特許第6404346号(P6404346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404346
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】転造工具
(51)【国際特許分類】
   B24B 39/04 20060101AFI20181001BHJP
   B21H 7/18 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B24B39/04 A
   B21H7/18
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-528356(P2016-528356)
(86)(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公表番号】特表2016-531007(P2016-531007A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】DE2014000392
(87)【国際公開番号】WO2015014337
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】202013006779.9
(32)【優先日】2013年7月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505006839
【氏名又は名称】ヘゲンシャイト−エムエフデー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ハイマン・アルフレート
(72)【発明者】
【氏名】マルダーナー・ヤンドライ
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−019531(JP,A)
【文献】 米国特許第04299017(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第2609787(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0173055(US,A1)
【文献】 特開2004−243479(JP,A)
【文献】 特表2011−521789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 39/00 − 39/04
B21H 7/18
B21H 8/00
B24B 5/42
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バニシングヘッド(4)及び支持ローラヘッド(5)を有し、バニシングヘッド(4)が、バニシングローラ(7)と、バニシングヘッドハウジング(6)内に支承され且つバニシングローラ(7)を支持する加圧ローラ(8)とを備え、支持ローラヘッド(5)が、支持ローラハウジング(9)内に支承された2つの支持ローラ(10;11)を備え、これら支持ローラによって、クランクシャフト(3)が、バニシングローラ(7)を介してクランクシャフト(3)に作用する転造力に抗して支持可能である、クランクシャフト軸(K)を中心として回転可能なクランクシャフト(3)の軸受面(2)のローラバニシング加工をするための転造工具(1)において、
バニシングローラ(7)が、ローラケージ(12)内に、クランクシャフト軸(K)に対して平行に延在する筋状の開口(7)の両端壁及び両側壁によって案内されていること、及び、
バニシングヘッド(4)が、バニシングヘッドフレーム(13)を備え、このバニシングヘッドフレーム内に、バニシングヘッドハウジング(6)が、クランクシャフト軸(K)に対して垂直でバニシングローラ(7)の作業側に対する接線に対して平行な第1の旋回軸(A)を中心として旋回可能に支承されていること、及び、支持ローラヘッド(5)が、支持ローラフレーム(14)を備え、この支持ローラフレーム内に、支持ローラハウジング(9)が、クランクシャフト軸(K)に対して垂直で第1の旋回軸(A)に対して平行な第2の旋回軸(B)を中心として及びクランクシャフト軸(K)に対して垂直で第1の旋回軸(A)に対して垂直な第3の旋回軸(C)を中心として旋回可能に支承されていること、
を特徴とする転造工具(1)。
【請求項2】
第1の旋回軸(A)が、バニシングローラ(7)の作業側に対する接線として形成され、この接線が、軸方向でバニシングローラ(7)の中心に接していること、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項3】
第1の旋回軸(A)が、クランクシャフト(3)を経て延在する割線として形成され、この割線の、バニシングローラ(7)の作業側に対する接線からの間隔が、10mmよりも小さいこと、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項4】
第2の旋回軸(B)が、クランクシャフト(3)を経て延在する割線として形成され、この割線が、支持ローラ(10;11)上のクランクシャフト(3)の支持点を経て又はこれら支持点の近傍に延在すること、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項5】
筋状の開口(17)の、ローラケージ(12)のバニシングヘッド(4)とは反対の側の幅が、バニシングローラ(7)の直径よりも小さいこと、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項6】
バニシングヘッド(4)と支持ローラヘッド(5)が、少なくとも1つの連結要素によって機械的に互いに結合可能であること、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項7】
連結要素が、支持ローラヘッド(5)に固定されたボルト(15)であり、このボルトが、バニシングヘッド(4)内の調心孔(16)に係合するために形成されていること、を特徴とする請求項6に記載の転造工具(1)。
【請求項8】
バニシングローラ(7)が、1mm〜20mmの直径を有するシリンダ状の形態と、軸受面(2)の幅よりも大きい長さを備えること、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項9】
加圧ローラ(8)と支持ローラ(10;11)が、加工すべき軸受面(2)の形状に応じて、シリンダ状、凹状又は球状の周面を備えること、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項10】
ローラケージ(12)が、ブロンズ又は焼入れしてない鋼又は焼入れした鋼から成ること、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【請求項11】
バニシングローラ(7)が、焼入れした鋼又は超鋼合金から成ること、を特徴とする請求項1に記載の転造工具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バニシングヘッド及び支持ローラヘッドを有し、バニシングヘッドが、バニシングローラと、バニシングヘッドハウジング内に支承され且つバニシングローラを支持する加圧ローラとを備え、支持ローラヘッドが、支持ローラハウジング内に支承された2つの支持ローラを備え、これら支持ローラによって、クランクシャフトが、バニシングローラを介してクランクシャフトに作用する転造力に抗して支持可能である、クランクシャフト軸を中心として回転可能なクランクシャフトの軸受面のローラバニシング加工をするための転造工具に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、例えば乗用車用エンジンの開発は、エンジンをより小さくし、軸受をより小さくし、そしてクランクシャフトの負荷をより高めることになった。高負荷を受ける軸受は、部分的に、エンジンオイルから形成された潤滑層がクランクシャフト軸受面及び相手摺動面を完全に互いに分離することのない混合摩擦状態で作動する。燃料消費量を低減するために導入されたスタート−ストップ−システムは、軸受に対する更なる負荷を意味する。軸受面の高い形状精度及び低い表面粗さにより、軸受に対する現状の高い要求を満足することができる。
【0003】
クランクシャフトの軸受座の最終加工において、従来技術では、大抵はベルト仕上げが使用されるが、このベルト仕上げでは、その表面に研磨剤を備え、軸受面の材料を除去し、その際に軸受面の表面品質を改善する、オイル内で運動させられる研磨ベルトが使用される。この方法において問題となるのは、汚れたオイルの処理と、研磨ベルトの摩耗である。
【0004】
独国特許第10 2006 024 715号明細書から、軸受面の最終加工のために転造方法が使用される、クランクシャフトの主軸受及びピン軸受を加工するための方法が公知である。この方法のために、転造工具として、バニシングヘッド及び支持ローラヘッドが使用され、バニシングヘッドが、バニシングローラと、バニシングヘッドハウジング内に支承され且つバニシングローラを支持する加圧ローラとを備え、支持ローラヘッドが、支持ローラハウジング内に支承された2つの支持ローラを備え、これら支持ローラによって、クランクシャフトが、ローラバニシング加工時に、バニシングローラを介してクランクシャフトに作用する転造力に抗して支持される。
【0005】
この転造方法は、汚れたオイルが生じないので、オイル下のベルト仕上げと比べ、環境を損なわない方法である。加えて、この方法は、転造工具の高寿命によって安価である。しかしながら、ローラバニシング加工の実際の使用にあっては、バニシングローラ及び/又はクランクシャフトのガイドの損傷を生じさせることがある、散発的に生じるバニシングローラの軸方向の螺旋状運動が認められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第10 2006 024 715号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、クランクシャフト軸受のローラバニシング加工のために適用する時に、このようなバニシングローラ又はクランクシャフトのガイドの損傷が十分に排除されている又は少なくとも従来の転造工具の使用時よりも稀にしか生じない、転造工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、バニシングローラが、ローラケージ内に全面的に案内されていること、及び、バニシングヘッドが、バニシングヘッドフレームを備え、このバニシングヘッドフレーム内に、バニシングヘッドハウジングが、クランクシャフト軸に対して垂直でバニシングローラの作業側に対する接線に対して平行な第1の旋回軸を中心として旋回可能に支承されていること、及び/又は、支持ローラヘッドが、支持ローラフレームを備え、この支持ローラフレーム内に、支持ローラハウジングが、クランクシャフト軸に対して垂直で第1の旋回軸に対して平行な第2の旋回軸を中心として及びクランクシャフト軸に対して垂直で第1の旋回軸に対して垂直な第3の旋回軸を中心として旋回可能に支承されていること、を特徴とする冒頭で定義した種類の転造工具によって解決される。
【0009】
転造によって加工すべきクランクシャフトの軸受面に対する転造工具の具体的な整向時に、クランクシャフト軸と、転造工具のローラ、即ちバニシングローラ、加圧ローラ及び両支持ローラ、の回転軸とは、互いに平行に整向され、ローラには、許容不能に大きい軸方向の力が生じない。加工すべき軸受面は、主軸受及びピン軸受もしくは連接棒軸受の軸受座である。しかしながらまた、他の領域、例えば、クランクシャフトの終端のジャーナル軸受座又は他のシャフトの軸受面を、ローラバニシング加工することもできる。クランクシャフトの軸受面は、少なくともほぼシリンダ状の形態を有する。しかしながらまた、真直ぐなシリンダ外周面とは違い、若干凸の(球状の)又は若干凹の面が設けられていてもよい。主軸受は、クランクシャフト軸上に同列に存在する。連接棒軸受の軸は、クランクシャフト軸に対して平行に整向され、クランクウェブによってクランクシャフト軸から半径方向に間隔を置かれている。
【0010】
本発明により形成された転造工具において、バニシングローラは、一部材に形成されたローラケージ内に案内されている。このローラケージ内に、バニシングローラの軸方向端面用の両摺動面と、バニシングローラの外周面の向かい合う領域用の両摺動面は、互いに正確な固定の整向を有する。従って、多部材のガイドの場合で可能な調整許容差が生じない。従って、ローラケージは、バニシングヘッド内での正確且つ簡単な支承部によるバニシングローラの本発明による整向のために寄与する。
【0011】
更に、バニシングヘッド及び/又は支持ローラヘッドは、旋回軸を備える。即ち、両ヘッドの少なくとも一方のローラハウジングは、旋回可能に支承されている。しかしながらまた、クランクシャフトに対するヘッドの整向の違いを修正するために、両ヘッドのローラハウジングを旋回可能にすることもできる。
【0012】
旋回軸を備えたバニシングヘッドは、バニシングヘッドフレームを備え、このバニシングヘッドフレーム内に、バニシングヘッドハウジングが、クランクシャフト軸に対して垂直でバニシングローラの作業側に対する接線に対して平行な第1の旋回軸を中心として旋回可能に支承されている。転造工具の使用時に軸受面が接触する線を、バニシングローラの作業側と理解することができる。例えばクランクシャフト軸が水平に整向され、バニシングローラがクランクシャフト軸に対して平行で垂直方向にクランクシャフトの上に配置されている場合、第1の旋回軸は、1つの水平な旋回軸−この旋回軸を中心として、バニシングローラが旋回可能で、クランクシャフト軸に対して平行に整向可能である−である。第1の旋回軸を中心とする整向は、転造の前に固定されるか、転造の間に自動的に調整されるかのいずれかである。
【0013】
バニシングヘッドフレームは、有利な形成では、従来技術により公知のバニシングヘッドハウジングの代わりに、転造工具の工具アームに取り付けることができる。
【0014】
前記のバニシングヘッドと同様に、支持ローラヘッドも旋回可能に形成することができるので、支持ローラの回転軸は、加工すべきクランクシャフト部分の軸に対して平行に整向することができる。最適に整向された支持ローラは、クランクシャフトを最適に支持することができ、加工されるクランクシャフトが許容不能に変形させられることはない。支持ローラヘッドの支持ローラヘッドハウジング内に、互いに間隔を置かれた平行な回転軸を有する2つの支持ローラが支承されている。支持ローラヘッドハウジングは、更にまた、支持ローラフレーム内に、第2の旋回軸を中心として及び第3の旋回軸を中心として旋回可能に支承されている。第2の旋回軸は、クランクシャフト軸に対して垂直でバニシングローラの作業側に対する接線に対して平行に整向されている。第2の旋回軸を中心とする旋回により、クランクシャフト軸に対する両支持ローラの傾斜が排除又は最小化される。第3の旋回軸を中心とする旋回により、支持ローラの平行な回転軸が存在する平面は、平行な回転軸がクランクシャフト軸に対して平行に延在するように回転される。即ち、第3の旋回軸を中心とする旋回により、クランクシャフトに対する支持ローラの傾倒が排除又は最小化される。
【0015】
別の形成によれば、第1の旋回軸は、バニシングローラの作業側に対する接線として形成され、この接線が、軸方向でバニシングローラの中心に接している。この配置の場合、旋回軸は、構造的に、軸受面−この軸受面に対して、バニシングローラが整向されるべきである−に接するように位置させられている。これから、軸受面とバニシングヘッドの間に直接的な機械的連結が生じる。第1の旋回軸のこの配置の場合、バニシングヘッド及びバニシングローラを最適にクランクシャフト軸に対して平行に整向するために、軸受面及びクランクシャフト軸に対するバニシングローラの傾斜から生じるトルクが利用される、バニシングヘッドの自動調整が可能である。
【0016】
これに対して選択的に、第1の旋回軸“A”は、クランクシャフトを経て延在する割線として形成され、この割線の、バニシングローラの作業側に対する接線からの間隔が、10mmよりも小さい。この形成では、バニシングヘッドは、前記の形成においてよりも大きく、加工すべき軸受面を超えて突出する。この突出は、レバー作用、及び、旋回運動を惹起する拡大されたトルクと結びついている。転造工具内で使用可能な場所が限定されているために、最大の突出は、約10mmに制限されている。
【0017】
別の形成によれば、第2の旋回軸“B”は、クランクシャフトを経て延在する割線として形成され、この割線が、支持ローラ上のクランクシャフトの支持点を経て又はこれら支持点の近傍に延在する。この場合、“近傍”とは、僅かな、最大でも約10mmの偏差であると理解する。支持ローラヘッドは、機能に起因してクランクシャフトを支持の場所において部分的に包囲する。広い包囲は、レバー作用によって、支持ローラヘッドの確実な旋回を生じさせる。従って、広い包囲もしくは突出の達成は、努力に値する。突出の長さ量に対する物質的な制限部を、支持ローラヘッドに向かい合うバニシングヘッドが構成する。
【0018】
別のバリエーションでは、ローラケージが、筋状の開口を備え、この開口の、ローラケージのバニシングヘッドとは反対の側の幅が、バニシングローラの直径よりも小さい。この場合、バニシングローラは、バニシングヘッド内のローラケージによって包囲されている。これにより、バニシングヘッドの空間的位置に依存してバニシングローラの意図しない脱落が防止される。バニシングローラを交換するためには、ローラケージを取り外し、新しいバニシングローラを新たに取り付け、調整する必要がある。バニシングヘッドの取付け位置が適切である場合、その筋状の開口内にローラケージを取り外すことなくバニシングローラを挿入することができるローラケージを使用することもできる。例えば、ローラケージは、クランクシャフトの隣に設けられたその下の側だけに、バニシングローラヘッドからのバニシングローラの脱落を防止する突起を備える。
【0019】
バニシングヘッドと支持ローラヘッドは、有利な形成では、少なくとも1つの連結要素によって互いに結合可能である。これにより結合される構成要素は、互いに不動の空間的関係を有する1つの機械的ユニットを構成する。これにより、バニシングヘッドと支持ローラヘッドの間の相対的な位置許容差はわずかである。連結要素は、例えば、支持ローラヘッドに固定されたボルトであり、このボルトは、バニシングヘッド内の調心孔に係合するために形成されている。転造工具は、1つの形成では、ヒンジによって互いに結合された2つの工具アームを備えるトング式の工具として形成されている。この場合、一方の工具アームに支持ローラヘッドが、他方の工具アームにバニシングヘッドが固定されている。この場合、ヒンジ及び工具アームは、第1の連結要素として使用され、ボルトは、別の連結要素として使用される。連結要素として、例えばバネ及び溝を設けることもできる。
【0020】
バニシングローラは、好ましくは、1mm〜20mmの直径を有するシリンダ状の形態と、軸受面の幅よりも大きい長さを備える。数ミリメートルの大きさの直径を有する細いシリンダ状のローラは、ニードルとも呼ばれる。軸受面の全幅は、ローラバニシング加工プロセスでは、1つの作業ステップで加工され、クランクシャフト1回転及び相応に1度のローラバニシング加工で、平滑な軸受面が生じさせられる。軸受面からのバニシングローラの横の突出は、できるだけ小さく寸法設定されているが、それは、軸受面とクランクウェブの間にはわずかな間隔しか存在せず、その間隔内でバニシングヘッドのための運動の自由度とローラケージの軸方向のガイドとを受け入れなければならないからである。バニシングローラの僅かな直径は、例えば、バニシングローラのために、ローラバニシング加工中に弾性的な撓みが行なわれる場合に選択される。
【0021】
別の形成によれば、加圧ローラと支持ローラは、加工すべき軸受面のシリンダ状、球状又は凹状の形成に応じて、シリンダ状、凹状又は球状の周面を備える。軸受面は、視覚的にシリンダ状の形態を備え、この形態は、構造的にシリンダ状に構想されていてもよい。この場合、軸受面に合致するように、支持ローラと加圧ローラはシリンダ状に構想されている。例えば、軸受潤滑コンセプトから生じる理由から、軸受面は、球状又は凸に形成することもできる。シリンダ外周面とのこの違いは、視覚的にほとんど感知可能でない。何故なら、曲率が、規則的に非常に小さく、例えばローラ幅が20mmである時に5μmであるからである。この場合、支持ローラと加圧ローラは、軸受面に対して逆に湾曲した周面を、即ち、軸受面が球状である時には凹に湾曲させられた周面を、又は、軸受面が凹に湾曲させられている時には凸に湾曲させられた周面を、有する。この場合、加圧ローラの周面輪郭は、転造力によって、加圧ローラの周面に適合して弾性的に撓むバニシングローラに転写される。
【0022】
ローラケージのために、好ましくは良好な摺動特性を有する材料が使用される。何故なら、バニシングローラは、部分的にローラケージに対する接触面に沿って摺動するからである。良好な摺動特性により、ローラケージがこの接触にもかかわらずゆっくりとしか摩耗されないことが得られる。ブロンズ、焼入れしてない鋼及び焼入れした鋼が、このために適した材料である。しかしながらまた、他の材料及びコーティング、例えば繊維強化されたプラスチックを使用することもできる。
【0023】
バニシングローラは、その硬さが加工すべき軸受面の硬さの上にある材料から成る。これにより、ローラバニシング加工プロセス中のバニシングローラの変形及び疲労が回避される。バニシングローラは、例えば焼入れした鋼又は超鋼合金から成ることができる。しかしながらまた、他の材料及びコーティング、例えばセラミックを使用することもできる。
【0024】
以下で、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】クランクシャフトに隣接するバニシングヘッドと支持ローラヘッド
図2】転造工具
図3】バニシングヘッドの斜視図
図4】ローラケージ
図5】バニシングローラ
図6】支持ローラヘッドの第1の斜視図
図7図6による支持ローラヘッドの他から見た図
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、クランクシャフト3に隣接するバニシングヘッド4と支持ローラヘッド5を、クランクシャフト3のクランクシャフト軸Kに対して横の横断面図で示す。図示したクランクシャフト3の軸受面2は、クランクシャフト3の主軸受座である。しかしながらまた、バニシングヘッド4によって、連接棒軸受、クランクシャフトピン軸受及びそれ以外の軸受を加工することもできる。図示した面に対して直交して、バニシングヘッド4と支持ローラヘッド5は、軸受面2に続く2つのクランクウェブに対してそれぞれ間隔が存在するように、狭幅に形成されている。支持ローラヘッド5は、クランクシャフト3を、バニシングヘッド4からバニシングローラ7を介してクランクシャフト3に加えられる転造力に抗して支持する。
【0027】
バニシングヘッド4は、バニシングヘッドハウジング6を備え、このバニシングヘッドハウジングは、本発明による転造工具1では、バニシングヘッドフレーム13内に第1の旋回軸Aを中心として旋回可能に支承されている。旋回軸Aを中心とする旋回により、バニシングローラ7は、クランクシャフト軸Kに対して平行に整向することができる。ここに図示した実施例で、バニシングヘッド4は、自動調整式であり、即ち、バニシングヘッドハウジング6は、バニシングローラ7及びその軸がクランクシャフト軸Kに対して平行に整向されているように、転造力の影響下で自動的に調整される。図示してない実施例では、バニシングヘッド4が、転造前に、第1の旋回軸Aに対して最適な角度に固定される。
【0028】
加圧ローラ8は、バニシングヘッドハウジング6内に、軸受ボルト22上の概略的にしか図示してない円筒ころ軸受21によって支承されている。加圧ローラ8を介して、転造力は、バニシングローラ7に伝達され、このバニシングローラから加工すべき軸受面2に伝達される。この場合、軸受面2は、材料が軸受面2の粗さプロフィルの凸部から凹部へ流れることによって、塑性変形される。このようにして、軸受面2の粗さプロフィルが均等化され、軸受面2が、相応に平滑な表面を与えられる。ローラバニシング加工された軸受面2により、このように加工されたクランクシャフトを有する内燃機関は、短縮した慣らし運転しか必要とせず、エンジンの寿命は、相応に高められる。
【0029】
図示した実施例で、バニシングローラ7は、筋状の開口17−この開口の、バニシングヘッド4とは反対のその可視の側の幅は、バニシングローラ7の直径よりも小さい−を有する焼入れしてない鋼から成るローラケージ12内に全面的に案内されている。即ち、ローラケージ12は、バニシングローラ7を、軸方向には両端において、周側を向かい合う2つの表面領域において案内する。バニシングローラ7の外周面用の摺動面として使用される、筋状の開口17内の長い側壁は、円弧溝として形成されている。これにより、バニシングローラ7は、バニシングローラ7がバニシングヘッド4の下の側に存在する場合でも、その自重に抗してローラケージ12によって保持される。従って、バニシングローラ7を交換するためには、ローラケージ12か、バニシングヘッドハウジング6及び加圧ローラかのいずれかを取り外す必要がある。図示してない形成では、ローラケージ12は、筋状の開口17の一方の側壁にしか円弧溝を備えず、この側壁は、下に設けられているので、バニシングローラ7は、円弧溝を有する側壁に載っており、筋状の開口17の反対側の側壁のところから取り外すことができる。
【0030】
支持ローラヘッド5は、図示した配置では、転造力のための反力を提供する、ローラバニシング加工中のクランクシャフト3用の軸受ブロックとして使用される。このため、クランクシャフト3の軸受面2は、支持ローラハウジング9内に支承された2つの支持ローラ10及び11に当接する。支持ローラハウジング9は、支持ローラフレーム14−この支持ローラフレームによって、支持ローラヘッド5が固定可能である−内に2方向に旋回可能に支承されている。第2の旋回軸Bを中心とする支持ローラヘッド5の整向により、クランクシャフト軸Kに対する、支持ローラ10及び11の回転軸が位置する平面の傾斜を修正することができる。これに対して、第3の旋回軸Cを中心とする回転により、支持ローラ10及び11の回転軸が位置する平面は、クランクシャフト軸Kに対する支持ローラ10及び11の回転軸の傾倒を修正するために、その平面内で回転させることができる。図示した実施例で、この第3の旋回軸Cは、中心、即ちクランクシャフト軸Kと交差するように配置されているのではなく、横に配置されている。この横への位置ズレは、問題ない。何故なら、この位置ズレは、クランクシャフト3における支持ローラヘッド5の位置決め時に考慮及び修正することができるからである。
【0031】
図2は、本発明による転造工具1の1つの実施例を概略的に示す。図1から明らかなバニシングヘッド4及び支持ローラヘッド5は、ここでは、明瞭さを不必要に阻害しないために、数個の詳細だけで図示されている。転造工具1は、ヒンジ20と結合された2つの工具アーム18及び19を使用してトング式に構成されている。これら工具アーム18及び19に、バニシングヘッド4もしくは支持ローラヘッド5が固定されている。この場合、工具アーム18及び19並びにヒンジ20は、バニシングヘッド4と支持ローラヘッド5を機械的に互いに結合する連結要素として使用される。支持ローラ10及び11並びに加圧ローラ8に支持されたバニシングローラ7は、クランクシャフト3を、転造すべき軸受剤において包囲する。支持ローラヘッド5には、図示した実施例では、付加的な連結要素としてのボルト15が固定され、このボルトが、バニシングヘッド4内の合致する調心孔16に係合する。従って、高い使用剛性が得られる。選択的な形成では、転造工具は、トング式の工具アーム18及び19なしで構成することもできる。その場合には、例えば、支持ローラヘッド5が、固定式の軸受ブロックとして形成され、バニシングヘッド4が、支持ローラヘッド5に対して整向される。
【0032】
図3は、バニシングヘッド4の1つの形成を、立体的な斜視図で示す。この場合、バニシングヘッドハウジング6は、視覚的に困難にしか認められない小さい角度で、バニシングヘッドフレーム13に対して旋回されている。旋回性により、ローラケージ12によって保持されたバニシングローラ7は、加工すべきクランクシャフト3のクランクシャフト軸Kに対して平行に整向することができる。ローラケージ12は図4に、バニシングローラ7は図5に、別々に示されている。筋状の開口17は、図4で可視の側に、合致する図5に示したバニシングローラ7の直径よりも狭い。これにより、図3に示したバニシングヘッド4は、バニシングローラ7がバニシングヘッド4の下の側に存在する位置で使用することもできる。
【0033】
図6及び図7は、支持ローラヘッド5を、異なった斜視図で示すが、これら図において、第2の旋回軸Bを中心とする支持ローラフレーム14に対する支持ローラハウジング9の旋回性が、大きい揺動によって図説されている。
【符号の説明】
【0034】
1 転造工具
2 軸受面
3 クランクシャフト
4 バニシングヘッド
5 支持ローラヘッド
6 バニシングヘッドハウジング
7 バニシングローラ
8 加圧ローラ
9 支持ローラハウジング
10 支持ローラ
11 支持ローラ
12 ローラケージ
13 バニシングヘッドフレーム
14 支持ローラフレーム
15 ボルト
16 調心孔
17 筋状の開口
18 工具アーム
19 工具アーム
20 ヒンジ
21 円筒ころ軸受
22 軸受ボルト
K クランクシャフト軸
A 第1の旋回軸
B 第2の旋回軸
C 第3の旋回軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7