特許第6404237号(P6404237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404237
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】飲料調製機のためのバスケット
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20181001BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20181001BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A47J31/06 320
   A47J31/36 120
   B65D85/72 200
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-557536(P2015-557536)
(86)(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公表番号】特表2016-512444(P2016-512444A)
(43)【公表日】2016年4月28日
(86)【国際出願番号】IB2014058641
(87)【国際公開番号】WO2014125390
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2017年1月26日
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2013/051175
(32)【優先日】2013年2月13日
(33)【優先権主張国】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】510272403
【氏名又は名称】エシカル コーヒー カンパニー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】アラン・マリレル
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−538652(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0186450(US,A1)
【文献】 特表2013−500051(JP,A)
【文献】 特表2011−527920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B65D 85/72 − 85/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプタクル内の飲料、例えばコーヒーの調製に使用される機械のためのバスケット(1)であって、該バスケット(1)の内側(4)と外側との直接的なつながりを妨げる少なくとも1つのベース(5)によって端部のうちの1つで閉じられている少なくとも1つの径方向の溝(3)を有するリム(2)を含む、前記バスケット。
【請求項2】
複数の溝(3)を含む、請求項1に記載のバスケット。
【請求項3】
溝(3)は、バスケットの軸に対して垂直に延びるか、またはそうではないことがある、請求項1または2に記載のバスケット。
【請求項4】
溝(3)は、同じ長さまたは異なる長さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバスケット。
【請求項5】
溝(3)は、同じ深さまたは異なる深さを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバスケット。
【請求項6】
溝(3)は、同じ形状または異なる形状を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバスケット。
【請求項7】
溝(3)および/またはベース(5)は、バスケット(1)に形成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバスケット。
【請求項8】
溝(3)および/またはベース(5)は、バスケット(1)に固定される少なくとも1つの構成要素に形成されるか、または、1つもしくはそれ以上の構成要素および/もしくはバスケット(1)に形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバスケット。
【請求項9】
構成要素は、バスケット(1)と同じ材料または別の材料のものである、請求項8に記載のバスケット。
【請求項10】
飲料、例えばコーヒーを形成することを目的とした製品を含むカプセル(10、12、14)と組み合わさる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のバスケット。
【請求項11】
カプセルは、接合部を形成しかつバスケットの溝(3)と協働する、手段(11、13)を含む、請求項10に記載のバスケット。
【請求項12】
接合部を形成する手段は、ビード(11)またはピーク(13)を含む、請求項11に記載のバスケット。
【請求項13】
飲料を抽出するためのものであり、また、請求項1〜12のいずれか1項に記載のバスケットを含む、デバイス。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のバスケットと組み合わさって飲料を抽出するためのデバイス。
【請求項15】
濃縮した一定量の製品、例えば挽いたコーヒーを含むエレメントから、そのようにして得られた混合物を抽出することにより、エレメントから飲料を抽出する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載のバスケットまたは請求項13もしくは14に記載のデバイスを使用する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、本願と同じ出願人の名において2013年2月13日に出願された先行出願PCT/IB2013/051175の優先権を主張するものであり、その先行出願の内容は、参照により全体が本出願に組み入れられる。
【0002】
本発明は、濃縮した一定量の製品、例えば挽いたコーヒー(coffee grounds)を含むエレメント内に水を導入し、そのようにして得られた混合物を抽出することにより飲料、例えばコーヒーを調製するための方法に関し、より詳細には、この目的のために使用されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
濃縮した一定量の製品を含む様々な種類のエレメントが知られており、このエレメントを通して水が導入され、濃縮した一定量の製品と混合されて、エレメントから抽出される。
【0004】
エレメントは、例えばカプセルまたは別の同等のレセプタクルの形態であり、これはバスケット内に導入され、また、例えばカプセルタイプバスケットと呼ばれる。
【0005】
カプセルタイプのエレメント内への水の導入は、エレメントの少なくとも1つの壁を穿孔することによって行われる。抽出は、エレメントの壁を穿孔するか引き裂くか破裂させることによって、または別の同等の方法によって行われ得る。
【0006】
バスケットは、特には、一定量の製品を含むエレメント(例えば、カプセル)が飲料の抽出および調製の工程中に保持されることを可能にする。
【0007】
バスケット/カプセル(または、一定量の製品を含む任意の他のエレメント)の組み合わせは、抽出中には不透過性でなければならず、また、抽出工程が完了した後でのそれらの分離を可能としなければならない。
【0008】
特許文献1および特許文献2は、コーヒーマシンにおけるカプセルバスケットについて説明しており、このバスケットは、径方向の開口部または溝によって鋸歯状にされたリムを含み、この開口部または溝は、バスケットの外側と内側との間での空気の通過を可能にするように、また、カプセルが使用された後でのバスケットからのカプセルの抜き出しを容易にするように、バスケットの外側をバスケットの内側に対して配置する。
【0009】
こうした溝の主な欠点は、正確には、それらがバスケットの外側と内側とを直接的な関係で配置し、それにより抽出工程中の不透過性が損なわれるという事実である。
【0010】
それでもなお、この鋸歯状のまたはギザギザの壁は、飲料が抽出される際にカプセルのリム上に結合部を形成するのに好都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP1654966号公報
【特許文献2】WO2009/090201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的のうちの1つは、飲料の調製のための改良されたデバイスを提供することである。
【0013】
特に、本発明の一目的は、抽出工程中に最適な不透過性を保持すると同時に、抽出工程が完了した後でのバスケットと例えばカプセルを含むエレメントとの容易な分離も可能にする、抽出デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、特に、特許請求の範囲に定義された手段によって達成される。
【0015】
1つの実施形態によれば、バスケットは、バスケットの内側と外側との直接的なつながりを妨げる少なくとも1つのベースによって閉じられている少なくとも1つの溝を有するリムを含む。
【0016】
バスケットは、複数の溝を含むことができる。
【0017】
溝は、バスケットの軸に対して垂直に延びるか、またはそうではないことがある。
【0018】
溝は、同じ長さまたは異なる長さを有することができる。
【0019】
溝は、同じ深さまたは異なる深さを有することができる。
【0020】
溝は、同じ形状または異なる形状を有することができる。
【0021】
溝は、バスケットに直接形成されるか、またはそうではないことがある。
【0022】
溝は、バスケットに固定される少なくとも1つの構成要素に、または1つもしくはそれ以上の構成要素およびバスケットに形成されるか、またはバスケットに固定される構成要素によって形成され得る。構成要素は、バスケットに嵌合されるか、または、バスケットに固定され得る。任意の他の同等の固定手段(接着剤による接着加工、螺着、等)が、本発明の文脈において想定され得る。同様に、溝のベースは、1つの追加構成要素(固定される、嵌合される、等)によって形成されるか、またはそうではないことがある。溝のベースは、バスケットに形成されてもよい。
【0023】
構成要素は、バスケットと同じ材料のものか、または別の材料のものであり得る。
【0024】
バスケットは、カプセル、例えばコーヒーのカプセルと組み合わせられ得る。カプセルは、材料のビードまたはピークのような、結合部を形成する手段を含み得る。
【0025】
本発明はまた、飲料を抽出するためのものであり、また、カプセルの有無にかかわらず本願で定義されたバスケットを含む、デバイスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】バスケット1、例えばカプセルバスケットの斜視図である。
図2】バスケット1のリム2の正面図である。
図3】バスケット1のリム2の断面図である。
図4】本発明のバスケット1と、そのリム10’上に材料のビード11を含むカプセル10との関連付けを示す。
図5】本発明のバスケット1と、そのエッジ12’上に材料のピーク13を含むカプセル12との関連付けを示す。
図6】本発明のバスケット1と、そのリム14’上に特定の接合要素を含まないカプセル14との関連付けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に示された実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0028】
図1は、バスケット1、例えばカプセルバスケットの斜視図である。
【0029】
バスケット1は、上述の公報と同様にバスケットの軸に対して垂直に延びる溝3を備えるリム2を含む。
【0030】
しかし、それらの従来の公報で教示されてきたこととは異なり、本発明による溝3は、リムの全体にわたって延びるのではなく、ベース5を介してバスケット1の内壁4に達する前に終結し、ベース5は、「袋小路」の形状でありかつその端部のうちの1つで閉じられている、溝3を作成する。
【0031】
この構造は、図2および図3に詳細に示されており、これらの図はそれぞれ、バスケット1のリム2の正面図および断面図である。
【0032】
このようにして、バスケットの内側の加圧をもたらす抽出中に、バスケット1のリム2とカプセル(この図には示されていないが、前掲の公報に提示された原理に対応し、また、当業者によって容易に想定され得る)との間に作成された接合部は、従来技術で教示されたような途切れのない溝によって弱められることがない。
【0033】
図4から図6は、接合部を含む場合もあれば含まない場合もある様々なカプセルとともに、本発明によるバスケット構成を示し、図の左側は、バスケットの内側である(ここにカプセルが配置される)。
【0034】
図4では、本発明によるバスケット1は、そのリム10’上に材料のビード11を含むカプセル10と関連付けられており、ビード11は、ベース5がビード11に押し込まれることにより、溝3のベース5における結合を有効にする。
【0035】
図5では、本発明によるバスケット1は、そのエッジ12’上に材料のピーク13を含むカプセル12と関連付けられており、ピーク13は、ベースがピーク13に押し込まれることにより、溝3のベース5における接合を可能にする。このピーク13は、示された形状、または異なる同等の形状、例えば方形等を有することができる。
【0036】
図6では、本発明によるバスケット1は、そのリム14’上に特定の接合要素を含まないカプセル14と関連付けられている。それでもなお、そのような構成では、上述の原理を適用することにより、そのベース5を有する本発明による溝3の特別な構成によって、良好なバスケット/カプセルの接合が得られる。
【0037】
本発明は、本願で説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に関連して適宜、変形形態が可能である。
【0038】
バスケットのリム2には任意の数の溝3を形成することが可能であり、図は、原理を示す働きをするに過ぎない。1つの溝3につき2つ以上のベース5が位置決めされるように準備することも可能である。
【0039】
溝の長さ(およびベースの厚さ)は、各溝3で同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、厚いベース5および薄いベース5(したがって、短い溝または長い溝)を交互に並べるか、または、別の法則に従ってそれらを変えることが可能である。
【0040】
溝3は、バスケット1の軸に対して正確に垂直であってもよいし、傾きを有していてもよい:すなわち、溝3は、一方の側(例えば、ベース5の側)が他方の側よりも深くなる。その逆も可能である。
【0041】
同様に、溝3は、一定の幅(例えば、図2に示されるように)を有していてもよいし、そうではなくてもよい。このようにして、溝3は、ベースの側で、または他方の側で、より広く(または狭く)なり得る。
【0042】
溝は、バスケットの軸に対して垂直であってもよいし、そうではなくてもよい。さらに、溝は、直線的な軸に沿ってまたは曲がった軸に沿って延びる形状を有することができる。
【0043】
各溝の配置は、平行であってもよいし、そうではなくてもよく、例えば山形等の形状であってもよい。
【0044】
当然ながら、上述のような異なるタイプの溝3を同じバスケット1の上で組み合わせることが可能であり、また、説明された全ての変形形態を交互に並べかつ/または組み合わせることが可能である。
【0045】
溝3は、任意の適切な方法によりバスケットのリムに直接形成されることが好ましい。あるいは、それらの溝3を備え、かつ、バスケットが溝を有するか否かに問わずバスケット1の上に取り付けられる、適切な構成要素(例えば、分解することができるリム)を設けることも可能である。例えば、溝(数、形状、等)が所与の種類のカプセルに(ひいては、使用される任意のレセプタクルに)最適化された、理想的な「溝/カプセル」対を提供することが可能である。
【0046】
別の代替形態では、着脱可能なリムを使用することにより、バスケット1を交換することなしに摩耗に応じてリムを交換することが可能になる。
【0047】
着脱可能なリムの使用はまた、バスケット1の材料とは同じではないであろう適切な材料の選択を可能にする。それらの材料は、金属または合成材料、例えば別の適切な材料であり得る。
【0048】
説明された実施形態およびその特徴は、状況に応じて互いに自由に組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6