特許第6404390号(P6404390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404390トナーバインダーの製造方法及び樹脂粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404390
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】トナーバインダーの製造方法及び樹脂粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/087 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   G03G9/087 331
   G03G9/087
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-47547(P2017-47547)
(22)【出願日】2017年3月13日
(65)【公開番号】特開2017-187751(P2017-187751A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-69479(P2016-69479)
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大田 泰昭
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−058650(JP,A)
【文献】 特開2016−224309(JP,A)
【文献】 特開2016−224329(JP,A)
【文献】 特開2015−176115(JP,A)
【文献】 特開2015−169930(JP,A)
【文献】 特開2015−169885(JP,A)
【文献】 特開2015−052698(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/118893(WO,A1)
【文献】 特開2009−294418(JP,A)
【文献】 特開2007−249079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08−9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)とアミン化合物(B)及び/又は水との反応により形成されるポリウレタンウレア(C)を含有するトナーバインダーであって、該プレポリマー(A)が、数平均分子量が1,000〜15,000であるジオール(D1)と3価以上のポリオール(D2)とジイソシアネート(E)とを構成原料として反応させてなるプレポリマーであって、ジオール(D1)と3価以上のポリオール(D2)とのモル比(D1)/(D2)が2.0〜25.0であり、前記プレポリマー(A)が前記ジオール(D1)と前記ポリオール(D2)と前記ジイソシアネート(E)とを一括して反応させたものであることを特徴とするトナーバイダーの製造方法
【請求項2】
該プレポリマー(A)の分子量分布Wとジオール(D1)の分子量分布WD1とが下記の関係式(1)を満たす請求項1に記載のトナーバインダーの製造方法
1.5≦W−WD1≦5.0 (1)
[但し、Wはプレポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で算出され、WD1はジオール(D1)の重量平均分子量(MwD1)/数平均分子量(MnD1)で算出される。]
【請求項3】
ジオール(D1)がジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)とが重縮合されてなるポリエステルジオール(D11)を含有する請求項1又は2に記載のトナーバインダーの製造方法
【請求項4】
3価以上のポリオール(D2)が、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールからなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜3いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法
【請求項5】
プレポリマー(A)のウレタン基濃度がプレポリマー(A)の重量に基づいて、1.0〜10.0重量%である請求項1〜4いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法
【請求項6】
アミン化合物(B)が、2官能以上のポリアミン(B1)である請求項1〜5いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法
【請求項7】
ポリウレタンウレア(C)の含有量がトナーバインダーの重量に基づいて0.1〜50重量%である請求項1〜6いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法
【請求項8】
更に、非結晶性ポリエステル(L)を含有する請求項1〜7いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法
【請求項9】
請求項1〜8いずれかに記載のトナーバインダーを含有してなる樹脂粒子の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトナーバインダー、その製造方法及び樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンターにおける画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の電子写真用トナーバインダーには、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できる(低温定着性)が求められている。また、更に高画質化の要求も大きく、とりわけフルカラー複写機、フルカラープリンターにおいては高光沢な画像(高光沢性)の提供が求められている。
【0003】
低温定着性を発現させるためにポリエステル系のトナーバインダーが用いられており、また、結晶性ポリエステルをトナー内部に導入することで低温定着性を改善できるトナーバインダーが提案されている(特許文献1)。
しかし、このようなトナーではトナーが熱ロールに融着する問題(ホットオフセット)の発生が起こりやすい。
【0004】
このような問題を解決するための手段としては、たとえば架橋剤と分子量調節剤を用いて適度に架橋されたビニル系重合体からなるトナー(特許文献2)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが3.5〜40になるように分子量分布を広くしたトナー(特許文献3)が提案されている。
一方で、ポリエステル樹脂と多価イソシアネートとを反応させることにより形成されたウレタン変性ポリエステル樹脂を用いたトナー(特許文献4〜12など)や、架橋を有するポリエステル樹脂を骨格として有し、更に末端に反応性官能基を有する変性ポリエステルプレポリマーを用いたトナー(特許文献13)も提案されている。
【0005】
しかしこれらのトナーはいずれも、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立、あるいは低温定着性と光沢性の両立は可能であるが、低温定着性、耐ホットオフセット性及び光沢性の3つの性能を同時に満足させることはできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−287426号公報
【特許文献2】特公昭51−2334号公報
【特許文献3】特公昭55−6805号公報
【特許文献4】特開昭63−56659号公報
【特許文献5】特開平1−154068号公報
【特許文献6】特開平2−166464号公報
【特許文献7】特開平2−308175号公報
【特許文献8】特開平4−211272号公報
【特許文献9】特開平11−282203号公報
【特許文献10】特開平11−305481号公報
【特許文献11】特開2000−234011号公報
【特許文献12】特開2004−258627号公報
【特許文献13】特開2008−233360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は低温定着性と耐ホットオフセット性を両立し、かつ光沢性にも優れるトナーバインダー、トナーバインダーの製造方法、並びにそのバインダーを含有してなる樹脂粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、イソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)とアミン化合物(B)及び/又は水との反応により形成されるポリウレタンウレア(C)を含有するトナーバインダーであって、該プレポリマー(A)が、数平均分子量が1,000〜15,000であるジオール(D1)と3価以上のポリオール(D2)とジイソシアネート(E)とを構成原料として反応させてなるプレポリマーであって、ジオール(D1)と3価以上のポリオール(D2)とのモル比(D1)/(D2)が2.0〜25.0であり、前記プレポリマー(A)が前記ジオール(D1)と前記ポリオール(D2)と前記ジイソシアネート(E)とを一括して反応させたものであることを特徴とするトナーバイダーの製造方法;このトナーバインダーを含有してなる樹脂粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトナーバインダーを含有してなる樹脂粒子は両立が困難な、低温定着性、耐ホットオフセット性及び光沢性の3つの性能を同時に満足させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のトナーバインダーを説明する。
本発明のトナーバイダーは、ポリウレタンウレア(C)を必須成分とし、この(C)はイソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)とアミン化合物(B)及び/又は水との伸長反応により形成される。そして、このプレポリマー(A)は、数平均分子量が1,000〜15,000であるジオール(D1)と3価以上のポリオール(D2)とジイソシアネート(E)との3成分を構成原料として反応させてなるプレポリマーであって、更に、ジオール(D1)と3価以上のポリオール(D2)とのモル比(D1)/(D2)が2.0〜25.0であることを特徴とする。
【0011】
本発明のトナーバインダーの必須成分のポリウレタンウレア(C)は、イソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)とアミン化合物(B)との伸長反応、又はこのプレポリマー(A)と水との伸長反応により形成される。なお、アミン化合物(B)と水の併用であってもよい。
【0012】
本発明のイソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)は、数平均分子量が1,000〜15,000であるジオール(D1)と3価以上のポリオール(D2)とジイソシアネート(E)とを構成原料として反応させることにより得られる。
【0013】
プレポリマー(A)の構成原料となるジオール(D1)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);
アルキレンエーテルグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);
炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する場合がある。)付加物(付加モル数2〜100)[例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールのエチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する場合がある。)10モル付加物等];炭素数13〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)又は炭素数12〜24のポリフェノール(例えばカテコール、ハイドロキノン及びレゾルシン等)のAO[EO、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する場合がある。)及びブチレンオキサイド等]付加物(付加モル数2〜100)(例えばビスフェノールA・EO2〜4モル付加物及びビスフェノールA・PO2〜4モル付加物等);
ポリラクトンジオール(例えばポリ−ε−カプロラクトンジオール等);ポリブタジエンジオール;ポリエステルジオール;及びポリカーボネート、ポリイソプレンポリオール及び水添ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
【0014】
ジオール(D1)のうち好ましいのは、ジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)とを重縮合させてなるポリエステルジオール(D11)、アルキレンエーテルグリコール、炭素数13〜30のビスフェノール類のAO付加物が挙げられ、特に好ましいのはポリエステルジオール(D11)である。
【0015】
ここで、ポリエステルジオール(D11)は、ジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)とを重縮合させて得られるポリエステルのうち、末端に2個の水酸基を有するジオ−ルである。
【0016】
ポリエステルジオール(D11)の構成原料であるジオール成分(x)は、前述したジオール(D1)で例示したものが使用できる。
【0017】
ポリエステルジオール(D11)の構成原料であるジカルボン酸成分(y)としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸及びメサコン酸等);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[例えばダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[例えばアルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
【0018】
ジオール(D1)の数平均分子量は、1,000〜15,000であり、好ましくは1,100〜12,000であり、更に好ましくは1,200〜10,000である。数平均分子量が1000未満であると耐ホットオフセット性が悪化し、15,000を超えると光沢性が悪化する。
【0019】
3価以上のポリオール(D2)としては、3〜8価又はそれ以上の炭素数3〜10の脂肪族多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトール等);
炭素数25〜50のトリスフェノールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する場合がある。)付加物(付加モル数2〜100)(例えばトリスフェノール・エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する場合がある。)2〜4モル付加物、及びトリスフェノールPA・プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する場合がある。)2〜4モル付加物等);
重合度3〜50のノボラック樹脂(例えばフェノールノボラック及びクレゾールノボラック等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(フェノールノボラックPO2モル付加物及びフェノールノボラックEO4モル付加物);
炭素数6〜30のポリフェノール(例えばピロガロール、フロログルシノール及び1,2,4−ベンゼントリオール等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(ピロガロールEO4モル付加物);
ポリエステルポリオール(例えばジオール成分(x)とポリカルボン酸とのポリエステルポリオール、ジカルボン酸成分(y)とポリオールとのポリエステルポリオール、及びポリオールとポリカルボン酸とのポリエステルポリオール等);
及びアクリルポリオール{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他の重合性二重結合を有する単量体[例えばスチレン、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等]との共重合物等}等が挙げられる。
【0020】
ポリオール(D2)のうち好ましいのは、脂肪族多価アルコール、ポリエステルポリオール、ノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいのは脂肪族多価アルコールであり、特に好ましいのは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールである。
【0021】
ジオール(D1)とポリオール(D2)の比率は、ジオール(D1)とポリオール(D2)のモル比(D1)/(D2)が通常2.0〜25.0、好ましくは3.0〜23.0、更に好ましくは5.0〜20.0である。
(D1)/(D2)が2.0未満では光沢性が悪化し、(D1)/D2)が25.0を超えると耐ホットオフセット性が悪化する。
【0022】
本発明で用いるジイソシアネート(E)としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0023】
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート(TDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート,1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0024】
脂環族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート,1,3−シクロへキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート,水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0025】
芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソソアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2’一ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0026】
ジイソシアネート(D1)のうちで好ましいものは6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIである。
【0027】
プレポリマー(A)中のウレタン基濃度は、通常1.0〜10.0重量%であり、好ましくは1.2〜9.0重量%であり、更に好ましくは2.0〜8.0重量%である。ウレタン基濃度が低いと耐ホットオフセット性が悪化し、高いと光沢性が悪化する。
【0028】
プレポリマー(A)と伸長反応させるアミン化合物(B)としては、2官能以上のポリアミン(B1)が好ましい。
【0029】
2官能以上のポリアミン(B1)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン(B11)、炭素数6〜20の芳香族ジアミン(B12)等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミン(B11)としては、鎖状脂肪族ジアミン(B111)及び環状脂肪族ジアミン(B112)等が挙げられる。
【0030】
鎖状脂肪族ジアミン(B111)としては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ジアミン(B112)としては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
【0031】
炭素数6〜20の芳香族ジアミン(B12)としては、非置換芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0032】
非置換芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0033】
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0034】
プレポリマー(A)と伸長反応させるアミン化合物としては、ブロック化されたアミン化合物(B2)でも差し支えない。ブロックが外れればアミンとして作用するからである。
このようなブロック化されたアミン化合物(B2)としては、例えば前記2官能以上のポリアミン(B1)とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)とを反応させることによって得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。
【0035】
アミン化合物(B)のうちで好ましいのは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びこれらの混合物である。
プレポリマー(A)と伸長反応させるには、アミン化合物(B)ではなく、水であってもよいし、アミン化合物(B)と水を併用してもよい。但し、反応性の観点より、水単独で使用する場合はアミン化合物(B)と比較してプレポリマー(A)との反応性が劣るため40〜50℃で24時間以上反応を行う必要がある。
【0036】
アミン化合物(B)又は水と、イソシアネート基含有プレポリマー(A)の混合比として、イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基とアミン化合物(B)中又は水中の活性水素との当量比を[NCO]/[H]とした場合、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、水によって伸長反応を行う場合は、水は2価の活性水素含有化合物として取り扱う。
[NCO]/[H]が2を超えたり、1/2未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0037】
イソシアネート基含有プレポリマー(A)のMwは、耐ホットオフセット性及び光沢度の観点より、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、更に好ましくは20,000〜200,000である。
本発明において、プレポリマー(A)等の樹脂のMnとMwは、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
【0038】
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、ポリエステル樹脂等をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
【0039】
更に、プレポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除して得られる分子量分布(W)と、ジオール(D1)の分子量分布(WD1)との差が下記の関係式(1)を本発明のトナーバインダーは満足することが好ましい。
1.5≦W−WD1≦5.0 (1)
【0040】
ここで、Wはプレポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で算出され、WD1はジオール(D1)の重量平均分子量(MwD1)/数平均分子量(MnD1)で算出される。
【0041】
−WD1の値は通常1.5≦W−WD1≦5.0であり、好ましくは1.8≦W−WD1≦4.0、更に好ましくは2.0≦W−WD1≦3.5である。W−WD1の値が1.5未満の場合は耐ホットオフセット性が悪化する場合があり、W−WD1の値が4.0より大きいと光沢度が悪化する場合がある。
【0042】
本発明のポリウレタンウレア(C)の含有量は、トナーバインダーの重量に基づく、プレポリマー(A)とアミン化合物(B)の合計量である。トナーバインダーはポリウレタンウレア(C)に後記する非結晶性樹脂(L)と結晶性樹脂(M)とを更に加えた合計量である。
ポリウレタンウレア(C)の含有量は、耐ホットオフセット性及び光沢性の観点から、トナーバインダーの重量に基づいて好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは3.0〜40重量%、更に好ましくは5.0〜30重量%である。
【0043】
本発明のトナーバインダーには、更に、イソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)及びアミン化合物(B)のいずれとも反応しない非結晶性ポリエステル樹脂(L)を併用することもできる。
この非結晶性ポリエステル樹脂(L)を併用することで、低温定着性及び光沢性が向上し、イソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)をアミン化合物及び/又は水と伸長反応により形成されるポリウレタンウレア(C)単独使用より好ましい。
なお、この非結晶性ポリエステル樹脂(L)の「非結晶性」とは、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度(融点)との比[軟化温度/融解熱の最大ピーク温度(融点)]が1.55より大きく、熱により緩やかに軟化する性状を有する樹脂を「非結晶性樹脂」とする。
【0044】
また、ポリウレタンウレア(C)、非結晶性ポリエステル樹脂(L)に加えて、本発明のトナーバインダーに更に結晶性樹脂(M)を含有させることが低温定着性の観点から好ましい。
【0045】
なお、本発明における「結晶性」とは、軟化温度/融解熱の最大ピーク温度の比が0.80〜1.55であり、熱により急峻に軟化する性状を有する樹脂を「結晶性樹脂」とする。
【0046】
この目的で含有させる結晶性樹脂(M)としては、ポリウレタンウレア(C)及び非結晶性樹脂(L)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
例えば結晶性ポリエステル、結晶性ポリウレタン、結晶性ポリウレア、結晶性ポリアミド、結晶性ポリビニルなどの化合物が挙げられる。この中でも相溶性の観点から結晶性ポリエステルが好ましい。結晶性の観点から、ジオール成分の直鎖型脂肪族ジオールの含有率が80モル%以上である結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0047】
本発明の樹脂粒子は定着方式として熱定着方式が採用されている電子写真装置に用いられる樹脂粒子であり、本発明のトナーバインダーを含有してなる。
本発明の樹脂粒子には、本発明のトナーバインダーの他に、着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等を含有させることができる。
【0048】
着色剤としては、樹脂粒子用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ソルベントイエロー(21、77及び114等)、ピグメントイエロー(12、14、17及び83等)、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、ソルベントレッド(17、49、128、5、13、22及び48・2等)、ディスパースレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ソルベントブルー(25、94、60及び15・3等)、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性金属の粉末、マグネタイト、ヘマタイト並びにフェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
【0049】
離型剤としては、軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス(例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックス等)、炭素数30〜50の脂肪族アルコール(例えばトリアコンタノール等)、炭素数30〜50の脂肪酸(例えばトリアコンタンカルボン酸等)及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、ポリメチレン(例えばサゾールワックス等のフィシャートロプシュワックス等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸カルシウム等)及び脂肪酸エステル(ベヘニン酸ベヘニル等)等が挙げられる。
【0050】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0051】
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム及び炭酸バリウム等が挙げられる。
【0052】
本発明の樹脂粒子を構成する各成分の含有率は、以下の通りである。
トナーバインダーの含有率は、樹脂粒子の重量に基づき、好ましくは30〜97重量%であり、更に好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは45〜92重量%である。
着色剤の含有率は、樹脂粒子の重量に基づき、好ましくは0〜60重量%であり、更に好ましくは0.1〜55重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。
離型剤の含有率は、樹脂粒子の重量に基づき、好ましくは0〜30重量%であり、更に
好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
荷電制御剤の含有率は、樹脂粒子の重量に基づき、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤の含有率は、樹脂粒子の重量に基づき、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
【0053】
本発明の樹脂粒子は、必要に応じて、キャリアー粒子[鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等]と混合して、電気的潜像の現像剤として用いることができる。また、キャリアー粒子の替わりに、帯電ブレード等と摩擦させて、電気的潜像を形成させることもでき、電気的潜像は、公知の熱ロール定着方法等によって、支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着される。
【0054】
本発明の樹脂粒子の体積平均粒径(以下D50と略記する)は、好ましくは1〜15μmであり、更に好ましくは2〜10μm、特に好ましくは3〜7μmである。
なお、本発明の樹脂粒子の体積平均粒径は、コールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
【0055】
本発明の樹脂粒子の製造方法については特に制限はなく、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法により樹脂粒子を得る場合、流動化剤を除く樹脂粒子を構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径が好ましくは1〜15μmの微粒子とした後、流動化剤を混合して製造することができる。乳化転相法により樹脂粒子を得る場合、流動化剤を除く樹脂粒子を構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散した後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。また、特開2002−284881号公報に記載の有機微粒子を用いる方法や、特開2007−277511号公報に記載の超臨界状態の二酸化炭素中で分散する方法により製造してもよい。
【0056】
本発明のトナーバインダーの製造方法は、イソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)とアミン化合物(B)及び/又は水との伸長反応により形成されるポリウレタンウレア(C)を含有するトナーバインダーの製造方法において、1,000〜15,000のジオール(D1)とジイソシアネート(E)とを反応させたものと、3価以上のポリオール(D2)とを反応させてイソシアネート基(e)を含有するプレポリマー(A)を得る工程を含む。
【0057】
前記工程で得られるトナーバインダーは、架橋点間距離が一定になり、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立し、かつ光沢性にも優れることから好ましい。
【実施例】
【0058】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
製造例1 <ジオール(D1−1)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物439重量部(60.6モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物329重量部(39.4モル部)、テレフタル酸206重量部(66.8モル部)、アジピン酸90重量部(33.2モル部)及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、次いで230℃まで徐々に昇温しながら、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。酸価が1未満になった時点で取り出し、ジオール(D1−1)を得た。
ジオール(D1−1)のTgは45℃、水酸基価は25、数平均分子量は3,900、重量平均分子量は11,000、分子量分布は2.8であった。
【0060】
製造例2〜4 <ジオール(D1−2)〜(D1−4)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多価アルコール及びポリカルボン酸を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ジオール(D1−2)〜(D1−4)を得た。
【0061】
【表1】
【0062】
製造例5 <ジオール(D1−5)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、3−メチルー1,5−ペンタンジオール508重量部(100モル部)、テレフタル酸338重量部(49.9モル部)、アジピン酸298重量部(50.1モル部)及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、次いで220℃まで徐々に昇温し、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。酸価が1未満になった時点で取り出し、ジオール(D1−5)を得た。
ジオール(D1−5)のTgは−40℃、水酸基価は25、数平均分子量は3,800、重量平均分子量は11,000、分子量分布は2.9であった。
【0063】
製造例6 <ジオール(D1−6)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多価アルコール及びポリカルボン酸を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ジオール(D1−6)を得た。
【0064】
製造例7 <ジオール(D1−7)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多価アルコール及びポリカルボン酸を仕込み、それ以外は製造例5と同様に反応を行い、ジオール(D1−6)を得た。
【0065】
製造例8 <ジオール(D1’−1)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多価アルコール及びポリカルボン酸を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ジオール(D1−6)を得た。なお、この(D1’−1)は数平均分子量が15,000を超えるので比較例の原料として使用する。
【0066】
製造例9 <ジオール(D1’−2)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多価アルコール及びポリカルボン酸を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ジオール(D1−6)を得た。なお、この(D1’−1)は数平均分子量が1,000より小さいので比較例の原料として使用する。
【0067】
製造例10と11 <3価以上のポリオール(D2−4)と(D2−5)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多価アルコール及びポリカルボン酸を仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリオール(D2−4)と(D2−5)を得た。
【0068】
製造例1〜11で得られたジオール(D1−1)〜(D1−7)と(D1’−1)〜(D1’−2)、ポリオール(D2−4)と(D2−5)について、それぞれの組成と物性値を表1に示す。
【0069】
製造例9 <プレポリマー(A−1)溶液の合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器にポリオール(D1−1)447重量部、トリメチロールプロパン1.2重量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)(E−1)52重量部及び酢酸エチル500重量部を投入し、密閉状態で80℃、10時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を含有するプレポリマー(A−1)溶液を得た。
プレポリマー(A−1)のウレタン基濃度は2.3、数平均分子量は6,200、重量平均分子量は32,240、分子量分布は5.2であった。
【0070】
製造例10〜18 <プレポリマー(A−2)溶液〜(A−10)溶液の合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器に表2に記載したジオール、ポリオール、ジイソシアネート及び酢酸エチルを投入し、それ以外は製造例9と同様に反応を行い、分子末端にイソシアネートを含有するプレポリマー(A−2)溶液〜(A−10)溶液を得た。
【0071】
【表2】
【0072】
なお、表2中の(E−2)はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。
【0073】
比較製造例1 <プレポリマー(A’−1)溶液の合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器にジオール(D1−1)447重量部、イソホロンジイソシアネート52重量部及び酢酸エチル500重量部を投入し、密閉状態で80℃、10時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を含有するプレポリマー(A’−1)溶液を得た。
プレポリマー(A’−1)のウレタン基濃度は2.0、数平均分子量は6,900、重量平均分子量は25,000、分子量分布3.6はであった。なお、(A’−1)は3価以上のポリオールは使用していないので比較例1の樹脂粒子に使用する。
【0074】
比較製造例2 <プレポリマー(A’−2)溶液の合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器にジオール(D1−1)447重量部、トリメチロールプロパン7.2重量部、イソホロンジイソシアネート52重量部及び酢酸エチル500重量部を投入し、密閉状態で80℃、10時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を含有するプレポリマー(A’−2)溶液を得た。
プレポリマー(A’−2)のウレタン基濃度は3.8、数平均分子量は20,000、重量平均分子量は158,000、分子量分布は7.9であった。なお、(A’−2)では(D1)/(D2)のモル比が1.9なので比較例2の樹脂粒子に使用する。
【0075】
比較製造例3 <プレポリマー(A’−3)溶液の合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器に表2に記載したジオール、ポリオール、ジイソシアネート、酢酸エチルを用いて実施例2に準じて反応を行い、分子末端にイソシアネートを含有するプレポリマー(A’−3)溶液を得た。なお、(A’−3)では(D1)/(D2)のモル比が27.6なので比較例3のに使用する。
【0076】
比較製造例4 <プレポリマー(A’−4)溶液合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器に表2に記載したジオール(D1’−1)、ポリオール、ジイソシアネート、酢酸エチルを用いて比較例2に準じて反応を行い、分子末端にイソシアネートを含有するプレポリマー(A’−4)溶液を得た。なお、(A’−4)は使用したジオール(D1’−1)の数平均分子量は15,800なので比較例9の樹脂粒子に使用する。
【0077】
比較製造例5 <プレポリマー(A’−5)溶液合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器にポリオール(D2−4)447重量部、イソホロンジイソシアネート79重量部及び酢酸エチル500重量部を投入し、密閉状態で80℃、10時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を含有するプレポリマー(A’−5)溶液を得た。
プレポリマー(A’−5)のウレタン基濃度は3.2、数平均分子量は3,300、重量平均分子量は13,860、分子量分布は4.2であった。なお、(A’−5)はジオール(D1)を使用しないので比較例5の樹脂粒子に使用する。
【0078】
比較製造例6 <プレポリマー(A’−6)溶液合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器にポリオール(D2−5)500重量部及び酢酸エチル500重量部を投入し、密閉状態で80℃、5時間攪拌を行い、分子末端にイソシアネート基を含有しないプレポリマー(A’−6)溶液を得た。なお、(A’−6)はジイソシアネートを使用しないので比較例6の樹脂粒子に使用する。
【0079】
比較製造例7 <プレポリマー(A’−7)溶液合成>
攪拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器に表2に記載したジオール(D1’−2)、ポリオール、ジイソシアネート、酢酸エチルを用いて比較例2に準じて反応を行い、分子末端にイソシアネートを含有するプレポリマー(A’−7)溶液を得た。なお、(A’−7)は使用したジオール(D1’−2)の数平均分子量は860なので比較例7の樹脂粒子に使用する。
【0080】
製造例9〜18及び比較製造例1〜7で得られたプレポリマー(A−1)〜(A−10)溶液及び比較のプレポリマー(A’−1)〜(A’−7)溶液について、それぞれの組成と物性値を表2に示す。
【0081】
製造例19<非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物418重量部(58.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物314重量部(38.0モル部)、トリメチロールプロパン10重量部(3.5モル部)、テレフタル酸243重量部(82.3モル部)、アジピン酸46重量部(17.7モル部)及び縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、次いで230℃まで徐々に昇温しながら、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸31部を加え、常圧密閉下1時間反応後、取り出し、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)のTgは58℃、水酸基価は28、酸価は18、数平均分子量は3,000、重量平均分子量は9,500であった。
【0082】
製造例20<結晶性ポリエステル樹脂(M−1)の合成>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、1,6-ヘキサンジオール387重量部(95.6モル部)、ベヘニルアルコール48重量部(4.4モル部)、セバシン酸687重量部(100.0モル部)及び重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出し、結晶性ポリエステル樹脂(M−1)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂(M−1)のTmは70℃、水酸基価は7、酸価は2、数平均分子量は6,300、重量平均分子量は19,900であった。
【0083】
製造例21 <[微粒子分散液]の製造>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、水690.0重量部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステルのナトリウム塩「エレミノールRS−30」[三洋化成工業(株)製]9.0重量部、スチレン90.0重量部、メタクリル酸90.0重量部、アクリル酸ブチル110.0重量部及び過硫酸アンモニウム1.0重量部を投入し、350回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。
次いで75℃まで昇温し、同温度で5時間反応させた。更に、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液30重量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の[微粒子分散液]を得た。
微粒子分散液に分散されている粒子の体積平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−920」[(株)堀場製作所製]を用いて測定したところ、0.1μmであった。
[微粒子分散液]の一部を取り出し、Tg及びMwを測定したところ、Tgは65℃であり、Mwは150,000であった。
【0084】
製造例22<[着色剤分散液]の製造>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール557重量部(17.5モル部)、テレフタル酸ジメチルエステル569重量部(7.0モル部)、アジピン酸184重量部(3.0モル部)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を投入し、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール及び水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは175重量部(5.5モル部)であった。
次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸121重量部(1.5モル部)を加え、常圧密閉下で2時間反応後、220℃、常圧で軟化点が180℃になるまで反応させ、ポリエステル樹脂(Mn=8,500)を得た。
ビーカーに、銅フタロシアニン20重量部と着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]4重量部、得られたポリエステル樹脂20重量部及び酢酸エチル56重量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、[着色剤分散液]を得た。
[着色剤分散液]の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.2μmであった。
【0085】
製造例23 <[変性ワックス]の製造>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、キシレン454重量部、低分子量ポリエチレン 「サンワックス LEL−400」[軟化点:128℃、三洋化成工業(株)製]150重量部を投入し、窒素置換後撹拌下170℃に昇温し、同温度でスチレン595重量部、メタクリル酸メチル255重量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34重量部及びキシレン119重量部の混合溶液を3時間かけて滴下し、更に同温度で30分間保持した。次いで0.039MPaの減圧下でキシレンを留去し、[変性ワックス]を得た。
[変性ワックス]のグラフト鎖のSP値は10.35(cal/cm1/2、Mnは1,900、Mwは5,200、Tgは56.9℃であった。
【0086】
製造例24<[離型剤分散液]の製造>
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]10重量部、製造例13で得られた[変性ワックス]1重量部及び酢酸エチル33重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、[離型剤分散液]を得た。体積平均粒径は0.25μmであった。
【0087】
製造例25 <[結晶性ポリエステル樹脂(M−1)分散液]の製造>
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル樹脂(M−1)20重量部及び酢酸エチル80重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却して結晶性ポリエステル樹脂を微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、[結晶性ポリエステル樹脂(M−1)分散液]を得た。体積平均粒径は0.3μmであった。
【0088】
製造例26 <ブロック化アミン化合物(B−3)の製造>
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、イソホロンジアミン50重量部とメチルエチルケトン300重量部を投入し、50℃で5時間反応を行った後に脱溶剤して、ケチミンブロック化アミン化合物(B−3)を得た。
アミン化合物(B−3)の全アミン価は415であった。
【0089】
実施例1 <樹脂粒子(S−1)の製造>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、[微粒子分散液]0.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。
次いで、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)71重量部、[着色剤分散液]40重量部、[離型剤分散液]39重量部及び酢酸エチル54重量部を投入し、撹拌して均一に溶解させた樹脂溶液にプレポリマー(A−1)溶液18重量部及びイソホロンジアミン(B−1)0.26重量部を投入して、TKオートホモミキサーにて10,000rpmで2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナーバインダー(T−1)を含む樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た後、洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)1.0部をサンプルミルにて混合して、本発明の樹脂粒子(S−1)を得た。
【0090】
【表3】
【0091】
実施例2 <樹脂粒子(S−2)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−2)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.19重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−2)を含む樹脂粒子(S−2)を得た。
【0092】
実施例3 <樹脂粒子(S−3)の製造>
実施例9において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−3)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.42重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−3)を含む樹脂粒子(S−3)を得た。
【0093】
実施例4 <樹脂粒子(S−4)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−4)に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.28重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−4)を含む樹脂粒子(S−4)を得た。
【0094】
実施例5 <樹脂粒子(S−5)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−5)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.27重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−5)を含む樹脂粒子(S−5)を得た。
【0095】
実施例6 <樹脂粒子(S−6)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−6)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.25重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−6)を含む樹脂粒子(S−6)を得た。
【0096】
実施例7 <樹脂粒子(S−7)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−7)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.26重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−7)を含む樹脂粒子(S−7)を得た。
【0097】
実施例8 <樹脂粒子(S−8)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−8)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.26重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−8)を含む樹脂粒子(S−8)を得た。
【0098】
実施例9 <樹脂粒子(S−9)の製造>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、[微粒子分散液]10.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。
次いで、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)67重量部、[着色剤分散液]40重量部、[離型剤分散液]39重量部及び酢酸エチル54重量部を投入し、撹拌して均一に溶解させた樹脂溶液にプレポリマー(A−8)溶液27重量部及びイソホロンジアミン(B−1)0.39重量部を投入して、TKオートホモミキサーにて10,000rpmで2分間撹拌した。
次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナーバインダー(T−9)を含む樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た後、洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)1.0部をサンプルミルにて混合して、本発明の樹脂粒子(S−9)を得た。
【0099】
実施例10 <樹脂粒子(S−10)の製造>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、[微粒子分散液1]0.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。
次いで、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)63重量部、[結晶性ポリエステル樹脂(M−1)分散液]40重量部、[着色剤分散液]40重量部、[離型剤分散液]39重量部及び酢酸エチル54重量部を投入し、撹拌して均一に溶解させた樹脂溶液にプレポリマー(A−8)溶液27重量部及びイソホロンジアミン(B−1)0.26重量部を投入して、TKオートホモミキサーにて10,000rpmで2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナーバインダー(T−10)を含む樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た後、洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)1.0部をサンプルミルにて混合して、本発明の樹脂粒子(S−10)を得た。
【0100】
実施例11 <樹脂粒子(S−11)の製造>
実施例8において、イソホロンジアミン(B−1)0.26重量部をヘキサメチレンジアミン(B−2)0.18重量部に変更する以外は実施例8と同様にしてトナーバインダー(T−11)を含む樹脂粒子(S−11)を得た。
【0101】
実施例12 <樹脂粒子(S−12)の製造>
実施例8において、イソホロンジアミン(B−1)0.26重量部をブロック化アミン化合物(B−3)0.42重量部に変更する以外は実施例8と同様にしてトナーバインダー(T−12)を含む樹脂粒子(S−12)を得た。
【0102】
実施例13 <樹脂粒子(S−13)の製造>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、[微粒子分散液]0.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業(株)製)36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。
次いで、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)71重量部、[着色剤分散液]40重量部、[離型剤分散液]39重量部及び酢酸エチル54重量部を投入し、撹拌して均一に溶解させた樹脂溶液にプレポリマー(A−8)溶液18重量部を投入して、TKオートホモミキサーにて10,000rpmで2分間撹拌した。
次いでこの混合液を45℃で48時間熟成を行い、その後、撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で、酢酸エチルの残存濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナーバインダー(T−13)を含む樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た後、洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)1.0部をサンプルミルにて混合して、本発明の樹脂粒子(S−13)を得た。
【0103】
実施例14 <樹脂粒子(S−14)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A−9)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.27重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T−14)を含む樹脂粒子(S−14)を得た。
【0104】
実施例15 <樹脂粒子(S−15)の製造>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、[微粒子分散液]10.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。
次いで、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)78重量部、[着色剤分散液]40重量部、[離型剤分散液]39重量部及び酢酸エチル54重量部を投入し、撹拌して均一に溶解させた樹脂溶液にプレポリマー(A−10)溶液5重量部及びイソホロンジアミン(B−1)0.03重量部を投入して、TKオートホモミキサーにて10,000rpmで2分間撹拌した。
次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナーバインダー(T−15)を含む樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た後、洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)1.0部をサンプルミルにて混合して、本発明の樹脂粒子(S−15)を得た。
【0105】
実施例16 <樹脂粒子(S−16)の製造>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、[微粒子分散液]10.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。
次いで、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)45重量部、[着色剤分散液]40重量部、[離型剤分散液]39重量部及び酢酸エチル54重量部を投入し、撹拌して均一に溶解させた樹脂溶液にプレポリマー(A−3)溶液72重量部及びイソホロンジアミン(B−1)1.16重量部を投入して、TKオートホモミキサーにて10,000rpmで2分間撹拌した。
次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナーバインダー(T−16)を含む樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た後、洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)1.0部をサンプルミルにて混合して、本発明の樹脂粒子(S−16)を得た。
【0106】
3価以上のポリオール(D2)としてトリメチロールエタン(D2−6)を使用して本発明の樹脂粒子を得ることができる。
【0107】
比較例1 <樹脂粒子(S’−1)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A’−1)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.31重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T’−1)を含む樹脂粒子(S’−1)を得た。
【0108】
比較例2 <樹脂粒子(S’−2)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A’−2)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.06重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T’−2)を含む樹脂粒子(S’−2)を得た。
【0109】
比較例3 <樹脂粒子(S’−3)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A’−3)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.29重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T’−3)を含む樹脂粒子(S’−3)を得た。
【0110】
比較例4 <樹脂粒子(S’−4)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A’−4)に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.09重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T’−4)を含む樹脂粒子(S’−4)を得た。
【0111】
比較例5 <樹脂粒子(S’−5)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A’−5)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.47重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T’−5)を含む樹脂粒子(S’−5)を得た。
【0112】
比較例6 <樹脂粒子(S’−6)の製造>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、[微粒子分散液1]0.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。
次いで、非結晶性ポリエステル樹脂(L−1)71重量部、[着色剤分散液]40重量部、[離型剤分散液]39重量部及び酢酸エチル54重量部を投入し、撹拌してトナーバインダーを均一に溶解させた樹脂溶液にプレポリマー(A’−6)溶液18重量部を投入して、TKオートホモミキサーにて10,000rpmで2分間撹拌した。
次いでこの混合液を撹拌機及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で、酢酸エチルの残存濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナーバインダー(T’−1)を含む樹脂粒子の水性樹脂分散体を得た後、45℃で48時間熟成を行い、その後洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)1.0部をサンプルミルにて混合して、樹脂粒子(S’−6)を得た。
【0113】
比較例7 <樹脂粒子(S’−7)の製造>
実施例1において、プレポリマー(A−1)溶液をプレポリマー(A’−7)溶液に、イソホロンジアミン(B−1)の重量部を0.76重量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(T’−7)を含む樹脂粒子(S’−7)を得た。
【0114】
樹脂粒子(S−1)〜(S−16)、(S’−1)〜(S’−7)について下記の方法で体積平均粒径、粒度分布を測定し、低温定着性、耐ホットオフセット性、光沢度を評価した。その結果を表3に示す。
【0115】
<体積平均粒径、粒度分布>
樹脂粒子(S−1)〜(S−116)、(S’−1)〜(S’−7)を水に分散してコールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)で体積平均粒径、粒度分布を測定した。
【0116】
<低温定着性>
樹脂粒子を紙面上に0.8mg/cmとなるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
一般に、この評価条件では125℃以下が好ましいとされる。
【0117】
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
一般に、この評価条件では170℃以上が好ましいとされる。
【0118】
<光沢性>
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。
光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。
一般に、この評価条件では15%以上が好ましいとされる。
【0119】
本発明の実施例9〜21の樹脂粒子は低温定着性、耐ホットオフセット性、光沢度のいずれも優れた性能を示した。
一方、3価以上のポリオール(D2)を併用しないで得たプレポリマー(A’−1)をアミン伸長した比較例7の樹脂粒子は耐オフセット性が不良である。また、3価以上のポリオール(D2)を併用しているが、ジオール(D1)とポリオール(D2)とのモル比(D1)/(D2)が2未満であるプレポリマー(A’−2)をアミン伸張した比較例8の樹脂粒子では光沢度と低温定着性が不良であり、一方(D1)/(D2)が25を超えるプレポリマー(A’−3)をアミン伸張した比較例9の樹脂粒子は耐オフセット性が不良である。
また、数平均分子量が15,000を超えるジオール(D1)を使用したプレポリマー(A’−4)をアミン伸張した比較例10の樹脂粒子、及びジオール(D1)を用いないプレポリマー(A’−5)をアミン伸張した比較例11の樹脂粒子は光沢度が不良である。
更に、ポリウレタンウレアを含有しないプレポリマー(A’−6)を使用した比較例12の樹脂粒子では光沢度が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明のトナーバインダー及び樹脂粒子は低温定着性と耐ホットオフセット性を両立し、かつ光沢性にも優れ、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナー用樹脂粒子及びトナーバインダーとして有用である。