(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態の1つを
図1から
図8に基づいて説明する。
【0014】
図1及び
図2の符号1は、本実施形態の電気接続箱を示す。また、本図の符号WHは、その電気接続箱1を備えたワイヤハーネスを示す。
【0015】
本実施形態の電気接続箱1とは、電源(図示略)や負荷(図示略)、センサ(図示略)等の接続対象物に対して電気的に接続される様々な電子部品100を内部に収容したものである。その電子部品100とは、例えば、リレー、ヒューズ等の回路保護部品、コネクタなどのことである。また、本実施形態では、プリント基板、電子制御ユニット(いわゆるECU)等の電子機器についても、電気接続箱1に収容される電子部品100とする。収容されている電子部品100には、該当する電線(電力供給線や信号線等)150が電気的に接続されている。電気接続箱1においては、その電線150が外部に引き出されている。この電気接続箱1は、その電線150等と共にワイヤハーネスWHを成す。ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に配設され、電源(二次電池)側や負荷としての電気機器(アクチュエータ等)側などに電線150を介して繋がれる。
【0016】
電気接続箱1は、その電子部品100が少なくとも収容され、その電子部品100に対して電気的に接続された電線150が外部に引き出される筐体10を備える。筐体10は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形されたものであり、その内部に電子部品100が収容される空間を有している。その内部の空間には、電子部品100を収容する収容室11が少なくとも1つ形成される。この例示の筐体10は、1つの収容室11を有し、この収容室11に1つの電子部品100が収容されるものとして示している。
【0017】
筐体10は、複数の筐体部材に分けられた分割構造になっており、それぞれの筐体部材を組み付けることで箱体として形成される。この筐体10は、その筐体部材として、収容部材20とカバー部材30とを少なくとも備える。本実施形態の筐体10は、その収容部材20とカバー部材30とで構成し、これらを組み付けることで方体状の箱体が形成されるものとして例示する。
【0018】
収容部材20は、電子部品100が少なくとも収容されるものであり、その電子部品100の収容室11が形成されている。この例示の収容部材20は、矩形の主壁20aと、この主壁20aの周縁から同一方向に立設した4つの矩形の周壁20bと、を有する。この収容部材20においては、その主壁20aと4つの周壁20bとで囲まれた方体状の内部空間が内方に形成され、その内部空間が収容室11として利用される。この収容部材20においては、その4つの周壁20bの自由端側に、主壁20aに対して平行に配置された矩形の開口21が形成される。電子部品100は、その開口21から挿入されて、収容室11に収容される。
【0019】
ここでは、プリント基板100Aを収容対象の電子部品100として例示する。このプリント基板100Aは、その板面に対する直交方向に沿って開口21から挿入されていき、その板面を主壁20aの内壁面に対向させた状態で収容室11に収容される。
【0020】
ここで、このプリント基板100Aは、その板面に対して垂設させ、かつ、カバー部材30側に向けて収容部材20から突出させた端子101を有している。図中では、図示の便宜上、プリント基板100Aに実装されている他の部品(回路保護部品等の他の電子部品100)の図示を省略している。その端子101は、プリント基板100Aに直接取り付けられたものであってもよく、プリント基板100Aに取り付けられた他の電子部品100が有するものであってもよい。また、この端子101は、カバー部材30を介して筐体10の外部に露出させたものであってもよく、筐体10の後述する内部空間12に配置されたものであってもよい。この例示では、プリント基板100Aの収容室11への収容状態で、その端子101を開口21から突出させる。また、この例示では、プリント基板100Aの内部空間12への収容状態で、カバー部材30を介して端子101を筐体10の外部に突出させ且つ露出させる。このため、端子101は、後述する収容部材20とカバー部材30との組付けを可能にするべく、これらの間の組付け方向に沿わせて突出させる。従って、この端子101は、4つの周壁20bの立設方向と同じ向きに突出させる。この例示では、開口21に対する直交方向に沿って端子101が突出している。例えば、この例示の端子101は、矩形の板状に成形し、その長手方向の一端を筐体10の外部に露出させている。
【0021】
カバー部材30は、その収容部材20に組み付けられた際に、この収容部材20の開口21を塞ぐものである。この例示のカバー部材30は、矩形の主壁30aと、この主壁30aの周縁から同一方向に立設した4つの矩形の周壁30bと、を有する。このカバー部材30においては、その主壁30aと4つの周壁30bとで方体状の内部空間が内方に形成される。この例示の筐体10では、このカバー部材30の4つの周壁30bの内壁面で収容部材20の4つの周壁20bの外壁面を覆い、かつ、このカバー部材30の主壁30aを収容部材20の主壁20aに対向させるように互いを組み付ける。
【0022】
この例示のカバー部材30は、収容部材20の開口21から突出している端子101を挿通させることによって、この端子101を筐体10の外部に露出させる。このため、このカバー部材30は、収容部材20との組付け時に端子101を突出側の先端から挿通させて筐体10の外部に露出させる端子挿通孔31を有する。その端子挿通孔31は、主壁30aに形成する。この端子挿通孔31から外部に露出している端子101には、図示しない相手側コネクタの相手側端子が嵌合されて、この相手側端子が電気的に接続される。この例示のカバー部材30の主壁30aには、その相手側コネクタが挿入され、その挿入と共に相手側端子を端子101に嵌合させるコネクタ収容室32が形成されている。
【0023】
この例示の筐体10においては、それぞれの周壁20b,30bの立設方向や端子101の突出方向(延在方向)に沿う方向が、収容部材20とカバー部材30の組付け方向になる。カバー部材30は、その収容部材20の開口21に向けて移動させることによって、端子101を端子挿通孔31に挿通させると共に、収容部材20に組み付けられて開口21を塞ぐ。
【0024】
ここで、収容部材20やカバー部材30は、その主壁20a,30a等に電子部品100のメンテナンス用の開口(図示略)が形成されていてもよい。この場合、収容部材20やカバー部材30は、その開口を塞ぐ蓋部材を備えている。
【0025】
この例示の筐体10は、その収容部材20とカバー部材30とが組み付けられることで、方体状の内部空間12が形成される。その内部空間12においては、プリント基板100A等の電子部品100に対して、電線150が電気的に接続されている(接続状態については図示略)。その電線150は、この内部空間12から外部に引き出される。例えば、カバー部材30の主壁30aには、その電線150を挿通させる貫通孔(図示略)が形成されている。
【0026】
本実施形態の電気接続箱1は、更に、収容部材20とカバー部材30との組付け時の位置決めを担う位置決め構造40を備えている。その位置決め構造40は、組み付けられた収容部材20とカバー部材30とを少なくとも有する筐体10の内部空間12に配置する。この例示では、筐体10が収容部材20とカバー部材30とで構成されるので、これらから成る内部空間12に位置決め構造40が配置される。位置決め構造40は、収容部材20とカバー部材30の内の何れか一方の内方に設け、収容部材20とカバー部材30との組付け方向に沿って延在させた位置決めピン41と、その内の他方の内方に設け、収容部材20とカバー部材30との組付け時に位置決めピン41が挿入されるピン挿入部42と、を有している。
【0027】
この電気接続箱1においては、その位置決め構造40によって、例えば作業者が収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際に、収容部材20とカバー部材30との位置合わせが容易になり、収容部材20及びプリント基板100A(電子部品100)とカバー部材30との間で、位置決めピン41とピン挿入部42との間以外の部品同士の接触を抑えることができる。従って、この電気接続箱1は、その構成部品としての収容部材20とカバー部材30、そして、収容されるプリント基板100A(電子部品100)を保護することができ、その耐久性を向上させることができる。
【0028】
更に、この電気接続箱1においては、その位置決め構造40が筐体10の内部空間12に配置されるように、収容部材20とカバー部材30の内の何れか一方の内方に位置決めピン41を設け、その内の他方の内方にピン挿入部42を設けている。このため、この電気接続箱1は、筐体10の内部空間12と外部とを繋ぐ貫通孔を設けずとも、そして、筐体10の外方に膨出部等のはみ出し部分を設けずとも、位置決め構造40を設けることができる。このことから、この電気接続箱1は、液体や塵埃等の不要物の内部空間12への浸入を抑えることができ、かつ、はみ出し部分による体格の大型化、周辺部品との干渉や見栄えの低下を抑えた適切な筐体10の外形を得ることができる。
【0029】
このように、本実施形態の電気接続箱1は、収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際の位置合わせを可能にしつつ、筐体10が適切な外形でありながらも不要物の浸入抑制効果を得ることができる。
【0030】
以下に、その位置決め構造40の具体例について説明する。
【0031】
この位置決め構造40は、位置決めピン41とピン挿入部42を互いの形状に合わせた形に形成する。位置決めピン41とピン挿入部42は、その相互間において、ガタを抑えて嵌合されるものであってもよく、ガタを有するよう挿入されるものであってもよい。例えば、ガタを設ける場合には、収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際の位置合わせの精度を低下させない範囲内でガタを設定し、位置決めピン41とピン挿入部42との間の挿入を容易にして、位置合わせを行い易くする。但し、位置合わせの精度という観点で観るならば、位置決めピン41とピン挿入部42は、互いを嵌合させることが望ましい。しかしながら、位置決めピン41とピン挿入部42は、互いに面接触しながら嵌合されていく場合、その間の抵抗が大きくなる。このため、位置決めピン41とピン挿入部42は、互いに線接触しながら嵌合されるように形成し、その間の抵抗を小さくして、収容部材20とカバー部材30の組付け作業性を向上させることが望ましい。その位置決めピン41とピン挿入部42の形状については、後で例示する。
【0032】
また、この位置決め構造40においては、位置決めピン41とピン挿入部42の位置を作業者に認識させ、互いの挿入作業を容易にするために、位置決めピン41とピン挿入部42の内の少なくとも一方の先端側を配置対象物(収容部材20又はカバー部材30)の内方から突出させることが望ましい。
【0033】
また、この位置決め構造40は、内部空間12に少なくとも1つ設ける。例えば、筐体10の体格が小さい場合には、位置決め構造40が1箇所に配置されているだけで事足りることもある。この場合には、位置決め構造40を内部空間12に対して1箇所に配置すればよい。一方、筐体10の体格が大きい場合には、位置決め構造40が1箇所だけでは適切な位置合わせを行い難いこともある。この場合には、位置決め構造40を内部空間12に対して複数箇所に配置すればよい。それぞれの位置決め構造40は、位置合わせの精度や容易性を高めるのであれば、互いを離した位置に配置することが望ましい。例えば、この例示のような方体状の筐体10の場合には、一方の対角線上の2つの隅部に位置決め構造40を1箇所ずつ配置すればよい。
【0034】
また、この位置決め構造40は、内部空間12に対して複数箇所に配置する場合、各組の位置決めピン41とピン挿入部42を全て同じ形状の組み合わせとして形成してもよく、各組の位置決めピン41とピン挿入部42を複数の異なる形状の組み合わせとして形成してもよい。後者の場合には、例えば、断面形状(延在方向に対する直交断面の形状)の異なる位置決めピン41とピン挿入部42の組み合わせを複数組配置したり、長さの異なる位置決めピン41とピン挿入部42の組み合わせを複数組配置したりすればよい。
【0035】
また、この位置決め構造40において、位置決めピン41は、収容部材20に設ける場合、その主壁20aの内壁面から垂設させたものであってもよく、その周壁20bの内壁面に設けた保持部(図示略)に保持させたものであってもよい。一方、ピン挿入部42は、その主壁30aの内壁面から垂設させたものであってもよく、その周壁30bの内壁面に設けたものであってもよく、その周壁30bの内壁面に設けた保持部(図示略)に保持させたものであってもよい。
【0036】
図1及び
図2に示す位置決め構造40は、位置決めピン41を収容部材20に設け、ピン挿入部42をカバー部材30に設けたものである。この位置決め構造40においては、主壁20aの内壁面から位置決めピン41を垂設させ、主壁30aの内壁面からピン挿入部42を垂設させている。
【0037】
図3には、この位置決め構造40の形状の具体例を示している。本図の例示では、位置決め構造40を位置決め構造40Aと称し、位置決めピン41を位置決めピン41Aと称し、ピン挿入部42をピン挿入部42Aと称する。その位置決めピン41Aは、主壁20aの内壁面から垂設させた柱状体である。ピン挿入部42Aは、主壁30aの内壁面から垂設させた筒状体である。例えば、ここでは、位置決めピン41Aを円柱状に形成し、ピン挿入部42Aを円筒状に形成している。
図1及び
図2では、この位置決め構造40Aを図示している。
【0038】
この位置決め構造40Aにおいては、位置決めピン41Aとピン挿入部42Aとを真円状又はそれ相当の円形に形成することで、位置決めピン41Aとピン挿入部42Aとが互いに軸周りに相対回転することができる。このため、この位置決め構造40Aは、筐体10の内部空間12に複数箇所配置し、各々で位置決めピン41Aとピン挿入部42Aとを相対回転させないようにすることが望ましい。これにより、収容部材20とカバー部材30においては、組付け時の位置合わせが容易になる。一方、この位置決め構造40Aにおいては、位置決めピン41Aとピン挿入部42Aとを楕円状に形成し、その相互間の相対回転が抑制されるようにしてもよい。この場合には、この位置決め構造40Aを少なくとも1組配置することで、収容部材20とカバー部材30との組付け時の位置合わせを容易に行うことができる。
【0039】
その位置決めピン41は、収容部材20にプリント基板100Aが収容される際に、そのプリント基板100Aの貫通孔102に挿通させてもよい。これにより、この位置決めピン41は、収容室11内におけるプリント基板100Aの位置決めの機能も備えることになる。
【0040】
この位置決め構造40Aにおいては、位置決めピン41Aの外周面41A
1の直径をピン挿入部42Aの内周面42A
1の直径よりも小さくし、その外周面41A
1と内周面42A
1との間に円環状の隙間が設けられるように形成する。そして、この位置決め構造40Aにおいては、その外周面41A
1と内周面42A
1との間に、位置決めピン41Aとピン挿入部42Aの相互間の挿入方向に沿って互いを線接触させる線接触構造を設ける。
【0041】
その線接触構造は、例えば、その外周面41A
1と内周面42A
1の内の一方に形成した少なくとも3つの山型のリブ43Aで構成する。そのリブ43Aは、位置決めピン41A又はピン挿入部42Aの延在方向に延在させたものであり、その延在方向に対する直交断面の形状を三角形等の山型に形成している。このリブ43Aは、その山型の頂点が他方の外周面41A
1又は内周面42A
1に接触することができるように形成する。これにより、その位置決めピン41Aとピン挿入部42Aは、先に説明したように、互いに線接触しながら嵌合していくので、収容部材20とカバー部材30の組付け作業性を向上させることができる。ここでは、ピン挿入部42Aの内周面42A
1に略等間隔で4つのリブ43Aを形成し、それぞれのリブ43Aの頂点の位置決めピン41Aの外周面41A
1に対する接触を可能にしている。
【0042】
ここで、そのリブ43Aは、位置決めピン41Aの外周面41A
1に設ける場合、この位置決めピン41Aの先端41a(
図1及び
図2)を避けた外周面41A
1上に形成することが望ましい。その先端41aとは、位置決めピン41Aにおけるピン挿入部42Aに挿入され始める部分(位置決めピン41Aにおけるピン挿入部42Aへの挿入開始部)に相当する部位である。また、そのリブ43Aは、ピン挿入部42Aの内周面42A
1に設ける場合、このピン挿入部42Aの先端42a(
図1及び
図2)を避けた内周面42A
1上に形成することが望ましい。その先端42aとは、ピン挿入部42Aにおける位置決めピン41Aが挿入され始める部分(ピン挿入部42Aにおける位置決めピン41Aの挿入開始部)に相当する部位である。この位置決め構造40Aは、これらのようにリブ43Aを配置することで、位置決めピン41Aの先端41aがピン挿入部42Aの先端42aに誘い込まれ易くなるので、収容部材20とカバー部材30の位置合わせを容易ならしめることができる。
【0043】
図4は、位置決め構造40の形状の別の具体例を示したものである。本図の例示では、位置決め構造40を位置決め構造40Bと称し、位置決めピン41を位置決めピン41Bと称し、ピン挿入部42をピン挿入部42Bと称する。その位置決めピン41Bは、主壁20aの内壁面から垂設させた柱状体であり、角柱状に形成している。ここでは、四角柱の位置決めピン41Bを例示している。ピン挿入部42Bは、主壁30aの内壁面から垂設させた複数のガイド体42B
1から成り、それぞれのガイド体42B
1で位置決めピン41Bを囲うように配置する。この例示では、ピン挿入部42Bとして1組のガイド体42B
1を設けている。それぞれのガイド体42B
1は、延在方向に対する直交断面の形状がL字を成すものであり、位置決めピン41Bの対角線上の2つの隅部41B
1を挟み込むように配置している。
【0044】
この位置決め構造40Bは、先の例示のような線接触構造を設けてもよい。また、この位置決め構造40Bは、位置決めピン41Bの対角線上の2つの隅部41B
1がそれぞれのガイド体42B
1の平面に各々接触できるように、位置決めピン41Bとピン挿入部42Bとを形成し、位置決めピン41Bとピン挿入部42Bとが挿入方向に沿って互いに線接触するようにしてもよい。
【0045】
これまでの具体例では、位置決めピン41を収容部材20に設け、ピン挿入部42をカバー部材30に設けている。
図5及び
図6に示す位置決め構造40は、位置決めピン41をカバー部材30に設け、ピン挿入部42を収容部材20に設けたものである。この位置決め構造40においては、カバー部材30の主壁30aの内壁面から位置決めピン41を垂設させ、収容部材20の主壁20aの内壁面からピン挿入部42を垂設させている。この位置決め構造40の位置決めピン41とカバー部材30は、
図1及び
図2に示す位置決め構造40のものと同様の形状及び配置にすればよい。本実施形態の電気接続箱1は、このように構成したとしても、先の例示のものと同様の効果を得ることができる。
【0046】
尚、この場合には、収容部材20にプリント基板100Aが収容される際に、そのプリント基板100Aの貫通孔102にピン挿入部42が挿通させられる。このため、ここでの位置決め構造40においては、そのピン挿入部42が収容室11内におけるプリント基板100Aの位置決めの機能を持つことになる。
【0047】
ところで、この例示の電気接続箱1においては、収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際に、電子部品100(プリント基板100A)の端子101がカバー部材30を介して外部に露出させられる。このため、その端子101は、その組付けに際して、カバー部材30に接触してしまう可能性がある。
【0048】
そこで、位置決め構造40は、その端子101が端子挿通孔31に挿入し始めるよりも前に位置決めピン41がピン挿入部42に挿入し始めるように、位置決めピン41とピン挿入部42とを形成することが望ましい(
図7及び
図8)。これにより、この位置決め構造40は、収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際に、その端子101のカバー部材30への先当りを抑制し、この端子101を保護することができる。従って、この位置決め構造40は、電子部品100の耐久性を向上させることができ、延いては電気接続箱1の耐久性を向上させることができる。
【0049】
より具体的に言うならば、ここでは、これまでの説明における収容部材20とカバー部材30との組付け方向を、収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際の基準組付け方向として定める。この場合、位置決め構造40は、収容部材20とカバー部材30との組付け方向が基準組付け方向に対して傾いたとしても、端子101が端子挿通孔31に挿入し始めるよりも前及び端子101がカバー部材30に接触するよりも前に位置決めピン41がピン挿入部42に挿入し始めるように、位置決めピン41とピン挿入部42とを形成する。これにより、この位置決め構造40は、収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際の端子101の保護がより明確なものとなり、電子部品100や電気接続箱1の耐久性をより向上させることができる。
【0050】
また、この位置決め構造40は、位置決めピン41がピン挿入部42に挿入し始めた後で、収容部材20とカバー部材30のそれぞれの周壁20b,30b同士の嵌合が始まるように、その位置決めピン41とピン挿入部42とを形成することが望ましい。これにより、この位置決め構造40は、収容部材20とカバー部材30との間の傾いた状態での嵌め合いを抑制することができるので、その間のかじりの発生等を抑えることができる。
【0051】
更に、例えば、
図1及び
図2の位置決め構造40の場合、位置決めピン41は、その先端41aがプリント基板100Aの端子101の先端101aよりも収容室11側に配置されるように形成することが望ましい。その端子101は、先に説明したように、カバー部材30を介して筐体10の外部に露出させられる。このため、この位置決め構造40は、そのように位置決めピン41を配置することで、筐体10の内部空間12での配置が容易になる。
【0052】
一方、
図5及び
図6の位置決め構造40の場合、ピン挿入部42は、その先端42aがプリント基板100Aの端子101の先端101aよりも収容室11側に配置されるように形成することが望ましい。この位置決め構造40は、そのようにピン挿入部42を配置することで、筐体10の内部空間12での配置が容易になる。
【0053】
ここで、これまでの例示では、端子101が筐体10の外部に露出させられるものとして説明した。しかしながら、その端子101には、先に説明したようにカバー部材30側に向けて収容部材20から突出させてはいるが、筐体10の内部空間12に配置されるものも存在している。例えば、この種の端子101としては、音叉端子が考えられる。この場合には、端子101が筐体10の内部空間12に配置されると共に、相手側コネクタの相手側端子(矩形且つ板状の雄端子)が端子挿通孔31から内部空間12に挿入された後、この相手側端子が端子101に嵌合される。このような端子101が採用されている電気接続箱1であっても、収容部材20とカバー部材30は、位置決めピン41がピン挿入部42に挿入し始めるまでの間、互いの組付け方向が基準組付け方向に対して傾く可能性がある。そして、その傾きが発生している状態においては、カバー部材30が端子101(特に突出側の先端101a)に接触してしまう可能性がある。
【0054】
そこで、端子101がカバー部材30側に向けて収容部材20から突出され且つ筐体10の内部空間12に配置される場合、位置決め構造40は、収容部材20とカバー部材30との組付け方向が基準組付け方向に対して傾いたとしても、その端子101の先端101aがカバー部材30に接触するよりも前に位置決めピン41がピン挿入部42に挿入し始めるように、位置決めピン41とピン挿入部42とを形成する。これにより、この位置決め構造40は、端子101が内部空間12に配置されるものであったとしても、収容部材20とカバー部材30とを組み付ける際の端子101の保護がより明確なものとなり、電子部品100や電気接続箱1の耐久性をより向上させることができる。
【0055】
このように筐体10内の端子101の配置に合わせて構成した場合でも、その位置決め構造40は、位置決めピン41がピン挿入部42に挿入し始めた後で、収容部材20とカバー部材30のそれぞれの周壁20b,30b同士の嵌合が始まるように、その位置決めピン41とピン挿入部42とを形成することが望ましい。また、
図1及び
図2の位置決め構造40の場合、位置決めピン41は、その先端41aがプリント基板100Aの端子101の先端101aよりも収容室11側に配置されるように形成することが望ましい。一方、
図5及び
図6の位置決め構造40の場合、ピン挿入部42は、その先端42aがプリント基板100Aの端子101の先端101aよりも収容室11側に配置されるように形成することが望ましい。
【0056】
以上示したように、本実施形態の電気接続箱1は、先に示したような様々な効果を得ることができる。そして、本実施形態のワイヤハーネスWHは、その電気接続箱1を備えるものであるので、その電気接続箱1の効果を奏することができる。