(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャビティは、前記外側プラットフォームまたは前記内側プラットフォームのうちの少なくとも一方内に定義された距離延在し、前記インサートは、前記キャビティ内に設置されるカバーである、請求項17に記載の構成要素。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、概して、ガスタービンエンジン部品用インサートのための製造工程に関する。インサートは、ブレード及びベーン内のキャビティ内に設置されて、ブレード及びベーンを通る冷却空気流を方向づけて、ブレード及びベーンを冷却する。インサートは、通常、複雑なツーリング製造工程で製作される。ツーリングの開発は、極めて時間集約的である。本願は、付加製造工程を用いてブレード及びベーン用のインサートを製造することを開示する。付加製造工程を用いてインサートを製造することは、初期部品の製造に要する準備時間を、2年から数日に短縮し得る。そのことは、また、異なるインサート設計の試作品製作及び試験がより容易にされ得るため、インサートの設計に際してより大きな融通性を可能にする。
【0012】
図1は、ベーン10の斜視図である。ベーン10は、エアフォイル12、外側プラットフォーム14、内側プラットフォーム16、キャビティ30、キャビティ32、キャビティ34、キャビティ36、レッジ40、及びボス42を含む。外側プラットフォーム14は、ガス流路面20及び非ガス流路面22を含む。内側プラットフォーム16は、ガス流路面24及び非ガス流路面26を含む。
【0013】
ベーン10は、ガスタービンエンジン内のタービン部または圧縮機部内に設置され得る、ガスタービンエンジン部品である。ベーン10を
図1に示すが、ベーン10は、代替的実施形態では、ブレードであり得る。ベーン10は、図示の実施形態では、ガスタービンエンジンのタービン部内に設置されるが、代替的実施形態では、ベーン10は、ガスタービンエンジンの圧縮機部内に設置され得る。ベーン10は、外側プラットフォーム14と内側プラットフォーム16との間を延びるエアフォイル12を含む。エアフォイル12は、ガスタービンエンジンを通る空気流を方向づけるように形作られ、タービン部の流路内に設置される。
【0014】
外側プラットフォーム14は、ガス流路面20及び非ガス流路面22を含む。ガス流路面20は、エアフォイル12が延びる流路に面する。非ガス流路面22は、流路の外に位置する。内側プラットフォーム14は、ガス流路面24及び非ガス流路面26を含む。ガス流路面24は、エアフォイル12が延びる流路に面する。非ガス流路面26は、流路の外に位置する。外側プラットフォーム14及び内側プラットフォーム16は、ガスタービンエンジン内の他のプラットフォームに取り付けられて、間にエアフォイル12が支持される構造体を形成する。外側プラットフォーム14及び内側プラットフォーム16により形成された構造体は、境界を作成して流路を通る空気の流れを維持する。
【0015】
キャビティ30、32、34、及び36は、外側プラットフォーム14及び/または内側プラットフォーム16のいずれかまたは両方に開口部を有する、ベーン10内に位置する。キャビティ30は、外側プラットフォーム14上に開口部及び内側プラットフォーム16上に開口部を有する、エアフォイル12を貫通する。キャビティ32は、外側プラットフォーム14上に開口部及び内側プラットフォーム16上に開口部を有する、エアフォイル12を貫通する。キャビティ34は、外側プラットフォーム14内に定義された距離D1延び、外側プラットフォーム14上に開口部を有する。キャビティ36は、外側プラットフォーム14内に定義された距離D2延びて、外側プラットフォーム14上に開口部を有する。
【0016】
キャビティ30、32、34、及び36は、ベーン10を貫通し、エアフォイル12、外側プラットフォーム14、及び内側プラットフォーム16内に及びそれらを通して冷却空気流を方向づける。冷却空気流は、キャビティ30及び32を通して方向づけられて、エアフォイル12を内部から冷却する。冷却空気流は、キャビティ34及び36内に方向づけられて、外側プラットフォーム14を冷却する。キャビティは、内側プラットフォーム16にも配置されて、内側プラットフォーム16を冷却することもできる。
【0017】
レッジ40は、外側プラットフォーム14の外フレームを画定し、レッジ40の内側にはキャビティ30、32、34が位置する。ボス42が、レッジ40の内側でキャビティ30、32、34、及び36の間を延びる。レッジ40及びボス42は、キャビティ30、32、34、及び36に対して構造体を提供し、キャビティ30、32、34、及び36の形状を画定する上での助けになる。レッジ及びボスは、内側プラットフォーム16にも配置され得る。
【0018】
キャビティ30、32、34、及び36は、エアフォイル12、外側プラットフォーム14、及び内側プラットフォーム16を冷却するように、ベーン10内に位置する。ベーン10は極めて高い温度に曝されるが、この温度は、ベーン10が製作される材料の溶融温度を超え得る。ベーン10が高温から損傷されるのを防止するために、冷却空気流が、キャビティ30、32、34、及び36を通してベーン10内部に導入される。冷却空気流は、ベーン10の表面を通過することにより、ベーン10を冷却する。キャビティ30、32、34、及び36を通過する冷却空気流の冷却効果を最大化するのが望ましい。このことは、
図2に関して参照及び検討するように、複数のバッフル及びカバーをキャビティ30、32、34、及び36内に挿入することにより、達成され得る。
【0019】
図2は、バッフル50、カバー54、及びカバー56を有するベーン10の斜視図である。ベーン10は、エアフォイル12、外側プラットフォーム14、内側プラットフォーム16、キャビティ32、レッジ40、ボス42、バッフル50、カバー54、及びカバー56を含む。外側プラットフォーム14は、ガス流路面20及び非ガス流路面22を含む。内側プラットフォーム16は、ガス流路面24及び非ガス流路面26を含む。
【0020】
ベーン10は、外側プラットフォーム14と内側プラットフォーム16との間に延びるエアフォイル12を含む。外側プラットフォーム14及び内側プラットフォーム16は、他のプラットフォームに取り付けられて、それらの間にエアフォイル12を支持する構造体を形成し得る。外側プラットフォーム14は、ガス流路面20及び非ガス流路面22を有する。内側プラットフォーム16は、ガス流路面24及び非ガス流路面26を有する。ガス流路面20、ガス流路面24、及びエアフォイル12は、全て、ガスタービンエンジン内の流路内に位置する。非ガス流路面22及び非ガス流路面26は、流路の外部に延びる。
【0021】
キャビティ30、32、34、及び36は、
図1に見られるように、ベーン10内に位置する。
図2に見られるように、バッフル50はキャビティ30内に位置し、カバー54はキャビティ34内に位置し、カバー56はキャビティ36内に位置する。バッフル50、カバー54、及びカバー56は、全て、インサートであり、これらは衝突冷却を容易にするようにベーン10内に設置され得る。図示の実施形態では、キャビティ32が開放のままであるが、代替的実施形態では、バッフルをキャビティ32内に設置し得る。バッフル50、カバー54、及びカバー56は、全て、フランジを有し、それらがレッジ40及びボス42上に載っている。レッジ40は、外側プラットフォーム14の外フレームを画定し、レッジ40内側にはキャビティ30、32、34、及び36が位置する。ボス42は、レッジ40の内部のキャビティ30、32、34、及び36の間を延びる。レッジ40及びボス42は、バッフル50、カバー54、及びカバー56を支持し、それらをキャビティ30、34、及び36内にそれぞれ保持する。
【0022】
バッフル50、カバー54、及びカバー56は、図示の実施形態では、ニッケル合金で形成されるが、代替的実施形態では、高温に耐え得る任意の好適な材料を使用し得る。図示の実施形態では、バッフル50、カバー54、及びカバー56は、全て、穴を有し、ベーン10(エアフォイル12、外側プラットフォーム14、及び内側プラットフォーム16を含む)の衝突冷却を容易にする。バッフル50は、冷却空気流が、穴を通りエアフォイル12の内部壁上に流れることを可能にする。カバー54及びカバー56は、冷却空気流が、穴を通り外側プラットフォーム14の表面上に流れることを可能にする。カバーを、内側プラットフォーム16内のキャビティ内に設置して、内側プラットフォーム16の表面を冷却することもできる。穴は、バッフル50の壁ならびにカバー54及びカバー56の基部に位置する。
【0023】
バッフル50、カバー54、及びカバー56は、図示の実施形態では、全て、付加製造工程で構築される。
図4に関して後述するように、付加製造工程は、1回に物体の一層を凝固してそれ自体上に構築することにより、部品を層で構築する。付加製造工程を用いてバッフル50、カバー54、及びカバー56を製造することは、これらの部品を製造するために要する時間を短縮するので、好都合である。通常、バッフル50、カバー54、及びカバー56は、完成に最長で2年かかり得る複雑なツーリング工程で製造される。このことは、部品が試験されるまたは市販される2年前には設計が完了される必要があるので、バッフル50、カバー54、及びカバー56の設計の柔軟性を制限する。このことは、キャビティ30、32、34、及び36の構造体が、ベーン10の試験または販売の2年前には完了されて、バッフル50がキャビティ30内に嵌まり、カバー54がキャビティ34内に嵌まり、カバー56がキャビティ36内に嵌まることを確実なものにする必要があるため、ベーン10の内部構造体の設計についても制限し得る。バッフル50、カバー54、カバー56、及びベーン10の内部の設計の制限は、ベーン10の機能を制限し得る。
【0024】
バッフル50、カバー54、及びカバー56を付加製造工程で製造することは、これらの部品を生産するために要する時間を2年から数日に短縮する。このことは、異なる設計について試作品製作及び機能性の試験を迅速に実施することを可能にするので、バッフル50、カバー54、カバー56、及びベーン10の内部の設計の融通性を大幅に向上する。そのことは、また、ツーリング工程等の、通常の製造工程でこれらの部品を受領するのに通常要する準備時間を、大幅に短縮する。バッフル50、カバー54、及びカバー56の商業的実施形態をツーリング工程で製造する場合であっても、試験部品を付加製造工程で製造することは、それらの部品を製造するのに必要な工程を設定及び設計するための時間を加工製造業者に付与するため、好都合である。
【0025】
付加製造工程を用いてバッフル50、カバー54、及びカバー56を製造することは、予め選択された領域に局部的蓄積部を製造可能にすることにより、より効果的な冷却をも可能にし得る。バッフル50、カバー54、及びカバー56をツーリング工程で製造するとき、それらは、シートメタルから製造される。バッフル50、カバー54、及びカバー56に位置する穴は、通常、工程の終了近くにシートメタルに加工される。付加製造工程を用いてバッフル50、カバー54、及びカバー56を製造するとき、部品は付加的に製造されているので、穴をバッフル50、カバー54、及びカバー56に形成し得る。このことにより、穴に隣接する領域に局部的蓄積部を有するバッフル50、カバー54、及びカバー56の設計が可能になる。局部的蓄積部は、例えば、穴に隣接して穴を囲む領域内のバッフル50、カバー54、及びカバー56の壁に、増大厚を含ませ得る。これらの穴に隣接して穴を囲む領域内での厚みの増大は、エアフォイル12の衝突冷却をより精密に制御し得るため、好都合である。これらの穴も、バッフル50、カバー54、及びカバー56の壁及び基部内に、部品を付加的に製造した後、加工され得る。この場合、バッフル50、カバー54、及びカバー56の壁及び基部を、穴を加工する領域内で厚肉に製造し得る。バッフル50、カバー54、及びカバー56をツーリング工程で製造するとき、穴に隣接して穴を囲む領域内での厚さの増大は、部品が平坦なシートメタルから製造されるので、たとえ全く可能であっても、複雑な工程を要する。
【0026】
さらに、付加製造工程を用いてバッフル50、カバー54、及びカバー56を製造するとき、局部的な突出部及びディボットを、バッフル50、カバー54、及びカバー56の設計に組み込み得る。局部的な突出部及びディボットは、冷却空気流をバッフル50、カバー54、及びカバー56を横切って通過するように方向づけることにより、バッフル50、カバー54、及びカバー56の冷却効果を増大させ得る。付加製造工程を用いてバッフル50、カバー54、及びカバー56を製造することは、局部的な突出部及びディボットをバッフル50、カバー54、及びカバー56内に加工する必要がもはやないため、局部的な突出部及びディボットの設計に際してより大きい設計融通性を可能にする。
【0027】
付加製造工程を用いてバッフル50、カバー54、及びカバー56を製造することの別の利点は、バッフル50、カバー54、及びカバー56用の金型を製造するために同一の工程を使用し得ることである。金型は、通常、平坦なシートメタルの片から本体を切り離した後に、バッフル50、カバー54、及びカバー56の本体を形作るためのツーリング工程中に、使用される。加えて、金型は、バッフル50、カバー54、及びカバー56に、スタンドオフ及びディボット等の、詳細な特徴を与えるために使用され得る。付加製造工程を用いてツーリング工程中に使用するための金型を作成することは、ユーザがバッフル50、カバー54、及びカバー56を製造するために使用し得る金型を迅速に製造することを可能にするので、好都合である。このことは、バッフル50、カバー54、及びカバー56の機能性について試作品製作及び試験をするのに必要な時間を著しく短縮でき、バッフル50、カバー54、及びカバー56の設計に際してより大きな融通性を可能にする。さらに、付加製造工程を用いて金型を製造することは、金型それら自体の設計に際してより大きな融通性を可能にするので、好都合である。バッフル50、カバー54、及びカバー56を付加製造工程で製造する場合であっても、金型成形工程で部品に変更を加えて、異なる設計について試験をし得る。付加製造工程を用いて金型を製造することは、試験手順中にバッフル50、カバー54、及びカバー56の設計を調節するのに要する時間を大幅に短縮する。
【0028】
図3は、
図2の線3−3に沿って取ったベーン10の側断面図である。ベーン10は、エアフォイル12、外側プラットフォーム14、内側プラットフォーム16、キャビティ30、キャビティ34、キャビティ38、バッフル50A及び50B、カバー54、カバー58、レッジ40、ならびにボス42を含む。バッフル50Aは、基部60A、壁62A、及びフランジ64Aを含む。バッフル50Bは、基部60B、壁62B、及びフランジ64Bを含む。カバー54は、基部70、壁72、及びフランジ74を含む。カバー58は、基部80、壁82、及びフランジ84を含む。
図3中には、隙間66A、66B、76、及び86も示されている。
【0029】
ベーン10は、外側プラットフォーム14と内側プラットフォーム16との間に延びるエアフォイル12を含む。外側プラットフォーム14及び内側プラットフォーム16は、他のプラットフォームに取り付けられて、それらの間にエアフォイル12を支持する構造体を形成し得る。レッジ40は、外側プラットフォーム14及び内側プラットフォーム16の周辺部の周りに延在する。ボス42は、外側プラットフォーム14及び内側プラットフォーム16の内側部分に位置する。ボス42は、外側プラットフォーム14のキャビティ30とキャビティ34との間、及び内側プラットフォーム16のキャビティ30とキャビティ38との間に延びる。キャビティ30は、外側プラットフォーム14上に第1の開口部及び内側プラットフォーム16上に第2の開口部を有するエアフォイル12を貫通する。キャビティ34は、外側プラットフォーム14内に定義された距離延在し、外側プラットフォーム14上に開口部を有する。キャビティ38は、内側プラットフォーム16内に定義された距離延在し、内側プラットフォーム16上に開口部を有する。
【0030】
バッフル50A及び50Bは、キャビティ30内に位置する。図示の実施形態では、バッフル50A及び50Bは、2つの別個のピースである。代替的実施形態では、バッフル50A及び50Bは、キャビティ30を最後まで貫通するワンピースであり得る。カバー54はキャビティ34内に位置し、カバー58はキャビティ38内に位置する。バッフル50A及び50Bはキャビティ30内に設置されて、エアフォイル12を通る衝突冷却を容易にし、カバー54はキャビティ34内に設置されて、外側プラットフォーム14の衝突冷却を容易にし、カバー58はキャビティ38内に設置されて、内側プラットフォーム16の衝突冷却を容易にする。
【0031】
バッフル50Aは、基部60A、壁62A、及びフランジ64Aを含む。基部60Aは、図示の実施形態では、実質的に平坦な部分であり、バッフル50Aが延在し得る基部を提供する。壁62Aは、基部60Aから上方に延在し、キャビティ30の形状にならうように形作られる。壁62Aは、基部60Aを囲み、連続構造体を形成する。フランジ64Aは、バッフル50Aの上端部で、壁62Aから外方に延在する。バッフル50Aは、フランジ64Aがレッジ40及びボス42上に載るまで、キャビティ30内に挿入され得る。穴は、バッフル50Aの壁62Aに位置する(
図2を参照)。隙間66Aが、壁62Aとキャビティ30との間に存在する。隙間66Aは、冷却空気が、壁62の穴を通って流れてキャビティ30及びエアフォイル12の内部壁を冷却することを可能にする。
【0032】
バッフル50Bは、基部60B、壁62B、及びフランジ64Bを含む。基部60Bは、図示の実施形態では、実質的に平坦な部分であり、バッフル50Bが延在し得る基部を提供する。壁62Bは、基部60Bから上方に延在し、キャビティ30の形状をならうように形作られる。壁62Bは、基部60Bを囲み、連続構造体を形成する。フランジ64Bは、バッフル50Bの上端部で、壁62Bから外方に延在する。バッフル50Bは、フランジ64Bがレッジ40及びボス42の上に載るまで、キャビティ30内に挿入され得る。穴は、バッフル50Bの壁62Bに位置する(
図2を参照)。隙間66Bが、壁62Bとキャビティ30との間に存在する。隙間66Bは、冷却空気が、壁62Bの穴を通って流れて、キャビティ30及びエアフォイル12の内部壁を冷却することを可能にする。
【0033】
カバー54は、基部70、壁72、及びフランジ74を含む。基部70は、図示の実施形態では、実質的に平坦な部分であり、カバー54が延在し得る基部を提供する。壁72は、基部70から上方に延在し、キャビティ34の形状にならうように形作られる。壁72は、基部70を囲み、連続構造体を形成する。フランジ74は、カバー54の上端部で、壁72から外方に延在する。カバー54は、フランジ74がレッジ40及びボス42の上に載るまで、キャビティ34内に挿入され得る。穴は、カバー54の基部70に位置する(
図2を参照)。隙間76が、基部70とキャビティ34との間及び壁72とキャビティ34との間に存在する。隙間76は、冷却空気が、基部70の穴を通って流れて、外側プラットフォーム14を冷却することを可能にする。
【0034】
カバー58は、基部80、壁82、及びフランジ84を含む。基部80は、図示の実施形態では、実質的に平坦な部分であり、カバー58が延在し得る基部を提供する。壁82は、基部80から上方に延在し、キャビティ38の形状にならうように形作られる。壁82は、基部80を囲み、連続構造体を形成する。フランジ84は、カバー58の上端部で、壁82から外方に延在する。カバー58は、フランジ84がレッジ40及びボス42の上に載るまで、キャビティ38内に挿入され得る。穴は、カバー58の基部80に位置する(図示せず)。隙間86が、基部80とキャビティ38との間及び壁82とキャビティ38との間に存在する。隙間86は、冷却空気が、基部80の穴を通って流れて、内側プラットフォーム16を冷却することを可能にする。
【0035】
バッフル50A及び50B、カバー54、及びカバー58は、図示の実施形態では付加的に製造されている。バッフル50A及び50B、カバー54、ならびにカバー58を付加製造工程で製造することは、部品を製造するために要する時間を通常の2年から数日に短縮するので、好都合である。この部品を製造するのに要する時間の短縮は、ベーン及びガスタービンエンジンシステムの試作品の製作に使用され得る試験部品の迅速な生産を可能にする。このことは、バッフル50A及び50B、カバー54、ならびにカバー58の設計に際してより大きな融通性を可能にし、究極的にはこれらの部品の有効性を増大し、ベーン10の冷却を増大する。
【0036】
図4は、付加製造システム200の断面斜視図である。具体的には、
図4は、直接金属レーザ焼結装置を示す。付加製造システム200は、バッフル50A及び50B、カバー54、カバー56、ならびにカバー58を構築し得る種々の付加製造デバイスのうちの1つである。付加製造システム200は、付加製造システム200により作成される完成部品が一体構造となるように、一層一層部品を構築する。付加製造システム200は、種々の部品を単一の固体ピースとして構築するように使用され得るが、そのことは、従来の製造工程では複数部品の構築を要するであろう、またはそのことは、接合部の溶接または他の従来の製造工程による、不連続部または鋭角を有し得る。
【0037】
付加製造システム200は、光学系202を含む。光学系202は、放射線ビーム204、放射線源206、ミラー208、及び可動光ヘッド210を含み得る。放射線ビーム204は、レーザビームである。放射線ビーム204は、放射線源206から発せられ、ミラー208に向かって進む。ミラー208は、放射線ビーム204を光ヘッド210の方向に反射する。光ヘッド210は、放射線ビーム204を、所望の標的の方向に反射する。
【0038】
付加製造システム200は、フレーム212も含む。フレーム212は、付加製造システム200を構成する他の部品のための物理的支持を提供する。フレーム212は、例えば、付加製造システム200の他の部品を収納するように内部空隙を画定する固体金属構造物であり得る。
【0039】
付加製造システム200は、材料供給システム214をさらに含む。材料供給システム214は、付加製造で使用される材料を送達するためのシステムである。
図4に示すように、材料供給システム214は、焼結性材料216及び供給プラットフォーム218を含む。焼結性材料216は、例えば、固体部品を形成するために少なくとも部分的に焼結性の粉末金属であればよい。供給プラットフォーム218は、焼結性材料216の供給を容易にするために、フレーム212に対して昇降され得るプラットフォームである。
【0040】
付加製造システム200は、スプレッダ220も含み得る。スプレッダ220は、供給システム214から付加製造のための所望の場所に焼結性材料216を運ぶように使用される。スプレッダ220は、焼結性材料216を、所望の場所にわたって圧延することにより、焼結性材料216を所望の場所に運び得る。
【0041】
付加製造システム200は、構築ステーション222も含む。構築ステーション222は、作業層224及び構築プラットフォーム226を含む。作業層224は、放射線ビーム204により焼結されるように位置付けられた焼結性材料の表面層からなる。構築プラットフォーム226は、付加製造システム200による部品の層毎の構築を容易にするために、フレーム212に対して移動可能なプラットフォームである。
【0042】
物体228は、
図4では付加製造システム200により作製中の部分的に構築されたバッフルである。物体228は、付加製造システム200により単一部品として構築される。代替的実施形態では、物体228は、任意のエアフォイルインサートであり得、カバーまたはエアフォイルインサート形成用金型が含まれる。
【0043】
放射線ビーム204は、光学系202により作業層224に方向づけられる。放射線源206は、放射線ビームを生成し、これがミラー208及び可動光ヘッド210により偏向されて、作業層224の部分を選択的に加熱する。ミラー208及び可動光ヘッド210を動かすことにより、所望のパターンの焼結材料が、作業層224内に生成され得る。通常、3次元部品のスライスまたは層が作業層224内に作製される。
【0044】
層が完成すると、材料供給システム214は、追加の焼結性材料216を構築ステーション222に提供する。具体的には、焼結性材料216は、供給プラットフォーム218が上昇されたとき、フレーム212の表面より上方に位置付けられる。スプレッダ220は、焼結性材料216を、フレーム212を横切って構築ステーション222に向かって運ぶ。一方、構築ステーション222は、供給プラットフォーム218が上昇された量に比例する距離だけ構築プラットフォーム226を降下させることにより、焼結性材料216を受容する準備をする。焼結性材料216は、構築プラットフォーム226が降下されたときに残された隙間に移り、その結果、未焼結の焼結性材料216の新たな作業層224となる。
【0045】
この工程を複数回繰り返すことにより、一体構造の物体228が一層一層形成され得る。この工程は、バッフル50A及び50B、カバー54、カバー56、ならびにカバー58を製造するための、一つの可能性のある付加製造方法に過ぎない。他の実施形態では、粉末または液体の焼結性材料216が存在し得る。付加製造装置200は、当該技術分野で既知の付加製造の他の形態の中でもとりわけ、ステレオリソグラフィ、電子ビーム溶融、またはレーザ粉末堆積を採用し得る。
【0046】
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。
【0047】
方法は、(a)厚さを有する粉末材料の層を、作業台上に堆積させることと、(b)層の一部分を、ガスタービンエンジン部品内のキャビティ内に嵌まるように形作られた本体を有するインサートを定義するデータに基づいて、凝固することと、(c)作業台を、厚さだけ降下させることと、を含む。その後、ステップ(a)〜(c)は、インサートが完成するまで繰り返され得る。その後、インサートは、作業台から取り外され得る。
【0048】
前節の方法は、さらに、かつ/またはあるいは、以下の特徴、構成、及び/または追加の部品のうちのいずれか1つ以上を任意に含み得る。
【0049】
粉末材料の層の部分を凝固する間に、穴がインサートの本体内に作成され得る。
【0050】
厚肉壁部がインサートの本体内の穴を囲み得る。
【0051】
インサートが作業台から取り外された後に、穴がインサートの本体に加工され得る。
【0052】
厚肉壁部がインサートの本体内の穴を囲み得る。
【0053】
粉末材料の層の部分を凝固する間に、局部的突出部がインサートの本体内に作成され得る。
【0054】
粉末材料の層の部分を凝固する間に、局部的ディボットがインサートの本体内に作成され得る。
【0055】
粉末材料は、レーザを用いて凝固され得る。
【0056】
粉末材料は、ニッケル合金であり得る。
【0057】
粉末材料は、作業台上に圧延することにより、作業台上に堆積され得る。
【0058】
方法は、(a)厚さを有する粉末材料の層を、作業台上に堆積させることと、(b)層の一部分を、ツーリング工程中に使用され得る金型を定義するデータに基づいて、凝固することと、(c)作業台を、厚さだけ降下させることと、を含む。その後、ステップ(a)〜(c)は、金型が完成するまで繰り返され得る。その後、金型は、作業台から取り外され得る。
【0059】
前節の方法は、さらに、かつ/またはあるいは、以下の特徴、構成、及び/または追加の部品のうちのいずれか1つ以上を任意に含み得る。
【0060】
金型は、ガスタービンエンジン部品内のキャビティ内に嵌まるように形作られたインサートを製造するために使用され得る。
【0061】
粉末材料は、レーザを用いて凝固され得る。
【0062】
粉末材料は、ニッケル合金であり得る。
【0063】
粉末材料は、作業台上に圧延することにより、作業台上に堆積され得る。
【0064】
インサートは、付加製造工程により形成され、かつガスタービンエンジン部品内のキャビティ内に嵌まるように形作られた本体と、インサートの本体に設けられた穴と、部品の冷却を促進するように穴に隣接して設けられた局部的蓄積部と、を含む。本体は、実質的に平坦な基部と、基部から上方に延在する壁と、ガスタービンエンジン部品への取付けのためのフランジであって、壁から外方に延在する、フランジと、を含む。
【0065】
前節のインサートは、さらに、かつ/またはあるいは、以下の特徴、構成、及び/または追加の部品のうちのいずれか1つ以上を任意に含み得る。
【0067】
インサートは、壁内に複数の穴を含み得る。
【0070】
インサートは、基部に複数の穴を含み得る。
【0071】
インサートは、複数の穴を囲む厚肉壁部を含み得る。
【0072】
インサートは、インサートの本体に局部的突出部を含み得る。
【0073】
インサートは、インサートの本体に局部的ディボットを含み得る。
【0074】
インサートを有するガスタービンエンジン部品は、外側プラットフォームと内側プラットフォームとの間に延びるエアフォイルを有する本体と、外側プラットフォームまたは内側プラットフォームのうちの少なくとも一方上に開口部を有するキャビティと、付加製造工程により形成されたインサートであって、キャビティ内に設置され、部品の冷却を促進ために予め選択された領域に局部的蓄積部を備えるインサートと、を含む。
【0075】
前節の部品は、さらに、かつ/またはあるいは、以下の特徴、構成、及び/または追加の部品のうちのいずれか1つ以上を任意に含み得る。
【0076】
キャビティは、エアフォイルを貫通し得、インサートは、キャビティ内に設置されるバッフルであり得る。
【0077】
キャビティは、外側プラットフォームまたは内側プラットフォームのうちの少なくとも一方内に定義された距離延在し得、インサートは、キャビティ内に設置されるカバーであり得る。
【0078】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び適用範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることを認識する。