特許第6404373号(P6404373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404373
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】スパークプラグの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/20 20060101AFI20181001BHJP
   H01T 21/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01T13/20 E
   H01T21/02
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-3891(P2017-3891)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-113201(P2018-113201A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】真木 駿介
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−241267(JP,A)
【文献】 特開2004−31069(JP,A)
【文献】 特開2007−5061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00−23/00
G01B11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が主体金具に接合され、他端側の側面にチップが溶接された棒状の接地電極を備えるスパークプラグの製造方法であって、
前記接地電極の前記側面に前記チップを溶接する溶接工程と、
前記チップが溶接された前記接地電極の他端部のうち端面の縁部の少なくとも一部を研磨または研削する研磨工程と、
前記研磨工程後に、反射光を利用して前記接地電極の前記端面および前記チップを撮像して画像処理を行う画像処理工程と、を備えるスパークプラグの製造方法。
【請求項2】
前記研磨工程において、前記端面の前記縁部のうち、前記チップが溶接された前記側面と前記端面との稜の両端の部分を少なくとも研磨または研削する請求項1記載のスパークプラグの製造方法。
【請求項3】
前記研磨工程において、前記端面の前記縁部のうち、前記チップが溶接された前記側面と前記端面との稜の部分を少なくとも研磨または研削する請求項2記載のスパークプラグの製造方法。
【請求項4】
前記研磨工程において、前記端面の前記縁部の全てを少なくとも研磨または研削する請求項3記載のスパークプラグの製造方法。
【請求項5】
前記研磨工程は、レーザビームを前記端面に照射して前記端面を研磨するものであり、
前記レーザビームのビーム軸は、前記接地電極の前記側面と非平行である請求項1から4のいずれかに記載のスパークプラグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスパークプラグの製造方法に関し、特に画像処理による検出精度を確保できるスパークプラグの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
耐火花消耗性を向上させるため、貴金属を含有するチップを接地電極に溶接したスパークプラグが知られている。一方、スパークプラグの製造工程において、ワークに光を照射し、その反射光を利用して接地電極の端面を撮像し、画像処理によって、スパークプラグの着火性能に影響を与える接地電極の位置やずれ量を検出する技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−134136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術では、溶接の熱で接地電極の端面の色調や光沢が変化して色調や光沢がワーク間でばらつくと、画像処理による検出精度が低下するという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、画像処理による検出精度を確保できるスパークプラグの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明は、一端部が主体金具に接合され、他端側の側面にチップが溶接された棒状の接地電極を備えるスパークプラグの製造方法であって、接地電極の側面にチップを溶接する溶接工程と、チップが溶接された接地電極の他端部のうち端面の縁部の少なくとも一部を研磨または研削する研磨工程と、研磨工程後に、反射光を利用して接地電極の端面およびチップを撮像して画像処理を行う画像処理工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のスパークプラグの製造方法によれば、溶接工程により接地電極の側面にチップが溶接される。研磨工程により、チップが溶接された接地電極の他端部のうち端面の縁部の少なくとも一部が研磨または研削されるので、端面の縁部の少なくとも一部の色調や光沢のばらつきを抑制できる。研磨工程後の画像処理工程により、反射光を利用して接地電極の端面およびチップを撮像して画像処理が行われるので、画像処理による端面のエッジ検出の検出精度を確保できる効果がある。
【0008】
請求項2記載のスパークプラグの製造方法によれば、研磨工程において、端面の縁部のうち、チップが溶接された側面と端面との稜の両端の部分が少なくとも研磨または研削される。よって、請求項1の効果に加え、チップが溶接された側面と端面との稜の両端の部分に対するチップの位置の検出精度を確保できる効果がある。
【0009】
請求項3記載のスパークプラグの製造方法によれば、研磨工程において、端面の縁部のうち、チップが溶接された側面と端面との稜の部分が少なくとも研磨または研削される。よって、請求項2の効果に加え、チップが溶接された側面と端面との稜の部分に対するチップの位置の検出精度を確保できる効果がある。
【0010】
請求項4記載のスパークプラグの製造方法によれば、研磨工程において、端面の縁部の全てが少なくとも研磨または研削される。よって、請求項3の効果に加え、接地電極の端面(エッジ)の検出精度を向上できる効果がある。
【0011】
請求項5記載のスパークプラグの製造方法によれば、研磨工程は、レーザビームを端面に照射して端面を研磨するので、砥石やブラシ等の研磨材を用いて端面を研磨する場合に比べ、研磨材の管理を不要にできる。さらに、レーザビームのビーム軸を接地電極の側面と非平行にすることで、側面に溶接されたチップにレーザビームを当たり難くできる。よって、請求項1から4のいずれかの効果に加え、レーザビームの照射によるチップの損傷を抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】スパークプラグの片側断面図である。
図2】接地電極の端面にレーザビームが照射される接地電極および主体金具の側面図である。
図3】(a)はレーザビームが照射された端面の拡大図であり、(b)は図3(a)のIIIb−IIIb線における端面の断面図である。
図4】接地電極の端面およびチップの第1状態における画像の模式図である。
図5】接地電極の端面およびチップの第2状態における画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるスパークプラグ10の片側断面図である。図1では、紙面上側をスパークプラグ10の先端側、紙面下側をスパークプラグ10の後端側という。スパークプラグ10は、絶縁体11、主体金具16及び接地電極17を備えている。
【0014】
絶縁体11は、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等により形成された円筒状の部材であり、軸線Oに沿って貫通する軸孔12が形成されている。軸孔12の先端側に中心電極13が配置される。
【0015】
中心電極13は、軸線Oに沿って延びる棒状の部材であり、銅または銅を主成分とする芯材がニッケル又はニッケル基合金で覆われている。中心電極13は絶縁体11に保持され、先端が軸孔12から露出する。中心電極13は、貴金属を含有するチップ14が先端に接合されている。
【0016】
端子金具15は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。端子金具15は、先端側が軸孔12に圧入された状態で、絶縁体11の後端に固定されている。絶縁体11の外周の先端側に、端子金具15と軸線O方向に間隔をあけて、主体金具16が加締め固定されている。主体金具16は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成された略円筒状の部材である。主体金具16の先端に接地電極17が接合されている。
【0017】
接地電極17は、主体金具16に接合される一端部18と、一端部18の反対の他端部19と、を有する棒状の金属製(例えばニッケル基合金製)の部材である。接地電極17は、短手方向の断面が略矩形に形成されており、側面20を内側にして他端部19側が屈曲している。接地電極17の他端部19側が屈曲することにより、他端部19の端面21は軸線Oに沿って配置される。接地電極17の他端部19の側面20に、貴金属を含有するチップ27が接合される。チップ27は中心電極13に接合されたチップ14と対向する柱状に形成され、チップ14,27間に火花ギャップを形成する。
【0018】
スパークプラグ10は、例えば、以下のような方法によって製造される。まず、予めチップ14が先端に接合された中心電極13を絶縁体11の軸孔12に挿入し、中心電極13の先端が軸孔12から外部に露出するように配置する。軸孔12に端子金具15を挿入し、端子金具15と中心電極13との導通を確保した後、予め接地電極17の一端部18が接合された主体金具16を絶縁体11の外周に組み付ける。接地電極17の他端部19の側面20にチップ27を接合した後、軸線O方向においてチップ27が中心電極13(チップ14)と対向するように接地電極17を屈曲して、スパークプラグ10を得る。
【0019】
検出装置30は、スパークプラグ10(ワーク)の接地電極17を撮像して得られる画像からワークの各部の位置を検出するための装置である。検出装置30は、絶縁体11が把持されて固定されたスパークプラグ10(ワーク)の中心電極13及び接地電極17を撮像するカメラ31と、カメラ31が撮像した画像を演算処理する画像処理装置32と、ワークに向けて光を照射する第1照明33及び第2照明34とを備えている。
【0020】
カメラ31は、接地電極17の他端部19の端面21、中心電極13及びチップ14の側面に対面し、中心電極13(チップ14)、接地電極17(チップ27)を撮像して画像を得る装置である。画像処理装置32は、カメラ31が撮像した画像から、接地電極17の他端部19の端面21やチップ14,27のエッジを検出するための装置である。画像処理装置32は、任意の範囲のグレースケールを読み取り、明暗の境(エッジ)を検出する。
【0021】
画像処理装置32は、接地電極17に対するチップ27の位置、中心電極13(チップ14)に対する接地電極17やチップ27の位置、接地電極17の端面21の寸法、チップ14,27間の距離(火花ギャップの大きさ)等のうち1種以上を測定する。画像処理装置32の演算結果に基づき、スパークプラグ10の着火性能に影響を与える中心電極13に対するチップ27の位置、接地電極17に対するチップ27の位置などについて、良否判定や調整を行うことができる。
【0022】
第1照明33は、接地電極17の側面20及びその周辺に光を照射する装置である。第1照明33が側面20及びその周辺に光を照射することにより、側面20及びその周辺の反射光、及び、端面21、中心電極13及びチップ14,27のシルエットがカメラ31に入射する。端面21、中心電極13及びチップ14,27のシルエットは、側面20からの反射光を、接地電極17、中心電極13及びチップ14,27が遮ることにより作られる。
【0023】
第2照明34は、接地電極17の他端部19の端面21及びその周辺に光を照射する装置である。第2照明34が端面21及びその周辺に光を照射することにより、端面21及びその周辺の反射光がカメラ31に入射する。
【0024】
検出装置30を用いた画像処理工程の前に溶接工程が行われる。溶接工程では、抵抗溶接やレーザ溶接等により、接地電極17の他端部19の側面20にチップ27が接合される。溶接の熱の影響で接地電極17の端面21の色調や光沢がワーク間でばらつくと、カメラ31が撮像した画像から画像処理装置32が読み取るグレースケールがばらつくので、画像処理によるエッジ検出の精度が低下するという問題点がある。
【0025】
そこで、画像処理による検出精度を確保するために、研磨工程において接地電極17の端面21を研磨する。端面21を研磨して色調の変化した部分を除去したり拡散反射光の強度を大きくしたりできるので、端面21の色調や光沢を整えてワーク間のグレースケールのばらつきを小さくできる。その結果、画像処理によるエッジ検出の精度を確保できる。本実施の形態では、レーザビーム36を端面21に照射して端面21を研磨する場合を説明する。
【0026】
図2は接地電極17の端面21にレーザビーム36が照射される接地電極17及び主体金具16の側面図である。図3(a)はレーザビーム36が照射された端面21の拡大図であり、図3(b)は図3(a)のIIIb−IIIb線における端面21の断面図である。
【0027】
図2に示すように、チップ27が側面20に溶接された接地電極17の端面21に向けて、加工ヘッド35からレーザビーム36が照射される。本実施の形態では、レーザビーム36のビーム軸37は、側面20のうちチップ27が接合された部分(側面20の一部)を延長した仮想平面38(図2紙面に垂直な平面)と非平行である。ビーム軸37と端面21との交点は、端面21上の連続曲線に沿って端面21を走査される。
【0028】
レーザビーム36のビーム軸37を接地電極17の側面20と非平行にすることで、レーザビーム36の照射によるチップ27の損傷を抑制できる。即ち、レーザビーム36のビーム軸37と仮想平面38とが平行の場合には、端面21のうちチップ27に近い部分(図2下側)にレーザビーム36を照射したときに、ビーム軸37が端面21と交わらずに端面21から外れると、チップ27の根元にレーザビーム36が当たってしまう。しかし、ビーム軸37と仮想平面38とが非平行の場合には、ビーム軸37が端面21と交わらずに端面21から外れても、チップ27の根元にレーザビーム36が当たらないようにできるので、レーザビーム36の照射によるチップ27の損傷を抑制できるからである。
【0029】
特に本実施の形態では、仮想平面38よりもチップ27側(図2下側)に加工ヘッド35を配置して、レーザビーム36を端面21に照射するので好ましい。端面21のうちチップ27に近い部分(図2下側)にレーザビーム36を照射したときに、ビーム軸37が端面21と交わらずに端面21から外れても、レーザビーム36が直ちにチップ27に当たってしまうことを防止できるからである。また、端面21のうちチップ27から遠い部分(図2上側)にレーザビーム36を照射したときに、ビーム軸37が端面21と交わらずに端面21から外れても、チップ27にレーザビーム36が当たらないようにできるからである。
【0030】
図3(a)及び図3(b)に示すように、本実施の形態では、パルス発振レーザのレーザビーム36(図2参照)が端面21に照射される。端面21にレーザビーム36が照射されることにより、端面21の表面が部分的に溶融して液相が形成される。その液相が表面張力の作用によって流動した後、固化して縁部41に対して凹んだ凹部40が形成される。レーザの1つのパルスの持続時間と強度とによって、1つの凹部40及び縁部41が形成される。凹部40及び縁部41を複数連ねて端面21に複数の凹凸が形成される。端面21に形成された複数の凹凸によって、端面21からの正反射光の強度を小さくしつつ拡散反射光の強度を大きくできる。その結果、ワーク間の端面21の色調や光沢のばらつきを小さくできる。
【0031】
レーザビーム36を用いる研磨は、砥石やブラシ等の研磨材を用いた機械的な研磨や研削に比べて、端面21へ入力するエネルギーを制御することにより、端面21の表面粗さを再現性良く制御できる。さらに、機械的な研磨や研削、化学研磨などに比べて加工時間を短縮できると共に、洗浄や乾燥などの後処理を不要にできる。また、砥石やブラシ等の研磨材を用いた機械的な研磨の場合は研磨材が摩耗するので、研磨材の管理に工数を要するが、レーザビーム36を用いることで、研磨材の管理を不要にできる。さらに、大気中で処理できることに加え、レーザビーム36の照射により、端面21に形成された酸化膜(図示せず)を溶融または昇華できるので、端面21の色調のばらつきも抑制できる。
【0032】
パルス発振レーザは、連続発振レーザに比べて溶融深度を小さくできるので、凹凸の大きさの制御が容易で、連続発振レーザに比べて、端面21の色調や光沢のばらつきを抑制する再現性や安定性を向上できる。なお、1つの凹部40の大きさは20μm〜40μmに設定され、凹部40の最大深さと縁部41の最大高さとの差は1μm〜10μm、好ましくは3μm〜7μmに設定される。拡散反射光の強度を制御するためである。
【0033】
次に図4及び図5を参照して、カメラ31(図1参照)が撮像した画像から接地電極17の端面21を検出する画像処理について説明する。図4は接地電極17の端面21及びチップ14,27の第1状態における画像の模式図であり、図5は接地電極17の端面21及びチップ14,27の第2状態における画像の模式図である。
【0034】
図4に示す第1状態は、第1照明33を点灯して第2照明34を消灯した状態である。第1状態における画像をグレースケールに変換すると、接地電極17の側面20は「明」、端面21、中心電極13及びチップ14,27は「暗」の画像が得られる。図5に示す第2状態は、第1照明33を消灯して第2照明34を点灯した状態である。第2状態における画像をグレースケールに変換すると、接地電極17の側面20は「暗」、端面21は「明」、中心電極13及びチップ14,27は、その中間の画像が得られる。
【0035】
図4及び図5に示すように画像処理装置32(図1参照)は、エッジ検出のために、ワークの形状や測定内容に応じて複数の検出線が設定される。本実施の形態では、検出線42〜48が設定されている。検出線42〜48は、エッジを検出する範囲を視覚的に表したものである。画像処理装置32は検出線42〜48上のグレースケールを読み取り、明暗の境(エッジ)を検出する。
【0036】
図4に示すように検出線42は、チップ27の側面27b,27bの位置を検出する範囲であり、チップ27の側面27b,27b間を横断する。検出線43,44はチップ27の先端面27aの位置、チップ14の先端面14aの位置を検出する範囲であり、検出線42と直交する。検出線43,44は、互いに平行に配置されると共にチップ14,27を縦断する。検出線45は、チップ14の側面14b,14bの位置を検出する範囲であり、検出線42と平行に配置されると共にチップ14の側面14b,14b間を横断する。
【0037】
図5に示すように検出線46,47,48は、端面21の縁部22(エッジ)を検出する範囲である。縁部22は、チップ27が溶接された側面20と端面21との稜23と、稜23の両端24にそれぞれ連絡して互いに対向する一対の稜25と、稜25に両端が連絡して稜23に対向する稜26と、を備えている。検出線46は、縁部22のうち稜23の両端24の位置を検出する範囲であり、稜23の両端24の部分と交差する。検出線47,48は、稜23,26の位置を検出する範囲であり、検出線46と直交する。検出線47,48は、互いに平行に配置されると共に稜23,26と交差する。
【0038】
次に、画像処理工程における検出線42〜48を使ったエッジ検出について説明する。検出装置30は、検出線42上のグレースケールを読み取り、チップ27の側面27bの位置を検出し、検出線46上のグレースケールを読み取り、稜23の両端24の位置を検出する。これにより検出装置30は、稜23に対するチップ27の側面27bの位置を検出できる。検出装置30は、この検出結果に基づき、接地電極17の側面20の幅方向(図5左右方向)の所定の位置にチップ27が接合されているか否かを判定できる。
【0039】
検出装置30は、検出線47,48上のグレースケールを読み取り、稜23,26の位置を検出し、検出線43,44上のグレースケールを読み取り、チップ27の先端面27aの位置を検出する。これにより検出装置30は、稜23,26間の距離、及び、稜23,26に対するチップ27の先端面27aの位置を検出できる。検出装置30は、この検出結果に基づき、稜23,26間の距離(軸線O方向における端面21の長さ、即ち接地電極17の厚さ)、接地電極17の稜23とチップ27の先端面27aとの距離、及び、稜23と先端面27aとの平行度が、所定の範囲にあるか否かを判定できる。
【0040】
検出装置30は、検出線42上のグレースケールを読み取り、チップ27の側面27bの位置を検出し、検出線45上のグレースケールを読み取り、チップ14の側面14bの位置を検出する。これにより検出装置30は、チップ14の側面14bに対するチップ27の側面27bの位置を検出できる。検出装置30は、この検出結果に基づき、チップ14に対するチップ27の幅方向(図5左右方向)のずれ量が、所定の範囲にあるか否かを判定できる。
【0041】
検出装置30は、検出線43,44上のグレースケールを読み取り、チップ27の先端面27a及びチップ14の先端面14aの位置を検出する。これにより検出装置30は、チップ14の先端面14aに対するチップ27の先端面27aの位置を検出できる。検出装置30は、この検出結果に基づき、チップ14,27間の火花ギャップ、及び、先端面14a,27aの平行度が、所定の範囲にあるか否かを判定できる。
【0042】
本実施の形態によれば、画像処理工程の前に行われる研磨工程により、端面21の縁部22の少なくとも一部(検出線42〜48が交わる部分)が研磨されるので、その部分の拡散反射光の強度を相対的に大きくできる。その結果、端面21の色調や光沢のばらつきを抑制できる。従って、検出装置30を用いた画像処理による端面21のエッジ検出の検出精度を確保できる。
【0043】
なお、研磨工程において、端面21の縁部22のうち稜23の両端24の部分が少なくとも研磨される。これにより検出装置30は、稜23の両端24の部分に対するチップ27の位置の検出精度を確保できる。その結果、検出装置30は、接地電極17の側面20の幅方向(図5左右方向)の所定の位置にチップ27が接合されているか否かの判定精度を確保できる。
【0044】
研磨工程において、端面21の縁部22のうち稜23の部分が少なくとも研磨される。これにより検出装置30は、稜23の部分に対するチップ27の位置の検出精度を確保できる。その結果、検出装置30は、接地電極17の稜23とチップ27の先端面27aとの距離などが所定の範囲にあるか否かの判定精度を確保できる。
【0045】
研磨工程において、端面21の縁部22の全てが少なくとも研磨される。これにより検出装置30は、稜23,26間の距離、稜23の両端24間の距離の検出精度を確保できる。その結果、検出装置30は、接地電極17の端面21の寸法(接地電極17の厚さ及び幅)を測定できる。よって、寸法が異なる接地電極17をもつスパークプラグ10が混入されてないかどうかを検出できる。
【0046】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0047】
上記実施の形態では、接地電極17の端面21にパルス発振レーザのレーザビーム36を照射する場合について説明したが、必ずしもこれに限るものではない。例えば、パルス発振レーザに代えて、連続発振レーザのレーザビーム36を端面21に照射して端面21を研磨することは当然可能である。連続発振レーザであっても、パルス発振レーザと同様に、接地電極17の端面21を溶融できるからである。
【0048】
上記実施の形態では、接地電極17の端面21にレーザビーム36を照射する場合について説明したが、必ずしもこれに限るものではない。レーザビーム36に代えて、接地電極17に電子ビームを照射することは当然可能である。加速させた電子(熱電子)を接地電極17の端面21に衝突させて、レーザビーム36と同様に、端面21を溶融できるからである。また、レーザビーム36に代えて、砥石やブラシ等の研磨材を用いた機械的な研磨や研削、化学研磨によって、接地電極17の端面21を研磨することは当然可能である。これらの研磨や研削によっても、端面21の色調の変化した部分を除去したり拡散反射光の強度を大きくしたりできるからである。
【0049】
上記実施の形態では、主体金具16を絶縁体11に取り付けた状態で接地電極17の他端部19側を屈曲した後、接地電極17の端面21を研磨する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。接地電極17の他端部19側の側面20にチップ27を溶接した後であれば、接地電極17の他端部19側を屈曲する前に端面21を研磨することは当然可能である。また、接地電極17の他端部19側の側面20にチップ27を溶接した後であれば、主体金具16を絶縁体11に取り付ける前に端面21を研磨することは当然可能である。
【0050】
上記実施の形態では、画像処理における検出線46が、稜23の両端24と交差する位置に設定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。一対の稜25,25と交差する位置に検出線46を設定することは当然可能である。稜25,25間の距離と稜23の両端24間の距離とは等しいので、上記実施の形態と同様に、検出装置30は、稜23の両端24の部分に対するチップ27の位置を検出できるからである。
【0051】
上記実施の形態では、主体金具16に接合された接地電極17を屈曲させる場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。屈曲した接地電極17を用いる代わりに、直線状の接地電極を用いることは当然可能である。この場合には、主体金具16の先端側を軸線O方向に延ばし、直線状の接地電極を主体金具16に接合して、接地電極を中心電極13と対向させる。
【0052】
上記実施の形態では、中心電極13にチップ14が接合される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、チップ14を省略することは当然可能である。
【0053】
上記実施の形態では、チップ27が中心電極13と軸線O方向に対向するように接地電極17を配置する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、接地電極17と中心電極13との位置関係は適宜設定できる。接地電極17と中心電極13との他の位置関係としては、例えば、中心電極13(チップ14)の側面とチップ27とが対向するように接地電極17を配置すること等が挙げられる。この場合には、接地電極17の端面21からチップ27が突出するように、接地電極17にチップ27を接合することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 スパークプラグ
16 主体金具
17 接地電極
18 一端部
19 他端部
20 側面
21 端面
22 縁部
23 稜
24 両端
27 チップ
36 レーザビーム
37 ビーム軸
図1
図2
図3
図4
図5