(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404247
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】車両用収納装置
(51)【国際特許分類】
B60R 7/06 20060101AFI20181001BHJP
E05F 3/14 20060101ALI20181001BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20181001BHJP
E05F 5/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
B60R7/06 G
E05F3/14
E05F5/00 A
E05F5/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-24246(P2016-24246)
(22)【出願日】2016年2月11日
(65)【公開番号】特開2017-140957(P2017-140957A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 充
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−140926(JP,A)
【文献】
特開2005−106230(JP,A)
【文献】
特開2012−111365(JP,A)
【文献】
米国特許第5690194(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/06
E05F 3/14
E05F 5/00
E05F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固定され、開口を有する収納装置本体と、
前記収納装置本体に対して、前記開口を閉鎖する閉鎖位置及び前記開口を開放する全開位置間を移動可能なリッドと、
前記リッドの移動方向に延在するように前記リッドに固定され、前記移動方向に沿うギヤを有するリッドアームと、
前記リッドアームを前記移動方向に移動可能に保持するダンパホルダと、
前記ダンパホルダに固定されたハウジング、及び前記ハウジングから突出して前記ギヤに噛合するピニオンを有する回転ダンパとを有し、
前記ダンパホルダは、前記リッドアームを前記ピニオンの軸線方向から挟持する1対の挟持片を有し、
前記ダンパホルダが、前記ピニオンの軸線に対して直交する面内で前記リッドアームの移動方向に対して角度をなす方向に変位可能に前記収納装置本体に支持されたことを特徴とする車両用収納装置。
【請求項2】
前記収納装置本体による前記ダンパホルダの支持構造は、前記収納装置本体及び前記ダンパホルダの一方に設けられたボスと、前記収納装置本体及び前記ダンパホルダの他方に設けられて前記ボスを受容する受容部とを有し、
前記受容部は、前記リッドアームの移動方向に沿った長さよりも前記移動方向に対する法線方向に沿った長さが長いことを特徴とする請求項1に記載の車両用収納装置。
【請求項3】
前記ダンパホルダの、前記リッドアームに対する、前記軸線に対して直交する面内における前記移動方向に対する法線方向に沿った変位が規制されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用収納装置。
【請求項4】
前記リッドアームは、互いに対向するように前記リッドアームの移動方向に沿って延在する1対のリブを有し、
前記1対のリブの互いに対向する面の一方に、前記ギヤが形成され、
前記1対の挟持片の一方が、前記回転ダンパを固定するとともに、前記1対のリブの互いに対向する面の他方に摺接するガイド部を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用収納装置として、自動車のインストルメントパネルの助手席側下部に設置されるグローブボックスが挙げられる。グローブボックスとしては一体式とリッド式とが一般に採用されている。一体式のグローブボックスは、物品を収容するグローブボックス本体が回転してインストルメントパネルに設けられた開口を開閉する。リッド式のグローブボックスは、リッドが回転してインストルメントパネルに内装されるグローブボックス本体の開口を開閉する。グローブボックスの開閉に減衰装置を適用する場合、一体式のグローブボックスではエアダンパを用いることが一般的であるが、リッド式のグローブボックスでは、可動部分が一体式のグローブボックス比べて軽いため、比較的安価な回転式ダンパでも十分な減衰効果を得ることができる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−140926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、製造誤差や組み付け誤差によって、リッドの移動方向と、リッドアームに形成されたギヤの延在方向とにずれが生じた場合、リッド開閉時に意図せぬ抵抗力や、歯とび、異音等が発生するおそれがあった。
【0005】
上記問題を鑑み、本発明は、回転ダンパを有する車両用収納装置であって、リッドの移動方向と、リッドアームに形成されたギヤの延在方向と間に生じ得るずれを許容する車両用収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る車両用収納装置(1)は、車両(2)に固定され、開口(5)を有する収納装置本体(4)と、前記収納装置本体に対して、前記開口を閉鎖する閉鎖位置及び前記開口を開放する全開位置間を移動可能なリッド(6)と、前記リッドの移動方向に延在するように前記リッドに固定され、前記移動方向に沿うギヤ(8)を有するリッドアーム(9)と、前記リッドアームを前記移動方向に移動可能に保持するダンパホルダ(14)と、前記ダンパホルダに固定されたハウジング(21)、及び前記ハウジングから突出して前記ギヤに噛合するピニオン(26)を有する回転ダンパ(15)とを有し、前記ダンパホルダは、前記リッドアームを前記ピニオンの軸線方向から挟持する1対の挟持片(16)を有し、前記ダンパホルダが、前記ピニオンの軸線に対して直交する面内で、前記リッドアームの移動方向に対して角度をなす方向に変位可能に前記収納装置本体に支持されたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、製造誤差や組み付け誤差等によって、リッドの移動方向とギヤの延在方向とにずれが生じても、リッドアーム及びダンパホルダが、収納装置本体に対して変位してそのずれを修正し、リッド開閉時に意図せぬ抵抗力や、歯とび、異音等が発生することを防止できる。また、挟持片によってダンパホルダがリッドアームに取り付けられるため、組み付け性が良好である。
【0008】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記収納装置本体による前記ダンパホルダの支持構造は、前記収納装置本体及び前記ダンパホルダの一方に設けられたボス(20)と、前記収納装置本体及び前記ダンパホルダの他方に設けられて前記ボスを受容する受容部(19)とを有し、前記受容部は、前記リッドアームの移動方向に沿った長さよりも前記移動方向に対する法線方向に沿った長さが長い。
【0009】
この構成によれば、簡易な構造で、収納装置本体にダンパホルダを変位可能に支持させることができる。
【0010】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記ダンパホルダの、前記リッドアームに対する、前記軸線に対して直交する面内における前記移動方向に対する法線方向に沿った変位が規制されたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、リッドの移動方向とギヤの延在方向との間のずれによって、リッドアームとダンパホルダとの間にずれが生じることを防止し、ギヤとピニオンとの間の適正な噛み合いを維持することができる。
【0012】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記リッドアームは、互いに対向するように前記リッドアームの移動方向に沿って延在する1対のリブ(12a,12b)を有し、前記1対のリブの互いに対向する面の一方に、前記ギヤが形成され、前記1対の挟持片の一方が、前記回転ダンパを固定するとともに、前記1対のリブの互いに対向する面の他方に摺接するガイド部(25)を有する。
【0013】
この構成によれば、簡易な構造で、前記リッドアームの前記ダンパホルダに対する法線方向に沿った変位を規制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、減衰機構を有する車両用収納装置において、リッドの移動方向と、リッドアームに形成されたギヤの延在方向との間に生じ得るずれを許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る車両用収納装置の配置を示す斜視図
【
図2】実施形態に係る車両用収納装置の側面を示す斜視図
【
図3】実施形態に係る車両用収納装置の主要部を示す一部断面拡大斜視図
【
図5】実施形態に係るダンパユニットを示す他の方向からの斜視図
【
図6】実施形態に係る車両用収納装置の作用を示す一部断面側面図((a)リッドの閉鎖状態におけるダンパユニットの姿勢を示す。b)リッドが閉鎖位置からわずかに開いた位置におけるダンパユニットの姿勢を示す)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る車両用収納装置1が設置された車両2を示す。なお、説明中の上下、左右及び前後の方向は、車両2の方向に従う。収納装置1は、車両2のインストルメントパネル3に設置されたグローブボックスである。収納装置1は、インストルメントパネル3に固定されて物品を収納する収納装置本体4と、収納装置本体4の開口5を開閉するリッド6とを備える。
図1は、リッド6が開口5を閉鎖した閉鎖位置にある状態を示す。リッド6は、下端側に配置されて左右方向に延在する軸線に沿って収納装置本体4に軸支されている。
【0017】
リッド6は、公知の付勢手段を用いたロック機構によって、閉鎖位置に解除可能にロックされている。使用者が、付勢手段の付勢力に逆らってリッド6に設けられたレバー7を引くことにより、ロックが解除され、重力又は使用者から加えられる力により、リッド6は、その上端側が収納装置本体4から離間するように軸線回りに傾動し、全開位置まで開く。
【0018】
図2及び3に示すように、収納装置1は、リッド6の開閉速度を減衰させるため、ギヤ8を有するリッドアーム9と、リッドアーム9のギヤ8に噛み合うダンパユニット10とを備える。リッドアーム9及びダンパユニット10は、リッド6の左右に1組ずつ設けられることが好ましい。左右のリッドアーム9及びダンパユニット10は、概ね互いに左右対称の形状をなすため、以下、左方に設けられたものを例に説明する。
【0019】
リッドアーム9は、後端側においてリッド6の左側部に、かつリッド6の傾動の軸線から離間した位置に固定されている。リッドアーム9は、リッド6の傾動の方向に沿う形状、すなわち、円弧状に延在する。リッドアーム9は、樹脂等を素材とし、主面が左右方向を向いた平板状の主板11と、主板11の上端及び下端に沿ってそれぞれ左側に延出するように形成された上リブ12a及び下リブ12bとを有する。リッドアーム9の前端側には、上リブ12aから上方に延出し、収納装置本体4に係止されることによって、リッド6の全開位置を規定するストッパ13が形成されている。
【0020】
図4及び
図5に示すように、ダンパユニット10は、リッドアーム9をリッド6の移動方向に移動可能に保持するとともに収納装置本体4に係合するダンパホルダ14と、リッドアーム9のギヤ8に噛み合うとともにダンパホルダ14に保持される回転ダンパ15とを備える。
【0021】
ダンパホルダ14は、樹脂等を素材とし、左右方向からリッドアーム9を挟持する1対の挟持片16と、1対の挟持片16の上端側を互いに連結する接続部17とを有し、前後方向に直交する断面視で概ねコ字形状をなす。図示する接続部17は、後方の第1接続部17a及び前方の第2接続部17bの2つに分割されているが、1つであっても又は3つ以上に分割されていてもよい。
【0022】
右方の挟持片16aには、収納装置本体4の側面から左方に突出する壁18によって形成された凹部19に受容される円筒又は円柱状のボス20が形成されている。ボス20は凹部19に緩く嵌合して軸支されるため、ダンパホルダ14の左右方向の軸線回りの回転が許容され、かつボス20の収納装置本体4に対する左右方向に直交する面内での変位が所定の範囲で許容される。凹部19は、収納装置本体4の側面におけるギヤ8の移動経路の近傍に形成される。凹部19は、側面視で、長円状を呈することが好ましく、その長軸方向がリッドアーム9の移動方向に対して0°より大きく180°より小さい所定の角度をなし、ボス20の収納装置本体4に対するリッドアーム9の移動方向に直交する方向(左右方向に直交する面内におけるリッドアーム9の移動方向の法線方向)への移動が所定の範囲で許容される。その角度が90°又は90°に近いことが好ましく、凹部19の短軸方向の内径がボス20の外径に一致し、それにより、ボス20の収納装置本体4に対するリッドアーム9の移動方向への変位が規制される。また、凹部19を形成する壁18には、前後又はリッドアーム9の移動方向及び下方に延出する補強壁18aが設けられていることが好ましい。
【0023】
左方の挟持片16bには、回転ダンパ15のハウジング21を嵌合して固定する固定穴22が設けられている。固定穴22は、回転ダンパ15の回転軸がボス20と同軸になるように形成されている。固定穴22を形成する壁23は左右方向に延在し、その下側の下面の一部は、下リブ12bの上面に形成された滑らかな被ガイド面24に摺接するガイド部25を構成している。ガイド部25は、側面視で回転ダンパ15の回転軸を中心とする円弧状を呈し、その曲率半径は、被ガイド面24の曲率半径よりも小さいため、ガイド部25は、被ガイド面24を所定の範囲で転動可能となっている。転動可能な範囲は、接続部17が上リブ12aに係止される位置によって規定される。
【0024】
回転ダンパ15の回転軸には、ギヤ8と噛み合うピニオン26が設けられている。ピニオン26は、ハウジング21に対して回転軸回りに回転可能であり、ハウジング21内のオイルの粘性により抵抗を受けて回転する。リッドアーム9がダンパユニット10に対して、リッド6の傾動方向に沿って移動するとき、ギヤ8と噛み合ったピニオン26がハウジング21及びダンパホルダ14に対して回転すると、リッド6の開閉速度は減衰する。しかし、ハウジング21及びダンパホルダ14がピニオン26とともに回転すると、減衰力が発生せずリッド6の開閉速度は減衰しない。
【0025】
左右方向においては、一対の挟持片16がリッドアーム9の下リブ12bを挟持し、回転軸に直交する平面におけるリッドアーム9の移動方向に対する法線方向では、ピニオン26がギヤ8に下方から噛み合い、ガイド部25が上方から被被ガイド面に摺接するため、リッドアーム9は、ダンパユニット10に対してリッド6の傾動方向にのみ移動可能となるようにダンパユニット10に保持されている。
【0026】
ピニオン26の回転軸から接続部17までの距離は、ピニオン26の回転軸から上リブ12aの上面に形成された滑らかな摺接面27までの距離よりもわずかに長い。この距離の差があることと、ガイド部25が回転ダンパ15の回転軸を中心とする円弧形状であることとによって、ダンパユニット10は、回転ダンパ15の回転軸を中心としてリッドアーム9に対して傾動することができる。この傾動範囲は、接続部17に形成された摺接部28が摺接面27に当接することで規定される。摺接部28は、第1接続部17aの下面の後縁を構成する第1摺接部28aと、第2接続部17bの後縁においてわずかに下方突出するように形成された第2摺接部28b(
図6参照)との2つからなる。第1摺接部28a及び第2摺接部28bは、一方が摺接面27に接しているときは、他方は摺接面27から離間するように配置されている。
【0027】
次に、
図3及び
図6を参照して、実施形態に係る収納装置1のリッド6の開閉時の作用効果について説明する。
【0028】
図6(a)は、リッド6が閉鎖位置にあるときのダンパユニット10の周辺を示す。リッド6を閉方向に動かすとき、後述のように第2摺接部28bが摺接面27を摺動する。リッド6が閉鎖位置に至った後も、回転ダンパ15の回転軸とハウジング21との摩擦力により、ダンパホルダ14は、第2摺接部28bが摺接面27に当接した状態に維持されている。
【0029】
使用者が、レバー7(
図1参照)を引いて、使用者が加える力又は重力によってリッド6がわずかに開方向に動くと
図6(b)に示す状態になる。このとき、リッドアーム9がダンパユニット10に対してリッド6の移動方向に移動するため、ギヤ8に噛み合ったピニオン26が回転する。回転ダンパ15の回転軸とハウジング21との間の粘性抵抗によって、ハウジング21及びハウジング21を固定しているダンパホルダ14は、ピニオン26に従動して回転する。従って、ダンパユニット10は、第2摺接部28bが摺接面27から離間して、第1摺接部28aが摺接面27に当接するまで傾動する。この区間では、リッド6及びリッドアーム9は、回転ダンパ15の減衰力を受けない。
【0030】
図6(b)に示す位置から全開位置までは、第1摺接部28aが摺接面27に摺接することによって、ダンパホルダ14の傾動が規制されるため、ピニオン26は、ハウジング21及びダンパホルダ14に対して回転する。そのため、リッド6及びリッドアーム9は、回転ダンパ15の減衰力をうける。
【0031】
このようにリッド6の開動作の初期では減衰力が働かないため、使用者はリッド6を開く際に大きな力を加える必要がなく操作性が良好である。また、使用者がレバー7(
図1参照)を離してもリッド6のロックが戻らない位置に、
図6(b)の位置を設定しておけば、ロック解除不良になるリスクを軽減することができる。
【0032】
その後リッド6は、重力又は使用者が加える力によって、ストッパ13が収納装置本体4の係止部29に係止する全開位置まで開く。リッド6を全開位置から閉鎖位置まで戻すときは、第1摺接部28aが摺接面27から離間して、第2摺接部28bが摺接面27に係止されるまでは、ハウジング21及びダンパホルダ14は、ピニオン26に従動して回転するため、リッド6及びリッドアーム9は、回転ダンパ15の減衰力を受けない。そのため、閉動作の初期においては、使用者は大きな力を加える必要がないため、操作性が良好である。
【0033】
また、部材の製造誤差や組み付け誤差により、リッド6の移動方向と、摺接面27、ギヤ8及び被ガイド面24の延在方向とが完全に一致しなくとも、ボス20が凹部19に緩く嵌合しているため、リッドアーム9を保持するダンパユニット10が回転軸に直交する平面内で移動して、そのずれが修正される。よって、リッドアーム9及びダンパユニット10間の意図せぬ抵抗や、歯とび、異音の発生等を防止することができる。特に、凹部19が、側面視で、長軸方向がリッドアーム9の移動方向に対する法線方向を向き、短軸方向の内径がボス20の外径に一致する長円形状をなす場合、リッドアーム9の移動方向への変位が規制され、それに直交する方向の変位のみを許容すればよいため、凹部19の構造及びダンパユニット10の可動範囲を省スペースにすることができる。また、ダンパユニット10は、リッドアーム9を保持し、収納装置本体4に緩く支持されるため、リッドアーム9の剛性の影響を受け難い。
【0034】
また、ダンパユニット10をリッドアーム9に組み付けた状態で、ボス20を凹部19に差し込むことによって、リッドアーム9を収納装置本体4に組み付けることができるため、組み付けが容易である。なお、1対の挟持片16を接続する接続部17を上方ではなく下方に配置し、摺接面27を下リブ12bの下面に形成するように変更した場合には、ダンパユニット10を収納装置本体4に組み付けた後、リッドアーム9を前端側からダンパユニット10に差し込んで組み付けることもできる。リッドアーム9において上方に突出したストッパ13が1対の挟持片16の遊端側を通過できるためである。
【0035】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。摺接部は1つのみ設け、その1つの摺接部が開操作及び閉操作初期段階では、ダンパホルダの傾動によって摺接面のある地点から離間した後に摺接面の別の地点に係止され、その後の開操作及び閉操作では摺接面を摺接するように構成してもよい。また、凹部は、収納装置本体の側壁の一部を凹ませて形成してもよく、孔に変更してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1:車両用収納装置
4:収納装置本体
6:リッド
8:ギヤ
9:リッドアーム
14:ダンパホルダ
15:回転ダンパ
16:挟持片
17:接続部
19:凹部(受容部)
20:ボス
24:被ガイド面
25:ガイド部
26:ピニオン
27:摺接面
28:摺接部