(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の通路に接続される第1のポートと、第2の通路に接続される第2のポートとを有し、該第1のポートおよび該第2のポートに連通し、該第2のポートを開閉制御する弁体に連結ロッドを介して連結されるプランジャを有するプランジャユニットを移動可能に収容する弁体収容部と、
前記プランジャユニットに、前記第2のポートを開閉制御する動作を行わせるプランジャユニット駆動機構と、を備え、
前記プランジャユニット駆動機構が作動しない場合、前記連結ロッドにおける開口した弁体案内部の内周縁と前記弁体の外周面との間に形成される該プランジャの移動方向に沿った所定の隙間の寸法が、前記プランジャの移動方向に沿った該プランジャの円筒状部の角部と前記プランジャユニット駆動機構を構成する吸引子の端部における前記プランジャの円筒状部の角部に向き合う角部との相互間距離に等しく設定されることを特徴とする電磁切換弁。
第1の通路に接続される第1のポートと、第2の通路に接続される第2のポートと、第3の通路に接続される第3のポートとを有し、該第1のポート、該第2のポート、および、該第3のポートに連通し、該第2のポート、および、該第3のポートのうちのいずれか一方と該第1のポートとを選択的に連通させる弁体に連結ロッドを介して連結されるプランジャを有するプランジャユニットを移動可能に収容する弁体収容部と、
前記プランジャユニットに、該第2のポート、および、該第3のポートのうちのいずれか一方と該第1のポートとを選択的に連通させるように制御する動作を行わせるプランジャユニット駆動機構と、を備え、
前記プランジャユニット駆動機構が作動しない場合、前記連結ロッドにおける開口した弁体案内部の内周縁と前記弁体の外周面との間に形成される該プランジャの移動方向に沿った所定の隙間の寸法が、前記プランジャの移動方向に沿った該プランジャの円筒状部の角部と前記プランジャユニット駆動機構を構成する吸引子の端部における前記プランジャの円筒状部の角部に向き合う角部との相互間距離に等しく設定されることを特徴とする電磁切換弁。
第1の通路に接続される第1のポートと、第2の通路に接続される第2のポートと、第3の通路に接続される第3のポートと、第4の通路に接続される第4のポートとを有し、該第1のポート、該第2のポート、該第3のポート、および、該第4のポートに連通し、該第2のポート、および、該第4のポートのうちのいずれか一方のポートと該第1のポートとを選択的に連通させるとともに、該第2のポートと該第3のポートとを連通させ、または、該第3のポートと該第4のポートとを連通させる弁体に連結ロッドを介して連結されるプランジャを有するプランジャユニットを移動可能に収容する弁体収容部と、
前記プランジャユニットに、前記第2のポート、および、前記第4のポートのうちのいずれか一方のポートと前記第1のポートとを選択的に連通させるとともに、前記第2のポートと前記第3のポートとを連通させ、または、該第3のポートと該第4のポートとを連通させるように制御する動作を行わせるプランジャユニット駆動機構と、を備え、
前記プランジャユニット駆動機構が作動しない場合、前記連結ロッドにおける開口した弁体案内部の内周縁と前記弁体の外周面との間に形成される該プランジャの移動方向に沿った所定の隙間の寸法が、前記プランジャの移動方向に沿った該プランジャの円筒状部の角部と前記プランジャユニット駆動機構を構成する吸引子の端部における前記プランジャの円筒状部の角部に向き合う角部との相互間距離に等しく設定されることを特徴とする電磁切換弁。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、本発明に係る電磁切換弁の第1実施例の構成を、配管用パイプとともに概略的に示す。
【0016】
図2において、電磁切換弁は、例えば、四方向の電磁切換弁(スライド弁)とされ、空調機器内の冷媒回路における配管に配置されている。電磁切換弁は、連結ロッド20を有しプランジャチューブ26内に移動可能に配されるプランジャ28と、連結ロッド20の開口部20a内に所定の隙間をもって嵌合されるスライド式の弁体22と、プランジャチューブ26の一端に結合される弁本体部10と、プランジャチューブ26の一端を閉塞する吸引子24と、プランジャチューブ26の外周部に配されプランジャ28および吸引子24を選択的に励磁する電磁コイルユニットと、を主な要素として含んで構成されている。
【0017】
電磁コイルユニットは、プランジャチューブ26の外周部に配されるコイル部15と、コイル部15を覆い内側に収容する磁性体からなるケーシング16とを主な要素として構成されている。
【0018】
コイル部15は、リード線LWを介して図示が省略される駆動制御部に電気的に接続されている。小ネジ18がケーシング16の取付孔を介して吸引子24の雌ネジ孔に捻じ込まれることにより、電磁コイルユニットは、吸引子24に固定されている。
【0019】
吸引子24がコイル部15により励磁される場合、磁力により後述するプランジャ28が吸引子24に引き寄せられる。吸引子24におけるプランジャ28に向かい合う端部には、
図3(A)に拡大されて示されるように、略円筒形の横断面を有する凹部24Rが形成されている。
【0020】
吸引子24における凹部24Rの開口端部には、凹部24Rを形成する内周面に対し直交する環状の平坦面24feが形成されている。従って、平坦面24feと凹部24Rの内周面とが交差する部分には、環状の交線24Cdが形成されることとなる。
【0021】
プランジャ28は、
図2に示されるように、プランジャチューブ26内における吸引子24の端部と後述する弁本体部10内の弁体収容部10Aのプランジャチューブ支持部10Eとの間で、吸引子24と同心上に移動可能に配されている。プランジャ28は、上述の吸引子24における凹部24R内に挿入される小径部と、プランジャチューブ26内に摺動可能に案内される大径部とから構成されている。
【0022】
プランジャ28は、その中心軸線に沿って連通路28bおよび28aを小径部および大径部の内部に有している。連通路28bの内径は、連通路28aの内径よりも大に設定されている。プランジャ28の大径部における上述の吸引子24に向かい合う端部には、
図3(A)に拡大されて示されるように、円筒状部28teが形成されている。円筒状部28teの端面には、連通路28bの一端が開口している。
【0023】
吸引子24の端部に向かい合う連通路28bと連通路28aとの間の段差部には、コイルスプリング30の一端が受け止められ収容されている。コイルスプリング30の他端は、吸引子24における凹部24Rの底部を形成する内周面に当接されている。これにより、コイルスプリング30は、プランジャ28を、吸引子24に対し離隔する方向に、即ち、弁本体部10のプランジャチューブ支持部10Eに向けて付勢するものとされる。連通路28aの他端は、プランジャ28の下端の凹部28c内に連通している。凹部28c内には、プランジャ28に連結される板状の連結ロッド20および板ばね34の一端が配されている。
【0024】
金属製の板ばね34の一端は、連結具20Kにより、連結ロッド20の一端に連結されている。また、連結ロッド20および板ばね34の一端は、凹部28cの下端部周縁により、かしめによってプランジャ28に結合されている。板ばね34は、連結具20Kにより固定される固定部と、後述する弁体22の外周面に当接する突起部を有する当接部と、固定部と当接部とを連結し当接部を弁体22の外周面に向けて所定の圧力で付勢する弾性変位部とから形成されている。弾性変位部は、固定部および当接部に対し所定の傾斜角度になっている。
【0025】
連結ロッド20における開口部20a内には、樹脂製の弁体22が相対的に移動可能に嵌合されている。開口部20aの周縁におけるプランジャ28の移動方向に沿った寸法は、
図1に部分的に拡大されて示されるように、対応する弁体22の寸法に比して若干大に設定されている。これにより、コイル部15が励磁されていない場合、連結ロッド20の開口部20aの周縁に弁体22の外周面における一方の端面が当接した状態で、連結ロッド20の開口部20aの周縁と弁体22の外周面における他方の端面との間には、所定の隙間ΔEDが形成されることとなる。隙間ΔEDは、プランジャ28および連結ロッド20の空走距離に対応している。
【0026】
弁体22は、溝22Gを弁座32の摺接面32aに向き合う一方の端部に有している。溝22Gは、後述する弁座32における隣接した二つのポートを連通させるものとされる。
図1においては、溝22Gが、弁座32における第3ポート32P2と第4ポート32P3とを連通させた状態を示す。
【0027】
また、コイル部15が励磁されていない場合、プランジャ28における円筒状部28teは、
図3(A)に示されるように、吸引子24の凹部24Rに対し離隔されている。その際、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の吸引子24の交線24Cdとのプランジャ28の移動方向に沿った相互間距離ΔDは、上述の所定の隙間ΔED(
図1参照)と略同一に設定されている。
【0028】
一方、吸引子24が励磁された場合、円筒状部28teは、
図3(B)に示されるように、凹部24Rの底面部を形成する内面に当接するまで吸引子24の凹部24R内に挿入される。
【0029】
これにより、吸引子24が励磁された場合、
図5に示されるように、プランジャ28および連結ロッド20が、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の交線24Cdとが、
図4に示されるように、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0030】
弁本体部10は、金属材料、例えば、真鍮、ステンレス鋼、アルミニウム合金等により作られ、プランジャ28の連結ロッド20、弁体22、および、弁座32を収容する弁体収容部10Aを内側に有している。弁体収容部10Aには、
図2に示されるように、プランジャ28の中心軸線に対し略直交する軸線上に第1の通路としての配管用パイプ12の一端が接続される第1ポート(不図示)が形成されている。
【0031】
また、弁体収容部10A内に配される弁座32には、プランジャ28の中心軸線に対し略直交する軸線上に第2の通路としての配管用パイプ14の一端が接続される第2ポート32P1と、第3の通路としての配管用パイプ16の一端が接続される第3ポート32P2と、第4の通路として配管用パイプ18の一端が接続される第4ポート32P3とが形成されている。
【0032】
上述の弁体22がプランジャ28の移動方向に沿って摺動される弁座32の摺接面32aには、弁体22のシール面22TSが、所定の圧力で当接される。これにより、弁座32の摺接面32aにおける弁体22の溝22Gの位置に応じて、弁座32における隣接する3つのポートのうちの二つのポートが選択的に連通されることによって、流体の流れ方向が切り換えられる。例えば、コイル部15が励磁されていない場合、
図1に示されるように、弁体22の溝22Gを介して第3ポート32P2と第4ポート32P3とが連通することによって、流体が配管用パイプ18から配管用パイプ16に流れるとともに、配管用パイプ12から配管用パイプ14に流れることとなる。一方、コイル部15が励磁される場合、弁体22の溝22Gを介して第2ポート32P1と第3ポート32P2とが連通することによって、流体が配管用パイプ14から配管用パイプ16に流れるとともに、配管用パイプ12から配管用パイプ18に流れることとなる。
【0033】
プランジャ28、連結ロッド20、および、弁体22を含んでなるプランジャユニットの駆動機構は、電磁コイルユニットと、吸引子24、コイルスプリング30とを含んで構成されている。
【0034】
斯かる構成において、コイル部15により吸引子24、プランジャ28が励磁されない場合、
図1に示されるように、弁体22の溝22Gが、弁座32における第3ポート32P2と第4ポート32P3とに跨って位置決めされる(初期位置)。これにより、流体が、配管用パイプ18から配管用パイプ16に流されるとともに、配管用パイプ12から配管用パイプ14に流されることとなる。
【0035】
一方、コイル部15により吸引子24、プランジャ28が励磁される場合、先ず、プランジャ28における連結ロッド20が引き上げられ、
図5に示されるように、連結ロッド20の開口部20aの周縁が弁体22の外周面における他方の端面から離隔されるとともに、連結ロッド20の開口部20aの周縁が弁体22の外周面における一方の端面に当接せしめられるまで所定距離ΔEDだけ移動せしめられる。次に、プランジャ28が弁体22を伴ってさらに上昇せしめられるとき、弁体22の溝22Gが弁座32における第2ポート32P1と第3ポート32P2とに跨って位置決めされる。従って、流体が配管用パイプ14から配管用パイプ16に流れるとともに、配管用パイプ12から配管用パイプ18に流れることとなる。その後、吸引子24、プランジャ28が励磁されない場合、コイルスプリング30の付勢力により、プランジャ28および連結ロッド20が吸引子24に対し離隔され、弁体22が連結ロッド20の開口部20aの周縁により下方に向けて押圧され、弁体22の溝22Gが、上述の初期位置に戻される。なお、上述のようにコイルスプリング30の付勢力により、プランジャ28および連結ロッド20が吸引子24に対し離隔されるときも、キック動作が行われる。
【0036】
上述のプランジャ28および吸引子24とは形状の異なる
図7(A)および(B)に示される比較例1および2を参照し、吸引子およびプランジャの端部の断面形状、相互間距離が、吸引子およびプランジャ相互間に発生する吸引力に及ぼす影響を以下に説明する。
【0037】
図6は、縦軸に吸引子およびプランジャ相互間に形成される吸引力F(N)をとり、横軸にプランジャのリフト位置L(mm)をとり、所定のテーパ角度におけるプランジャのリフト位置に応じた吸引力の変化をあらわす特性線Qs、Qtおよび特性線Qfを示す。特性線Qfは、
図7(A)に示されるような、比較例1としての吸引子4およびプランジャ8の組み合わせの場合におけるリフト位置に応じた吸引力Fの変化をあらわし、特性線Qs,Qtは、それぞれ、
図7(B)に示されるような、比較例2としての吸引子2およびプランジャ6の組み合わせの場合におけるリフト位置に応じた吸引力Fの変化をあらわしている。なお、プランジャのリフト位置が原点Oから離れ、大になるにつれて吸引子とプランジャとの相互間距離も大となる。即ち、リフトAの領域における吸引子とプランジャとの相互間距離は、リフトBおよびリフトCの領域に比して小となる。
【0038】
比較例1における吸引子4およびプランジャ8における互いに向かい合う端面4aおよび8aは、平坦面に形成されている。
【0039】
比較例2におけるプランジャ6における吸引子2に向かい合う端面部6aは、所定のテーパ角度βを有する円錐台状の断面を有し、吸引子2における一方の端面部には、プランジャ6の端面部6aが嵌り合う比較的浅い凹部2Rが形成されている。凹部2Rの内周面には、プランジャ6の円錐台状の端面が当接するテーパ面2aが形成されている。なお、
図6における特性線Qsにおけるプランジャ6の端面部6aのテーパ角度β(テーパ角度b)は、特性線Qtにおけるプランジャ6の端面部6aのテーパ角度β(テーパ角度a)よりも小に設定されている。
【0040】
比較例2において、
図6における特性線Qs、Qtから明らかなように、プランジャ6の端面部6aのテーパ角度βが小になるに従い、特性線Qsの勾配が、特性線Qtの勾配に対し小となり、特性線Qsが緩やかな曲線となる。
【0041】
また、所定のリフト位置Lb以上のリフトC領域の場合、吸引力Fの値は、特性線Qsの場合が最も大きくなる。即ち、リフトC領域の場合において、吸引力Fの値は、特性線Qs、Qt,Qfが得られる吸引子4およびプランジャ8、吸引子2およびプランジャ6の組み合わせの中で、最もテーパ角度βが小さい形態が最大となる。
【0042】
さらに、リフト位置Lb以下であってリフト位置La以上のリフトB領域の場合、吸引力Fの値は、特性線Qtの場合が最も大きくなる。すなわち、リフトB領域において、吸引力Fの値は、特性線Qs、Qtが得られる吸引子2およびプランジャ6の組み合わせの中で、プランジャ6の端面部6aのテーパ角度βが大きい形態の方が大となる。
【0043】
そして、リフト位置La未満のリフトA領域の場合、吸引力Fの値は、特性線Qfの場合が最も大きくなる。すなわち、リフトA領域の場合、吸引力Fは、吸引子4およびプランジャ8における互いに向かい合う端面4aおよび8aが平坦面のとき、最大となる。
【0044】
このように、リフトA領域、リフトB領域,リフトC領域のそれぞれにおいて、最大吸引力が得られるテーパ角度βは、変化する。このような理由に基づいて所望のリフト位置において最大吸引力が得られるようにテーパ角度βを設定することとなる。
【0045】
即ち、例えば、プランジャと吸引子との距離が大きいとき、大きな吸引力が必要になる場合、最も小さいテーパ角度を有する端面部を有するプランジャが選択される(比較例2参照)。一方、プランジャと吸引子との距離が小さいとき、大きな吸引力が必要になる場合。テーパ角度180°を有する端面部を有するプランジャが選択される(比較例1参照)。
【0046】
図8は、縦軸に吸引子およびプランジャ相互間に形成される吸引力F(N)をとり、横軸にプランジャのリフト位置L(mm)をとり、プランジャのリフト位置に応じた吸引力の変化をあらわす特性線Qdおよび特性線Qeを示す。なお、プランジャのリフト位置が原点Oから離れ、大になるにつれて吸引子とプランジャとの相互間距離も、大となる。
【0047】
特性線Qeは、
図9に示される本発明に係る切換弁の第1実施例に適用され得る吸引子4およびプランジャ8´の組み合わせの場合におけるリフト位置に応じた吸引力の変化をあらわしている。
図9において、吸引子4およびプランジャ8´における互いに向かい合う端面4aおよび8´aは、平坦面に形成されている。また、プランジャ8´における端面8´aには、所定の深さを有する凹部8´Hが開口している。
【0048】
特性線Qdは、
図2に示されるような、本発明に係る切換弁の第1実施例における吸引子24およびプランジャ28の組み合わせの場合におけるリフト位置に応じた吸引力の変化をあらわしている。
【0049】
コイル部15により吸引子24、プランジャ28が励磁される場合における一連のキック動作において、プランジャ28の連結ロッド20における開口部20aの周縁が、
図5に示されるように、弁体22に対し所定距離ΔEDだけ移動せしめられる場合、
図8において、プランジャ28は、連結ロッド22の開口部20aの周縁が、弁体22の一方の端面に当接したリフト位置L3から所定距離ΔEDだけ離隔したリフト位置Loまで移動せしめられる。そのリフト位置Lo(以下、キック位置ともいう)においては、
図5に示されるように、上述の開口部20aの周縁が弁体22の向かい合う他方の端面に当接される。
【0050】
特性線Qdにおけるキック位置Loに対応する吸引力Fは、上述したように、プランジャ28の大径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の吸引子24の交線24Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28相互間の吸引力Fは、所定の極大値F1に到達することとなる。従って、吸引力Fが、所定の極大値F1に到達するとき、キック動作が可能となるので吸引子24およびプランジャ28相互間の吸引力Fが、効率よくキック動作に作用し、結果として、電磁切換弁の小型化が図られる。
【0051】
なお、キック位置Loが、例えば、リフト位置L2と一致した場合、上述のプランジャ28の移動方向に沿ったプランジャ28の大径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の吸引子24の交線24Cdとの相互間距離ΔDは、上述の隙間ΔEDと同一に設定されることとなる。リフト位置L2は、例えば、プランジャ28の移動方向に沿ったプランジャ28の大径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の吸引子24の交線24Cdとが最も近接した位置とされる。
【0052】
また、仮に、キック位置Loが、部品の製造誤差等により、リフト位置L1からリフト位置L2までの範囲で偏倚した場合であっても、そのリフト位置L1からリフト位置L2までの範囲で緩やかな曲線である特性線Qdから明らかなように、吸引力Fは、リフト位置L1からリフト位置L2までの範囲で極大値F1近傍に維持されるのでキック位置に供される吸引力のばらつきが、少ないこととなる。
【0053】
さらに、
図10に示されるような、本発明に係る電磁切換弁の第1実施例に用いられる吸引子3およびプランジャ5の組み合わせにおいては、プランジャ5の端部5TEにおけるテーパ面のテーパ角度αが、180°よりも小さくなる場合、
図11に示されるように、吸引力Fの特性は、特性線Qaよりも緩やかな曲線である特性線Qb,Qcとなる傾向にある。
【0054】
図10において、吸引子3における凹部3Rの開口端部には、テーパ面3beを有する円錐状断面の端部3BEが連なっている。テーパ面3beと凹部3Rの開口端とが交差する環状の交線3Cdが形成されている。テーパ面3beは、後述するプランジャ5の端部5TEのテーパ面のテーパ角度αと同様な所定のテーパ角度に設定されている。プランジャ5の小径部における上述の吸引子3に向かい合う端部には、角部5Cdを端部に有する円筒状部5teが形成されている。円筒状部5teの端面には、凹部5bの一端が開口している。吸引子3が励磁される場合、円筒状部5teおよび角部5Cdは、凹部3Rの底部を形成する内面に当接するまで凹部3R内に挿入される。円筒状部5teの下端部は、テーパ面を有する円錐状断面の端部5TEが連なっている。端部5TEは、吸引子3の端部3BEのテーパ面3beに向き合っている。端部5TEのテーパ面は、所定のテーパ角度α、例えば、45°以上180°未満の角度に設定されている。
【0055】
図11は、縦軸に吸引子およびプランジャ相互間に形成される吸引力F(N)をとり、横軸にプランジャのリフト位置L(mm)をとり、プランジャのリフト位置に応じた吸引力の変化をあらわす特性線Qa,Qb,および特性線Qcを示す。なお、プランジャのリフト位置が原点Oから離れ、大になるにつれて吸引子とプランジャとの相互間距離も、大となる。特性線Qaは、
図2に示されるような、吸引子24およびプランジャ28の組み合わせの場合におけるリフト位置に応じた吸引力Fの変化をあらわしている。即ち、吸引子24およびプランジャ28における向かい合う端面は、いかなるテーパ面も形成されていない形状とされる。
【0056】
特性線Qb,Qcは、それぞれ、
図10に示されるような、上述の吸引子3およびプランジャ5の組み合わせの場合におけるリフト位置に応じた吸引力の変化をあらわしている。その際、特性線Qbにおけるプランジャ5の端部のテーパ角度α(テーパ角度a)は、特性線Qcにおけるプランジャ5の端部のテーパ角度α(テーパ角度b)よりも大に設定されている。特性線Qb,Qcから明らかなように、プランジャ5の端部のテーパ角度αが小さくなるにつれて、所定のキック位置となるリフト位置Lk近傍において通過する特性線が緩やかとなる。
【0057】
従って、本発明の電磁切換弁の第1実施例においては、吸引力特性がフラットに近い位置で弁開作動を行うことで、リフト量のばらつきによる吸引力のばらつきが小さくなり、作動性が安定するので部品の寸法公差を比較的大きく設定できることとなる。
【0058】
なお、本発明に係る電磁切換弁の第1実施例に用いられる電源電圧直流用の吸引子およびプランジャは、上述の例に限られることなく、例えば、
図12(A)および(B)に示されるような、吸引子およびプランジャであってもよい。
図12(A)および(B)においては、
図2に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0059】
図12(A)において、吸引子44における端面には、円柱状の突起部44Pがプランジャ48の凹部48bに向けて所定の長さだけ突出している。突起部44Pの直径は、凹部48bの内径よりも若干小に設定されている。突起部44Pの先端面は、平坦に形成されている。突起部44Pの周囲には、環状の平坦面が形成されている。プランジャ48における上述の吸引子44に向かい合う端部には、円形断面を有する凹部48bの一端が開口している。凹部48bの開口端に周囲には、平坦面が形成されている。吸引子44が励磁される場合、突起部44Pは、プランジャ48の凹部48bの開口端の周縁が吸引子44の環状の平坦面に、当接するまで凹部48b内に挿入される。
【0060】
斯かる構成において、吸引子44が励磁された場合、プランジャ48および連結ロッドが、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ48における凹部48bの開口端の周囲の平坦面と突起部44Pの先端面とが、最も近接し共通の平面PL上にあるように設定されている。これにより、吸引子44およびプランジャ48相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ48が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子44およびプランジャ48相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0061】
図12(B)において、吸引子42における凹部42Rの開口端部には、テーパ面42beを有する円錐状断面の端部42BEが連なっている。テーパ面42beと凹部42Rの開口端とが交差する環状の交線42Cdが形成されている。テーパ面42beは、後述するプランジャ46の端部46TEのテーパ面のテーパ角度αと同様な所定のテーパ角度に設定されている。プランジャ46の小径部における上述の吸引子42に向かい合う端部には、円筒状部46teが形成されている。円筒状部46teの端面には、凹部46bの一端が開口している。吸引子42が励磁される場合、円筒状部46teは、凹部42Rの底部を形成する内面に当接するまで凹部42R内に挿入される。円筒状部46teの下端部は、テーパ面を有する円錐状断面の端部46TEが連なっている。端部46TEは、吸引子42の端部42BEのテーパ面42beに向き合っている。端部46TEのテーパ面は、所定のテーパ角度α、例えば、45°以上180°未満の角度に設定されている。
【0062】
斯かる構成において、吸引子42が励磁された場合、プランジャ46および連結ロッドが、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ46の小径部の円筒状部46teの角部46Cdと上述の交線42Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるように設定されている。これにより、吸引子42およびプランジャ46の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ46が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子42およびプランジャ46相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0063】
さらに、
図13(A)乃至(C)は、それぞれ、本発明に係る電磁切換弁の第1実施例の変形例としての四方向の電磁切換弁(スライド弁)に用いられる吸引子およびプランジャの要部を概略的に示す。なお、
図13(A)、(B)、および、(C)においては、それぞれ、
図2に示される例、
図12(A)および(B)に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0064】
図13(A)において、吸引子24´における凹部24´Rの開口端部には、凹部24´Rを形成する内周面に対し直交する環状の平坦面24´feが形成されている。従って、平坦面24´feと凹部24´Rの内周面とが交差する部分には、環状の交線24´Cdが形成されることとなる。また、凹部24´Rの底部を形成する平坦な内面には、吸引子24´の内部に圧入された環状の隈取コイル27の一部が露出されている。
【0065】
斯かる構成において、吸引子24´が励磁された場合、プランジャ28および連結ロッドが、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと交線24´Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるように設定されている。これにより、吸引子24´およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24´およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0066】
図13(B)において、吸引子44´における端面には、円柱状の突起部44´Pがプランジャ48の凹部48bに向けて所定の長さだけ突出している。突起部44´Pの直径は、凹部48bの内径よりも若干小に設定されている。突起部44´Pの先端面は、平坦に形成されている。突起部44´Pの周囲には、環状の平坦面が形成されている。環状の平坦面には、吸引子44´の内部に圧入された環状の隈取コイル27の一部が露出されている。
【0067】
斯かる構成において、吸引子44´が励磁された場合、プランジャ48および連結ロッドが、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ48における凹部48bの開口端の周囲の平坦面と突起部44´Pの先端面とが、最も近接し共通の平面PL上にあるように設定されている。これにより、吸引子44´およびプランジャ48相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ48が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子44´およびプランジャ48相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0068】
図13(C)において、吸引子42´における凹部42´Rの開口端部には、テーパ面42´beを有する円錐状断面の端部42´BEが連なっている。テーパ面42´beと凹部42´Rの開口端とが交差する環状の交線42´Cdが形成されている。テーパ面42´beは、後述するプランジャ46の端部46TEのテーパ面のテーパ角度αと同様な所定のテーパ角度に設定されている。
【0069】
斯かる構成において、吸引子42´が励磁された場合、プランジャ46および連結ロッドが、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ46の小径部の円筒状部46teの角部46Cdと上述の交線42´Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるように設定されている。これにより、吸引子42´およびプランジャ46の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ46が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子42´およびプランジャ46相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0070】
なお、吸引子24は、隈取コイル27を吸引子24に嵌め込むことにより、交流電源電圧(AC)に対応させることができる。直流電源電圧(DC)は、隈取りコイル27の有無に限らずに対応することができる。
【0071】
図14は、本発明に係る電磁切換弁の第2実施例の要部の構成を概略的に示す。
【0072】
なお、
図14において、
図2に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0073】
電磁切換弁は、例えば、四方向の電磁切換弁(スライド弁)とされ、空調機器内の冷媒回路における配管に配置されている。電磁切換弁は、連結ロッド20を有しプランジャチューブ36内に移動可能に配されるプランジャ28と、連結ロッド20の開口部20a内に所定の隙間をもって嵌合されるスライド式の弁体52を含んで構成されプランジャチューブ36の内周部の他端に配置される弁ポート切換機構部と、プランジャチューブ36の一端を閉塞する吸引子24と、プランジャチューブ36の外周部に配されプランジャ28および吸引子24を選択的に励磁する電磁コイルユニットと、を主な要素として含んで構成されている。
【0074】
プランジャチューブ36の他端には、第1の通路としての配管用パイプが接続される第1ポート36Pが形成されている。プランジャチューブ36の他端の内側には、弁体収容部36Aが形成されている。
【0075】
連結ロッド20における開口部20a内には、樹脂製の弁体52が相対的に移動可能に嵌合されている。開口部20aの周縁におけるプランジャ28の移動方向に沿った寸法は、対応する弁体52の寸法に比して若干大に設定されている。これにより、
図14に示されるように、コイル部15が励磁されていない場合、連結ロッド20の開口部20aの周縁に弁体52の外周面における一方の端面が当接した状態で、連結ロッド20の開口部20aの周縁と弁体52の外周面における他方の端面との間には、所定の隙間ΔEDが形成されることとなる。隙間ΔEDは、プランジャ28および連結ロッド20の空走距離に対応している。
【0076】
後述する弁ポート切換機構部の一部を構成する弁体52は、溝52Gを弁座54の摺接面54aに向き合う一方の端部に有している。溝52Gは、弁座54における隣接した二つのポートを選択的に連通させるものとされる。
図14においては、溝52Gが、弁座54における第3ポート54P2と第4ポート54P3とを連通させた状態を示す。
【0077】
また、コイル部15が励磁されていない場合、プランジャ28における円筒状部28teは、吸引子24の凹部24Rに対し離隔されている。その際、プランジャ28の移動方向に沿ったプランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと吸引子24の交線24Cdとの相互間距離ΔDは、上述の所定の隙間ΔEDと略同一に設定されている。
【0078】
一方、吸引子24が励磁された場合、円筒状部28teは、凹部24Rの底面部を形成する内面に当接するまで吸引子24の凹部24R内に挿入される。
【0079】
これにより、吸引子24が励磁された場合、プランジャ28および連結ロッド20が、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の交線24Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0080】
弁ポート切換機構部は、弁座54と、弁座54の摺接面54aに摺動可能に配される弁体52と、弁体52を弁座54の摺接面54aに対し所定の圧力で押圧する板ばね34とを含んで構成されている。弁座54は、金属材料、例えば、真鍮、ステンレス鋼、アルミニウム合金等により作られ、プランジャチューブ36の内周面に結合されている。プランジャチューブ36におけるプランジャ28の真下となる位置には、プランジャ28の連結ロッド20、弁体52、および、弁座54を収容する弁体収容部36Aが形成されている。弁体収容部36Aには、プランジャ28の中心軸線と共通の直線上に第1の通路としての配管用パイプの一端が接続される第1ポート36Pが開口している。
【0081】
また、弁座54には、プランジャ28の中心軸線に対し略直交する軸線上に第2の通路としての配管用パイプの一端が接続される第2ポート54P1と、第3の通路としての配管用パイプの一端が接続される第3ポート54P2と、第4の通路として配管用パイプの一端が接続される第4ポート54P3とが形成されている。
【0082】
上述の弁体52がプランジャ28の移動方向に沿って摺動される弁座54の摺接面54aには、弁体52のシール面52TSが、所定の圧力で当接される。これにより、弁座54の摺接面54aにおける弁体52の溝52Gの位置に応じて、弁座54における隣接する3つのポートのうちの二つポートが選択的に連通されることによって、流体の流れ方向が切り換えられる。例えば、コイル部15が励磁されていない場合、
図14に示されるように、弁体52の溝52Gを介して第3ポート54P2と第4ポート54P3とが連通することによって、流体が第3ポート54P2から第4ポート54P3に流れるとともに、第1ポート36Pから第2ポート54P1に流れることとなる。一方、コイル部15が励磁される場合、弁体52の溝52Gを介して第2ポート54P1と第3ポート54P2とが連通することによって、流体が第2ポート54P1から第3ポート54P2に流れるとともに、第1ポート36Pから第4ポート54P3に流れることとなる。
【0083】
斯かる構成においても、吸引子24が励磁された場合、プランジャ28および連結ロッド20が、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の交線24Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0084】
図15は、本発明に係る電磁切換弁の第3実施例の要部の構成を概略的に示す。
【0085】
なお、
図15において、
図2に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0086】
電磁切換弁は、例えば、三方向の電磁切換弁(スライド弁)とされ、空調機器内の冷媒回路における配管に配置されている。電磁切換弁は、連結ロッド20を有しプランジャチューブ26内に移動可能に配されるプランジャ28と、連結ロッド20の開口部20a内に所定の隙間をもって嵌合されるスライド式の弁体62と、プランジャチューブ26の一端に結合される弁本体部10と、プランジャチューブ26の一端を閉塞する吸引子24と、プランジャチューブ26の外周部に配されプランジャ28および吸引子24を選択的に励磁する電磁コイルユニットと、を主な要素として含んで構成されている。
【0087】
連結ロッド20における開口部20a内には、樹脂製の弁体62が相対的に移動可能に嵌合されている。開口部20aの周縁におけるプランジャ28の移動方向に沿った寸法は、対応する弁体62の寸法に比して若干大に設定されている。これにより、コイル部15が励磁されていない場合、連結ロッド20の開口部20aの周縁に弁体62の外周面における一方の端面が当接した状態で、連結ロッド20の開口部20aの周縁と弁体62の外周面における他方の端面との間には、所定の隙間ΔEDが形成されることとなる。隙間ΔEDは、プランジャ28および連結ロッド20の空走距離に対応している。
【0088】
弁体62は、隆起した当接部62Tを弁座64の摺接面64aに向き合う一方の端部に有している。当接部62Tは、後述する弁座64における一つのポートを閉塞するものとされる。
図15においては、当接部62Tが、弁座64における第2ポート64P2を閉塞した状態を示す。
【0089】
また、コイル部15が励磁されていない場合、プランジャ28における円筒状部28teは、吸引子24の凹部24Rに対し離隔されている。その際、プランジャ28の移動方向に沿ったプランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと吸引子24の交線24Cdとの相互間距離ΔDは、上述の所定の隙間ΔEDと略同一に設定されている。
【0090】
一方、吸引子24が励磁された場合、円筒状部28teは、凹部24Rの底面部を形成する内面に当接するまで吸引子24の凹部24R内に挿入される。
【0091】
これにより、吸引子24が励磁された場合、プランジャ28および連結ロッド20が、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の交線24Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0092】
弁本体部10は、金属材料、例えば、真鍮、ステンレス鋼、アルミニウム合金等により作られ、プランジャ28の連結ロッド20、弁体62、および、弁座64を収容する弁体収容部10Aを内側に有している。弁体収容部10Aには、プランジャ28の中心軸線に対し略直交する軸線上に第1の通路としての配管用パイプ12の一端が接続されるポート(不図示)が形成されている。
【0093】
また、弁体収容部10A内に配される弁座64には、プランジャ28の中心軸線に対し略直交する軸線上に第2の通路としての配管用パイプ56の一端が接続されるポート64P1と、第3の通路としての配管用パイプ58の一端が接続されるポート64P2とが形成されている。
【0094】
上述の弁体62がプランジャ28の移動方向に沿って摺動される弁座64の摺接面64aには、弁体62の当接部62Tのシール面が所定の圧力で当接される。これにより、弁座64の摺接面64aにおける弁体62の当接部62Tの位置に応じて、弁座64における隣接する二つポートのうちの一つのポートが選択的に弁体収容部10A内に連通されることによって、流体の流れ方向が切り換えられる。例えば、コイル部15が励磁されていない場合、
図15に示されるように、弁体62の当接部62Tのシール面がポート64P2を閉塞することによって、流体が配管用パイプ12から配管用パイプ56に流れることとなる。一方、コイル部15が励磁される場合、弁体62の当接部62Tのシール面がポート64P1を閉塞することによって、流体が配管用パイプ12から配管用パイプ58に流れることとなる。
【0095】
プランジャ28、連結ロッド20、および、弁体62を含んでなるプランジャユニットの駆動機構は、電磁コイルユニットと、吸引子24と、コイルスプリング30とを含んで構成されている。
【0096】
斯かる構成においても、吸引子24が励磁された場合、プランジャ28および連結ロッド20が、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の交線24Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0097】
図16は、本発明に係る電磁切換弁の第4実施例の要部の構成を概略的に示す。
【0098】
なお、
図16において、
図2に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0099】
電磁切換弁は、例えば、二方向の電磁切換弁(スライド弁)とされ、空調機器内の冷媒回路における配管に配置されている。電磁切換弁は、連結ロッド20を有しプランジャチューブ26内に移動可能に配されるプランジャ28と、連結ロッド20の開口部20a内に所定の隙間をもって嵌合されるスライド式の弁体66と、プランジャチューブ26の一端に結合される弁本体部10と、プランジャチューブ26の一端を閉塞する吸引子24と、プランジャチューブ26の外周部に配されプランジャ28および吸引子24を選択的に励磁する電磁コイルユニットと、を主な要素として含んで構成されている。
【0100】
連結ロッド20における開口部20a内には、樹脂製の弁体66が相対的に移動可能に嵌合されている。開口部20aの周縁におけるプランジャ28の移動方向に沿った寸法は、対応する弁体66の寸法に比して若干大に設定されている。これにより、コイル部15が励磁されていない場合、連結ロッド20の開口部20aの周縁に弁体66の外周面における一方の端面が当接した状態で、連結ロッド20の開口部20aの周縁と弁体66の外周面における他方の端面との間には、所定の隙間ΔEDが形成されることとなる。隙間ΔEDは、プランジャ28および連結ロッド20の空走距離に対応している。
【0101】
弁体66は、隆起した当接部66Tを弁座68の摺接面68aに向き合う一方の端部に有している。当接部66Tは、後述する弁座68における一つのポート68Pを閉塞するものとされる。
図16においては、当接部66Tのシール面が、弁座68におけるポート68Pを閉塞した状態を示す。
【0102】
また、コイル部15が励磁されていない場合、プランジャ28における円筒状部28teは、吸引子24の凹部24Rに対し離隔されている。その際、プランジャ28の移動方向に沿ったプランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと吸引子24の交線24Cdとの相互間距離ΔDは、上述の所定の隙間ΔEDと略同一に設定されている。
【0103】
一方、吸引子24が励磁された場合、円筒状部28teは、凹部24Rの底面部を形成する内面に当接するまで吸引子24の凹部24R内に挿入される。
【0104】
これにより、吸引子24が励磁された場合、プランジャ28および連結ロッド20が、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の交線24Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。
【0105】
弁本体部10は、金属材料、例えば、真鍮、ステンレス鋼、アルミニウム合金等により作られ、プランジャ28の連結ロッド20、弁体66、および、弁座68を収容する弁体収容部10Aを内側に有している。弁体収容部10Aには、プランジャ28の中心軸線に対し略直交する軸線上に第1の通路としての配管用パイプ12の一端が接続されるポート(不図示)が形成されている。
【0106】
また、弁体収容部10A内に配される弁座68には、プランジャ28の中心軸線に対し略直交する軸線上に第2の通路としての配管用パイプ60の一端が接続されるポート68Pが形成されている。
【0107】
上述の弁体66がプランジャ28の移動方向に沿って摺動される弁座68の摺接面68aには、弁体66の当接部66Tのシール面が、所定の圧力で当接される。これにより、弁座68の摺接面68aにおける弁体66の当接部66Tの位置に応じて、弁座68における一つのポート68Pが選択的に閉塞される。これにより、弁体収容部10Aから配管用パイプ60への流体の流れが遮断される。例えば、コイル部15が励磁されていない場合、
図16に示されるように、弁体66の当接部66Tのシール面がポート68Pを閉塞することによって、弁体収容部10Aから配管用パイプ60への流れが遮断されることとなる。一方、コイル部15が励磁される場合、弁体66の当接部66Tのシール面がポート68Pを開放することによって、流体が配管用パイプ12から弁体収容部10Aを通じて配管用パイプ60に流れることとなる。
【0108】
プランジャ28、連結ロッド20、および、弁体66を含んでなるプランジャユニットの駆動機構は、電磁コイルユニットと、吸引子24と、コイルスプリング30とを含んで構成されている。
【0109】
斯かる構成においても、吸引子24が励磁された場合、プランジャ28および連結ロッド20が、所定距離ΔED移動したタイミングにおいて、プランジャ28の小径部の円筒状部28teの角部28Cdと上述の交線24Cdとが、最も近接し共通の平面PL上にあるので吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となる。従って、プランジャ28が、所定距離ΔED移動したタイミング、所謂、キック動作開始タイミングと吸引子24およびプランジャ28の小径部相互間に形成される吸引力が極大となるタイミングとが、一致することとなる。