(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同期回転するピストンチャンバを備えた2つのスウォッシュブロックが存在し、ロータ回転中に第1のスウォッシュブロックのピストンチャンバと第2のスウォッシュブロックのピストンチャンバとが高オイル圧源に交互に接続し、前記第1のスウォッシュブロックが第1の位置決めチャンバを有し、前記第2のスウォッシュブロックが同様の第2の位置決めチャンバを有し、供給ライン(20)が前記第1の位置決めチャンバを前記第2の位置決めチャンバと接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液圧スウォッシュブロック位置決めシステム。
前記第1のスウォッシュブロック及び前記第2のスウォッシュブロックと協働する前記ピストンチャンバは、前記スウォッシュブロック間において結合されたロータに取り付けられ、前記第1のスウォッシュブロックと前記第2のスウォッシュブロックとは、ロータ回転軸に直角である平面に対して対称である、
ことを特徴とする請求項2に記載の液圧スウォッシュブロック位置決めシステム。
前記第1の位置決めチャンバは、第1の流れ制限(57)を有する第1の供給ライン(20)を介して可動分離壁(58)を備えたフローリミッタ(55)の第1の側に接続し、前記第2の位置決めチャンバは、第2の流れ制限を有する第2の供給ライン(20)を介して前記可動分離壁の第2の側において前記フローリミッタに接続し、フローリミッタ制限(59)を備えたラインは、前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインとを接続し、これにより前記フローリミッタ(55)の周囲にバイパスを形成する、
ことを特徴とする請求項2、請求項3又は請求項4に記載の液圧スウォッシュブロック位置決めシステム。
前記制御バルブは、前記位置決めチャンバの平均オイル圧と、前記スウォッシュブロック位置の平均値の所定の変化に応じた制御圧とによって制御されるスプールを備えた液圧サーボバルブであり、それぞれのスウォッシュブロックのための別個の液圧サーボバルブが存在する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液圧スウォッシュブロック位置決めシステム。
最大容量バルブ(70)は、第1の所定のスウォッシュブロック位置に近づくことを検出するセンサを有し、前記最大容量バルブ(70)は、前記所定のスウォッシュブロック位置に達すると前記位置決めチャンバ(19、33)を前記高オイル圧源(54)に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液圧スウォッシュブロック位置決めシステム。
前記位置決めチャンバ(14)は、前記スウォッシュブロック位置のための第2の制限を作り出すように第2の所定のスウォッシュブロック位置に達すると開く流出開口部(73)を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液圧スウォッシュブロック位置決めシステム。
前記位置決めチャンバ(14)は、前記位置決めピストン(18)の周りに前記スウォッシュブロック(8)に取り付けられ、前記流出開口部は、前記位置決めシリンダ(14)の内部壁の軸方向端部において前記スウォッシュブロック(8)から離間して位置付けられる凹部(73)によって形成されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の液圧スウォッシュブロック位置決めシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したように、スウォッシュブロックは振動し、従って位置決めチャンバ102は可変容量を有する。振動スウォッシュブロックによって引き起こされる位置決めチャンバ102の可変容量は、位置決めチャンバ102、供給ライン112及び制御流れライン106のオイル容量の圧縮及び膨張、並びに振動オイル圧を引き起こす。この振動オイル圧は、供給ライン112の中へ制御バルブ105を通る可変オイル流れと供給ライン111の外へ流れ制限107を通る可変オイル流れとを引き起こし、それによって、供給ライン112の結果生じる平均オイル圧は、平均スウォッシュブロック位置を確保する。これらの平均値は、ポンプの回転速度及び振動周波数とほぼ無関係である。
【0007】
スウォッシュブロックの振動によって引き起こされるオイルの膨張及び圧縮が供給ライン112の極めて低い及び/又は高いオイル圧を引き起こして許容値内にとどまることを防止するために、制御バルブ105を通る高オイル圧源104への接続は十分に開いておく必要があり、従って流れ制限107もまた十分に開いておく必要があり、それはドレーン及び低オイル圧源103への相当なオイル流れを引き起こす。従来技術に従った設計の欠点は、制御バルブ105及び流れ制限107を通る低圧源103への高圧オイルのオイル流れが高圧オイルの相当な損失を引き起こし、従って液圧効率の低下を引き起こすことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この欠点を克服するために、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項1の特徴部に従っている。
【0009】
このようにして、スウォッシュブロックの振動に起因する位置決めチャンバの容量の変化は可変容器容量の変化によって補償され、供給ラインの低過ぎるオイル圧及び/又は高過ぎるオイル圧が回避される。流れ制限は、スウォッシュブロックにおける振動トルクによって引き起こされるスウォッシュブロック振動を減衰させるために位置決めチャンバの圧力変化を作り出すことができる。
【0010】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項2に従っている。このようにして、第2の位置決めチャンバは、第1の位置決めチャンバのための可変容器容量として作用し、その逆の場合もまた同様である。両方の位置決めチャンバと供給ラインとの結合されたオイル容量は、オイル容量の圧縮及び膨張が低減されて極圧が低減されるようにほぼ一定である。
【0011】
2つのスウォッシュブロックの場合、スウォッシュブロックにおける振動トルクは、反対状態(counter phase)にあり、位置決めチャンバが同様の設計を有するとき、位置決めチャンバの容量は、同様に反対状態にあることに注意すべきである。
【0012】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項3に従っている。このようにして、液圧装置は、スウォッシュブロックを位置決めするための導管(canal)を含む単一ハウジングを備えたコンパクトな設計を有し、その対称な設計は、結合された振動が強く低減されてその基礎(foundation)における振動(vibration)が回避されるようにスウォッシュブロックを反対方向に振動させる。
【0013】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項4に従っている。このようにして、位置決めチャンバを接続するラインを通る小さな連続したオイル流れが存在し、位置決めチャンバの振動オイル容量の発熱が回避される。
【0014】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項5に従っている。このようにして、第1の位置決めチャンバから第2の位置決めピストンへのオイル流れは、より高い周波数で起こる小さい振動がほとんど抵抗を受けないように第1の流量のために流れ抵抗がないか小さな流れ抵抗を受ける。より低い振動周波数で起こるより大きい振動については、制限された流れの後に増大した流れ抵抗が存在する。これは、所定の容量までより大きい振動運動のための十分なオイル流れを許容し、その上に、その振動運動は、低い振動周波数で起こる行き過ぎが回避されるように抵抗を受ける。
【0015】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項6に従っている。このようにして、制御バルブは、液圧制御システム及び/又はハウジングに簡単な方法で一体化することができる。
【0016】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項7に従っている。このようにして、最大及び最小スウォッシュブロック角度は、液圧制御することができ、それによってハウジングに対するスウォッシュブロックの激しい停止によって引き起こされるスウォッシュブロック軸受における更なる力を回避することができる。
【0017】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項8に従っている。これは、位置決めチャンバのオイル圧が増大するときにオイル容器の容量がオイル容器容量調節部材を用いて同期して増大されることを意味する。これは、供給ラインにおいて過度の圧力上昇を回避する。位置決めピストンのオイル圧が減少する場合、オイル容器から位置決めピストンにオイルを移動させるためにオイル容器の容量は同期して減少される。これは、供給ラインにおいて低過ぎる圧力を回避し、従ってキャビテーションの危険性を最小限にする。
【0018】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項9に従っている。このようにして、位置決めチャンバの圧力は、スウォッシュブロック位置が第1の所定のスウォッシュブロック位置に達するときに突然変化し、更なる移動が制御バルブの設定とは無関係に停止して最大容量(maximum displacement)バルブは損害を防止する。
【0019】
一実施形態によれば、液圧スウォッシュブロック位置決めシステムは、請求項10又は請求項11に従っている。このようにして、位置決めチャンバの圧力は、スウォッシュブロック位置が第2の所定のスウォッシュブロック位置に達するときに突然変化し、更なる移動が制御バルブの設定とは無関係に停止して流出開口部(spill opening)は損害を防止する。
【0020】
本発明を、図面を用いて実施形態に関連して以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、従来技術の可変容量ポンプ101及びその制御システムを概略的な方法で示す。
【0023】
従来技術のポンプ101は、ピストンを備えたロータと、可変行程容積を備えたピストンチャンバとを有する。ポンプ101は、行程容積を設定するスウォッシュブロック角度にスウォッシュブロック軸周りに回転することができるスウォッシュブロックを備えている。ポンプ101の液圧制御システムは、スウォッシュブロック角度を設定するための位置決めチャンバ102を備えた液圧スウォッシュブロック位置決めピストンを有する。ポンプ101のピストンチャンバ102は、バルブプレートを介して低オイル圧源103と高オイル圧源104とに交互に接続される。
【0024】
位置決めチャンバ102は、制御バルブ105によって制御され、制御バルブ105は、制御流れライン106及び場合によっては可変制限107を通る低圧源103へのオイル流れを決定する。これは、位置決めチャンバ102への供給ライン112の一定の圧力レベルを引き起こす。ロータが回転しない静的状況では、供給ライン112の圧力は、一定の値を有し、制御バルブ105及び制限107の設定によって決定される。
【0025】
制御バルブ105が制御流れライン106を通るより高い流れの状態に調節される場合、より高いオイル圧が供給ライン112及び位置決めチャンバ102に作り出される。これは、ポンプ101のスウォッシュブロックがより小さい行程容積及びより小さいポンプ容量の状態に回転されることを意味する。
【0026】
スウォッシュブロックがスウォッシュブロック回転軸周りに振動しない理論状況では、制御バルブ105及び流れ制限107の設定は、位置決めチャンバ102及び供給ライン112のほぼ一定の圧力を決定する。しかしながら、スウォッシュブロックに振動トルク負荷が存在すると共にスウォッシュブロックは実際には高い周波数で振動し、従って、位置決めチャンバ102は可変容量を有し、供給ライン112のみがこの可変容量にオイルを供給することができる。位置決めチャンバ102への流れが小さ過ぎる場合、位置決めチャンバ102において圧力を受ける結果、キャビテーション及び損害を引き起こし得る。これを防止するために、制御バルブ105を通る流れは、位置決めチャンバ102に十分なオイル流れを供給するのに十分である必要があり、制御バルブ105の設定は比較的大きい開口である必要があるためにスウォッシュブロックの振動に従う必要がある周波数において制御バルブ105の設定を変更することは不可能である。制御流れライン106の圧力を特定の値に設定するために、制御バルブ105の大きい開口は、制限107を通る流れが非常に十分であることが必要であり、そのため、制御バルブ105及び制限107を通る相当なオイル流れは、位置決めチャンバ102のキャビテーションを防止するために必要である。
【0027】
結果として、制御バルブ105及び流れ制限107を通じて流れるオイルは、比較的高い流動損失を引き起こす。
【0028】
図2は、本発明に係る液圧スウォッシュブロック位置決めシステムを備えた液圧ポンプ12の一実施形態を示す。モータ(図示せず)は、スプラインを有するシャフト端部24を介してポンプ12を駆動する。ポンプ12は、(
図2に示されていない)圧力ラインと接続され、低オイル圧源から高オイル圧源へ低圧のオイルを高圧のオイルに圧縮する。
【0029】
ポンプ12は、第1のカバー10と第2のカバー23とがボルト11を用いて固定されたハウジング22を有し、第1のカバー10と第2のカバー23とは、シャフト3が第1の軸L周りに回転することができる軸受2を有する。シャフト3は、第2のカバー23を通じて封止して延在し、スプラインを有するシャフト端部24において終端する。
【0030】
シャフト3はハウジング22の中央にフランジ29を有しており、フランジ29の両側にポンププランジャ28が延在し、この実施形態では両側に12のポンププランジャ28が延在する。フランジ29の一方側にあるプランジャ28は、反対側にあるプランジャ28間に配置され、それによって位相が異なる運転(out of phase operation)を作り出す。ポンプシリンダ26は、ポンププランジャ28を囲み、チャネルプレート(channel plate)25に支えられている。ポンププランジャ28は、ポンプシリンダ26の内面に対して封止する球形封止面を有し、その結果、ポンプシリンダ26の内部は、ポンププランジャ28と共にポンプチャンバを形成する。使用中、ポンプシリンダ26は、ポンプチャンバの圧力の影響を受けてチャネルプレート25に対して封止する。漏れがポンプチャンバの圧力が低過ぎる状況において起こることを防止するために、スプリング27が備えられ、このスプリング27は、チャネルプレート25に対してポンプシリンダ26を押圧する。別の実施形態では、スプリング27に代えて又はスプリング27に加えて、ロック手段が、チャネルプレート25に対してポンプシリンダ26を保持し、それによってチャネルプレート25におけるポンプシリンダ26の滑動移動の可能性を維持する。
【0031】
ポンプシリンダ26の底部にある開口部は、チャネル31と接続し、チャネル31は、チャネルプレート25のバルブ表面6において終端する。バルブ表面6は、スウォッシュブロック8のスウォッシュブロック表面7にわたって回転する。チャネルプレート25は、シャフト3と共に回転すると共に球形形状カップリング4によってシャフト3と連結され、その結果、チャネルプレート25は、カップリング4上において旋回し、第1の軸Lと交差する第2の軸M(図示せず)周りに回転することができる。スウォッシュブロック8は、第2の軸Mの傾斜角度を決定する。ポンプシリンダ26の中心線M´の方向は、第2の軸Mに平行であり、その結果、ポンププランジャ28とポンプシリンダ26との間の封止面は、第2の軸M及び中心線M´に直角である。第1のカバー10と第2のカバー23とハウジング22とは、圧力ラインをスウォッシュブロック8と、従ってポンプチャンバと接続する導管(図示せず)を有する。シャフト3の全回転において第1の軸Lと第2の軸Mとの間の角度のために、ポンプチャンバの容量は、最大容量と最小値との間において行程容積を変化させる。行程容積は、ポンプ容量を決定する。
【0032】
第1の軸Lと第2の軸Mとを通る中心面に直角であると共にこれらの軸L及びMと交差するスウォッシュブロック軸N(
図5及び
図6参照)周りにスウォッシュブロック8を回転させることによって、第1の軸Lと第2の軸Mとの間の角度が変化され、これと共に行程容積及びポンプ12の容量もまた変化される。第1のアクチュエータ33と第3のアクチュエータ19とは共に、スウォッシュブロック角度を設定するための位置決め駆動装置を形成し、スウォッシュブロック軸周りに第1の方向にスウォッシュブロック8を回転させることができる。第1のアクチュエータ33は、第1のカバー10に取り付けられたプランジャ1を有する。シリンダ14は、プランジャ1の周りに取り付けられている。スウォッシュブロック8の回転に従うために、シリンダ14の下側は、スウォッシュブロック8の溝部34の底部である滑動面35上を滑動することができる(
図3参照)。プランジャ1及びシリンダ14によって形成される第1のアクチュエータ33のアクチュエータチャンバは、底部において開口し、第3のアクチュエータ19の同様のアクチュエータチャンバへのスウォッシュブロック8の相互接続チャネル17と接続する。第3のアクチュエータ19は、ハウジング22に取り付けられた支持体21に取り付けられた中空プランジャ18を有する。この中空プランジャ18を通る導管は、後で説明されるように、制御ユニットに接続される供給ライン20の一部である。供給ライン20のオイル圧を増大させることによって、第1のアクチュエータ33と第3のアクチュエータ19とは、行程容積を低減する位置の方へスウォッシュブロック8を回転させる。
【0033】
第2のアクチュエータ13は、補償駆動装置を形成し、第1のカバー10に取り付けられたプランジャ1と滑動面35上を滑動可能であるシリンダ14とを有する。そのアクチュエータチャンバは、シリンダ14の底部にある開口部を通じて、アクチュエータチャンバを高圧ポート39と接続するスウォッシュブロック8の高圧チャネル16と接続される(
図5及び
図6参照)。高圧ポート39は、高圧のオイルを有する圧力ラインに接続される。第2のアクチュエータ13は、第1のアクチュエータ33及び第3のアクチュエータ19において負圧によって反対のトルクを作り出すことができないので、ポンプシリンダ26がスウォッシュブロックに及ぼすトルクに反対に作用する。従って、第2のアクチュエータ13は基本的に補償トルクを作り出す。
【0034】
ポンプ12を起動するとき、スプリング30は、傾斜位置にスウォッシュブロック8を押圧する。スプリング支持体32は、スウォッシュブロック8にスプリング30を位置付ける。前記傾斜位置では、行程容積は起動中において最大である。
【0035】
シリンダ14とスウォッシュブロック8との間の漏れを防止するために、シリンダ14は、スウォッシュブロック8に対してスプリング(図示せず)によって押圧される。別の実施形態では、(スプリングに加えて又はスプリングに代えて)スウォッシュブロック8に対して封止してシリンダ14を保持するロック手段が存在する。ポンプ12が起動した後に、アクチュエータチャンバの圧力は、スウォッシュブロック8に対してシリンダ14を押圧する。
【0036】
図3から
図6は、ポンプ12の内部及びスウォッシュブロック8を示す。それぞれのスウォッシュブロック8は、スウォッシュブロック表面7に高圧ポート39及び低圧ポート40を有し、これらのポートの間にクロスオーバー(crossover)領域41が存在する。スウォッシュブロック8の他方側は、第1のカバー10又は第2のカバー23の円筒形支持面(図示せず)に支えられる円筒形軸受面37を有する。スウォッシュブロック8は、この円筒形支持面においてスウォッシュブロック軸N周りに回転することができる。高圧ポート39の反対側に位置する円筒形軸受面37は、スウォッシュブロック8において高圧ポート39と接続する高圧導管38を有する。第1のカバー10又は第2のカバー23において、高圧導管38は、高圧圧力ライン又は高オイル圧源に継続する。同様に、低圧ポート40の反対側に位置する円筒形軸受面37は、第1のカバー10又は第2のカバー23において低圧圧力ライン又は低オイル圧源に接続する低圧導管36を有する。
【0037】
動作中、高圧ポート39は、高圧ポート39の位置におけるスウォッシュブロック表面7とバルブ表面6との間の高オイル圧と、ポンプ12の高圧及び低圧内部間のシールとして作用する高圧ポート39の周囲の領域である周囲の封止ランド部(land)における減少する圧力とを作り出す。高オイル圧は、円筒形軸受面37の高圧導管38及び周囲の封止ランド部の高圧によって引き起こされるスウォッシュブロック表面7の方向の力によってほぼ完全に反対に作用する力をスウォッシュブロック8に引き起こす。この要件は、円筒形軸受面37の高圧導管38の領域を決定する。
【0038】
ポンプシリンダ26及びチャネル31の回転によって、チャネル31が高圧ポート39との接続から低圧ポート40へ変化するときに又は逆の場合も同様にクロスオーバー領域41において圧力変化を引き起こす。この変動圧力は、スウォッシュブロック8に変動力を引き起こし、スウォッシュブロック表面7とバルブ表面6との間に変動間隙を引き起こし、それは、ポンプ12の効率を低減するようなできる限り少なくする必要があるオイル漏れを引き起こす。これらの隙間を低減するために、第1のアクチュエータ33と第2のアクチュエータ13とは、スウォッシュブロック表面7の方向にスウォッシュブロック8に、この表面に直角である方向を有する力を及ぼす。このようにして、アクチュエータの力は、スウォッシュブロック8の変形を低減する。アクチュエータは、スウォッシュブロック8においてスウォッシュブロック軸Nから、クロスオーバー領域41の半径に等しい又は該半径より大きいある距離において作用し、それはまた、スウォッシュブロック8の変形を低減する。好ましくは、アクチュエータの位置は、シリンダ14のプランジャ1及び18の行程がポンプシリンダ26のポンププランジャ28の行程に等しい又はそれ未満であるようにあり、そのため、同一部品を使用することができる。これは、第1の軸Lに対するアクチュエータの距離が第1の軸L周りにポンププランジャ28の半径の最大2倍であり得ることを意味する。
【0039】
圧力ポート39及び40の半径より大きいスウォッシュブロック軸Nからある距離にアクチュエータを配置することは、シャフト3がスウォッシュブロック8の穴を通じて延在することができるという更なる利点を有する。そのとき互いに一列に幾つかのポンプを配置することができ、それによってシャフト3が接続される。
【0040】
開示された実施形態は、2組のポンププランジャ28を示し、それぞれがスウォッシュブロック8と共に作動する。この設計は、第1の軸Lと第2の軸Mとの間の小さい角度が大容量のポンプを得るという利点を有する。
【0041】
以上に記載されるように、ピストンチャンバは、スウォッシュブロック8の高圧ポート39を介して高オイル圧源又はスウォッシュブロック8の低圧ポート40を介して低圧源と接続される。高圧ポート39と接続されるピストンチャンバと低圧ポート40と接続されるピストンチャンバとは共に、スウォッシュブロック8に結果生じる力を及ぼす。シャフト3の回転運動のために、スウォッシュブロック軸Nと、前記結果生じる力がスウォッシュブロック8に及ぼされる位置との間のアームの長さは、第1の軸L周りの回転中に変化する。この変化は、ピストンチャンバの数の増加及び/又はピストンチャンバの半端な数(odd number)と共に減少され得る。
【0042】
さらに、ピストンチャンバが高圧ポート39と低圧ポート40との間のクロスオーバー領域41を通過するときに通過するピストンチャンバの圧力は変化し、移行部又はクロスオーバー領域41は、
図4において見ることができる。これは、スウォッシュブロック8に前記結果生じる力と、その結果生じる力がスウォッシュブロック8に作用する位置とに影響を及ぼす。
図2から
図6に示されるようなポンプ12の実施形態では、あるピストンチャンバは、上死点において高圧ポート39から低圧ポート40へのクロスオーバー領域41を通過し、あるピストンチャンバは、それと同時に下死点において低圧ポート40から高圧ポート39へのクロスオーバー領域41を通過する。結果として、スウォッシュブロック軸Nに対して前記結果生じる力の範囲及び位置は、シャフト3の回転中に変化する。
【0043】
スウォッシュブロック8に変動する結果生じる力は、スウォッシュブロック8にスウォッシュブロック軸N周りにおける旋回トルクを作り出し、旋回トルクは、1秒当たりのシャフト3の全回転数の倍数でスウォッシュブロック8に沿って回転するピストンチャンバの数に等しい振動周波数で振動する。
【0044】
以上に記載されるように、
図1に示されるような単一スウォッシュブロックを備えた従来技術のポンプの制御システムに関して、
図2から
図6に示されるようなポンプ12の両方のスウォッシュブロック8の振動はまた、第1のアクチュエータ33及び第3のアクチュエータ19のオイル容量の変動する圧縮及び膨張を引き起こす。
【0045】
図7は、ポンプ12の2つのスウォッシュブロック8を位置付けるための位置決めシステムの一部を概略的に示し、位置決めシステムは、後述されるように、1つのスウォッシュブロック8を備えたポンプのために使用されるように構成することができる。供給ライン20は、第1及び第2のアクチュエータ33、19の中空プランジャ18に接続される。供給ライン20は、それぞれの供給ライン制限57を介して制御流れライン51に接続される。流れライン51は、一方では制御バルブ52を介して高オイル圧源54に接続し、他方では下流制限56を介してドレーン53によって形成された低オイル圧源に接続する。制御バルブ52は、制御流れライン51及びドレーン53への下流制限56を通るオイル流れを変化させることができ、従って供給ライン制限57間における流れライン51のオイル圧を決定することができる。高オイル圧源54は、ポンプ12の高圧導管38に接続される。
【0046】
ポンプ12の位相が異なる運転のために、スウォッシュブロック8は、反対状態で振動し、第1及び第2のアクチュエータ33、19を同様に反対状態で振動させる。言い換えれば、一方側のスウォッシュブロック8は、対応する供給ライン20の圧力上昇を引き起こすのに対し、反対側のスウォッシュブロック8は、対応する供給ライン20の圧力降下を引き起こす。結果として、供給ライン20及びそれぞれの供給ライン制限57を通るフランジ29の反対側におけるアクチュエータ33、19の間に振動するオイル流れが存在する。この振動するオイル流れには、スウォッシュブロック8の高い振動周波数に従うようにバルブが存在しない。
【0047】
さらに、アクチュエータ33、19間において振動するオイル容量を新たにする(refresh)ことが主に必要であるので、及び/又は発熱を防止するために、高圧源54からドレーン53へ制御流れライン51を通るオイル流れは、比較的小さい。これは効率に関して有利である。一定の運転状態下では、例えばポンプの回転速度に応じて、供給ライン20を通るアクチュエータ19、33間における振動するオイル流れは、高圧源54からドレーン53へ制御流れライン51を通るオイル流れよりもはるかに高くすることができ、例えば50〜100倍にすることができるが、制限56、57の選択に応じてより高い又はより低い割合が考えられることに注意すべきである。位置決めシステムは、アクチュエータ19、33及び対応する供給ライン20のキャビテーションの危険性を低減する。
【0048】
図8は、位置決めシステムの別の実施形態の一部を示す。図示される実施形態では、高オイル圧源54は、第2のアクチュエータ13又は補償ピストンに接続される。第1及び第2のアクチュエータ33、19への供給ライン20は、供給ライン制限57を介して、可動分離壁58を備えたフローリミッタ55に接続される。分離壁58は、供給ライン20にそれぞれ接続される2つの容量にフローリミッタ55を分割する。分離壁58は、フローリミッタ55のそれぞれの容量を最小値及び最大値の間において変化させる。さらに、フローリミッタ制限59は、2つの供給ライン20を接続する導管に位置付けられる。フローリミッタ制限59の流れ抵抗は、供給ライン制限57の流れ抵抗とは異なり得る。明瞭化のために
図8は制御バルブを示していないことに注意すべきである。
【0049】
図8に示されるような位置決めシステムはまた、単一スウォッシュブロック8を有するポンプにおいて使用されるように構成することができる。その場合、単一スウォッシュブロックのアクチュエータ19、33は、供給ライン制限57を介してフローリミッタ55に接続される一方、フローリミッタ制限59が位置付けられるラインは、供給ライン20の平均圧力に等しい圧力を有する圧力源に終端する。分離壁58は、電気的又は機械的であり得る駆動装置を有し、2つの反対側のスウォッシュブロックを含むポンプなどで供給ライン20を通る変動するオイル流れの同様の効果が作り出されるようにアクチュエータ33、19に関して反対状態で振動され得る。
図7に示されるような位置決めシステムに同様に適用することができ、それによって一対のアクチュエータ19、33の一方は、ポンプの第2のスウォッシュブロックに接続されないが、外部手段によって振動周波数において反対状態に変更される調整可能容量によって置換される。
【0050】
図9は、制御バルブ52が液圧作動されると共にスウォッシュブロック8に取り付けられたポンプ12の一実施形態の一部を示す。その図は、2つのスウォッシュブロック8を備えたポンプ12の制御バルブ52を示す。同じ設計が1つのスウォッシュブロックを備えた液圧装置又はポンプに適用されることは明らかである。
【0051】
図10は、制御バルブ52を拡大して示すと共に対応する液圧概略記号を示す。制御バルブ52は、3ポート3位置サーボバルブ(3/3 servo valve)であり、サーボスプール60を有する。アクチュエータピン61は、ハウジング22に備えられ、サーボスプール60を移動することができる。
図11は、サーボスプール60を拡大して示す。アクチュエータピン61の一端は、制御ユニット(図示せず)によって設定される制御圧62に接続されるシリンダにおいて終端する。サーボスプール60の一端は、詰まりを防止するためにスプール表面の外部周囲に位置付けられるサーボスプール制限64を通じて制御流れライン51に接続されるシリンダにおいて終端する。制御バルブ52は、アクチュエータピン61及びサーボスプール60のそれぞれの反対側に反対方向の力を及ぼす制御圧62と制御流れライン51の平均圧との圧力差に基づいて第1のアクチュエータ33及び第3のアクチュエータ19のオイル量を調節することができる。
図10は、制御流れライン51が高圧源65と低圧源66とに選択的に接続することができることを示す。
【0052】
図12から
図15は、スウォッシュブロックがより大きい平均スウォッシュブロック角度に旋回する必要がある場合における制御バルブ52の作動を示す。
図12は、その場合にサーボスプール60及びアクチュエータピン61が右に移動するように制御圧62がアクチュエータ圧63に対して低下されることを示す。
図12の液圧概略記号は、制御流れライン51がこの状態において低圧源66に接続され、制御流れライン51から低圧源66へのオイル流れを引き起こすことを示す。この流れは、
図13において矢印F1を用いて示されている。制御流れライン51において結果生じる圧力降下のために、供給ライン20、第1のアクチュエータ33及び第3のアクチュエータ19のオイル量は、スウォッシュブロック8がより大きいスウォッシュブロック角度に移動するように減少し、それは、
図14において見ることができる。これは、より大きいポンプ容量を引き起こすより大きい行程容積を意味する。所定のポンプ容量が達せられるとすぐに、制御圧62は、アクチュエータピン61及びサーボスプール60が左に移動されるように制御ユニットによって増大される(
図15参照)。新しいスウォッシュブロック角度において、制御バルブ52は高圧源65及び低圧源66から制御流れライン51を閉じる。
【0053】
図16及び
図17は、スウォッシュブロックをより小さいスウォッシュブロック角度に旋回する必要がある場合における制御バルブ52の作動を示す。
図16は、サーボスプール60及びアクチュエータピン61が左に移動されるように制御圧62が平均アクチュエータ圧63に対して高くされることを示す。
図16はまた、高圧源65から制御流れライン51へオイルが流れることを示す。制御流れライン51、供給ライン20、第1のアクチュエータ33及び第3のアクチュエータ19に結果生じるオイル量の増大のために、スウォッシュブロック8は、より小さいスウォッシュブロック角度に移動し、それは、
図17において見ることができる。これは、より小さいポンプ容量を引き起こすより小さい行程容積に対応する。所望のポンプ圧が達せられるとすぐに、制御圧62は、アクチュエータピン61及びサーボスプール60が右に移動されるように制御ユニット62によって低下され、その状態において、制御バルブは、高圧源65及び低圧源66から制御流れライン51を閉じる。制御ユニットは、制御システムにおいてポンプの所望の設定を得るために制御圧62を使用してポンプ容量を制御することに注意すべきである。制御システムでは、液圧、ポンプ容量及び/又はポンプによって使用される動力は、設定を決定する。
【0054】
図18から
図20は、最小スウォッシュブロック角度にある制御バルブ52の作動を示す。
図18は、アクチュエータピン61が障害物67の存在のためにハウジング22に対してさらに外側に移動することができないことを示す。より高い制御圧62は通常は、以上に説明されるように、より小さいスウォッシュブロック角度を引き起こすが、これは、今や障害物67のために起こり得ない。この状態においてスウォッシュブロックがより小さい角度に旋回する場合、サーボスプール60は、
図18に示されるようにアクチュエータピン61から分離される。この状態において、サーボスプール60は、サーボスプール60の端部に位置付けられたアクチュエータ圧63及び/又はスプリング68によってスウォッシュブロック8に対して右に移動される。制御流れライン51はそのとき、低圧源66に接続され、制御流れライン51から低圧源66へのオイル流れを引き起こす。これは、
図19において矢印F2を用いて示されている。結果として、スウォッシュブロック8は、より大きいスウォッシュブロック角度に移動する一方、サーボスプール60は、アクチュエータピン61に衝突するまで右にスウォッシュブロックと共に移動する。サーボスプール60は、バルブ52が高圧源65及び低圧源66から制御流れライン51を閉じるようにスウォッシュブロック8に対して左に変位される。
【0055】
図21及び
図22は、最大スウォッシュブロック角度にある制御バルブ52の作動を示す。
図21は、アクチュエータピン61が障害物69の存在のためにハウジング22に対してさらに内側に移動することができないことを示す。より低い制御圧62は通常は、以上に説明されるように、より小さいスウォッシュブロック角度を引き起こすが、これは、今や障害物69のために起こり得ない。この状態において、スウォッシュブロックは、より大きい角度にまだ旋回する場合、サーボスプール60は、アクチュエータピン61に衝突するためにスウォッシュブロック8に対して左に変位される。これは、
図21に示されている。制御流れライン51はそのとき、高圧源65に接続され、スウォッシュブロック8をより小さいスウォッシュブロック角度に移動させる。その次にアクチュエータ圧力63は、バルブ52が高圧源65及び低圧源66から制御流れライン51を閉じるように(
図22を参照)サーボスプール60をスウォッシュブロック8に対して右に付勢する。これは、制御システムが液圧制御された最大スウォッシュブロック角度を有すると共にスウォッシュブロック8とハウジング22との間における機械的停止を必要としないことを意味する。
【0056】
図23及び
図24は、スウォッシュブロック8の最大及び最小角度をそれぞれ制御するための別の制御システムを示す。
図23は、ポンプ12のハウジング22のシリンダ72において移動可能であるバルブプランジャ71を含む最大容量バルブ70を示す。バルブプランジャ71は、スウォッシュブロック8に連結され、スウォッシュブロック8が回転するときにシリンダ72内部を移動する。スウォッシュブロック8が所定の最大角度を超えて回転する傾向がある場合、最大容量バルブ70が開く。結果として、第1及び第2のアクチュエータ33、19は、スウォッシュブロック角度の低減を引き起こす高オイル圧源54に接続される。所定の最大角度は、バルブプランジャ71の長さを変更することによって変えることができる。
【0057】
図24は、別のポンプ22の実施形態の一部を断面で示す。第3のアクチュエータ19のシリンダ14が、シリンダ14の内部壁の軸方向端部においてスウォッシュブロック8から離れて位置付けられる凹部73を備えていることを見ることができる。凹部73は、スウォッシュブロック8の所定の最小角度においてシリンダ14とプランジャ18との間に小さい漏れが作り出されるように位置付けられる。結果として、スウォッシュブロック8がより小さい角度に回転する傾向がある場合、オイルは、凹部73を介して第3のアクチュエータ19から流出し、第3のアクチュエータ19における圧力と内部接続のために第1のアクチュエータ33の圧力とはまた減少する。その次に第2のアクチュエータ13は、スウォッシュブロック8をより大きい角度に押圧する。この形態は、自動最小角度制御を作り出す。
【0058】
本発明の更なる実施形態では、スウォッシュブロック位置決めシステムは、その記載がこれによって本明細書に組み入れられる国際公開第2012050446号に記載される液圧装置において面板を設定するために使用される。この実施形態における面板は、2つの回転軸周りに回転し、その文献に記載されるように、これらの2つの回転が連結されて面板の設定が単一液圧アクチュエータによって制御されるように設計することができる。国際公開第2012050446号に記載される液圧装置の面板はまた、ピストンチャンバの回転中に位置及び力において振動するピストンチャンバの結果生じる力を受ける。これは、液圧アクチュエータに振動負荷を引き起こし、本発明の実施形態は、液圧アクチュエータにおいてキャビテーションを防止する。