特許第6404228号(P6404228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404228プロピレン製造を増加させるための改質されたY−ゼオライト/ZSM−5触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404228
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】プロピレン製造を増加させるための改質されたY−ゼオライト/ZSM−5触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/80 20060101AFI20181001BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20181001BHJP
   C10G 11/05 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B01J29/80 M
   C10G11/18
   C10G11/05
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-548598(P2015-548598)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-505369(P2016-505369A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013077509
(87)【国際公開番号】WO2014096267
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】61/740,948
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508375653
【氏名又は名称】アルベマール・ユーロプ・エスピーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルードヴイク,マリア・マーガレツト
(72)【発明者】
【氏名】ローテイアイネン,エルジヤ・パイビ・ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】パウエルズ,アルバート・カレル
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0145127(US,A1)
【文献】 特表2009−500153(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0134065(US,A1)
【文献】 米国特許第04289606(US,A)
【文献】 米国特許第04340465(US,A)
【文献】 国際公開第2013/005225(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0116923(US,A1)
【文献】 特表2015−512969(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/121433(WO,A1)
【文献】 特開平05−214347(JP,A)
【文献】 米国特許第05302567(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C10G1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を含むFCC触媒組成物であって、
前記微粒子が、
(i)(a)微粒子の重量を基準に5〜50wt%の範囲の量のアルカリ土類金属交換Y−ゼオライト、および(b)微粒子の重量を基準に2〜50wt%の範囲の量のZSM−5ゼオライトを含み、ここで、(a)および(b)は同じ粒子に存在するか、或いは
(ii)少なくとも2つの微粒子の混合物を含み、ここで少なくとも1つの第1の微粒子はアルカリ土類金属交換Y−ゼオライト含み、少なくとも1つの第2の微粒子はZSM−5ゼオライト含む、
FCC触媒組成物。
【請求項2】
前記アルカリ土類金属がマグネシウムを含む、請求項1に記載のFCC触媒組成物。
【請求項3】
前記FCC触媒組成物の総アルカリ土類金属含有量が0.2〜3wt%の範囲である、請求項1または2に記載のFCC触媒組成物。
【請求項4】
前記FCC触媒組成物が非交換Y−ゼオライトによるマグネシウム/水素イオン交換を含む工程によって調製される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のFCC触媒組成物。
【請求項5】
炭化水素供給原料からプロピレンを製造する方法であって、
a)(i)微粒子の重量を基準に5〜50wt%の範囲の量のアルカリ土類金属交換Y−ゼオライト(a)および微粒子の重量を基準に2〜50wt%の範囲の量のZSM−5ゼオライト(b)を含み、ここで(a)および(b)は同じ粒子に存在する微粒子、或いは(ii)少なくとも2つの微粒子の混合物であって、ここで少なくとも1つの第1の微粒子はアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトを含み、少なくとも1つの第2の微粒子はZSM−5ゼオライトを含む、混合物、を含んでなるFCC触媒組成物を提供するステップ、並びに、
b)400〜650℃の範囲の1つまたは複数の温度、0.5〜12秒の範囲のドエルタイムで、前記FCC微粒子触媒組成物を炭化水素供給原料と接触させ、その結果プロピレンが、炭化水素供給原料の重量を基準に4〜20wt%の範囲の変換効率で形成されるステップ、
を含む、方法
【請求項6】
ステップb)の接触が流動床反応器で実施される、請求項5に記載の方法
【請求項7】
前記アルカリ土類金属がマグネシウムを含む、請求項5または6に記載の方法
【請求項8】
前記ZSM−5およびアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトが分離微粒子にあり、前記ZSM−5が、ZSM−5粒子を含む粒子およびアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトを含む粒子の混合重量を基準に2〜15wt%の範囲である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法
【請求項9】
前記ZSM−5および金属交換Y−ゼオライトが同じ粒子に存在し、前記ZSM−5がZSM−5およびアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトが存在する粒子の混合重量を基準に5〜35wt%の範囲にある、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法
【請求項10】
前記ZSM−5およびアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトが分離微粒子にあり、アルカリ土類金属交換Y−ゼオライトの量がZSM−5を含む粒子およびアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトを含む粒子の混合重量を基準に15〜40wt%の範囲にある、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法
【請求項11】
前記ZSM−5およびアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトが同じ粒子に存在し、前記アルカリ土類金属交換Y−ゼオライトが、ZSM−5およびアルカリ土類金属交換Y−ゼオライトが存在する粒子の重量を基準に5〜30wt%の範囲にある、請求項5〜7および9のいずれか1項に記載の方法
【請求項12】
前記FCC触媒組成物がさらにアルミナの量が0〜35wt%の範囲であること、シリカゾルの量が0〜25wt%の範囲であること、および残りのバランスが粘土であることを含む、請求項5〜11のいずれか1項に記載の方法
【請求項13】
前記FCC触媒組成物が、1.25〜3wt%の範囲の酸化マグネシウムとして測定されるマグネシウムを含む、請求項に記載のFCC触媒組成物。
【請求項14】
前記触媒組成物が少なくとも2つの微粒子の混合物を含み、アルカリ土類金属がマグネシウム、カルシウムまたはストロンチウムである、請求項1に記載のFCC触媒組成物。
【請求項15】
前記Yゼオライトが超安定化フォージャサイトYゼオライトである、請求項1〜4、13および14のいずれか1項に記載のFCC触媒組成物。
【請求項16】
前記FCC触媒組成物が、0.25〜3wt%の範囲の酸化マグネシウムとして測定されるマグネシウムを含む、請求項2または4に記載のFCC触媒組成物。
【請求項17】
前記Yゼオライトが超安定化フォージャサイトYゼオライトである、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記アルカリ土類金属がマグネシウム、カルシウムまたはストロンチウムである、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記Yゼオライトが超安定化フォージャサイトYゼオライトであり、かつ、前記アルカリ土類金属がマグネシウム、カルシウムまたはストロンチウムである、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触媒組成物、および炭化水素、例えば粗石油の工程から得られた炭化水素などからなる供給の分解または変換のための工程でのその使用、プロピレンが多い混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
流動接触分解装置はプロピレンの製造でますます重要な役割を果たしている。ペンタシル型ゼオライト、特に、ZSM−5と関連してY−ゼオライトの使用は、ディープカット(deep cut)ガス油、真空ガス油、サーマル(thermal)油、残留油、再循環油、ホールトップクルード(whole top crude)、タールサンドオイル、シェール油、合成燃料などの石油留分供給原料、重炭化水素留分、例えば石炭、タール、ピッチ、アスファルトの分解水素添加から生成されるもの、前記のいずれかから水素化処理された供給原料などから生成することができるプロピレンの量を増加させた。かかるY−ゼオライトは一般的にランタン、セリウム、ネオジムおよびプラセオジムなどの希土類金属によって添加または交換される。さらにZSM触媒による分解によって生成されるプロピレンの量を最大化するために必要であると一般的に考えられている高い量のガソリン留分を得るために必要である変換率は高いと考えられているため、この「希土類交換」ゼオライトが好ましい。
【0003】
しかし、かかる希土類ゼオライトによって、ZSM型ゼオライトと共存して希土類交換ゼオライトの一定の組み合わせが生成することができるプロピレンの量は最大に達した。Y−ゼオライト/ZSM触媒系によって生成される量に対してプロピレンの量をさらに増加させるために他の型の触媒系を用いなければならないとこれまで考えられてきた。他の型の微量添加物が試されたが、多くはY−ゼオライトによる変換率を減少させ、全体の効率を考察するもとになった。
【発明の概要】
【0004】
しかし、Y−ゼオライトを、例えば、アルカリ土類金属および特にマグネシウムなどの非希土類(NRE)金属で交換させると、NRE交換Y−ゼオライトがZSM型ゼオライトと用いられ、同等の変換水準の希土類(RE)交換Y−ゼオライト触媒系に対してプロピレンの量を増加させることができることが見出された。NRE交換Y−ゼオライトがRE交換Y−ゼオライトより低い分解効率(低い全体変換)を示したという事実にもかかわらずこのことは正しいと考えられる。
【0005】
さらに、ZSM−5などの付加的なペンタシル型ゼオライトと単一粒子組み合わせでNRE交換Y−ゼオライトを使用すると、二粒子希土類添加触媒系に対してプロピレン変換効率を高めるのに特に効果的であることが発見された。二粒子系がREまたはNRE交換Y−ゼオライトを含むかどうかにかかわらずこのことは正しいと考えられる。
【0006】
FCC工程で用いられるY−およびZSM−5ゼオライトを含有する二元触媒系が当技術分野で知られている。Yゼオライトを含有するベースFCC触媒が希土類で改質されると、触媒系の活性は一般的に高まるが、プロピレンなどの低級オレフィンの全体収率は減少する。理論に束縛されるものでないが、減少した収率は、RE−Yが非交換Y−ゼオライト(USY)に対して水素移動能を増加させ、これがZSM−5触媒成分と接触してプロピレンに与える生成物の留分を減少させるという事実によると考えられる。これは、ZSM−5が同じ粒子またはベースFCC触媒から分離した粒子のいずれかにある一粒子お
よび二粒子系の両方で正しい。
【0007】
NRE金属、特にアルカリ土類金属、およびさらに特にマグネシウムとのY−ゼオライト置換が、非交換Y−ゼオライト含有系を含有する二元触媒系よりプロピレンの高い割合を与えることが見出された。Y−ゼオライト成分のNRE置換は一般的に非交換系に対してY−ゼオライト触媒活性の効果が低いため、この効果は驚くべきことである。
【0008】
NRE交換Y−ゼオライトおよびZSM−5成分が、微粒子触媒の各粒子が両方の触媒成分(NRE交換Y−ゼオライトおよびZSM−5ゼオライト)を含有する単一粒子系として用いられるとき、その効果は特に大きい。全体の意味合いは、希土類(RE)交換ゼオライトのかわりに非希土類(NRE)交換ゼオライトが用いられ、NRE交換ゼオライトおよびZSM−5ゼオライトが単一粒子でともに用いられるとき、RE交換系に対して一定の水準の変換に対するプロピレンの割合は増加することである。
【0009】
二粒子系では、Mg−Yに対するプロピレンが、RE交換Y系に対するさらに高い一定変換でのプロピレン収率に対して非交換Y−ゼオライト(USY)を含有する系と同等である。しかし、二粒子、NRE交換系は二粒子非交換(USY)系に対して一定変換でコークスの収率が減少することが見出された。REY系がUSY系より多くのコークスを生成する傾向があることが知られており、したがって、推論によってMgYは一定変換でのREY系よりコークス製造が少ないであろう。したがって本発明の二粒子NRE系はUSYまたはRE−Yゼオライト系より少ないコークスと同等であるプロピレン収率を付与することによって当技術分野での改善となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】非交換系および2つの異なるマグネシウム交換系の水素移動指数に対するプロピレン収率のグラフであり、ならびに72wt%の一定変換でのランタン(RE)交換系の推定グラフである。
図2】二粒子系の変換に対するプロピレン収率のグラフであり、この2つはマグネシウム交換系(Mg−Y、Mg−YおよびZOOM、触媒添加剤を含有するZSM−5)であり、前記に類似しているが、非交換の2つの系である。
図3図2に参照された系の触媒と油の比に対するコークス製造のグラフである。
図4図2に参照された系のデルタコークスに対する残油のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
Y−ゼオライトFCC触媒が希土類で改質されると、触媒系の活性は高まるが、プロピレンの全体収率は減少することが知られている。これはZSM−5が同じ粒子またはベースY−ゼオライトFCC触媒から分離した粒子のいずれかにある一粒子および二粒子系の両方で正しいことを出願人らが見出した。
【0012】
単一粒子系でアルカリ土類金属、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウムまたはストロンチウム、および最も好ましくはマグネシウムなどのRE金属によるY−ゼオライト置換は、単一粒子系含有USY(73%変換でより高いプロピレン含有量を示す実施例1を参照)より多くのプロピレンを生成することが見出された。非交換系は一定変換でRE交換系より多くのプロピレンを生成するため、NRE交換系が等しい変換でNRE交換系より多くのプロピレンを生成することも正しい。
【0013】
二成分ゼオライトの分離粒子を有する二粒子系の場合、NRE交換系のプロピレン(例えば、Mg交換Y−ゼオライトを含有する)はUSY含有系と同等である。この結果はプロピレン収率がRE−Y系より大きいことを意味する。驚くべきことに、プロピレン収率が単一粒子系の場合より少なくなる可能性があるが、一定変換でコークスの収率は同等の
USY二粒子系に対して減少した。REY系がUSY系より多くのコークスを生成する傾向があることが当技術分野で知られており、これにより推論では、MgYが一定変換でREY系よりコークスを少なくさせるであろう。
【0014】
したがって、希土類金属のかわりに特定の非希土類金属で交換されたY−ゼオライトを含む触媒の使用が、ペンタシル型触媒と組み合わせて用いられるとき、希土類金属で交換されたY−ゼオライトの使用と比較して低分子重量オレフィンの割合を増加させることができることを出願人らが発見した。特に、マグネシウムで交換されたY−ゼオライトが、ZSM−5などのペンタシル型触媒と組み合わせて分解触媒として用いられるとき、用いられて驚くほど高い割合のプロピレンを生成することができることが見出された。その効果は特に単一粒子実施形態の場合で明白である。驚くべきことに、二粒子実施形態に対して、かかるNRE交換系がRE交換系より少ないコークスを生成する。
【0015】
したがって、1つの実施形態では、a)非希土類交換(NRE)Y−ゼオライト、およびb)ZSM型ゼオライトを含む微粒子FCC触媒が提供される。非希土類交換(NRE)Y−ゼオライトとは非希土類金属(非金属元素に対立するものとして)によって交換されたゼオライトを意味する。用いることができるかかる非希土類金属の例はアルカリ土類金属である。好ましくは、NRE金属はアルカリ土類金属、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムである。さらに好ましくは、NRE金属はマグネシウムである。NRE金属の交換はイオン交換または細孔容積含浸などの当技術分野で知られた任意の好適な方法によって実施することができる。
【0016】
別の実施形態では、本発明は微粒子を含むFCC触媒組成物を含み、前記微粒子は(a)微粒子の重量を基準に約5〜約50wt%の範囲の量の非希土類金属交換Y−ゼオライト、および(b)微粒子の重量を基準に約2〜約50wt%の範囲の量のZSM−5ゼオライトを含む。
【0017】
1つの実施形態では、Y−ゼオライトおよびZSM成分が同じ粒子に共存し、前記Y−ゼオライトが微粒子の重量を基準に約5〜約30wt%の範囲の量の非希土類金属置換、および微粒子の重量を基準に約5〜約30wt%の範囲の量のZSM−5を含む。別の実施形態では、Y−ゼオライトおよびZSM成分が異なる粒子に存在し、前記Y−ゼオライトが、微粒子の重量を基準に約15〜約40wt%の範囲の量の非希土類金属置換および、微粒子の重量を基準に約25〜約50wt%の範囲の量のZSM−5を含む。
【0018】
さらに他の実施形態では、1つまたは両方の成分が、両方が混合された組成物粒子および/または単一組成物粒子として存在することができる。したがって、さらに独立の実施形態では、本発明は以下を含む。
【0019】
FCC触媒組成物は微粒子を含み、前記微粒子は(a)微粒子の重量を基準に約25〜約45wt%の範囲の量の非希土類金属交換Y−ゼオライトおよび(b)微粒子の重量を基準に約25〜約50wt%の範囲の量のZSM−5ゼオライトを含み、1)前記触媒組成物が少なくとも2つの微粒子の混合物、前記Y−ゼオライトを含む少なくとも1つの第1の微粒子、および前記ZSM−5ゼオライトを含む少なくとも1つの第2の微粒子であり、または2)前記触媒組成物が前記Y−ゼオライトおよびZSM−5が同じ粒子に存在する粒子を含む。
【0020】
さらに実施形態では、1つまたは複数のディープカット(deep cut)ガス油、真空ガス油、サーマル(thermal)油、残留油、再循環油、ホールトップクルード(whole top crude)、タールサンドオイル、シェール油、合成燃料を含む石油留分供給原料、石炭、タール、ピッチ、アスファルトの分解水素添加から生成され
るものまたは前記のいずれかから生成された水素化処理供給原料を含む重炭化水素留分からプロピレンを製造する工程が提供され、前記工程は、a)(a)微粒子の重量を基準に約5〜約25wt%の範囲の量の非希土類金属交換Y−ゼオライトおよび(b)微粒子の重量を基準に約5〜約35wt%の範囲の量のZSM−5ゼオライトを含む微粒子を含むFCC触媒組成物を提供するステップ、b)400〜650℃の範囲の温度、0.5〜12秒の範囲のドエルタイムで前記FCC触媒を前記石油留分供給原料と接触させるステップを含む。
【0021】
別の実施形態では、本発明は前記工程を含み、非希土類交換ゼオライトのかわりに非交換Y−ゼオライトを重量対重量基準で用いることを除いて上記のとおり実施される工程に関連して、前記FCC触媒組成物がプロピレンの収率を改善し、前記工程は約40〜90重量パーセント変換の範囲の供給原料変換と比較される。重量パーセント変換はコークス、ガスおよびガソリンに変換される供給の重量パーセントである。
【0022】
他の実施形態では、本発明は以下を含む。前記ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが分離微粒子にあり、前記触媒組成物のZSM−5のwt%がZSM−5を含む粒子および非希土類金属交換Y−ゼオライトを含む粒子の混合重量を基準に約2〜約15wt%の範囲にある、前記工程。前記ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが分離微粒子にあり、前記触媒組成物の非希土類金属交換Y−ゼオライトの量がZSM−5を含む粒子および非希土類金属交換Y−ゼオライトを含む粒子の混合重量を基準に約15〜約40wt%の範囲にある、前記工程。前記ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが同じ粒子に存在し、前記触媒組成物のZSM−5のwt%が、ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが存在する粒子の重量を基準に約5〜約35wt%の範囲である、前記工程。前記ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが同じ粒子に存在し、前記触媒組成物の非希土類金属交換Y−ゼオライトが、ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが存在する粒子の重量を基準に約5〜約30wt%の範囲にある、前記工程。
【0023】
FCC触媒はゼオライトおよびマトリックスを含む。一および二粒子系の両方のゼオライト割合は本明細書に与えられている。マトリックスが本発明の工程の利点に著しく寄与することは予想されていない。しかし、一および二粒子系の両方では、好ましくはマトリックスがアルミナ(0〜35wt%、さらに好ましくは、4.5〜25wt%)、シリカゾル(0〜25wt%、さらに好ましくは5〜20wt%)、残りがカオリンであるか、または一般的に15〜55wt%の範囲、およびさらに好ましくは、20〜45wt%の範囲で存在する他の型の粘土、残りが大部分または実質的にカオリン粘土であることを含む。二粒子系の場合では、前記マトリックス成分量は両方の粒子型の混合マトリックスに適用される。
【0024】
1つの触媒成分は好ましくは超安定化フォージャサイトY−または好ましくはUSY型ゼオライトである。FCC触媒は非希土類金属を含み、その細孔に存在する。一般的に、NRE金属はマグネシウムであることが好ましい。マグネシウムはマグネシウム含有塩を用いるイオン交換方法によってゼオライトに交換するか、またはマグネシウム塩の細孔容積含浸によってゼオライトに適用することができる。マグネシウム塩の量は、酸化マグネシウム(MgO)として測定され、好ましくは0.25〜3.0wt%の範囲、およびさらに好ましくは1.25〜2.75wt%の範囲である。他の実施形態では、触媒組成物は少なくとも1つの非希土類金属を含み、総非希土類金属含有量が約0.2〜約3wt%パーセントの範囲である。RE置換度が低いことは許容できるが、RE金属含有量が約0.5wt%未満であることが好ましい。さらに好ましい実施形態では、Y−ゼオライトが実質的にRE金属を含まない。「実質的にRE金属を含まない」とは、RE金属含有量がY−ゼオライトの約0.15wt%未満であることを意味する。
【0025】
ZSM−5型触媒は、Albemarle Corporationから入手可能なZOOMなどの市販されているZSM−5含有添加剤とすることができる。ZOOMはアルミナ−シリカ−ホスファートマトリックスに約40wt%のゼオライトを含有する。
【0026】
単一粒子実施形態に対して、触媒粒子の平均直径が約30ミクロン〜約200ミクロンの範囲であることが好ましい。平均直径が約60ミクロン〜約100ミクロンの範囲であることがさらに好ましい。粒子質量に対するNRE交換Y−ゼオライト質量の好ましい割合は微粒子の重量を基準にY−ゼオライト約5〜約50wt%の範囲の割合を含む。粒子質量に対するNRE交換Y−ゼオライト質量のさらに好ましい割合は微粒子の重量を基準にY−ゼオライト約5〜約15wt%の範囲の割合を含む。粒子質量に対するZSM型ゼオライト質量の好ましい割合は微粒子の重量を基準にZSMゼオライト2〜50wt%の範囲の割合を含む。粒子質量に対するZSM型ゼオライト質量のさらに好ましい割合は微粒子の重量を基準にZSMゼオライト10〜35wt%の範囲の割合を含む。さらに好ましい実施形態では、NRE交換Y−ゼオライトおよびZSMゼオライトの重量比はZSMゼオライトに対するY−ゼオライト0.16〜1.0重量の範囲である。なおさらに好ましい実施形態では、NRE交換Y−ゼオライトおよびZSMゼオライトの重量比はZSMゼオライトに対するY−ゼオライト0.16〜0.4重量の範囲である。
【0027】
単一粒子実施形態では、単一粒子を作製するのに用いられるY−ゼオライトおよびZSM−5微粒子の平均微粒子直径はそれぞれ約1.9から約3.0ミクロンおよび約1.3から約2.3ミクロンの範囲であることが好ましい。
【0028】
分離粒子実施形態に対しては、粒子径および割合パラメーターは以下のとおりである。NRE交換Y−ゼオライトおよびZSMゼオライトはZSMゼオライトに対するY−ゼオライトの重量比1.2〜20重量の範囲で用いられる。好ましい実施形態では、NRE交換Y−ゼオライトおよびZSMゼオライトの重量比はZSMゼオライトに対するY−ゼオライト1.8〜5重量の範囲である。
【0029】
ゼオライト系触媒を粒子に配合することは当技術分野で知られている。簡便な配合方法の概略は以下のとおりである。USY型ゼオライトを調製する。その後、マグネシウムなどのNRE金属はゼオライトにイオン交換され、NREY−ゼオライトを与える。MgOとして報告されるゼオライトのマグネシウム濃度は、簡便に1.0〜4wt%の範囲とすることができるが、本発明の利点はこの範囲外で得ることができる。以下の実施例は1.6wt%のMgOで実施された。その後、NREゼオライトはZSM−5ゼオライトと触媒型粒子に混合される。ZSM−5が同じ粒子にMg−USYゼオライトとしてある場合本明細書ではこれを一粒子系と呼び、ZSM−5が別の粒子に存在する場合、本明細書ではこれを二粒子系と呼ぶ。
【0030】
一粒子系の物理的特性は当技術分野で知られる他のFCC触媒と同様であり、好ましい消耗およびABD特性を有する。触媒の結合系はシリカまたはアルミナ型とすることができる。以下の表はアルミナバインダーを有する触媒に対してものであり、化学的数値すべてが与えられておらず、カオリンからのTiO2およびFe23の量はSiO2バランスともに省略された。酸化物として元素すべてが報告されているが、触媒組成物中のその状態で必ずしも見られるわけではない。
【表1】
【0031】
図1を参照すると、プロピレンの一定の収率に対して、水素移動指数は非交換系よりランタン交換系での方が高く、これは測定されたNREマグネシウム交換系より高いということに留意するべきである。実施例1は3つの異なる単一粒子系の72wt%変換での試験の結果を与える。その系の1つ(グラフに四角形の点によって表された)はY−ゼオライト(微粒子の重量を基準に5wt%)およびZSM−5ゼオライト(微粒子の重量を基準に30wt%)の両方を有する非交換系である。2つの系(それぞれ丸形およびひし形によって表された)はそれぞれ30wt%ZSM−5および5wt%マグネシウム交換Y−ゼオライトおよび25wt%ZSM−5および10wt%マグネシウム交換Y−ゼオライトを含有する。マグネシウム交換Y−ゼオライトは、Y−ゼオライトの重量を基準に1.9wt%のマグネシウムを含有した。Mg−YおよびZSM−5交換Y−ゼオライト濃度の変化にもかかわらず、NRE交換触媒は水素移動指数(1つのゼオライト濃度は著しく上がり、他のゼオライト濃度は下がったという事実にかかわらず、より高いプロピレン収率に対して大きな変化を示す図1を参照)およびプロピレン収率(実施例を参照、非交換系の13.75に対して14.33および14.41)に非常に類似した効果があったということに留意するべきである。したがって、NRE交換ZSM−5含有触媒系の場合では、一定のwt%変換でプロピレン製造が増加される効果が成分ゼオライト濃度の広い範囲にあることが予想される。
【0032】
図2を参照すると、プロピレン収率は単一粒子系の場合より小さい可能性はあるがY−ゼオライトが二粒子系に対して用いられ(すなわち、交換Y−触媒およびZSM−5触媒が分離粒子にある系)、同等のUS−Y二粒子系に関連して一定変換でコークスの収率が減少した。当技術分野で知られるとおり、REY系はUSY系より多くのコークス生成する傾向があり、したがって推論によって、MgYは一定変換でREY系よりコークスを少なくするであろう。図2は二粒子系の変換に対するプロピレン収率のグラフを示し、この2つはマグネシウム交換系(Mg−Y、Mg−YおよびZOOM、触媒添加剤を含有するZSM−5)であり、前記に類似しているが、非交換の2つの系である。Y−ゼオライト成分は25wt%(交換)および25wt%(非交換)で用いられた。ZSM−5成分は40%ZSM−5を含有する5wt%のZSM−5添加剤粒子で用いられた。一粒子系と異なり、一定のwt%変換で交換系および非交換系のプロピレン収率の差は明白ではないことに留意すべきである。しかし、非交換系に対して触媒系のコークス製造は著しく減少した。図3、デルタコークスを参照すると、コークス製造の指数は非交換系より交換系の方が著しく小さい。広い範囲の触媒対油の比で差が明らかであり、全体傾向はより高い触媒対油の比でデルタコークスが少なくなるという事実にもかかわらず比較的変化しないま
まである。図4を参照すると、最低値のパーセンテージとしてのコークス製造は非交換系よりマグネシウム交換系の方が少ない。再び、広い範囲の触媒対油の比で差が明らかであり、全体傾向はより高い触媒対油の比でデルタコークスが少なくなるという事実にもかかわらず比較的変化しないままである。
【0033】
本発明は量を増加させた低分子重量オレフィン、特にプロピレンの触媒分解工程による製造工程を提供する(すなわち、長鎖または炭素数が大きい(large−size)炭化水素化合物を短鎖または炭素数が小さい(smaller)炭化水素化合物に変換)。一定範囲の触媒装置を本発明の触媒と用いることができる。流動床、固定床、移送ラインおよび移動床が挙げられる。前記のいずれかを用いることができるが、サーモフォア触媒工程も用いることができるけれども本発明の触媒が好ましくは流動床系に流動接触分解工程で用いられる。供給原料流れが触媒流れに並流または向流である工程でこの触媒を用いることができる。本発明の触媒はコークスまたは他の工程生成物の蓄積によって一度その有用性が減少した触媒の有用性を部分的にまたは完全に回復させるための触媒再生モジュールまたは他の手段を含む系に特に有用である。
【0034】
この工程は当技術分野で知られる触媒分解に好適な条件、すなわち、約500℃〜約650℃の温度の範囲、および約1気圧〜約5気圧の圧力の範囲で実施される。技術の1つがサーマル分解が起きる温度以上で沸騰する石油留分および混合物を好ましくは真空下で蒸留して気化を促進することを認めているように、いくつかの場合では、圧力は大気圧以下とすることができる。
【0035】
分解させる炭化水素供給原料混合物としてはディープカット(deepcut)ガス油、真空ガス油、サーマル(thermal)油、残留油、再循環油、ホールトップクルード(wholetopcrude)、タールサンドオイル、シェール油、合成燃料、重炭化水素留分、例えば石炭、タール、ピッチ、アスファルトの分解水素添加から生成されるもの、前記のいずれかから生成された水素化処理供給原料などを挙げることができる。技術の1つがサーマル分解が起きる温度以上で沸騰する石油留分および混合物を好ましくは真空下で蒸留して気化を促進することを認めている。
【0036】
本発明の工程では特に流動接触分解(FCC)を適用できる。FCC工程では、その詳細が一般的に知られ、直径が約5〜約300ミクロンの範囲、さらに好ましくは約10〜約200ミクロンの範囲(平均粒子径約65〜95ミクロン)である粒子90wt%超を含む微粒子として一般的に存在する触媒を、分解反応器および再生器の間を循環させる。反応器部分では、炭化水素供給原料を気化させ、反応域を通して上方へ向け、その結果微粒子触媒は伴出され、炭化水素供給原料流れ中に流動化される。再生器から来る高温触媒を、気化され触媒によって分解されている炭化水素供給と反応させる。一般的に反応器の温度は400〜650℃とし、圧力は減圧以下、1気圧または1気圧超の圧力、通常約1気圧〜約5気圧とすることができる。触媒工程は固定床、移動床または流動床のいずれかにすることができ、炭化水素流れは触媒流れに並流または向流のいずれかにすることができる。本発明の工程はTCC(サーモフォア接触分解)にも好適である。
【0037】
分解工程は触媒上にコークス付着物を生成し、触媒を不活性にする。分解された生成物をコークスになった触媒から分離させ、この生成物を一般的にさらに気体および液状留分に分離させる。コークスになった触媒は一般的に流れで揮発性物質すべてが除去され、その後再生器に送られる。再生器はコークスを燃焼させ、いくらかの酸素を含有するガスで触媒を除去し、触媒活性の回復を助け、分解反応のために触媒を加熱する。成分はストリッピングによって触媒から除去され、触媒再生が触媒を不活性にする。したがって、この除去は触媒の継続使用に不可欠である。再生器の一般的な温度は600〜850℃である。その後、高温触媒は、必要に応じて、前もって触媒と接触した炭化水素ならびに最初に
触媒と接触している炭化水素の部分を含むことができる、近づいてくる炭化水素流れで再流動化される反応域へ送り戻される。再生ステップによる熱を含有する、継続的に入ってくる触媒が、継続的にエネルギーを吸熱分解反応に供給する。いくつかのユニットではLPG留分を増加させるためにユニットに戻る重ガソリンまたはディーゼル留分の再循環が含まれる。
【実施例】
【0038】
いくつかの実験室試験の前に精油所ユニットで触媒をシミュレーションするために触媒を不活性化しなければならず、これは一般的に蒸気で実施される。この試料は788℃で20時間100%蒸気により不活性化された。不活性化ステップは当技術分野で知られ、接触活性に必要である。市販のFCC装置では、不活性化が触媒導入直後に起こり、分離ステップとして実施する必要がない。流動床シミュレーションに対して一定変換のプロピレン収率は実質的に市販の実施で与えられるものと同じである。流動マイクロ活性試験または流動床シミュレーション試験(FST)は触媒のFCC分解活性を確かめるための当技術分野で知られ一般的に受け入れられた試験である。試験は、試験すべてに同じ供給割合を用いながら、反応器に存在する触媒の質量を変えることによって得られた、一連の4つの触媒対供給比(CTO)で実施される。試験装置は知られた量の炭化水素供給原料の知られた量の分解および組成物の特性をシミュレーションする。この小規模試験ユニットは単流ユニットであり、ASTM5154−10とほとんど同じように操作される。以下の両方の実施例の供給は表1に記載されている。反応器は高温炉であり、以下に概説されたとおり、触媒は反応器に直接添加され、続いて供給が注入される。
【表2】
【実施例1】
【0039】
一粒子系
3つの単一粒子、2つの成分触媒配合が試験された。各触媒の4つの異なる触媒量(0.5、6.0、7.5および9.0グラム)を用いることによって触媒対油比が変えられた。Y−ゼオライトはY−ゼオライトの重量を基準に約1.9wt%のマグネシウム置換のマグネシウムで交換された。平均粒子径は約75ミクロンであった。
【0040】
2つの試料では、マグネシウム交換Y−ゼオライト含有量がそれぞれ(微粒子の重量を基準に)約5および10wt%およびそれぞれ(微粒子の重量を基準に)ZSM−5ゼオライト含有量30および25wt%であった。別の試料では、試料触媒配合が(微粒子の重量を基準に)約5wt%の非交換Y−ゼオライト(US−Y)および含有量(微粒子の重量を基準に)30wt%のZSM−5ゼオライトを含有した。
【0041】
微粒子はFSTユニットに入れられた。反応温度は537℃に固定された。表Iに列挙された特性を有する炭化水素供給1.5グラムを1分に1.5グラムの割合で注入した。気体および液状生成物が収集され、その成分割合がGCによって分析された。重量パーセント変換はコークス、ガスおよびガソリンに変換される供給の重量パーセントである。各配合では、触媒対油比が変換に対して計画され、3つの配合が72重量パーセント変換の変換で比較された。結果は表2に与えられる。
試験結果
一粒子系
【表3】
【実施例2】
【0042】
二粒子系
触媒対油比は4つの異なる触媒量を用いる4つの試験を実施することによって変えられた。約4.5、6.0、7.5および9.0グラムの2つの粒子、2つの成分触媒が4つの試験で用いられた。
【0043】
2つの試験では、触媒はそれぞれ(総微粒子の重量を基準に)95wt%および100wt%のマグネシウム交換Y−ゼオライトを含有する微粒子から構成された。Y−ゼオライトはY−ゼオライトの重量を基準に1.9wt%のマグネシウム、および25wt%のMg交換Y−ゼオライトが含有されたY−ゼオライト含有微粒子で交換された。試験の1つでは、二粒子ブレンドの残り(総微粒子の総重量を基準に5wt%)は40wt%ZSM−5であったZSM−5含有微粒子(ZOOM)から構成された。
【0044】
残りの2つの試験では、触媒配合は、Y−ゼオライトが変換されていないことを除いて最初の2つの試験と同様であった。
【0045】
Y−ゼオライト含有微粒子(交換または非交換)の平均粒子径は約75ミクロンであり、ZSM−5含有微粒子の平均粒子径は約85ミクロンであった。全体平均粒子径はおよ
そ約75ミクロンであった。反応温度は537℃に固定された。表Iに列挙された特性を有する炭化水素供給1.5グラムを1分に1.5グラムの割合で注入した。気体および液状生成物が収集され、その成分割合がGCによって分析された。重量パーセント変換はコークス、ガスおよびガソリンに変換される供給の重量パーセントである。
100×[(供給重量)−(生成された軽サイクル油の重量)−(残油重量/触媒にコークスを含む形成された残留物]/[供給重量]
【0046】
各配合では、触媒対油比が変換に対して計画され、4つの配合が65重量パーセント変換の変換で比較された。結果は表3に与えられる。
【0047】
触媒上のコークスの重量は反応後に反応器から触媒を除去し、LECO(商標)炭素分析器によって分析することによって測定される。
【0048】
供給はCROWN VGO供給であり、表1はこの供給の特性を示す。結果は表2に与えられる。
二粒子系
【表4】
【0049】
本明細書で用いられる場合、本発明の組成物の材料の量を加減する、または本発明の方法で用いられる用語「約」は、例えば、一般的な測定手順および濃縮液を作製するために用いられた、または現実世界で溶液を用いる液体処理手順、この手順の不注意な誤り、組成物を作製する、または方法を実施するために用いられた製造、ソースまたは材料の純度の差などを通じて、起きる可能性がある数的な量の変化を表す。用語、約はまた、特定の
当初の混合物から得られる組成物のための異なる平衡条件により異なる量を包含する。用語「約」によって変更されたか、変更されていないにかかわらず、請求項はその量と同量のものを含む。
【0050】
明確に別段の記載がある場合を除いて、冠詞「a」または「an」は、本明細書で用いられる場合、説明または請求項を冠詞が表す単一要素に限定する意図はなく、限定すると解釈しないものとする。それどころか、冠詞「a」または「an」は、本明細書で用いられる場合、明確に別段の記載がない限り、1つまたは複数のかかる要素を含むことを意図する。
【0051】
本発明はその実施でかなりの変化を受けやすい。したがって、前記説明は本発明を前記本明細書に示された特定の実例に限定する意図はなく、限定すると解釈しないものとする。以下の請求項は参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明はさらに以下の項目に関する。
1.
(a)微粒子の重量を基準に約5〜約50wt%の範囲の量の非希土類金属交換Y−ゼオライト、および(b)微粒子の重量を基準に約2〜約50wt%の範囲の量のZSM−5ゼオライトを含む微粒子を含む、FCC触媒組成物。
2.
前記触媒組成物が少なくとも2つの微粒子、前記Y−ゼオライトを含む少なくとも1つの第1の微粒子、および前記ZSM−5ゼオライトを含む少なくとも1つの第2の微粒子の混合物である、項目1に記載のFCC触媒組成物。
3.
前記触媒組成物が前記Y−ゼオライトおよびZSM−5が同じ粒子に存在する粒子を含む、項目1に記載のFCC触媒組成物。
4.
前記非希土類金属がマグネシウムを含む、項目1、2または3に記載のFCC触媒組成物。
5.
前記FCC触媒組成物が非交換Y−ゼオライトによるマグネシウム/水素イオン交換を含む工程によって調製される、項目1に記載のFCC触媒組成物。
6.
前記FCC触媒組成物が少なくとも1つの非希土類金属を含み、総非希土類金属含有量が約0.2〜約3wt%パーセントの範囲である、項目1に記載のFCC触媒組成物。
7.
前記FCC触媒組成物が非交換Y−ゼオライトによるマグネシウム/水素イオン交換を含む工程によって調製される、項目1に記載のFCC触媒組成物。
8.
前記FCC触媒組成物が少なくとも1つの非希土類金属を含み、総非希土類金属含有量が約0.2〜約3wt%パーセントの範囲である、項目1に記載のFCC触媒組成物。
9.
a)(a)微粒子の重量を基準に約5〜約50wt%の範囲の量の非希土類金属交換Y−ゼオライトおよび(b)微粒子の重量を基準に約2〜約50wt%、の範囲の量のZSM−5ゼオライトを含む微粒子を含むFCC触媒組成物を提供するステップ、b)約400〜約650℃の範囲の1つまたは複数の温度、約0.5〜約12秒の範囲のドエルタイムで、前記FCC微粒子触媒組成物を炭化水素供給原料と接触させ、その結果プロピレンが、炭化水素供給原料の重量を基準に約4〜約20wt%の範囲の変換効率で形成されるステップを含む、炭化水素供給原料からプロピレンを製造する工程。
10.
ステップb)の接触が流動床反応器で実施される、項目9に記載の工程。
11.
前記非希土類金属がマグネシウムを含む、項目9に記載の工程。
12.
同じ工程であるが、前記非希土類金属交換Y−ゼオライトのかわりに非交換Y−ゼオライトを用いるために改質され、得られたプロピレンの収率と比較され、重量対重量基準で、その比較が約40〜約90重量パーセント変換の範囲の供給原料変換でなされ、得られたプロピレンの収率がより大きい、項目5または9に記載の工程。
13.
前記ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが分離微粒子にあり、前記触媒組成物のZSM−5のwt%が、ZSM−5粒子を含む粒子および非希土類金属交換Y−ゼオライトを含む粒子の混合重量を基準に約2〜約15wt%の範囲である、項目9に記載の工程。
14.
前記ZSM−5および金属交換Y−ゼオライトが同じ粒子に存在し、前記触媒組成物のZSM−5のwt%がZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが存在する粒子の重量を基準に約5〜約35wt%の範囲にある、項目9に記載の工程。
15.
前記ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが分離微粒子にあり、前記触媒組成物の非希土類金属交換Y−ゼオライトの量がZSM−5を含む粒子および非希土類金属交換Y−ゼオライトを含む粒子の混合重量を基準に約15〜約40wt%の範囲にある、項目9に記載の工程。
16.
前記ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが同じ粒子に存在し、前記触媒組成物の前記非希土類金属交換Y−ゼオライトが、ZSM−5および非希土類金属交換Y−ゼオライトが存在する粒子の重量を基準に約5〜約30wt%の範囲にある、項目9に記載の工程。
17.
前記FCC触媒組成物がさらにアルミナの量が0〜約35wt%の範囲であること、シリカゾルの量が0〜約25wt%の範囲であること、および残りのバランスが粘土であることを含む、項目14および15のいずれかに記載の工程。
図1
図2
図3
図4