(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404266
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】臭気変調剤及び臭気変調方法
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20181001BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20181001BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
C11B9/00 Z
A61L9/01 V
A61L9/14
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-106723(P2016-106723)
(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公開番号】特開2017-210589(P2017-210589A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2018年1月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598118776
【氏名又は名称】山本香料株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000238234
【氏名又は名称】シキボウ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】辻本 裕
(72)【発明者】
【氏名】山本 芳邦
(72)【発明者】
【氏名】肥下 隆一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 祥一郎
(72)【発明者】
【氏名】冨士原 利樹
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−227579(JP,A)
【文献】
特開2003−104855(JP,A)
【文献】
特開2015−193643(JP,A)
【文献】
特開平02−158694(JP,A)
【文献】
特開昭58−121286(JP,A)
【文献】
特開昭56−113776(JP,A)
【文献】
特開昭56−113775(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/018805(WO,A1)
【文献】
特開2003−102819(JP,A)
【文献】
特開2002−336337(JP,A)
【文献】
特開2003−190264(JP,A)
【文献】
特開2003−113392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00− 9/22
C11B 1/00− 15/00
C11C 1/00− 5/02
C07D 261/00−273/08
C07B 31/00− 61/00
C07B 63/00− 63/04
C07C 1/00−409/44
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤であって、
フラン化合物、ピラン化合物及びシクロペンタノン誘導体から選択される少なくとも一種の含酸素環状化合物を含有し、
前記フラン化合物は、フラネオール、フルフラール、5−メチルフルフラール、フルフリルメルカプタン、フルフリールアルコール、2−プロピオニルフラン、2−エチルフラン、メントフラン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フランチオール、2−メチルフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−ヘキサノイルフラン、2−ペンチルフラン、2−プロピルフラン、2−(3−フェニルプロピル)テトラヒドロフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,4−ジメチル−4−フェニルテトラヒドロフラン、2−フルフリル−5−メチルフラン、2−ヘプチルフラン、2−メチルベンゾフラン、2−メチル−5−プロピオニルフラン、2−(5−エテニル−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)−プロパナール、3−{[2−メチル−(2or4),5−ジヒドロ−3−フリル]チオ}−2−メチルテトラヒドロフラン−3−チオール、2−エテニル−5−イソプロペニル−2−メチルテトラヒドロフラン、5−メチル−2−フランメタンチオール、6−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[2,3−c]フラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、3−アセチル−2,5−ジメチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、2−アセチルフラン、2−ブチルフラン、2,5−ジエチルテトラヒドロフラン、ジフルフリルジスルフィド、ジフルフリルエーテル、ジフルフリルスルフィド、及び2,5−ジメチル−3−フランチオールからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記ピラン化合物は、マルトール、エチルマルトール、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、3,5−ジヒドロキシ−6−メチル−2,3−ジヒドロ−4(4H)−ピラノン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロピラン、5−メチル−3−ブチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテート、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロピラン、テアスピラン、ビティスピラン、(2S,4aR,8aS)−2,5,5,8a−テトラメチル−3,4,4a,5,6,8a−ヘキサヒドロ−2H−1−ベンゾピラン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロ−3(4H)−ピラノン、6−ヒドロキシジヒドロテアスピラン、6−アセトキシジヒドロテアスピラン、及び2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロ−2H−ピランからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記シクロペンタノン誘導体は、シクロペンタノン、シクロテン、シクロテンアセテート、シクロテンプロピオネート、シクロテンブチレート、シクロテンイソブチレート、2−ゲラニルシクロペンタノン、2−ヘキシルシクロペンタノン、2−ヘキシリデンシクロペンタノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、2−アミル−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−2−シクロペンテノン、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−2−シクロペンテノン、2−メチル−3−(2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(cis−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(trans−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−シクロペンテノン、2−ヘキシル−2−シクロペンテノン、及び2,3−ジメチル−2−シクロペンテノンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記含酸素環状化合物の含有量は、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を100質量%として10〜25質量%である、
ことを特徴とする剤。
【請求項2】
前記含酸素環状化合物の含有量は、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を100質量%として10〜20質量%である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記フラン化合物の含有量は、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を100質量%として0.8〜5質量%である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
前記ピラン化合物の含有量は、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を100質量%として5〜20質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の剤。
【請求項5】
前記シクロペンタノン誘導体の含有量は、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を100質量%として0.1〜5質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
更に、バニリン系化合物を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
前記バニリン系化合物は、バニリン、エチルバニリン、アセトアルデヒドエチルバニリンアセタール、バニリンアセテート、エチルバニリンイソブチレート、アセトバニロン、エチルバニレート、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、メチルバニレート、バニリックアシド、バニリンイソブチレート、ブチルバニレート、バニリン2,3−ブタンジオールアセタール、及びバニリンラクテートからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の剤。
【請求項8】
前記バニリン系化合物の含有量は、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を100質量%として10〜20質量%である、請求項6又は7に記載の剤。
【請求項9】
更に、ピリジン類を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
前記ピリジン類は、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン、2−アセチル−4−イソプロペニルピリジン、4−アセチル−2−イソプロペニルピリジン、2−アセチル−4−イソプロピルピリジン、3,5−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、及び2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項9に記載の剤。
【請求項11】
更に、ピラジン類を含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の剤。
【請求項12】
前記ピラジン類は、2−メチルチオ−3−メチルピラジン、2−メトキシ−3−メチルピラジン、2−エチル−3(5/6)ジメチルピラジン、2−エチル−3−メチルピラジン、2−メトキシ−5−メチルピラジン、2−アセチル−3,(5/6)−ジメチルピラジン、2−アセチル−3−エチルピラジン、2−アセチル−3−メチルピラジン、アセチルピラジン、2−(フルフリルチオ)−(3/5/6)−メチルピラジン、2−メチル−(5/6)−(メチルチオ)ピラジン、2−エチル−3−(メチルチオ)ピラジン2−イソプロピル−3−(メチルチオ)ピラジン、2−sec−ブチル−3−メトキシピラジン、2−エトキシ−(3/5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−エチル−3−メトキシピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−イソプロポキシ−3−メチルピラジン、2−イソプロピル−(3/5/6)−メトキシピラジン、2−メトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−メトキシ−3,5−ジメチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、メトキシピラジン、2−メチル−6−プロポキシピラジン、2−エトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、及び2−(ヒドロキシメチル)−5−メチルピラジンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項11に記載の剤。
【請求項13】
畜産用又は水産用である、請求項1〜12のいずれかに記載の剤。
【請求項14】
悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる方法であって、
フラン化合物、ピラン化合物及びシクロペンタノン誘導体から選択される少なくとも一種の含酸素環状化合物を含有する、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を、空気中に噴霧し、
前記フラン化合物は、フラネオール、フルフラール、5−メチルフルフラール、フルフリルメルカプタン、フルフリールアルコール、2−プロピオニルフラン、2−エチルフラン、メントフラン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フランチオール、2−メチルフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−ヘキサノイルフラン、2−ペンチルフラン、2−プロピルフラン、2−(3−フェニルプロピル)テトラヒドロフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,4−ジメチル−4−フェニルテトラヒドロフラン、2−フルフリル−5−メチルフラン、2−ヘプチルフラン、2−メチルベンゾフラン、2−メチル−5−プロピオニルフラン、2−(5−エテニル−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)−プロパナール、3−{[2−メチル−(2or4),5−ジヒドロ−3−フリル]チオ}−2−メチルテトラヒドロフラン−3−チオール、2−エテニル−5−イソプロペニル−2−メチルテトラヒドロフラン、5−メチル−2−フランメタンチオール、6−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[2,3−c]フラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、3−アセチル−2,5−ジメチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、2−アセチルフラン、2−ブチルフラン、2,5−ジエチルテトラヒドロフラン、ジフルフリルジスルフィド、ジフルフリルエーテル、ジフルフリルスルフィド、及び2,5−ジメチル−3−フランチオールからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記ピラン化合物は、マルトール、エチルマルトール、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、3,5−ジヒドロキシ−6−メチル−2,3−ジヒドロ−4(4H)−ピラノン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロピラン、5−メチル−3−ブチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテート、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロピラン、テアスピラン、ビティスピラン、(2S,4aR,8aS)−2,5,5,8a−テトラメチル−3,4,4a,5,6,8a−ヘキサヒドロ−2H−1−ベンゾピラン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロ−3(4H)−ピラノン、6−ヒドロキシジヒドロテアスピラン、6−アセトキシジヒドロテアスピラン、及び2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロ−2H−ピランからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記シクロペンタノン誘導体は、シクロペンタノン、シクロテン、シクロテンアセテート、シクロテンプロピオネート、シクロテンブチレート、シクロテンイソブチレート、2−ゲラニルシクロペンタノン、2−ヘキシルシクロペンタノン、2−ヘキシリデンシクロペンタノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、2−アミル−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−2−シクロペンテノン、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−2−シクロペンテノン、2−メチル−3−(2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(cis−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(trans−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−シクロペンテノン、2−ヘキシル−2−シクロペンテノン、及び2,3−ジメチル−2−シクロペンテノンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記含酸素環状化合物の含有量は、悪臭を他の不快でない臭いに感じさせる剤を100質量%として10〜25質量%である、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭気変調剤及び臭気変調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常生活での生活環境や、農業、畜産業、水産業、工業等の産業において発生する様々な悪臭が問題となっている。
【0003】
例えば、日常生活において、部屋の臭い、冷蔵庫内の臭い、生ゴミ臭、下駄箱臭、ヒトや動物の体臭、ヒト・動物の糞尿の臭い等、様々な悪臭がある。
【0004】
これらの臭気を改善する手段として、ポリフェノールを、アルカリ性を示す溶媒中、酸素分子共存下、反応時のpH値が6.5以上で反応させて得られる有色の化合物を有効成分として含有することを特徴とする消臭剤組成物が開示されており、当該消臭剤組成物を、日常生活で発生する悪臭の消臭に用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、これらの臭気は消え難く、上述のような臭気を消すことにより消臭を図る消臭剤を用いても、十分に消臭することができないという問題がある。
【0006】
また、畜産業や水産業の分野では、牛舎、豚舎、養鶏場等の各種畜舎の糞尿等に由来する悪臭や、魚市場、水産加工場等の各種水産業施設の生臭い悪臭が問題となっている。
【0007】
例えば、畜産業において、牛舎、豚舎、養鶏場等の各種畜舎からは、飼養している牛、豚、鶏、その他の家畜類の糞尿が排出される。これらの糞尿からは非常に強い悪臭が発生し、近隣住民に対し大きな公害源となっている。また、畜舎内においても悪臭は、作業者はもとより家畜類にも悪影響を与え、畜産農家においても非常に大きな問題となっている。
【0008】
また、水産業において、魚市場、水産加工場等の各種水産業施設では、魚に由来する生臭い悪臭が漂い、容易に消臭することができず、作業者にとって大きな問題となっている。
【0009】
これらの臭気を改善する手段として、リン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸から選ばれる少なくとも一種類の酸を含有する消臭剤が開示されており、当該消臭剤を、牛糞、豚糞、鶏糞等の家畜糞尿から発生する臭気と接触させることによって消臭し、消臭後の反応液を糞尿へ混合することによって処理することを特徴とする家畜糞尿等の消臭方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
しかしながら、畜産業や水産業等のような産業において発生する臭気は、家畜の糞尿等に由来する悪臭や、魚独特の生臭い悪臭等であり、上述のような臭気を消すことにより消臭を図る消臭剤を用いても、十分に消臭することができないという問題がある。
【0011】
従って、日常生活での生活環境や、産業において発生する臭気による問題を解決できる手段の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−167218号公報
【特許文献2】特開2009−268754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気に変調して、悪臭による害を容易に解決することができる臭気変調剤、及び臭気変調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を、異なる臭気に変調して他の不快でない臭いに感じさせる臭気変調剤によれば、これらの悪臭による不快感を十分に低減することができることを見出した。また、本発明者は、臭気変調剤を日常生活での生活空間や、牛舎、豚舎、養鶏場等の各種畜舎、又は、魚市場、水産加工場等の各種水産業施設等の産業施設において空気中に噴霧することで、悪臭を他の臭いに変調することができ、不快感を容易に低減でき、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は、下記の臭気変調剤及び臭気変調方法に関する。
1.フラン化合物、ピラン化合物及びシクロペンタノン誘導体から選択される少なくとも一種の含酸素環状化合物を含有することを特徴とする臭気変調剤。
2.前記含酸素環状化合物の含有量は、臭気変調剤を100質量%として10〜20質量%である、項1に記載の臭気変調剤。
3.前記フラン化合物は、フラネオール、フルフラール、5−メチルフルフラール、フルフリルメルカプタン、フルフリールアルコール、2−プロピオニルフラン、2−エチルフラン、メントフラン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フランチオール、2−メチルフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−ヘキサノイルフラン、2−ペンチルフラン、2−プロピルフラン、2−(3−フェニルプロピル)テトラヒドロフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,4−ジメチル−4−フェニルテトラヒドロフラン、2−フルフリル−5−メチルフラン、2−ヘプチルフラン、2−メチルベンゾフラン、2−メチル−5−プロピオニルフラン、2−(5−エテニル−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)−プロパナール、3−{[2−メチル−(2or4),5−ジヒドロ−3−フリル]チオ}−2−メチルテトラヒドロフラン−3−チオール、2−エテニル−5−イソプロペニル−2−メチルテトラヒドロフラン、5−メチル−2−フランメタンチオール、6−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[2,3−c]フラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、3−アセチル−2,5−ジメチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、2−アセチルフラン、2−ブチルフラン、2,5−ジエチルテトラヒドロフラン、ジフルフリルジスルフィド、ジフルフリルエーテル、ジフルフリルスルフィド、及び2,5−ジメチル−3−フランチオールからなる群より選択される少なくとも一種である、項1又は2に記載の臭気変調剤。
4.前記フラン化合物の含有量は、臭気変調剤を100質量%として0.8〜5質量%である、項1〜3のいずれかに記載の臭気変調剤。
5.前記ピラン化合物は、マルトール、エチルマルトール、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、3,5−ジヒドロキシ−6−メチル−2,3−ジヒドロ−4(4H)−ピラノン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロピラン、5−メチル−3−ブチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテート、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロピラン、テアスピラン、ビティスピラン、(2S,4aR,8aS)−2,5,5,8a−テトラメチル−3,4,4a,5,6,8a−ヘキサヒドロ−2H−1−ベンゾピラン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロ−3(4H)−ピラノン、6−ヒドロキシジヒドロテアスピラン
、6−アセトキシジヒドロテアスピラン、及び2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロ−2H−ピランからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜4のいずれかに記載の臭気変調剤。
6.前記ピラン化合物の含有量は、臭気変調剤を100質量%として5〜20質量%である、項1〜5のいずれかに記載の臭気変調剤。
7.前記シクロペンタノン誘導体は、シクロペンタノン、シクロテン、シクロテンアセテート、シクロテンプロピオネート、シクロテンブチレート、シクロテンイソブチレート、2−ゲラニルシクロペンタノン、2−ヘキシルシクロペンタノン、2−ヘキシリデンシクロペンタノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、2−アミル−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−2−シクロペンテノン、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−2−シクロペンテノン、2−メチル−3−(2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(cis−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(trans−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−シクロペンテノン、2−ヘキシル−2−シクロペンテノン、及び2,3−ジメチル−2−シクロペンテノンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜6のいずれかに記載の臭気変調剤。
8.前記シクロペンタノン誘導体の含有量は、臭気変調剤を100質量%として0.1〜5質量%である、項1〜7のいずれかに記載の臭気変調剤。
9.更に、バニリン系化合物を含有する、項1〜8のいずれかに記載の臭気変調剤。
10.前記バニリン系化合物は、バニリン、エチルバニリン、アセトアルデヒドエチルバニリンアセタール、バニリンアセテート、エチルバニリンイソブチレート、アセトバニロン、エチルバニレート、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、メチルバニレート、バニリックアシド、バニリンイソブチレート、ブチルバニレート、バニリン2,3−ブタンジオールアセタール、及びバニリンラクテートからなる群より選択される少なくとも一種である、項9に記載の臭気変調剤。
11.前記バニリン系化合物の含有量は、臭気変調剤を100質量%として10〜20質量%である、項9又は10に記載の臭気変調剤。
12.更に、ピリジン類を含有する、項1〜11のいずれかに記載の臭気変調剤。
13.前記ピリジン類は、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン、2−アセチル−4−イソプロペニルピリジン、4−アセチル−2−イソプロペニルピリジン、2−アセチル−4−イソプロピルピリジン、3,5−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、及び2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンからなる群より選択される少なくとも一種である、項12に記載の臭気変調剤。
14.更に、ピラジン類を含有する、項1〜13のいずれかに記載の臭気変調剤。
15.前記ピラジン類は、2−メチルチオ−3−メチルピラジン、2−メトキシ−3−メチルピラジン、2−エチル−3(5/6)ジメチルピラジン、2−エチル−3−メチルピラジン、2−メトキシ−5−メチルピラジン、2−アセチル−3,(5/6)−ジメチルピラジン、2−アセチル−3−エチルピラジン、2−アセチル−3−メチルピラジン、アセチルピラジン、2−(フルフリルチオ)−(3/5/6)−メチルピラジン、2−メチル−(5/6)−(メチルチオ)ピラジン、2−エチル−3−(メチルチオ)ピラジン2−イソプロピル−3−(メチルチオ)ピラジン、2−sec−ブチル−3−メトキシピラジン、2−エトキシ−(3/5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−エチル−3−メトキシピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−イソプロポキシ−3−メチルピラジン、2−イソプロピル−(3/5/6)−メトキシピラジン、2−メトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−メトキシ−3,5−ジメチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、メトキシピラジン、2−メチル−6−プロポキシピラジン、2−エトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、及び2−(ヒドロキシメチル)−5−メチルピラジンからなる群より選択される少なくとも一種である、項14に記載の臭気変調剤。
16.畜産用又は水産用である、項1〜15のいずれかに記載の臭気変調剤。
17.フラン化合物、ピラン化合物及びシクロペンタノン誘導体から選択される少なくとも一種の含酸素環状化合物を含有する臭気変調剤を、空気中に噴霧することを特徴とする、臭気変調方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化臭気変調剤は、日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気に変調して他の不快でない臭いに感じさせるように変調することができ、これらの悪臭による不快感を低減することができる。また、本発明の臭気変調方法によれば、上記臭気変調剤を日常生活での生活空間や、牛舎、豚舎、養鶏場等の各種畜舎、又は、魚市場、水産加工場等の各種水産業施設等の産業施設において空気中に噴霧することで、悪臭を他の臭いに変調することができ、これらの悪臭による不快感を容易に低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の臭気変調剤及び臭気変調方法について詳細に説明する。
【0018】
1.臭気変調剤
本発明の臭気変調剤は、フラン化合物、ピラン化合物及びシクロペンタノン誘導体から選択される少なくとも一種の含酸素環状化合物を含有する。
【0019】
(フラン化合物)
フラン化合物は、含酸素環状化合物であり、4個の炭素原子と1個の酸素原子により形成される5員環のフラン骨格を有していれば特に限定されない。フラン化合物としては、例えば、フラネオール、フルフラール、5−メチルフルフラール、フルフリルメルカプタン、フルフリールアルコール、2−プロピオニルフラン、2−エチルフラン、メントフラン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フランチオール、2−メチルフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−ヘキサノイルフラン、2−ペンチルフラン、2−プロピルフラン、2−(3−フェニルプロピル)テトラヒドロフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,4−ジメチル−4−フェニルテトラヒドロフラン、2−フルフリル−5−メチルフラン、2−ヘプチルフラン、2−メチルベンゾフラン、2−メチル−5−プロピオニルフラン、2−(5−エテニル−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)−プロパナール、3−{[2−メチル−(2or4),5−ジヒドロ−3−フリル]チオ}−2−メチルテトラヒドロフラン−3−チオール、2−エテニル−5−イソプロペニル−2−メチルテトラヒドロフラン、5−メチル−2−フランメタンチオール、6−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[2,3−c]フラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、3−アセチル−2,5−ジメチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、2−アセチルフラン、2−ブチルフラン、2,5−ジエチルテトラヒドロフラン、ジフルフリルジスルフィド、ジフルフリルエーテル、ジフルフリルスルフィド、及び2,5−ジメチル−3−フランチオール等が挙げられる。これらの中でも、フラネオール、5−メチルフルフラール、フルフリルメルカプタンが好ましい。
【0020】
フラン化合物の含有量は、臭気変調剤を100質量%として0.5〜10質量%が好ましく、0.8〜5質量%がより好ましく、0.8〜3質量%が更に好ましく、0.8〜1.5質量%が特に好ましく、0.9〜1.2質量%が最も好ましい。フラン化合物の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気に変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0021】
上記フラン化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
(ピラン化合物)
ピラン化合物は、含酸素環状化合物であり、5個の炭素原子と1個の酸素原子により形成される6員環のエーテル化合物を骨格とするピラン骨格を有していれば特に限定されない。ピラン化合物としては、例えば、マルトール、エチルマルトール、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、3,5−ジヒドロキシ−6−メチル−2,3−ジヒドロ−4(4H)−ピラノン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロピラン、5−メチル−3−ブチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテート、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロピラン、テアスピラン、ビティスピラン、(2S,4aR,8aS)−2,5,5,8a−テトラメチル−3,4,4a,5,6,8a−ヘキサヒドロ−2H−1−ベンゾピラン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロ−3(4H)−ピラノン、6−ヒドロキシジヒドロテアスピラン、6−アセトキシジヒドロテアスピラン、及び2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン等が挙げられる。これらの中でも、エチルマルトールが好ましい。
【0023】
ピラン化合物の含有量は、臭気変調剤を100質量%として5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、8〜15質量%更に好ましく、8〜12質量%が特に好ましい。ピラン化合物の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気に変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0024】
上記ピラン化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
(シクロペンタノン誘導体)
シクロペンタノン誘導体は、含酸素環状化合物であり、5個の炭素原子により形成される5員環のシクロペンタン骨格と、酸素原子を有していれば特に限定されない。シクロペンタノン誘導体としては、例えば、シクロペンタノン、シクロテン、シクロテンアセテート、シクロテンプロピオネート、シクロテンブチレート、シクロテンイソブチレート、2−ゲラニルシクロペンタノン、2−ヘキシルシクロペンタノン、2−ヘキシリデンシクロペンタノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、2−アミル−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−2−シクロペンテノン、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−2−シクロペンテノン、2−メチル−3−(2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(cis−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(trans−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−シクロペンテノン、2−ヘキシル−2−シクロペンテノン、2,3−ジメチル−2−シクロペンテノン等が挙げられる。これらの中でも、シクロテンが好ましい。
【0026】
シクロペンタノン誘導体の含有量は、臭気変調剤を100質量%として0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。ピラン化合物の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気に変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0027】
上記シクロペンタノン誘導体は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
上記含酸素環状化合物の臭気変調剤中の含有量、すなわち、フラン化合物、ピラン化合物及びシクロペンタノン誘導体の含有量の合計は、臭気変調剤を100質量%として、5〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。含酸素環状化合物の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気に変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0029】
臭気変調剤中のフラン化合物と、ピラン化合物との含有量の比は、質量比でフラン化合物:ピラン化合物=1:2〜1:5が好ましく、1:3〜1:4がより好ましい。フラン化合物と、ピラン化合物との含有量の比を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気に変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0030】
(バニリン系化合物)
本発明の臭気変調剤は、更にバニリン系化合物を含有することが好ましい。臭気変調剤がバニリン系化合物を含有することにより、より優れた臭気変調効果を示すことができ、日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭による不快感をより効果的に低減することができる。
【0031】
バニリン系化合物は、バニリン骨格を有する化合物であれば特に限定されない。バニリン系化合物としては、例えば、バニリン、エチルバニリン、アセトアルデヒドエチルバニリンアセタール、バニリンアセテート、エチルバニリンイソブチレート、アセトバニロン、エチルバニレート、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、メチルバニレート、バニリックアシド、バニリンイソブチレート、ブチルバニレート、バニリン2,3−ブタンジオールアセタール、バニリンラクテート等が挙げられる。これらの中でも、バニリン、エチルバニリンが好ましい。
【0032】
バニリン系化合物の含有量は、臭気変調剤を100質量%として5〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。バニリン系化合物の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気により変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0033】
上記バニリン系化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0034】
(ピリジン類)
本発明の臭気変調剤は、更にピリジン類を含有することが好ましい。臭気変調剤がピリジン類を含有することにより、より優れた臭気変調効果を示すことができ、日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭による不快感をより効果的に低減することができる。
【0035】
ピリジン類は、含窒素複素環式芳香族化合物であり、5個の炭素原子と1個の窒素原子により形成される6員環構造を有するピリジンを骨格とするピリジン骨格を有していれば特に限定されない。ピリジン類としては、例えば、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン、2−アセチル−4−イソプロペニルピリジン、4−アセチル−2−イソプロペニルピリジン、2−アセチル−4−イソプロピルピリジン、3,5−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン等が挙げられる。これらの中でも、2−アセチルピリジンが好ましい。
【0036】
ピリジン類の含有量は、臭気変調剤を100質量%として、0.05〜0.3質量%が好ましく、0.1〜0.2質量%がより好ましい。ピリジン類の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気により変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0037】
上記ピリジン類は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
(ピラジン類)
本発明の臭気変調剤は、更にピラジン類を含有することが好ましい。臭気変調剤がピラジン類を含有することにより、より優れた臭気変調効果を示すことができ、日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭による不快感をより効果的に低減することができる。
【0039】
ピラジン類は、含窒素複素環式芳香族化合物であり、4個の炭素原子と2個の窒素原子により形成される6員環構造を有する化合物であるピラジンを骨格とするピラジン骨格を有していれば特に限定されない。ピラジン類としては、例えば、2−メチルチオ−3−メチルピラジン、2−メトキシ−3−メチルピラジン、2−エチル−3(5/6)ジメチルピラジン、2−エチル−3−メチルピラジン、2−メトキシ−5−メチルピラジン、2−アセチル−3,(5/6)−ジメチルピラジン、2−アセチル−3−エチルピラジン、2−アセチル−3−メチルピラジン、アセチルピラジン、2−(フルフリルチオ)−(3/5/6)−メチルピラジン、2−メチル−(5/6)−(メチルチオ)ピラジン、2−エチル−3−(メチルチオ)ピラジン2−イソプロピル−3−(メチルチオ)ピラジン、2−sec−ブチル−3−メトキシピラジン、2−エトキシ−(3/5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−エチル−3−メトキシピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−イソプロポキシ−3−メチルピラジン、2−イソプロピル−(3/5/6)−メトキシピラジン、2−メトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−メトキシ−3,5−ジメチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、メトキシピラジン、2−メチル−6−プロポキシピラジン、2−エトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、2−(ヒドロキシメチル)−5−メチルピラジン等が挙げられる。これらの中でも、2−メチルチオ−3−メチルピラジンが好ましい。
【0040】
ピラジン類の含有量は、臭気変調剤を100質量%として0.1〜0.5質量%が好ましく、0.2〜0.5質量%がより好ましく、0.2〜0.4質量%が更に好ましく、0.3〜0.4質量%特に好ましい。ピラジン類の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気により変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0041】
上記ピラジン類は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
(他の添加剤)
本発明の臭気変調剤は、本発明の効果を妨げない限り、他の添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、例えば、上記フラン化合物、ピラン化合物、バニリン系化合物、ピリジン類及びピラジン類以外の有機酸、エステル系化合物、アルデヒド系化合物、ケトン系化合物等が挙げられる。
【0043】
臭気変調剤中の上記他の添加剤の含有量の合計は、臭気変調剤を100質量%として30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が特に好ましい。他の添加剤の含有量の合計を上記範囲とすることにより、臭気変調剤が日常生活での生活環境や、産業において発生する悪臭を異なる臭気により変調し易くなり、これらの臭気による不快感を十分に低減することができる。
【0044】
(溶媒)
本発明の臭気変調剤において、上記各成分は、溶媒中に分散していることが好ましい。溶媒中に分散していることにより、日常生活での生活空間や、牛舎、豚舎、養鶏場等の各種畜舎、又は、魚市場、水産加工場等の各種水産業施設等の産業施設において、空気中に容易に噴霧することができる。
【0045】
溶媒としては水、溶剤を用いることができる。溶剤としては特に限定されず、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、エステル等が挙げられる。中でも、臭気変調剤を空気中に噴霧した際に適度な揮発性を示し、人や家畜に対する有害性が低い点で、アルコールが好ましい。
【0046】
上記アルコールとしては特に限定されず、モノアルコール、又は、ジオール、トリオール等のポリオールが挙げられる。また、上記アルコールとしては、炭素数2〜4のアルコールを好適に用いることができる。上記アルコールの炭素数は、2〜3がより好ましい。
【0047】
上記アルコールとしては、具体的には、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、臭気変調剤を空気中に噴霧した際に適度な揮発性を示し、人や家畜に対する有害性が低い点で、エタノール、プロピレングリコールが好ましい。
【0048】
上記溶媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0049】
溶媒の含有量は、臭気変調剤を100質量%として20〜90質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、40〜80質量%更に好ましく、50〜80質量%特に好ましい。溶媒の含有量を上記範囲とすることにより、臭気変調剤を空気中に噴霧し易くなり、且つ、空気中に噴霧した際に適度な揮発性及び保留性を示すことができる。
【0050】
溶媒として、水と溶剤とを混合して用いる場合は、水と溶剤との含有量の比は、質量比で水:溶剤=2:98〜10:90が好ましく、10:90〜20:80がより好ましい。水と溶剤との含有量の比を上記範囲とすることにより、臭気変調剤を空気中に噴霧した際に適度な揮発性を示し、人や家畜に対する有害性をより低減することができる。
【0051】
本発明の臭気変調剤は、悪臭が漂う場所であれば有用に用いることができるが、特に、畜産用又は水産用の臭気変調剤として用いることが好ましい。本発明の臭気変調剤を畜産用又は水産用に用いることにより、臭気変調剤が畜産業や水産業において発生する家畜の糞尿等に由来する悪臭や、魚独特の生臭い悪臭を、異なる臭気に変調して他の不快でない臭いに感じさせるように変調することができ、これらの悪臭による不快感を低減することができ、本発明の臭気変調剤の効果をより顕著に発揮することができる。
【0052】
2.臭気変調方法
本発明は、また、フラン化合物、ピラン化合物及びシクロペンタノン誘導体から選択される少なくとも一種の含酸素環状化合物を含有する臭気変調剤を、空気中に噴霧することを特徴とする臭気変調方法でもある。
【0053】
本発明の臭気変調方法において噴霧する臭気変調剤は、上述の臭気変調剤を用いることができる。
【0054】
上記噴霧方法としては、空気中に臭気変調剤を噴霧できれば特に限定されず、例えば、スプレー噴霧による方法、マニアスプレッダにより堆肥と同時に噴霧する方法、臭気変調剤を風により飛散させる方法等の噴霧方法が挙げられる。
【0055】
噴霧の際の臭気変調剤の温度は特に限定されず、10〜25℃が好ましく、15〜20℃がより好ましい。上記温度範囲で臭気変調剤を噴霧することにより、臭気変調剤をより広い範囲に効果的に噴霧することができる。
【0056】
上記噴霧がスプレー噴霧である場合、スプレー噴霧の際の圧力は、0.2〜0.6MPaが好ましく、0.3〜0.5MPaがより好ましい。上記範囲の圧力で臭気変調剤を噴霧することにより、臭気変調剤をより広い範囲に効果的に噴霧することができる。
【0057】
臭気変調剤を噴霧する場所としては特に限定されず、日常生活での生活空間や、牛舎、豚舎、養鶏場等の各種畜舎、又は、魚市場、水産加工場等の各種水産業施設等の産業施設において空気中に噴霧することができる。これらの場所において臭気変調剤を空気中に噴霧することで、悪臭を他の臭いに変調することができ、不快感を容易に低減できる。本発明の臭気変調方法においては、臭気変調剤を牛舎、豚舎、養鶏場等の各種畜舎、魚市場、水産加工場等の各種水産業施設に噴霧することが好ましい。これらの場所において臭気変調剤を空気中に噴霧することで、糞等に由来する悪臭や、魚独特の生臭い悪臭を他の臭いに変調することができ、これらの悪臭による不快感を容易に低減することができ、本発明の臭気変調方法の効果をより顕著に発揮することができる。
【実施例】
【0058】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0059】
(臭気変調剤の調製)
表1に示す臭気変調剤の原料を、混合槽に投入して混合、撹拌し、臭気変調剤を調製した。具体的には、加熱装置を備えた混合槽に、表1に示す配合により溶剤を投入し、次いで他の原料を順次添加して、20℃の条件下で30分間撹拌して、臭気変調剤を調製した。
【0060】
(評価)
上記のようにして調製した実施例及び比較例の臭気変調剤を用いて、以下の評価を行った。すなわち、実施例及び比較例の臭気変調剤を質量比でプロピレングリコール(PG):水:臭気変調剤=45:50:5となるように混合して希釈液を調製した。
【0061】
次いで、プラスチック製の内系2cmのキャップ(フタ)内に牛糞0.5gを入れた。菌検査用滅菌シャーレの底面にNo.2の濾紙を置き、濾紙の中央部に上記キャップを置き、キャップの周辺の濾紙に希釈液0.2gを環状に滴下して試料を調製した。また、希釈液を滴下しないブランクも調製した。
【0062】
次いで、試料及びブランクにシャーレで蓋をして、室温下(20℃)で10分間静置した。静置後蓋を開けて、被験者がシャーレの中央の上10cmから臭いを嗅ぎ、ブランクの臭いと対比して、下記評価基準に従って官能評価を行った。被験者8人で上記試験を行い、下記評価基準の配点に、各評価をした人数を乗じて得られた点数により評価した。
【0063】
(1)牛糞の臭いを感じたか
・牛糞の臭いを全く感じなかった(3点)
・牛糞の臭いを感じなかった(2点)
・牛糞の臭いを若干感じた(1点)
・牛糞の臭いを感じた(0点)
【0064】
(2)ブランクから臭いが変わったと感じたか
・ブランクから臭いが変わったと感じた(3点)
・ブランクから臭いが若干変わったと感じた(2点)
・ブランクから臭いがあまり変わっていないと感じた(1点)
・ブランクから臭いが全く変わっていないと感じた(0点)
【0065】
(3)良い臭いだと感じたか
・良い臭いだと感じた(3点)
・若干良い臭いだと感じた(2点)
・あまり良い臭いだと感じなかった(1点)
・全く良い臭いだと感じなかった(0点)
【0066】
豚糞及び鶏糞についても上記と同一の試験を行い、同一の官能評価を行った。
【0067】
結果を表1に示す。
【0068】
【表1】