(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポンプが詰まっているときにポンプ装置を制御するための方法において、前記ポンプ装置がポンプ(2)および制御ユニット(6)を備え、前記ポンプ(2)がモータ(7)を備え、前記制御ユニット(6)が前記モータ(7)を駆動するように構成され、前記モータ(7)が動作中に動作パラメータに関連付けられ、前記モータ(7)のトルクが前記動作パラメータから導出されることができ、前記動作パラメータが第1の方向への前記モータ(7)の通常の動作中に標準値PNを有する、方法であって、前記方法が
前記制御ユニット(6)により前記モータ(7)を第1の方向に駆動するステップと、
前記動作パラメータの実際値Pが、PI≧1.05×PNである所定の詰まり限界PIを超える場合に前記モータ(7)を停止するステップと、
前記制御ユニット(6)により、所定のフラッシング時間TR中、前記第1の方向と反対の第2の方向に前記モータ(7)を駆動するステップと、
前記フラッシング時間TR中の前記動作パラメータの前記実際値Pの絶対値が、|PL1|≧1.1×PIである第1の解放限界PL1の絶対値を超える場合に前記モータ(7)を停止するステップであって、その他の場合に前記フラッシング時間TR後に前記モータ(7)を停止して通常の動作に戻す、ステップと
を含む、方法。
【背景技術】
【0002】
例えば水中ポンプにより、固体物質を含む排水などの液体を圧送するとき、固体物質が、遅かれ早かれ、液体を移送するためのポンプの能力に悪影響を与えることになる。固体物質はポンプの液圧ユニット内で固くはり付き、ポンプの羽根車に、さらには、ポンプのポンプ室の内側に徐々に付着し、それにより、ポンプの水力効率が悪影響を受け、ポンプが負荷の増大した(strained)動作状態で動作するようになり、その理由は、回転抵抗が増大すること、トルクが増大すること、および、水力特性が低下すること、である。現在、ポンプ、またはより正確には、ポンプの液圧ユニットが詰まり始めるときに、程度の差はあるがポンプを自動で洗浄するためのいくつかの手法が知られている。負荷の増大した動作状態はポンプにとって直接に不利益というわけではないが、電力消費が増大することになり、また、ポンプ性能が低下することになり、これは、プラント所有者にとってコストがかかるものであり、また、付随の悪影響を生じさせる可能性があるものであり、付随の悪影響とは、ポンプステーションを空にするのにポンプの利用可能な容量が不十分である場合にポンプステーションが水浸しになることなどである。
【0003】
既知の洗浄方法またはポンプ装置を制御する方法は、洗浄が必要であることを検出してその後で所定の標準的な洗浄シーケンスを実施し、この洗浄シーケンスが、少なくとも、制御ユニットによって時間をかけて予め決められた通りにモータの速度を低下させることによりポンプのモータを減速させることを伴う。ポンプの下流のパイプシステムでのいわゆる水撃作用を回避することが必要であることを特に理由とし、さらには、通常の動作中にポンプの羽根車が大きいトルクおよび大きい運動量を有することを理由として、ポンプのモータを直接には停止させないことが知られている。モータが直接に停止される場合、ポンプの下流のパイプ内の液体の運動エネルギーおよび慣性モーメントが振動を生じさせときに必ず水撃作用が生じ、この振動はパイプおよび他の構造要素を破壊するおそれがあり、さらには、羽根車が緩む、ポンプの駆動シャフトが損傷する、などの緊急的な危険性もある。したがって、通常、モータの速度を時間をかけて制御しながら低下させることが行われる。
【0004】
この洗浄方法において、情報がないことの直接的な結果として、上述した負荷の増大した動作状態中において適切である標準的な洗浄シーケンスが使用されると、ポンプの液圧ユニットに大きいおよび/または硬い物体が入って押し込まれる場合に、つまり、ポンプ装置にとって不利益な動作状態が生じる場合に、ポンプの負荷が急激に増大することになる。不利益な動作状態とは、ポンプおよび/または制御ユニットが即座にまたは短時間で壊れるような動作状態を意味する。大きいおよび/または硬い物体が押し込まれて羽根車を機械的に制動するときに、例えば周波数変換器(frequency converter)(VFD)の形態の制御ユニットが上記のようにモータの速度を低下させるのを実施する場合、モータの速度を時間をかけて制御しながら低下させることで、羽根車が強制的に回転させられ、物体がより強く/より深刻に押し込まれることになる。これにより、さらに、ポンプの羽根車、駆動シャフトのモータなど、または、制御ユニットが過度に負荷の増大した状態となり損傷することになる。
【0005】
ポンプおよび/または制御ユニットが損傷するのを防止することを目的として、安全用の遮断ブレーカ(safety disconnection breaker)、ヒューズなどの、別の安全システム/保護装置が、装置を保護するように、および、装置を損傷させる前に動かないようにするように構成される。上述の不利益な動作状態の場合、つまり、安全システムが始動する場合および/またはポンプ装置が壊れる場合、保守点検員が緊急招集されて故障/詰まりに対処しなければならないことが一般的である。この招集は不経済であり、また、働いていないポンプもプラント所有者にとってコストがかかるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既知の洗浄方法の上で言及した欠点および短所を排除すること、ならびに、ポンプ装置を制御するための改善された方法を提供することを目的とする。本発明の基本的な目的は、ポンプ装置自体によって解決されることになる詰まりの数が顕著に多くなるような、最初に定義したタイプに従うポンプ装置を制御するための改善された方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、保守点検員を緊急招集することの必要性を完全に回避するような、ポンプ装置を制御するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、本発明の少なくとも基本的な目的が、独立請求項によって定義される特徴を有する最初に定義した方法によって達成される。本発明の好適な実施形態が従属請求項でさらに定義される。
【0009】
本発明によると、最初に定義したタイプのポンプ装置を制御するための方法が提供され、この方法が以下のステップを特徴とする:
− 制御ユニットによりモータを第1の方向に駆動するステップ、
− 動作パラメータの実際値Pが、P
I≧1.05×P
Nである所定の詰まり限界(clogging limit)P
Iを超える場合にモータを停止するステップ、
− 制御ユニットにより、所定のフラッシング時間T
R中、第1の方向と反対の第2の方向にモータを駆動するステップ、
− フラッシング時間T
R中の動作パラメータの実際値Pの絶対値が、|P
L1|≧1.1×P
Iである第1の解放限界(unfastening limit)P
L1の絶対値を超える場合にモータを停止するステップであって、その他の場合に上記フラッシング時間T
R後にモータを停止して通常の動作に戻す、ステップ。
【0010】
したがって、本発明は以下のような考えに基づく:モータを第2の方向に駆動するのを停止するときのトルクより小さいトルクでモータを第1の方向に駆動するのを停止することにより、つまり、材料を押し込むトルクより大きいトルクを、押し込まれた材料を解放するのに利用するために有することにより、ポンプ装置の負担が軽減され、緊急招集の回数が、程度の差はあるが、全体的に排除される。
【0011】
本発明の好適な実施形態によると、動作パラメータの実際値Pが、P
I≧1.05×P
Nである所定の詰まり限界P
Iを超える場合にモータを停止するステップの後で、本方法が、さらに、
− 制御ユニットにより所定の制御時間T
K中にモータを第1の方向に駆動するステップと、
− 制御時間T
K中の動作パラメータの実際値Pが、P
F≦P
Iであるフォールスアラーム制御限界(false alarm control limit)P
Fを超える場合にモータを停止するステップと
を含む。
【0012】
それにより、フォールスアラーム機能が実行され、その結果、ポンプの逆方向への不必要な動作が回避され得るようになる。
本発明の好適な実施形態によると、動作パラメータの実際値Pの絶対値が、|P
L1|≧1.1×P
Iである第1の解放限界P
L1の絶対値を超える場合にモータを停止するステップの後で、本方法が、さらに、
− 制御ユニットにより所定のフラッシング時間T
R中にモータを第1の方向に駆動するステップと、
− 動作パラメータの実際値Pが、P
L2≧P
Iであり、P
L2≦0.95×|P
L1|である第2の解放限界P
L2を超える場合にモータを停止するステップと
を含む。
【0013】
それにより、第1の逆方向解放試行(unfastening attempt backwards)が失敗したときに、ポンプ装置が、逆方向へ解放する間に利用可能となるトルクより小さいが順方向への通常の動作中に利用可能となるトルクより大きい利用可能なトルクを使用して、順方向解放試行(unfastening attempt forwards)により、押し込まれた材料を解放することを試みるようになる。
【0014】
本発明の好適な実施形態によると、動作パラメータがモータの電力消費によって構成される。
本発明の他の利点および特徴が、他の従属請求項および好適な実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0015】
添付図面を参照する好適な実施形態の以下の詳細な説明から、本発明の上で言及した特徴および他の特徴がより完全に理解され得ることが明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1では、全体として1で示されるポンプステーションが示されており、このポンプステーションが、ポンプステーション1内に含まれるサンプ(換言すれば、液溜)3から出口パイプ4まで、またさらにはポンプステーション1から離れるように、起動状態において液体を圧送するように構成される通常は2つの水中ポンプである少なくとも1つの速度制御ポンプ(speed controlled pump)2を備える。さらに、ポンプステーション1が、ポンプステーション1内の液体レベルを決定するように構成される少なくとも1つのレベルセンサ(換言すれば、水位センサ)5を従来の形で備える。レベルセンサ5が、外部制御ユニット6に動作可能に接続されるか、上記少なくとも1つの速度制御ポンプ2に動作可能に接続される別個のデバイスであってもよいし、上記少なくとも1つの速度制御ポンプ2内に内蔵されてもよいことを指摘しておく。上記少なくとも1つの速度制御ポンプ2は好適にはポンプの速度を制御するのを可能にするのを目的として外部制御ユニット6に動作可能に接続され、または別法として、上記少なくとも1つの速度制御ポンプ2は内蔵式制御ユニット(図示せず)を備えてもよい。以下では、制御ユニット6という用語はその物理的な位置とは無関係に使用される。
【0018】
ポンプ2および制御ユニット6が、共に、ポンプ装置の少なくとも一部分を構成し、ここでは、ポンプ2が、上記制御ユニット6によって駆動されるように構成される電気モータ7と、従来の形で駆動シャフト9を介してモータ7に接続される羽根車8とを備える。好適には、羽根車8はオープン型羽根車であり、また最も好適には、ポンプの入口のところにある吸引蓋/挿入リングに対してポンプ2内で動作中に軸方向に変位可能である羽根車である。
【0019】
「速度制御(speed controlled)」という用語には、ポンプの速度を、またより正確には、モータ7の回転速度/動作速度を変化させるためのすべての考えられる手法が包含される。とりわけ、周波数変換器(可変周波数駆動装置)による電流源の周波数制御(current supply frequency control)が関連し、これはポンプ内に内蔵されるかまたは外部にあり、例えば、上記制御ユニット6上において、通常の動作中に電流源の周波数に比例する回転速度を構成する。しかし、内部制御または外部制御による電圧源の制御も関連する。したがって、本発明の全レベルにおいて、ポンプの動作速度が如何にして制御されるかが重要であるというわけではなく、単にポンプ2の回転速度が制御/調整され得ることが重要である。
【0020】
本発明の方法は、詰まったときにポンプを効率的に洗浄することを達成することを目的として、モータ7を有するポンプ2と、上記モータ7を制御するように構成される制御ユニット6とを備えるポンプ装置を制御することを対象とする。ポンプステーション1は、本文脈では、流入する液体が到達するところでありかつ流出する液体がそこから圧送されるところである境界を区切られたプラントとしてみなされるものとする。ポンプステーションは、本発明に関しては、液体の種類に関係せず、また、液体の由来元および液体の圧送先に関係しないとみなされるものとする。ポンプステーションが複数のポンプ2を備える場合、それらの間で適切な変更がなされてよいが、本出願ではこれをさらには説明しない。
【0021】
また、ポンプ2は既知の方法に従って通常の動作中に始動および停止されるが、これは本明細書では説明しない。
図2に、ポンプ2および制御ユニット6を備えるポンプ装置を制御するための、全体として10で示される方法の所定の実施形態が示される。本発明の方法10が1つまたは複数のサブメソッドで拡張され得、および/または、他の制御方法と並行に/連続的に進められ得ることを指摘しておく。
【0022】
ポンプ装置を制御するための本発明の方法10は、実際には、全体的にまたは部分的に詰まったポンプのための、つまり、異物がポンプ2に入って羽根車8に押し込まれたときのための、洗浄方法である。
【0023】
詰まりの程度および/または詰まりの種類がポンプ2のモータ7に負荷を加え、ポンプ装置の動作状態を示す。したがって、ポンプ2が起動状態にあり、モータ7が制御ユニット6により第1の方向に駆動される各個別の時点において、モータ7が、ポンプ装置の動作状態に対応する負荷レベルに関連付けられる。ポンプ装置が、少なくとも1つの動作パラメータを断続的にまたは継続的に監視するための手段をさらに備え、モータ7のトルクは、この少なくとも1つの動作パラメータから導出されることができ、それは、直接測定か、又は、別の動作パラメータ/量の測定から導出されることにより行われる。上記動作パラメータPは、好適には、電流消費またはトルクによって構成されるが、電力消費などの他の動作パラメータも考えられる。実際には、ポンプ2の液圧ユニットが全体的にまたは部分的に詰まるときに、モータ7の負荷レベルが変化し、それによりトルクおよび動作速度/回転速度も変化させる。これらの直接的な影響により、ポンプの電流消費、電力消費などがそれに応じて変化することになり、それにより、モータ7のトルクが例えばモータの電流消費から導出され得るようになる。好適には、ポンプ2が上で言及した起動状態にあるとき、ポンプ2の、またより正確にはモータ7の、実際の電流消費が監視され、以下では、これを基本として本発明を説明する。しかし、本発明が、動作パラメータとして電流消費を測定することのみに限定されないことを理解されたい。上記動作パラメータが、第1の方向へのモータ7の通常の動作中に標準値P
Nを有する。第1の方向とは、羽根車8が順方向に駆動され、つまり、出口パイプ4を介して液体を外へ圧送することを意味する。
【0024】
次に、
図2を参照しながら、その最も基本的な形態で本発明の方法10を説明する。
方法10が、ポンプ2がその起動状態にありかつモータ7が制御ユニット6により第1の方向に駆動されている状態から、開始される。これに関連して、上記第1の方向への通常の動作中、この方向により、羽根車8により液体がサンプ3から出口パイプ4を介して移送されるようになり、つまり、モータ7が順方向に駆動されるようになる。ポンプ2を始動させるとき、つまり、ポンプ2を非起動状態から始動させるとき、制御ユニット6が、モータ7の実際の動作速度/回転速度Fを、0から、通常の動作中に使用されることになる動作速度F
Nまで、制御しながら、例えば線形的に上昇させることを実施し、この動作速度F
Nは、例えば、いわゆるモータ7の最高回転速度F
MAXの約75〜85%を占める。モータ7の最高回転速度は、ポンプ2がパワーメイン(power main)(つまり、通常、50Hzまたは60Hzの電流源の周波数)に直接に接続される場合にモータ7が有する回転速度である。通常の動作速度F
Nは、例えば、一定の値か、あるいは経時的に変化する値であってよく、例えば、手動で設定される値または瞬間的なエネルギー消費などに基づいて自動で最適化される値であってよい。また、このことは、動作パラメータの標準値P
Nが一定であってもよいし、または、通常の動作速度F
Nの現在の状態に合わせて経時的に変化してもよいことを意味する。変化しない通常の動作速度F
Nでは、圧送される液体の別の性質によりポンプ2に別の負荷がかかることになり、このことは、動作パラメータの標準値PNも特定の用途、つまり、異なる特性を有する液体を受け取る異なるポンプステーションでのポンプ2の負荷に依存することを意味することも指摘しておく。また、同一のポンプステーションに入る液体が1日の異なる時間で異なる特性を示してもよい。
【0025】
ポンプ2が上記起動状態にある場合、上記少なくとも1つの動作パラメータの実際値Pが決定/監視され、説明される実施形態では、実際の電流消費が決定される。通常の動作中に実際の電流消費/電力消費が電流消費の公称値付近で変化し、これは、圧送される液体中に見られる固体物質がポンプ2の液圧ユニットに入ってそれに影響し、ポンプ2の液圧ユニットを通して移送され、それにより、モータ7の負荷レベル/トルクに一時的に影響するためである。
【0026】
上記少なくとも1つの動作パラメータの上記実際値Pを監視する間、外部から加えられる力が、ポンプ装置の不利益な動作状態を引き起こすくらいの程度で、モータ7に逆らって作用するかどうかが決定され得、これは、モータ7の負荷レベル/トルクがポンプ装置の不利益なレベルを超える場合に当てはまる。不利益な動作状態とは、モータ7の動作が変更されないとポンプ2および/または制御ユニット6を即座にまたは短時間でオーバーワーク状態にして壊れた状態とするような、または、安全システム/保護装置を始動させることになるような動作状態のことである。大きいおよび/または硬い物体がポンプ2の液圧ユニットに入って羽根車8とポンプハウジングまたは吸引蓋/挿入リングとの間に押し込まれる場合に、不利益な動作状態となる。
【0027】
方法10が、モータ7が第1の方向に駆動されるときに、動作パラメータの実際値Pが所定の詰まり限界P
Iを超えるかどうかを決定するステップを含み、ここでは、P
Iが、動作パラメータの標準値P
Nの1.05倍以上である。P>P
Iである場合、モータ7が停止され、それ以外の場合では、通常の動作が継続される。好適には、動作パラメータP
Iと動作パラメータの標準値P
Nとの間の関係がP
I≧1.1×P
Nであり、最も好適には、P
I≧1.2×P
Nである。
【0028】
動作パラメータの標準値P
Nが動作中に変化する可能性があることにより、動作パラメータの詰まり限界P
Iも変化することになるが、これらの間の上記の所与の相互関係は維持される、ことを指摘しておく。
【0029】
モータを停止するという表現は、ポンプの起動状態からポンプ2の非起動状態へと状態を変化させることを実施することを意味する。モータ7を停止するステップは、好適には、これに関連して、詰まりと決定された直後に制御ユニット6により第1の方向へのモータ7の駆動を直接に中断することを含む。駆動を直接に中断するというこの特徴は、制御ユニット6内でモータ7の動作速度F
Nをゼロに等しくなるように設定することにより、つまり、モータ7の回転速度を低下させることを行わずに、実現されるか、または、モータ7を非係合状態、つまり、完全に非作動状態にすることによって、モータ7の動作速度F
Nをゼロに等しくなるように設定することにより実現される。これにより、ポンプ2の液圧ユニットに入ってポンプ2の液圧ユニットに押し込まれた異物がより強く/より深刻に押し込まれることがなくなる。
【0030】
詰まりが検出されてモータ7が停止された後、方法10が洗浄シーケンスを開始する。モータ7を停止させるステップの後、制御ユニット6により、所定のフラッシング時間T
Rの間、第1の方向と反対の第2の方向にモータ7を駆動するステップが実施される。モータ7を第2の方向に駆動するという言い回しは、モータ7が逆方向に駆動されることを意味する。フラッシング時間TR中、ポンプ装置が、サンプ3の中へと後方に押し込まれている物体をフラッシングすることを試みる。
【0031】
フラッシング時間TRの間、および、モータ7を第2の方向に駆動する間、制御ユニット6がモータ7の逆方向洗浄速度F
RBを発生させることを試みる。逆方向洗浄速度F
RBの絶対値は、好適には、モータ7の最高回転速度F
MAXの75〜85%の範囲である。フラッシング時間T
R中、本方法が、動作パラメータの実際値Pの絶対値が第1の解放(unfastening)限界P
L1の絶対値を超えるかどうかを決定するステップを実施し、ここでは、動作パラメータの第1の解放限界P
L1の絶対値が動作パラメータの詰まり限界P
Iの1.1倍以上である。|P|>|P
L1|である場合、モータ7が停止され、これは、押し込まれている材料が解放されず、第1の逆方向解放試行で洗い流されないことを意味する。|P|<|P
L1|である場合、上記フラッシング時間T
Rの後でモータ7を停止させてその後で通常の動作に戻ることになるが、これは、押し込まれている材料が第1の逆方向解放試行中にサンプ3の中へと後方にフラッシングされることを意味する。好適には、動作パラメータの第1の解放限界P
L1と動作パラメータの詰まり限界P
Iとの間の関係が|P
L1|≧2×P
Iとなり、最も好適には|P
L1|≧3×P
Iとなる。
【0032】
動作パラメータの実際値Pが詰まり限界P
Iを超えたことが決定された後でモータ7が停止されるステップの後、本方法が、好適には、所定の待ち時間T
Vだけポンプ2を非起動状態で拘束するステップをさらに含む。言い換えると、ポンプ2が待ち時間T
Vだけ非起動状態で維持された後、第1の逆方向解放試行が開始される、または、後で説明するフォールスアラーム制御が行われる。
【0033】
フラッシング時間T
R後にモータ7が停止されるステップの後、本方法が、好適には、所定の待ち時間T
Vだけポンプ2を非起動状態で拘束するステップをさらに含む。言い換えると、ポンプ2が待ち時間T
Vだけ非起動状態で維持された後、通常の動作が再開される。
【0034】
次に
図3を参照すると、ここでは、
図2による方法に対しての、フォールスアラーム制御の形態の追加部分が説明され、方法10の他の部分は修正されずに維持されることから、以下では説明しない。
【0035】
動作パラメータの実際値Pが詰まり限界P
Iを超えたことが決定された後でモータ7が停止されるステップの後、本方法が、所定の制御時間T
K中に制御ユニット6によりモータ7を第1の方向に駆動するステップを含む。制御時間T
K中、本方法が、動作パラメータの実際値Pがフォールスアラーム制御限界P
Fを超えるかどうかを決定するステップを実施し、ここでは、動作パラメータのフォールスアラーム制御限界P
Fが動作パラメータの詰まり限界P
I以下である。フォールスアラーム制御は1回または複数回実施される。P>P
Fである場合、モータ7が停止され、これは、フォールスアラームではなく、詰まりが確認されていることを意味する。フォールスアラーム制御中、モータ7の詰まりによる停止の原因となっている材料が場合によっては出口パイプ4を介して洗い流される。好適には、動作パラメータのフォールスアラーム制御限界P
Fと動作パラメータの標準値P
Nとの間の関係がP
F≧P
Nである。制御時間T
K中、および、第1の方向へのモータ7の駆動中、制御ユニット6が、好適には通常の動作速度F
Nに等しいモータ7のフォールスアラーム速度F
Fを発生させることを試みる。
【0036】
制御時間T
Kの後、制御ユニット6が通常の動作に従ってモータ7を第1の方向へ駆動するのを継続することができるか、または、モータ7が停止され得、ポンプ2が所定の待ち時間T
Vだけ非起動状態で拘束された後に通常の動作が再開される。
【0037】
動作パラメータの実際値Pがフォールスアラーム制御限界P
Fを超えたことが決定された後でモータ7が停止されるステップの後、本方法が、好適には、所定の待ち時間T
Vだけポンプ2を非起動状態で拘束するステップをさらに含む。言い換えると、ポンプ2が待ち時間T
Vだけ非起動状態で維持された後、第1の逆方向解放試行が開始される。
【0038】
次に
図4を参照すると、ここでは、
図2による方法に対しての、順方向解放試行の形態の追加部分が説明され、方法10の他の部分は修正されずに維持されることから、以下では説明しない。
【0039】
動作パラメータの実際値Pの絶対値が第1の解放限界P
L1の絶対値を超えたことが決定された後でモータ7が停止されるステップの後、本方法が、所定のフラッシング時間T
R中に制御ユニット6によりモータ7を第1の方向に駆動するステップを含む。フラッシング時間T
Rの間、および、モータ7を第1の方向に駆動する間、制御ユニット6がモータ7の順方向洗浄速度F
RFを発生させることを試みる。
【0040】
順方向洗浄速度F
RFは好適にはモータ7の最高回転速度F
MAXの75〜100%の範囲である。フラッシング時間T
R中、本方法が、動作パラメータの実際値Pが第2の解放限界P
L2を超えるかどうかを決定するステップを実施し、ここでは、第2の解放限界P
L2が動作パラメータの詰まり限界P
I以上であり、かつ、第1の解放限界P
L1の絶対値の0.95倍以下である。P>P
L2である場合、モータ7が停止され、これは、押し込まれている材料が解放されず、第1の順方向解放試行中に洗い流されていないことを意味する。P<P
L2である場合、フラッシング時間TRの後、制御ユニット6が通常の動作に従ってモータ7を第1の方向へ駆動するのを継続することができるか、または、モータ7が停止され得、ポンプ2が所定の待ち時間T
Vだけ非起動状態で拘束された後に通常の動作が再開される。P<P
L2であることは、押し込まれている材料が、第1の順方向解放試行中に出口パイプ4を介して洗い流されることを意味する。好適には、動作パラメータの第1の解放限界P
L1と動作パラメータの第2の解放限界P
L2との間の関係がP
L2≦0.85×|P
L1|となり、最も好適にはP
L2=0.8×|P
L1|となる。
【0041】
第1の逆方向解放試行の後、第1の順方向解放試行が実施される前に別の1回または複数回の逆方向解放試行が実施され得る、ことを指摘しておく。さらに、方法10が、保守点検員がプラントに招集される前に逆方向解放試行と順方向解放試行とを複数回交互に行うことができ、各逆方向解放試行が、1回または複数回の解放試行を含むことができ、各順方向解放試行が1回または複数回の解放試行を含むことができる。例えば、失敗である各解放試行の後で第1の解放限界P
L1が増大され得、例えば、失敗である各解放試行の後で第2の解放限界P
L2が増大され得る。
【0042】
方法10がさらに、押し込まれた材料が解放されたとき、かつ、通常の動作が再開される前で、フラッシング時間T
R中に、制御ユニット6によりモータ7を最高回転速度F
MAXで第1の方向に駆動することによりポンプ2をフラッシングすることを含む。
【0043】
最後に
図5〜
図7を参照すると、これらの図は、ポンプ/モータの実際の動作速度/回転速度と、これらが如何にして経時的に変化するかを示す上側のグラフと、ポンプ/モータの実際のトルク/電流消費と、これらが如何にして経時的に変化するかを示す下側のグラフとにより、異なる洗浄シーケンスを概略的に示す。
【0044】
図5では、詰まりが検出され、その際、フォールスアラーム制御が実施され、詰まりが確認される。その後、第1の逆方向解放試行が成功裏に実施される。その後、順方向フラッシングが実施され、次に、ポンプを非起動状態とする任意の待ち時間を経て通常の動作が再開される。
【0045】
図6では、詰まりが検出され、その際、フォールスアラーム制御が実施され、詰まりが確認される。その後、第1の逆方向解放試行が実施され、これが失敗する。第1の順方向解放試行が失敗する。第2の逆方向解放試行が成功する。その後、順方向フラッシングが実施され、次に、ポンプを非起動状態とする任意の待ち時間を経て通常の動作が再開される。
【0046】
図7では、詰まりが検出され、その際、フォールスアラーム制御が実施され、フォールスアラームが確認され、通常の動作が再開される。
本発明の実現可能な修正形態
本発明は、主として説明的および例示的な目的を有する上で説明されて図面に示される実施形態のみに限定されない。本特許出願は、本明細書で説明される好適な実施形態のすべての調整および変形形態を包含することを意図され、したがって、本発明は添付の特許請求の範囲の表現によって定義され、したがって、添付の特許請求の範囲内であらゆる種類の手法で装置が修正され得る。
【0047】
したがって、さらに、明記されるわけではないが、1つの特定の実施形態からの特徴が別の実施形態からの特徴と組み合わされ得、組み合わせることが可能である場合、これらの組み合わせが明らかなものであるとみなされることを指摘しておく。
【0048】
待ち時間T
Vは本方法の異なる段階で異なる長さを有してよいが、本記述さらには特許請求の範囲では分かり易いように同一の参照符号が使用されることを理解されたい。待ち時間T
Vが3秒の範囲内にある。
【0049】
フラッシング時間T
Rは本方法の異なる段階で異なる長さを有してよいが、本記述さらには特許請求の範囲では分かり易いように同一の参照符号が使用されることを理解されたい。フラッシング時間T
VRが3秒の範囲内にある。
【0050】
本文献で言及される限界点の正確な値は特定のポンプ装置および動作中のその環境に依存するものであり、したがって言及されないが、代わりに、本文献では、言及される限界点の間の相互関係が重要となる。
【0051】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、「comprise(備える、含む)」という単語および「comprises(備える、含む)」または「comprising(備える、含む)」などのバリエーションは、言及する整数またはステップ、あるいは、整数またはステップのグループを包含し、任意の他の整数またはステップ、あるいは、整数またはステップのグループを排除しないことを暗に意味するものとして理解されたい。