特許第6404249号(P6404249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404249
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   A63F7/02 334
【請求項の数】2
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2016-34185(P2016-34185)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-148292(P2017-148292A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 元
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】原 一功
【審査官】 中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−310021(JP,A)
【文献】 特開2006−025860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤及び/又は前記遊技盤を保持する保持枠に可動部材を備え、識別情報を変動表示し、当該識別情報が特定態様で停止表示すると遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する遊技機であって、
駆動電力を受電して前記可動部材を動作させる電動駆動手段と、
前記電動駆動手段又は前記電動駆動手段の周囲の温度を検知する温度検知手段と、
前記可動部材の位置を検知する位置検知手段と、
前記駆動電力の供給を遮断する電力遮断手段と、を備え、
前記電力遮断手段は、
前記温度検知手段により検知された前記温度が所定の温度を超えた場合、前記可動部材の位置を判定し、
前記可動部材が前記識別情報を変動表示する表示領域を覆う位置にあると判定すると、前記可動部材を前記識別情報を変動表示する表示領域を覆わない位置に移動させた後に前記駆動電力を遮断する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記電力遮断手段は、
前記可動部材が前記識別情報を変動表示する表示領域を覆う位置にないと判定すると、前記駆動電力を遮断することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特にパチンコ遊技機等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機において、可動部材を動作させるモータやソレノイド等の電動駆動手段を備えるものがあった。この電動駆動手段は、一般的には駆動電力を受電して動作するとともに発熱をするものである。このため、特許文献1の遊技機では、電流制限部材によってモータに流れる励磁電流を制限し、モータの発熱を抑えるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−48757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、異物の噛み込み、静電気やその他の様々な要因によりモータ等の電動駆動手段が励磁状態でロックした場合に、特許文献1の遊技機の様に単に発熱を抑えるだけでは、電動駆動手段の発熱が継続する虞がある。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、可動部材を動作させる電動駆動手段を備えた遊技機において、電動駆動手段の発熱の継続を抑制する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための第1発明の遊技機は、
遊技盤及び/又は前記遊技盤を保持する保持枠に可動部材を備え、識別情報を変動表示し、当該識別情報が特定態様で停止表示すると遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する遊技機であって、
駆動電力を受電して前記可動部材を動作させる電動駆動手段と、
前記電動駆動手段又は前記電動駆動手段の周囲の温度を検知する温度検知手段と、
前記可動部材の位置を検知する位置検知手段と、
前記駆動電力の供給を遮断する電力遮断手段と、を備え、
前記電力遮断手段は、
前記温度検知手段により検知された前記温度が所定の温度を超えた場合、前記可動部材の位置を判定し、
前記可動部材が前記識別情報を変動表示する表示領域を覆う位置にあると判定すると、前記可動部材を前記識別情報を変動表示する表示領域を覆わない位置に移動させた後に前記駆動電力を遮断する
ことを特徴とするものである。
【0007】
この様な遊技機によれば、温度検知手段により検知された電動駆動手段の温度又は電動駆動手段の周囲の温度が所定の温度を超えた場合には、電動駆動手段への駆動電力の供給を電力遮断手段により遮断することが可能となる。これにより、この様な場合には、電動駆動手段の異常な発熱を止めることが可能となる。
【0008】
また、第2発明の遊技機は、第1発明の遊技機において、
前記電力遮断手段は、
前記可動部材が前記識別情報を変動表示する表示領域を覆う位置にないと判定すると、前記駆動電力を遮断することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の遊技機によれば、可動部材を動作させる電動駆動手段の異常な発熱の継続を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例に係る遊技機の正面図である。
図2】本発明の実施例に係る遊技機の裏面図である。
図3】本発明の実施例の遊技盤の構成を示す正面図である。
図4図3に示す主表示器の拡大図であり、同遊技機が備える表示器類を示す図である。
図5】同遊技機の電気的な構成を示すブロック図である。
図6】同遊技機が備える電気的駆動源の電気的な構成を示すブロック図である。
図7】電気的駆動源の駆動回路基板の構成を示す回路図である。
図8】同遊技機が備えるソレノイドユニットの電気的な構成を示すブロック図である。
図9】ソレノイドユニットの駆動回路基板の構成を示す回路図である。
図10】当りの種別と大入賞口の開放パターンとの対応等を示す表である。
図11】遊技制御用マイコンが取得する各種乱数を示す表である。
図12】(A)は大当り判定テーブルであり、(B)は大当り種別判定テーブルであり、(C)はリーチ判定テーブルであり、(D)は普通図柄当り判定テーブルであり、(E)は普通図柄変動パターン選択テーブルである。
図13】変動パターンテーブルである。
図14】主制御メイン処理のフローチャートである。
図15】割り込み処理のフローチャートである。
図16】始動口センサ検知処理のフローチャートである。
図17】普図動作処理のフローチャートである。
図18】普通図柄待機処理のフローチャートである。
図19】普通図柄当否判定処理のフローチャートである。
図20】普通図柄乱数シフト処理のフローチャートである。
図21】普通図柄変動中処理のフローチャートである。
図22】普通図柄確定処理のフローチャートである。
図23】普通電動役物処理のフローチャートである。
図24】特図動作処理のフローチャートである。
図25】特別図柄待機処理のフローチャートである。
図26】特図2当否判定処理のフローチャートである。
図27】特図2変動パターン選択処理のフローチャートである。
図28】特図2変動パターン選択処理のフローチャートである。
図29】特図2乱数シフト処理のフローチャートである。
図30】特図1当否判定処理のフローチャートである。
図31】特図1変動パターン選択処理のフローチャートである。
図32】特図1変動パターン選択処理のフローチャートである。
図33】特図1乱数シフト処理のフローチャートである。
図34】特別図柄変動中処理のフローチャートである。
図35】特別図柄確定処理のフローチャートである。
図36】特別電動役物処理1(大当り遊技)のフローチャートである。
図37】遊技状態設定処理のフローチャートである。
図38】特別電動役物処理2(小当り遊技)のフローチャートである。
図39】特定領域センサ検知処理のフローチャートである。
図40】保留球数処理のフローチャートである。
図41】電源断監視処理のフローチャートである。
図42】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
図43】受信割り込み処理のフローチャートである。
図44】2msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
図45】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
図46】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
図47】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
図48】変動演出開始処理のフローチャートである。
図49】可動予告決定テーブルを示す表である。
図50】予告演出等設定処理のフローチャートである。
図51】表示予告演出実行処理のフローチャートである。
図52】可動予告演出実行処理のフローチャートである。
図53】可動装飾部材の初期状態及び動作状態を示す図である。
図54】実施例2の遊技機の電気的な構成を示すブロック図である。
図55】可動装飾部材と可動部材等位置センサの位置関係を示す図である。
図56】実施例2の割り込み処理のフローチャートである。
図57】可動部材等位置監視処理のフローチャートである。
図58】ソレノイドの温度パターンの例を示す説明図である。
図59】可動部材等復帰確認処理のフローチャートである。
図60】実施例2の2msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
図61】可動装飾部材位置監視処理のフローチャートである。
図62】可動装飾部材復帰確認処理のフローチャートである。
図63】実施例3の遊技機の電気的な構成を示すブロック図である。
図64】実施例3の割り込み処理のフローチャートである。
図65】ソレノイド電流監視処理のフローチャートである。
図66】実施例3の2msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
図67】モータ電流監視処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。尚、以下では、図柄の変動表示の終了に伴い当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば、賞球)を付与可能な当り遊技を実行可能なパチンコ遊技機に、本発明を適用した例を説明する。
【実施例1】
【0027】
図1乃至図3に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
【0028】
また、前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される遊技演出の実行中などに遊技者が操作可能な第1演出ボタン63a、第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう)が設けられており、この他、装飾用の枠ランプ66及びスピーカ67等も設けられている。
【0029】
演出ボタン63は遊技者による入力が可能な入力手段として機能するもので、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。遊技演出の実行中に第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bを操作すると、当該操作に基づいて所定の操作対応演出が行われる。尚、演出ボタン63の構成は本実施例1の態様に限らず、遊技者が入力を行うことができるものであればたり、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う入力手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。
【0030】
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤面ランプ5が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されている。また、レール部材4の先端には球戻り防止片6が設けられており、一旦遊技領域へ誘導された遊技球が発射装置側へ戻るのを防止することができる。
【0031】
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置からなる画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、演出図柄8L、8C、8R(単に「演出図柄8」ともいう)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう)が設けられており、当該演出図柄8L、8C、8Rは、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。
【0032】
また、演出図柄8L、8C、8Rはそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄(識別情報)からなる。演出図柄表示領域7bに停止表示される左、中、右の演出図柄によって、後述(図4参照)の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう)に表示される第1特別図柄の変動表示の結果、及び第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう)に表示される第2特別図柄の変動表示の結果(つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう)の結果)を、遊技者が認識し易いように表示する。尚、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄のいずれかを指して単に「図柄」や「識別情報」ということもある。
【0033】
例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合には、「777」などの3桁同一のゾロ目(「当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、小当りとなった場合には「135」などの予め設定したチャンス図柄や「3★3」などの専用図柄(「小当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、外れとなった場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。尚、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様がある。
【0034】
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄を用いた遊技演出(演出図柄遊技演出)を表示するほか、当り遊技に伴って実行される当り遊技演出や、客待ち用のデモ演出などが表示される。尚、演出図柄遊技演出や当り遊技演出やデモ演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
【0035】
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)と、後述の第2特図保留の記憶数に応じて第2演出保留9bを表示する第2演出保留表示領域9d(第2演出保留表示部)とがある。第1演出保留又は第2演出保留の表示態様(表示数)により、後述の第1特図保留表示器43a(図4参照)にて表示される第1特図保留の記憶数及び第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
【0036】
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、演出図柄表示領域7bを取り囲むように、センター装飾体10が設けられている。センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられている。またセンター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3を流下する遊技球をワープ入口から受け入れ、当該遊技球をワープ出口から排出しステージ部11へと誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の第1始動口20に入球可能とされている。さらにセンター装飾体10の上部には、LED等の電飾部材(盤面ランプ5)を有し遊技状態に応じて点灯可能であって、文字や図形等を象った装飾部材13が配されている。
【0037】
また、センター装飾体10の上部であって、装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って動作可能な可動装飾部材14が設けられている。本実施例1の可動装飾部材14は、センター装飾体10の上部であって装飾部材13の後方に設けられる図示しない可動装飾ユニットに含まれるものである。可動装飾ユニットは、可動装飾部材14の他、可動装飾部材14を始点位置で保持(ロック)するとともに所定条件の成立に基づいてその保持(ロック)を解除する保持機構と、始点位置での保持の解除により可動装飾部材14を所定の終点位置(落下位置)まで落下させる落下機構と、終点位置に落下した可動装飾部材14をその位置で回転可能とする回転機構と、終点位置に落下した可動装飾部材14を始点位置まで上昇可能とする上昇機構と、を少なくとも含んで構成することが可能である。これらの各機構の機械的な構成については図示しないが、少なくとも保持機構、回転機構及び上昇機構には、可動装飾部材14の保持を解除するためにソレノイドを使用し、可動装飾部材14を回転させたり可動装飾部材14を上昇させたりするためにモータを使用する。ソレノイドやモータは、後述の電気的駆動源14aを構成するものである(図5参照)。
【0038】
可動装飾部材14は、前述の電気的駆動源14aの駆動により、表示画面7aの前面側(手前側)を上下動可能に構成されている。図3では、可動装飾部材14が動作しておらず始点位置にある状態(初期状態)を示しており、当該状態にある可動装飾部材14を破線で示している。このとき、可動装飾部材14は装飾部材13の後方に隠れた状態となるため、遊技者からは可動装飾部材14が視認不能となる。そして、例えば、比較的当りの可能性の高い遊技演出の実行に伴って可動装飾部材14が落下(下降)して表示画面7aの前面に出現することで、可動装飾部材14が視認可能となる。これにより、遊技者は当りへの期待感を高めることとなる。
【0039】
本実施例1の可動装飾部材14は、始点位置にある状態(初期状態)においてその状態が前述の保持機構により保持されるとともに、所定条件(保持解除条件)の成立に基づいてその保持が解除されることで、自重により表示画面7aの前面側を所定の終点位置まで落下可能に構成されている(落下機構)。また、落下した可動装飾部材14は、終点位置(落下位置)にて前述の回転機構により回転可能に構成されるとともに、終点位置から始点位置まで前述の上昇機構により上昇可能に構成されている。本実施例1では、可動装飾部材14の始点位置に原点センサ14bを設けている。可動装飾部材14の動作についての詳細は後述する。
【0040】
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第1特別図柄に係る当否判定(第1特別図柄当否判定)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
【0041】
第1始動口20の下方には、遊技球の入球し易さが変化する可変式の第2始動口21を備える可変入賞装置22(「可変式始動口」ともいう)が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(第2特別図柄当否判定)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
【0042】
可変入賞装置22は、可動部材23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。この開閉動作によって、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能である。可動部材23は、第2始動口ソレノイド24(図5参照)により駆動される。本実施例1では、第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。尚、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
【0043】
遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口30を備えた第1大入賞装置31(「第1可変入球口」ともいう)が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図5参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第1可変入球口31は、開閉部材32の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
【0044】
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方であってセンター装飾体10の右下部には、第2大入賞口35を備えた第2大入賞装置36(「第2可変入球口」ともいう)が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(羽根部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図5参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。
【0045】
すなわち、第2可変入球口36は、開閉部材37の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。第2大入賞装置36には、第2大入賞口35に入球した遊技球が通過可能な特定領域39が形成されている。本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過したことが検知されることに基づいて、後述の高確率状態を発生させている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。このような特定領域39は、第1大入賞装置31には設けられていない。
【0046】
遊技領域3におけるセンター装飾体10の右側領域には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第2始動口21を開状態となる。さらに、遊技領域3の下部には、複数の一般入球口27が設けられている。
【0047】
このように各種入球口等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bと、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちといい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際は左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。そして、第1始動口、第2始動口、第1大入賞口、第2大入賞口、及び一般入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(「賞球」ともいう)が払い出される。
【0048】
また、図3及び図4に示すように、遊技盤2の右下部には主表示器40が配置されている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示及び停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)、第2特別図柄を変動表示及び停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)、及び、普通図柄を変動表示及び停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)が含まれている。また主表示器40には、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、及び、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
【0049】
また主表示器40には、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りになったことを示す当り表示器48、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りになった場合に、実行される当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46、及び、遊技球の発射方向、すなわち右打ちすべき状態か左打ちすべき状態かを示す発射方向表示器47が含まれている。これら主表示器40に含まれる各種表示器は後述の主制御部によって表示制御される。
【0050】
第1特別図柄の変動表示は、第1始動口20への遊技球の入球を契機として行われる。第2特別図柄の変動表示は、第2始動口21への遊技球の入球を契機として行われる。尚以下の説明では、第1特別図柄及び第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示部41ということがある。また、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示部43ということがある。
【0051】
特別図柄表示部41では、特別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後停止表示し、停止表示された特別図柄(停止図柄)によって第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定識別情報)である場合(すなわち、大当り図柄や小当り図柄である場合)には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)が行われる。尚、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
【0052】
具体的に、図4に示すとおり、第1特別図柄表示器41aは、「i〜p」で示す8個のLEDで構成されており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。例えば、第1特別図柄当否判定の結果が、第1大当り(15R大当り)となった場合には、「ijn」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する。また第2大当り(2R大当り)となった場合には、「jnkl」の4個のLEDを点灯し、残りを消灯する。また小当りとなった場合には、「mnop」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する。また、外れとなった場合には、「lo」の2個のLEDを点灯し、残りを消灯することができる。また、第2特別図柄表示器41bは、「a〜h」で示す8個のLEDで構成されており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。停止表示態様については、第1特別図柄表示器41bと同様に、第2特別図柄当否判定の結果に応じて夫々異なる表示態様に定められている。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば予め定められた順序で、左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様とすることができる。
【0053】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留の数には上限が設定されており、本実施例1における上限値はそれぞれ4個となっている。これら第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部を、夫々「第1取得情報記憶手段」及び「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。
【0054】
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示がその入球時にすぐに実行できない場合、すなわち特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。
【0055】
特図保留記憶部に記憶された特図保留の数は、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には第1特図保留表示器43aは、「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が0の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が1の場合は「u□v●」というように「u」のLEDを消灯し「v」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数が2の場合は「u●v□」というように「u」のLEDを赤色で点灯させ「v」のLEDを消灯する表示態様とすることができる。また、保留数が3の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。
【0056】
また、保留数が4(上限数)の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。また、第2特図保留表示器43bは、「wx」の2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が0の場合は「w□x□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数1〜4についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
【0057】
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後、停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。尚、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
【0058】
具体的には図4に示す通り、普通図柄表示器42は、「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば、判定結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、「s□t■」というように「t」のLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。尚、外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。
【0059】
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部(図示せず)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数には上限が設定されており、本実施例1における上限値は4個となっている。
【0060】
普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過時にすぐ実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を留保することができるようになっている。
【0061】
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が0の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が1の場合は「q□r●」というように「q」のLEDを消灯し「r」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数2〜4についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
【0062】
次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例1のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい、「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい、「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7に表示される演出図柄8、演出表示器102に表示される図柄、演出第1特図保留表示器103a、及び演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(画像制御部)等を備えている。
【0063】
また、図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上にはサブ制御基板90を収納したサブ制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板110を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
【0064】
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路84(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路84は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、前述した特図保留記憶部(第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部)と普図保留記憶部とが設けられている。
【0065】
主制御基板80には、中継基板85を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、及び一般入球口センサ27aが接続されている。これら各種センサを「検知手段」ともいう。
【0066】
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球を検知するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられており、特定領域39を通過した遊技球を検知するものである。一般入球口センサ27aは、各一般入球口27内にそれぞれ設けられて一般入球口27に入球した遊技球を検知するものである。
【0067】
またソレノイド類としては、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、及び第2大入賞口ソレノイド38が接続されている。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の可動部材23を駆動するためのものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのものである。第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33及び第2大入賞口ソレノイド38を総称して、第2始動口ソレノイド24等ということがある。
【0068】
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47及び当り表示器48が接続されている。すなわち、これらの主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
【0069】
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120、及びカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、発射ハンドル60(図1参照)が含まれる。
【0070】
払出制御基板110は、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン116(「払出制御用マイコン」ともいう)が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。尚、遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。
【0071】
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0072】
また図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91(「演出制御用マイコン」)が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。
【0073】
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101(「画像制御用マイコン」)のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103a、及び演出第2保留表示器103bの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPUは、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
【0074】
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示及び停止表示にあわせて変動表示及び停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯、又は色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、演出第1特図保留表示器103a、及び演出第2保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、2個のLEDの点灯・消灯、又は色の組合せにより、演出第1特図保留表示器103aは第1演出保留表示領域9cに表示される保留個数及び第1特図保留表示器43aで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。また、演出第2特図保留表示器103bは第2演出保留表示領域9dに表示される保留個数及び第2特図保留表示器43bで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これは、キャラクタ図柄を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を動作させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)を被覆したりすることで、演出図柄、第1演出保留表示部、又は第2演出保留表示部の一部又は全部が視認できない状態になることがあり得るため、この様な表示器が設けられている。尚、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、または加えてVDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
【0075】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROMに格納されている。尚、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。
【0076】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
【0077】
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続されたモータやソレノイド等の電気的駆動源14aを駆動して可動装飾部材14を動作させる。前述したように、可動装飾部材14は、センター装飾体10(装飾部材13の後方)に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の動作態様で動作させるための動作パターンデータ(「駆動データ」ともいう)を、サブ制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した動作パターンデータに基づいて電気的駆動源14aを駆動して可動装飾部材14の動作を制御する。尚、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。また、可動装飾部材14は複数の装飾LED14cを含んで構成されており(図5図53参照)、装飾LEDの発光態様(点灯/消灯/点滅や発光色等)を決める発光パターンデータも、可動装飾部材14の動作パターンデータに含まれている。このため、可動装飾部材14の動作には、可動装飾部材14の上下動だけでなく、装飾LED14cの発光(点灯/点滅等)も含まれることとなる。尚、可動装飾部材14は本発明の「可動部材」の一態様に相当する。
【0078】
また、サブ制御基板90には、可動装飾部材14が始点位置(初期状態)にあること、すなわち原点にあることを検知する原点センサ14bが接続されている。この原点センサ14bは、前述の可動装飾ユニットに含まれるもので、図3の破線で示すように、装飾部材13の後方(裏側)であって、可動装飾部材14が始点位置にあるときに、その存在を検知可能となるように設けられている。可動装飾部材14が始点位置にあるときには、原点センサ14bからサブ制御基板90に入力される信号(原点センサ信号)がONとなり、可動装飾部材14が始点位置にないときには、原点センサ信号がOFFとなる。原点センサ14bは、非接触で検知物体が近づいたことを検知可能なセンサであればよく、フォトセンサや近接センサ等を用いることができる。
【0079】
またサブ制御基板90には、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63b(図1参照)が操作(押す、回転、引く等)されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dが接続されている。従って、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチからサブ制御基板90に対して信号が出力される。尚、第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dを総称して単に「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。
【0080】
ここで、可動装飾部材14を動作させる電気的駆動源14aの電気的な構成と、可動部材23や開閉部材32、37等の可動部材を動作させる第2始動口ソレノイド24等を含めたソレノイドユニットの電気的な構成とについて説明する。まず可動装飾部材14を動作させる電気的駆動源14aから説明する。
【0081】
図6に示すように、電気的駆動源14aは、駆動制御基板71と駆動回路基板75とモータ79とを備えている。駆動制御基板71は、モータ79の回転をプログラムに従って制御する駆動制御用ワンチップマイコン72(「駆動制御用マイコン」ともいう)が実装されている。駆動制御用マイコン72には、サブ制御基板90から受信した駆動データに従った角度だけモータ79を回転させるパルス信号の生成や送出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。駆動制御用マイコン72は、入出力回路73を介して、サブ制御基板90の演出制御用マイコン91から駆動データを受信したり、駆動回路基板75に対してパルス信号を送出したりする。
【0082】
モータ79は、ステッピングモータであり、入力されたパルス信号に基づいて所定のステップ単位でロータが回転するように構成されている。モータ79は、例えば、コモン(電源)端子付きの2相の励磁コイルをユニポーラで駆動するタイプの電動機である。そのため、駆動制御基板71からは、A相、/A相、B相、/B相に対応した4種類のパルス信号とコモンの制御信号が出力される。「/」は、その直後の信号が負論理であることを表す記号であり「¬」を使うこともある。このタイプのステッピングモータを4相モータとして捉える場合には、これら4種類のパルス信号は、A相、B相、C相、D相に対応したものになる。可動装飾部材14に含まれる上昇機構は、モータ79のロータの回転に連動して可動装飾部材14を上昇させることができる。
【0083】
モータ79には、電気的駆動源14aの一部として、モータ79の温度を検知可能なモータ温度センサ14dが取り付けられている。具体的には、モータ79の本体ハウジングと熱結合可能に取り付けられたり、モータ79の周囲空間に露出可能にモータ79等を収容したケースの内壁等に取り付けられたりしている。ケースの内壁に取り付けられる場合には、モータ温度センサ14dは、モータ79の周囲の温度を検知してモータ79の温度を間接的に検知することが可能となる。モータ温度センサ14dは、温度上昇と共にゆるやかに抵抗値が減少する電気的特性を有する、NTC(Negative Temperature Coefficient)タイプのサーミスタである。
【0084】
駆動回路基板75は、バッファ回路76とモータ駆動回路77と電源制御回路78とを備えている。駆動回路基板75は、例えば、図7に示すような回路で構成することができる。バッファ回路76は、駆動制御基板71から出力される4種類のパルス信号とコモン(共通)の制御信号とを入力端子75a〜75eを介して受けるインバータ76a〜76eの集まりであり、パルス信号や制御信号の夫々の論理を反転して出力する。すなわち、インバータ76a等に入力されたパルス信号等がHレベルであればLレベルに変換して出力し、LレベルであればHレベルに変換して出力する。
【0085】
モータ駆動回路77は、モータ79の2相の励磁コイルに必要な励磁電流を流すことが可能な電力供給能力を有するパワースイッチIC77aと、4個のダイオード77b〜77eと、1個のツェナーダイオード77fとから構成されている。パワースイッチIC77aは、例えば、各相のパルス信号に対応する4個のN型のパワーMOSFET(NMOSトランジスタ)や過電流保護回路等を含むインテリジェントパワーモジュール(IPM)である。そのため、各相のパルス信号としてHレベルの信号がパワースイッチIC77aに入力されると、それに対応する相の出力端子をアースに接続する。アースは、駆動回路基板75に設けられる電子回路(バッファ回路76、モータ駆動回路77、電源制御回路78)の基準電位であり、「グランド」ともいう。モータ駆動回路77は、2相毎に対応して2個のN型のパワーMOSFETや過電流保護回路等を含むIPMを2個使用してもよいし、IPMではなく各相毎にN型のパワーMOSFETを設けてもよい。
【0086】
パワースイッチIC77aの各相に対応する4つの出力端子は、2相の励磁コイルの各端子(A相端子、/A相端子、B相端子、/B相端子)に接続されていると共に4つのダイオード77b〜77eのアノード側にも接続されている。これらのダイオード77b〜77eは、例えば、整流用のシリコンダイオードであり、それらのカソード側はいずれもツェナーダイオード77fのカソード側に接続されている。ツェナーダイオード77fのアノード側は励磁用の電源電圧+Bに接続されている。
【0087】
すなわち、ダイオード77b〜77eとこれに逆極性に直列(「逆直列」ともいう)に接続されたツェナーダイオード77fは、電源制御回路78を介してコモン端子を中心とした4相分の励磁コイル79a〜79dに電気的に並列に接続される、逆起電力吸収回路を構成するものである。この回路は、励磁している励磁コイルが電源電圧+Bから電気的に切断される際に当該励磁コイルに生ずる逆起電力を吸収する機能を有する。ツェナーダイオード77fは、ツェナー電圧をコイルの励磁電圧以上に設定することにより、逆起電力の過剰な吸収を止めて復帰時間を短縮可能にするものである。尚、ダイオード77b〜77eとツェナーダイオード77fは、逆直列であればよいので、ダイオード77b〜77eのアノード側とツェナーダイオード77fのアノード側とを接続してもよい。
【0088】
電源制御回路78は、2つのNPNトランジスタ78a、78bと、パワースイッチの役割をするPMOSFET(PMOSトランジスタ)78cと、抵抗78d〜78iとから構成されている。PMOSトランジスタ78cは、モータ79の励磁コイルのコモン端子に対して、励磁用の電源電圧+Bの接続を制御する半導体スイッチである。そのため、PMOSトランジスタ78cは、ドレインが電源電圧+Bに接続されていると共にソースが2相の励磁コイルの夫々のコモン端子に接続されている。PMOSトランジスタ78cのゲートは、抵抗78hを介して電源電圧+Bに接続されている。これにより、HレベルのゲートがLレベルに変化すると、PMOSトランジスタ78cがオフ状態からオン状態に移行して、モータ79の夫々のコモン端子がPMOSトランジスタ78cを介して電源電圧+Bに接続される。そのため、パワースイッチIC77aに入力される各相のパルス信号がHレベルの期間中においては対応する相の出力端子がアースに接続されることから、モータ79の当該相の励磁コイルに十分な励磁電流を流すことが可能となり、ロータRを回転させることが可能となる。
【0089】
尚、PMOSトランジスタ78cのドレインとソースの間には、抵抗78iが接続されているが、この抵抗78iは、PMOSトランジスタ78cがオフ状態である場合にも所定量の保持電流(PMOSトランジスタ78cがオン状態である場合に流れる励磁電流よりも小さい電流)をモータ79の励磁コイルに流すことによって、モータ79の発熱を抑えながらモータ79のロータRを所定の停止位置に維持可能にする電流経路を形成するものである。そのため、この様な所定量の保持電流をモータ79の励磁コイルに流す必要がない場合には、抵抗78iは不要となり省かれる。
【0090】
NPNトランジスタ78aは、ベースが抵抗78dを介してバッファ回路76のインバータ76eの出力側に接続されており、またコレクタが抵抗78gを介してPMOSトランジスタ78cのゲートに接続されている。NPNトランジスタ78aのエミッタは、NPNトランジスタ78bのコレクタに接続されていると共に抵抗78eを介してNPNトランジスタ78aのベースにも接続されている。これに対して、NPNトランジスタ78bは、コレクタがNPNトランジスタ78aのエミッタに接続されており、エミッタがアースに接続され、ベースがモータ温度センサ14dの一端側に接続されている。NPNトランジスタ78bのベースは、抵抗78fを介して電源電圧+Bにも接続されている。
【0091】
このように電源制御回路78を構成することにより、NPNトランジスタ78bのベースがHレベルである場合には、NPNトランジスタ78bがオン状態になるため、そのコレクタとエミッタの間が導通状態になり、NPNトランジスタ78aのエミッタがアースに近い電位になる。そして、NPNトランジスタ78bのオン状態において、入力端子75eにLレベルの制御信号が入力されてインバータ76eからHレベルの信号が入力されると、NPNトランジスタ78aがオン状態になるため、NPNトランジスタ78aのコレクタがNPNトランジスタ78bを介してアースに近いLレベルの電位になる。これにより、PMOSトランジスタ78cのゲートをLレベルにすることが可能となり、PMOSトランジスタ78cをオン状態にすることが可能になる。すなわち、モータ79の2相の励磁コイルに十分な励磁電流を流すことが可能になる。
【0092】
これに対して、NPNトランジスタ78bのベースがLレベルである場合には、NPNトランジスタ78bはオフ状態を維持することから、NPNトランジスタ78aのオンオフに関係なくNPNトランジスタ78aのエミッタがLレベルになることはない。そのため、入力端子75eにLレベルの制御信号が入力されてもPMOSトランジスタ78cのゲートはHレベルを維持するので、PMOSトランジスタ78cはオフ状態を保つ。従って、NPNトランジスタ78bのベースがLレベルである場合には、入力端子75eに入力される制御信号に関係なくモータ79の2相の励磁コイルに十分な励磁電流を流すことができなくなる。つまり、モータ79の駆動電力が強制的に遮断される。
【0093】
本実施例1のパチンコ遊技機1では、NPNトランジスタ78bのベースにモータ温度センサ14dを接続している。より具体的には、モータ温度センサ14dの一端側をNPNトランジスタ78bのベースに接続し、他端側をアースに接続している。モータ温度センサ14dは、前述のようにモータ79の温度を検知し、検知温度の上昇に伴って抵抗値が減少する。そのため、モータ79の温度が所定の温度を超えた場合にモータ温度センサ14dの抵抗値がNPNトランジスタ78bのベースをLレベルにする値になるようにモータ温度センサ14dを設定又は選択することによって、その所定の温度を超えたモータ79への駆動電力の供給を遮断することが可能になる。
【0094】
ここでの所定の温度とは、例えば、モータ79の発熱に起因して、モータ79自体やモータ79の周囲に配置された回路部品や可動装飾部材14を構成する各機構部材等が焼損したり発火したりする虞のある温度である。モータ温度センサ14dの設定や選択は、モータ79、回路部品や各機構部材等の耐熱特性等に基づく実験又はコンピュータシミュレーションの結果に基づいて個別具体的に行うことができる。尚、図7の回路図において、バッファ回路76、モータ駆動回路77及び電源制御回路78に駆動電力を供給するための駆動用電源端子、モータ79に励磁用の電力を供給するための励磁用電源端子やアースに接続されているアース端子は、省略されている。
【0095】
図8に示すように、第2始動口ソレノイド24等を含むソレノイドユニットは、可動装飾部材14を動作させる電気的駆動源14aに比べてシンプルに構成されている。これらのソレノイドユニットには、電気的駆動源14aが有する駆動制御基板71を備えていないためである。ソレノイドユニットは、各ソレノイド24、33、38毎に設けられており、ここでは第2始動口21の可動部材23を動作させる第2始動口ソレノイド24のソレノイドユニットを代表して説明する。第1大入賞口30の開閉部材32を動作させる第1大入賞口ソレノイド33のソレノイドユニットや、第2大入賞口35の開閉部材37を動作させる第2大入賞口ソレノイド38のソレノイドユニットも、第2始動口ソレノイド24のソレノイドユニットとほぼ同様に構成されている。
【0096】
ソレノイドユニットは、駆動回路基板86と第2始動口ソレノイド24を備えている。第2始動口ソレノイド24は、励磁コイルと、励磁コイルを収容する本体ハウジングと、励磁コイルの通電により本体ハウジングの内側方向(励磁コイル内方向)に電磁吸引されるプランジャと、プランジャを本体ハウジングの外側方向(励磁コイル外方向)に付勢するコイルバネと、を備えている。第2始動口ソレノイド24の場合には、プランジャが励磁コイルから突出すると可動部材23が第2始動口21を閉鎖し、プランジャが励磁コイル内に引き込まれると可動部材23が第2始動口21を開放するよう動作可能に構成されている。第1大入賞口ソレノイド33の場合には、プランジャが突出すると開閉部材32が第1大入賞口30を閉鎖し、プランジャが引き込まれると開閉部材32が第1大入賞口30を開放するよう動作可能に構成されている。第2大入賞口ソレノイド38の場合には、プランジャが突出すると開閉部材37が第2大入賞口35を閉鎖し、プランジャが引き込まれると開閉部材37が第2大入賞口35を開放するよう動作可能に構成されている。
【0097】
第2始動口ソレノイド24には、第2始動口ソレノイド24の温度を検知可能なソレノイド温度センサ24aが取り付けられている。具体的には、第2始動口ソレノイド24の本体ハウジングと熱結合可能に取り付けられたり、第2始動口ソレノイド24の周囲空間に露出可能に第2始動口ソレノイド24等を収容したケースの内壁等に取り付けられたりしている。ケースの内壁に取り付けられる場合には、ソレノイド温度センサ24aは、第2始動口ソレノイド24の周囲の温度を検知して第2始動口ソレノイド24の温度を間接的に検知する。同様に、第1大入賞口ソレノイド33には、第1大入賞口ソレノイド33の温度を検知可能なソレノイド温度センサ33aが取り付けられ、また第2大入賞口ソレノイド38には、第2大入賞口ソレノイド38の温度を検知可能なソレノイド温度センサ38aが取り付けられている。ソレノイド温度センサ24a、33a、38aは、モータ79のモータ温度センサ14dと同様にNTCタイプのサーミスタである。
【0098】
駆動回路基板86は、バッファ回路87とソレノイド駆動回路88と電源制御回路89とを備えている。駆動回路基板86は、例えば、図9に示すような回路で構成することができる。バッファ回路87は、中継基板85を経由して主制御基板80から出力される2種類の制御信号を、入力端子86a、86bを介して受けるインバータ87a、87bの集まりであり、前述のバッファ回路76と同様に、これらの制御信号の夫々の論理を反転して出力する。
【0099】
ソレノイド駆動回路88は、第2始動口ソレノイド24の励磁コイルに必要な励磁電流を流すことが可能な電力供給能力を有するパワースイッチIC88aと、ダイオード88bと、ツェナーダイオード88cとから構成されている。パワースイッチIC88aは、例えば、1個のN型のパワーMOSFET(NMOSトランジスタ)や過電流保護回路等を含むIPMであるため、Hレベルの制御信号がパワースイッチIC88aに入力されると、出力端子をアースに接続する。パワースイッチIC88aは、IPMである必要はなくN型のパワーMOSFETでもよい。
【0100】
パワースイッチIC88aの出力は、第2始動口ソレノイド24の励磁コイルの一方の端子に接続されていると共にダイオード88bのアノード側にも接続されている。ダイオード88bは、例えば、整流用のシリコンダイオードであり、カソード側はツェナーダイオード88cのカソード側に接続されている。ツェナーダイオード88cのアノード側は第2始動口ソレノイド24の励磁用の電源電圧+Bに接続されている。すなわち、ダイオード88bとツェナーダイオード88cは、モータ駆動回路77のダイオード77b等とツェナーダイオード77fと同様に、第2始動口ソレノイド24の励磁コイルに対する逆起電力吸収回路を構成している。ツェナーダイオード88cは、ツェナー電圧をコイルの励磁電圧以上に設定することにより逆起電力の吸収時間(復帰時間)を短縮可能にする。尚、ダイオード88bとツェナーダイオード88cは、逆直列であればよいので、ダイオード88bのアノード側とツェナーダイオード88cのアノード側とを接続してもよい。
【0101】
電源制御回路89は、2個のNPNトランジスタ89a、89bと、パワースイッチの役割をするPMOSFET(PMOSトランジスタ)89cと、抵抗89d〜89hとから構成されている。PMOSトランジスタ89cは、第2始動口ソレノイド24の励磁コイルの他方の端子に対して励磁用の電源電圧+Bの接続を制御する半導体スイッチである。NPNトランジスタ89a、89b、PMOSトランジスタ89c、抵抗89d〜89hは、前述の電源制御回路78のPMOSトランジスタ78a、78b、PMOSトランジスタ78c、抵抗78d〜78hに対応するものであり、電源制御回路78と同様に構成されている。これにより、PMOSトランジスタ89cのゲートがHレベルからLレベルに変化すると、PMOSトランジスタ89cがオフ状態からオン状態に移行して、励磁コイルの他方の端子がPMOSトランジスタ89cを介して電源電圧+Bに接続される。そのため、パワースイッチIC88aに入力される制御信号がHレベルの期間中においては、パワースイッチIC88aの出力端子がアースに接続されることから、第2始動口ソレノイド24の励磁コイルに十分な励磁電流を流すことが可能となり、コイルバネの付勢力に抗してプランジャを電磁吸引することが可能となる。
【0102】
これに対して、NPNトランジスタ89bのベースがLレベルである場合には、NPNトランジスタ89bがオフ状態を維持することから、NPNトランジスタ89aのオンオフに関係なくNPNトランジスタ89aのエミッタがLレベルになることはない。そのため、入力端子86bにLレベルの制御信号が入力されてもPMOSトランジスタ89cのゲートはHレベルを維持するので、PMOSトランジスタ89cはオフ状態を保つ。従って、NPNトランジスタ89bのベースがLレベルである場合には、入力端子86bに有力される制御信号に関係なく第2始動口ソレノイド24の励磁コイルに励磁電流を流すことができなくなり、第2始動口ソレノイド24の駆動電力が強制的に遮断される。
【0103】
本実施例1のパチンコ遊技機1では、NPNトランジスタ89bのベースにソレノイド温度センサ24aを接続している。より具体的には、ソレノイド温度センサ24aの一端側をNPNトランジスタ89bのベースに接続し、他端側をアースに接続している。ソレノイド温度センサ33aやソレノイド温度センサ38aの場合も、ソレノイド温度センサ24aと同様にNPNトランジスタ89bのベースとアースの間に接続される。ソレノイド温度センサ24aは、前述のように第2始動口ソレノイド24の温度を検知し、検知温度の上昇に伴って抵抗値が減少する。そのため、第2始動口ソレノイド24の温度が所定の温度を超えた場合にソレノイド温度センサ24aの抵抗値がNPNトランジスタ89bのベースをLレベルにする値になるようにソレノイド温度センサ24aを設定又は選択することによって、その所定の温度を超えた第2始動口ソレノイド24への駆動電力の供給を遮断することが可能になる。ソレノイド温度センサ33aやソレノイド温度センサ38aについても同様である。
【0104】
ここでの所定の温度とは、例えば、第2始動口ソレノイド24の発熱に起因して、第2始動口ソレノイド24自体や第2始動口ソレノイド24の周囲に配置された回路部品や可動部材23等が焼損したり発火したりする虞のある温度である。第1大入賞口ソレノイド33や第2大入賞口ソレノイド38の場合には、これらのソレノイド33、38の発熱に起因して、ソレノイド33、38自体やソレノイド33、38の周囲に配置された回路部品や開閉部材32、37等が焼損したり発火したりする虞のある温度が当該所定の温度になる。ソレノイド温度センサ24a、33a、38aの設定や選択は、第2始動口ソレノイド24等、回路部品や可動部材23等の耐熱特性等に基づく実験又はコンピュータシミュレーションの結果に基づいて個別具体的に行うことができる。
【0105】
尚、図9の回路図において、バッファ回路87、モータ駆動回路88及び電源制御回路89に駆動電力を供給するための駆動用電源端子、第2始動口ソレノイド24に励磁用の電力を供給するための励磁用電源端子や、アースに接続されているアース端子は、省略されている。
【0106】
モータ温度センサ14dや第2始動口ソレノイド24等は、NTCタイプのサーミスタの他に、例えば、所定の温度を超えると急激に抵抗が減少する電気的特性を有する、CTR(Critical Temperature Resistor)タイプのサーミスタや、測温抵抗体でもよい。また、電源制御回路78、89の構成を変更することにより、所定の温度を超えると急激に抵抗が増大する電気的特性を有する、PTC(Positive Temperature Coefficient)タイプのサーミスタや、温度データをPWM信号、アナログ信号やデジタル信号の形式で出力する温度センサICを用いることもできる。
【0107】
また、駆動回路基板75、86は、NPNトランジスタ78a、78b、89a、89bを、夫々NMOSトランジスタに置き換えて構成することもできる。また、PMOSトランジスタ78c、89cは、夫々PNPトランジスタに置き換えて構成することもできる。つまり、これらの半導体デバイスは、スイッチング機能を備えるトランジスタであれば、バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBT等でもよいし、また半導体材料の種類は、Si、GaAs、GaN、SiC等やその他の種類でもよい。
【0108】
次に、本実施例1のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御について説明する。特別図柄当否判定の結果として、「大当り」、「小当り」、「外れ」がある。「大当り」のときには、特別図柄表示部41に「大当り図柄」が停止表示される。また「小当り」のときには、特別図柄表示部41に「小当り図柄」が停止表示される。また「外れ」のときには、特別図柄表示部41に「外れ図柄」が停止表示される。大当り又は小当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類に応じた開放パターンにて、第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放する「特別遊技」が実行される。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」と言い、小当りとなって実行される特別遊技を「小当り遊技」と言う。
【0109】
当りには複数の種別がある。図10に示すように当りの種別としては、「15R(ラウンド)第1大当り」、「15R第2大当り」、「2R第3大当り」、及び「15R第4大当り」がある。「15R第1大当り」及び「15R第4大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であり、1ラウンド目と2ラウンド目に、特定領域39への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞口35を開放させる大当りである。この特定領域39への遊技球の通過を狙うラウンドを、チャンスラウンドやチャレンジラウンドということができる。「15R第2大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であるものの、前述のチャンスラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目の開放時間が極短時間(一瞬開閉)で、特定領域39への遊技球の通過が困難(不可能としてもよい)な大当りである。すなわち、この「15R第2大当り」は、特定領域39への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞口35を開放させることのない大当りであるといえる。「2R第3大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が2回であり、チャンスラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目に特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35を開放させる大当りである。但し、第2大入賞口35の開放時間が1ラウンド目と2ラウンド目を合わせても1.8秒であるので、15R第1大当りより特定領域への遊技球の通過可能性が低いものとなっている。
【0110】
本実施例1のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当り遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、特別図柄当否判定の結果が前述の15R第1大当り、2R第3大当り、又は15R第4大当りとなった場合には、特定領域への遊技球の通過可能性が比較的高い態様で1ラウンド目と2ラウンド目のチャンスラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることができる。これに対して、15R第2大当りとなった場合には、1ラウンド目と2ラウンド目のチャンスラウンドの開放時間が各0.1秒であるので、第2大入賞口へ遊技球を入球させるのが非常に困難であるので、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができず、その大当り遊技後の遊技状態は、後述の通常状態(低確率状態)となる可能性が非常に高い(低確率状態になるといってもよい)。
【0111】
一方、小当りは、見かけ上2R第3大当りと同じ開放パターンで大入賞口(第2大入賞口35)を開放させる当りである。すなわち小当りでは、特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35を開放させる。しかしながら、小当り遊技の実行中に、特定領域39への遊技球の通過があっても小当り遊技の実行後の遊技状態を小当り遊技の実行前から変化させないものとなっている。そのため、小当り遊技の実行前の遊技状態が通常状態(低確率状態)であれば、小当り遊技の実行後の遊技状態も通常状態となる。そして遊技者から見れば、上記の2R第3大当りと小当りとは大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンを見ても区別することができない。すなわち遊技者は特別図柄当否判定の結果が、2R第3大当りになったのか小当りになったのかを認識するのが困難である。そのため、2R第3大当りとしての特別遊技中(大当り遊技中)に特定領域39へ遊技球を通過させたとしても、それだけでは、その後の遊技状態が高確率状態に移行したかどうかを認識するのは困難である。また、小当りとしての特別遊技中(小当り遊技中)に特定領域39へ遊技球を通過させたとしても、それだけでは、その後の遊技状態が通常状態のままか、高確率状態に移行したかを認識するのは困難である。その結果、小当りとなった場合、及び2R第3大当りになった場合には、高確率状態であるかもしれないという期待感を持ちつつ遊技を進行することができ、遊技興趣を高めることができる。尚、小当りにおいては大入賞口の開放回数を、ラウンド数とは言わず、単に開放回数という。
【0112】
より具体的には、本実施例1のパチンコ遊技機1における各大当り及び小当りとなったときの大入賞口の開放パターンは、図10のようになっている。すなわち、15R第1大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第1大当り図柄が停止表示された場合)、及び15R第4大当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに15R第4大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまでは第2大入賞口35を最大28秒開放し、3R〜15Rまでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目及び2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々28秒あるため、そのラウンド中に特定領域39へ遊技球を通過させることが容易となっている。
【0113】
また、15R第2大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第2大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまでは第2大入賞口35を最大0.1秒開放し、3R〜15Rまでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目及び2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々最大0.1秒と極短時間とされている(一瞬開閉)ため、そのラウンド中に特定領域39へ遊技球を通過させることはほぼ不可能となっている。
【0114】
すなわち、15R第2大当り用の開放パターンは、15R第1大当り用の開放パターンと比べて第1ラウンド及び第2ラウンドの開放態様が異なる。つまり、15R第1大当りでは、1ラウンド目及び2ラウンド目に第2大入賞口35が28秒開放するため、第2大入賞口35へ遊技球が容易に入球する。そして、第2大入賞口35へ入球した遊技球は、高い可能性で特定領域39を通過する。これに対して、15R第2大当りでは、1ラウンド目及び2ラウンド目に第2大入賞口35が0.1秒しか開放しない。そのため、第2大入賞口35へ遊技球が入球することは非常に困難である。従って、15R第2大当りの実行中に、遊技球が特定領域39を通過する可能性は15R第1大当りと比してかなり低くなっている。また、遊技球が特定領域39を通過する可能性は限りなく0に近いため、通過しないといってもよい。
【0115】
また図10に示すように、2R第3大当りに当選した場合(第1特別図柄表示器41aに2R第3大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまで第2大入賞口35を最大0.9秒開放させる。この当りでは、1R目及び2R目における第2大入賞口35の開放時間が合計1.8秒あるため、そのラウンド中に特定領域39へ遊技球を通過させることが可能となっている。尚、本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。よって、第2大入賞口35の開放時間が1.8秒あれば、第2大入賞口35へ遊技球を入球させることは十分に可能である。またこの2R第3大当りは、第2大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、他の15R大当りのように多くの賞球(遊技利益)を望めるものではない。すなわち他の大当りに比してほとんど賞球の獲得できない大当りである。
【0116】
また、第1小当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに第1小当り図柄が停止表示された場合)、及び、第2小当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに第2小当り図柄が停止表示された場合)には、第2大入賞口35において最大0.9秒間の開放を2回行う。すなわち、2R第3大当りと同じ開放パターンにて大入賞口を開放させる。この小当りにおいても、第2大入賞口35の開放時間が合計1.8秒あるため、特定領域39へ遊技球を通過させることが可能となっている。しかし前述の通り、特定領域39への通過があっても小当り遊技の前後で遊技状態の変化はない。またこの小当りは、大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、2R第3大当りと同様に多くの賞球を望めるものではない。すなわち小当りは、遊技状態の移行という点についても、賞球という点についても、遊技者にとっての特典がほぼないもの(入球による賞球のみ)となっている。すなわち、本実施例では、第2大入賞口35の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能(通過容易)な第1の開放パターンと(15第1大当り、15R第4大当り)、遊技球が特定領域39を通過困難(通過不能)な第2の開放パターンと(15R第2大当り)、遊技球が特定領域を通過可能であって第1の開放パターンより通過可能性が低い第3の開放パターンと(2R第3大当り)、を有するものとすることができる。また、小当り用の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能であるが通過した場合であっても特典を付与しない(高確率状態を発生しない)第4の開放パターンを有するものとすることができる。この第4の開放パターンは、他の態様として特定領域39を通過不能な開放パターンとしてもよい。
【0117】
尚、第1特別図柄(特図1)の当否判定における各大当りへの振分確率は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが50%、2R第3大当りが10%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の当否判定における大当りは、全て15R第4大当りとなっている。すなわち、後述の開放延長機能の作動(高ベース状態の発生)により入球容易となった第2始動口21への入球に基づく当否判定により大当りとなった場合には、必ず15R第4大当りとなる。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入球して行われる当否判定(第1特別図柄の大当り抽選)において大当りとなるよりも、第2始動口21に遊技球が入球して行われる当否判定(第2特別図柄の大当り抽選)において大当りとなる方が、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、遊技者は、第2始動口21への入球を期待して遊技を行う。特に第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中においては顕著である。
【0118】
ここで本パチンコ遊技機1では、大当りか、小当りか、外れかの判定は「特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう)」に基づいて行われ、大当りとなった場合の大当りの種別の判定は「大当り種別決定用乱数(「図柄決定用乱数」、「図柄決定用情報」ともいう)」に基づいて行われる。図11(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は0〜629までの範囲で値をとる。大当り種別決定用乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。尚、第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数及び大当り種別決定用乱数の他に、「リーチ乱数(「リーチ情報」ともいう)」及び「変動パターン乱数(「変動パターン情報」ともいう)」がある。
【0119】
リーチ乱数は、特別図柄当否判定の結果が外れである場合に、演出図柄を用いてその結果を示す遊技演出(演出図柄遊技演出)においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは例えば、左と右の2個の演出図柄8R、8Lが同じ図柄で停止(仮停止)され、残り1個の中演出図柄8Cが変動中の状態をいう(「7↓7」の状態)。そして、変動中の中演出図柄8Cが停止中の演出図柄8R、8Lと同じ図柄で停止すれば、3つの演出図柄が同一の図柄で停止することとなり、当りとなる。尚、この場合の演出図柄の停止(仮停止)には、演出図柄表示領域7b内で多少揺れているような表示(揺れ変動)も含まれる。このリーチ乱数は、0〜126までの範囲で値をとる。
【0120】
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜198までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図11(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜240までの範囲で値をとる。
【0121】
次に、本実施例1のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄及び普通図柄に対する確率変動機能、変動時間短縮機能、及び、開放延長機能の各機能が作動状態又は非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常状態(「低確率状態」ともいう)」という。高確率状態では、特別図柄当否判定において大当りと判定される確率が通常状態よりも高くなっている。すなわち、通常状態では通常状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行うものの、高確率状態では、大当りと判定される特別図柄当否判定用乱数の値が多い高確率状態用の大当り判定テーブルを用いて、当否判定を行う(図12(A)参照)。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の変動表示の結果が大当りとなる(停止図柄が大当り図柄となる)確率が高くなる。
【0122】
また、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均値が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均値よりも短くなっている。すなわち、時短状態においては、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図13参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことができる。
【0123】
特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)についての確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(図12(D)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動表示の結果が当りとなる(停止図柄が普通当り図柄となる)確率が高くなる。
【0124】
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例1では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図12(E)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における第2始動口21の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。すなわち、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における第2始動口21の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。すなわち、可変入賞装置22の開放回数増加機能が作動している。具体的に、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の開閉部材37が0.2秒の開放動作を1回行い、その期間第2始動口が開状態となる。また時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の開閉部材37が2.0秒の開放動作を3回行うものとされる。
【0125】
普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
【0126】
高ベース状態(高頻度状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第2始動口が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
【0127】
本実施例1のパチンコ遊技機1では、15R第1大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態且つ特別図柄の時短状態、且つ高ベース状態となる(図10参照)。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、予め定められた回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、又は、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
【0128】
また、15R第2大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過することは極めて困難であるので、特別図柄の通常状態且つ特別図柄の時短状態、且つ高ベース状態となる(図10参照)。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されることにより終了する。可能性は限りなく低いが、仮に、15R第2大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過した場合には、「高確高ベース状態」となる。
【0129】
また、通常状態(低確低ベース状態)において、2R第3大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態且つ特別図柄の非時短状態、且つ低ベース状態となる(図10参照)。この遊技状態を特に、「高確低ベース状態」という。高確低ベース状態は、予め定められた回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、又は、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
【0130】
この高確低ベース状態は、高確率状態であることが潜伏している状態、すなわち高確率状態であることが遊技者にとって認識困難な状態である。つまり高確低ベース状態は、いわゆる「潜伏確変状態(「確率非報知状態」ともいう)」である。これに対して、上記の高確高ベース状態は、高確率状態であることが遊技者にとって明らかな状態である。つまり高確高ベース状態は、いわゆる「確変遊技状態」である。
【0131】
また、高ベース状態において、2R第3大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態且つ特別図柄の時短状態、且つ高ベース状態となる(図10参照)。すなわち、特別図柄の時短機能及びベース状態については、大当り遊技の実行前の状態と同じ状態とされる。
【0132】
尚、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、特別図柄の通常状態且つ特別図柄の非時短状態、且つ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。
【0133】
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。また高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、第1始動口20への入球よりも第2始動口21への入球の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知する。
【0134】
これに対して、高確低ベース状態や低確低ベース状態といった低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。また低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっており、第2始動口21への入球よりも第1始動口20への入球の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知する。
【0135】
具体的には発射方向表示器47は、「yz」の2個のLEDで構成されており、遊技状態に応じてLEDを点灯させることにより発射方向を示すものである。例えば、低ベース状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、高ベース状態では、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。
【0136】
[主制御メイン処理]
次に、図14図41に基づいて遊技制御用マイコン81の動作(主制御部による制御処理)について説明する。尚、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、主制御基板80のROMから図14に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(S101)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。尚初期設定(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。尚、実施例1及び図面において、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」、第1特別図柄を「特図1」「第1特図」、第2特別図柄を「特図2」「第2特図」ということがある。
【0137】
初期設定(S101)に次いで、割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、図11に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。尚各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
【0138】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。尚、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合は、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
【0139】
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。図15に示すように、割り込み処理(S105)では、まず出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。ここで出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、大当り種別としての図柄、変動パターン等に関する情報等が挙げられる。尚コマンドは、例えば2バイトの情報からなる。上位1バイトは、コマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
【0140】
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、一般入球口センサ27a等(図5参照))が検知した検知信号を読み込み、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検知する下皿満杯スイッチからの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
【0141】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、図14の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。即ち、図11に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0142】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、普図動作処理(S205)、特図動作処理(S206)、特定領域センサ検知処理(S207)、保留球数処理(S208)、及び電源断監視処理(S209)を実行する。その後、本発明に深く関連しないその他の処理(S219)を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のS102〜S104の処理が繰り返し実行され(図14参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
【0143】
[始動口センサ検知処理]
図16に示すように、始動口センサ検知処理(S204)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。ゲート28を遊技球が通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4以上であるか否かを判定し(S302)、遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)、S305に進む。
【0144】
普通図柄保留球数が4以上であれば(S302でYES)、S305に進む。一方、普通図柄保留球数が4以上でなければ(S302でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H、図11(B))を取得し、その取得乱数値(取得情報)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0145】
S305では、第2始動口21に遊技球が入球したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第2始動口21に遊技球が入球していない場合(S305でNO)にはS309に進むが、第2始動口21に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否かを判定する(S306)。そして、特図2保留球数が4個に達している場合(S306でYES)には、S309に進むが、特図2保留球数が4個未満である場合には(S306でNO)、特図2保留球数に1を加算する(S307)。
【0146】
続いて特図2関係乱数取得処理(S308)を行う。特図2関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図11(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を第2特図保留記憶部のうち現在の特図2保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0147】
続いて始動口センサ検知処理(S204)では、第1始動口20に遊技球が入球したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S309)。第1始動口20に遊技球が入球していない場合(S309でNO)には処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入球した場合には(S309でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否かを判定する(S310)。そして、特図1保留球数が4個に達している場合(S310でYES)には、処理を終えるが、特図1保留球数が4個未満である場合には(S310でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S311)。
【0148】
続いて特図1関係乱数取得処理(S312)を行う。特図1関係乱数取得処理(S312)では、特図2関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図11(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部のうち現在の特図1保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0149】
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで、図17に示す普図動作処理(S205)を行う。普図動作処理(S205)では、普通図柄表示器42および可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「普図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、「普図動作ステータス」が「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、「普図動作ステータス」が「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、「普図動作ステータス」が「3」である場合には(S401、S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、「普図動作ステータス」が「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。尚普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0150】
[普通図柄待機処理]
図18に示すように、普通図柄待機処理(S402)ではまず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)この処理を終える。一方「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行う(S502)。また、普通図柄当否判定処理(S502)に次いで、普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理では、図12(E)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。また普通図柄変動パターン選択処理に次いで後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行う。また、普通図柄乱数シフト処理(S504)に次いで、普通図柄変動開始処理を行い(S505)、処理を終える。普通図柄変動開始処理では、S503で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また普通図柄変動開始処理では、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
【0151】
[普通図柄当否判定処理]
図19に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)ではまず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)を読み出す(S601)。次いで、時短フラグがONか否か(すなわち遊技状態が時短状態であるか否か)を判定する(S602)。S602で、時短フラグがONである、すなわち時短状態であると判定した場合(S602でYES)、図12(D)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」〜「239」)に基づく高確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S604)、S605の処理に移行する。すなわち、読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)が当り判定値の何れかと一致するか否かを判定する。一方、S602で、時短フラグがONでない、すなわち、非時短状態であると判定した場合(S602でNO)、図12(D)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち非時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」、「1」)に基づく低確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S603)、S605の処理に移行する。
そして、S605で、普図当否判定(S603、S604)の結果が、当り(普図当り)か否かを判定し(S605)、外れと判定した場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、S605で当り(普図当り)と判定した場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。
【0152】
[普通図柄乱数シフト処理]
普通図柄変動パターン選択処理(S503)に次いで普通図柄乱数シフト処理(S504)を実行する。図20に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)ではまず、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、即ち普図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S703)、処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
【0153】
[普通図柄変動中処理]
図21に示すように、普通図柄変動中処理(S404)ではまず、普通図柄の変動時間が経過したか否かを判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)処理を終える。一方、経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットする(S802)とともに、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄の変動表示を、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S804)、この処理を終える。
【0154】
[普通図柄確定処理]
図22に示すように、普通図柄確定処理(S406)ではまず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、この処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、続いて時短フラグがONであるか否か、すなわち時短状態中か否かを判定する(S902)。そして時短状態中であれば(S902でYES)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして時短状態中の開放パターンをセットする(S903)。時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、2.0秒の開放を3回繰り返す開放パターンである。従って、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「3」をセットする。
【0155】
これに対して、非時短状態中であれば(S902でNO)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして非時短状態中の開放パターンをセットする(S906)。非時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、0.2秒の開放を1回行う開放パターンである。従って、第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903、S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、この処理を終える。
【0156】
[普通電動役物処理]
図23に示すように、普通電動役物処理(S407)ではまず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
【0157】
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中か否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)処理を終え、至っていれば第2始動口21を開放させ(S1004)、処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)処理を終え、至っていれば(S1005でYES)第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
【0158】
そして第2始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第2始動口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理を行う(S1009)とともに、普図当り終了フラグをセットして(S1010)処理を終える。尚、第2始動口開放カウンタは、時短状態中であれば第2始動口21の開放(可動部材23の開放動作)が3回なされると「0」になり、非時短状態中であれば第2始動口21の開放が1回なされると「0」になる。
【0159】
これに対してS1001において普図当り終了フラグがONであれば(S1001でYES)、S903又はS906にてセットされた回数の第2始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(図17)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
【0160】
[特図動作処理]
図15に示すように遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S205)に次いで特図動作処理(S206)を行う。特図動作処理(S206)では、図24に示すように、特別図柄表示器41及び大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特図動作ステータス1、2、3、4、5」を割り当てている。そして、「特図動作ステータス」が「1」である場合には(S1101でYES)、特別図柄待機処理(S1102)を行い、「特図動作ステータス」が「2」である場合には(S1101でNO、S1103でYES)、特別図柄変動中処理(S1104)を行い、「特図動作ステータス」が「3」である場合には(S1101、S1103で共にNO、S1105でYES)、特別図柄確定処理(S1106)を行い、「特図動作ステータス」が「4」である場合には(S1101、S1103、S1105で共にNO、S1107でYES)、大当り遊技としての特別電動役物処理1(S1108)を行い、「特図動作ステータス」が「5」である場合には(S1101、S1103、S1105、S1107の全てがNO)、小当り遊技としての特別電動役物処理2(S1109)を行う。尚、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0161】
[特別図柄待機処理]
図25に示すように、特別図柄待機処理(S1102)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1201)。特図2保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、即ち、第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1206)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1206でYES)、即ち、第1始動口20への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶もない場合には、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定し(S1211)、そうであれば(S1211でYES)処理を終え、そうでなければ(S1211でNO)待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1212)。
【0162】
S1201において特図2保留球数が「0」でない場合(S1201でNO)、即ち、第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図2当否判定処理(S1202)、特図2変動パターン選択処理(S1203)、特図2乱数シフト処理(S1204)、特図2変動開始処理(S1205)をこの順に行う。また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)、即ち、第2始動口21に係る乱数カウンタ値の記憶はないが、第1始動口20への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。このように本実施例1では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1201でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)は、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行される。そして本実施例1では、第2特図保留に基づく当否判定の方が、第1特図保留に基づく当否判定よりも、遊技者にとって利益の大きい大当りになりやすくなっている(図12(B))。
【0163】
[特図2当否判定処理]
図26に示すように、特図2当否判定処理(S1202)ではまず、判定値として、RAMの第2特図保留記憶部の最下位の領域(即ち第2特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(最も古い記憶の)特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)を読み出す(S1301)。次いで、確変フラグがONか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1302)。そして、高確率状態でなければ(S1302でNO)、すなわち通常状態であれば、大当り判定テーブル(図12(A))のうち通常状態用の大当り判定テーブル(大当り判定値が「3」及び「397」)に基づいて当否判定を行う(S1303)。一方、高確率状態であれば(S1302でYES)、大当り判定テーブル(図12(A))のうち高確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて当否判定を行う(S1309)。高確率状態用の大当り判定テーブルでは、大当り判定値は、「3」、「53」、「113」、「173」、「227」、「281」、「337」、「397」、「449」、「503」とされている。
【0164】
当否判定(S1303、S1309)の結果が「大当り」と判定した場合(S1304でYES)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)を読み出して、図12(B)に示す大当り種別判定テーブルに基づいて大当り種別を判定し(S1310)、当該大当り種別決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S1311)、大当りフラグをONにして(S1312)、処理を終える。尚、第1特別図柄に係る当否判定の場合は、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。また、第1特別図柄(特図1)の当否判定にて大当りと判定した場合は、15R第1大当り、15R第2大当り及び2R第3大当りのうち何れかが実行される。また、第2特別図柄(特図2)の当否判定にて大当りと判定した場合は、全て15R第4大当りとされる(図12(B))。
【0165】
また、大当りフラグには、大当りの種別が15R第1大当り又は15R第2大当りであった場合にONする長当りフラグと、2R第3大当りであった場合にONする短当りフラグとがある。ここで、ラウンド表示器45は、2R用ランプと15R用ランプとの2個のLEDで構成されており、2R第3大当りとなって短当りフラグがONにされると、2R第3大当り図柄が確定表示するタイミングで、2R用ランプの方が点灯表示される。具体的には、「2R▲15R△」(例えば、▲:点灯、△:消灯とする)の様な表示態様となる。また、15R第1大当り、15R第2大当り、及び15R第4大当りの何れかとなって長当りフラグがONにされると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、15R用ランプの方が点灯表示される。具体的には、「2R△15R▲」の様な表示態様となる。
【0166】
一方、当否判定(S1303、S1309)の結果が「大当り」でないと判定した場合(S1304でNO)、小当りか否かを判定する(S1305)。すなわち、特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)が、小当り判定値である「101」〜「105」の何れかと一致するか否かを判定する(図12(A))。そして、「小当り」でないと判定した場合(S1305でNO)、外れ図柄を決定し(S1308)、処理を終える。つまり、当否判定(S1303、S1309)の結果が「大当り」でもなく「小当り」でもない場合は、その結果は「外れ」となる。一方、小当り判定(S1305)の結果が「小当り」であると判定した場合(S1305でYES)、小当り図柄を決定し(S1306)、小当りフラグをONにして(S1307)、処理を終える。尚、小当りか否かを決める乱数を、特別図柄当否判定用乱数とは別に設けてもよい。
【0167】
[特図2変動パターン選択処理]
特別図柄待機処理(図25)では、特図2当否判定処理(S1202)に次いで、特図2変動パターン選択処理を行う(S1203)。図27及び図28に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1203)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1401)。そして、時短状態でなければ(S1401でNO)、すなわち非時短状態であれば、大当りフラグがONか否かを判定し(S1402)、ONであれば(S1402でYES)、非時短状態中大当り用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。尚、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また本実施例1では、非時短状態中大当り用テーブルは、大当りが長当り(15R大当り)か短当り(2R大当り)かによっても分かれている。しかし本処理は、特図2についての変動パターン選択処理なので、特図2の抽選にて当選する大当りには15R第4大当り(長当り)しかない。従って本処理にて参照される箇所は、常に長当りの箇所となり、変動パターンP1または変動パターンP2が選択される。尚、非時短状態中大当り用テーブルは、長当り用と短当り用とに分かれていなくてもよい。これは後述の時短状態中大当り用テーブルについても同様である。
【0168】
一方、大当りフラグがONでなければ(S1402でNO)、小当りフラグがONか否かを判定する(S1405)。そして、小当りフラグがONであれば(S1405でYES)、非時短状態中小当り用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ小当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。具体的には、本実施例1では必ず変動パターンP4が選択される。
【0169】
また、小当りフラグがONでなければ(S1405でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1406)。図12(C)に示すように、リーチ成立乱数値は時短状態であれば「0」〜「5」であり、非時短状態であれば「0」〜「13」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりも外れ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ演出無し外れがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。
【0170】
リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)がリーチ成立乱数値である場合(S1406でYES)、即ち、リーチ有外れの場合には、非時短状態中リーチ有外れ用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つリーチ有外れに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。本実施例1では、変動パターンP5又はP6が選択される。
【0171】
リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)がリーチ成立乱数値でない場合(S1406でNO)、即ち、リーチ無外れの場合には、非時短状態中リーチ無外れ用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つリーチ無外れに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1408)。このリーチ無外れ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」〜「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。本実施例1では、変動パターンP7又はP8が選択される。
【0172】
またS1401において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1401でYES)には、図28に示すように、参照する変動パターンテーブルを時短状態中用のテーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は、上記ステップS1402〜S1409と同様の流れで処理(S1410〜S1416)を行う。すなわち、大当りであれば図13の時短状態中且つ大当りに該当する部分を参照し、小当りであれば図13の時短状態中且つ小当りに該当する部分を参照し、リーチ有外れであれば図13の時短状態中且つリーチ有外れに該当する部分を参照し、リーチ無外れであれば図13の時短状態中且つリーチ無外れに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する。
【0173】
尚、時短状態中の変動パターンテーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無外れ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が保留球数「2」〜「4」のときに働く。すなわち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。また、大当りのうち長当りに当選した場合に、非時短状態中よりも変動時間の短い変動パターンが選択され易くなっている。つまり、時短状態中の変動パターンテーブルは、非時短状態中の変動パターンテーブルよりも特別図柄の変動時間の平均値が短くなるようなテーブルとなっている。
【0174】
前述のようにして変動パターンの選択を行った後は、図27に示すその他の処理(S1404)を行ってこの処理を終える。尚、その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送られる。
【0175】
[特図2乱数シフト処理]
図29に示すように、特図2乱数シフト処理(S1204)ではまず、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1501)。次いで、第2特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側(例えば第2特図保留記憶部がアドレス「0000」〜「0003」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、第2特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第2特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1503)、この処理を終える。
【0176】
図2乱数シフト処理(S1204)を実行した後は、図25の特図2変動開始処理(S1205)を実行する。特図2変動開始処理(S1205)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。
【0177】
図25の特別図柄待機処理(S1102)において、特図2保留球数が「0」であり、且つ、特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)には、特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。
【0178】
[特図1当否判定処理]
図30に示すように、特図1当否判定処理(S1207)では、図26に示した特図2当否判定処理(S1202)と同様の流れで処理(S1601〜S1612)を行う。従って本処理の詳細な説明は省略する。
【0179】
但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1601では、RAMの第1特図保留記憶部の最下位の領域(即ち第1特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)を読み出す。またS1610における大当りの種別判定では、15R第1大当り、15R第2大当り、及び2R第3大当りのいずれとも判定される可能性がある(図12(B))。図12(B)の第1特別図柄(特図1)の欄に示すように、各大当りの振分率は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが50%、2R第3大当りが10%となっている。この大当りの種別判定で15R第1大当り又は15R第2大当りと判定した場合には、ステップS1612において大当りフラグとして長当りフラグをONする。一方、2R第3大当りと判定した場合には、S1609において大当りフラグとして短当りフラグをONする。
【0180】
[特図1変動パターン選択処理]
図31及び図32に示すように、特図1変動パターン選択処理(S1208)では、図27及び図28に示した特図2変動パターン選択処理(S1203)と同様の流れで処理(S1701〜S1720)を行う。従って本処理の詳細な説明は割愛する。
【0181】
但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1702(図31)でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)には、さらに大当りの別が15R大当り(15R第1大当り又は15R第2大当りのいずれか)であるか否かを判定する(S1703)。そして15R大当りである場合には(S1703でYES)、非時短状態中15R大当り用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ長当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1704)。具体的には、変動パターンP1または変動パターンP2が選択される。
【0182】
一方、S1703において15R大当りでないと判定した場合(S1703でNO)、即ち2R第3大当りである場合には、非時短状態中2R大当り用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ短当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1706)。具体的には、変動パターンP3が選択される。
【0183】
また、この特図1変動パターン選択処理では、S1712(図32)でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)にも、さらに大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り又は15R第2大当りのいずれか)であるか否かを判定する(S1713)。そして15R大当りである場合には(S1713でYES)、時短状態中15R大当り用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち時短状態且つ長当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1714)。具体的には、変動パターンP9〜P11のいずれかが選択される。
【0184】
一方、S1713において15R大当りでないと判定した場合(S1713でNO)、即ち2R第3大当りである場合には、時短状態中2R大当り用テーブル(図13に示す変動パターンテーブルのうち時短状態且つ短当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1715)。具体的には、変動パターンP12が選択される。
【0185】
この特図1変動パターン選択処理において、変動パターンの選択(S1704、S1706、S1709、S1710、S1711、S1714、S1715、S1718、S1719、S1720)を行った後は、その他の処理(S1705、図31)を行って、この処理を終える。その他の処理(S1705)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送られる。
【0186】
[特図1乱数シフト処理]
図33に示すように、特図1乱数シフト処理(S1209)ではまず、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1801)。次いで、第1特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側にシフトする(S1802)。そして、第1特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1803)、この処理を終える。
【0187】
図1乱数シフト処理(S1209)を実行した後は、図25の特図1変動開始処理(S1210)を実行する。特図1変動開始処理(S1210)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。
【0188】
[特別図柄変動中処理]
図34に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)ではまず、特別図柄の変動時間(図25のS1203又はS1208で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図13参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
【0189】
一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。そして、確変フラグがONか否かを判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、確変カウンタを1減算し(S1904)、確変カウンタの値が「0」か否かを判定する(S1905)。S1905で確変カウンタが「0」であると判定した場合、確変フラグをOFFし、S1907の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定した場合(S1903でNO)、及び確変カウンタが「0」でないと判定した場合(S1905でNO)、S1907の処理に移行する。
【0190】
そしてS1907では、時短フラグがONか否かを判定し(S1907)、時短フラグがONであると判定した場合(S1907でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動表示回数をカウントする時短カウンタの値を1減算し(S1908)、時短カウンタの値が「0」か否かを判定し(S1909)、「0」であれば(S1909でYES)、時短フラグをOFFにし(S1910)、S1911の処理に進む。また、時短フラグがONでないと判定した場合(S1907でNO)、及び時短カウンタの値が「0」でないと判定した場合(S1909でNO)、S1911の処理に進む。
【0191】
S1911では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1911)。そして、特別図柄の変動表示を、特別図柄当否判定乱数及び大当り種別決定用乱数の判定結果に応じた結果で停止させる等のその他の処理を行い(S1912)、この処理を終える。
【0192】
[特別図柄確定処理]
図35に示すように、特別図柄確定処理(S1106)ではまず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、続いて大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、又は15R第4大当りのいずれか)か否かを判定する(S2002)。
【0193】
そして15R大当りであれば(すなわち長当りフラグがONであれば)、大当り遊技中に実行するラウンド(1ラウンド1回開放の態様では、1回のラウンドは大入賞口の開放から閉塞まで)の回数をカウントするラウンドカウンタの値を「15」にセットするとともに、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放パターンとして、15R第1大当りであれば15R第1大当り用の開放パターン(図10参照)をセットし、15R第2大当りであれば15R第2大当り用の開放パターン(図10参照)をセットする(S2003)。
【0194】
S2002において15R大当りでなければ(すなわち短当りフラグがONであれば)、大当り種別は2R第3大当りであるため、ラウンドカウンタの値を「2」にセットするとともに、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放パターンとして、2R第3大当り用の開放パターン(図10参照)をセットする(S2004)。
【0195】
S2003又はS2004の処理を終えたら、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2005)、大当り遊技のオープニング演出を開始し(S2006)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2007)。
【0196】
また、S2001において大当りフラグがONでないと判定した場合(S2001でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S2008)。小当りフラグがONであれば(S2008でYES)、小当り遊技中における大入賞口(第2大入賞口35)の開放回数をカウントする小当り用開放カウンタの値を「2」にセットするとともに、大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンとして、小当り用の開放パターン(図10参照)をセットする(S2009)。
【0197】
S2009の処理を終えたら、小当り遊技を開始するべく、小当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2010)、小当り遊技のオープニング演出を開始し(S2011)、特図動作ステータスを「5」にセットする(S2012)。尚、S2008において小当りフラグがONでなければ(S2008でNO)、大当り遊技も小当り遊技も開始しないため、特図動作ステータスを「1」にセットし、処理を終える。
【0198】
[特別電動役物処理1(大当り遊技)]
図36に示すように、特別電動役物処理1(S1108)ではまず、確変フラグがONか否かを判定し(S2101)、ONと判定した場合(S2101でYES)、確変フラグをOFFする(S2102)。また、時短フラグがONか否かを判定し(S2103)、ONと判定した場合(S2103でYES)、時短フラグをOFFする(S2104)。つまり、大当り遊技の実行中は、低確率状態且つ非時短状態に制御される。本実施例1では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当り遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
【0199】
次に、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放が全て終了(大当り遊技が終了)したことを示すフラグである。
【0200】
大当り終了フラグがONでなければ(S2105でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中か否かを判定する(S2106)。開放中でなければ(S2106でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち大当りのオープニングの時間が経過して1ラウンド目を開始する時期に至ったか、又は、ラウンド間のインターバルの時間が経過して次ラウンド(次の開放)を開始する時期に至ったか否かを判定する(S2107)。
【0201】
S2107の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、S2107の判定結果がYESであれば、実行されるラウンドが1ラウンド目及び2ラウンド目
の何れかのラウンドに該当するか否かを判定する(S2108)。これは、大当り種別毎に、ラウンドカウンタの値を用いて判定してもよいし、別途実行するラウンドが何ラウンド目かをカウントするラウンドカウンタを設けて判定してもよい。1ラウンド目及び2ラウンド目のいずれのラウンドでもない(すなわち、3〜15ラウンドの何れか)場合(S2108でNO)、S2110に進んで、大当りの種類に応じた開放パターン(図10参照)に従って第1大入賞口30を開放させるべく、第1大入賞装置31を作動させる。一方、1ラウンド目又は2ラウンド目であると判定した場合(S2108でYES)、V有効期間設定処理(S2109)を行ってからS2110に進んで、大当りの種類に応じた開放パターン(図10参照)に従って第2大入賞口35を開放させるべく、第2大入賞装置36を作動させる。
【0202】
V有効期間設定処理(S2109)では、1ラウンド又は2ラウンドにおける第2大入賞口35の開放中及び第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定する期間(第1期間に相当)に設定する。尚本実施例1ではこれ以外の期間(小当り中や特別遊技を実行していないときも含む)は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定する期間(第2期間に相当)に設定している。ここで、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知に基づいてVフラグをONする(後述の特定領域センサ検知処理(図39)のステップS2401〜S2403参照)ということであり、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があってもVフラグをONしないということである。
【0203】
ここで、特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、遊技状態表示器46を所定の表示態様とし、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となることを報知する。具体的には、遊技状態表示器46は「a1a2a3」の3個のLEDで構成されている。そして、本実施例1では、通常状態(低確率状態)においては、「a1□a2□a3□」(例えば、□:消灯、■:点灯)の表示態様とされる。また、大当り遊技中の特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、「a1■a2■a3■」の表示態様とされる。そして、大当り遊技が終了し、遊技状態が高確率状態に設定されると「a1□a2□a3□」の表示態様とされる。また、遊技状態表示器46の点灯制御タイミングはこのようなタイミングに限定されず、大当り遊技中は、遊技球が特定領域を通過しても「a1□a2□a3□」の表示態様のままとし、大当り遊技終了後の高確率状態へ移行するタイミングで「a1■a2■a3■」とし、高確率状態から低確率状態に移行するタイミングで「a1□a2□a3□」の表示態様としてもよい。
【0204】
すなわち、後述の特定領域センサ検知処理(図39)では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。尚、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされる、すなわち大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理(図37))。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち不正に高確率状態に設定されることのないようにしている。
【0205】
また、15R第1大当りや2R第3大当りにおいて、1R目又は2R目のV通過があれば、当該大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定する一方で、小当り遊技中にV通過があっても、小当り遊技前の遊技状態が通常状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態も通常状態とし、小当り遊技前の遊技状態が高確率状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態も高確率状態とする。つまり、小当り遊技の前後で当否判定確率を変化させないようにしている。
【0206】
尚、本実施例1では、V有効期間設定処理(S2109)において、15R第2大当りである場合にも特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定する期間(第1期間)に設定するが、他の態様として、15R第2大当りの場合は1R目及び2R目において第1期間を設定しないものとしてもよい。すなわち、15R第2大当りの場合は1R目及び2R目を第2期間に設定するようにしてもよい。15R第2大当りに係る大当り遊技では、第2大入賞口35の開放時間を0.1秒と極短時間に設定しているため遊技球が第2大入賞口35へ入球する可能性は限りなく低いが、第2期間に設定しておけば、万が一入球した場合でもVフラグをONにしてしまうことがない。これにより、不正にVフラグをONにしたり、まれな入球によりVフラグがONになったりしてしまうのを防止することができる。尚、本実施例では1ラウンド又は2ラウンドにおいて特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効としているが、ラウンドの場所はこれに限らなくてもよい。
【0207】
S2106において大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中であれば(S2106でYES)、そのラウンドにおける大入賞口への入球個数が規定の最大入球個数(本実施例1では1ラウンド当り10個)に達しているか否かを判定する(S2111)。規定入球個数に達していなければ(S2111でNO)、大入賞口を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち大入賞口を開放してから所定の開放時間(図10参照)が経過したか否かを判定する(S2112)。そして、大入賞口の開放時間が経過していなければ(S2112でNO)、処理を終える。
【0208】
これに対して、規定入球個数に達している場合(S2111でYES)、又は大入賞口の開放時間が経過した場合(S2112でYES)、すなわち2つのラウンド終了条件のうちのいずれかが成立した場合には、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖する(S2113)。そして、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2114)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2115)。「0」でないと判定した場合(S2115でNO)、次のラウンドを開始するため、処理を終える。
【0209】
一方、「0」と判定した場合(S2115でYES)、大当り遊技を終了させる大当り終了処理として、大当りのエンディングコマンドをセットするとともに(S2116)、大当りのエンディング演出を開始する(S2117)。そして、大当り終了フラグをセットし(S2118)、処理を終える。尚、ラウンドカウンタは、長当り(15R大当り)であれば大入賞口の開放が15回実行されると「0」になり、短当り(2R大当り)であれば大入賞口の開放が2回実行されると「0」になる。
【0210】
またS2105において大当り終了フラグがONであれば(S2105でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング演出の実行時間(エンディング時間)が経過したか否かを判定し(S2119)、エンディング時間が経過していなければ(S2119でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2119でYES)、大当り終了フラグをOFFにした後(S2120)、後述の遊技状態設定処理(S2121)を行う。そして、大当りフラグをOFFにし(S2122)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2123)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(図24)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
【0211】
[遊技状態設定処理]
図37に示すように、遊技状態設定処理(S2121)ではまず、VフラグがONであるかどうかを判定する(S2201)。Vフラグは後述の特定領域センサ検知処理(図39)にてONするフラグである。そしてVフラグがONであれば(S2201でYES)、確変フラグをONするとともに(S2202)、確変カウンタに「140」をセットし(S2203)、VフラグをOFFにし(S2204)、S2205の処理に進む。すなわち、本パチンコ遊技機1では、この遊技状態設定処理においてVフラグがONになっているか否かに基づいて、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定するか否かを決めている。
【0212】
一方、VフラグがOFFであれば(S2201でNO)、確変フラグをONにすることなく、時短フラグをONにし(S2209)、時短カウンタに「100」をセットし(S2210)、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技終了後の遊技状態が低確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち低確高ベース状態)になる。この低確高ベース状態は、特別図柄の変動表示が100回行われること(第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とを合算した回数が100回になること)、及び次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。また、この時短カウンタ及び確変カウンタは、第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とを合算した回数を計数するものである。
【0213】
S2205では、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りか否かを判定する。そして、15R大当りでない、すなわち、2R第3大当りであると判定した場合(S2205でNO)、次いで、今回の大当り遊技開始前の遊技状態、すなわち2R第3大当りとなった際の遊技状態が、時短状態か否かを判定する(S2208)。時短状態でなかったと判定した場合(S2208でNO)、時短フラグをONにすることなく、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態且つ特別図柄の非時短状態且つ低ベース状態(すなわち高確低ベース状態)になる。この高確低ベース状態は、特別図柄が140回変動表示すること、及び、次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。
【0214】
一方、S2205で、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りであると判定した場合(S2205でYES)、及び、S2208で、2R第3大当りとなった際の遊技状態が時短状態であったと判定した場合(S2208でYES)、時短フラグをONにし(S2206)、時短カウンタに「140」をセットし(S2207)、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態且つ特別図柄の時短状態且つ高ベース状態(すなわち高確高ベース状態)になる。この高確高ベース状態は、特別図柄が140回変動表示すること、及び、次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。
【0215】
また、2R第3大当りであり、且つ当該大当り遊技中にVフラグがONにされた場合において、大当り遊技開始前の遊技状態が時短状態かどうかを判定する処理(S2208)を行うのは、大当り遊技前後の時短機能の作動状態、及び高ベース機能の作動状態を小当りと同じにするためである。これらの作動状態が小当りと2R第3大当りとで異なっていると、大入賞口の開放パターンで何れの当りかを認識困難にしたとしても、その後の作動状態によって、何れの当りかが判別されてしまうからである。これにより、小当りと2R第3大当りとを大入賞口の開放パターンでの判別を困難にすると共に、その後発生する時短機能や高ベース発生機能の作動状態によっても判別困難としている。尚、時短状態かを確認しないで単にVフラグONであれば時短フラグをONにする構成でもよい。
【0216】
[特別電動役物処理2(小当り遊技)]
図38に示すように、特別電動役物処理2(S1109)ではまず、小当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当り終了フラグは、小当り遊技において第2大入賞口35の開放が全て終了したことを示すフラグである。
【0217】
小当り終了フラグがONでなければ(S2301でNO)、第2大入賞口35の開放中か否かを判定する(S2302)。開放中でなければ(S2302でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち小当りのオープニングの時間が経過して1回目の開放を開始する時期に至ったか、又は、複数回にわたる開放の間のインターバルの時間が経過して次の開放を開始する時期に至ったか否かを判定する(S2303)。
【0218】
S2303の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、S2303の判定結果がYESであれば、V無効期間設定処理(S2304)を行ってから、S2305に進み、小当りの開放パターン(図10参照)に従って第2大入賞口35を開放させるべく第2大入賞装置36を作動させる。
【0219】
V無効期間設定処理(S2304)では、小当り遊技における第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定する期間(第2期間)に設定する。また、本実施例1では、前述のV有効期間設定処理(S2109)で有効期間に定める期間以外の期間は無効期間(第2期間)とされている。従って、このV無効期間設定処理では、有効期間となっていないか、すなわち無効期間に設定されているかを確認する。具体的には、V有効期間の経過をカウントダウンにて計測するVタイマ(主制御基板80のRAMに設けられている)が「0」(すなわち有効期間無しの状態)に設定されているかを確認する。Vタイマが「0」でなければVタイマに「0」をセットする。尚Vタイマが「0」か否かを確認することなく、Vタイマに「0」をセットする即ち有効期間無しの状態に設定するようにしてもよい。これにより、小当り遊技中にV通過があっても、小当り遊技開始前の遊技状態が通常状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態は高確率状態に移行しないようになる。尚、本実施例1では、前述のV有効期間設定処理(S2109)で有効期間に定める期間以外の期間は無効期間であるため、S2304の処理を省略してもよい。
【0220】
S2302において第2大入賞口35の開放中であれば、(S2302でYES)、2回の開放中における第2大入賞口35への入球個数、すなわち2回の開放において入球した遊技球を全て足した数が、規定の最大入球個数(本実施例1では10個)に達しているか否かを判定する(S2306)。規定入球個数に達していなければ(S2306でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時期に至ったか否か、すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(図10参照)が経過したか否かを判定する(S2307)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2307でNO)、処理を終える。
【0221】
これに対して、2回の開放中における第2大入賞口35への入球個数が規定入球個数に達している場合(S2306でYES)、第2大入賞口35を閉鎖し(S2314)、S2311の小当り終了処理に移行する。一方、S2307で、第2大入賞口35の開放時間が経過したと判定した場合(S2307でYES)には、第2大入賞口35を閉鎖する(S2308)。そして、小当り用開放カウンタの値を1ディクリメントし(S2309)、小当り用開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2310)。S2310で「0」でないと判定した場合(S2310でNO)、次の開放を開始するため、そのまま処理を終える。
【0222】
一方、S2310で「0」であると判定した場合(S2310でYES)、S2311の小当り終了処理に移行する。S2311では、小当り遊技を終了させる小当り終了処理として、小当りのエンディングコマンドをセットするとともに(S2311)、小当りのエンディング演出を開始する(S2312)。そして、小当り終了フラグをセットし(S2313)、処理を終える。尚、小当り用開放カウンタは、第2大入賞口35の開放が2回なされると「0」になる。
【0223】
S2301において、小当り終了フラグがONであれば(S2301でYES)、2回の開放が終了しているので、小当りのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2315)、エンディング時間が経過していなければ(S2315でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2315でYES)、小当り終了フラグをOFFにするとともに(S2316)、小当りフラグをOFFにし(S2317)、さらに、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2318)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(図24)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
【0224】
尚、小当り遊技の開始に際して確変フラグや時短フラグをONからOFFに切り変えることはしない。また、小当り遊技の終了に際しては、遊技状態設定処理(S2121、図37)を行わない。すなわち、本パチンコ遊技機1では、小当り遊技の実行前と実行後において遊技状態を変化させない。
【0225】
[特定領域センサ検知処理]
図15に示すように遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S206)に次いで特定領域センサ検知処理(S207)を行う。特定領域センサ検知処理(S207)では図39に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2401)。検知がないと判定した場合(S2401でNO)、処理を終了する。S2401で検知があると判定した場合(S2401でYES)、V有効期間中か否かを判定する(S2402)。V有効期間は、前述の特別電動役物処理1(図36)におけるV有効期間設定処理(S2109)にて設定される期間である。V有効期間は、大当り遊技における1ラウンド目と2ラウンド目に設定される。
【0226】
また、S2402でV有効期間中であると判定した場合(S2402でYES)、VフラグをONにすると共に(S2403)、現在実行中の大当り遊技が2R大当り(2R第3大当り)であるか否かを判定する(S2404)。そして、2R大当りでないと判定した場合(S2404でNO)、すなわち15R大当りであれば、第1V通過コマンドをセットし(S2405)、処理を終える。一方、2R大当りであると判定した場合(S2404でYES)、第2V通過コマンドをセットし(S2406)、処理を終える。主制御基板80のCPUは、所定のタイミングでこのV通過コマンドをサブ制御基板90に送信し、サブ制御基板90は受信したV通過コマンドの種別によって、演出図柄表示領域等で遊技演出を実行する。
【0227】
また、S2402でV有効期間中でないと判定した場合(S2402でNO)、VフラグをONにすることなく、第3V通過コマンドをセットし(S2407)、処理を終える。尚、第1V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を行わせるためのコマンドである。これに対して、第2V通過コマンド及び第3V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を原則行わせないためのコマンドである。また、遊技制御用マイコン81は、このような特定領域センサ検知処理(S207)やV有効期間設定処理(S2109)を実行することにより、特定領域39への遊技球の通過の有効無効を切り替える手段(特定領域状態切替手段)として機能する。
【0228】
[保留球数処理]
図15に示すように遊技制御用マイコン81は、特定領域センサ検知処理(S207)に次いで保留球数処理(S208)を行う。保留球数処理(S208)では図40に示すように、まず、主制御基板80のRAMに記憶されている特図1保留球数、特図2保留球数及び普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、その保留球数のデータ(その保留球数情報をサブ制御基板90等に送信するための保留球数コマンド)を、RAMの出力バッファにセットする(S2502)。
【0229】
[電源断監視処理]
図15に示すように遊技制御用マイコン81は、保留球数処理(S208)に次いで電源断監視処理(S209)を行う。電源断監視処理(S209)では図41に示すように、まず、電源断信号の入力の有無を判定し(S2601)、入力がなければ(S2601でNO)、処理を終了する。一方、電源断信号の入力があれば(S2601でYES)、現在の遊技機の状態(確変かどうか、当り遊技中かどうか、保留球数はいくつか、確変・時短の残り変動回数はいくつか等)に関するデータをRAMに記憶するとともに(S2602)、電源断フラグをONし(S2603)、その後は割り込み処理(図15)に戻ることなくループ処理をする。
【0230】
[サブ制御メイン処理]
次に、図42図53に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。尚、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、サブ制御基板90(サブ制御部)のRAMに設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、サブ制御基板90のROMから図42に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
【0231】
続いて、S4002で、電源断信号がONで且つサブ制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そして、この判定結果がNOであれば(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMの初期化をし(S4003)、S4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、サブ制御基板90のRAMを初期化することなくS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMを初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。尚、このS4001〜S4003は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0232】
S4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値はサブ制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。尚、演出決定用乱数には、予告演出を決定する予告演出決定用乱数や演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。このタイミングとしては、例えば主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたときや、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたときや、後述の変動演出パターンを決定するときなどとすることができる。取得した演出決定用乱数の格納場所は、サブ制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。尚、本実施例1では、予告演出決定用乱数として、主として画像表示装置7を用いて行う種々の表示予告演出の態様(実行有無)を決定するための表示予告決定乱数と、主として可動装飾部材14を用いて行う可動予告演出の態様(実行有無を含む)を決定するための可動予告決定用乱数を有している。可動予告演出の態様(実行有無を含む)は、可動予告決定用乱数の取得値と図49に示す可動予告決定テーブルを用いて決定する。尚、表示予告演出としては、例えば、セリフの内容によって大当り信頼度を示す会話予告や、実行中の演出図柄遊技演出(特別図柄の変動表示)の内容や結果等に関連する予告画像等を演出図柄遊技演出の進行に伴って段階的に出現させたり変化させたりするステップアップ予告、保留表示(保留図柄)の態様によって大当り等の特定保留の存在を示唆する保留予告等がある。
【0233】
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM内の出力バッファに格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106、及びランプ制御基板107に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従い各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出や、大当り遊技及び小当り遊技に伴う特別遊技演出等)を実行する。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、S4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)、及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
【0234】
[受信割り込み処理]
受信割り込み処理(S4008)では、図43に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、S4101で、ストローブ信号がONでないと判定した場合(S4101でNO)、処理を終える。一方、S4101で、ストローブ信号がONであると判定した場合(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドをサブ制御基板90のRAMに格納し(S4102)、処理を終える。この受信割り込み処理(S4008)は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
【0235】
[2msタイマ割り込み処理]
2msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図44に示すように、2msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、演出ボタン検知スイッチ63c、63dからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する入力処理を行う(S4201)。続いて、後述の10msタイマ割り込み処理で作成したランプデータを出力するランプデータ出力処理を行う(S4202)。次いで、可動装飾部材14(電気的駆動源14a)を駆動するための駆動データの作成及び出力を行う駆動データ出力処理を行う(S4203)。そして、ウォッチドッグタイマのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S4204)。
【0236】
[10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図45に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S4301)。次いで、2msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてサブ制御基板90のRAMに格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4302)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S4303)。その後、ランプデータ(盤面ランプ5や枠ランプ66の点灯を制御するデータ)を作成したり、演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行する(S4304)。
【0237】
[受信コマンド解析処理]
図46に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、演出制御用マイコン91が主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否かを判定し(S4401)、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、後述する変動演出開始処理(S4402)を行って、S4403の処理に移行し、変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でNO)、変動演出開始処理を行うことなく、S4403の処理に移行する。S4403では、変動演出を実行中であるか否かを判定し、実行中であると判定した場合(S4403でYES)、後述する表示予告演出実行処理(S4404)及び可動予告演出実行処理(S4405)を行って、S4406の処理に移行し、実行中でないと判定した場合(S4403でNO)、表示予告演出実行処理及び可動予告演出実行処理を行うことなく、S4406の処理に移行する。S4406では、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S4406)、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S4406でYES)、演出図柄を停止表示して変動演出を終了させる変動演出終了処理を行う(S4407)。一方、S4406で、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S4406でNO)、変動演出終了処理を行うことなく、S4408の処理に移行する。尚、変動演出とは、特別図柄の変動表示に合わせて行われる種々の演出を指す。
【0238】
続いて、S4408では、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否かを判定し(S4408)、オープニングコマンドを受信したと判定した場合(S4408でYES)、特別遊技(大当り遊技又は小当り遊技)の際に実行する特別遊技演出のパターン(演出態様)を選択する特別遊技演出選択処理を行う(S4409)。特別遊技演出には、少なくとも、特別遊技開始に伴う大入賞口開放前のオープニング期間中に実行するオープニング演出と、大入賞口の開放中及び開放と開放との間(ラウンド間)のインターバル中に実行する開始後演出と、が含まれる。次いで、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否かを判定し(図47のS4410)、エンディングコマンドを受信したと判定した場合(S4410でYES)、特別遊技終了時演出のパターンや特別遊技終了後の演出モードの種類等を選択するエンディング演出選択処理を行う(S4411)。一方、S4408で、オープニングコマンドを受信していないと判定した場合(S4408でNO)、特別遊技演出選択処理を行うことなく、S4410の処理に移行する。また、S4410で、エンディングコマンドを受信していないと判定した場合(S4410でNO)、エンディング演出選択処理を行うことなく、S4412の処理に移行する。
【0239】
続いて、主制御基板80から第1V通過コマンドを受信したか否かを判定し(S4412)、第1V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4412でYES)、V通過報知コマンドをセットし(4413)、S4414の処理に移行する。尚、第1V通過コマンドは、15R第1大当りにおいてV有効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。V通過報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)にて画像制御基板100(画像制御部)等に送信されると、画像制御基板100のCPUは、所定の画像情報を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて「V通過!」等の文字を表示する。これにより、遊技球が特定領域39を通過し、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態になることが遊技者に報知される。一方、S4412で、第1V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4412でNO)、V通過報知コマンドをセットすることなく、S4414の処理に移行する。
【0240】
尚、「V通過!」の文字を表示することは、V通過報知態様の一つであり、他の表示内容(例えば「V」の文字を模したオブジェクト画像を表示したり、「確変GET」の文字を表示したりする等)で、V通過を報知してもよい。これにより、実行中の大当り遊技(特別遊技)後の遊技状態が、高確率状態となることを遊技者に対して報知することが可能となる。
【0241】
続いてS4414では、演出制御用マイコン91で、主制御基板80から第2V通過コマンド(S2406でセット)を受信したか否かを判定し(S4413)、第2V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4414でNO)、S4415の処理に移行して第3V通過コマンドを受信したか否かを判定する(S4415)。そして、S4414で第2V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4414でYES)と、S4415で第3V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4415でYES)との何れの場合もV通過非報知コマンドをセットし(S4416)、S4417の処理に移行する。一方、S4415で、第3V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4415でNO)、V通過非報知コマンドをセットすることなく、S4417の処理に移行する。S4417では、その他の処理として、前述のコマンド以外の受信コマンド(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理を行い、処理を終える。ここで、第2V通過コマンドは、2R第3大当りにおいてV有効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。また第3V通過コマンドは、小当り中などのV無効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。
【0242】
V通過非報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)にて画像制御基板100等に送信されると、画像制御基板100のCPUは、画像表示装置7の表示画面7aにおいて、「V通過!」等のVを通過したことを示す文字の表示がない画面(すなわちV通過の報知が何もない画面)に、表示制御する。言い換えれば、V通過非報知態様とするのである。従って、本実施例1のパチンコ遊技機1では、2R第3大当りや小当りにおいて遊技球が特定領域39を通過しても、そのことは遊技者に報知されないものとされる。
【0243】
尚、前述の特定領域センサ検知処理(図39)にてセットするコマンドを第1V通過コマンドのみとし、第2V通過コマンドや第3V通過コマンドをセットしないこととしてもよい。この場合、受信コマンド解析処理(S4301)では、前述のS4414〜S4416を実行しないこととする。このように構成しても、15R第1大当りにおけるV有効期間中にV通過があったときのみ、その旨が遊技者に報知されるパチンコ遊技機とすることができる。すなわち、V通過の報知のための演出をしない場合にはあえてコマンド(V通過非報知コマンド)をセットしなくてもよい。但し、本実施例1のようにコマンドをセットしてそれに基づいて画像制御基板100を制御した方が、画像制御の安定性を増すことが可能となる。
【0244】
[変動演出開始処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4301)にて実行される変動演出開始処理(S4402)について説明する。図48に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、S4501で、演出制御用マイコン91が予告演出決定用乱数や演出図柄決定用乱数等の各種演出決定用乱数を取得する演出決定用乱数処理(S4501)を行う。本実施例1では、主制御部80から変動開始コマンドを受信したタイミングで、S4501の処理を行い、夫々の乱数から所定の値(取得情報)を取得する。この取得した値に基づいて、実行する予告演出や停止表示する演出図柄、実行する演出図柄遊技演出の態様等を後述の予告演出等設定処理(S4506)で決定する。
【0245】
次に、S4502で、演出制御用マイコン91により変動開始コマンドを解析する(S4502)。変動開始コマンドには、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン選択処理で選択された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定する情報)が含まれている。そして、変動パターンを指定する情報には、図13に示す変動パターン情報(P1乃至P17)や、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報や、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の判定結果や、当り種別を指定する図柄情報等が含まれている(図12参照)。変動パターン情報や遊技状態情報や図柄情報等は、これ以降に実行する変動演出開始処理以外の他の処理においても利用可能である。
【0246】
次に、S4503で、演出制御用マイコン91が現在のモードステータスを参照する(S4503)。モードステータスは、実行する演出モードを決めるためのものである。モードステータスは「1」〜「5」までの何れかの値とされ、各値は演出モードA〜Eに対して割り当てられている。
【0247】
ここで演出モードとは、画像表示装置7における演出の態様であり、演出モードが異なると、予告演出やリーチ演出等の遊技演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なる等、画像表示装置7に表示される画像が異なり、演出図柄遊技演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができる。また、複数の遊技演出(予告演出やリーチ演出等)を設ける場合に、演出モードによって異なる遊技演出を実行可能としてもよい。本実施例1では、演出モードAは低確低ベース状態に制御されているときに実行され、演出モードBは低確高ベース状態に制御されているときに実行され、演出モードCは高確高ベース状態に制御されているときに実行される。従って、演出モードがA〜Cのいずれであるかを確認することで、遊技者は現在の遊技状態を把握することができる。
【0248】
また、演出モードD又は演出モードEは、高確低ベース状態又は低確低ベース状態に制御されているときに実行される。従って、演出モードがD又はEであるときには、遊技者は演出モードを確認しても、特別図柄当否判定の確率状態が、高確率状態にあるのか低確率状態(通常状態)にあるのかを把握することは困難である。その意味において演出モードD及びEは、確率非報知モードと言える。
【0249】
次に、S4504で、演出制御用マイコン91が制御する画像表示装置7、盤面ランプ5、可動装飾部材14等の変動演出パターン(「演出パターン」ともいう)を決めるための変動演出パターン決定用のテーブルをセットする(S4504)。本実施例1では、変動演出パターン決定用のテーブルの一つとして、主制御部80から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、図49に示す可動予告決定テーブルから使用する可動予告決定テーブルをセットする。例えば、受信した変動パターン指定コマンドが指定する変動パターン情報が「P1(変動パターンP1)」であった場合、可動予告決定テーブルとして、図49(A)に示すP1用の当り時可動予告決定テーブル(「P1,P9」の列を参照)がセットされる。また、図示はしないが、演出図柄の変動態様(演出図柄遊技演出の態様)を決定するための演出図柄変動態様決定テーブルや、前述した会話予告、ステップ表示予告等の各種の表示予告演出の態様を決定するための表示予告決定テーブル等もセットされる。
【0250】
次いでS4505で、S4504においてセットした変動演出パターンテーブルに基づいて、指定された変動パターンに適合し、且つ参照したモードステータスが示す演出モードに応じた変動演出パターンを選択する(S4505)。具体的には、変動演出パターンとして、まず、演出図柄表示領域7bで表示される演出図柄の変動態様(演出図柄遊技演出の態様)が決定される。これにより、演出図柄遊技演出において、リーチ演出を実行する場合(リーチ有演出図柄遊技演出)と、特定のキャラクタを用いて行うキャラクタ演出を実行する場合(キャラクタ演出図柄遊技演出)、リーチ演出やキャラクタ演出を実行しない場合(リーチ無演出図柄遊技演出)とが設定される。
【0251】
また、本実施例1のパチンコ遊技機1には、演出図柄の変動態様として、リーチA、リーチB、リーチC、スーパーリーチ(「SPリーチ」ともいう)A、スーパーリーチB、スーパーリーチC、キャラクタ演出が設定されており、S4505で、演出図柄変動態様決定テーブルに基づいて、これらのうち何れの演出を行うか、又はこれらの演出を行わない(これを「ノーマル変動」ともいう)かが決定される。そして、リーチ有演出図柄遊技演出が実行される場合には、変動パターン指定コマンド及び演出図柄変動態様決定テーブルに基づいて、何れかのリーチ演出が設定される。
【0252】
ここで、遊技演出として、スーパーリーチ演出が実行される場合には、ノーマルリーチ演出が実行される場合と比較して、大当りとなる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、スーパーリーチ演出はリーチ(ノーマルリーチ)演出と比較して大当り信頼度(大当りとなる可能性)の高い遊技演出であるといえる。
【0253】
次いで、S4506で、後述する予告演出等設定処理を行う。予告演出等設定処理(S4506)では、S4501で取得した演出決定用乱数及びS4504でセットした予告決定テーブルに基づいて、変動演出パターンのうち、主に、表示予告種のうち何れの表示予告種の表示予告演出を実行するかを決定したり、後述する可動予告種のうち何れの可動予告種の可動予告演出を実行するかを決定したりする。また、停止表示する演出図柄(「停止演出図柄」ともいう)を決定する。これらの処理(S4505及びS4506)により、変動演出パターンが決定される。尚、図49に示す可動予告決定テーブルにおいては、複数種類ある可動予告のうち、「可動予告A」だけが表されており、その他の可動予告等については省略されている。
【0254】
次いで、S4507で、S4505及びS4506において選択した変動演出パターンに基づいて演出図柄遊技演出等を開始するための変動演出開始コマンドをセットし(S4507)、変動演出開始処理を終了する。
【0255】
また、S4507でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPUは、所定の演出画像を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7a上で演出図柄遊技演出を行う。
【0256】
尚、演出図柄遊技演出の結果として停止表示される演出図柄は、特別図柄当否判定の結果が15R第1大当りのときは「777」等の奇数図柄のゾロ目とされ、15R第2大当りのときは「666」等の偶数図柄のゾロ目とされる。また、リーチ有り外れのときは「787」等の3個の演出図柄のうち1個の演出図柄が他の演出図柄と異なるバラケ目、リーチ無し外れのときは「635」等の3個の演出図柄のうち少なくとも1個の演出図柄が他の演出図柄が異なるバラケ目が選択されるようになっている。また、2R第3大当り及び小当りのときは「135」等予め定めたチャンス目や「3☆3」等の2R第3大当り及び小当りの専用図柄を停止表示してもよい。すなわち、2R第3大当りのときと小当りのときとで、同じ演出図柄を停止表示するようになっている。このため、遊技者は、停止表示された演出図柄を確認しただけでは、2R第3特定大当りとなったのか、小当りとなったのかを判別することはできない。尚、前述の演出図柄の停止表示態様は一例であり、大当りとなったときに、停止演出図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
【0257】
[予告演出等設定処理]
次に、変動演出開始処理(S4402)にて実行される予告演出等設定処理(S4506)について説明する。図50に示すように、予告演出等設定処理(S4506)では、S4501で取得した演出決定用乱数(予告演出決定用乱数、演出図柄決定用乱数)及びS4504でセットした予告決定テーブル等に基づいて、演出図柄遊技演出の実行中(特別図柄の変動表示中)に行う予告演出や、演出図柄を変動表示した後に停止表示する演出図柄(停止演出図柄)を決定する。
【0258】
まず、S4601にて、S4501で取得した演出決定用乱数のうち表示予告演出に係る表示予告決定用乱数の値と、S4504で変動パターン指定コマンドに基づいてセットした表示予告決定テーブル(図示せず)とに基づいて、複数の表示予告演出のうち何れを実行するか、又は表示予告演出を実行しないかを判定し(S4601)、S4602の処理に移行する。尚、表示予告演出は、前述したように主として画像表示装置7を用いて行う予告演出のことである
【0259】
S4602で、S4601による判定の結果、表示予告演出を実行することとなったか否かを判定し、表示予告演出を実行すると判定した場合(S4602でYES)、実行する表示予告演出の種類に対応する表示予告フラグをONにし(S4603)、実行する表示予告演出を設定し(S4604)、S4606の処理に移行する。一方、表示予告演出を実行しないと判定した場合(S4602でNO)、表示予告フラグをOFFにし(既にOFFであればOFFのままとし)(S4605)、S4606の処理に移行する。尚、表示予告演出を実行する場合、複数の表示予告演出のうち一の予告演出を行うこともあれば、二以上の予告演出を複合して行うこともある。
【0260】
次に、S4606にて、S4501で取得した演出決定用乱数のうち可動予告演出に係る可動予告決定用乱数の値と、S4504で変動パターン指定コマンドに基づいてセットした可動予告決定テーブル(図49参照)とに基づいて、複数の可動予告種のうち何れの可動予告種に基づく可動予告演出を実行するか、又は可動予告演出を実行しないかを判定し(S4606)、S4607の処理に移行する。本実施例1の可動予告決定用乱数は、その乱数範囲が0〜99とされ、取得した可動予告決定用乱数の値によって、複数の可動予告種のうち何れの予告種に基づく可動予告演出を実行するか又は可動予告演出を実行しないかを決定する。例えば、変動パターン指定コマンドにより指定される変動パターン情報がP1(変動パターンP1)であった場合、図49(A)に示すP1,P9用の当り時可動予告決定テーブルがセットされ、取得した可動予告決定用乱数の値が「0〜9」(選択確率:10%)の何れかであると「可動予告A」の可動予告演出を実行することとなる。
【0261】
また、例えば、変動パターン指定コマンドにより指定される変動パターン情報がP5(変動パターンP5)であった場合、図49(B)に示すP5,P14用の外れ時可動予告決定テーブルがセットされ、取得した可動予告決定用乱数の値が「0〜19」(選択確率:20%)の何れかであると「可動予告A」の可動予告演出を実行することとなる。ここで、「可動予告演出」とは、実行中の演出図柄遊技演出(特別図柄の変動表示)の内容や結果等に関連する示唆を可動装飾部材14の動作によって行う予告演出である。本実施例1では、可動予告演出の演出種(可動予告種)は複数あるが、ここでは「可動予告A」を代表して説明する。図53に示すように「可動予告A」は、演出図柄遊技演出の実行中(演出図柄の変動表示中)において、所定の動作時期が到来すると、始点位置(初期状態;図53(A)参照)にある可動装飾部材14が画像表示装置7の表示画面7aの前面側(手前側)を所定の終点位置(動作状態;図53(B)参照)まで落下するとともに終点位置にて所定時間回転し、回転を終えると始点位置まで上昇する(初期状態に戻る)態様の可動予告演出である。
【0262】
S4607で、S4606による判定の結果、可動予告演出を実行することとなったか否かを判定し、可動予告演出を実行すると判定した場合(S4607でYES)、実行する可動予告演出の可動予告種に対応する可動予告フラグをONにし(S4608)、実行する可動予告演出を設定し(S4609)、S4611の処理に移行する。一方、可動予告演出を実行しないと判定した場合(S4607でNO)、可動予告フラグをOFFにし(既にOFFであればOFFのままとし)(S4610)、S4611の処理に移行する。本実施例1では、可動予告A等、複数の可動予告種の夫々に対応して可動予告フラグを設けており、S4608では、実行する可動予告演出の可動予告種に対応する可動予告フラグをONとする。例えば、可動予告Aに基づく可動予告演出を実行する場合は可動予告Aに対応する可動予告フラグをONにする。
【0263】
可動予告演出は、表示予告演出が行われない演出図柄遊技演出と、表示予告演出が行われる演出図柄遊技演出との何れにおいても実行可能である。尚、表示予告演出が行われる演出図柄遊技演出にて可動予告演出も行う場合、夫々の予告演出の内容によっては、可動予告演出の実行時期と表示予告演出の実行時期とが重複しないようにすることが望ましい。なぜなら、複数種の予告演出が重複して行われる場合における重複する予告演出の種類が多くなるほど演出全体が煩雑なものとなり、却って遊技興趣の低下を招く虞があるからである。
【0264】
次に、S4611では、S4501で取得した演出図柄決定用乱数の値と、図示しない演出図柄決定テーブルとに基づいて、停止表示する演出図柄を決定し、決定した演出図柄(停止演出図柄)を設定し(S4611)、処理を終える。
【0265】
[表示予告演出実行処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4301)にて変動演出実行中(S4403でYES)の場合に実行される表示予告演出実行処理(S4404)について説明する。図51に示すように、表示予告演出実行処理(S4404)では、まず、表示予告フラグがONか否かを判定し(S4701)、ONでなければ(S4701でNO)、当該変動演出において表示予告演出は実行しないということなので、このまま本処理を終える。一方、表示予告フラグがONであれば(S4701でYES)、ONとなっている表示予告フラグに対応する表示予告演出の開始タイミングか否かを判定し(S4702)、開始タイミングである場合(S4702でYES)、その開始タイミングが到来した表示予告演出を開始する(S4703)。S4702で表示予告演出の開始タイミングでないと判定した場合(S4702でNO)、表示予告演出を開始済(表示予告演出の実行中)であるか、表示予告演出の実行予定はあるものの当該表示予告演出の開始タイミングが未だ到来していないということになるので、S4703の処理を行うことなくS4704の処理に移行する。
【0266】
S4704では、表示予告演出の終了タイミングか否かを判定し(S4704)、終了タイミングである場合、表示予告演出を終了し(S4705)、終了した表示予告演出に対応する表示予告フラグをOFFにする(S4706)。一方、S4704で終了タイミングでないと判定した場合、S4705及びS4706の処理を行うことなく、本処理を終える。
【0267】
[可動予告演出実行処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4301)にて変動演出実行中(S4403でYES)の場合に実行される可動予告演出実行処理(S4405)について、図52を用いて説明する。図52に示すように、可動予告演出実行処理(S4405)では、まず、可動予告フラグがONか否かを判定し(S4801)、ONでなければ(S4801でNO)、当該変動演出において可動予告演出は実行しないということなので、このまま本処理を終える。一方、可動予告フラグがONであれば(S4801でYES)、ONとなっている可動予告フラグに対応する予告種が「可動予告A」であるか否かを判定し(S4802)、可動予告Aでない場合(S4802でNO)、S4810の処理に移行する。S4802で可動予告Aでないと判定した場合、当該変動演出にて実行する可動予告演出は、可動予告A以外のその他の可動予告(単に「他の可動予告」ともいう)、例えば、演出ボタン63(第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63b)の操作に基づいて可動装飾部材14が動作可能な可動予告演出となる。S4810ではこの様な「他の可動予告」の実行に係る処理(操作可動予告動作処理)を行い、この処理が終了すると、本処理を終える。尚、操作可動予告動作処理(S4810)の詳細については説明を省略する。
【0268】
S4802で可動予告Aであると判定した場合、当該変動演出にて実行する可動予告演出は「可動予告A」なので、当該可動予告Aの実行に係る処理を進めるべく、S4803以降の処理に進む。S4803では可動装飾部材14の動作開始タイミングか否かを判定し、動作開始タイミングでない場合(S4803でNO)、S4804の処理をスキップしてS4805の処理に移行し、動作開始タイミングである場合(S4803でYES)、可動装飾部材14の動作を開始する(S4804)。ここで、「可動予告A」は、前述したように、所定の動作時期が到来すると、始点位置(初期状態)にある可動装飾部材14を所定の終点位置(落下位置)まで落下させるとともに終点位置にて所定時間だけ回転させ、回転を終えると始点位置まで上昇させる(初期状態に戻す)態様の可動予告演出である。よって、S4804の処理により、可動装飾部材14の落下動作と、これに続く回転動作が行われることとなる。
【0269】
次に、S4805で可動装飾部材14の動作終了タイミングか否かを判定する(S4805)。S4805では、落下した可動装飾部材14の回転の終了タイミングか否かを判定する。本実施例1では可動装飾部材14の落下に続く回転の開始に伴い、サブ制御基板90(サブ制御部)のRAMに設けられたタイマ(第1可動演出用タイマ)により、回転開始からの経過時間(回転時間)の計測を開始するものとしているので、S4805では、可動装飾部材14の回転時間が所定時間になったか否かを判定する。S4805で可動装飾部材14の動作終了タイミングでないと判定した場合(S4805でNO)、S4806の処理をスキップしてS4807の処理に移行し、S4805で動作終了タイミングであると判定した場合(S4805でYES)、可動装飾部材14の回転を終了して可動装飾部材14を始点位置まで上昇させる動作(復帰動作)を行う(S4806)。次に、S4807で可動予告フラグをOFFにして(S4807)、本処理を終える。以上の様に演出制御用マイコン91による可動予告演出実行処理(S4405)が行われる。
【0270】
以上説明した通り、実施例1のパチンコ機1では、モータ温度センサ14dにより検知されたモータ79の温度又はモータ79の周囲の温度が所定の温度を超えた場合には、モータ79への駆動電力の供給を駆動回路基板75のNPNトランジスタ78bにより遮断することが可能となる。また、ソレノイド温度センサ24a、33a、38aにより検知された第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33や第2大入賞口ソレノイド38の温度又はこれら第2始動口ソレノイド24等の周囲の温度が所定の温度を超えた場合には、第2始動口ソレノイド24等への駆動電力の供給を駆動回路基板86のNPNトランジスタ89bにより遮断することが可能となる。これにより、モータ79や第2始動口ソレノイド24等の異常な発熱を止めることが可能となるので、モータ79や第2始動口ソレノイド24等の異常な発熱の継続を抑制することが可能になる。
【0271】
また、実施例1の他の態様として以下の態様とすることが可能である。例えば、駆動回路基板75では、モータ温度センサ14dにより検知されたモータ79の温度又はモータ79の周囲の温度が所定の温度を超えた場合には、モータ79への駆動電力の供給を駆動回路基板75のNPNトランジスタ78bにより直ちに遮断することが可能な回路構成を採り、また駆動回路基板86では、ソレノイド温度センサ24a、33a、38aにより検知された第2始動口ソレノイド24等の温度又は第2始動口ソレノイド24等の周囲の温度が所定の温度を超えた場合には、第2始動口ソレノイド24等への駆動電力の供給を駆動回路基板86のNPNトランジスタ89bにより直ちに遮断することが可能な回路構成を採った。然しながら、モータ79等の温度が数秒間だけ(一瞬だけ)所定の温度を超えてそれ以後は所定の温度以下になるような場合等においては、モータ79等への駆動電力の供給を遮断する必要がないこともある。
【0272】
この様な場合に対応可能な構成として、例えば、モータ温度センサ14dやソレノイド温度センサ24a、33a、38aとNPNトランジスタ78b、89bとの間に一定時間を計測可能なタイマー回路を介在させて、モータ温度センサ14d等により検知された温度が一定時間継続して所定の温度を超えると、NPNトランジスタ78b、89bのベースをLレベルにする回路構成を採る。これにより、モータ温度センサ14d等により検知された温度が、所定の温度を一定時間継続して超えた場合に限り、モータ79等への駆動電力の供給を遮断することが可能になるため、数秒間等の短時間だけモータ79等の温度が所定の温度を超えるようなケースについては駆動電力の供給が遮断されなくなる。また、電気的なノイズ等の侵入による誤動作も削減することが可能になる。
【実施例2】
【0273】
次に、図53乃至図62を用いて実施例2のパチンコ遊技機1について説明する。実施例1のパチンコ遊技機1では、モータ温度センサ14dにより検知されたモータ79の温度等が所定の温度を超えた場合には、電源制御回路78を構成するNPNトランジスタ78bや電源制御回路89を構成するNPNトランジスタ89bにより、モータ79や第2始動口ソレノイド24等に供給する駆動電力を遮断した。つまり、電力遮断手段として、ハードウェアにより強制的に駆動電力を遮断可能な構成を採用した。
【0274】
実施例1の構成においては、可動装飾部材14が、例えば、演出図柄表示領域7bを覆う所定の終点位置(落下位置;図53(B)参照)等に移動している場合であっても、その位置でモータ79に供給する駆動電力を遮断するものとしている。可動装飾部材14が演出図柄表示領域7bを被覆している状態又はその一部を覆っている状態では、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄8が視認し難くなり、遊技者が特別図柄当否判定等の結果を認識困難となる可能性があり、好ましくない。そこで、実施例2のパチンコ遊技機1では、この様な課題を解決するため、電力遮断手段として、ソフトウェアにより駆動電力を遮断可能な構成を採用することとした。実施例2は、前述した実施例1と共通する部分と異なる部分とが存在するので、以下では実施例1と異なる部分について説明する。
【0275】
図54に示すように、実施例2のパチンコ遊技機1は、サブ制御基板90に接続されるセンサとして、原点センサ14bに加えて、モータ温度センサ14d、終点センサ14e及び中間センサ14fを備えている。また、中継基板85を介して主制御基板80に接続されるセンサとして、第1始動口センサ20a等に加えて、ソレノイド温度センサ24a、33a、38a及び可動部材等位置センサ24b、33b、38bを備えている。モータ温度センサ14d、ソレノイド温度センサ24a、33a、38aのことを「温度検知手段」ともいう。また、原点センサ14b、終点センサ14e、中間センサ14f及び可動部材等位置センサ24b、33b、38bのことを「位置検知手段」ともいう。
【0276】
前述した実施例1のパチンコ遊技機1では、モータ温度センサ14dは、例えば、NTCタイプのサーミスタであり、電気的駆動源14aの一部として、モータ79に熱結合可能又はモータ79の周囲空間に露出可能に取り付けられると共に駆動回路基板75の電源制御回路78に電気的に接続されて、モータ79の温度に伴って変化する抵抗値を提供していた。実施例2のパチンコ遊技機1では、モータ温度センサ14dは、サブ制御基板90に対して、モータ79の温度データを例えば、PWM信号、アナログ信号やデジタル信号の形式で出力するタイプの温度センサICである。そのため、このモータ温度センサ14dも、モータ79等に熱結合可能に取り付けられてはいるものの、電気的駆動源14aの一部として、電源制御回路78に電気的に接続されているわけではない。
【0277】
また、実施例1のパチンコ遊技機1では、ソレノイド温度センサ24a、33a、38aは、例えば、NTCタイプのサーミスタであり、ソレノイドユニットの一部として、第2始動口ソレノイド24等に熱結合可能又は第2始動口ソレノイド24等の周囲空間に露出可能に取り付けられると共に駆動回路基板86の電源制御回路89に電気的に接続されて、第2始動口ソレノイド24等の温度に伴って変化する抵抗値を提供していた。実施例2のパチンコ遊技機1では、ソレノイド温度センサ24a、33a、38aは、主制御基板80に対して、第2始動口ソレノイド24等の温度データを例えば、PWM信号、アナログ信号やデジタル信号の形式で出力するタイプの温度センサICである。そのため、これらのソレノイド温度センサ24a、33a、38aも、第2始動口ソレノイド24等に熱結合可能に取り付けられてはいるものの、ソレノイドユニットの一部として、電源制御回路89に電気的に接続されているわけではない。
【0278】
図55に示すように、終点センサ14e及び中間センサ14fは、原点センサ14bと同様に、前述の可動装飾ユニットに含まれる。図55の破線で示すように、終点センサ14eは、演出図柄表示領域7bの後方(裏側)であって可動装飾部材14が終点位置にあるときに、その存在を検知可能となるように設けられている。また、中間センサ14fは、装飾部材13の後方(裏側)であって可動装飾部材14が始点位置と終点位置の中間(単に「中間位置」ともいう)にあるときに、その存在を検知可能となるように設けられている。終点センサ14eが透明なシートタイプのものである場合には、演出図柄8の視認の妨げになりにくいことから、演出図柄表示領域7bの前方(表側)であって前記の中間位置に設けてもよい。
【0279】
具体的には、終点センサ14eは、演出図柄表示領域7bの中央付近(演出図柄8Cが表示される範囲)に設けられている。また、中間センサ14fは、原点センサ14bと終点センサ14eを結んだ直線上のほぼ中央又は中央よりもやや始点位置寄りに設けられている。終点センサ14eは、可動装飾部材14が終点位置にあると、サブ制御基板90に入力される信号(終点センサ信号)をONにし、また可動装飾部材14が終点位置にないときには、終点センサ信号をOFFにする。また、中間センサ14fは、可動装飾部材14が中間位置にあると、サブ制御基板90に入力される信号(中間センサ信号)をONにし、また可動装飾部材14が中間位置にないときには、中間センサ信号をOFFにする。終点センサ14eや中間センサ14fは、非接触で検知物体が近づいたことを検知可能なセンサであればよい。終点センサ14eは近接センサ等を用いることができ、また中間センサ14fはフォトセンサや近接センサ等を用いることができる。
【0280】
可動部材等位置センサ24b、33b、38bは、前述のソレノイドユニットに含まれる。図示していないが、可動部材等位置センサ24bは、第2始動口21を開放したり閉鎖したりする可動部材23の位置、又は第2始動口ソレノイド24のプランジャの位置を検知可能に第2始動口ソレノイド24の本体ハウジング等に取り付けられている。また、可動部材等位置センサ33bは、第1大入賞口30を開放したり閉鎖したりする開閉部材32の位置、又は第1大入賞口ソレノイド33のプランジャの位置を検知可能に第1大入賞口ソレノイド33の本体ハウジング等に取り付けられている。また、可動部材等位置センサ38bは、第2大入賞口35を開放したり閉鎖したりする開閉部材37の位置、又は第2大入賞口ソレノイド38のプランジャの位置を検知可能に第2大入賞口ソレノイド38の本体ハウジング等に取り付けられている。
【0281】
具体的には、可動部材等位置センサ24bは、可動部材23が第2始動口21を開状態にしていることを検知可能に設けられており、第2始動口ソレノイド24のプランジャが引き込まれた位置にあったり、可動部材23が第2始動口21を開放する位置にあったりすると、可動部材等位置センサ24bは、主制御基板80に入力される信号(可動部材等位置センサ信号)をONにする。また、第2始動口ソレノイド24のプランジャが突出した位置にあったり、可動部材23が第2始動口21を閉鎖する位置にあったりすると、可動部材等位置センサ24bは、主制御基板80に入力される信号(可動部材等位置センサ信号)をOFFにする。また、可動部材等位置センサ33bは、開閉部材32が第1大入賞口30を開状態にしていることを検知可能に設けられており、第1大入賞口ソレノイド33のプランジャが引き込まれた位置にあったり、開閉部材32が第1大入賞口30を開放する位置にあったりすると、可動部材等位置センサ33bは、主制御基板80に入力される信号(可動部材等位置センサ信号)をONにする。また、第1大入賞口ソレノイド33のプランジャが突出した位置にあったり、開閉部材32が第1大入賞口30を閉鎖する位置にあったりすると、可動部材等位置センサ33bは、主制御基板80に入力される信号(可動部材等位置センサ信号)をOFFにする。
【0282】
同様に、可動部材等位置センサ38bは、開閉部材37が第2大入賞口35を開状態にしていることを検知可能に設けられており、第2大入賞口ソレノイド38のプランジャが引き込まれた位置にあったり、開閉部材37が第2大入賞口35を開放する位置にあったりすると、可動部材等位置センサ38bは、主制御基板80に入力される信号(可動部材等位置センサ信号)をONにする。また、第2大入賞口ソレノイド38のプランジャが突出した位置にあったり、開閉部材37が第2大入賞口35を閉鎖する位置にあったりすると、可動部材等位置センサ38bは、主制御基板80に入力される信号(可動部材等位置センサ信号)をOFFにする。可動部材等位置センサ24b、33b、38bは、検知物体が近づいたことを検知可能なセンサであれば非接触タイプでも接触タイプでもよく、フォトセンサや近接センサの他にリードスイッチや磁気スイッチ等を用いることができる。
【0283】
実施例2のパチンコ遊技機1では、遊技制御用マイコン81の一連の動作において、電力遮断手段として、第2始動口ソレノイド24等への駆動電力の遮断制御がソフトウェアにより行われる。図56に示すように、実施例2のパチンコ遊技機1は、割り込み処理(S105)において、電源断監視処理(S209)に次いで可動部材等位置監視処理(S211)が行われ、またそれに次いで可動部材等復帰確認処理(S212)が行われる。これらの処理は、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33及び第2大入賞口ソレノイド38のいずれについても同様に行われるため、ここでは第2始動口ソレノイド24について説明する。
【0284】
[可動部材等位置監視処理]
可動部材等位置監視処理(S211)では、第2始動口21を開放や閉鎖する可動部材23の位置、第1大入賞口30を開放や閉鎖する開閉部材32の位置、及び、第2大入賞口35を開放や閉鎖する開閉部材37の位置を監視する。図57に示すように、この処理ではまずS2701により第2始動口ソレノイド24の温度が所定条件を満たすか否かを判定する。ここでの所定条件とは、可動部材等位置センサ24bにより検知された第2始動口ソレノイド24の温度が、(1-1)所定の温度を超えた場合、(1-2)所定の温度を一定時間継続して超えた場合や、(1-3)所定の温度パターンに合致した場合等である。
【0285】
所定の温度は、例えば、第2始動口ソレノイド24の発熱に起因して、第2始動口ソレノイド24自体や第2始動口ソレノイド24の周囲に配置された回路部品や可動部材23等が焼損したり発火したりする虞のある温度である。第1大入賞口ソレノイド33や第2大入賞口ソレノイド38の場合には、これらのソレノイド33、38の発熱に起因して、ソレノイド33、38自体やソレノイド33、38の周囲に配置された回路部品や開閉部材32、37等が焼損したり発火したりする虞のある温度が当該所定の温度になる。ソレノイド温度センサ24a、33a、38aの設定や選択は、第2始動口ソレノイド24等、回路部品や可動部材23等の耐熱特性等に基づく実験又はコンピュータシミュレーションの結果に基づいて個別具体的に行うことができる。
【0286】
また、一定時間とは、第2始動口21、第1大入賞口30や第2大入賞口35が開状態を連続して保持する最長時間を超える期間であり、第2始動口21、第1大入賞口30や第2大入賞口35の夫々について個別に設定される。さらに、所定の温度パターンとしては、例えば、図58に示すような時間の経過に対する温度変化において、一点鎖線や二点鎖線により表されたカーブに従ったものがある。第2始動口21等は、短期間に開閉動作を繰り返すことが多いため、第2始動口ソレノイド24等が発熱をしても、それに伴う温度変化は、例えば、実線により表されたカーブのように上昇と降下を交互に繰り返す可能性が高い。そのため、上記(1-2)の一定時間以上継続して温度が上昇し続けるカーブ(一点鎖線や二点鎖線)のような温度変化を有する温度パターンに合致する場合を所定条件の一例にしている。単位時間当たりの温度上昇率で判定してもよい。尚、図58に示すTthは、「所定の温度」の一例である。
【0287】
このような一定時間は、当該所定条件を満たすまでS2701を繰り返し通過する際にカウンタ等でその回数を積算や減算することにより計測して判定する。また、所定の温度パターンに合致するか否かは、当該所定条件を満たすまでS2701を繰り返し通過することで、ソレノイド温度センサ24a等により検知された第2始動口ソレノイド24等の温度をS2701でその度ごとにワークメモリに記憶することにより得られる近似曲線等に基づいて判定する。
【0288】
S2701により所定条件を満たさないと判定した場合には(S2701でNO)、第2始動口ソレノイド24は正常に動作しているものと推測でき駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。一方、所定条件を満たしていると判定した場合には(S2701でYES)、S2702の処理に移行する。そして、S2702では、可動部材等位置センサ24bがONか否かを判定する。この判定は、可動部材等位置センサ24bから入力される可動部材等位置センサ信号に基づいて行われる。
【0289】
S2702により可動部材等位置センサ信号がONであると判定した場合には(S2702でYES)、第2始動口ソレノイド24のプランジャが引き込まれた位置にあるか、又は可動部材23が第2始動口21を開放する位置にある可能性が高い。そのため、この場合には、次いで、S2703により第2始動口ソレノイド24が駆動中であるか否かを判定する。
【0290】
これに対して、可動部材等位置センサ信号がONでない、つまりOFFであると判定した場合には(S2702でNO)、第2始動口ソレノイド24のプランジャが突出した位置にあるか、又は可動部材23が第2始動口21を閉鎖する位置にある可能性が高い。この場合におけるソレノイド温度センサ24aの発熱は正常状態ではないことから、S2706により第2始動口ソレノイド24を停止させ、さらにS2707により第2始動口ソレノイド24がエラーであることを報知して、処理を終える。報知は、例えば、所定の点灯パターンや消灯パターンに従って枠ランプ66や盤面ランプ5を点滅させたり、所定の警告音や警告メッセージ等でスピーカ67を鳴動させたりすることにより行う。
【0291】
次いで、S2703により第2始動口ソレノイド24が駆動中であるか否かを判定する。すなわち、第2始動口ソレノイド24が所定条件を満たす発熱をし(S2701でYES)、且つ、第2始動口ソレノイド24のプランジャが引き込まれた位置又は可動部材23が第2始動口21を開放する位置にある場合であっても(S2702でYES)、遊技制御用マイコン81が第2始動口ソレノイド24を開放する制御を実行中であれば(S2703でYES)、正常動作の範囲内であると推測でき駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。
【0292】
一方、遊技制御用マイコン81が第2始動口ソレノイド24を開放する制御を実行していないにも関わらず、可動部材23が開いて第2始動口21が開状態である場合には(S2702でYES)、第2始動口ソレノイド24のプランジャ等がロックしている可能性があり、また本来得られるべき遊技利益量を超えた量の遊技利益を遊技者が不当に得る可能性がある。そこで、このような場合には(S2703でNO)、S2704により再復帰動作を行う。再復帰動作の一例として、第2始動口ソレノイド24に対して、励磁電流の供給と遮断を短い周期(例えば、100msec〜500msec周期等)で繰り返し行う。これにより、プランジャが小刻みに出入りするように振動するため、本体ハウジングとプランジャとの間に噛み込んだ異物を除去することが可能になる。例えば、異物の噛み込みが原因でプランジャがロックしていた場合にはそれが解消されることで、開いていた可動部材23が閉じるので、第2始動口21を閉鎖することができる。
【0293】
S2704による再復帰動作が終了すると、次いでS2705により復帰リトライフラグをONにして、処理を終える。復帰リトライフラグは、S2704により再復帰動作が実行されたことを表すものであり、可動部材等復帰確認処理(S212)において用いられる。続いて可動部材等復帰確認処理(S212)を説明する。この処理においても、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33及び第2大入賞口ソレノイド38のいずれも同様に行われるため、ここでは第2始動口ソレノイド24について説明する。
【0294】
[可動部材等復帰確認処理]
図59に示すように、まずS2801により、復帰リトライフラグがONであるか否かを判定する。復帰リトライフラグがONではない場合、つまりOFFの場合には(S2801でNO)、前述の可動部材等位置監視処理(S211)において再復帰動作が実行されていないため、処理を終える。復帰リトライフラグがONである場合には(S2801でYES)、次いでS2802により、可動部材等位置センサ24bがONか否かを判定する。この判定は、可動部材等位置センサ24bから入力される可動部材等位置センサ信号に基づいて行われる。
【0295】
S2802により可動部材等位置センサ信号がONであると判定した場合には(S2802でYES)、可動部材等位置監視処理(S211)の再復帰動作が実行されても、第2始動口ソレノイド24のプランジャが引き込まれた位置にあるか、又は可動部材23が第2始動口21を開放する位置にある可能性が高い。この場合には、プランジャ等のロックが解消される見込みが低いと推定されることから、S2803により第2始動口ソレノイド24を停止させ、さらにS2804により第2始動口ソレノイド24がエラーであることを報知して、処理を終える。報知は、例えば、所定の点灯パターンや消灯パターンに従って枠ランプ66や盤面ランプ5を点滅させたり、所定の警告音や警告メッセージ等でスピーカ67を鳴動させたりすることにより行う。
【0296】
これに対して、S2802により可動部材等位置センサ信号がONでない、つまりOFFであると判定した場合には(S2802でNO)、第2始動口ソレノイド24のプランジャが突出した位置にあるか、又は可動部材23が第2始動口21を閉鎖する位置にある可能性が高い。すなわち、可動部材等位置監視処理(S211)による再復帰動作の実行によって、異物の噛み込み等がなくなりプランジャ等のロックが解消されて可動部材23が正常な位置に復帰、つまり第2始動口21を閉鎖したと推測される。そのため、S2805により復帰リトライフラグをOFFにして、処理を終える。
【0297】
尚、この後、ソレノイド停止の処理(S2803)の前に処理を移行させて、S2803により第2始動口ソレノイド24を停止させ、さらにS2804により第2始動口ソレノイド24がエラーであることを報知して、処理を終えてもよい。これにより、本来得られるべき遊技利益量を超えた量の遊技利益を遊技者が不当に得る可能性の高い位置(第2始動口21が開状態になる位置)に可動部材23が移動している場合には、それを回避可能な位置(第2始動口21が閉状態になる位置)に可動部材23を移動させた後、駆動電力を遮断することが可能となる。そのため、遊技者が遊技利益を不当に増加させることを防ぐことが可能となる。
【0298】
また、実施例2のパチンコ遊技機1では、演出制御用マイコン91の一連の動作において、電力遮断手段として、モータ79への駆動電力の遮断制御がソフトウェアにより行われる。図60に示すように、実施例2のパチンコ遊技機1は、2msタイマ割り込み処理(S4009)において、ウォッチドックタイマ処理(S4204)に次いで可動装飾部材位置監視処理(S4205)が行われ、またそれに次いで可動装飾部材復帰確認処理(S4206)が行われる。
【0299】
[可動装飾部材位置監視処理]
可動装飾部材位置監視処理(S4205)では、可動装飾部材14の位置を監視する。図61に示すように、この処理では、まずS5101によりモータ79の温度が所定条件を満たすか否かを判定する。ここでの所定条件とは、モータ温度センサ14dにより検知されたモータ79の温度が、(2-1)所定の温度を超えた場合や、(2-2)所定の温度を一定時間継続して超えた場合や、(2-3)所定の温度パターンに合致した場合等であり、前述の第2始動口ソレノイド24の場合に似ている。
【0300】
所定の温度は、例えば、モータ79の発熱に起因して、モータ79自体やモータ79の周囲に配置された回路部品や可動装飾部材14を構成する各機構部材等が焼損したり発火したりする虞のある温度である。モータ温度センサ14dの設定や選択は、モータ79、回路部品や各機構部材等の耐熱特性等に基づく実験又はコンピュータシミュレーションの結果に基づいて個別具体的に行うことができる。
【0301】
また、一定時間とは、モータ79が可動装飾部材14を上昇又は下降させたり同じ位置で保持したりする最長時間を超える期間であり、可動予告演出の態様に基づいて設定される。所定の温度パターンについても、可動予告演出の態様に基づいて可動装飾部材14を上昇又は下降させたり同じ位置で保持したりするモータ79の動作パターンに違いがあるものの、上記(2-3)の一定時間以上継続して温度が上昇し続ける温度変化を有する温度パターンに合致する場合を所定条件の一例にしている。単位時間当たりの温度上昇率で判定してもよい。
【0302】
このような一定時間は、当該所定条件を満たすまでS5101を繰り返し通過する際にカウンタ等でその回数を積算や減算することにより計測して判定する。また、所定の温度パターンに合致するか否かは、当該所定条件を満たすまでS5101を繰り返し通過することで、モータ温度センサ14dにより検知されたモータ79の温度をS5101で度ごとにワークメモリに記憶することにより得られる近似曲線等に基づいて判定する。
【0303】
S5101により所定条件を満たさないと判定した場合には(S5101でNO)、モータ79は正常に動作しているものと推測でき、駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。一方、所定条件を満たしていると判定した場合には(S5101でYES)、S5102の処理に移行する。そして、S5102では、原点センサ14bがONか否かを判定する。この判定は、原点センサ14bから入力される原点センサ信号に基づいて行われる。
【0304】
S5102により原点センサ信号がONでない、つまりOFFであると判定した場合には(S5102でNO)、可動装飾部材14が始点位置以外の位置に存在する可能性が高い。そのため、次のS5103により可動予告フラグがOFFであるか否かを判定する。可動予告フラグは、前述の予告演出等設定処理(S4506;図50)において、可動予告演出を実行すると判定した場合にONにされ(S4608)、可動予告演出を実行しないと判定した場合にOFFにされる(S4610)。そのため、可動予告フラグの状態(ONかOFFか)に基づいて可動装飾部材14が始点位置以外の位置に存在することが妥当であるか否かをS5013により判定することができる。
【0305】
これに対して、原点センサ信号がONであると判定した場合には(S5102でYES)、可動装飾部材14が始点位置にある可能性が高い。この場合におけるモータ79の発熱は正常状態ではない(すなわち、異常な発熱である)ことから、S5108によりモータ79を停止させ、さらにS5109によりモータ79がエラーであることを報知して、処理を終える。報知は、例えば、所定の点灯パターンや消灯パターンに従って枠ランプ66や盤面ランプ5を点滅させたり、所定の警告音や警告メッセージ等でスピーカ67を鳴動させたりすることにより行う。
【0306】
S5103により可動予告フラグがOFFでない、つまりONであると判定した場合には(S5103でNO)、可動予告演出の実行中であれば可動装飾部材14が始点位置以外の位置に存在することは正常動作の範囲内であると推測でき、駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。一方、可動予告演出の実行中でないにも関わらず、可動装飾部材14が始点位置以外の位置に存在する場合には(S5103でYES)、可動装飾部材14を上昇させたり下降させたりするモータ79がロック(正確にはロータがロック)している可能性があり、また遊技者の遊技利益に影響を与える可能性の高い位置に停止している可能性がある。例えば、図55(B)に示すように、可動装飾部材14が演出図柄表示領域7bの一部を覆って演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄8の視認性を低下させてしまう場合がある。
【0307】
このため、次のS5104により終点センサ14eがONか否かを判定する。この判定は、終点センサ14eから入力される終点センサ信号に基づいて行われる。S5104により原点センサ信号がONであると判定した場合には(S5104でYES)、可動装飾部材14が終点位置に存在する可能性が高い。この場合には(S5104でYES)、S5106により再復帰動作を行う。一方、S5104により可動予告フラグがOFFでない、つまりONであると判定した場合には(S5104でNO)、可動装飾部材14は、始点位置と終点位置の間に存在する可能性が高いため、次のS5105により中間センサ14fがONか否かを判定する。この判定は、中間センサ14fから入力される中間センサ信号に基づいて行われる。
【0308】
S5105により中間センサ信号がONであると判定した場合には(S5105でYES)、可動装飾部材14が始点位置と終点位置との間に存在する可能性が高い。この場合にも(S5105でYES)、S5106により再復帰動作を行う。再復帰動作の一例として、モータ79に対して、ロータを正負両方向(時計回りと反時計回りの両方向)に、夫々10度前後(例えば、±5度〜±15度)回動させる回転制御を行う。これにより、ロータが小刻みに振動するように回動するため、モータ79のロータとステータの間に噛み込んだ異物を除去することが可能になる。例えば、異物の噛み込みが原因でロータがロックしていた場合にはそれが解消されることで、停止していた可動装飾部材14が始点位置方向に移動(上昇)する。これにより、可動装飾部材14により覆われていた演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄8の視認性が元の良好な状態に戻る。再復帰動作(S5106)が終了すると、S5107により復帰リトライフラグをONにし(既にONであればONのままとし)、処理を終える。
【0309】
一方、S5105により中間センサ信号がONでない、つまりOFFであると判定した場合には(S5105でNO)、可動装飾部材14は始点位置方向に向けた移動(上昇)を再開し移動中である可能性が高い。そのため、S5106による再復帰動作を行うことなく、S5107により復帰リトライフラグをONにし(既にONであればONのままとし)、処理を終える。復帰リトライフラグは、S5106により再復帰動作が実行されたことを表すものであり、可動装飾部材復帰確認処理(S4206)において用いられる。
【0310】
尚、中間センサ14fを備えていない場合には、図61において、「中間センサON?」の判定処理(S5105)は削除され、「終点センサON?」の判定処理(S5104)は、その判定結果がYESの場合に再復帰動作(S5106)に処理を移行し、判定結果がNOの場合に復帰リトライフラグON(S5107)に処理を移行するフローチャートになる。また、終点センサ14eを備えていない場合には、図61において、「終点センサON?」の判定処理(S5104)は削除され、「中間センサON?」の判定処理(S5105)は、その判定結果がNOの場合に再復帰動作(S5106)に処理を移行し、判定結果がYESの場合に復帰リトライフラグON(S5107)に処理を移行するフローチャートになる。続いて可動装飾部材復帰確認処理(S4206)を説明する。
【0311】
[可動装飾部材復帰確認処理]
図62に示すように、まずS5201により、復帰リトライフラグがONであるか否かを判定する。復帰リトライフラグがONではない場合、つまりOFFの場合には(S5201でNO)、前述の可動装飾部材位置監視処理(S4205)において再復帰動作が実行されていないため、処理を終える。復帰リトライフラグがONである場合には(S5201でYES)、次いでS5202により、原点センサ14bがONか否かを判定する。この判定は、原点センサ14bから入力される原点センサ信号に基づいて行われる。
【0312】
S5202により原点センサ信号がONでない、つまりOFFであると判定した場合には(S5202でNO)、可動装飾部材位置監視処理(S4205)の再復帰動作が実行されても、可動装飾部材14が始点位置以外の位置にある可能性が高い。この場合には、モータ79のロックが解消される見込みが低いと推定されるが、可動装飾部材14が始点位置方向に移動(上昇)中であり未だ始点位置に到達していない可能性もある。そのため、S5203によりエラーカウンタをデクリメント(1つ減算)する。このエラーカウンタは、デフォルト値(初期値)として、例えば、可動装飾部材14が終点位置から始点位置まで移動(上昇)するために必要な時間相当のカウント値がセットされている。
【0313】
S5203によりカウント値が1つ減算されると、次いでS5204によりそのエラーカウンタのカウント値が0(零)であるか否かを判定する。すなわち、可動装飾部材14が終点位置から始点位置まで移動(上昇)するために必要な時間が経過したか否かを判定する。そして、S5204によりカウント値が0(零)であると判定した場合には(S5204でYES)、続くS5205によりモータ79を停止させ、さらにS5206により可動装飾部材14がエラーであることを報知して、処理を終える。報知は、例えば、所定の点灯パターンや消灯パターンに従って枠ランプ66や盤面ランプ5を点滅させたり、所定の警告音や警告メッセージ等でスピーカ67を鳴動させたりすることにより行う。これに対して、S5204によりカウント値が0(零)でないと判定した場合には(S5204でNO)、可動装飾部材14が終点位置から始点位置まで移動(上昇)するために必要な時間が未だ経過していないため、処理を終える。
【0314】
一方、S5202により原点センサ信号がONであると判定した場合には(S5202でYES)、可動装飾部材14が原点位置にある可能性が高い。すなわち、可動装飾部材位置監視処理(S4205)による再復帰動作の実行によって、異物の噛み込み等がなくなりモータ79のロックが解消されて可動装飾部材14が原点位置に正常に復帰したと推測される。そのため、S5207により復帰リトライフラグをOFFにして、処理を終える。
【0315】
尚、この後、モータ停止の処理(S5205)の前に処理を移行させて、S5205によりモータ79を停止させ、さらにS5206により可動装飾部材14がエラーであることを報知して、処理を終えてもよい。これにより、遊技者の遊技利益に影響を与える可能性の高い位置(可動装飾部材14が演出図柄表示領域7bの一部を覆って演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄8の視認性を低下させる位置)に可動装飾部材14が停止している場合には、それを回避可能な位置(可動装飾部材14の始点位置)に可動装飾部材14を移動させた後、駆動電力を遮断することが可能となる。そのため、遊技者が遊技者が本来得られるべき遊技利益を減少させることを防ぐことが可能となる。
【0316】
以上説明した通り、実施例2のパチンコ機1では、可動部材23、開閉部材32、37の移動位置を検知する可動部材等位置センサ24b、33b、38bや、可動装飾部材14の移動位置を検知する原点センサ14b、終点センサ14e、中間センサ14fを備えるので、可動部材等位置センサ24b、33b、38bや原点センサ14b、終点センサ14e、中間センサ14fにより検知された可動部材23、開閉部材32、37や可動装飾部材14の移動位置と、ソレノイド温度センサ24a、33a、38aやモータ温度センサ14dにより検知された温度との両方に基づいて、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38やモータ79に供給する駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、例えば、可動部材23、開閉部材32、37や可動装飾部材14が、遊技者の遊技利益に影響を与える可能性の高い位置に移動している場合には、それを回避可能な位置に可動部材23、開閉部材32、37や可動装飾部材14を移動させた後、駆動電力を遮断することが可能となる。そのため、遊技者が本来得られるべき遊技利益を減少させたり、遊技者が遊技利益を不当に増加させたりすることを防ぐことが可能となる。
【実施例3】
【0317】
次に、図63乃至図67を用いて実施例3のパチンコ遊技機1について説明する。実施例1のパチンコ遊技機1では、電力遮断手段として、ハードウェアにより強制的に駆動電力を遮断可能な構成を採用したが、実施例3のパチンコ遊技機1においても電力遮断手段として、ソフトウェアにより駆動電力を遮断可能な構成を採用する。実施例3は、前述した実施例1、2と共通する部分と異なる部分とが存在するので、以下では実施例1、2と異なる部分について説明する。
【0318】
図63に示すように、実施例3のパチンコ遊技機1は、サブ制御基板90に接続されるセンサとして、原点センサ14bに加えて、モータ温度センサ14d及びモータ電流センサ14gを備えている。また、中継基板85を介して主制御基板80に接続されるセンサとして、第1始動口センサ20a等に加えて、ソレノイド温度センサ24a、33a、38a及びソレノイド電流センサ24c、33c、38cを備えている。モータ電流センサ14g、ソレノイド電流センサ24c、33c、38cのことを「電流検知手段」ともいう。これらの電流センサ14g、24c、33c、38cは、電動駆動手段に供給される電流を計測可能に構成されている。例えば、モータ電流センサ14gは、モータ79に流れる電流を計測し、ソレノイド電流センサ24cは、第2始動口ソレノイド24に流れる電流を計測する。ソレノイド電流センサ33cは、第1大入賞口ソレノイド33に流れる電流を計測し、ソレノイド電流センサ38cは、第2大入賞口ソレノイド38に流れる電流を計測する。これらの電流データは、PWM信号、アナログ信号やデジタル信号の形式で出力される。モータ電流センサ14gの電流データは主制御基板80に出力されて、ソレノイド電流センサ24c、33c、38cの電流データはサブ制御基板90に出力される。
【0319】
実施例3のパチンコ遊技機1では、遊技制御用マイコン81の一連の動作において、電力遮断手段として、第2始動口ソレノイド24等への駆動電力の遮断制御がソフトウェアにより行われる。図64に示すように、実施例3のパチンコ遊技機1は、割り込み処理(S105)において、電源断監視処理(S209)に次いでソレノイド電流監視処理(S213)が行われる。この処理は、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33及び第2大入賞口ソレノイド38のいずれについても同様に行われるため、ここでは第2始動口ソレノイド24について説明する。
【0320】
[ソレノイド電流監視処理]
ソレノイド電流監視処理(S213)では、可動部材23による第2始動口21の開閉動作の駆動力源となる第2始動口ソレノイド24の励磁電流(通電電流)、開閉部材32による第1大入賞口30の開閉動作の駆動力源となる第1大入賞口ソレノイド33の励磁電流(通電電流)、及び、開閉部材37による第2大入賞口35の開閉動作の駆動力源となる第2大入賞口ソレノイド38の励磁電流(通電電流)を監視する。図65に示すように、この処理ではまずS2901により第2始動口ソレノイド24の温度が所定条件を満たすか否かを判定する。ここでの所定条件は、実施例2で説明した所定条件(1-1)〜(1-3)と同様である。すなわち、可動部材等位置センサ24bにより検知された第2始動口ソレノイド24の温度が、(1-1)所定の温度を超えた場合や、(1-2)所定の温度を一定時間継続して超えた場合や、(1-3)所定の温度パターンに合致した場合等である。そのため、これらの所定条件(1-1)〜(1-3)については説明を省略する。
【0321】
S2901により所定条件を満たさないと判定した場合には(S2901でNO)、第2始動口ソレノイド24は正常に動作しているものと推測でき駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。一方、所定条件を満たしていると判定した場合には(S2901でYES)、S2902の処理に移行する。そして、S2902では、第2始動口ソレノイド24の電流が所定条件を満たすか否かを判定する。この判定は、ソレノイド電流センサ24cから入力されるソレノイド電流センサ信号に基づいて行われる。
【0322】
ここでの所定条件とは、ソレノイド電流センサ24cにより検知された第2始動口ソレノイド24の励磁電流が、(3-1)所定の電流値を超えた場合や、(3-2)所定の電流値を一定時間継続して超えた場合や、(3-3)所定の電流パターンに合致した場合等である。
【0323】
所定の電流は、例えば、第2始動口ソレノイド24の励磁電流として第2始動口ソレノイド24の電気的な仕様により定められている定格電圧を励磁コイルに印加した場合に流れる最大電流値、又は長時間電流を流し続けることにより第2始動口ソレノイド24の励磁コイルが発熱をして焼損したり発火したりする虞のある電流値である。第1大入賞口ソレノイド33や第2大入賞口ソレノイド38の場合には夫々について個別に設定される。
【0324】
また、一定時間とは、前述の所定の電流を長時間を流し続けることにより第2始動口ソレノイド24の励磁コイルが発熱をして焼損したり発火したりする虞のある期間である。第1大入賞口ソレノイド33や第2大入賞口ソレノイド38の場合には夫々について個別に設定される。さらに、所定の電流パターンとしては、例えば、時間の経過に対する電流変化において、前述の所定の電流が変化することなく継続的に流れ続けるフラット特性に合致する場合が所定条件の一例になる。単位時間当たりの電流変化率で判定してもよい。
【0325】
このような一定時間は、当該所定条件を満たすまでS2902を繰り返し通過する際にカウンタ等でその回数を積算や減算することにより計測して判定する。また、所定の電流パターンに合致するか否かは、当該所定条件を満たすまでS2902を繰り返し通過することで、ソレノイド電流センサ24c等により検知された第2始動口ソレノイド24等の励磁電流をS2902でその度ごとにワークメモリに記憶することにより得られる近似曲線等に基づいて判定する。
【0326】
S2902により所定条件を満たしていると判定した場合には(S2902でYES)、第2始動口ソレノイド24は正常ではないため、S2904に移行して第2始動口ソレノイド24を停止させ、さらにS2905により第2始動口ソレノイド24がエラーであることを報知して、処理を終える。報知は、例えば、所定の点灯パターンや消灯パターンに従って枠ランプ66や盤面ランプ5を点滅させたり、所定の警告音や警告メッセージ等でスピーカ67を鳴動させたりすることにより行う。
【0327】
一方、所定条件を満たしていないと判定した場合には(S2902でNO)、S2903により第2始動口ソレノイド24が駆動中であるか否かを判定する。第2始動口ソレノイド24が所定条件を満たす発熱をし(S2901でYES)、且つ、第2始動口ソレノイド24に所定条件を満たす励磁電流が流れていない場合であっても(S2902でNO)、遊技制御用マイコン81が第2始動口ソレノイド24を開放する制御を実行中であれば(S2903でYES)、正常動作の範囲内であると推測でき駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。
【0328】
また、実施例3のパチンコ遊技機1では、演出制御用マイコン91の一連の動作において、電力遮断手段として、モータ79への駆動電力の遮断制御がソフトウェアにより行われる。図66に示すように、実施例3のパチンコ遊技機1は、2msタイマ割り込み処理(S4009)において、ウォッチドックタイマ処理(S4204)に次いでモータ電流監視処理(S4207)が行われる。
【0329】
[モータ電流監視処理]
モータ電流監視処理(S4207)では、可動装飾部材14の上昇動作、下降動作及び保持動作の駆動力源となるモータ79の励磁電流(通電電流)を監視する。図67に示すように、この処理ではまずS5301によりモータ79の温度が所定条件を満たすか否かを判定する。ここでの所定条件は、実施例2で説明した所定条件(2-1)〜(2-3)と同様である。すなわち、モータ温度センサ14dにより検知されたモータ79の温度が、(2-1)所定の温度を超えた場合や、(2-2)所定の温度を一定時間継続して超えた場合や、(2-3)所定の温度パターンに合致した場合等である。そのため、これらの所定条件(2-1)〜(2-3)については説明を省略する。
【0330】
S5301により所定条件を満たさないと判定した場合には(S5301でNO)、モータ79は正常に動作しているものと推測でき駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。一方、所定条件を満たしていると判定した場合には(S5301でYES)、S5302の処理に移行する。そして、S5302では、モータ79の電流が所定条件を満たすか否かを判定する。この判定は、モータ電流センサ14gから入力されるモータ電流センサ信号に基づいて行われる。
【0331】
ここでの所定条件とは、モータ電流センサ14gにより検知されたモータ79の励磁電流が、(4-1)所定の電流値を超えた場合や、(4-2)所定の電流値を一定時間継続して超えた場合や、(4-3)所定の電流パターンに合致した場合等である。
【0332】
所定の電流は、例えば、モータ79の励磁電流としてモータ79の電気的な仕様により定められている定格電圧を励磁コイルに印加した場合に流れる最大電流値、又は長時間電流を流し続けることによりモータ79の励磁コイルが発熱をして焼損したり発火したりする虞のある電流値である。
【0333】
また、一定時間とは、前述の所定の電流を長時間を流し続けることによりモータ79の励磁コイルが発熱をして焼損したり発火したりする虞のある期間である。さらに、所定の電流パターンとしては、例えば、時間の経過に対する電流変化において、前述の所定の電流が変化することなく継続的に流れ続けるフラット特性に合致する場合が所定条件の一例になる。単位時間当たりの電流変化率で判定してもよい。
【0334】
このような一定時間は、当該所定条件を満たすまでS5302を繰り返し通過する際にカウンタ等でその回数を積算や減算することにより計測して判定する。また、所定の電流パターンに合致するか否かは、当該所定条件を満たすまでS5302を繰り返し通過することで、モータ79等により検知されたモータ79等の励磁電流をS5302でその度ごとにワークメモリに記憶することにより得られる近似曲線等に基づいて判定する。
【0335】
S5302により所定条件を満たしていると判定した場合には(S5302でYES)、モータ79は正常ではないため、S5304に移行してモータ79を停止させ、さらにS5305によりモータ79がエラーであることを報知して、処理を終える。報知は、例えば、所定の点灯パターンや消灯パターンに従って枠ランプ66や盤面ランプ5を点滅させたり、所定の警告音や警告メッセージ等でスピーカ67を鳴動させたりすることにより行う。
【0336】
一方、所定条件を満たしていないと判定した場合には(S5302でNO)、S5303によりモータ79が駆動中であるか否かを判定する。モータ79が所定条件を満たす発熱をし(S5301でYES)、且つ、モータ79に所定条件を満たす励磁電流が流れていない場合であっても(S5302でNO)、演出制御用マイコン91がモータ79を駆動制御中であれば(S5303でYES)、正常動作の範囲内であると推測でき駆動電力の供給を遮断する必要がないため、処理を終える。
【0337】
以上説明した通り、実施例3のパチンコ機1では、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38やモータ79に流れている通電電流を検知するソレノイド電流センサ24c、33c、38cやモータ電流センサ14gを備えるので、ソレノイド電流センサ24c、33c、38cやモータ電流センサ14gにより検知された通電電流の電流値と、ソレノイド温度センサ24a、33a、38aやモータ温度センサ14dにより検知された温度との両方に基づいて、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38やモータ79に供給する駆動電力を遮断することが可能となる。例えば、異物の噛み込みや静電気等によりロータやプランジャ等の可動部が動作不能になった場合においては、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38やモータ79の通電電流が特有の電流値や電流パターンになることが多い。そのため、この様な特定の異常モードを検知する場合には、単に、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38やモータ79の温度又は周囲の温度だけに基づくよりも、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38やモータ79の通電電流の電流値を含めた方が検知精度を高めることが可能となる。
【0338】
[他の態様1]
前述の実施例3では、S2902による判定処理において、ソレノイド電流が所定条件を満たすか否かを判定し、またS5302による判定処理において、モータ電流が所定条件を満たすか否かを判定した。そして、ここでの所定条件とは、ソレノイド電流センサ24c等により検知された第2始動口ソレノイド24等の励磁電流が、(3-1)所定の電流値を超えた場合、(3-2)所定の電流値を一定時間継続して超えた場合や、(3-3)所定の電流パターンに合致した場合等であるとしたが、(3-4)所定の電流値以下である場合を当該所定条件に入れもよい。また、ここでの所定条件とは、モータ電流センサ14gにより検知されたモータ79の励磁電流が、(4-1)所定の電流値を超えた場合、(4-2)所定の電流値を一定時間継続して超えた場合や、(4-3)所定の電流パターンに合致した場合等であるとしたが、(4-4)所定の電流値以下である場合を当該所定条件に入れもよい。
【0339】
これにより、例えば、第2始動口ソレノイド24等が特定の異常モード(例えば、異物の噛み込みや静電気等によるロータやプランジャ等の可動部の動作不能)になったときにその通電電流が所定の電流値以下になる場合には、第2始動口ソレノイド24等への駆動電力を遮断することを可能にする一方で、通電電流が所定の電流値を超える様なものであるときには、第2始動口ソレノイド24等の温度等が所定の温度条件等を充足しても、当該第2始動口ソレノイド24等への駆動電力を遮断することをできなくする。そのため、第2始動口ソレノイド24等の温度等だけに基づいて特定の異常モードを検知する場合に比べて検知精度を高めることが可能となる。
【0340】
[その他]
前述の実施例1と実施例2を合わせた構成にしてもよい。また、前述の実施例1と実施例3を合わせた構成にしてもよい。さらに、前述の実施例1乃至実施例3を全て合わせた構成にしてもよい。これにより、電力遮断手段として、ハードウェアにより強制的に駆動電力を遮断可能な構成と、ソフトウェアにより強制的に駆動電力を遮断可能な構成と、を組み合わせた構成を採ることができ、上述した各実施例の夫々の技術的なメリットを享受することが可能となる。また、本発明の構成は、前述したソレノイド、モータだけでなく、遊技機に搭載されるあらゆるソレノイド、モータ等の電気的駆動手段に採用することが可能である。例えば、本実施例1のパチンコ遊技機1において、払出装置120の払出モータ121や発射モータ113に採用することが可能である。
【0341】
また、前述の実施例1乃至実施例3の構成において、遊技球が入球可能な入球可能状態と、遊技球が入球不能な入球不能状態とに変化可能な可変入球口と、第1当否判定又は第2当否判定の結果が当りになると可変入球口(大入賞口)を入球可能状態とする特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、を備えるものとすることができる。また、「始動口」を、第1態様と第1態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変式始動口としてもよいし、「始動口」とは別途、当該可変式始動口を設けてもよい。また、可変式始動口への遊技球の入球頻度が所定の頻度の第1遊技状態と、第1遊技状態よりも可変式始動口への遊技球の入球頻度が高い第2遊技状態とに設定する遊技状態設定手段とを備えるものとすることができる。ここで、「所定の頻度」には0を含むものとする。
【0342】
また、前述の実施例1乃至実施例3では、1ラウンドにおける第1大入賞口又は第2大入賞口の開放回数を1回としているが、1ラウンドにおける第1大入賞口又は第2大入賞口の開放回数を複数回としてもよいし、異なる開放回数のラウンドを有するようにしてもよい。
【0343】
また、前述の実施例1乃至実施例3では、第2特図保留を第1特図保留に優先して消化する制御処理、所謂特図2優先の制御処理としたが、これに限らず、第1特図保留を第2特図保留に優先して消化する制御処理、所謂特図1優先の制御処理としてもよい。また、第1特図保留の消化と第2特図保留の消化とに優先順位を設定せず、第1特図保留及び第2特図保留のうち、最も古く記憶されたものから順に消化する制御処置、所謂入球順(記憶順)消化の制御処理としてもよい。
【0344】
また、前述の実施例1乃至実施例3では特定領域39を有するパチンコ遊技機に本発明を適用したものを例示したが、これに限らず、大入賞口内に特定領域39を有することなく、特別図柄当否判定の結果(停止表示される大当り図柄の種類)のみによって、大当り遊技終了後に高確率状態が付与されるかどうかが決定されるタイプの遊技機においても適用可能であるいうまでもなく、「特別図柄当否判定において大当りとなること(第1特別図柄又は第2特別図柄が大当り図柄で停止表示すること)に基づいて」には、このタイプの遊技機も、前述の実施例1,2のパチンコ遊技機も、他のタイプの遊技機も含まれる。また、確率設定手段を備えていない(高確率状態のない)タイプのパチンコ遊技機であって、内部に特定領域を有し、遊技球が入球可能な入球可能状態と遊技球が入球不能な入球不能状態とに変化可能な大入賞口を備え、大入賞口は、始動口への入球に基づく当否判定の結果が小当りとなると所定時間入球可能状態とされ、この入球可能状態となった大入賞口に遊技球が入球し、特定領域を遊技球が通過すると、大当りとなり大当り遊技が実行され、所定の特典が付与されるパチンコ遊技機にも適用可能である。このパチンコ遊技機は所謂1種2種混合機と呼ばれ、始動口への入球に基づく当否判定の結果が大当りになると、特定領域への通過を要せず、大当り遊技が実行される。また、特典としては、始動口への遊技球の入球頻度を高くする高ベース状態を発生することが挙げられる。また、第1始動口と第2始動口とを有し、第2始動口への入球頻度を高める高ベース状態を発生するものとすることも可能である。本発明はこれらあらゆるタイプの遊技機に適用可能である。
また、参考発明1の遊技機は、
遊技盤及び/又は前記遊技盤を保持する保持枠に可動部材を備えた遊技機であって、
駆動電力を受電して前記可動部材を動作させる電動駆動手段と、
前記電動駆動手段又は前記電動駆動手段の周囲の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段により検知された前記温度が所定の温度を超えた場合に前記駆動電力の供給を遮断する電力遮断手段と、
を備えることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、温度検知手段により検知された電動駆動手段の温度又は電動駆動手段の周囲の温度が所定の温度を超えた場合には、電動駆動手段への駆動電力の供給を電力遮断手段により遮断することが可能となる。これにより、この様な場合には、電動駆動手段の異常な発熱を止めることが可能となる。
また、参考発明2の遊技機は、参考発明1の遊技機において、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度が前記所定の温度を一定時間継続して超えた場合に行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、温度検知手段により検知された電動駆動手段の温度又は電動駆動手段の周囲の温度が所定の温度を超えた場合において、それが一定時間を超えて継続したときに電力遮断手段により駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、この様な電動駆動手段の発熱が一定時間以下である場合には、電力遮断手段による駆動電力の遮断をしないものとすることが可能となる。そのため、一定時間以下の短期間だけ電動駆動手段の発熱が所定の温度を超えたときなどにおいては、駆動電力の不要な遮断を防止し、適切に電動駆動手段の異常な発熱を止めることが可能となる。
また、参考発明3の遊技機は、参考発明1の遊技機において、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度であって前記所定の温度を超える温度が所定の温度パターンに従って変化した場合に行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、温度検知手段により検知された電動駆動手段の温度又は電動駆動手段の周囲の温度が所定の温度を超えた場合において、当該温度が所定の温度パターンに従って変化したときに電力遮断手段により駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、この様な電動駆動手段の発熱が所定の温度パターンに従って変化しない場合、又はこれ以外の温度パターンに従って変化した場合には、電力遮断手段による駆動電力の遮断を防ぐことが可能となる。そのため、モータやソレノイド等の電動駆動手段が特定の異常モード(例えば、異物の噛み込みや静電気等によるロータやプランジャ等の可動部の動作不能)になった場合に生ずる温度パターンに限定して駆動電力を遮断することが可能となり、適切に電動駆動手段の異常な発熱を止めることが可能となる。
また、参考発明4の遊技機は、参考発明1乃至参考発明3の遊技機において、
前記可動部材の移動位置を検知する位置検知手段を備えた遊技機であって、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度と、前記位置検知手段により検知された前記可動部材の移動位置と、に基づいて行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、可動部材の移動位置を検知する位置検知手段を備えるので、位置検知手段により検知された可動部材の移動位置と、温度検知手段により検知された温度との両方に基づいて、駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、例えば、可動部材が、遊技者の遊技利益に影響を与える可能性の高い位置に移動している場合には、それを回避可能な位置に可動部材を移動させた後、駆動電力を遮断することが可能となる。そのため、遊技者が本来得られるべき遊技利益を減少させたり不当に増加させたりすることを防ぐことが可能となる。
また、参考発明5の遊技機は、参考発明4の遊技機において、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度が所定の温度を超えた場合であって、前記位置検知手段により検知された前記可動部材の移動位置が所定の位置にある場合に行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、位置検知手段により検知された可動部材の移動位置が所定の位置にある場合に駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、例えば、所定の位置として、遊技者の遊技利益に影響を与える可能性が低い位置に可動部材がある場合には、当該可動部材を動作させる電動駆動手段への駆動電力を遮断することが可能になるので、遊技者が本来得られるべき遊技利益を減少させたり不当に増加させたりすることを防ぐことが可能となる。
また、参考発明6の遊技機は、参考発明4の遊技機において、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度が所定の温度を超えた場合であって、前記位置検知手段により検知された前記可動部材の移動位置が所定の位置にない場合に行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、位置検知手段により検知された可動部材の移動位置が所定の位置にない場合に駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、例えば、所定の位置として、遊技者の遊技利益に影響を与える可能性が高い位置に可動部材がある場合には、電動駆動手段の温度又は電動駆動手段の周囲の温度が所定の温度条件を満たしていたり、所定の温度パターンに従って変化したりなどしていても、当該可動部材を動作させる電動駆動手段への駆動電力を遮断しないものとする。そのため、遊技者が本来得られるべき遊技利益を減少させたり不当に増加させたりすることを防ぐことが可能となる。
また、参考発明7の遊技機は、参考発明1乃至参考発明3の遊技機において、
前記電動駆動手段に流れている通電電流を検知する電流検知手段を備えた遊技機であって、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度と、前記電流検知手段により検知された前記通電電流の電流値と、に基づいて行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、電動駆動手段に流れている通電電流を検知する電流検知手段を備えるので、電流検知手段により検知された通電電流の電流値と、温度検知手段により検知された温度との両方に基づいて、駆動電力を遮断することが可能となる。例えば、異物の噛み込みや静電気等によりロータやプランジャ等の可動部が動作不能になった場合においては、電動駆動手段の通電電流が特有の電流値や電流パターンになることが多い。そのため、この様な特定の異常モードを検知する場合には、単に、電動駆動手段の温度又は周囲の温度だけに基づくよりも、電動駆動手段の通電電流の電流値を含めた方が検知精度を高めることが可能となる。
また、参考発明8の遊技機は、参考発明7の遊技機において、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度が所定の温度を超えた場合であって、前記電流検知手段により検知された前記通電電流が所定の電流値を超えた場合に行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、電流検知手段により検知された通電電流が所定の電流値を超えた場合に駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、例えば、電動駆動手段が特定の異常モード(例えば、異物の噛み込みや静電気等によるロータやプランジャ等の可動部の動作不能)になったときにその通電電流が所定の電流値を超える場合には、当該電動駆動手段への駆動電力を遮断することを可能にする一方で、通電電流が所定の電流値以下であるときには、電動駆動手段の温度等が所定の温度条件等を充足しても、当該電動駆動手段への駆動電力を遮断しないものとする。そのため、電動駆動手段の温度等だけに基づいて特定の異常モードを検知する場合に比べて検知精度を高めることが可能となる。
また、参考発明9の遊技機は、参考発明7の遊技機において、
前記電力遮断手段による前記駆動電力の遮断は、
前記温度検知手段により検知された前記温度が所定の温度を超えた場合であって、前記電流検知手段により検知された前記通電電流が所定の電流値以下である場合に行われることを特徴とするものである。
この様な遊技機によれば、電流検知手段により検知された通電電流が所定の電流値以下である場合に駆動電力を遮断することが可能となる。これにより、例えば、電動駆動手段が特定の異常モード(例えば、異物の噛み込みや静電気等によるロータやプランジャ等の可動部の動作不能)になったときにその通電電流が所定の電流値以下になる場合には、当該電動駆動手段への駆動電力を遮断することを可能にする一方で、通電電流が所定の電流値を超える様なものであるときには、電動駆動手段の温度等が所定の温度条件等を充足しても、当該電動駆動手段への駆動電力を遮断しないものとする。そのため、電動駆動手段の温度等だけに基づいて特定の異常モードを検知する場合に比べて検知精度を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0345】
1 パチンコ遊技機、2 遊技盤、3 遊技領域、7 画像表示装置、14 可動装飾部材(可動部材)、14a 電気的駆動源、14b 原点センサ(位置検知手段)、14d モータ温度センサ(温度検知手段)、14e 終点センサ(位置検知手段)、14f 中間センサ(位置検知手段)、14g モータ電流センサ(電流検知手段)、24 第2始動口ソレノイド(電動駆動手段)、24a ソレノイド温度センサ(温度検知手段)、24b 可動部材等位置センサ(位置検知手段)、24c ソレノイド電流センサ(電流検知手段)、32,37 開閉部材(可動部材)、33 第1大入賞口ソレノイド(電動駆動手段)、33a,38a ソレノイド温度センサ(温度検知手段)、33b,38b 可動部材等位置センサ(位置検知手段)、33c,38c ソレノイド電流センサ(電流検知手段)、38 第2大入賞口ソレノイド(電動駆動手段)、50 遊技機枠(保持枠)、78b,89b NPNトランジスタ(電力遮断手段)、79 モータ(電動駆動手段)、81 遊技制御用マイコン(電力遮断手段)、91 演出制御用マイコン(電力遮断手段)。
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