞、及び本発明において教示される方法によって提供される細胞は、かかる特性が、実質的に変化しないか、又は、好ましくは、実験室での条件及び実験室での規模で成長した同一の細胞と同一である。
【0162】
V.培養培地及び無血清培養液を含むキット
本発明の別の実施形態は、本発明の培養培地及び無血清培養液を含む細胞増殖用のキットである。一実施形態において、キットは、細胞を更に含む。好ましい一実施形態において、キットは、ヒト臍帯組織由来細胞を含む。キットは、使用説明書を更に含む。任意追加的に、キットは、マイクロキャリア及びウシ胎児血清などの血清を更に含む。代替の実施形態において、キットはまた、ローラーボトルシステムを更に含む。
【0163】
更なる説明を行わずとも、当業者であれば、上記の説明及び以下の例示的な実施例を利用することで、本発明を行いかつ利用し、特許請求される方法を実施することが可能であるものと考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘するものであって、本開示の残りの記載をいかなる意味においても限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0164】
(実施例1)
栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内のマイクロキャリア上でのhUTCの増殖及び採取
本実施例では、各種栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内のマイクロキャリア上でのhUTCの増殖及び採取が調査された。本実施例での研究のために、臍帯組織由来細胞を接種材料から増殖させ、次いで各種様々な増殖条件(条件1〜9)で増殖させ、それぞれの条件は以下に略述した様に様々な培養培地を使用した。
【0165】
本研究で使用したマイクロキャリアは、515cm/gの表面積を有する、Hillex(登録商標)Ultra(Solohill Engineering(Ann Arbor,MI))であった。
【0166】
本実施例で使用される際、用語「継代」は、別の容器からのコンフルエントのマイクロキャリアを有する新しいマイクロキャリアを含有する容器をインキュベートすることとして定義される。更に、本実施例で使用される際、用語「集団倍加」は所与の時間にわたって細胞の集団が倍加された回数として定義され以下のように計算される。
【0167】
【数1】
【0168】
細胞計数の手順
各種条件で必要とされるような細胞計数は以下の手順によって実施された。10mLのサンプルを無菌的に培養物から取り出し、15mL円錐遠心管に移した。次いで、サンプルを1600RPMで5分間遠心分離した。マイクロキャリアを確実に一切除去しないようにしながら、上清を注意深く除去した。次いで、37℃に事前に加温された5〜10mLのTrypLE(商標)Select(Gibco(登録商標))をマイクロキャリアに添加し、回転機上で15〜30分間撹拌した。次いで、遠心管の内容物を、マイクロキャリアを除去しかつ脱着した細胞だけを通過させる40μmフィルタを通過させて50mL円錐遠心管内へ移した。フィルタを通過させて1×PBSで2回の洗浄を行った。次いで、50mL円錐遠心管を1600RPMで5分間遠心分離した。管内に約1〜2mLの上清が残るまで、細胞ペレットを掻き乱さないように上清を注意深く除去した。ピペットを使用して残った物の体積を測定し、細胞は、この体積中で再懸濁された。得られた細胞懸濁液は、トリパンブルー排除法を使用するCEDEX(Innovatis)細胞計数装置を使用して計数された。CEDEX細胞計数に基づいて、培養容器中の細胞濃度が以下のように計算された。
【0169】
【数2】
【0170】
細胞培養手順
凍結されたhUTCのバイアルを解凍し、新鮮培地で洗浄した。細胞懸濁液を、培地及びマイクロキャリアを含有する125mLガラス製スピナーフラスコ内へ移した。これらの解凍した細胞を使用して接種材料を調製した。
【0171】
接種材料用の細胞の調製
接種材料を、種々のサイズ(125mL,500mL、及び3L)のガラス製スピナーフラスコ(Corning(NY))内の12g/L濃度のマイクロキャリアを有するDMEM及び15% v/vのFBSからなる管理培地において複数の継代にわたって増殖させた。接種材料内の細胞の集団倍加の累計は、35未満であった。接種材料の増殖中の継代に対する基準及び培養条件は、以下の表において一覧表にした。継代の目標日に、細胞計数を行い、継代の目標密度が達成された場合、細胞は、新容器内の目標播種密度に基づく新容器内へ継代された。継代の目標密度が達成されていない場合、80%の培地を交換し翌日に細胞計数した。培地交換のために、容器をスピナープラットフォームから除いて、マイクロキャリアを5分間重力で沈殿させ、培地の80%を無菌的に除去し(マイクロキャリアを除去しないで)、等量の新鮮培地を添加し、容器をインキュベーター内のスピナープラットフォーム上に戻した。
【0172】
接種材料を調製するための連続継代の間の増殖条件及びパラメーターを表1−1において以下に概述する。
【0173】
【表3】
【0174】
本実施例で使用された様々な増殖条件
条件1〜9のそれぞれに関して、接種の日は0日目と見なされる。更にそれぞれの条件に関して、細胞計数は、接種時に行われた。
【0175】
条件1(対照):この条件の目標播種密度は、約18g/Lのマイクロキャリア濃度において、約6000の生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内では最終重量が約9gのマイクロキャリアが得られた。DMEMと15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10%COのインキュベーターにおいて60RPMでスピナープラットフォーム上に設置した。3日目に、DMEM+15% FBSを使用して80%培地交換を実施した。上述した手順を用いて周期的に細胞計数を行った。3日目及び5日目にそれぞれ3mL及び2.5mLのグルコースをフラスコに添加した。3日目に2.5mLの200mMのL−グルタミン溶液を添加した。
【0176】
条件2:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度で、約6000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。更に、3日目に2.5mLのグルコースを添加した。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。5日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0177】
条件3:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて、所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M1基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF1を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0178】
条件4:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M2基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF2を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0179】
条件5:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M3基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF3を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0180】
条件6:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M4基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF4を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0181】
条件7:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0182】
条件8:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M6基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF6を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0183】
条件9:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M7基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF7を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0184】
採取
6日目に全てのフラスコを採取した。採取のために、マイクロキャリアを重力で沈殿させ、マイクロキャリアを一切取り出さないで出来るだけ多くの培地を除去した。事前に37℃で加温された250〜300mLのTrypLE(商標)をフラスコに添加し、37℃のインキュベーター内のスピナープラットフォーム上に設置した。30分後に撹拌を停止し、フラスコから25mLのサンプルを除去し、40μmフィルタで濾過した。フィルタ上に留まったマイクロキャリアは廃棄し、サンプルを直接CEDEXにかけてサンプルの細胞計数を行った。添加したTrypLE(商標)の体積及び得られた細胞計数を基に、容器内の全細胞数を算出し、細胞密度(細胞/cm)を算出した。
【0185】
細胞培養培地の組成
DMEM(1g/Lのグルコース、4mMのL−グルタミン、及び3.7g/Lの重炭酸ナトリウムを有し、かつピルビン酸ナトリウム及びフェノールレッドを有さない)が条件1(対照)用の基本培地であった。
【0186】
幾つかのその他の基本培地も試験し、培地の交換をなくすのに重要であり、それにより血清の消費を減少させる成分を同定した。配合に使用された成分のうちの一つは、ウシ血清アルブミンであり、ウシ血清アルブミンは、脂質の豊富なウシ血清アルブミンであって、市販のAlbuMax(登録商標)I(Gibco(商標)Cell Culture、Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))の形態で提供された。表1〜2により、基本培地(M1〜M7)の配合が提供される。基本培地及びフィード培地の両方が。市販の細胞膜の安定化剤及び消泡剤のPluronic(登録商標)F−68を含有した。
【0187】
【表4-1】
【0188】
【表4-2】
【0189】
上記で概説したように、条件1では3日目で80%培地交換を実施した。残りの条件については、フィードを添加し培地交換を実施しなかった。種々のフィードの配合を表1−3に示す。表1−3に示した量は、フィードが添加される場合の培養容積リットル(L)あたりの成分の増加重量(g)を示す。
【0190】
【表5-1】
【0191】
【表5-2】
【0192】
条件1〜9に使用された培地は全て、FBSが添加されている。FBSの成分を以下に示す。
【0193】
【表6】
【0194】
結果
種々の条件からの細胞計数を以下の表1−5に示す。結果は、2つの部分で解析できる。条件1と2との比較によって、M5倍地と3日目のF5フィードとの組み合わせにより培地交換を省くことができることが明らかである。これにより、血清濃度を44%超顕著に下げることとなるので重要である。条件3〜9の比較によって、以下の3つの条件(6,8,及び9)がその他の条件と比較して、最も低い性能であることが明らかである。条件6:M4基本培地+15% FBS、3日目にF4フィード、条件8:M6基本培地+15% FBS、3日目にF6フィード、及び条件9:M7基本培地+15% FBS、3日目にF7フィード。より詳しく配合を見ると、これら3つの条件はいずれも培地又はフィードの中に核酸誘導体を有さないことが分かる。それ故、核酸誘導体がhUTCの増殖に決定的な意味をもつと推察することができる。本実施例により、培養培地を高栄養化し、3日目に追加の培地成分を補充することによって、培地の交換なしにhUTCを6日間増殖させることができ、核酸誘導体が同程度の細胞増殖を維持するために重要であることが実証される。
【0195】
【表7】
【0196】
(実施例2)
マイクロキャリア上でかつ栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内でのHUTCの増殖及び連続継代
スピナーフラスコ内の懸濁培養下のマイクロキャリア上に付着したヒト臍帯組織細胞(hUTC)の連続継代は、細胞が3日目において20,000細胞/cm超の所定の最適細胞密度に達していない場合に培地交換が必要となる。この培地交換によりそのプロセスに追加の操作が加えられ、細胞継代の計画を予測するのが困難になる。したがって、この手順で細胞を継代させることは商業的に望ましくない。hUTCは、15%ウシ胎児血清を含有する細胞増殖培地に交換することによって高細胞密度に増殖することができる。本実施例では、hUTCを継代するためのより商業的に望ましい代替方法を検討した。マイクロキャリアに付着したhUTCは、増殖培地を無血清栄養物で高栄養化することによって、スピナーフラスコ内の懸濁培養下で高細胞密度に増殖した。この方法により、細胞は、3日目の培地交換をなくしても、一貫して20,000細胞/cm超の細胞に増殖することができる。この方法により、hUTCの継代のためのプロセスの堅牢性が改善される。
【0197】
以下が本研究で使用された。DMEM(2g/Lのグルコース、4mMのL−グルタミン、及び3.7g/Lの重炭酸ナトリウムを有するが、ピルビン酸ナトリウム及びフェノールレッドを有さない)、ウシ胎児血清(15% v/v)、M5基本培地(上記実施例1を参照)、F5フィード(上記実施例1を参照)、及びHillex(登録商標)Ultra(Solohill Engineering(Ann Arbor,MI))マイクロキャリアを使用した。
【0198】
表面マーカー解析法
Ca又はMgを有さない、3% FBSのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Dulbecco's Phosphate Buffer Saline)(DPBS)を染色緩衝液として使用した。表面マーカーを同定するために6種の抗体を使用し、対照として2種の抗体を使用した。抗体のリスト及び効力検定のための染色緩衝液における抗体の希釈物を以下の表2−1に示す。
【0199】
【表8】
【0200】
手法:サンプルについて細胞計数を行い、2.5×10個の細胞を10mLのDMEM+15% FBSの培地内に再懸濁させた。次いで、細胞を遠心分離し、上清を除去し、染色緩衝液中に再懸濁させ、1×10細胞/mLの細胞濃度を得た。その後、この細胞懸濁液を各種遠心管に分配し、各遠心管が20000細胞を受容した。次いで、適切な量の希釈した抗体及び染色緩衝液を上記表2−1に示されるように添加した。その後、サンプルを2〜8℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、3mLのDPBSを添加し、サンプルを遠心分離した。上清を除去し、細胞パレットを500μLのDPBSの中に再懸濁させた。次いで、そのサンプルをGuava(登録商標)PCA(商標)機器(Millipore(MD,USA))にかけた。6種の表面マーカーのうち、3種は陽性マーカー(CD13、CD90、HLA−ABC)であり、3種は陰性マーカー(CD34、CD117、HLA−DR)であった。
【0201】
培養条件
hUTCの培養及び連続継代の方法を実施例1で説明した。上記のように、この連続継代では15% FBSを有するDMEMが培養培地として使用され、継代基準を満たすために度々培地交換が必要であった。本実施例では、連続継代中の度々の培地交換の必要性を排除することを試みた。これは、(1g/Lではなくて2g/Lのグルコースを有する)改変M5培地と15% FBS(v/v)との使用によって達成された。15% FBSを有するこの改変M5培地の使用により、継代の日数を固定し、6継代数にわたって培地交換なしで行われた。培養条件及び評価基準を以下の表2−2に示す。
【0202】
【表9】
【0203】
細胞は、以下の表2−3に示したように6継代数にわたってしっかりと増殖した。DMEM+15% FBSのみのプロセスでは、細胞は、1.5回の集団倍加を達成するために継代前日に度々培地交換を必要とし、それによって継代の期間が余分に1日だけ延長した。栄養強化培地によって、細胞は、3日(バイアル解凍から4日)以内に一貫して少なくとも1.5回超の集団倍加を行い、培地交換は一切不要であった。細胞は、この培地における7継代数後、それらの同一性を保持し、6日培養の3日目にF5フィードを行った本培地において6日間これらの細胞を増殖させた。これらの細胞の表面マーカー解析を以下の表2−4に示す。
【0204】
【表10】
【0205】
【表11】
【0206】
(実施例3)
スピナースラフコ内の血清が削減された培地におけるマイクロキャリア上でのhUTCの増殖
ヒト臍帯組織細胞(hUTC)は、連続稼動3日目に15% FBSを含有する細胞増殖培地を交換することによって高細胞密度に増殖することができる。血清コストが高いこと、産生のための血清使用が多いこと、及び追加的な作動操作であることによって、培地内の高血清濃度及び培地交換は商業的見地から望ましくない。本実施例では、高細胞密度を達成しつつ、血清が削減された増殖培地内のマイクロキャリア上に付着したhUTCを培地交換無しで増殖させる方法を開示する。
【0207】
本実施例で使用された培養培地は、1g/Lの代わりに2g/LのD−グルコースを有し、ウシ胎児血清が添加されたM5基本培地(上記参照)であった。F5フィード培地が使用された。グルコースを、220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液として与えた。グルタミンは、200mM溶液として与えた。本実施例では、さまざまな増殖条件が研究された。これらの条件は、以下に概説されている。これらの条件で使用される場合、接種の日が0日目であると見なされる。更に、各条件において、Hillex(登録商標)Ultra(Solohill Engineering(Ann Arbor,MI))を使用した。
【0208】
条件1(15% FBS):接種材料について細胞計数を行った。この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において約6000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目及び5日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0209】
条件2(10% FBS):接種材料について細胞計数を行った。この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において約6000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と10%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目及び5日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0210】
条件3(7.5% FBS):接種材料について細胞計数を行った。この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において約6000生存細胞/cmであった。接種材料の細胞計数に基づいて、所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と7.5%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% COのインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目及び5日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。
【0211】
採取:6日目に両フラスコを採取した。採取のために、マイクロキャリアを重力で沈殿させ、一切マイクロキャリアを除去せずにできるだけ多くの培地を除去した。37℃に事前に加温された300mLのTrypLE(商標)をフラスコに添加し、フラスコを37℃のインキュベーター内のスピナープラットフォーム上に設置した。30分後、撹拌を停止し、フラスコから25mLのサンプルを除去し、40μmフィルタを通過させて濾過した。フィルタ上に留まったマイクロキャリアを廃棄し、サンプルを直接的にCEDEX上にかけることによってサンプルの細胞計数を行った。添加したTrypLE(商標)の体積及び得られた細胞計数に基づいて、容器内の全細胞数を算出し、細胞密度(細胞/cm)を算出した。
【0212】
結果:それぞれにおいて異なるFBS濃度を有する3種類の条件から得られた細胞計数を以下の表に示す。本実施例からの結果に加えて、実施例1の条件1(DMEM+15% FBSで3日目に培地交換有り)の結果を比較のために含める。その結果、栄養強化培地により、培地交換を無くすだけではなく、培地内の血清濃度を低減することができ、それによって培養において使用される血清の量を更に最小化することができる。
【0213】
【表12】
【0214】
(実施例4)
細胞の単離
臍細胞の単離。臍帯は、National Disease Research Interchange(NDRI(Philadelphia,PA))から得た。それらの組織は、正常分娩の後に得たものであった。細胞単離プロトコルを、層流フード内で、無菌的に実行した。血液及び残滓を除去するため、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100mg/mL、アンホテリシンB 0.25μg/mL(Invitrogen(Carlsbad,CA))の存在下において、臍帯をリン酸緩衝生理食塩水(PBS;Invitrogen(Carlsbad,CA))で洗浄した。次いで、それらの組織を、150cmの組織培養プレート内で、50mLの培地(DMEM−低グルコース又はDMEM−高グルコース(Invitrogen))の存在下で、組織が微細なパルプ状に細断されるまで機械的に解離させた。細断した組織を、50mL円錐遠心管に移した(遠心管1本当り組織約5グラム)。
【0215】
次いで、それぞれペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100mg/mL、アンホテリシンB 0.25μg/mL、及び消化酵素を含有する、DMEM−低グルコース培地又はDMEM−高グルコース培地のいずれかにおいて組織を消化した。幾つかの実験では、コラゲナーゼ及びディスパーゼの酵素混合物(「C:D」)を使用した。(DMEM−低グルコース培地において、コラゲナーゼ(Sigma(St Louis,MO))、500単位/mL、及びディスパーゼ(Invitrogen)、50単位/mL、)その他の実験では、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、及びヒアルロニダーゼの混合物(「C:D:H」)を使用した(DMEM−低グルコースにおいて、C:D:H=コラゲナーゼ、500単位/mL、ディスパーゼ、50単位/mL、及びヒアルロニダーゼ(Sigma)、5単位/mL)。これらの組織、培地、及び消化酵素を含有する円錐遠心管を、225rpmの軌道振盪器(Environ(Brooklyn,NY))内で、37℃で2時間インキュベートした。
【0216】
消化後、150×gで5分間、組織を遠心分離して、上清を吸引した。ペレットは20mLの増殖培地において再懸濁された(DMEM:低グルコース(Invitrogen)、15%(v/v)ウシ胎児血清(FBS、規定のウシ胎児血清、ロット番号AND18475(Hyclone(Logan,UT))、0.001%(v/v)メルカプトエタノール(Sigma)、ペニシリン、100単位/mL、ストレプトマイシン、100μg/mL、及びアンホテリシン、0.25μg/mL(それぞれInvitrogen(Carlsbad,CA)製)。細胞懸濁液を70μmナイロン製BD FALCON細胞濾過器(BD Biosciences(San Jose,CA))に通して濾過した。増殖培地を含む、追加の5mLの洗液を、濾過器に通過させた。次いで、細胞懸濁液を40−μmのナイロン製細胞濾過器(BD Biosciences(San Jose,CA))に通過させ、続いて、増殖培地の洗液を追加で5mL通過させた。
【0217】
この濾液を、増殖培地(総容積50mL)中に再懸濁させ、150×gで5分間、遠心分離した。上清を吸引して、50mLの新鮮増殖培地中に、細胞を再懸濁させた。この過程を更に2回繰り返した。
【0218】
最終的な遠心分離の後に、上清を吸引して、5mLの新鮮増殖培地中に、細胞ペレットを再懸濁させた。トリパンブルー染色を使用して、生存細胞の数を判定した。次いで、標準条件下で、細胞を培養した。
【0219】
臍帯組織から単離した細胞を、増殖培地中、ゼラチンコーティングT−75cmフラスコ(Corning Inc.(Corning,NY))上に、5,000細胞/cmで播種した。2日後、消費した培地及び未付着の細胞を、フラスコから吸引した。PBSで付着細胞を3回洗浄して、残渣及び血液由来細胞を除去した。次いで、細胞に、増殖培地を補充して、コンフルエンスまで増殖させた(継代数0から継代数1まで約10日)。その後の継代(継代数1から継代数2までなど)の際には、細胞は、4、5日でサブコンフルエンス(75〜85%コンフルエンス)に到達した。これらの後続の継代に関しては、細胞を、5,000細胞/cmで播種した。細胞を、37℃、二酸化炭素5%で、加湿したインキュベーター内で増殖させた。
【0220】
幾つかの実施形態において、細胞は、LIBERASE(2.5mg/mL、Blendzyme 3、Roche Applied Sciences(Indianapolis,IN))及びヒアルロニダーゼ(5単位/mL、Sigma)を用いて消化させた後、DMEM−低グルコース培地内において、分娩後組織から単離した。組織の消化、及び細胞の単離は、上記の他のプロテアーゼ消化に関する説明と同様であったが、C:D又はC:D:H酵素混合物の代わりに、LIBERASE/ヒアルロニダーゼ混合物を使用した。LIBERASEを使用する組織の消化は、分娩後組織から、容易に増殖する細胞集団の単離をもたらした。
【0221】
種々の酵素の組み合せを使用して、臍帯から細胞を単離するための手順を比較した。消化に関して比較する酵素には、i)コラゲナーゼ、ii)ディスパーゼ、iii)ヒアルロニダーゼ、iv)コラゲナーゼ:ディスパーゼ混合物(C:D)、v)コラゲナーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:H)、vi)ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(D:H)、vii)コラゲナーゼ:ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:D:H)を含めた。これらの種々の酵素消化条件を使用して、細胞単離の差異を観察した(表4−1を参照)。
【0222】
種々の手法によって臍帯から細胞のプールを単離するために、他の試みを行なった。一例では、臍帯を薄切りにして、増殖培地で洗浄し、血餅及びゼラチン状物質を除去した。血液、ゼラチン状物質、及び増殖培地の混合物を回収して、150×gで遠心分離した。ペレットを再懸濁させ、ゼラチンコーティングされたフラスコ上に、増殖培地中で播種した。これらの実験から、容易に増殖する細胞集団が単離された。
【0223】
細胞はまた、NDRIから入手した臍帯血サンプルからも単離されている。単離プロトコルは、Hoらの国際特許出願PCT/US第2002/029971号に記載するものを使用した。臍帯血(NDRI(Philadelphia PA))のサンプル(それぞれ50mL及び10.5mL)は、溶解用緩衝液(フィルタ殺菌済み155mMの塩化アンモニウム、10ミリモルの重炭酸カリウム、pH 7.2に緩衝された0.1mMのEDTA(全成分はSigma(St.Louis,MO)製)と混合した。臍帯血と溶解緩衝液との比率1:20で、細胞を溶解させた。得られた細胞懸濁液を、5秒間ボルテックス攪拌して、周囲温度で2分間インキュベートした。この溶解液を、遠心分離した(200×gで10分間)。細胞ペレットは、10%のウシ胎児血清(Hyclone(Logan UT))、4mMのグルタミン(Mediatech(Herndon,VA))、100単位/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco(Carlsbad,CA))を含有する完全最小必須培地(Gibco(Carlsbad CA))において再懸濁された。再懸濁した細胞を、遠心分離して(200×gで10分間)、上清を吸引し、完全培地において細胞ペレットを洗浄した。T75フラスコ(Corning(NY))、T75ラミニンコーティングフラスコ、又はT175フィブロネクチンコーティングフラスコ(双方ともBecton Dickinson(Bedford,MA))内に、細胞を直接播種した。
【0224】
細胞集団が種々の条件下で単離され、単離の直後に様々な条件下で増殖することが可能か否かを判定するために、上記の手順に従って、0.001%(v/v)の2−メルカプトエタノール(Sigma(St.Louis,MO))を有する増殖培地中、又は有さない増殖培地中で、C:D:Hの酵素の組み合せを使用して、細胞を消化させた。全細胞を100単位/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンの存在下で増殖させた。全ての試験条件下で、細胞は、継代数0〜継代数1で良好に付着し増殖した(表4−2)。条件5〜8及び条件13〜16における細胞は、播種後、継代数4まで良好に増殖することが実証され、その時点でそれらの細胞を凍結保存した。
【0225】
C:D:Hの組み合せにより、単離後の、最良の細胞収量をもたらされ、他の条件よりも、多くの世代にわたって培養下で増殖する細胞が生じた(表4−1)。コラゲナーゼ又はヒアルロニダーゼを単独で使用しても、増殖可能な細胞集団は得られなかった。この結果が、試験したコラゲナーゼに特異的なものであるか否かを判定する試みは行なわなかった。
【0226】
【表13】
【0227】
細胞は、酵素消化及び増殖に関して試験した全条件下で、継代数0〜1の間で、良好に付着し増殖した(表4−2)。実験条件5〜8及び実験条件13〜16における細胞は、播種後、継代数4まで良好に増殖し、その時点で、それらの細胞を凍結保存した。全細胞は、更なる分析のために凍結保存された。
【0228】
【表14】
【0229】
有核細胞が付着し、急速に増殖した。これらの細胞をフローサイトメトリーによって分析したところ、酵素消化によって得られた細胞と同様であった。
【0230】
これらの調製物は、赤血球及び血小板を含有した。最初の3週間は、有核細胞が付着及び分裂することはなかった。播種の3週間後に、培地を交換したが、細胞の付着及び増殖は観察されなかった。
【0231】
酵素併用コラゲナーゼ(メタロプロテアーゼ)、ディスパーゼ(中性プロテアーゼ)及びヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を破壊する粘液溶解酵素)を効果的に使用して、臍組織から細胞集団を単離することができた。コラゲナーゼと中性プロテアーゼとの配合物であるLIBERASEも使用することができる。コラゲナーゼ(4 Wunsch単位/g)及びサーモリシン(1714カゼイン単位/g)である、Blendzyme 3もまた、細胞を単離するために、ヒアルロニダーゼと共に使用した。これらの細胞をゼラチンコーティングされたプラスチック上の増殖培地において培養した場合、多数回の継代にわたって、容易に増殖した。
【0232】
細胞はまた、臍帯内の残留血液からも単離されたが、臍帯血からは単離されなかった。使用した条件下で付着及び増殖する、この組織から洗い流された血餅中の細胞の存在は、解剖プロセス中に細胞が遊離することによるものである可能性がある。
【0233】
(実施例5)
細胞の核型分析
細胞療法に使用される細胞株は、好ましくは、同種であり、いずれの汚染細胞型も含まない。細胞治療に使用されるヒト細胞は、正常な構造を有する、正常な数(46個)の染色体を有していなければならない。同種であり、かつ、非臍組織起源の細胞を含まない臍由来細胞株を同定するため、細胞サンプルの核型分析を行った。
【0234】
新生男児の分娩後組織由来のUTCを、増殖培地中で培養した。新生児由来細胞と母体由来細胞(X,X)との識別が可能となるように、新生男児由来の分娩後組織(X,Y)が選択された。細胞を、T25フラスコ(Corning(Corning,NY))内の増殖培地中に、5,000細胞/平方センチメートルで播種し、80%コンフルエンスまで増殖させた。細胞を含有するT25フラスコは、首部分まで増殖培地で充填した。臨床細胞遺伝学研究所に、急送便でサンプルを配送した(研究所間の推定輸送時間は、1時間である)。染色体分析は、New Jersey Medical School(Newark,NJ)に所在するCenter for Human & Molecular Geneticsにより行われた。細胞は、染色体が最も良好に可視化される、分裂中期の間に分析された。計数した分裂中期の20個の細胞のうち、5個の細胞を、正常な同種核型数(2)に関して分析した。細胞サンプルは、2つの核型が観察された場合に同種であると特徴付けられた。細胞サンプルは、3つ以上の核型が観察された場合に異種であると特徴付けられた。異種性の核型数(4)が識別されると、更なる分裂中期細胞を計数して、分析した。
【0235】
染色体分析に送られた全細胞サンプルは、細胞遺伝学研究所のスタッフによって、正常外見を呈していると解釈された。分析された16個の細胞株のうちの3つは、新生児起源及び母体起源の双方に由来する細胞の存在を示す、異種性の表現型(XX及びXY)を呈した(表5−1)。それぞれの細胞サンプルは、同種であると特徴付けられた。(表5−1)。
【0236】
【表15】
【0237】
染色体分析により、臨床細胞遺伝学研究所により解釈されると、核型が正常である臍由来UTCが同定された。核型分析はまた、同種核型により判断される、母体細胞を含まない細胞株も同定した。
【0238】
(実施例6)
細胞表面マーカーのフローサイトメトリー評価
フローサイトメトリーによる細胞表面タンパク質又は「マーカー」の特性評価を用いて、細胞株の同一性を判定することができる。この発現の一貫性は、複数のドナーから、並びに種々の処理及び培養条件に曝された細胞において、判定することができる。臍から単離された分娩後細胞株を、フローサイトメトリーによって特徴付けることにより、これらの細胞株の同定に関するプロファイルが提供された。
【0239】
プラズマ処理されたT75、T150、及びT225組織培養フラスコ(Corning,Corning,NY)内で、細胞をコンフルエンスまで培養した。2%(w/v)のゼラチン(Sigma(St.Louis,MO))を、室温で20分間インキュベートすることによって、これらのフラスコの増殖表面をゼラチンでコーティングした。
【0240】
フラスコ内の付着細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco(Carlsbad,MO))内で洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco)を使用して剥離させた。細胞を採取して遠心分離し、1×10細胞/mLの濃度で、3%(v/v)FBSのPBS中に再懸濁した。製造業者の仕様書に従って、100μLの細胞懸濁液に対象の細胞表面マーカーに対する抗体(下記参照)を添加し、その混合物を暗所において4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離することにより、非結合抗体を除去した。細胞を500μLPBS中に再懸濁させ、フローサイトメトリーによって分析した。フローサイトメトリー分析は、FACS calibur計器(Becton Dickinson(San Jose,CA))を使用して実行した。
【0241】
細胞表面マーカーに対する以下の抗体を使用した。
【0242】
【表16】
【0243】
臍由来細胞を、継代数8、15、及び20で分析した。
【0244】
ドナー間の差異を比較するため、種々のドナーからの臍帯由来細胞を相互に比較した。更に、ゼラチンコーティングフラスコ上で培養した臍由来細胞を、非コーティングフラスコ上で培養した臍由来細胞と比較した。
【0245】
細胞の単離及び準備に関して使用される、4つの処理を比較した。1)コラゲナーゼ、2)コラゲナーゼ/ディスパーゼ、3)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ、4)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ/ディスパーゼを使用する処理によって、分娩後組織から得られた細胞を比較した。
【0246】
フローサイトメトリーによって分析された、継代数8、15、及び20における臍帯由来細胞は、全て、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cを発現し、このことは、IgG対照と比較しての蛍光の増大によって示された。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQに関しては陰性であり、このことは、IgG対照と一致する蛍光値によって示された。
【0247】
フローサイトメトリーによって分析された、別個のドナーから単離された臍帯由来細胞はそれぞれ、IgG対照と比較しての蛍光値の増大に反映される、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cの産生について陽性を示した。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQの産生に関しては陰性であり、IgG対照と一致する蛍光値を有していた。
【0248】
ゼラチンコーティングフラスコ及び非ゼラチンコーティングフラスコ上で増殖して、フローサイトメトリーにより分析された臍帯由来細胞は、全てCD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cの産生に関して陽性であり、IgG対照と比較して増加した蛍光値を有していた。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQの産生に関しては陰性であり、IgG対照と一致する蛍光値を有していた。
【0249】
フローサイトメトリーによる臍帯由来細胞の分析を通じて、これらの細胞株の同一性が実証された。これらの臍帯由来細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cに関して陽性であり、かつCD31、CD34、CD45、CD117、CD141、及びHLA−DR、DP、DQに関して陰性である。この同一性は、ドナー、継代数、培養容器の表面コーティング、消化酵素、及び胎盤の層を含む変数が変動しても、一貫していた。個々の蛍光値ヒストグラム曲線の平均及び範囲には、ある程度の変動が観察されたが、全ての試験条件下での、全ての陽性曲線は正常であり、発現した蛍光値は、IgG対照よりも大きく、それゆえ、これらの細胞が、マーカーの陽性発現を有する同種の集団を含むことが確認された。
【0250】
(実施例7)
オリゴヌクレオチドアレイによる細胞分析
オリゴヌクレオチドアレイを使用して、臍由来細胞及び胎盤由来細胞の遺伝子発現プロファイルを、線維芽細胞、ヒト間葉系幹細胞、及びヒト骨髄由来の別の細胞株と比較した。この解析により、分娩後由来細胞の特性評価が提供され、これらの細胞に関係する固有の分子マーカーが特定された。
【0251】
分娩後組織由来細胞。ヒト臍帯及びヒト胎盤は、National Disease Research Interchange(NDRI(Philadelphia,PA))より、患者の同意を得て、正常な満期分娩から得た。C:D:Hの混合物による消化後、実施例5に記述されるとおり、組織の受領及び細胞の単離が行われた。細胞は、ゼラチンコーティングされたプラスチック製組織培養フラスコ上の増殖培地において増殖された。この培養物を、5%のCOを使用して、37℃でインキュベートした。
【0252】
線維芽細胞ヒト皮膚線維芽細胞は、Cambrex Incorporated(Walkersville,MD);ロット番号9F0844)及びATCC CRL−1501(CCD39SK)より購入した。双方の株を、10%(v/v)ウシ胎児血清(Hyclone)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を有する、DMEM/F12培地(Invitrogen(Carlsbad,CA))中で培養した。これらの細胞は、標準的な組織処理プラスチック上で増殖させた。
【0253】
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)。ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、Cambrex Incorporated(Walkersville,MD);ロット番号2F1655、2F1656、及び2F1657)より購入し、製造業者の仕様書に従って、MSCGM培地(Cambrex)中で培養した。これらの細胞は、5%のCOを使用して、37℃で標準的な組織培養プラスチック上で増殖させた。
【0254】
ヒト腸骨稜骨髄細胞(ICBM)。ヒト腸骨稜の骨髄は、患者の同意を得て、NDRIより受け取った。この骨髄を、Hoらによって概説される方法(国際公開第03/025149号)に従って処理した。この骨髄を、溶解緩衝液(155mMのNHCl、10mMのKHCO、及び0.1mMのEDTA、pH 7.2)と、骨髄1部対溶解緩衝液20部の比率で混合した。この細胞懸濁液を、ボルテックス攪拌して、周囲温度で2分間インキュベートし、500×gで10分間、遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを、10%(v/v)ウシ胎児血清及び4mMのグルタミンが補充された最小必須培地−α(Invitrogen)中に再懸濁させた。これらの細胞を、再び遠心分離して、新鮮培地中に細胞ペレットを再懸濁させた。トリパンブルー色素排除(Sigma,St.Louis,MO)を使用して、生存単核細胞を計数した。単核細胞は、5×10細胞/cmにて、プラスチック製細胞培養フラスコ中に播種された。細胞を、標準大気O又は5% Oのいずれかで、5% CO、37℃でインキュベートした。培地を交換することなく、細胞を5日間培養した。5日間の培養の後、培地及び非付着細胞を除去した。付着細胞は、培養物中に維持された。
【0255】
活発に増殖する細胞培養物を、低温のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、細胞スクレーパによってフラスコから除去した。これらの細胞を、300×gで5分間、遠心分離した。上清を除去して、新鮮なPBS中に細胞を再懸濁させ、再び遠心分離した。上清を除去して、細胞ペレットを直ちに凍結させ、−80℃で保存した。細胞のmRNAを抽出し、cDNAへと転写させた。次に、cDNAをcRNAに転写させし、ビオチンで標識した。ビオチン標識済みcRNAについて、Affymetrix GENECHIP HG−U133Aオリゴヌクレオチドアレイ(Affymetrix(Santa Clara,CA))によってハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション及びデータ収集は、製造業者の仕様書に従って実施した。データ解析は、「Significance Analysis of Microarrays」(SAM)version1.21コンピュータソフトウェア(Tusher、V.G.ら、2001年,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5116〜5121)を使用して実施した。解析ソフトウェアのライセンスはOffice of Technology Licensing,Stanford Universityから入手可能であり、詳細な情報は、Dep’t of Statistics,Stanford UniversityのProfessor Tibshiraniのウェブサイトにおいてインターネット情報検索システムから入手可能である。
【0256】
14個の異なる細胞集団を、この試験において分析した。これらの細胞を、継代情報、培養基質、及び培養培地と共に、表7−1に列記する。細胞株については、分析時の継代、細胞増殖基質、及び増殖培地と共に識別コードを列記した。
【0257】
【表17】
【0258】
データは、上述したSAMソフトウェアによる主成分分析で評価した。分析により、試験対象の細胞において、様々な相対量で発現した290個の遺伝子が明らかとなった。この分析により、集団間の相対比較がもたらされた。
【0259】
表7−2は、細胞対の比較のために算出された、ユークリッド距離を示す。ユークリッド距離は、細胞型間で示差的に発現した290個の遺伝子に基づく、細胞の比較に基づいたものである。ユークリッド距離は、290個の遺伝子の発現における類似性と反比例している。ユークリッド距離は、細胞の種類ごとに異なる発現をしたこれらの290個の遺伝子を使用して、細胞の種類に対して算出された。細胞間の類似性は、ユークリッド距離に反比例している。
【0260】
【表18】
【0261】
表7−3、表7−4、及び表7−5は、胎盤由来細胞内で増加した遺伝子の発現(表7−3)、臍帯由来細胞内で増加した遺伝子の発現(表7−4)、並びに臍帯由来細胞及び胎盤由来細胞内で減少した遺伝子の発現(表7−5)を示す。
【0262】
【表19】
【0263】
【表20】
【0264】
【表21-1】
【0265】
【表21-2】
【0266】
表7−6、表7−7、及び表7−8は、ヒト線維芽細胞(表7−6)、ICBM細胞(表7−7)、及びMSC(表7−8)内で増加した、遺伝子の発現を示す。
【0267】
【表22】
【0268】
【表23】
【0269】
【表24】
【0270】
本実施例は、臍帯由来細胞及び胎盤由来細胞の分子の特性評価を提供するために実行された。この分析は、3つの異なる臍帯及び3つの異なる胎盤に由来する細胞を含んだ。この研究はまた、皮膚繊維芽細胞の2つの異なる株、間葉系幹細胞の3つの株、及び腸骨稜骨髄細胞の3つの株も含んだ。これらの細胞により発現されたmRNAは、オリゴヌクレオチドプローブを含むGENECHIPオリゴヌクレオチドアレイにおいて、22,000の遺伝子について分析された。
【0271】
分析により、これら5つの異なる細胞型には、290の遺伝子の転写産物が異なる量で存在していることが明らかとなった。これらの遺伝子には、胎盤由来細胞内で特異的に増加した10種の遺伝子、及び臍帯由来細胞内で特異的に増加した7種の遺伝子が含まれる。54種の遺伝子が、胎盤由来細胞及び臍帯由来細胞において、特異的に低い発現レベルを有することが分かった。
【0272】
(実施例8)
細胞表現型の免疫組織化学的特性評価
ヒト臍帯組織に見出される細胞の表現型を、免疫組織化学的検査によって分析した。
【0273】
ヒト臍帯組織を採取し、4%(w/v)パラホルムアルデヒドにより4℃で一晩浸漬固定した。免疫組織化学的検査は、以下のエピトープに対する抗体を使用して実行した(表8−1を参照)。ビメンチン(1:500、Sigma(St.Louis,MO))、デスミン(1:150、抗ウサギ、Sigma、又は1:300、抗マウス、Chemicon(Temecula,CA))、α−平滑筋アクチン(SMA、1:400、Sigma)、サイトケラチン18(CK18、1:400、Sigma)、ヴォン・ヴィレブランド因子(vWF、1:200、Sigma)、及びCD34(ヒトCD34クラスIII、1:100、DAKOCytomation(Carpinteria,CA))。更に、以下のマーカーを試験した。抗ヒトGROα−PE(1:100、Becton Dickinson(Franklin Lakes,NJ))、抗ヒトGCP−2(1:100、Santa Cruz Biotech(Santa Cruz,CA))、抗ヒト酸化LDL受容体1(ox−LDL R1、1:100、Santa Cruz Biotech)、及び抗ヒトNOGO−A(1:100、Santa Cruz Biotech)。固定された検体を外科用メスを使用してトリミングし、エタノールを含有するドライアイス浴上の、OCT包理化合物(Tissue−Tek OCT、Sakura(Torrance,CA))内に定置した。次いで、凍結ブロックを、標準的なクリオスタット(Leica Microsystems)を使用して切片(厚さ10μm)とし、染色のためにスライドガラス上に載置した。
【0274】
以前に行われた試験に類似した免疫組織化学的検査を実施した。(例えば、Messinaら、Exper.Neurol.,2003年、184:816〜829)。組織切片を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、細胞内抗原にアクセスするために、PBS、4%(v/v)ヤギ血清(Chemicon(Temecula,CA))、及び0.3%(v/v)Triton(Triton X−100、Sigma)を含有するタンパク質ブロッキング溶液に1時間曝した。目的のエピトープが細胞表面(CD34、ox−LDL R1)上に位置している場合には、エピトープの損失を防ぐために、この手順の全ての段階で、Tritonを省略した。更に、一次抗体がヤギ(GCP−2、ox−LDL R1、NOGO−A)に対して産生された場合には、手順全体を通して、ヤギ血清の代わりに、3%(v/v)ロバ血清を使用した。次いで、ブロッキング溶液で希釈された一次抗体を、室温で4時間にわたって、これらの切片に適用した。一次抗体溶液を除去し、培養物をPBSで洗浄した後、ヤギ抗マウスIgG−Texas Red(1:250;Molecular Probes(Eugene,OR))及び/若しくはヤギ抗ウサギIgG−Alexa 488(1:250;Molecular Probes)又はロバ抗ヤギIgG−FITC(1:150;Santa Cruz Biotech)と共にブロックを含有する、二次抗体溶液を付与した(室温で1時間)。培養物を洗浄し、10マイクロモルのDAPI(Molecular Probes)を10分間付与して、細胞核を可視化した。
【0275】
免疫染色の後に、Olympus倒立エピ蛍光顕微鏡(Olympus(Melville,NY))上で、適切な蛍光フィルタを使用して、蛍光を可視化した。陽性染色は、対照染色を上回る蛍光シグナルによって表された。代表的な画像を、デジタルカラービデオカメラ及びImageProソフトウェア(Media Cybernetics(Carlsbad,CA))を使用して取り込んだ。3重染色サンプルに関しては、1回に1つのみの発光フィルタを使用して、各画像を撮影した。次いで、Adobe Photoshopソフトウェア(Adobe(San Jose,CA))を使用して、階層モンタージュを準備した。
【0276】
【表25】
【0277】
ビメンチン、デスミン、SMA、CK18、vWF、及びCD34マーカーは、臍帯内部に見出される細胞のサブセットで発現した(データ示さず)。具体的には、vWF及びCD34の発現は、臍帯内部に含まれる血管に限定されていた。CD34+細胞は、最内層(内腔側)に存在した。ビメンチンの発現は、臍帯のマトリックス及び血管の全域に見られた。SMAは、動脈並びに静脈の、マトリックス及び外壁に限定されたが、血管自体には含まれなかった。CK18及びデスミンは、血管内部のみに観察され、デスミンは、中層及び外層に限定された。
【0278】
これらのマーカーのいずれも、臍帯内部では観察されなかった(データ示さず)。
【0279】
ビメンチン、デスミン、α−平滑筋アクチン、サイトケラチン18、ヴォン・ヴィレブランド因子、及びCD34は、ヒト臍帯内部の細胞内で発現する。ビメンチン及びα−平滑筋アクチンのみが発現することを示したインビトロ特性分析に基づいて、データは、臍帯由来細胞を単離する本プロセスが細胞の亜集団を採取するものであること、又は単離した細胞がマーカーの発現を変化させてビメンチン及びα−平滑筋アクチンを発現することを示唆している。
【0280】
(実施例9)
栄養因子の分泌
UTCからの選択された栄養因子の分泌を測定した。因子は、以下より選択した。血管由来の活性を有するもの(例えば、肝細胞増殖因子(HGF)(Rosenら、Ciba Found.Symp.、1997年、212、215〜26)、単球走化性タンパク質1(MCP−1)(Salcedoら、Blood、2000年、96、34〜40)、インターロイキン−8(IL−8)(Liら、J.Immunol.、2003年、170、3369〜76)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)(Hughesら、Ann.Thorac.Surg.2004年、77、812〜6)、マトリックスメタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤(TIMP1)、アンジオポエチン2(ANG2)、血小板由来成長因子(PDGFbb)、トロンボポエチン(TPO)、ヘパリン結合性上皮成長因子(HB−EGF)、間質由来因子1α(SDF−1α)、神経栄養活性/神経保護活性を有するもの(脳由来神経栄養因子(BDNF)(Chengら、Dev.Biol.2003年、258、319〜33)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球走化性タンパク質−2(GCP−2)、トランスフォーミング増殖因子β2(TGFβ2))、又はケモカイン活性を有するもの(マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)、マクロファージ炎症性タンパク質1β(MIP1β)、単球化学誘引物質−1(MCP−1)、ランテス(Rantes)(活性化時調節正常T細胞発現及び分泌物)、I309、胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)、エオタキシン、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、及び(IL−8)。
【0281】
臍帯由来細胞、並びにヒト新生児包皮由来のヒト繊維芽細胞を、ゼラチンコーティングされたT75フラスコ上の増殖培地において培養した。継代数11で、細胞を凍結保存し、液体窒素中で保存した。細胞の解凍後、それらの細胞に増殖培地を添加し、その後、15mL遠心管に移して、150×gで5分間、それらの細胞を遠心分離した。4mLの増殖培地中に、細胞ペレットを再懸濁させ、細胞を計数した。細胞を、それぞれが15mLの増殖培地を含有するT75フラスコ内において、5,000細胞/cmで播種し、24時間の培養を行った。培地を、無血清培地(DMEM−低グルコース(Gibco)、0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(Sigma)、ペニシリン(50単位/mL)及びストレプトマイシン(50μg/mL、Gibco))に変えて、8時間培養した。インキュベーションの終了時に、14,000×gで5分間遠心分離を行い無血清馴化培地を収集し、−20℃で保存した。
【0282】
各フラスコ内の細胞数を推算するため、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2mLのトリプシン/EDTA(Gibco)を使用して脱離させた。8mLの増殖培地の添加によって、トリプシン活性を抑制した。これらの細胞を、150×gで5分間、遠心分離した。上清を除去し、1mLの増殖培地中に、細胞を再懸濁させた。細胞数は、血球計数器によって推算した。
【0283】
細胞を5% CO及び大気酸素中37℃で増殖させた。そらぞれの細胞サンプルによって産生された、MCP−1、IL−6,VEGF、SDF−1α、GCP−2、IL−8、及びTGF−β2の量はELISA(R&D Systems(Minneapolis,Mn.))によって測定した。全てのアッセイは、製造業者の説明書に従って行われた。提示された値は、1mLごと、細胞100万個ごとのピコグラムである(n=2,sem)。
【0284】
ケモカイン(MIP1α、MIP1β、MCP−1、ランテス(Rantes)、I309、TARC、Eotaxin、MDC、IL8)、BNDF、及び血管由来因子(HGF、KGF、bFGF、VEGF、TIMP1、ANG2,PDGFbb、TPO、HB−EGF)は、SearchLight Proteome Array(Pierce Biotechnology)を使用して測定された。このProteome Arrayは、ウェル当り2〜16のタンパク質を定量測定するための、多重サンドイッチELISAである。これらのアレイは、96ウェルプレートのそれぞれのウェル内に、2×2、3×3、又は4×4のパターンの、4〜16個の異なる捕捉抗体をスポットすることによって産生される。サンドイッチELISA手順の後に、プレート全体を画像化して、プレートの各ウェル内部の各スポットで生成された、化学発光シグナルを捕捉する。各スポットで生成されるシグナルは、元の標準又はサンプル中の、標的タンパク質の量に比例する。
【0285】
MCP−1及びIL−6は、臍由来PPDC及び皮膚線維芽細胞によって分泌された(表9−1)。SDF−1α及びGCP−2は、線維芽細胞によって分泌された。GCP−2及びIL−8は、臍由来PPDCによって分泌された。TGF−β2は、いずれの細胞型においても、ELISAによって検出されなかった。
【0286】
【表26】
【0287】
SearchLight(商標)多重ELISAアッセイ。TIMP1、TPO、KGF、HGF、FGF、HBEGF、BDNF、MIP1β、MCP1、ランテス(RANTES)、I309、TARC、MDC、及びIL−8が、臍帯由来PPDCから分泌された(表9−2及び9−3)。Ang2、VEGF、又はPDGFbbは検出されなかった。
【0288】
【表27】
【0289】
【表28】
【0290】
臍由来細胞は、多数の栄養因子を分泌した。HGF、bFGF、MCP−1、及びIL−8などの、これらの栄養因子のうちの一部は、血管新生において重要な役割を果たす。BDNF及びIL−6などの他の栄養因子は、神経再生又は保護に重要な役割を果たす。
【0291】
(実施例10)
テロメラーゼ活性の分析
テロメラーゼは、染色体の完全性を保護し、また細胞の複製寿命を延長するために役立つ、テロメア繰り返し体を合成するように機能する(Liu,Kら、PNAS,1999年:96:5147〜5152)。テロメラーゼは、テロメラーゼRNAテンプレート(hTER)、及びテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)の2つの成分からなる。テロメラーゼの調節は、hTERではなく、hTERTの転写によって決定される。hTERT mRNAに関するリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、それゆえ、細胞のテロメラーゼ活性を判定するための容認された方法である。
【0292】
細胞単離
リアルタイムPCR実験を実行して、ヒト臍帯組織由来細胞のテロメラーゼ産生を判定した。ヒト臍帯組織由来細胞は、上記実施例及び米国特許第7,510,873号に記載の実施例に従って調製された。全般的には、正常な分娩後の、National Disease Research Interchange(Philadelphia,Pa.)から得た臍帯を洗浄して、血液及び残渣を除去し、機械的に解離させた。次いで、その組織を、培養培地中、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、及びヒアルロニダーゼを含む消化酵素と共に、37℃でインキュベートした。ヒト臍帯組織由来細胞は、‘012号特許出願の実施例に記載の方法に従って培養した。間葉系幹細胞及び通常の皮膚線維芽細胞(cc−2509ロット番号9F0844)は、Cambrex(Walkersville,Md)から入手した。多能性ヒト精巣胎児性癌(テラトーマ)細胞株nTera−2細胞(NTERA−2 cl.D1)(Plaiaら,Stem Cells,2006年;24(3):531〜546を参照)は、ATCC(Manassas,Va.)から購入し、米国特許第7,510,873号に記載の方法に従って培養した。
【0293】
総RNAの単離
RNeasy(登録商標)キット(Qiagen(Valencia,Ca.))を使用して、RNAを細胞から抽出した。RNAは、50μLのDEPC−処理水で溶出させ、−80℃で貯蔵した。RNAは、TaqMan(登録商標)逆転写剤(Applied Biosystems(Foster City,Ca.))を有するランダムヘキサマーを使用して、25℃で10分間、37℃で60分間、95℃で10分間逆転写させた。サンプルを−20℃で保存した。
【0294】
リアルタイムPCR
Applied Biosystems Assays−On−Demand(商標)(TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイとしても既知)を、製造業者の仕様書(Applied Biosystems)に従って使用して、cDNAサンプルに対してPCRを実行した。この市販のキットは、ヒト細胞内のテロメラーゼをアッセイするために、広く使用されている。簡潔には、hTert(ヒトテロメラーゼ遺伝子)(Hs00162669)及びヒトGAPDH(内部対照)を、ABI prism 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)と共に7000配列検出システムを使用して、cDNA及びTaqMan(登録商標)Universal PCRマスターミックスと混合した。熱サイクル条件は、最初に50℃で2分間及び95℃で10分間とし、その後に、95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルとした。PCRデータを、製造業者の仕様書に従って解析した。
【0295】
ヒト臍帯組織由来細胞(ATCCアクセッション番号PTA−6067)、線維芽細胞、及び間葉系幹細胞を、hTert及び18S RNAに関してアッセイした。表10−1に示すように、hTert、よってテロメラーゼは、ヒト臍帯組織由来細胞内では検出されなかった。
【0296】
【表29】
【0297】
ヒト臍帯組織由来細胞(単離株022803、ATCCアクセッション番号PTA−6067)及びnTera−2細胞をアッセイしたところ、それらの結果は、ヒト臍帯組織由来細胞の2つのロットでは、テロメラーゼの発現を示さなかったが、一方で、テラトーマ細胞株は、高レベルで発現することが明らかとなった(表10−2)。
【0298】
【表30】
【0299】
したがって、本発明のヒト臍帯組織由来細胞は、テロメラーゼを発現しないと結論付けることができる。
【0300】
(実施例11)
インペラスピナーフラスコリアクター内のマイクロキャリ上でのUTCの増殖
材料及び方法
細胞。CBATロット番号050604B継代数8細胞からの細胞を解凍し、1つの継代の間、T225フラスコ内で増殖させた。
【0301】
マイクロキャリア。Cytodex(登録商標)3(GE Healthcare Life Sciences、カタログ番号17−0485)のマイクロキャリアビーズをPBS内で少なくとも3時間水和させ、高圧滅菌した。
【0302】
スピナーフラスコ。100mL及び250mLの、内部オーバーヘッドベアリングインペラアセンブリ(Overhead Bearing Impeller Assembly)を備えたスピナーフラスコ(Bellco,Inc.)。
【0303】
コンフルエンス。コンフルエンスは、代表的な顕微鏡観察視野内で観察されるマイクロキャリアのおよそ90%として定義され、細胞で覆われた表面積のおよそ60%超である。
【0304】
継代。継代は、新しいマイクロキャリアを含有するスピナーフラスコに、別個のスピナーフラスコ培養から得られたコンフルエントなマイクロキャリアの分取物を接種することとして定義される。
【0305】
接種及び培養。細胞は、トリプシンによってT225フラスコから採取され、4.0E+06細胞の分取物は、40mLの培地を含有する100mLインペラ又はガラス棒付きスピナーフラスコ内の300mgのマイクロキャリアビーズに添加された。インキュベーションの前に、フラスコを5% COガスで1分間フラッシングした。接種材料の速度−頻度は、8時間にわたって30分毎に2分間、30rpmであった。8時間目に、培地の容積は、100mLに増加し、スピナー速度は、45rpmの連続回転に設定され、37℃でインキュベートした。
【0306】
継代。継代数1−(100mL〜250mLフラスコ)細胞を8日間培養した。全てのマイクロキャリアを100mLフラスコから回収し、重力によって培地から分離させた。培地を吸引し、マイクロキャリアを100mLの新鮮培地に再懸濁させた。ピペット操作後、確実に同等な分配を行うように、マイクロキャリアを有する5mLの培地を除去し250mLスピナーフラスコ内に送達したおよそ660mgの水和及び高圧滅菌された新しいCytodex(登録商標)3マイクロキャリア及び培地もまた、フラスコに添加された。培地の容積を200mLに増加させ、フラスコを5% COガスで1分間フラッシングしてからインキュベートした。スピナー速度を45rpmの連続回転に設定し、37℃でインキュベートした。残った細胞をトリプシン処理によって採取し、GuavaPCA機器(Guava Technologies(Hayward,CA))を使用して計数した。
【0307】
継代2−(250mL〜250mLフラスコ)細胞を6日間培養した。全てのマイクロキャリアを250mLフラスコから回収し、重力によって培地から分離させた。培地を吸引し、マイクロキャリアを25mLの新鮮培地に再懸濁させた。ピペット操作後、確実に同等に分配するように、マイクロキャリアを有する5mLの培地を除去し、250mLスピナーフラスコ内に送達した。およそ660mgの水和及び高圧滅菌した新しいCytodex(登録商標)3マイクロキャリア及び培地もまたフラスコに添加された。培地の容積を200mLに増加させ、フラスコを5% COガスで1分間フラッシングしてからインキュベートした。スピナー速度を45rpmの連続回転に設定し、37℃でインキュベートした。残った細胞をトリプシン処理によって採取し、GuavaPCA機器(Guava Technologies(Hayward,CA))を使用して計数した。
【0308】
培地交換。スピナーフラスコを培養物から除去し、マイクロキャリアを重力でフラスコの底に沈殿させた。およそ半分の培地容積を吸引によって除去し、同じ容積の新鮮培地で置換した。フラスコを5% COガスで1分間フラッシングし培養物に戻した。培地交換を1日目、及び4日目に実行した。
【0309】
活性染色法。1mLの分取物をフラスコから除去し、マイクロキャリアを重力で沈殿させた。培地を吸引によって除去し、1mLの生存/死亡染色溶液(Molecular Probesカタログ番号L3224)で置換し、37℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後、20マイクロリットルの分取物をガラス製顕微鏡スライドに塗布し螢光顕微鏡によって観察した。生存細胞は、緑色に染色し、死細胞は赤色に染色する。顕微鏡視野を手動で分析し、マイクロキャリアに付着した生存細胞と死細胞の分布及び比率を評価した。少なくとも3つの顕微鏡視野を評価し、生存細胞の近似的な割合を計算した。
【0310】
細胞採取。スピナーフラスコからマイクロキャリアを採取し、PBSで3回洗浄し、2つの50mL円錐遠心管の間に均等に配分した。各遠心管を25mLのトリプシンで37℃において10分間インキュベートした。遠心管をPBSで50mLの容量にし、マイクロキャリアを重力で沈殿させた。細胞を含有する上清を吸引によって回収し、2.5mLのFBSが事前に充填してある50mL円錐遠心管に移した(結果として5% FBS溶液をもたらしトリプトシンを不活性化した)。このプロセスを4回繰り返し、各々の画分を別々に回収した。全ての採取した細胞を遠心分離し、血清を含有する増殖培地中に再懸濁させ、Guava PCA機器の使用によって細胞を計数した。
【0311】
静置T−フラスコ培養。T225フラスコから採取した細胞の分取物を使用し2つのT225フラスコに播種し、米国特許出願第10/877012号に記述の方法を使用して4日間インキュベートした。細胞を採取しフローサイトメトリーによって分析した。
【0312】
フローサイトメトリー。採取した細胞を、Becton−Dickinson FACSCalibur(商標)(BectonDickinson(San Jose,CA))を使用するフローサイトメトリーによって分析し、細胞表面マーカーのプロファイルを判定した。全ての抗体は、BD PharMingen(San Diego,CA)から購入した。
【0313】
結果
細胞採取。表11−1に、スピナーフラスコ培養においてUTC細胞株050604BをCytodex(登録商標)3マイクロキャリア上で継代数9から継代数11まで増殖させた際の継代毎の採取画分、細胞収量及び生存率を示す。
【0314】
【表31】
【0315】
細胞動態。表11−2に、スピナーフラスコ培養においてUTC細胞株050604BをCytodex(登録商標)3マイクロキャリア上で継代数9から継代数11に増殖させた際の増殖速度を示す。表は、全倍加数(total doublings)が7.48であり、倍加あたりの平均時間が69.53(±17.52)時間であったと示している。
【0316】
【表32】
【0317】
生存/死亡の染色。生存/死亡の染色を行ったマイクロキャリア分取物の解析により、マイクロキャリア表面の大部分は緑色染色(生存)細胞で被覆され、僅か中心が赤色染色核(死亡)であることが示される。細胞は、静置条件で培養された細胞の形態と類似の形態を示す。
【0318】
フローサイトメトリー解析。表11−3は、スピナーフラスコ内のマイクロキャリアビーズから採取されたヒト臍組織由来細胞(hUTC)によって発現された細胞表面マーカーに対する結果(「+陽性」又は「−陰性」)を静置Tフラスコ内の培養物から採取されたhUTCによるものと対比させて示す。表は、2つの方法によって産生された細胞によって発現されたマーカーは一致していたことを示している。
【0319】
【表33】
【0320】
結論:ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)をインペラスピナーフラスコバイオリアクター内のCytodex(登録商標)3マイクロキャリア上で培養した。細胞は、20日間にわたって7.48回の集団倍加を達成し、平均集団倍加時間は69時間であった。継代あたりの細胞生存率は94.4%〜99.7%の範囲であった。マイクロキャリア上で培養されたhUTC上の13個の細胞表面マーカーの発現の解析は、細胞培養Tフラスコにおいて培養されたhUTCによる細胞表面マーカーの発現と一致していた。本実施例により、マイクロキャリアを使用してバイオリアクターシステムにおいてhUTCを播種、増殖、及び採取することができることが示される。
【0321】
(実施例12)
スピナーフラスコ内のコラーゲンコーティングしたMGSA及びPLGAマイクロキャリア上での増殖したhUTCの増殖
スピナーフラスコ培養における生存率を維持する能力及び静置培養内へ再播種すると増殖する能力など、コラーゲンコーティングされた再吸収性合成生体材料で製造された材料に付着したhUTCの能力を調査した。増殖したhUTCを、コラーゲンをコーティングした、又はコーティングしてないポリ−(D、L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、及びポリ(モノステアロイルグリセリド・コ−コハク酸)(MGSA)のマイクロキャリア上に播種した。細胞を有するマイクロキャリアをスピナーフラスコ内で5日間培養し、トリプシン処理によって採取し、静置培養内に再播種した。
【0322】
材料及び方法
【0323】
【表34】
【0324】
マイクロキャリアの調製。マイクロキャリアの湿潤−MGSA及びPLGAマイクロキャリアをそれぞれおよそ1gを無菌的に25mLの70%エタノール内に30分間懸濁させ、マイクロキャリアを湿潤させた。吸引によってエタノールを除去し、次いでマイクロキャリアをPBSで3回濯ぎ、25mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に再懸濁させた。
【0325】
コラーゲンのコーティング。湿潤化マイクロキャリア(PBS)を遠心分離によってペレット化し、PBSを吸引によって除去し、マイクロキャリアを2.9%コラーゲン溶液(Vitrogen 1000,Cohesion,Inc.(Palo Alto,CA))において再懸濁した。マイクロキャリアをコラーゲンにおいて30分間インキュベートさせた。コラーゲン残留物を吸引によって除去し、コラーゲンをコーティングしたマイクロキャリアをPBSで3回洗浄した。
【0326】
【表35】
【0327】
接種及び培養実施例11で使用された、材料、細胞型、増殖培地、スピナーフラスコ、接種及び培養条件、培地交換、活性染色、及び細胞採取方法を本実施例で使用した。
【0328】
結果
【0329】
【表36】
【0330】
採取細胞の再播種。コーティング有り及びコーティング無しのMGSA及びPLGAマイクロキャリアから採取された細胞をおよそ5,000細胞/cmでT225中に再播種した。再播種後4日で両材料から採取した細胞は、50%コンフルエンスを超えて増殖していた。
【0331】
増殖したhUTCをコラーゲンをコーティングしたPLGAマイクロキャリア及びMGSAマイクロキャリア上に播種し、スピナーフラスコ内で5日間培養し、トリプシン処理によって採取し、静置培養内に再播種した。合成マイクロキャリアから採取された細胞は、90%超生存していた。静置培養内で4日以内増殖した再播種細胞は、それらが増殖能を保持していることを実証した。本実施例により、合成生体材料がスピナーフラスコ培養用のマイクロキャリアとして使用される性能を有することが実証される。
【0332】
(実施例13)
連続型スピナーフラスコ培養内でのマイクロキャリア上でのhUTCの増殖
本研究の目的は、スピナーフラスコ内で市販のマイクロキャリアに付着し増殖したhUTCを複数回の集団倍加にわたって連続的に増殖させることである。複数回の集団倍加にわたってマイクロキャリア上でhUTCを増殖させる能力により、細胞療法の用途に向けてhUTCを大量生産するための規模拡大であるモデルシステムが提供されることとなる。2種類のhUTC単離株である、120304−研究条件下で単離、増殖、及び凍結保存、並びにCNTO 2476−GMP条件下で単離、増殖、及び凍結保存、を評価した。市販のマイクロキャリアCytodex(登録商標)1又はHillex(登録商標)IIもまた評価された。凍結保存された細胞は、解凍して直ぐにスピナーフラスコ培養に接種するために使用された。細胞は、およそ30回の集団倍加に達するまで、複数の継代数にわたって連続的に培養された。hUTCはまた、対照としてT225フラスコ内で静置培養された。
【0333】
集団倍加数12.8で凍結保存されたhUTC単離株120304を解凍し、Cytodex(登録商標)1及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が28.6及び28.7となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致していて、安定した対数増殖を示し、かつTフラスコでの増殖速度と一致していた。集団倍加数22.6で凍結保存したhUTC単離株CNTO 2476を解凍し、Cytodex(登録商標)1及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が33.2及び31.0となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致していて、安定した対数増殖を示し、かつTフラスコでの増殖速度と一致していた。集団倍加あたりの全時間データ点の一元配置分散分析(one-way ANOA)による統計分析は、試験された全条件について、hUTCの増殖速度に有意差がないことを示している。(p=0.988)。細胞表面のタンパク質の発現は、試験された全条件について、最終の採取において一致していた。
【0334】
本実施例により、細胞の表面のタンパク質表現型を維持する、安定し、一貫したやり方で、マイクロキャリア上でおよそ集団倍加数30に増殖するhUTCの能力が実証されている。
【0335】
材料及び方法
細胞。凍結保存した増殖したhUTC単離株12034集団倍加(PD)数12、及びhUTC単離株CNTO 2476ロット番号25126078 PD数22を使用した。
【0336】
増殖培地。ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)−低グルコース(Gibco(Grand Island,NY))、15% FBS(Hyclone(Logan,UT))、ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Gibco(Grand Island,NY))、β−メルカプトエタノール(BME)(Sigma(St.Louis,MO))
【0337】
マイクロキャリア。Cytodex(登録商標)1(GE Healthcare Life Sciences(Piscataway,NJ))マイクロキャリアをPBS内で少なくとも3時間水和し、高圧滅菌した。Cytodex(登録商標)1マイクロキャリアを3g/Lの濃度で使用した。Hillex(登録商標)II(SoloHill Engineering,Inc.(Ann Arbor,MI))マイクロキャリアを脱イオン水内で少なくとも30分間水和し、高圧滅菌した。Hillex(登録商標)IIマイクロキャリアを12g/Lの濃度で使用した。
【0338】
スピナーフラスコ。100mL及び500mLの、1回使用、すなわち使い捨てのスピナーフラスコ(Corning,Inc.(Corning,NY))を使用した。
【0339】
100mLスピナーフラスコ内での接種及び培養。hUTCの凍結保存バイアルを解凍、洗浄し、増殖培地に再懸濁した。6.6×10個のhUTCを、100mLの培地を含有する100mLスピナーフラスコ内の3000mgのCytodex(登録商標)1(5.0×10細胞/cm)に添加し、37℃の組織培養インキュベーター上に設置し3〜4日間インキュベートした。スピナープレートを60−rpmの連続回転に設定した。3.1×10個のhUTCを、100mLの培地を含有する100mLスピナーフラスコ内の1.2gのHellex(登録商標)II(5.0×10細胞/cm)に添加し、60−rpm連続回転に設定されたスピナープレート上に設置した。スピナープレートを5% CO内に設置した。
【0340】
1つの100mLスピナーフラスコから1つの500mLスピナーフラスコへの培養の継代。スピナープレートから100mLスピナーフラスコを除去し、マイクロキャリアを沈殿させた。培地の上清を吸引によって除去した。細胞が付着した残りのマイクロキャリア一組を、20mLの新鮮増殖培地に再懸濁した。次いで、細胞が付着したマイクロキャリアを、480mLの新鮮増殖培地と、4.8gのHillex(登録商標)II(6gの最終マイクロキャリア含量)、又は1.2gのCytodex(登録商標)1(1.5gの最終マイクロキャリア含量)と、を含有する500mLスピナーフラスコにピペットによって無菌的に移した。次いで、スピナーフラスコを60−rpm連続回転に設定されたスピナープレート上に設置した。スピナープレートを5% CO、37℃の組織培養インキュベーター内に設置し、3〜4日間インキュベートした。
【0341】
1つの500mLスピナーフラスコから5つのスピナーフラスコへの培養の継代。500mLスピナーフラスコが、スピナープレートから除去され、マイクロキャリアが据え置かれた。培地の上清を吸引によって除去した。細胞が付着した残りのマイクロキャリア一組を、50mLの新鮮増殖培地に再懸濁した。次いで、細胞が付着したマイクロキャリアの5つの別々の10mLの分取物を、それぞれが490mLの新鮮増殖培地と、4.8gのHillex(登録商標)II(6gの最終マイクロキャリア含量)、又は1.2gのCytodex(登録商標)1(1.5gの最終マイクロキャリア含量)と、を含有する、5つの別々の500mLスピナーフラスコに、ピペットで無菌的に移した。次いで、スピナーフラスコを、60−rpmの連続回転に設定されたスピナープレート上に設置した。スピナープレートを、5% CO、37℃の組織培養インキュベーター内に設置し、3〜4日間インキュベートした。
【0342】
Cytodex(登録商標)1マイクロキャリアに付着した細胞の採取。500mLスピナーフラスコをスピナープレートから除去し、細胞が付着したマイクロキャリアを重力によって沈殿させた培地の上清を吸引によって除去した。スピナーフラスコに500mLのPBSを添加し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。PBSの上清を吸引によって除去した。スピナーフラスコに500mLのDMEM−低グルコースを添加した。次いで、スピナーフラスコをスピナープレート上で20分間60rpmでインキュベートした。500mLスピナーフラスコを、スピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。DMEM−低グルコースの上清を吸引によって除去した。500mLのPBSをスピナーフラスコに添加した。次いで、スピナーフラスコをスピナープレート上で20分間60rpmでインキュベートした。スピナーフラスコをスピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力で沈殿させた。PBSの上清を吸引によって除去した。250mLのTrypLE selectをスピナーフラスコに添加した。次いで、スピナーフラスコを、スピナープレート上で10分間60rpmでインキュベートした。スピナーフラスコをスピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力により沈殿させた。50mLの血清ピペットを使用して、マイクロキャリア−TrypLE(商標)select溶液を、約10回の上下のピペット操作によって撹拌し、残りの付着細胞をマイクロキャリアから解離させた。次いで、250mLのPBSをスピナーフラスコに添加し、マイクロキャリアを重力により沈殿させた。上清を含有する細胞は、ピペット操作を繰り返すことによって回収され、事前処置として5mLのFBS及び100μmのフィルタユニットを管の開口部内に挿入した複数の円錐遠心管へ移送する遠心管を、300rcfで5分間遠心分離し、上清を移し、細胞を増殖培地に再懸濁した。
【0343】
Hillex(登録商標)IIマイクロキャリアに付着した細胞の採取。500mLスピナーフラスコをスピナープレートから除去し、細胞が付着したマイクロキャリアを重力によって沈殿させた。培地の上清を吸引により除去した。500mLのPBSをスピナーフラスコに添加し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。100mLのTrypLE(商標)selectをスピナーフラスコに添加した。次いで、スピナーフラスコを10分間、60rpmでスピナープレート上でインキュベートした。スピナーフラスコをスピナープレートから除去し、マイクロキャリアを重力によって沈殿させた。25mLの血清ピペットを使用して、マイクロキャリア−TrypLE(商標)select溶液を、約10回の上下のピペット操作によって撹拌し、残りの付着細胞をマイクロキャリアから解離させた。細胞を含有する上清を、ピペット操作を繰り返して回収し、5mLのFBSを事前に充填し、遠心管開口部に100μmフィルタユニットを事前に挿入した複数の円錐遠心管に移した。遠心管を、300rcfで5分間遠心分離し、上清を移し、細胞を増殖培地に再懸濁した。
【0344】
活性染色法。培地の1mLの分取物及びマイクロキャリアを、15mLの円錐遠心管へ移し、マイクロキャリアを重力によって分離させた。培地を吸引によって除去し、1mLの生存/死亡の染色溶液(Molecular Probes、カタログ番号L3224)で置換し、37℃で15分インキュベートした。インキュベーション後、20μLの分取物を、ガラス製の顕微鏡スライドに塗布し、蛍光顕微鏡によって観察した。生存細胞は緑色に染色する。顕微鏡視野を、手動で分析し、マイクロキャリアに付着した生存細胞の分布を評価した。少なくとも3つの顕微鏡視野を評価し、生存細胞の近似的割合を計算した。
【0345】
培養中の細胞計数−核放出評価。同種のマイクロキャリア懸濁液の5mL(100mLスピナーフラスコ)又は10mL(500mLスピナーフラスコ)の分取物を、スピナーフラスコ容器から得て、15mL遠心管へ移した。マイクロキャリアを重力分離させ、上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、10mLのPBSで一回洗浄し、マイクロキャリアを重力分離させ、PBSの上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、核放出溶液(0.1% w/vのクリスタルバイオレット(Sigma(St.Louis,MO))を含有する0.1Mのクエン酸(Sigma(St.Louis,MO))内で、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、核放出溶液を含有するマイクロキャリアの100μLの分取物を100μLのPBSに添加した。次いで、この溶液の10μLの分取物を血球計算器内へ入れ、放出した核を計数した。
【0346】
培養中の細胞の計数−TrypLE(商標)評価。同種のマイクロキャリア懸濁液の5mL(100mLスピナーフラスコ)又は10mL(500mLスピナーフラスコ)の分取物を、スピナーフラスコ容器から得て、15mL遠心管へ移した。マイクロキャリアを重力分離させ、上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、10mLのPBSで一回洗浄し、マイクロキャリアを重力分離させ、PBSの上清を吸引によって除去した。マイクロキャリアを、TrypLE(商標)select内で、37℃で10分間インキュベートした。インキュベーション後、5mLのPBSを添加し、マイクロキャリアを重力分離した。細胞を含有する上清を、ピペット操作を繰り返すことにより回収し、1mLのFBSを予め充填した複数の円錐遠心管へ移した。遠心管を300rcfで5分間遠心分離し、上清を移し、細胞を増殖培地内に再懸濁し、分取物を用い、Guava PCA器具(Guava Technologies(Haywood,CA))を使用して細胞計数を行った。
【0347】
静置T−フラスコ培養。hUTCの凍結保存したバイアルを解凍、洗浄し、増殖培地に再懸濁した。細胞は、米国特許第2004/877012A号に記述された方法を使用して、複数継代にわたって、T225内で静置培養された。
【0348】
フローサイトメトリー。米国特許第2004/877012A号に記述された方法を使用して、Becton−Dickinson FACSCalbur(商標)機器(Becton Dickinson(San Jose,CA))を用いたフローサイトメトリーによって、採取したhUTCを分析し、細胞表面マーカーのプロファイルを判定した。全ての抗体は、BD PharMingen(SanDiego,CA)から購入した。
【0349】
結果
【0350】
【表37】
【0351】
【表38】
【0352】
【表39】
【0353】
【表40】
【0354】
【表41】
【0355】
【表42】
【0356】
集団倍加数12.8で凍結保存されたhUTC単離株120304を解凍し、Cytodex(登録商標)1マイクロキャリア及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が28.6と28.7となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致しており、安定した対数的増殖を示し、Tフラスコでの増殖速度と一致していた。集団倍加数22.6で凍結保存されたhUTC単離株CNTO 2476を解凍し、Cytodex(登録商標)1マイクロキャリア及びHillex(登録商標)IIマイクロキャリア上で増殖させ、それぞれ集団倍加数が33.2と31.0となった。集団倍加あたりの時間は、継代間で一致しており、安定した対数的増殖を示し、Tフラスコでの増殖速度とも一致していた。集団倍加あたりの全時間データ点の一元配置分散分析による統計分析は、試験された全条件について、hUTC増殖速度に有意差がないことを示している。(p=0.988)。更に、最終的な採取における細胞表面タンパク質の発現は、試験された全条件について一致していた。このデータにより、細胞の表面タンパク質表現型を維持する、安定し、一貫したやり方で、マイクロキャリア上でおよそ集団倍加数30まで増殖するhUTCの能力が実証された。
【0357】
以上、本発明を、様々な特定の材料、手順及び実施例を参照しながら、本明細書において説明及び例示したが、本発明は、その目的のために選択された特定の材料及び手順の組み合わせに限定されない点は理解されるであろう。当業者には認識されるように、かかる細部には多くの変形例を含み得ることが示唆される。本明細書及び実施例はあくまで例示的なものとしてみなされるべきものであり、本発明の真の範囲及び趣旨は以下の「特許請求の範囲」によって示されるものである。本出願において引用される参照文献、特許、及び特許出願は、いずれもそれらの全容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0358】
〔実施の態様〕
(1) アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための培養培地。
(2) 前記培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、
それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様1に記載の培養培地。
(3) アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための無血清培養液。
(4) 実施態様1に記載の培養培地を含む、付着依存性細胞を増殖させるためのキット。
(5) 無血清培養液を更に含み、該無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様4に記載のキット。
【0359】
(6) 単離された臍帯組織由来細胞を培養する方法であって、
a.アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウムを含む培養培地におけるマイクロキャリア上に播種された臍帯組織由来細胞を増殖させる工程であって、該培養培地は、該細胞が所望の初期個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって、血清が補充される、工程と、
b.該細胞が該所望の初期個体群密度に達した後、無血清培養液を添加する工程であって、該無血清培養液は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、亜セレン酸ナトリウムを含む、工程と、
c.該細胞が所望の最終個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって該細胞を増殖させる工程と、を含み、
該臍帯組織由来細胞は、実質的に血液を含んでいないヒト臍帯組織から単離され、培養中の自己再生及び自己増殖が可能であり、分化する潜在能力を有し、CD13、CD90、HLA−ABCを発現し、CD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない、方法。
(7) 前記方法は、前記マイクロキャリア上に前記細胞を播種する工程を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記方法は、工程cの後に前記細胞を単離する工程を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(9) 前記方法は、培地交換を必要としない、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記方法は、スピナーフラスコ培養システムにおいて行われる、実施態様6に記載の方法。
【0360】
(11) 培養の前及び後の前記細胞の特性は、実質的に同じである、実施態様6に記載の方法。
(12) 培養の前及び後の前記細胞の特性は、同じである、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記所望の初期個体群密度は、3〜4日後に達成される、実施態様6に記載の方法。
(14) 前記マイクロキャリアは、アミン処理された表面を有する、実施態様6に記載の方法。
(15) 前記培養培地は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、実施態様6に記載の方法。
【0361】
(16) 前記1種又は2種以上のエネルギー源は、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムである、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、
それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、HO、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(NaHPO・7HO)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記培養培地は、2〜20%のFBSが補充されている、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%のFBSが補充されている、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記培養培地は、プトレシン、安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含む、実施態様15に記載の方法。
【0362】
(21) 前記無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
微量のミネラル類である硫酸銅(II)5水和物(CuSO・5HO)、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO・7HO)と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、実施態様6に記載の方法。
(22) 前記無血清溶液は、プトレシン、安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含む、実施態様21に記載の方法。