特許第6404231号(P6404231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404231標準構造部材を使用する方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404231
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】標準構造部材を使用する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20181001BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   G06F17/50 680B
   G06F17/50 608B
   G06F17/50 608A
   G06F17/50 608C
   G06F17/50 604G
   E04B1/00ESW
【請求項の数】20
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-549648(P2015-549648)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公表番号】特表2016-509707(P2016-509707A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】US2013076243
(87)【国際公開番号】WO2014100243
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】13/719,561
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512158206
【氏名又は名称】パトコ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】PATCO, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンカー,ジョン ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ラストウスキ,マイケル ジェー.
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−192538(JP,A)
【文献】 特開2001−164645(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/075394(WO,A1)
【文献】 特開2005−327162(JP,A)
【文献】 特開平08−022479(JP,A)
【文献】 特開2004−110264(JP,A)
【文献】 特開平08−161382(JP,A)
【文献】 特開2002−259489(JP,A)
【文献】 特開2002−038582(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0191069(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0073410(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0174027(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0126023(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の建築レイアウトを示す建築図を作成する工程であって、前記建物の1つ以上の壁が標準構造壁として指定される工程と、
前記標準構造壁の夫々を幾何学的グリッドのグリッド線及びグリッド線交差部に沿って位置合わせすることによって、前記幾何学的グリッドに対して前記標準構造壁の夫々を、コンピュータを使用して、自動的に位置決めする工程と、
複数の標準構造部材の1つ以上を前記幾何学的グリッドの座標に対してマッピングする工程であって、前記複数の標準構造部材は、標準パネルと、標準柱と、標準トラスとを含む工程と、を含み、
前記複数の標準構造部材の1つ以上をマッピングする工程は、
前記1つ以上の標準構造壁の夫々についての複数のマッピング結果を取得する工程と、
前記1つ以上の標準構造壁の夫々についての前記複数のマッピング結果の1つを、所定の基準に基づいて選択する工程と、をさらに含み、
前記複数のマッピング結果を取得する工程は、
構造性能基準に基づいて前記グリッド線を分析する工程と、
標準トラスの位置及び向きを決定する工程と、
前記1つ以上の標準構造壁における開口部の位置に基づいて、前記標準パネルのレイアウトを決定する工程と、をさらに含み、
前記複数のマッピング結果の夫々は、前記1つ以上の標準構造壁の夫々に使用される前記標準構造部材を特定すると共に、前記1つ以上の標準構造壁の夫々に使用される前記標準構造部材の構造性能特性を特定し、
前記所定の基準は、前記複数の標準構造壁の夫々を支える構造柱の数の最小化であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数の壁の夫々についての複数のマッピング結果を取得する前記工程は、2フィート単位で前記複数の標準構造壁の夫々を分析する工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の標準構造壁の夫々に対する前記複数の標準構造部材の夫々についての一意的識別子を含む標準構造部材リストを作成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
複数のクイックレスポンス(QR)コードを作成する工程と、
前記複数のQRコードの1つ以上を、前記複数の標準構造部材の1つ以上に対して一意的に関連付けする工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
複数の統一資源位置指定子(URL)を作成し、前記複数のURLの1つに対して前記複数のQRコードの夫々を関連付けする工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
位置コードに対して前記複数のQRコードの夫々を関連付けする工程をさらに含み、
前記位置コードは、前記建物内における前記標準構造部材の1つの位置を特定することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の標準構造部材の1つ以上に対して、前記QRコードを含む識別タグを取り付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記標準構造部材の1つ以上に関連する前記QRコードに対して、前記標準構造部材の1つ以上のステータスを関連付けする工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
複数の構造パネル名を作成し、前記複数の標準構造部材の1つ以上に対して前記複数の構造パネル名の夫々を関連付けする工程をさらに含み、
前記複数の構造パネル名の夫々は、前記建物における対応する標準構造パネルの位置、前記対応する標準構造パネルの寸法、前記対応する標準構造パネルの向き、前記対応する標準構造パネルに対する接続オプション、ならびに、前記対応する標準構造パネルの図面ファイルのファイル名の少なくとも1つを特定することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
(1)前記建物内における前記複数の標準構造部材の1つ以上を特定する、前記建物の三次元モデルと、(2)前記建物の製作図及び仕様と、を自動的に作成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記建物の前記三次元モデルを使用して部品表を自動的に作成する工程をさらに含み、
前記部品表は、スタッド要素、トラック要素、接続板、柱要素、及びコネクタの少なくとも1つの数量を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
トラック要素仕様及びスタッド要素仕様を含むマクロ・ファイルを自動的に作成する工程と、
軽量ロール成形機に対して前記マクロ・ファイルを転送する工程と、
前記トラック要素及び前記スタッド要素の少なくとも1つの、パンチ穴、窪み、及び長さの少なくとも1つを制御するために、前記マクロ・ファイルを使用して前記軽量ロール成形機と通信する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記マクロ・ファイルは、組立シーケンス命令をさらに含み、
前記組立シーケンス命令が記載されたラベルを前記トラック要素又は前記スタッド要素に貼り付けるために、前記軽量ロール成形機の印刷機を制御する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピューティングシステム上においてコンピュータプロセスを実行するコンピュータ実行可能命令を記憶する1つ以上の有形コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプロセスは、
建物の建築レイアウトを示す建築図を作成する工程であって、前記建物の1つ以上の壁が標準構造壁として指定される工程と、
前記標準構造壁の夫々を幾何学的グリッドのグリッド線及び前記幾何学的グリッドのグリッド線交差部に沿って位置合わせすることによって、前記幾何学的グリッドに対して前記標準構造壁の夫々を、コンピュータを使用して、自動的に位置決めする工程と、
前記1つ以上の標準構造壁の夫々についての複数のマッピング結果を取得する工程と、
前記1つ以上の標準構造壁の夫々についての前記複数のマッピング結果の1つを、所定の基準に基づいて選択する工程と、
前記選択されたマッピング結果に基づいて、複数の標準構造部材の1つ以上を前記幾何学的グリッドの座標に対してマッピングする工程と、を含み、
前記複数の標準構造部材は、標準パネルと、標準柱と、標準トラスとを含み、
前記所定の基準は、前記複数の標準構造壁の夫々を支える構造柱の数の最小化であり、
前記複数の壁の夫々についての複数のマッピング結果を取得する前記工程は、2フィート単位で前記複数の標準構造壁の夫々を分析する工程をさらに含むことを特徴とする1つ以上の有形コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
複数のマッピング結果を取得する前記コンピュータプロセスは、
構造性能基準に基づいて前記グリッド線を分析する工程と、
標準トラスの位置及び向きを決定する工程と、
前記1つ以上の標準構造壁における開口部の位置に基づいて、前記標準パネルのレイアウトを決定する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の1つ以上の有形コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記複数のマッピング結果の夫々は、前記1つ以上の標準構造壁の夫々に使用される前記標準構造部材を特定すると共に、前記1つ以上の標準構造壁の夫々に使用される前記標準構造部材の構造性能特性を特定することを特徴とする請求項14に記載の1つ以上の有形コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記コンピュータプロセスは、
前記複数の標準構造壁の夫々に対する前記複数の標準構造部材の夫々についての一意的識別子を含む標準構造部材リストを作成する工程と、
複数のクイックレスポンス(QR)コードを作成する工程と、
前記複数のQRコードの1つ以上を、前記複数の標準構造部材の1つ以上に対して一意的に関連付けする工程と、
複数の統一資源位置指定子(URL)を作成し、前記複数のURLの1つに対して前記複数のQRコードの夫々を関連付けする工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の1つ以上の有形コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
建物の建築レイアウトを示す建築図を作成し、前記建物の1つ以上の壁を標準構造壁として指定可能とする設計モジュールと、
グリッド線とグリッド交差部とを有する幾何学的グリッドを作成し、前記標準構造壁の夫々を前記グリッド線及び前記グリッド線交差部に沿って位置合わせすることによって、前記幾何学的グリッドに対して前記標準構造壁の1つ以上を、コンピュータを使用して位置決め可能にする幾何学的グリッド・モジュールと、
コンピュータメモリに記憶される1つ以上のコンピュータ命令を含み、複数の標準構造部材の1つ以上を前記グリッド線及び前記グリッド線交差部に対してマッピングするマッピング結果モジュールと、を備え、
前記複数の標準構造部材は、標準パネルと、標準柱と、標準トラスとを含み、
出力モジュールをさらに備え、
前記出力モジュールは、
前記複数の標準構造壁の夫々に対する前記複数の標準構造部材の夫々についての一意的識別子を含む標準構造部材リストを作成し、
複数のクイックレスポンス(QR)コードを作成し、前記複数のQRコードの1つ以上を、前記複数の標準構造部材の1つ以上に対して一意的に関連付けし、
複数の統一資源位置指定子(URL)を作成し、前記複数のURLの1つに対して前記複数のQRコードの夫々を関連付けし、位置コードに対して前記複数のQRコードの夫々を関連付けし、前記位置コードは、前記建物内における前記標準構造部材の1つの位置を特定し、
複数の構造パネル名を作成し、前記複数の標準構造部材の1つ以上に対して前記複数の構造パネル名の夫々を関連付けし、前記複数の構造パネル名の夫々は、前記建物における対応する標準構造パネルの位置、前記対応する標準構造パネルの寸法、前記対応する標準構造パネルの向き、前記対応する標準構造パネルに対する接続オプション、ならびに、前記対応する標準構造パネルの図面ファイルのファイル名の少なくとも1つを特定し、
前記建物内における前記複数の標準構造部材の1つ以上を特定する、前記建物の三次元モデルと、前記建物の製作図及び仕様とを作成し、
軽量ロール成形機を制御するために、トラック要素仕様及びスタッド要素仕様を含むマクロ・ファイルを作成することを特徴とするシステム。
【請求項19】
QRコードスキャン装置をさらに備え、
前記QRコードスキャン装置は、
前記複数の標準構造部材の1つに関連するQRコードをスキャンし、
前記複数の標準構造部材の1つに関連する入力をユーザから受信し、
前記スキャンされたQRコードに関連するURLに関連する情報を更新することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記URLに関連する前記情報は、前記複数の標準構造部材の1つの設置ステータスであることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、「標準構造部材を使用する方法及びシステム(METHOD AND SYSTEM OF USING STANDARDIZED STRUCTURAL COMPONENTS)」という名称の、2012年12月19日に出願された米国非仮出願第13/719,561号の優先権の利益を主張し、当該米国非仮出願は、「建築構造用のパネル化された構造システム(PANELIZED STRUCTURAL SYSTEM FOR BUIDLING CONSTRUCTION)」という名称の、2010年12月9日に出願された米国非仮出願第12/964,380号の一部継続出願であり、その利益を主張し、さらに当該米国非仮出願は、2009年12月18日に出願された米国仮出願第61/288,011号の利益を主張するものである。これらの両方は、その全記載が参照として本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、パネル化されたモジュール式の構造システムを使用する、建物の建設及び組み立ての方法ならびにシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
建物の構造体は、倒壊の危険性、あるいは、有用性又は機能の損失なく、物理的力又は変位に耐えなければならない。建物にかかる応力は、建物の構造体によって持ちこたえられる。
【0004】
5階又はそれ以下の高さの建物には、通常、「耐力壁」構造システムが使用され、垂直方向の死荷重力及び活荷重力を管理する。構造体の屋根、床、壁にかかる垂直力は、壁にかかる荷重を均一に広げ、フレーム又はフレーム構造体のサイズ及び密度を上階から下階に向かって各階で徐々に増加させることによって、壁を伝い屋根から基礎に垂直方向に伝わる。天井及び床スパンについては、天井及び床にかかる荷重を支え、これらの荷重を壁及び柱に伝達させるために、トラスが使用される。
【0005】
例えば窓及びドア開口部等において垂直耐力要素が存在しない場合に、荷重を柱又は壁に伝達するために、梁が使用される。5階を超える高さの建物においては、垂直荷重を支える壁の能力が限られており、大型の梁及び柱の形状のコンクリート及び/又は構造用鋼フレームが、構造体を支えるために使用される。
【0006】
建物に作用する横力(例えば、風力及び地震力)は、ブレースによって管理及び伝達される。建物(通常、5階建て又はそれ以下)におけるブレース付きの壁線の一般的な組立方法は、構造下張りを使用して、壁線においてブレース付きパネルを作成する方法である。より従来の方法として、壁線に亘って入れ込み式(let−in)傾斜ブレースを使用する方法があるが、この方法は、ドア、窓等の多数の開口部を有する建物に対しては実行可能でない。5階を超える高さの建物における横力は、重鋼製の入れ込み式ブレース、あるいは、重鋼及び/又はコンクリートパネルによって管理及び伝達され、コンクリート又は石造りの階段タワー及びエレベータ昇降路等の構造コア要素によっても管理及び伝達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンクリート及び/又は構造用鋼フレーム、重鋼製の入れ込み式ブレース、ならびに、重鋼及び/又はコンクリートパネルに頼ることなく、建物を建築及び組み立てる、パネル化されたモジュール式のシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書において開示する方法及びシステムによれば、建物の建築レイアウトを示す建築図を作成する工程において、建物の1つ以上の壁が標準構造壁として指定される工程と、標準構造壁の夫々を幾何学的グリッドに対して自動的に位置決めする工程と、複数の標準構造部材の1つ以上を、コンピュータを使用して、幾何学的グリッドの座標に対してマッピングする(又は「設置する」)工程において、複数の標準構造部材は、標準パネルと、標準柱と、標準トラスとを含む工程と、を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態においては、製品はコンピュータプログラム製品として提供される。コンピュータプログラム製品の一実施形態によれば、コンピュータシステムによって読み取り可能であり、コンピュータプログラムを符号化するコンピュータプログラム記憶媒体を提供する。コンピュータプログラム製品の別の実施形態は、コンピュータシステムによって搬送波上に具現化され、コンピュータプログラムを符号化するコンピュータデータ信号の形で提供可能である。
【0010】
その他の実施形態についても、本明細書において説明及び列挙される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】水平トラスパネルにおいてフレーム部材として使用されるスタッドを示す。
図2】水平トラスパネルにおいてフレーム部材として使用されるトラックを示す。
図3】V型ブレース付き水平トラスパネルを示す。
図3.1】V型ブレース付き水平トラスパネルを示す。
図4】各種開口型水平トラスパネルを示す。
図4.1】各種開口型水平トラスパネルを示す。
図4.2】各種開口型水平トラスパネルを示す。
図5】水平トラスパネルへの取り付けのためのトラスを示す。
図6】水平トラスパネルを互いに取り付ける構造柱組立体を示す。
図7図3図3.1、図4図4.1、及び図4.2に示すような水平トラスパネルを、図6の構造柱組立体に対して取り付ける方法を示す。
図8図3図3.1、図4図4.1、及び図4.2に示すような水平トラスパネルを、図6の構造柱組立体に対して取り付ける方法を示す。
図9】一体型トラス建築システム(UTCS)壁線における、開口型及びV型ブレース付き水平トラスパネルを有する一体型水平トラスパネル壁線を示す。
図10図5のトラスを示す。
図11図6のトラス/スタッドハンガを示す。
図12図6の構造柱組立体の一部を示す。
図13】水平トラスパネルに接続されるトラスを示す。
図14】水平トラスパネルに接続され、壁線を形成するUTCSオープンスパン組立体を形成するトラスを示す。
図15】複数階のUTCS構造体の組立体として形成されるUTCS建物部分を示す。
図16】建物における図6の構造柱組立体の配列を示す。
図17】本建物のある区画の階間連結部の立体図及び平面図を示す。
図18図6の構造柱組立体への力の伝達を示す。
図19】標準構造部材を使用するシステムの例示的ブロック図を示す。
図20】標準構造部材を使用するシステムの代替的な例示的ブロック図を示す。
図21】標準構造部材を使用する方法の例示的フロー図を示す。
図22】本明細書において開示するシステムによって作成される構造パネル名の例を示す。
図23】特殊コードを使用し、建物建設工程を追跡する方法の例示的フロー図を示す。
図24】機械制御ファイルを使用し、標準構造部材の製造を制御する方法の例示的フロー図を示す。
図25】本明細書において開示する方法及びシステムによって使用される例示的な幾何学的グリッドを示す。
図26】グリッド線に沿った各種標準構造部材と共に、幾何学的グリッドの例示的平面図を示す。
図27】各種標準構造部材を使用する建造物の例示的立面図を示す。
図28】各種標準構造部材を使用して形成される構造体の立体図を示す。
図29】本明細書において開示する方法及びシステムの1つ以上の構成要素を実行するために使用可能な例示的コンピューティングシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において開示する一体型トラス建築システム(UTCS)は、標準構造パネルを基本とする、単層及び多層建築用の独自の革新的な新構造システムである。当該システムにおいて採用されるのは、限られた数の構成の独自技術による、軽量金属フレーム型垂直壁パネル(水平トラスパネル)、床及び天井用軽量金属トラス、冷延角形(正方形又は矩形)鋼管(構造柱)、ならびに、独自の接続板及びクリップである。
【0013】
多くの異なる組立体(壁、柱、梁、ブレース、ストラップ、及びこれらを共に固定する締結部材)が垂直方向の活荷重力及び死荷重力、ならびに、横力を管理するために採用される建造物の設計及び構築のための従来の手法と違って、UTCSは、これらの力を、限られた数の独自に設計された標準水平トラスパネルを介して管理しており、当該標準水平トラスパネルは、構造柱及びトラスを使用して組み立てられる。各要素のこのような独自の組立体によって、垂直力及び横力を効果的に支え、壁、床、天井、及び屋根からUTCSの冗長性のある密集した柱システムに対して当該力を効果的に伝達する。従って、柱がこれらの垂直力及び横力を吸収し、これにより、UTCSが垂直耐力壁構造システムではなくなり、建物の構造システムの一部としての、「熱間成形」された構造用鋼(加重鋼又は「赤鉄(red iron)」)及びコンクリートが不要となる。
【0014】
UTCSフレーム部材は、コンピュータ化された専用のロール成形機によって作製される。これらの機械によって、フレームスタッド又は部材が、一般的に「帯鋼」と称される冷延鋼から製造される。各スタッドは、一定のサイズに切断され、組立体のねじ頭部分に座ぐり部を有する、ねじの締め付け用の穴がドリルで予め開けられ、機械・電気・配管(「MEP」)組立体のたて溝、ならびに、下地工事用の穴がパンチで予め開けられ、垂直ブレース及び水平ブレースの挿入用の穴がパンチで予め開けられ、組立体に対してラベルが付けられる。上記の機械は、CADファイルからスタッドの仕様を読み取る。
【0015】
UTCSにおいて使用される水平トラスパネル及びトラスは、建物高さ及び法律上の要件に応じて、18〜14ゲージ鋼等の軽量鋼からロール成形されるフレーム部材で構成される。水平トラスパネルにおいて使用されるフレーム部材には2つの形状があり、当該フレーム部材は、図1に示すスタッド10及び図2に示すトラック12である。スタッド10及びトラック12は、夫々、18〜14ゲージ鋼等の軽量鋼から圧延される。
【0016】
スタッド10及びトラック12の夫々は、図1に示すように形成されるウェブ14と、フランジ16と、リップ18と、を備える。フランジ16は、ウェブ14の対向する側部から略直角に同一方向に延び、リップ18は、ウェブ14と平行になるように、フランジ16の端部から内側に延びる。スタッド10及びトラック12は、主に、トラック12のフランジ16がスタッド10のフランジ16よりも僅かに高く、トラック12のウェブ14がスタッド10のウェブ14よりも僅かに広いという点で互いに異なる。これらの相対的な寸法によって、構造性能に影響する、スタッド12のフランジ16の圧縮の必要なく、トラック12に対してスタッド10が摺動可能となる。
【0017】
UTCSにおいては、限られた数、例えば2つの水平トラスパネル構成が採用される。これらの水平トラスパネルは、UTCSの構造壁要素である。このような構成が2つのみ使用されている場合には、当該構成は、(a)図3又は図3.1において示す、「V字」状ブレース(「V型ブレース」)を含むV型ブレース付き水平トラスパネル20/22、ならびに、(b)図4において示す、V型ブレースを含まない開口型水平トラスパネル24である。
【0018】
開口型水平トラスパネル24は、一般的に、UTCS構造における大型の開口部(例えば、窓、ドア、壁面開口部等)を有する建物の任意の部分で使用される。開口型水平トラスパネル24は、建物内の各パネルのいずれか又はその近傍に取り付けられる床及び天井組立体からの垂直方向の活荷重力(例えば、部屋)及び死荷重力(例えば、乾式壁、MEP組立体、絶縁体等)(「局所力」)を支え、当該力を伝達するように構築される。V型ブレース付き水平トラスパネル20/22は、構造体に作用する垂直局所力及び横力(例えば、風及び地震等)を支えるように構築される。
【0019】
図3に示すように、V型ブレース付き水平トラスパネル20は、頂部トラック26と、底部トラック28と、を備える。頂部トラック26の内側は、連続的な水平ブレースであり、当該水平ブレースは、背中合わせ(ウェブ合わせ)のトラック30,32から成り(二重水平ブレースと称する)、これらのトラック30,32は、V型ブレース付き水平トラスパネル20の側部において、ボルトやねじ等の締結部材34によって側部スタッド36,38に固定される。また、頂部トラック26及び底部トラック28は、締結部材34によって側部スタッド36,38に固定される。トラック30,32及び頂部トラック26によって形成される連続的な水平ブレースの間の部分は、スタッドから成る鉛直角ウェブ40を含む。図3に示すこのようなブレース部分は、V型ブレース付き水平トラスパネル20内における、下記のトラス106の取り付けのためのトラス取付部分42として機能し、V型ブレース付き水平トラスパネル20に働く力を支え、以下で述べるような、V型ブレース付き水平トラスパネル20の側部スタッド36,38の夫々に取り付けられる構造柱に当該力を伝達する。
【0020】
また、V型ブレース付き水平トラスパネル20は、2つの内側スタッド44,46と、頂部及び底部トラック26,28、ならびに、トラック30,32に対して締結部材34によって固定される中央スタッド48と、を有する。側部スタッド36,38は、スタッド36,38のフランジ16がトラック26,28,34,36の端部におけるフランジ16と当接するように、トラック30,32のウェブ14及びリップ18の端部における端部切込み50を貫通する。これらの端部切込み50を図2において示す。締結部材34は、これらの当接部に位置する。同様に、内側スタッド44,46及び中央スタッド48は、スタッド36,38及び中央スタッド100のフランジ16の外側がトラック26,28,34,36のフランジ16の内側に当接するように、トラック30,32のウェブ14及びリップ18の内側切込み52を貫通する。これらの内側切込み52もまた図2において示す。締結部材34は、これらの当接部に位置する。5つの垂直スタッド36,38,44,46,48は、例えば、それらの間に24インチの間隔をあけていてもよい。内側スタッド44,46及び中央スタッド48がトラック30,32を貫通する箇所は、ヒンジ接続部(即ち、1つの締結部材で回転可能)である。また、V型ブレース付き水平トラスパネル20のスタッドは、乾式壁、導管、配線、配管組立体等を支えるように機能する。
【0021】
さらに、V型ブレース付き水平トラスパネル20は、連続的なV字状ブレースを含む。このV型ブレースは、その設計及び構築が独特である。V型ブレースの2つの脚部は、図1に示すスタッド10のようなV型ブレーススタッド54,56である。V型ブレーススタッド54は、締結部材34によって、トラック30,32の直下においては側部スタッド36に固定され、底部トラック28にも固定される。また、V型ブレーススタッド54は、内側スタッド44のウェブ14における内側切込み58を貫通する。この内側切込み58を図1において示す。V型ブレーススタッド54のウェブ14は、スタッド36,44及びトラック28の夫々の1つのフランジ16に当接する。これらの当接部において図示のように締結部材34を受ける。
【0022】
同様に、V型ブレーススタッド56は、締結部材34によって、トラック30,32の直下においては側部スタッド38に固定され、底部トラック28にも固定される。また、V型ブレーススタッド56は、内側スタッド46における内側切込み58を貫通する。V型ブレーススタッド56のウェブ14は、スタッド38,46及びトラック28の夫々の1つのフランジ16に当接する。これらの当接部において図示のように締結部材34を受ける。
【0023】
V型ブレーススタッド54,56のスタッド36,38及びトラック28に対する取り付けには、V型ブレーススタッド54,56の端部に図3に示すように角度をつける必要がある。このように角度のついた端部によって、V型ブレーススタッド54,56をそれに対応する側部スタッド36,38に固定するために多数の締結部材34が使用可能となる。
【0024】
V型ブレーススタッド54,56は、それらのウェブがV型ブレース付き水平トラスパネル20のスタッド36,44,48,38のウェブと垂直となるように位置決めされている。また、V型ブレーススタッド54,56は、内側スタッド44,46を通って、トラック32,34の直下から底部トラック28の略中間にある「V字」の頂点まで連続的に延びる。V型ブレースの頂点における接続は、頂点整合板60及び付加的な締結部材34によって容易に行うことができ、頂点整合板60及び付加的な締結部材34は、V型ブレーススタッド54,56及び中央スタッド48を互いに接続する。板60、底部トラック28、スタッド48、及びV型ブレーススタッド54,56は、図3に示すように下側の3つの締結部材によって互いに接続されている。また、内側スタッド46は、当該スタッド46がトラック30,32の内側切込み52を貫通する箇所において、締結部材34によって、頂部トラック26及びトラック30,32に取り付けられる。頂点整合板60は、18〜14ゲージの冷延鋼等の材料から形成されてもよい。
【0025】
V型ブレーススタッド54,56の側部スタッド36,38、中央スタッド48、及びトラック28に対する接続部は、モーメント接合部であり、V型ブレース付き水平トラスパネル20の横方向における構造性能を向上する。
【0026】
これらの接続部によって、V型ブレース付き水平トラスパネル20に作用する横力のほとんどの本システムの構造柱に対する伝達が容易になる(以下にさらに詳細に述べる)。
【0027】
V型ブレース付き水平トラスパネル20は、また、水平ブレースを構成するトラック62を含む。トラック62は、例えばV型ブレーススタッド54,56によって形成されるV型ブレースの中間に位置している。トラック62は、内側スタッド44,46を収容する端部切込み50を有し、中央スタッド48を収容する内側切込み52を有し、締結部材34によって内側スタッド44,46及び中央スタッド48に固定される。トラック62は、V型ブレース付き水平トラスパネル20の横力に対する構造性能に寄与する。
【0028】
V型ブレース付き水平トラスパネル20は、必要に応じて、乾式壁、キャビネット、つかまり棒等の建物組立体用のその他のブレース及び基材を含み得る。V型ブレース付き水平トラスパネル20は、内側の構造壁(界壁及び仕切り)及び外側の構造壁の両方として使用される。また、V型ブレース付き水平トラスパネル20/22は、図から明らかなように空間が限られてはいるが、窓及び壁面開口部を収容してもよい。
【0029】
図3.1のV型ブレース付き水平トラスパネル22は、以下の点を除いて図3のV型ブレース付き水平トラスパネル20と同一の構成を有する:図3のV型ブレースの半分を形成するV型ブレーススタッド54の代わりに、互いにリップ18が当接する2つのスタッド64,66が使用され、図3のV型ブレースの残りの半分を形成するV型ブレーススタッド56の代わりに、互いに当接しているとは限らない2つのスタッド68,70が使用される。従って、スタッド64,66,68,70は、図3.1のV型ブレース付き水平トラスパネル22用の二重V型ブレースを形成し、さらに強度を与える。
【0030】
図4に示すように、開口型水平トラスパネル24は、頂部トラック80と、底部トラック82と、を備える。頂部トラック80の内側は、連続的な水平ブレースであり、当該水平ブレースは背中合わせ(ウェブ合わせ)のトラック84,86から成り(二重水平ブレースと称する)、これらのトラック84,86は、開口型水平トラスパネル24の側部において、ボルトやねじ等の締結部材34によって側部スタッド88,90に固定される。また、頂部トラック80及び底部トラック82も、締結部材34によって側部スタッド88,90に固定されている。トラック84,86及び頂部トラック80によって形成される連続的な水平ブレースの間の部分において、スタッドから成る鉛直角ウェブ92が含まれる。図4に示すこのようなブレース部分は、開口型水平トラスパネル24用の構造トラス94として機能し、開口型水平トラスパネル24に働く力を支え、以下で述べるような、開口型水平トラスパネル24の側部スタッド88,90の夫々に取り付けられる構造柱に当該力を伝達する。
【0031】
また、開口型水平トラスパネル24は、頂部及び底部トラック80,82、ならびに、トラック84,86に対して締結部材34によって固定される、2つの内側スタッド96,98と、中央スタッド100と、を有する。側部スタッド88,90は、そのフランジ16がトラック80,82,84,86の端部においてフランジ16と当接するように、トラック84,86のウェブ14及びリップ18の端部において端部切込み50を貫通する。これらの端部切込み50を図2において示す。締結部材34は、これらの当接部に位置する。同様に、内側スタッド96,98及び中央スタッド100は、そのフランジ16がトラック80,82,84,86のフランジ16に当接するように、トラック84,86のウェブ14及びリップ18の内側切込み52を貫通する。これらの内側切込み52もまた図2において示す。締結部材34は、これらの当接部に位置する。5つの垂直スタッド88,90,96,98,100は、例えば、それらの間に24インチの間隔を開けていてもよい。内側スタッド96,98及び中央スタッド100がトラック84,86を貫通する箇所は、ヒンジ接続部(即ち、1つの締結部材で回転可能)である。また、開口型水平トラスパネル24のスタッドは、乾式壁、導管、配線、配管組立体等を支えるように機能する。
【0032】
開口型水平トラスパネル24は、また、水平ブレースを構成するトラック102を含む。トラック102は、例えばトラック82とトラック86との中間に位置する。水平ブレーストラック102は、側部スタッド88,90が貫通する端部切込み50を有し、内側スタッド96,98及び中央スタッド100が貫通する3つの内側切込み52を有し、締結部材34によって、側部スタッド88,90、内側スタッド44,46、及び中央スタッド48に固定される。スタッド88,90,96,98,100のフランジ16は、トラック102のフランジ16に当接する。締結部材34は、これらの当接部に取り付けられる。開口型水平トラスパネル24は、垂直局所力に対処するよう構築される。
【0033】
開口型水平トラスパネル24は、窓、ドア、壁面開口部を収容するように設計される。開口型水平トラスパネル24は、例えば、20フィート幅又はそれ以下であってもよい。図4.1及び図4.2は、窓、ドア、及び壁面開口部用の1つ以上の開口部を有する開口型水平トラスパネルを示す。図4.1は、MEP組立体が貫通し得る典型的なたて溝開口部104を示す。これらのたて溝開口部104は、V型ブレース付き水平トラスパネル20,22にも形成されてもよい。図4.2は、ドア用の開口部を有する開口型水平トラスパネルをいくつか示す。
【0034】
開口型水平トラスパネル24は、必要に応じて、窓、ドア、壁面開口部、乾式壁、キャビネット、つかまり棒等の建物組立体用のその他のブレース及び基材を含み得る。開口型水平トラスパネル24は、内側の構造壁(界壁及び仕切り)及び外側の構造壁の両方として使用される。
【0035】
上述の水平トラスパネルは、建物における床から天井までの部分を収容し、例えば図5に示すトラス106等のトラスの取付体も収容可能とする十分な高さを有する。トラス106は、トラス取付部分42に取り付けられ、また、トラス106は、スタッドから成る傾斜ウェブ112によって互いに接続される頂部スタッド108及び底部スタッド110を備え、それにより、傾斜ウェブ112が頂部及び底部スタッド108,110に締結部材34によって取り付けられる。トラス106は、トラス/スタッドハンガ116及び締結部材34を使用して、水平トラスパネル114のトラス取付部分42に取り付けられる。水平トラスパネル114は、V型ブレース付き水平トラスパネル20/22として示されるが、水平トラスパネル114は、ここにおいて述べる水平トラスパネルのいずれかであってもよい。トラス/スタッドハンガ116は、図11を参照して以下でさらに十分に説明する。
【0036】
トラスハンガ116は、18〜14ゲージの冷延鋼等の材料から形成されてもよい。
【0037】
トラス106を図10においても示す。UTCSにおいて使用されるトラスは、スタッド10から成る。これらのトラスは、頂部及び底部スタッド108,110、ならびに、内側傾斜ウェブ112を有する。トラス106は、頂部及び底部弦材108,110を接続する側部又は端部ウェブを有さない。トラス106は、18〜14ゲージ鋼等の軽量鋼から形成されてもよい。トラス106のゲージ及び長さは、用途及び床スパンの幅に応じて異なる。
【0038】
図6は、構造柱132を有する構造柱組立体130を示し、構造柱132は、その頂部及び底部に対して溶接される頂部板134及び底部板136を有し、それにより、頂部板134が構造柱132の頂部を覆い、底部板136が構造柱132の底部を覆う。構造柱132は、例えば、4つの辺を有し、中空であり、建物高さ及び法律上の要件に応じて壁厚さが異なってもよい。頂部板134及び底部板136は、水平方向に直線状となるように図6において示され、2つの壁が共通の直線状の水平軸を共有するように隣り合って接合される部分で使用される。しかしながら、2つの壁がそれらの水平軸が互いに垂直となるように角部で接合される場合には、頂部板134及び底部板136は、「L字」状板であってもよい。
【0039】
1つ以上のボルト138は、頂部板134に対して適切に(例えば、溶接又は鋳造等によって)取り付けられる。ボルト138は、頂部板134から離れるように直角に延びる。底部板136の各端部は、そこを貫通する穴140を有する。従って、第1構造柱132は、第2構造柱132の頂部板134のボルト138が第1構造柱132の底部板136の穴140を貫通するように、第2構造柱132上に垂直に積み重ねられる。そして、ナットが第2構造柱132の頂部板のボルト138に取り付けられ、第1及び第2構造柱132が互いに垂直に固定されるように締められてもよい。
【0040】
頂部及び底部板134,136は、水平トラスパネル20/22/24に使用されるトラック12よりも僅かに広く、建物高さ及び法律上の要件に応じて厚さが異なる。ボルト138及び穴140による貫通ボルト締めによって、構造柱132が、互いに垂直に接続され、建物内のその他の組立体(屋根、基礎、ガレージ等)に接続可能となる。
【0041】
構造柱132は、スタッド10のスタッド部142を介して水平トラスパネル20/22/24に接続される。スタッド部142は、構造柱132の頂部及び底部に溶接又は別の方法により適切に固定される。スタッド部144は、そのウェブ14が外側に向くように、構造柱130の略中間において溶接又は適切な締結部材によって固定される。このスタッド部144は、水平トラスパネルのスタッド36,38,88,90のゆがみを防ぐための「ホールドオフ」である。この位置において、154等の一体化板が使用されてもされなくてもよい。
【0042】
構造柱132の材料は、例えば、冷延鋼である。構造柱132は、中空であってもよく、用途及び法律に応じて異なる壁厚さを有する。板134,136及びトラスハンガ144,146の材料は、例えば、18〜14ゲージの冷延鋼であってもよい。
【0043】
図7及び図8は、水平トラスパネル20,22,24等の水平トラスパネルを構造柱組立体130に対して取り付ける方法を示す。構造柱組立体130を4つのトラスハンガ一体型板150及び2つの平坦な一体化板154を使用して水平トラスパネル20/22/24に取り付けることで一体型水平トラスパネルが作られ、トラスハンガ一体型板150は、以下でさらに詳細に説明されるトラス106の取り付け用のスタッド挿入突出部を有し、トラスハンガ一体型板150及び一体化板154の全ては、締結部材34によって、水平トラスパネル20/22/24の側部スタッド36,38及びスタッド部142に取り付けられる。図7に示すようなスタッド部144は、「ホールドオフ」スタッド36,38として働き、これにより、これらのスタッドが側部スタッド36,38と構造柱132との間の空間でゆがまない。この位置において、154等の一体化板が使用されてもされなくてもよい。
【0044】
UTCS構造において、ある区画又は長さを有する壁が、構造柱組立体130を使用して多数の水平トラスパネル(その数は壁長さに応じて異なる)を取り付けることによって組み立てられる。開口型水平トラスパネル24は、窓、ドア、及び壁面開口部等の大型の開口部のある建物において、壁区画として使用される。V型ブレース付き水平トラスパネル22/22は、概ね残りの構造体部分に亘って壁区画として使用され、当該構造体を密に水平支持する。図9は、UTCS壁線における、開口型水平トラスパネル24及びV型ブレース付き水平トラスパネル20/22を有する水平トラスパネル壁線を示す。
【0045】
上述のように、トラス106は、内側スタッド44,46及び中央スタッド48に位置するトラス/スタッドハンガ116及び締結部材34を使用して、水平トラスパネル20/22/24に取り付けられる。トラス/スタッドハンガ116を図11において示し、トラス/スタッドハンガ116は、図5に示すようなトラス106の頂部スタッド108内において受けられ、図5及び図8に示すように180度反転した状態では、トラス106の底部スタッド110内において受けられるスタッド挿入突出部152を備える。また、トラス/スタッドハンガ116は、頂部トラック26に対してトラス/スタッドハンガを固定し、反転した状態では、水平トラスパネルの水平ブレース30,32に対してトラス/スタッドハンガを固定するために使用されるL字状フランジ172をさらに備える。
【0046】
トラス106は、その頂部スタッド108の端部を挿入突出部152に対して挿入後、締結部材34によって固定し、L字状フランジ172を頂部トラック26のウェブ14及びフランジ16に対して締結部材34によって接続し、トラスハンガ116の突出タブ176をスタッド108の頂部フランジ16に対して締結部材34によって接続することによって、水平トラスパネル20/22/24に対して接続される。トラス/スタッドハンガ116を180度反転させた状態で、トラス106の底部スタッド110の端部を挿入突出部152に対して挿入後、締結部材34によって固定し、L字状フランジ172をトラック30,32のウェブ14に対して締結部材34によって接続し、突出タブ176をスタッド110の底部フランジ16に対して締結部材34によって接続することによって、トラス106の底部スタッド110を接続する。
【0047】
また、トラス106は、一体型板150上の挿入突出部152を使用して、構造柱132の夫々において取り付けられる。トラス106の頂部スタッド108の端部は、一体型板150の挿入突出部152に対して挿入され、スタッド108のウェブ14に対して締結部材34によって固定される。突出タブ176は、スタッド108の頂部フランジ16に対して締結部材によって固定される。トラス106の底部スタッド110は、180度回転された一体型板150の挿入突出部152に対するスタッド110の端部の挿入によって接続される。締結部材34は、挿入突出部152をスタッド110のウェブ14に対して接続するために使用される。突出タブ176は、スタッド110の底部フランジ16に対して締結部材を使用して取り付けられる。
【0048】
図13において、水平トラスパネル20/22/24に接続されるトラス106を示す。
【0049】
図14において、UTCSオープンスパン組立体を形成する水平トラスパネル20/22/24に接続されるトラス106を示し、当該UTCSオープンスパン組立体において、水平トラスパネル20/22/24がトラス106と組み立てられ壁線を形成する。トラス106は、床及び天井組立体を支える。
【0050】
このような方法での水平トラスパネルに対するトラス106の取り付けによって、トラス106を水平トラスパネル20/22/24に組み込み、これにより、壁組立体が床の上に載置される場所又は天井組立体が壁の頂部の上に載置される場所に存在する「ヒンジポイント」を不要にする。この接続により、トラス106と水平トラスパネル20/22/24とが一体化され、実質的に壁及び床システム全体を共に「トラス」として機能させることが可能になる。この構成により、床、天井、及び水平トラスパネル20/22/24にかかる力が、これらに取り付けられる構造柱組立体130に伝達し易くなる。したがって、垂直力及び横力が垂直方向に水平トラスパネルから水平トラスパネルへと伝達されなくなる。建物に床の下張り材及び乾式壁を組み込む場合には、このシステム全体が「ダイヤフラム」として機能する。
【0051】
図15において、複数階のUTCS構造体の組立体として形成されるUTCS建物部分を示す。UTCS建物又は構造体において、水平トラスパネル20/22/24は、ある階の構造柱組立体130がその下の階の構造柱組立体130等から基礎に至るまで垂直方向に並ぶように、配置される。
【0052】
図16において、構造柱組立体のこのような配列を示す。図16においては、UTCS構造体における構造柱組立体130の密度も示す。
【0053】
図17において、この組立体の階間連結部の立体図及び平面図を示す。「耐力壁」、ならびに、鋼及びコンクリート構造体において通常起こる、水平トラスパネル20/22/24の相互の接触又は凭れ掛りが見られないことが分かる。UTCS構造体のある階の水平トラスパネルは、その上の階からの荷重を負担していない。その代わりに、この荷重は構造柱組立体130に伝達され、当該構造柱組立体130がこれを負担する。構造体の各「階」又は高度によって、その垂直方向の活荷重力及び死荷重力が弱まり、これらが構造柱組立体130に伝達され、構造柱組立体130において、これらの力が弱まり、垂直方向に建物の基礎に伝達される。
【0054】
V型ブレース付き水平トラスパネル20/22によって、建物に作用する横力が弱まり、構造体における冗長性のある構造柱組立体130に伝達される。このような力の伝達を図18において示す。図18の拡大部分において、パネルが互いに垂直方向に凭れ掛らず、力(矢印)があるパネルから別のパネルへと垂直方向に伝達されない。むしろ、垂直力及び横力は、構造柱組立体130に対して横方向に伝達される。この種の荷重伝達は、本願システムの独自の設計と組立体によって容易になる。水平トラスパネル20/22/24及びトラス106の両方が、一体型トラスシステムとして機能する。
【0055】
UTCSにおいては、20フィート〜2フィートの多様な幅の水平トラスパネルを採用可能であり、最も一般的なものは、8フィート及び4フィートの間の寸法のV型ブレース付き水平トラスパネル20/22である。これらのパネルにより、構造体内における構造柱組立体130の著しい冗長化をもたらす。各開口型水平トラスパネル24は、それに取り付けられる構造柱組立体130に近接する垂直局所力のみを支え、当該力を軽減するように機能する。V型ブレース付き水平トラスパネル20/22は、構造体に作用する垂直局所力だけではなく横力も支えるように機能する。水平トラスパネル20/22/24が垂直力及び横力を伝達する独自の方法、ならびに、本システム内の構造柱組立体130の冗長性により、階毎にパネルの構成を異ならせる必要はない。トラック12、スタッド10、及びV型ブレースの幅及びゲージのみが、建物高さ及び法律上の要件に応じて異なる。
【0056】
UTCS建物内の空間を分割する内側非構造間仕切壁は、軽量鋼(通常、24〜28ゲージ)から構成され、I種及びII種の鉄骨構造において一般的である。
【0057】
UTCSは、建物にかかる垂直力及び横力を管理する上で極めて効率的である。UTCSを用いると、耐力壁構造体又は高重量構造コアを構築する必要がなくなり、従来の建築工法よりも費用を大幅に削減できる。UTCSでは、建物の構造体を限られた数の組立前パネルから組み立てるので、時間も節約できる。このことによっても更に、建物の構造体の構築費用を劇的に削減する。
【0058】
UTCSは、独特であり革新的である。スラブ、立体駐車場、小売店舗、及び商業ビルを含む、ほぼ任意の基礎システム上に、UTCSを建設可能である。UTCSにおいて、建築についてのシステム化されたパネル化手法を基本とするフレーム化技術を採用している。UTCSは、パネル化建築技術と革新的な工学技術とを用いて、建物の設計、材料、及び組み立てのコストを大幅に削減する。UTCSの科学技術及び工学技術は、単層及び多層建物を組み立てる新たな構造システム及び方法である。
【0059】
本発明のある変形例が上記において説明されている。例えば、本発明は、コンクリート及び/又は構造用鋼フレーム、重鋼製の入れ込み式ブレース、ならびに、重鋼及び/又はコンクリートパネルに頼ることなく、建物の建築及び組み立てに特に有用であるが、本発明は、コンクリート及び/又は構造用鋼フレーム、重鋼製の入れ込み式ブレース、ならびに、重鋼及び/又はコンクリートパネルを有する建物にも適用可能である。本発明の当業者は、その他の変形例も想到するであろう。
【0060】
図1図18及びその開示部分は、標準構造部材用の限られた数の構成体を使用して示す。具体的には、標準構造部材によって、建造物の建築設計と構造設計との融合、当該建造物の部材の製造、ならびに、標準構造部材を使用した当該建造物の最終的な組み立てが可能となる。これらの標準構造部材の各種使用方法及びシステムを以下の説明で示す。具体的には、以下で開示するシステム及び方法によって、非効率な実施、不要な費用、整合性不足、不要な遅延、ならびに、典型的な建築設計及び建設計画に関連するその他の問題を解消する。
【0061】
以下で開示する完全一体化方法及びシステムによって、建造物の設計、製造、及び建設のための一体型プラットフォームが提供される。さらに、ここにおいて開示するシステムによって、下地工事、仕上げ、窓、階段、エレベータ等のその他の要素及び建築部材がどのように関連し、どのように自動的にサイズ決めされるか、あるいは、建物の構造体に対して位置するかを決定するのに役立つ能動的な設計機能が提供される。当該システムによって提供される自動化及び整合によって、より良好な設計効率、より良好な全体整合、ならびに、建築、構造体構築、機械・電気・配管(「MEP」)構築、製造、及び建設にかかる時間及び費用の削減が可能となる。
【0062】
図19は、上述の標準構造部材を使用するシステム1900の例示的ブロック図を示す。具体的には、システム1900は、建物についての設計ファイル1904を作成するために使用されるコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェア・モジュール1902を備える。CADソフトウェア1902の一例として、オートデスクによるRevit建築設計ソフトウェアを含む。設計ファイル1904は、AutoCADによるDWGファイル、DXFファイル、JPEGファイル、BMPファイル、GIFファイル、TXTファイル等の形式で作成されてもよい。システム1900の一実施形態において、設計ファイル1904は、建物の1つ以上の壁1906の標準構造パネル壁としての指定をさらに含む。例えば、建物の設計段階で建築士によってこのような壁の指定がなされてもよい。
【0063】
システム1900は、各種標準構造部材1910についての構造細部を記憶するデータベース1908をさらに備える。例えば、データベース1908は、図1図18について上述したようなトラス、トラス部材、その他の標準構造部材1910についての定義を示す記録を有する。さらに、そのような記録は、これらの標準構造部材1910のその他の特性を有し、当該特性は、例えば、寸法、横及び垂直荷重負担能力、せん断耐力、特定のパネルに取り付けられるスタッドの特定等である。システム1900は、データベース1908がCADソフトウェア・モジュール1902と互いに分離しているように示されているが、一実施形態においては、データベース1908は、CADソフトウェア・モジュール1902と一体化されていてもよい。あるいは、データベース1908は、データベース1908にアクセスするように設計される、CADソフトウェア・モジュール1902に対するプラグインを介して、CADソフトウェア・モジュール1902にアクセス可能であってもよい。このような実施形態によって、データベース1908を、異なるCADソフトウェア・モジュールの多数のユーザがアクセス可能なデータベースサーバ上に遠隔配置可能とする。
【0064】
システム1900は、設計ファイル1904及び標準構造部材1910を入力として使用する幾何学的グリッド・モジュール1912を備える。グリッド・モジュール1912は、アドインとしてCADソフトウェア・モジュール1902に存在するように構成されてもよい。CADソフトウェア・モジュール1902を使用して建築設計を行う設計士によって、グリッド・モジュール1912を起動するように選択してもよい。あるいは、グリッド・モジュール1912は、CADソフトウェア・モジュール1902が有効となっているときに自動的に起動されるように構成されてもよい。グリッド・モジュール1912は、標準構造パネル壁1906の1つ以上に基づいて幾何学的グリッドを作成し、ここにおいて、グリッドは、標準構造パネル壁1906の夫々の座標を特定する。代替的な一実施形態においては、グリッド・モジュール1912によって作成される幾何学的グリッドは、x、y、z面の夫々において存在する。さらに別の代替案としては、幾何学的グリッドは、建築設計における典型的な角度を考慮して、各種角度における複数のグリッドのネットワークとして設定されてもよい。また、幾何学的グリッドによって、各種角度のいくつかのグリッドが互いに有効となり、傾斜する建物の設計が可能となり、ここにおいて、アクティブグリッドによって、標準構造部材が正確なグリッド座標に吸着する。
【0065】
続いて、グリッド・モジュール1912は、標準構造パネル壁1906の端部が実質的にグリッド線交差部に近くなるように、グリッド線に沿って標準構造パネル壁1906の1つ以上を自動的に位置付けする。このような方法で、標準構造パネル壁1906の位置及び長さが幾何学的グリッドの線に対して調整される。
【0066】
続いて、システム1900は、マッピング・ソリューション・モジュール1914を採用し、マッピング・ソリューション・モジュール1914は、構造性能を使用して幾何学的グリッドにマッピングされる壁線、ならびに、標準構造部材1910に関連するその他のデータを分析し、グリッド線に沿って標準構造部材1910の位置、向き等を決定する。一実施形態においては、標準構造部材1910は、所定の距離間隔でグリッド座標にマッピングされる。例えば、標準構造部材1910は、2フィート間隔でグリッドにマッピングされる。所定の距離間隔は、標準構造部材1910の最低縮尺分母に基づいて選択されてもよい。
【0067】
マッピング・ソリューション・モジュール1914は、先ず、トラス等の床構造体の一部で使用される標準構造部材1910をグリッド線に沿ってマッピングしてもよい。床構造体の一部として使用されるこのようなトラスの例は、図5において示す上述のトラス106を含む。マッピング・ソリューション・モジュール1914がトラスの位置及び向きを規定すると、マッピング・ソリューション・モジュール1914は、壁パネルとして使用される標準構造部材1910の位置決定及び選択をする。当該壁パネルの例は、図3において示すV型ブレース付き水平トラスパネル20、ならびに、図4において示す開口型水平トラスパネル24等を含む。マッピング・ソリューション・モジュール1914は、壁における開口部、構造柱130等の柱要素等の位置を分析することによって壁パネルの効率的なレイアウトを算出する。例えば、マッピング・ソリューション・モジュール1914は、各種壁パネルの荷重負担能力及びせん断耐力等と共に、構造柱の荷重負担能力及びせん断耐力等を分析し、それにより、結果として得られる構造体が、壁の開口等の設計に確実に適合し、建築法の要件を確実に満たす。具体的には、マッピング・モジュール1912は、例えば効率を最大化したり、費用を最小化するように、壁パネルを選択してもよい。
【0068】
また、一実施形態においては、システム1900は、建物の建築図に対する1つ以上の変更に基づいて、標準構造部材1910の選択及びレイアウトを変更するように構成される。例えば、窓の開口部を、ある壁から別の壁に移動するか、ある壁におけるある位置から別の位置に移動する場合に、トラス及び壁トラスパネル等の選択及び配置もまた変更される。別の代替案としては、システム1900によって、エンジニアが構造体に対して局所的な変更を加えることが可能となり、建物の残りの部分に対して当該変更の影響を反映させる。例えば、特定の管轄における耐震基準によって建物の壁線に沿って特定のパネル構成が要求される場合に、エンジニアは、要求される変更を加えることが可能である。このような場合において、システム130は、法律及び構造健全性等が建物全体で確実に順守されるように残りの構造体を自動的に分析する。
【0069】
また、システム1900は、マッピング・ソリューション・モジュール1914によって作成される結果に基づいて各種出力1920をユーザによって作成可能にする出力モジュール1916をさらに備える。システム190は、個別のモジュールとして出力モジュール1916を示しているが、代替的な一実施形態においては、当該出力モジュール1916は、システム設定の一部としてもよい。例えば、ユーザは、本システムの設定時に出力及び/又は機能の1つ以上を選択してもよく、出力モジュール1914は、必要な出力を作成する。図1に示すシステム1900において、出力モジュール1916は、出力1922〜1934を作成する。
【0070】
具体的には、出力モジュール1916は、建物における各種壁の夫々に対する各種構造部材の夫々の一意識別子を含む構造部材リスト1922を作成するように構成される。従って、例えば、構成部材リスト1922は、建造物に要する締め付けねじ、ボルト、スタッド等のリストを含み得る。一実施形態においては、出力モジュール1916は、各種構造部材についてのクイックレスポンス(QR)コードも作成する。このようなQRコード(登録商標。以下同じ)は、特定の構造部材又は特定の種類の構造部材を一意的に特定するために使用されてもよい。例えば、QRコードは、構造パネルを水平トラスパネルに取り付けるために使用される特定の一体型板を一意的に特定するために設けられる。さらに別の代替案として、QRコード1924の夫々は、構造部材を特定するその他の情報に関連付けられ、当該その他の情報は、例えば、建造物における構造部材の位置、構造部材の価格、構造部材の構造特性等である。
【0071】
また、出力モジュール1916は、建造物の各種構造部材についての構造パネル名1926を作成するように構成されてもよい。例えば、建造物の特定の柱の夫々は、それを特定する構造パネル名を割り当てられ、柱幅、柱サイズ、高さ、柱面構成等の柱に関する各種情報が提供される。同様に、構造パネル名によって、特定のパネル、パネルの種類、各種軸上における角部からのパネル距離、端部からの柱のオフセット量等を特定してもよい。構造パネル名について、以下で図22を参照してさらに説明する。
【0072】
さらに、出力モジュール1916は、建造物の各種構造部材に関する情報を提供するページ192を作成するように構成してもよい。これらのページ1928は、QRコードを介して起動可能なURL付きウェブページとして構成されてもよい。例えば、ユーザがQRコードスキャナを使用してQRコード1924の1つをスキャンするときに、ユーザに対して、当該特定のクライアントに関する情報を含むウェブページを提供してもよい。従って、例えば、QRコードが建造物に既に設置されている部材に対して提供されている場合に、フィールド上のQRコードをスキャンすることによって、ユーザが当該構造部材に関するさらなる情報を取得可能である。さらに、ページ1928は、例えば構造部材の位置、設置状態等の情報で動的に更新される。一実施形態においては、QRコードをスキャンするために使用されるユーザ装置上に提供される1つ以上のアプリケーションによって、ページ1928上の情報が更新可能である。
【0073】
さらに、出力モジュール1916は、建造物の三次元モデル1930を作成するように構成されてもよい。一実施形態においては、このような3Dモデル1930もまた、建物の建設が進むにつれて3Dモデル1916が更新されるように、動的に更新される。さらに、3Dモデル1930によって、建造物の各種構造部材を特定してもよい。一実施形態においては、出力モジュール1916は、また、設計審査及び承認のための出力ファイルを作成する。例えば、これらの出力ファイルは、建造物の詳細な三次元の製図、各種応力分析レポート、各種建築基準法の順守要件に対して提出する必要のあるデータ等を含み得る。ユーザは、審査及び承認結果に基づいてフィードバックを行ってもよく、この場合において、建造物に対する異なる解決案の作成時に、ユーザ入力が組み込まれる。
【0074】
一実施形態においては、出力モジュール1916は、建造物の各種構造部材に関する情報を使用して部品表1932を作成するように構成される。このような部品表は、ユーザによってさらに処理可能なスプレッドシートの形式であってもよい。あるいは、出力部品表1932は、さらなる処理のために、会計ソフトウェア又はその他の財務ソフトウェアによって直接インポート可能なファイルの形式であってもよい。さらに別の代替案としては、出力モジュール1916は、外注の部品の発注書を作成してもよい。この場合も先と同様に、このような出力発注書は、会計ソフトウェア又は財務ソフトウェアによってさらに処理可能な形式であってもよい。
【0075】
さらに別の代替案としては、出力モジュール1916は、構造部材及び標準構造部材を製造するために使用される各種機械を制御するために使用可能な機械制御ファイル1934又はマクロ・ファイルを作成してもよい。例えば、出力モジュール1916によって作成されるマクロ・ファイル1934は、建造物のトラック及びスタッド要素を作製する各種軽量ロール成形機を制御するために使用されてもよい。このようなマクロ・ファイルは、手動又は自動で製造機械に取り込まれてもよい。さらに、当該マクロ・ファイルは、製造部品及び標準構造部材のラベルを作成するための製造機械に対する命令を含み得る。マクロ・ファイルの使用については、以下で図24を参照してさらに説明する。また、出力モジュール1916は、プロジェクト設計チーム、エンジニア、及び建築部によって使用可能な製作図及び仕様1936を作成する。例えば、建築設備検査資格者は、出力モジュール1916によって作成される製作図を使用して、建築設計に対する承認等を行ってもよい。
【0076】
図20は、標準構造部材を使用するシステムの代替の例示的ブロック図を示す。具体的には、図20は、既存の建築設計ソフトウェアとの相互作用、ならびに、ソフトウェア・モジュール2002の入力/出力との各種相互作用に使用可能なソフトウェア・モジュール2002を示す。ソフトウェア・モジュール2002は、標準構造部材を使用する各種機能を提供する各種コンポーネント又はモジュール2004〜2014を備える。ソフトウェア・モジュール2002は、任意の既製建築設計ソフトウェア、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェア等にプラグインとしてインストールされてもよい。あるいは、ソフトウェア・モジュール2002は、1つ以上のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用して建築設計ソフトウェアと通信するスタンドアロン型ソフトウェアであってもよい。例えば、ソフトウェア・モジュール2002は、リモート・サーバにインストールされ動作するように構成されてもよく、各種CADソフトウェア・インスタンスによって、APIコールをソフトウェア・モジュール2002と通信させるようにしてもよい。
【0077】
図20に示す実施形態において、建築ソフトウェア2020は、建物設計レイアウトと、間取りレイアウトとを含むソフトウェア・モジュール2002と通信する。建物設計レイアウト及び間取りレイアウトは、DWGファイルやDXFファイル等の標準形式であってもよい。ソフトウェア・モジュール2002は、建築設計における壁の夫々に対して床面高さ及び高さを割り当てる壁位置決めモジュール2004をさらに備える。具体的には、壁位置決めモジュール2004は、建築図に基づいて幾何学的グリッドを作成し、幾何学的グリッドに対して建築図の各種壁をマッピングする。例えば、建築図が10フィート×9.5フィートの部屋を含む場合に、壁位置決めモジュール2004は、建築士の最終決定に応じて10×10又は10×8の幾何学的グリッドを作成し、部屋の壁をグリッドに対してマッピングする。
【0078】
また、ソフトウェア・モジュール2002は、床の向きを決定する床向きモジュール2006をさらに備える。具体的には、建物における床構造体は、図面に記名されるエンジニアによって、荷重(活荷重又は死荷重)に基づいて決定され、ここにおいて、床荷重は、トラスによって壁から壁に伝達される。伝達される荷重が最も少なくなり、それにより使用される構造体がより少なくなる(費用がより削減される)ような床の設置方向に関して明確な場合があり、当該方向は、例えば、南北(N−S)方向、東西(E−W)方向等である。ここにおいて開示するシステムは、最小荷重方向を自動的に決定し、E−W方向、N−S方向、又はその他の方向のうちの1つの方向で床を設置する。可能な場合は、自動的に、外壁に対しても床からの荷重がかからないようにする。図2Anにおいて、開口分析モジュール2008は、幾何学的グリッドに沿って合わせられる壁における開口部を分析する。例えば、開口分析モジュール2008は、特定の壁におけるドア、窓、壁面開口部等を分析し、当該壁に含まれる可能性のある各種標準構造部材の位置を決定してもよい。
【0079】
壁のサイズ、床の向き、開口部、及びその他の壁の特性が決定されると、標準構造パネル適合モジュール2010は、当該特定の壁に使用される標準構造部材を決定する。従って、例えば、適合モジュール2010は、図3において示すようなV型ブレース付き水平トラスパネル2つが、図4図4.1、及び図4.2において示すような開口型水平トラスパネルと共に、既定の壁において使用されるように決定してもよい。適合モジュール2010は、各種標準構造部材の夫々に関するデータ構造を記憶する標準構造パネルデータベース2012を使用してもよい。例えば、当該データベース2012における各データ構造によって、標準構造パネルの寸法、重さ、応力容量、隣接するパネル等に関する情報が提供される。モジュール2010は、壁の長さに基づき、どの標準構造パネルが特定のモジュールに適合するかを選択する。一実施形態においては、適合モジュール2010は、2フィート単位で壁の夫々を分析し、当該特定の壁に対して最も適合する標準構造部材を調べる。しかしながら、代替の実施形態においては、その他の大きさの単位を使用してもよい。
【0080】
適合モジュール2010は、また、幾何学的グリッド線に沿って構造柱を追加する場所を決定する。構造柱の決定に際して、適合モジュール2010は、要求される荷重負担能力及びその他の建物の特性を分析する。適合モジュール2010が各種標準構造部材及び構造柱をグリッド線に対して適合させると、各種出力データが結果に基づいて作成される。例えば、製造データ作成モジュール2014は、外注の構造部材及びその仕様に関するデータ、製造される構造部材に関するデータ、製造される構造部材の夫々についてのマクロ・ファイル等を作成する。当該マクロ・ファイルは、最終製造部材を作製するために製造機械2030によって使用されてもよい。例えば、マクロ・ファイルは、冷間ロール成形インターフェース2032に対して作成されてもよく、冷間ロール成形インターフェース2032は、冷間ロール成形機に対して、パンチで穴を形成する場所、冷延パネルの縁部を切る場所等を命令する。同様に、その他のマクロ・ファイルは、溶接インターフェース2034によって使用されてもよく、溶接インターフェース2034は、溶接接合部を形成する場所、適切な溶接接合の種類等を決定するために溶接ロボットによって使用可能である。このようなマクロ・ファイルによって、製造過程の自動化、ならびに、建築構造2026において使用される部材の組み立てが可能となる。
【0081】
ソフトウェア・モジュール2002は、仕様と共に、詳細な三次元の製図を作成し、当該仕様は、例えば、各壁(標準構造部材及び構造柱の組み合わせとしての壁)の応力負担能力、騒音緩和仕様等である。このような仕様を含む製図は、さらなる審査のために、例えば地域の建物承認委員会、エンジニア等の審査承認手続担当2022に提出され、当該手続担当は、建築ソフトウェア2020を介して、製図を承認するか、変更を促してもよい。変更が促された場合には、ソフトウェア・モジュール2002は、修正後の承認のために、新しい製図の一式を仕様と共に作成する。
【0082】
審査承認手続担当2022によって設計が承認されると、建築ソフトウェアは、ソフトウェア・モジュール2002からの入力を使用し、計画及び仕様2024を建築エンジニアに対して作成する。このような計画及び仕様2024は、例えば、実際の建築構造2026に対する、建物建設が進む順番が明記される予定表、特定の部材がどのように設置されるかについての指示等を含む。
【0083】
図21は、標準構造部材を使用する方法の例示的フロー図2100を示す。動作2102において、建築図を受信する。例えば、設計ソフトウェアに組み込まれるソフトウェア・モジュールが、設計ソフトウェアから当該建築図を受信してもよい。床寸法を決定後、動作2104において、建築設計に基づいて幾何学的グリッドを作成する。一実施形態においては、幾何学的グリッドは、2フィート×2フィートの粒度を有している。しかしながら、代替的な実施形態においては、その他の粒度を有する幾何学的グリッドも使用可能である。具体的には、幾何学的グリッドは、各種グリッド線及びそれらの交差部を含む。続いて、動作2106において、受信した建築図から床寸法及び向きを決定する。一実施形態においては、建築図が多数の部屋を有している場合に、動作2106では、1回につき1つの部屋が夫々分析され、各部屋の床寸法及び向きが個々に決定されてもよい。あるいは、動作2106において、全ての部屋の床寸法及び向きが同時に決定されてもよい。
【0084】
動作2108において、建築設計の各種壁をグリッド線上に位置付けする。具体的には、幾何学的グリッド線がその交差部に対して適合する壁のみがグリッド線に沿って位置付けられる。従って、例えば、壁が湾曲している、又はその寸法が2フィート未満である場合には、当該壁を、グリッド線に沿って位置付けできない。このような例において、建築士が湾曲した壁又は傾斜した壁、あるいは、2フィート単位ではないその他の壁を使用したい場合には、そのような湾曲した壁等は、非標準壁であると決定される。このような場合において、前述の壁は、グリッド線に対してマッピングされたり、グリッド上に存在することはない。具体的には、非耐力壁もまた、グリッド線に対してマッピングされるとは限らない。このような建築用壁のグリッド線に対する適合の例について、図25を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0085】
続いて、動作2110において、グリッド線に沿って位置する壁に沿って標準部材が位置付けられる。具体的には、もしグリッド線が2フィート×2フィートの粒度を有する場合に、標準部材は、任意の特別注文された製造部材を必要とすることなく、当該壁に適合する。従って、例えば、6フィートの壁がグリッド線に沿って位置している場合に、4フィートの水平パネル及び2フィートの別の水平パネルが、当該6フィートの壁を作製するために使用されてもよい。さらに、別の動作2110において、壁における窓及びその他の開口部の位置が分析され、例えば図4図4.1、及び図4.2において示すような開口型水平パネルを要するかが決定される。標準構造部材の選択については、各種構造柱が構造体に追加されることも考慮に入れられる。具体的には、動作2114において、構造部材が選択され、構造体に対して追加される。このような構造パネルの例は、上記の図6で示すものである。
【0086】
標準パネル、トラス、及び柱等の構造部材の全てが建築設計の壁に対してマッピングされると、動作2116において、マッピング結果を分析する。一実施形態においては、得られた構造体の各種法律の順守状況、荷重負担能力等について、結果が分析される。分析動作2116においては、必要に応じて、得られた構造体に対する変更を促すために検査者やエンジニア等によって使用される、警告や違反等を含む出力レポートが作成されてもよい。さらに、動作2118において、建造物の製造及び建築の自動化に使用可能な各種出力が作成される。任意の変更が必要な場合に、フロー図2100の1つ以上の動作が、必要に応じて繰り返されてもよい。
【0087】
図22は、ここにおいて開示するシステムによって作成される構造パネル名の例を示す。具体的には、図22は、パネル略称を使用する構造パネル名2210、ならびに、各種柱略称に使用する構造柱名2240の例を示す。このような例示的構造パネル名2210において、「PA」は、パネルの種類を示し、「312」は、パネルのシステムサイズ(3.5インチ又は5.5インチ)及びパネルの長さを示す。例えば、「312」の「3」は、3.5インチのシステムサイズを示し、「12」は、パネルの長さが12フィートであることを示す(パネル長は、2フィート単位である)。番号「4032」は、1/32インチ単位でパネルの高さを示し、「Sxxx」は、パネル上における柱の中央線(CL)又はグリッド線からの第1スタッドのオフセット量を示し、「Xxxx」は、x軸上における角部までのパネルの距離を示し、「Yxxx」は、y軸上における角部までのパネルの距離を示し、「Wxxx」は、開口部の幅を示し、「Hxxx」は、開口部の高さを示し、「Exxx」は、端部におけるCLからのオフセット量を示す。
【0088】
例示的構造柱名2240においては、「CB」は、柱幅を示し、「3XX」は、柱サイズを示し、「4032」は、1/32インチ単位で柱の高さを示し、「AOJO」は、柱の端面構成を示し、「3033」は、柱に対して接続されるパネルのサイズを示し、1番目の「A3030」は、柱の頂部に取り付けられる端板の種類を示し、2番目の「A3030」は、柱の底部に取り付けられる端板の種類を示す。
【0089】
図23は、特殊コードを使用し、建物建設工程を追跡する方法の例示的フロー図2300を示す。具体的には、フロー図2300は、クイックレスポンス(QR)コードを使用し、建物建設工程を追跡するシステムによって行われる1つ以上の動作を示す。動作2302において、QRコードが作成される。パネル、柱、トラス等の各種標準構造部材が既定のQRコードによって一意的に特定可能なように、QRコードが作成される。あるいは、QRコードは、互いに類似する複数の部材を特定するために使用されてもよい。従って、例えば、全ての一体化板154は、同様のQRコードによって特定されてもよい。別の例としては、パネル用のQRコードには、特定のパネルに関する情報を提供する構造パネル名2210を含むフィールドが添付されてもよい。
【0090】
続いて、動作2304において、構造部材に関する情報をQRコードに対して添付する。従って、例えば、データベースにおいては、QRコードの夫々には、そのQRコードに関する構造部材についての情報を提供する1つ以上のフィールドが添付されてもよい。これらの構造部材情報は、構造部材の寸法、建造物における構造部材の位置、構造部材の費用情報等を含み得る。続いて、QRコードは、構造部材に対して物理的に取り付けられる。従って、例えば、トラス用のQRコードは、製造後の特定のトラスに対して印刷及び取り付けられる。
【0091】
構造部材がQRコードと共に設けられると、決定動作2308において、QRコードがスキャンされたか否かが決定される。例えば、特殊なQRコードスキャン装置、スマートフォン等の市販のQRコードスキャン装置等が、QRコードをスキャンするために使用されてもよい。QRコードがスキャンされている場合には、構造部材に関する情報に対する変更があるか否かを決定する別の決定動作2310に制御が移行する。例えば、建物建設工程における構造部材のステータスを更新する能力、建物における構造部材の位置を更新する能力等を有するQRコードスキャン装置を設けてもよい。決定動作2310において、そのような情報の更新が受信されたと決定される場合に、更新動作2312において、構造部材情報を更新する。このような更新は、例えば、特定の構造部材に関するデータベース内の各種フィールドの更新を含み得る。一例として、スキャン装置は、建造物に既に設置されたトラスについてのQRコードをスキャンし、当該トラスのステータスを「設置済」と更新し得る。このような方法で、ここにおいて開示するシステムによって、建築構造において使用される標準構造部材を含む各種構造部材の配置の自動的な追跡及び更新をもたらす。
【0092】
図24は、機械制御ファイル又はマクロ・ファイルを使用し、標準構造部材の製造を制御する方法の例示的フロー図2400を示す。動作2402において、マクロ・ファイルを作成する。一実施形態においては、このようなマクロ・ファイルは、製造される部材の寸法に基づいて作成される。例えば、トラスの弦材の製造において、弦材の長さ及び幅、ならびに、弦材におけるパイロット穴及び溶接穴の位置等が、マクロ・ファイルに含まれる。動作2404において、構造部材を作製するために使用される機械にマクロ・ファイルを取り込む。例えば、マクロ・ファイルがトラスの弦材を作製するためのものである場合に、マクロ・ファイルは、軽量ロール成形機の制御モジュールに取り込まれる。
【0093】
この例において、動作2406では、軽量ロール成形機は、冷延トラス弦材を作製し、適当な長さや角度等に切断する。一実施形態においては、マクロ・ファイルは、製造部材に割り当てられるQRコードに関する情報も含む。このような実施形態において、動作2408では、製造トラス弦材にラベル付けするために使用されるQRコードを作成する。さらに、動作2410において、部材の仕様を、組立部材を作製するために使用される溶接機に通信する。当該組立部材は、例えば、各種冷延ロール成形ブレースと組み合わせられる冷延ロール成形トラスを使用するトラス等である。溶接機は、部材仕様を使用し、各種トラス部材間の溶接接合部を自動的に作製してもよい。
【0094】
さらに、動作2412において、製造が外注される部品のリストを作成する。具体的には、動作2412において、部品に関する詳細な仕様を含む発注書も作成してもよい。一例として、一体化板154についての仕様は、動作2412によって作成され、発注書として外部の製造業者に送付されてもよい。ここにおいて開示するシステムの一実施形態においては、動作2414において、1つ以上の製造部材及び/又は外注部材を使用して、柱、トラス、パネル等の標準構造部材を組み立てる。例えば、自動組立機は、部品を組み立て、標準構造部材を作製する命令を有するマクロ・ファイルを含み得る。さらに、標準構造部材が組み立てられると、ラベル付け動作2416において、当該標準構造部材に対してQRコード又はその他の識別コードが記載されたラベルを貼り付ける。例えば、トラスの夫々に対しては、当該トラスを一意的に特定するQRコードが記載されたラベルが貼り付けられていてもよい。あるいは、同一種のトラスの全てに対して、同一のQRコードが記載されたラベルが貼り付けられる。続いて、動作2418では、標準構造部材を、建造物を組み立てるために使用する。
【0095】
図25は、本明細書において開示する方法及びシステムによって使用される例示的な幾何学的グリッド2500を示す。具体的には、幾何学的グリッド2500は、各種標準構造部材が幾何学的グリッド250の正確なグリッド座標に対してマッピング(又は「吸着」)可能であるアクティブグリッドである。例えば、幾何学的グリッド2500は、水平及び垂直グリッド線2502を含む。一実施形態においては、グリッド線は、2フィート単位で設けられる。しかしながら、代替的な実施形態においては、その他の寸法の単位で設けられてもよい。ここにおいて開示するシステムを使用する建築士は、建造物の1つ以上の壁をグリッド線2502に対して描くことが可能である。従って、例えば、構造壁2504は、幾何学的グリッド線2502の1つに対してマッピング又は吸着される。幾何学的グリッド線2502に適合しない建物の任意の壁又はその他の要素がある場合には、それらはグリッド線に対してマッピングされない。例えば、図示の実施形態においては、隔壁2506やドア等は、幾何学的グリッド線2502に対して吸着又はマッピングされない。
【0096】
図26は、グリッド線に沿った各種標準構造部材と共に、幾何学的グリッドの例示的平面図2600を示す。具体的には、平面図2600は、多数のグリッド線2602、ならびに、グリッド線2602に沿った各種標準構造部材2604,2606等を示す。上述のように、標準構造部材2604,2606の夫々は、QRコードと関連付けされ、当該標準構造部材2604,2606に関するその他の情報を含むデータベースに保存され得る。
【0097】
図27は、各種標準構造部材を使用する建造物の例示的立面図2700を示す。例えば、立面図2700は、標準トラス2702と、標準パネル2704と、標準柱2706等とを含む各種標準構造部材を示す。図28は、各種標準構造部材を使用して形成される構造体の立体図2800を示す。例えば、立体図2800は、各種標準トラス2802、標準パネル2804、標準柱2806等を示す。
【0098】
図29は、ここにおいて開示する方法及びシステムの1つ以上の構成要素を実行するために使用可能な例示的コンピューティングシステムを示す。汎用コンピュータシステム1000は、コンピュータプログラム製品を実行し、コンピュータプロセスを実行可能とする。データ及びプログラムファイルは、コンピュータシステム1000に入力されてもよく、コンピュータシステム1000は、ファイルを読み込み、その内部のプログラムを実行する。汎用コンピュータシステム1000の要素の一部を図10において示し、ここにおいて、処理部1002は、入力/出力(I/O)部1004と、中央処理装置(CPU)1006と、メモリ部1008とを有するように示される。1つ以上の処理部1002があってもよく、コンピュータシステム1000の処理部1002は、通常並列処理環境と称される、単数の中央処理装置1006又は複数の処理装置を備えていてもよい。コンピュータシステム1000は、従来のコンピュータ、分散コンピュータ、あるいは、クラウド・コンピューティング・アーキテクチャを介して利用可能である1つ以上の外部コンピュー等のその他の種類のコンピュータであってもよい。既述の技術は、任意に、メモリ1008に取り込まれるソフトウェアデバイスにおいて実行され、構成されるDVD/CD−ROM1010又は記憶ユニット1012において記憶され、搬送波信号で有線又は無線ネットワークリンク1014を介して通信されるが、上記の全てが行われるか、いずれかが行われる。これにより、図10に示すコンピュータシステム1000を、上述の動作を実行するための専用機械に変換する。
【0099】
I/O部1004は、1つ以上のユーザインターフェースデバイス(例えば、キーボード1016及び表示ユニット1018)、ディスク記憶ユニット1012、及びディスクドライブユニット1020に接続される。一般に、現代のシステムにおいては、ディスクドライブユニット1020は、DVD/CD−ROM媒体1010を読み込み可能なDVD/CD−ROMドライブユニットであり、DVD/CD−ROM媒体1010は、通常、プログラム及びデータ1022を含む。既述の技術に係るシステム及び方法を達成するための機構を含むコンピュータプログラム製品は、システム1000のメモリ部1004、ディスク記憶ユニット1012、又はDVD/CD−ROM媒体1010に存在してもよく、あるいは、クラウド・コンピューティング・アーキテクチャを介してコンピュータプログラム製品で利用可能な外部記憶装置に存在してもよい。当該コンピュータプログラム製品は、1つ以上のデータベース管理製品、ウェブサーバ製品、アプリケーションサーバ製品、及び/又はその他の付加的なソフトウェアコンポーネントを含む。また、ディスクドライブユニット1020は、フロッピー(登録商標)ドライブユニット、テープドライブユニット、又はその他の記憶媒体ドライブユニットと取り換えるか、当該ユニットを追加してもよい。ネットワークアダプタ1024は、ネットワークリンク1014を介してコンピュータシステムをネットワークに接続可能であり、ネットワークリンク1014を通じて、コンピュータシステムは、搬送波上に具現化される命令及びデータを受信可能である。このようなシステムの例は、アップルコンピュータから販売されるIntel及びPowerPCシステム、デル株式会社又はその他のインテル互換パソコンの製造業者から販売されるパソコン、AMDベースのコンピューティングシステム、ならびに、WINDOWS(登録商標)ベース、UNIX(登録商標)ベース、又はその他のオペレーティングシステムを実行するその他のシステムを含む。コンピューティングシステムは、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、スマートフォン、ゲーム機、セットトップボックス、タブレット又はスレート(例えば、iPad)等の装置を具現化してもよいことを理解されたい。
【0100】
LANネットワーク環境において使用されるときには、コンピュータシステム1000は、ネットワークインターフェース又はアダプタ1024を介してローカルネットワークに(有線又は無線)接続され、ネットワークインターフェース又はアダプタ1024は、通信装置の1種である。WANネットワーク環境において使用されるときには、コンピュータシステム1000は、通常、モデム、ネットワークアダプタ、又は広域エリアネットワーク上での通信を行うその他の種類の通信装置を備える。ネットワーク環境において、コンピュータシステム1000又はその一部に対して図示されるプログラムモジュールは、遠隔記憶装置に記憶されてもよい。図示のネットワーク接続は、例示であり、コンピュータ間の通信リンクを確立するその他の手段又は通信装置を使用可能であることに留意されたい。
【0101】
さらに、複数の内部及び外部データベース、データストア、ソースデータベース、及び/又はクラウドサーバ上のデータキャッシュは、メモリ1008又はその他の記憶システムとして記憶され、当該その他の記憶システムは、例えば、ディスク記憶ユニット1012又はDVD/CD−ROM媒体1010と、クラウド・コンピューティング・アーキテクチャを介してアクセス及び利用可能なその他の外部記憶装置との両方又はいずれか一方である。またさらに、ここにおいて開示するシステムの動作の一部又は全ては、処理部1002によって実行可能である。さらに、ここにおいて開示するシステムの1つ以上の機能は、処理部1002によって作成可能であり、ユーザは、1つ以上のユーザインターフェースデバイス(例えば、キーボード1016及び表示ユニット1018)を使用して、ウェブサービスコール及び明確なユーザインプットのないインターフェースを含むがこれに限定されるものではない任意の方法を介して、第三者のウェブサイト、ならびに、他のオンラインソース及びデータストアから直接受信される使用中のデータの一部を有するGUIと相互作用可能である。
【0102】
サーバは、ここにおいて開示する標準構造部材を使用するシステムを機能させる。また、代替的な実施形態においては、サーバは、標準構造部材を使用するシステムにアクセスするためにユーザがアクセスするウェブサイト又はアプリケーションを機能させる。サーバは、単数のサーバであってもよく、複数のサーバであってもよい。当該サーバの夫々は、物理サーバ又は仮想サーバ、あるいは、その両方からなるサーバ群であってもよい。あるいは、クラウドは、標準構造部材を使用するシステムの1つ以上の構成要素を機能させる。ユーザデバイス、サーバ、クラウド、ならびに、通信ネットワークに接続されるその他のリソースは、標準構造部材を使用するシステムにおいて使用される1つ以上のウェブサイト、アプリケーション、ウェブサービスインターフェース等へのアクセスを得るためのサーバの1つ以上にアクセスする。また、一実施形態においては、サーバは、標準構造部材を使用するシステムにアクセスするシステムによって使用される検索エンジンを機能させ、標準構造部材を使用するシステムにおいて使用される1つ以上のサービスを選択する。
【0103】
本発明の説明は、例示としてのみ解釈され、発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的でなされるものである。その詳細については、発明の精神から逸脱することなく実質的に変更可能であり、添付の特許請求の範囲内にある全ての変形例の排他的使用を留保する。
図1
図2
図3
図3.1】
図4
図4.1】
図4.2】
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