特許第6404392号(P6404392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404392
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】筒状シュリンクラベル
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/08 20060101AFI20181001BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20181001BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B65D23/08 B
   B32B7/02 106
   B32B1/08 Z
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-63563(P2017-63563)
(22)【出願日】2017年3月28日
(62)【分割の表示】特願2013-142162(P2013-142162)の分割
【原出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2017-119547(P2017-119547A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2017年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三松 俊典
(72)【発明者】
【氏名】石田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】大西 直樹
(72)【発明者】
【氏名】笠松 雄二
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−097136(JP,A)
【文献】 特開2012−150249(JP,A)
【文献】 特開2007−062792(JP,A)
【文献】 特開2007−025174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/08
B32B 1/08
B32B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性のラベル基材を備え、筒状体に形成された筒状シュリンクラベルにおいて、
前記ラベル基材の面のうち上下端領域を除く前記筒状体の内側に位置する内面上に形成されたトナー印刷層と、
前記トナー印刷層上の全域を覆って前記トナー印刷層よりも大面積であって、且つ前記ラベル基材の上下端に亘って形成された透明な保護コーティング層と、
前記トナー印刷層よりも大面積であって、且つ前記ラベル基材の上下端に亘って形成され、前記トナー印刷層と前記ラベル基材の前記内面との間に介在するプライマー層と、
を有し、
前記ラベル基材の周方向一端縁において、
前記保護コーティング層の端部は、前記トナー印刷層の端部を超えて、前記プライマー層上又は前記ラベル基材上に直接形成されている、筒状シュリンクラベル。
【請求項2】
前記保護コーティング層は、前記プライマー層よりも小面積に形成され、当該層の全重量に対して0.1重量%から10重量%の滑剤を含有し、
前記ラベル基材の周方向一端縁において、前記保護コーティング層の端部は、前記トナー印刷層の端部と前記プライマー層の端部との間に位置している、請求項1に記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項3】
請求項1に記載の筒状シュリンクラベルにおいて、
前記保護コーティング層は、当該層の全重量に対して0.1重量%から10重量%の滑剤を含有し、且つ前記プライマー層よりも大面積に形成され、前記ラベル基材の周方向一端縁において前記ラベル基材上に直接形成されている、筒状シュリンクラベル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状シュリンクラベルにおいて、
前記筒状体は、前記ラベル基材の前記周方向一端縁を周方向他端縁に重ね合わせて、該一端縁の前記内面の少なくとも一部を該他端縁側の外面に接合してなるシール部を有し、
前記ラベル基材は、前記周方向一端縁に前記トナー印刷層が形成されない非印刷領域を有し、
前記周方向他端縁の他端が、前記非印刷領域と重なる位置に設けられている、筒状シュリンクラベル。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状シュリンクラベルにおいて、
前記筒状体は、前記ラベル基材の前記周方向一端縁を周方向他端縁に重ね合わせて、該一端縁の前記内面の少なくとも一部を該他端縁側の外面に接合してなるシール部を有し、
前記ラベル基材は、前記周方向一端縁に前記トナー印刷層が形成されない非印刷領域を有し、
前記周方向他端縁の他端が、前記非印刷領域を超えて前記周方向一端縁側の前記トナー印刷層と重なる位置に設けられると共に、前記非印刷領域が、前記周方向他端縁側の前記トナー印刷層と重なる位置に設けられている、筒状シュリンクラベル。
【請求項6】
前記非印刷領域において、前記周方向一端縁から所定幅の範囲には、前記プライマー層、前記トナー印刷層、及び前記保護コーティング層が存在せず、前記ラベル基材の内面が露出したフィルム露出面が形成されており、
前記周方向一端縁のフィルム露出面と前記周方向他端縁の外面を接合することにより前記シール部が形成されている、請求項4又は5に記載の筒状シュリンクラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状シュリンクラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
所謂ペットボトルなどの容器には、商品名等の表示やデザインを付与するために、筒状体に形成されたシュリンクラベルが装着されている。シュリンクラベルには、表示やデザインを設けるために印刷層が形成される。かかる印刷層はグラビア印刷法やフレキソ印刷法により形成されることが一般的であるが、近年、小ロット化や低コスト化等の観点から、トナーを用いた電子写真方式の印刷機により当該印刷層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−144694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トナーを用いて形成したトナー印刷層は、シュリンクラベルの熱収縮に追従し難い。このため、熱収縮過程においてトナー印刷層に割れが発生し易く、スチームトンネルによる熱処理では当該割れが特に発生し易くなる。また、トナー印刷層は、摩擦による傷等の防止のため一般的に筒状シュリンクラベルの内側に向いた内面に形成することが好ましいが、トナー印刷層は滑り性が悪いことから、容器に対してラベルを装着し難いという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る筒状シュリンクラベルは、ラベル基材を備え、筒状体に形成された筒状シュリンクラベルにおいて、前記ラベル基材の面のうち前記筒状体の内側に位置する内面上に形成されたトナー印刷層と、前記トナー印刷層上の全域を覆って形成された保護コーティング層と、を有し、前記トナー印刷層は、プライマー層を介して前記ラベル基材の前記内面上に形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る筒状シュリンクラベルにおいて、前記保護コーティング層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を樹脂の主成分として構成されることが好適である。
【0007】
本発明に係る筒状シュリンクラベルにおいて、前記筒状体は、前記ラベル基材の周方向一端縁を周方向他端縁に重ね合わせて、該一端縁の前記内面の少なくとも一部を該他端縁側の外面に接合してなるシール部を有し、前記ラベル基材は、前記周方向一端縁に前記トナー印刷層が形成されない非印刷領域を有し、前記周方向他端縁の他端が、前記非印刷領域と重なる位置に設けられている構成とすることができる。
或いは、前記周方向他端縁の他端が、前記非印刷領域を超えて前記周方向一端縁側の前記トナー印刷層と重なる位置に設けられると共に、前記非印刷領域が、前記周方向他端縁側の前記トナー印刷層と重なる位置に設けられた構成とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る筒状シュリンクラベルによれば、トナー印刷層上の全域を覆ってラベル基材の熱収縮に追従して収縮可能な保護コーティング層を設けているため、熱収縮過程におけるトナー印刷層の割れを防止することができる。また、筒状シュリンクラベルの内面の滑り性が改善され、容器に対する装着性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態である筒状シュリンクラベルを示す図である。
図2図1において、シール部の近傍を拡大して示す図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態である筒状シュリンクラベルを展開して内面側から見た平面図である。
図5】本発明の第1の実施形態の変形例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態の他の変形例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態である筒状シュリンクラベルの製造方法を説明するための図である。
図8】本発明の第2の実施形態である筒状シュリンクラベルを示す図である。
図9図8において、シール部の近傍を拡大して示す図である。
図10図9のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
なお、本発明の適用はこれに限定されない。実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0011】
<第1の実施形態>
図1図6を参照しながら、第1の実施形態である筒状シュリンクラベル10について詳説する。
【0012】
図1は、ラベル基材11を備え、筒状体に形成された筒状シュリンクラベル10であって、ラベル基材11の内面上に形成されたトナー印刷層14と、トナー印刷層14上の全域を覆って形成された保護コーティング層15とを有する筒状シュリンクラベル10を示している。図2はシール部12の近傍を拡大して示す図、図3図2のA−A線断面図、図4は筒状シュリンクラベル10を展開して内面側から見た平面図である。ここで、ラベル基材11の「内面」とは、ラベル基材11の面のうち筒状体の内側に向いた面であり、「外面」とは、筒状体の外側に向いた面である。
【0013】
図1図4に示すように、筒状シュリンクラベル10は、平面視略矩形状のラベル基材11が筒状体に形成されたものである。当該筒状体は、ラベル基材11の周方向一端縁を周方向他端縁の外側に重ね合わせて、該一端縁の内面の少なくとも一部を該他端縁側の外面に接合してなるシール部12を有する。本実施形態では、一端縁(外端縁11a)の内面と、他端縁(内端縁11b)の外面とをテトラヒドロフラン(THF)等のシール溶剤により溶着してシール部12が形成されている。この場合、シール部12に厚みは生じないが、図3では説明の便宜上、所定の厚みを有するものとして図示している。なお、一端縁の外面と、他端縁の外面とを接合してシール部を形成してもよい。
【0014】
以下では、ラベル基材11の周方向一端縁を「外端縁11a」、周方向他端縁を「内端縁11b」とする。また、ラベル基材11の周方向一端(外端縁11aの端)を「外端a」、周方向他端縁(内端縁11bの端)を「内端b」とする。外端縁11aは外端aから所定幅の範囲、内端縁11bは内端bから所定幅の範囲をそれぞれ意味する。また、筒状体(ラベル基材11)の軸方向を「上下方向」とし、軸方向一端、他端をそれぞれ「上端」、「下端」とする。
【0015】
筒状シュリンクラベル10は、例えば、各種容器に被嵌された後、熱処理されることにより熱収縮して容器の形状に追従して装着される。ラベル基材11は、熱収縮性を有するシュリンク基材であり、かかる熱処理により熱収縮して容器の形状に追従したラベルの装着を可能とする。但し、容器に対するラベルの装着形態は、これに限定されず、例えば、帯状ラベルを容器に巻き付けて装着することで筒状体に形成されてもよい。
【0016】
筒状シュリンクラベル10は、ラベル基材11上に形成されたプライマー層13と、プライマー層13上に形成されたトナー印刷層14と、トナー印刷層14上の全域を覆って形成された保護コーティング層15とを有する。これら各層は、擦傷防止等の観点からラベル基材11の内面に形成される。即ち、本実施形態において、トナー印刷層14は、プライマー層13を介してラベル基材11の内面上に形成されており、トナー印刷層14とラベル基材11の内面との間には必ずプライマー層13が介在している。なお、トナー印刷層14とラベル基材11の内面との密着性が良好である場合には、プライマー層13を設けない形態としてもよい。
【0017】
ラベル基材11は、透明なシュリンクフィルムから構成される。シュリンクフィルムには、従来公知の樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される1種単独又は2種以上の混合物からなるフィルムが例示できる。これらのうち、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、又はポリオレフィン系樹脂から構成される樹脂フィルムが好ましく、特にポリエステル系樹脂が好ましい。
【0018】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等を用いることができる。中でも好ましくはPET系樹脂である。
【0019】
PET系樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いたポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(CHDM共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ネオペンチルグリコール(NPG)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(NPG共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ジエチレングリコール等のエチレングリコール以外のジオール成分を共重合成分として用いた共重合ポリエステルなどのジオール変性PET;ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分を共重合成分として用いたジカルボン酸変性PET(ジカルボン酸成分において、テレフタル酸を主成分にイソフタル酸及び/又はアジピン酸で変性)、ジオール成分とジカルボン酸成分の両方が共重合成分を含むジオール及びジカルボン酸変性PETなどが挙げられる。
【0020】
ポリスチレン系樹脂としては、構成モノマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体を1種又は2種以上含む樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、一般ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体(SBIS)、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)等が挙げられる。
【0021】
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒系LLDPE(mLLDPE)などのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。特に、ポリオレフィン系樹脂から構成されるフィルムとしては、環状オレフィン樹脂を表層とするものが好ましい。
【0022】
ラベル基材11は、単層構造、積層構造のいずれであってもよい。ラベル基材11が積層フィルムから構成される場合、積層フィルムは、同種の樹脂からなるフィルムを積層したものであってもよいし、異なる樹脂からなるフィルムを積層したものであってもよい。また、積層フィルムからなるラベル基材11は、少なくとも表層がポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、環状オレフィン等のオレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0023】
具体例としては、ポリエステル系樹脂を表層とし、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂を中心層とした3層又は5層構造の積層フィルムや、ポリスチレン系樹脂を表層とし、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂を中心層とした3層構造又は5層構造の積層フィルムが挙げられる。
【0024】
ラベル基材11は、主に一方向に延伸(一軸延伸)され、その一方向(主延伸方向)に主に熱収縮性を有する。延伸倍率は、例えば、一方向である主延伸方向に2〜8倍程度であることが好ましい。また、主延伸方向と直交する方向にも1.01〜2倍程度の倍率で延伸(二軸延伸)して、当該方向の収縮や膨張を抑制することができる。ラベル基材11の熱収縮率(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)は、主延伸方向に対して、20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい。また、ラベル基材11の熱収縮率は、主延伸方向と直交する方向に対しては、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%未満である。なお、筒状シュリンクラベル10は、ラベル基材11の主延伸方向が筒状体の周方向となるように形成される。
【0025】
ラベル基材11の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10μm〜100μm、より好ましくは15μm〜80μm、特に好ましくは20μm〜60μmである。
【0026】
なお、ラベル基材11の表面(内面・外面)には、必要に応じて、コロナ放電処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。また、ラベル基材11には、シュリンク特性等を損なわない範囲でプライマー層13、トナー印刷層14、及び保護コーティング層15以外の層を設けてもよい。
【0027】
プライマー層13は、ラベル基材11の表面の接着性を改善するために形成される透明な層であって、ラベル基材11の内面上に直接形成される。プライマー層13は、アンカーコート層とも呼ばれる。本実施形態では、ラベル基材11の内面のうち、外端縁11aの内面を除く部分にプライマー層13が形成されている。即ち、プライマー層13は、ラベル基材11の上下端に亘って、また周方向においてはラベル基材11の外端aから所定幅の領域を除いてラベル基材11の内端bまで平面視略矩形状(図4参照)に形成されている。
【0028】
プライマー層13は、ラベル基材11及びトナー印刷層14の両者に対する密着性が良好な樹脂から構成される。具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、イソシアネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、ロジン樹脂等が挙げられる。プライマー層13は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の汎用印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、これらの樹脂を含有するアンカーコート剤をラベル基材11上に塗布し、乾燥固化して形成することができる。
【0029】
上記プライマー層13を形成するアンカーコート剤には、市販品を用いることができる。
【0030】
プライマー層13の厚みは、特に限定されないが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。
【0031】
トナー印刷層14は、商品名やデザイン、商品に関する情報等の表示を付与するための印刷層であって、プライマー層13上に形成される。なお、トナー印刷層14を光学顕微鏡等で観察すると、層を構成するトナーの粒子に起因するドット形状が確認できる。トナー印刷層14には、白ベタ印刷等の背景印刷層が含まれていてもよい。即ち、トナー印刷層14は、表示を付与する印刷層(表示印刷層)と背景印刷層とからなる構成であってもよい。或いは、トナー印刷層14は、トナー印刷層に背景印刷層を含むことなく、表示印刷層のみで形成されていても良い。背景印刷層を含まない表示印刷層からなるトナー印刷層14を形成する場合、背景印刷をしないということも考えられるが、背景印刷として、トナー印刷層と異なる背景印刷層(例えば、グラビア印刷やフレキソ印刷等の汎用印刷法により設けられた背景印刷層)を形成してもよく、保護コーティング層15に白色顔料等を添加して背景印刷層兼保護コーティング層を形成してもよい。
【0032】
本実施形態では、プライマー層13の周縁を除く部分にトナー印刷層14が形成され、トナー印刷層14は、プライマー層13が形成された範囲内において、プライマー層13よりも小面積に形成される。プライマー層13は、上記のように、平面視略矩形状に形成されており、トナー印刷層14もプライマー層13の周縁に帯状の領域を残して平面視矩形状に形成されている(図4参照)。即ち、ラベル基材11の内面には、トナー印刷層14の周囲に該印刷層が形成されていないプライマー層13の帯状の領域が形成され、ラベル基材11の端(上下端・内端b)から所定幅の範囲にトナー印刷層14が形成されていない。これにより、印刷精度の問題でトナー印刷層14の位置が多少ずれて形成されても、トナー印刷層14とラベル基材11の内面との間にプライマー層13が介在することとなる。また、ラベル基材11の上下端は熱収縮時に内折れが発生し易いため、ここにトナー印刷層14を設けないことでその発生を抑え、見栄えを良くすることができる。即ち、後述する周方向両端縁の非印刷領域16,17に加えて、ラベル基材11の上下端縁にもトナー印刷層14が形成されない非印刷領域を設けることが好適である。
【0033】
トナー印刷層14は、トナーを用いて電子写真方式の印刷機により形成される。電子写真方式の印刷機は、例えば、感光体ドラムに電荷を与えた後、インキ(トナー)を載せたくない部分をレーザー等で描画して電荷を除去し、所望のパターンでトナーを感光体ドラム上に付着させ、ブランケットを介して該トナーをラベル基材11上に転写することでトナー印刷層14を形成する。トナー印刷層14が複数の色を有する場合は、上記工程を1色ずつラベル基材11に転写して表示を形成してもよいが、上記プロセスにより各色のトナーをブランケット上に1色ずつ転写して乾燥させた後、全ての色が載ったブランケットをラベル基材11に押し付けて転写し表示を形成してもよい。このとき、ハロゲンヒーター等によりラベル基材11上に転写されたトナーが加熱されて溶融し、ラベル基材11上に定着する。
【0034】
上記印刷機には、市販品を用いることができる。好適な市販品としては、エプソン社製の「LP−S9000シリーズ」、リコー社製の「SPC831/831M」、「SPC830/830M」、「SPC810−ME」、「SPC731/731M」、「SPC730/730M」、ヒューレット・パッカード社製の「HP Indigo WS20000」、「HP Indigo WS6600」、「HP Indigo WS6000」、「HP Indigo WS4600」、富士ゼロックス社製の「DocuPrint C5000」、「DocuPrint C4000」、「DocuPrint C3360」、「DocuPrint C3350」などが挙げられる。
【0035】
トナー印刷層14の形成に使用されるトナーは、バインダ樹脂、ワックス、荷電制御剤(CCA)、所望の顔料等を含有する体積平均粒子径が数μmサイズの粒子である。バインダ樹脂は、ワックスやCCA、顔料等をバインドする機能を有し、アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂などが例示でき、耐ブロッキング性、低温定着性に優れる樹脂が好ましい。CCAは、帯電性を調整する機能を有し、クロム錯体等の負帯電型CCA、ニグロシン等の正帯電型CCAが例示できる。ワックスは、低温定着性や定着時における離型性をトナーに付与する機能を有し、天然ワックス、石油ワックス、合成ワックスのいずれを用いることもできる。当該トナーとしては、一般的な複写機に使用されるものを使用することもできるが、印刷機に応じてそれに適合する専用品を使用することが好適である。ワックス、CCAは必須成分ではないが、上記機能が得られるために含有されていることが好ましい。
【0036】
トナー印刷層14の厚みは、特に限定されないが、0.1μm〜15μmが好ましく、0.2μm〜10μmがより好ましい。
【0037】
保護コーティング層15は、ラベル基材11の熱収縮に追従して収縮可能な樹脂層であって、熱収縮過程におけるトナー印刷層14の割れを防止すると共に、容器に対する滑り性を良好にする機能を有する。保護コーティング層15は、上記のように、トナー印刷層14上の全域を覆って形成される。保護コーティング層15は、トナー印刷層14の全域を覆っていれば、トナー印刷層14の全域と同じ領域に同じ面積で設けられていてもよい。本実施形態では、トナー印刷層14よりも全周において大きな領域に、トナー印刷層14よりも大面積で、且つプライマー層13よりも全周において小さな領域に、プライマー層13よりも小面積の保護コーティング層15が形成されている。プライマー層13及びトナー印刷層14は、上記のように、平面視略矩形状に形成されており、保護コーティング層15も平面視略矩形状に形成されている(図4参照)。即ち、保護コーティング層15は、大部分がトナー印刷層14上に形成され、一部がトナー印刷層14のないプライマー層13上に形成されている。そして、保護コーティング層15の端部は、プライマー層13とトナー印刷層14との間に位置している。これにより、トナー印刷層14は、その端部まで保護コーティング層15によって覆われる。なお、保護コーティング層15とラベル基材11との密着性が良好である場合には、保護コーティング層15はプライマー層13が形成されていない領域(トナー印刷層13も設けられていない領域)に、ラベル基材11上に直接形成されてもよい。
【0038】
保護コーティング層15は、トナー印刷層14の割れを防止する観点から柔軟性の高い樹脂から構成されることが好ましく、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を樹脂の主成分として構成されることが好ましい。なお、アクリル系樹脂は、水溶性樹脂(水性)であることが好ましく、ウレタン系樹脂及びアミド系樹脂は、水溶性樹脂であってもよいが、水には溶解し難く有機溶剤に溶解し易い油性であることが好適である。また、保護コーティング層15は、滑り性を改良する滑剤を含有することが好適である。また、本発明の目的を損なわない範囲で、可塑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、硬化剤、消泡剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0039】
上記アクリル系樹脂としては、以下の単量体成分を含有する樹脂が例示できる。単量体成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1〜12アルキルエステル等]、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和化合物又はその無水物、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1〜8アルキルエステル等]などが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」という意味である。
【0040】
また、必要に応じて(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やジエン類などの重合性不飽和化合物を単量体成分として用いることもできる。
【0041】
アクリル系樹脂は、単独又は単量体組成の異なる2種以上の樹脂を組み合わせて用いることができる。例えば、アクリル系樹脂として、カルボキシル基及びヒドロキシル基含有アクリル系重合体、カルボキシル基含有アクリル系重合体とヒドロキシル基含有アクリル系重合体との混合物、カルボキシル基及びヒドロキシル基非含有アクリル系重合体と、カルボキシル基含有アクリル系重合体と、ヒドロキシル基含有アクリル系重合体との混合物などを使用できる。
【0042】
なお、アクリル系樹脂は、上記のように水性であることが好ましいことから、上記単量体に親水基を導入して構成されることが好適である。当該親水基としては、上記した親水基(例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基など)の他に、リン酸エステル基、スルホン酸基、アミノ基、イミノ基、4級アンモニウム基、3級スルホニウム基などが挙げられる。
【0043】
上記ウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
【0044】
上記ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族及び脂環族の公知のジイソシアネート類の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例として、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。また、必要に応じて3官能以上のポリイソシアネート類やポリイソシアネートアダクト体を上記ジイソシアネートと混合して用いることもできる。
【0045】
上記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール(1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等)、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの低分子量グリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール−ポリカプロラクトン共重合体等のポリエーテルジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール類とアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸などの2塩基酸類とから得られるポリエステルジオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、ラクトンブロック共重合ポリオールなどのラクトンジオールなどの公知のジオール類を使用できる。また、必要に応じて上記のジオール類と、3官能以上のポリオール化合物とを混合して用いることもできる。
【0046】
上記アミド系樹脂は、多塩基酸と多価アミンとを重縮合して得られる熱可塑性ポリアミドであって、イソプロパノールに対する溶解度が30重量%以上のものが好適である。
【0047】
上記多塩基酸としては、アジピン酸、セパシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸、重合脂肪酸が挙げられる。これらのうち、特に重合脂肪酸が好ましい。重合脂肪酸とは、乾性又は半乾性油脂脂肪酸、或いはそのエステル重合に得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸、三量化重合脂肪酸等を含む。多塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
【0048】
上記多価アミンとしては、ポリアミン、一級及び二級モノアミン挙げることができる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン、キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族ジアミンが好ましく、又は一級及び二級モノアミンとしては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が好ましく、これらの多価アミンを単独或いは任意の割合で併用することができる。
【0049】
上記滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックス等の各種ワックス(ワックス類)や樹脂ビーズが挙げられる。滑剤の含有量は、特に限定されないが、保護コーティング層15の全重量に対して0.1重量%〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは2重量%〜5重量%である。また、保護コーティング層15には、滑剤以外の添加剤(例えば、可塑剤や帯電防止剤)が含有されていてもよい。
【0050】
保護コーティング層15は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の汎用印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、上記樹脂や滑剤を含有するインキをトナー印刷層14上に塗布し、乾燥して形成することができる。保護コーティング層15は、好ましくはグラビア印刷又はフレキソ印刷により形成される。
【0051】
上記保護コーティング層15を形成するインキには、市販品を用いることができる。
【0052】
保護コーティング層15の厚みは、特に限定されないが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。なお、保護コーティング層15は、透明であってもよいし、上記のように白色顔料等を含有する層であってもよい。
【0053】
ここで、図2図4を特に参照して、シール部12近傍の構成、即ち外端縁11aと内端縁11bとが重なる部分の構成について、さらに詳説する。
【0054】
図2,3に示すように、シール部12は、ラベル基材11の外端縁11aを内端縁11bに重ね合わせて、外端縁11aの内面の少なくとも一部を内端縁11b側の外面に接合して形成される。本実施形態では、外端縁11aの内面うち外端aから所定幅の範囲が、内端縁11bの内端bから所定長さLだけ離れた外面に、溶剤溶着されてシール部12が形成されている。また、シール部12は、ラベル基材11の上端から下端まで上下方向に沿って形成されている。外端縁11aと内端縁11bとが重ね合わされた領域のうち、内端縁11bには、内端bから所定長さLの範囲が外端縁11aに接合されない内端非シール部が形成される。
【0055】
図3,4に示すように、外端縁11aの内面には、トナー印刷層14が形成されない非印刷領域16が設けられている。即ち、外端aからトナー印刷層14までの所定幅の範囲に非印刷領域16が設けられ、非印刷領域16のうち、外端aから所定幅の領域にシール部12が形成される。非印刷領域16には、プライマー層13、保護コーティング層15が形成されていてもよいが、少なくともシール部12が形成される部分にはこれらの層が形成されないことが好適である。
【0056】
外端縁11aにおいては、外端aからプライマー層13の端部まで所定幅の範囲にはプライマー層13、トナー印刷層14及び保護コーティング層15が存在せず、ラベル基材11の内面が露出した領域(以下、「フィルム露出面」とする)が形成される。また、プライマー層13はトナー印刷層14の端部よりも外端a側に延びて形成されている(即ち、非印刷領域16の一部にプライマー層13が形成されている)。なお、保護コーティング層15の端部は、プライマー層13の端部とトナー印刷層14の端部との間に位置する。フィルム露出面を有することにより、ラベル基材11同士(内面のフィルム露出面と外面のフィルム露出面)を溶剤溶着することが容易になり、接着強度が良好なシール部12を形成することができる。
【0057】
内端縁11bにおいては、プライマー層13が内端bまで形成されている。トナー印刷層14及び保護コーティング層15は、内端bから所定幅の領域をあけて形成されており、保護コーティング層15の端部がトナー印刷層14の端部より内端b側に位置している。また、図3に示すように、内端縁11bのトナー印刷層14はシール部12を超えて内端非シール部の一部にまで形成されている。つまり、内端非シール部には、内端bから所定幅の範囲にトナー印刷層14のない非印刷領域17が形成される。非印刷領域17には、一部に保護コーティング層15が形成され、全域に透明なプライマー層13が形成されている。
【0058】
図2,3に示すように、本実施形態では、内端縁11bの内端bが外端縁11aの非印刷領域16と重なる位置に設けられており、外端縁11a側のトナー印刷層14と重なる位置まで内端bが延びていない。即ち、上記所定長さLの内端非シール部は、内端bが非印刷領域16の範囲内となるように設定される。そして、本実施形態において、保護コーティング層が透明である場合には、非印刷領域16及び非印刷領域17ともに透明であり、内端非シール部に形成された非印刷領域17が、同じく透明な非印刷領域16と重なっている。なお、図3に示すように、内端bは外端縁11aのフィルム露出面に対応する部分まで形成されており、非印刷領域16に形成されたプライマー層13とも重なっていない。但し、内端bは非印刷領域16に形成されたプライマー層13と重なっていてもよい。トナー印刷層14は保護コーティング層15により覆われているが内端bと接触する部分は特に損傷し易いため、上記構成とすることにより、内端bがトナー印刷層14と接触して該印刷層が損傷することを確実に防止できる。
【0059】
図1,2に示すように、本実施形態では、シール部12の近傍に、ラベル基材11(筒状体)の厚み方向にトナー印刷層14のない透明部18が形成される。透明部18は、外端縁11aに形成された透明な非印刷領域16と、内端非シール部に形成された透明な非印刷領域17とが重なることにより形成される。換言すると、外端縁11a側のトナー印刷層14と、内端縁11b側のトナー印刷層14とが重ならないことにより透明部18が形成される。透明部18は、例えば内容量を確認するための窓として利用することができる。なお、ラベル基材11の内端aは、ラベルを熱収縮して装着した時の熱で内端非シール部が熱収縮するために皺(波うち)が発生し易い。本実施形態では、内端aが非印刷領域16と重なる位置に設けられ、その透明な部分を通して内端aが目視できる位置にあるが、ラベル基材11の端(上下端・内端b)から所定幅の範囲は、プライマー層のみが形成され、トナー印刷層14及び保護コーティング層15が形成されていないことにより、内端縁11bの内端bから所定幅の領域が透明であるため、内端bの皺等が目立ち難く、見栄えを良くすることができる。つまり、内端bは視認される位置にある場合には、内端bから所定幅あけてトナー印刷層14を設け、所定幅の領域を透明にすることで、皺等が発生しても目立たなくすることができる。
【0060】
なお、内端縁11bの層構造は、図5,6に例示する形態であってもよい。
図5に示す例では、内端bから所定幅の範囲にトナー印刷層14に加えてプライマー層13も形成されない領域が設けられている。即ち、内端縁11bの内面にもラベル基材11が露出する領域が形成される。この場合も、保護コーティング層15は、トナー印刷層14上及びプライマー層13上に形成され、保護コーティング層15の端部は、プライマー層13の端部とトナー印刷層14の端部との間に位置する。また、内端bから所定幅の範囲にトナー印刷層14のない透明な非印刷領域17が形成され、内端bから所定幅の領域が透明となる。
【0061】
図6に示す例では、プライマー層13、トナー印刷層14、及び保護コーティング層15の全ての層が内端bまで形成されていている。即ち、内端縁11bの全域にトナー印刷層14が形成されており、この場合、透明な非印刷領域17が形成されない。また、図3のように筒状体を形成した場合には、内端a(内端縁11bのトナー印刷層14)と、外端縁11aのトナー印刷層14とは重ならず、その間に透明部18が形成される。
【0062】
次に、図7を参照しながら、上記構成を備える筒状シュリンクラベル10の製造方法について説明する。
【0063】
筒状シュリンクラベル10は、ラベル基材11の一方の面上にトナー印刷層14を形成する工程と、トナー印刷層14上の全域が覆われるようにグラビア印刷又はフレキソ印刷により保護コーティング層15を形成する工程と、ラベル基材11の当該一方の面が内側に向いた筒状体を形成する工程とを経て製造される。本実施形態では、トナー印刷層14を形成する前に、ラベル基材11の一方の面上にプライマー層13を形成する。
【0064】
より具体的には、まず初めに、ラベル基材11として、長尺状のラベル基材11(以下、「長尺体11」とする)を準備する。長尺体11は、熱収縮性を有し、例えば長手方向に直交する幅方向(以下、「TD方向」という)に対して2〜8倍程度の延伸倍率で延伸処理され、当該方向に熱収縮性を有するものを用いる。長尺体11は、長手方向(以下、「MD方向」という)に対して1.01〜2倍程度の延伸倍率で延伸されてもよい。延伸処理は、例えば、70℃〜100℃の温度で、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を用いて行うことができる。長尺体11は、TD方向が主延伸方向、即ち主収縮方向となる。なお、帯状ラベルを容器に巻き付けて装着することで筒状体を形成する場合(巻付方式の筒状体の場合)には、MD方向が主収縮方向となる長尺体11を用いる。
【0065】
なお、長尺体11は、生産性向上の観点から、TD方向にトナー印刷層14の列を複数形成可能な幅広のものを用いることが好適である。この場合、長尺体11にプライマー層13、トナー印刷層14、及び保護コーティング層15を形成した後、MD方向に沿ってスリットしてラベル1枚分の幅の長尺体11とする。
【0066】
次に、長尺体11の一方の面上にプライマー層13を形成する。プライマー層13は、長尺体11の両端から所定幅の領域を除いて、長尺体11のMD方向に沿って連続的に形成される。プライマー層13は、上記のように、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の汎用印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、アンカーコート剤を塗工・固化して形成することができる。
【0067】
次に、プライマー層13上にトナー印刷層14を形成する。トナー印刷層14は、プライマー層13が形成された領域(プライマー形成領域)のうち、当該プライマー形成領域の両端から所定幅の領域とラベルの上下端となる領域とを除いて、長尺体11のMD方向に沿って断続的に形成される。トナー印刷層14は、上記のように、トナーを用いて電子写真方式の印刷機により形成される。
【0068】
上記のように、トナーを用いた電子写真方式の印刷機は、例えば、感光体ドラムに電荷を与えた後、トナーを載せたくない部分をレーザー等で描画して電荷を除去し、所望のパターンでトナーを感光体ドラム上に付着させ、ラベル基材11上に転写することでトナー印刷層14を形成する。ラベル基材11上に転写されたトナーは、加熱されて溶融し、ラベル基材11上に定着する。トナーとしては、一般的な複写機に使用されるものを使用することもできるが、印刷機に応じてそれに適合する専用品を使用することが好適である。
【0069】
次に、トナー印刷層14が形成された領域(トナー印刷形成領域)の全域を覆う範囲で保護コーティング層15を形成する。トナー印刷層14が形成された領域(トナー印刷形成領域)の全域を覆い、且つプライマー層13からはみ出さない範囲で保護コーティング層15を形成するのが好ましい。具体的には、保護コーティング層15は、トナー印刷形成領域の両端より所定幅大きい領域、好ましくはトナー印刷形成領域の両端より所定幅大きく且つプライマー形成領域より所定幅小さい領域に、長尺体11のMD方向に沿って連続的に形成される。保護コーティング層15は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の汎用印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、上記の保護コーティング層15を形成する成分が溶融又は分散されたインキを塗工・乾燥固化して形成することができる。保護コーティング層15は、グラビア印刷又はフレキソ印刷により形成することが好適である。
【0070】
保護コーティング層15を形成するインキは、固形分の主成分として、上記アクリル系樹脂、上記ウレタン系樹脂、及び上記アミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
【0071】
続いて、図7に示されたX1とX2とで、上記各層が形成された長尺体11の幅方向両端においてスリットすることで、ラベル1枚分の幅の長尺体11とすることができる。X1は、プライマー形成領域の一端から所定長さだけ長尺体11の縁側に向かった箇所であり、これによって、ラベルの一端縁から端からプライマー層13の一端縁側の端まで上記所定長さのフィルム露出面が形成できる。また、X2は、他端縁側においるプライマー形成領域上(又はプライマー形成領域の他端上)に位置しており、当該X2でスリットすると、他端縁が図3,4に示す形態となる。Yは、他端側においてプライマー層13が形成されていない領域に位置しており、当該Yでスリットすると、図5に示す形態の他端縁となる。Zは、他端縁側においてトナー印刷層14が形成された領域に位置しており、当該Zでスリットすると、図6に示す形態の他端縁が形成できる。当該スリット工程は、長尺体11の幅がラベル1枚分の幅である場合には行わなくても良い。
【0072】
続いて、上記各層が形成された所定幅の長尺体11を筒状にしてシール部12を形成する。具体的には、まず、一端縁(外端縁11a)の内面及び他端縁(内端縁11b)の外面となる長尺体11のMD方向に沿った端縁のうち少なくとも一方(フィルム露出面)に、THF等のシール溶剤をMD方向に沿って所定幅で塗布する。THF等のシール溶剤は、接着剤に比べて低粘度であるため、長尺体11を高速でMD方向に搬送しながら連続的に塗布可能である。長尺体11に沿った一方の端縁にシール溶剤を塗布した後、溶剤塗布部を他方の端縁に重ね合わせることでMD方向に連続したシール部12を形成する。これにより、筒状体に形成された長尺体11が得られる。そして、この長尺体11をTD方向に沿って個々のラベルサイズにカットすることで、筒状シュリンクラベル10が得られる。
【0073】
<第2の実施形態>
図8図10を参照しながら、第2の実施形態である筒状シュリンクラベル10xについて詳説する。ここでは、第1の実施形態と相違する点を主に説明し、第1の実施形態と同じ又は類似する構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0074】
図10に示すように、筒状シュリンクラベル10xは、第1の実施形態(図4に示す形態)同じ層構造を有する平面矩形状のラベル基材11が筒状に形成されたものである。即ち、外端縁11aには、外端aから所定幅の範囲を除いてトナー印刷層14が設けられることによって非印刷領域16が形成されており、また外端aからプライマー層13の端部まで所定幅の範囲にはプライマー層13、トナー印刷層14及び保護コーティング層15が存在せず、ラベル基材11の内面が露出したフィルム露出面が形成されている。内端縁11bには、内端bから所定幅の範囲を除いてトナー印刷層14が設けられることによって非印刷領域17が形成されている。非印刷領域17には、一部に保護コーティング層15が形成され、全域に透明なプライマー層13が形成されている。また、筒状シュリンクラベル10xには、外端縁11aに接合されない内端非シール部が形成されており、内端非シール部には、内端bから所定幅の範囲(非印刷領域17)を除いてトナー印刷層14が設けられている。
【0075】
一方、図8に示すように、筒状シュリンクラベル10xは、シール部12近傍の構成、即ち外端縁11aと内端縁11bとの重なり方が、筒状シュリンクラベル10と相違している。詳しくは図9,10を参照して説明するように、筒状シュリンクラベル10xは、筒状シュリンクラベル10のように、シール部12の近傍に透明部18(図2等参照)が形成されていない。
【0076】
図9、10に示すように、本実施形態では、内端縁11bの内端b、さらには非印刷領域17が、非印刷領域16を超えて外端縁11a側のトナー印刷層14と重なる位置に設けられ、非印刷領域16は内端縁11b側のトナー印刷層14と重なる位置に設けられている。即ち、シール部12から延出する内端非シール部の長さ(上記所定長さL)が第1の実施形態の場合よりも長くなっており、外端縁11a側のトナー印刷層14と、内端縁11b側のトナー印刷層14とが重なるように設定されている。このため、本実施形態では、シール部12の近傍に透明部18が形成されない。つまり、筒状シュリンクラベル10xは、筒状シュリンクラベル10xの周方向全長に亘ってトナー印刷層14が存在しているから、シール部周辺においてデザインが途切れることなく、意匠性に優れるラベルが得られる。なお、装着時の熱によって内端非シール部が熱収縮する可能性があるため、外端縁11aのトナー印刷層14と、内端縁11bのトナー印刷層14の重なり領域の幅は、少なくとも1mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上が特に好ましい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
<実施例1>
ラベル基材として、長尺状のTD方向に主に熱収縮性を有するPET系シュリンクフィルム(三菱樹脂製、LX18S、厚み40μm)を用いた。長尺状のラベル基材の一方の面上に、グラビア印刷によって、まずプライマー層(厚み0.5μm)を形成し、続いて、写真印刷方式のデジタル印刷機によってプライマー層上にトナー印刷層(厚み5μm)を形成した。プライマー層を形成するアンカーコート剤には、ポリウレタン系のアンカーコート剤を用いた。トナー印刷層を形成するトナーには、粉体トナーを用いた。次に、トナー印刷層上に、グラビア印刷によって保護コーティング層(厚み1μm)を形成した。最後に、各層が形成された長尺状のラベル基材をラベル1枚分のサイズにカットして平面視略矩形状のシュリンクラベルを得た。なお、各層の形成パターンは、上記第1の実施形態(図1図4参照)に示すものとした。
【0079】
保護コーティング層を形成するインキには、アクリル系樹脂である東亜合成社製の「ARUFON UC−3080」を15重量部(不揮発分100重量%)と、ワックスとして、サゾールワックス社製の「SPREY 105」を3重量部(不揮発分100重量%)と、これらを溶解又は分散する溶媒として、水45重量部・イソプロピルアルコール37重量部とを混合したものを用いた(以下、「インキA」とする)。
【0080】
上記シュリンクラベルの外端縁の外端から3mm幅の部分(非印刷領域のフィルム露出面)にTHFを塗布して、当該塗布部を内端縁となる部分に重ね合わせてシール部を形成し、保護コーティング層を筒状体の内側に向けた筒状シュリンクラベル(図1図3と同様の構成)を得た。この筒状シュリンクラベルを略円柱形状のPETボトルの胴部(直径:70mm)に収縮率が10%となるように熱収縮させて装着し、インキ割れ評価用のラベル付き容器を作製した。なお、ラベルの熱収縮は、筒状シュリンクラベルを被嵌したPETボトルをスチームトンネル(90℃)に通すことにより行った。
【0081】
上記シュリンクラベル及び上記ラベル付き容器について、以下の方法により、インキ密着性及びインキ割れの評価を行なった。評価結果は表1に示した。
【0082】
<インキ密着性評価>
(1)テープ剥離
碁盤目のクロスカットを入れない以外は、JIS K 5600−5−6に準じて、試験を行った。上記シュリンクラベルの未収縮品及び30%収縮品の保護コーティング層上に貼り付けたテープ(ニチバン社製、「セロテープ(登録商標)」)を90度方向に剥離することにより、インキ密着性の評価を行った。
なお、30%収縮品の作製方法は、以下の通りである。
(a)上記シュリンクラベルから150mm(主延伸方向(TD方向))×100mm(主延伸方向に直交する方向(MD方向))のラベル片を切り出す。
(b)上記ラベル片の主延伸方向両端から25mmの位置を治具に固定する。治具の間隔は70mmであり、ラベル片(固定された両端25mmを除いた中央部分100mm)はたわんだ状態で固定される。
(c)上記治具に固定したラベル片を90℃の熱水に20秒浸漬して、100mmの中央部分が70mmに収縮され、主延伸方向に30%収縮された、30%収縮品を得た。
評価基準は、以下の通りである。
○:トナー印刷層の剥離なし
△:テープを貼り付けた部分の面積の30%未満においてトナー印刷層の剥離が確認された
×:テープを貼り付けた部分の面積の30%以上においてトナー印刷層の剥離が確認された
(2)スクラッチ
上記シュリンクラベルの未収縮品及び30%収縮品を平滑なテーブルの上に置き、保護コーティング層の表面を手の爪の甲の部分で10往復(20mmの区間)こすった後、ラベルの表面を観察することにより、インキ密着性の評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
○:トナー印刷層の剥離なし
×:通常試験でトナー印刷層の剥離が確認された
(3)もみ
上記シュリンクラベルの未収縮品及び30%収縮品の両端を両手でつかみ、10回もんだ後、保護コーティング層を設けた側のラベルの表面を観察することにより、インキ密着性の評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
○:トナー印刷層の剥離なし
×:皺に沿った部分又は皺の周辺部にトナー印刷層の剥離が確認された
【0083】
<インキ割れ評価>
上記ラベル付き容器について、トナー印刷層の割れを以下の基準で評価した。
○:筒状シュリンクラベルの外観目視により割れは確認できず
×:筒状シュリンクラベルの外観目視により割れが確認できる
【0084】
<実施例2>
上記インキAの代わりに、ウレタン系樹脂である三洋化成工業社製の「サンプレン IB915」を50重量部(不揮発成分30重量%、揮発成分として酢酸エチル47重量%、イソプロピルアルコール23重量%)と、ワックスとして、サゾールワックス社製の「SPREY 105」を3重量部(不揮発成分100重量%)と、これらを溶解又は分散する溶媒として、酢酸エチル25重量部・酢酸プロピル22重量部とを混合したインキBを用いて保護コーティング層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状シュリンクラベル及びラベル付き容器を得た。そして、実施例1と同様にしてインキ密着性評価及びインキ割れ評価を行なった。
【0085】
<実施例3>
上記インキAの代わりに、アミド系樹脂であるT&K TOKA社製の「トーマイド 92」を15重量部(不揮発成分100重量%)と、ワックスとして、サゾールワックス社製の「SPREY 105」を3重量部(不揮発成分100重量%)と、これらを溶解又は分散する溶媒として、酢酸エチル41重量部・イソプロピルアルコール41重量部とを混合したインキCを用いて保護コーティング層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状シュリンクラベル及びラベル付き容器を得た。そして、実施例1と同様にしてインキ密着性評価及びインキ割れ評価を行なった。
【0086】
<実施例4>
上記インキAの代わりに、ウレタン系樹脂である三洋化成工業社製の「サンプレン IB915」を75重量部(不揮発成分30重量%、揮発成分として酢酸エチル47重量%、イソプロピルアルコール23重量%)と、ワックスとして、サゾールワックス社製の「SPREY 105」を3重量部(不揮発成分100重量%)と、これらを溶解又は分散する溶媒として、酢酸エチル2重量部・酢酸プロピル20重量部とを混合したインキDを用いて、フレキソ印刷により保護コーティング層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状シュリンクラベル及びラベル付き容器を得た。そして、実施例1と同様にしてインキ密着性評価及びインキ割れ評価を行なった。
【0087】
<比較例1>
保護コーティング層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして筒状シュリンクラベル及びラベル付き容器を得た。そして、実施例1と同様にしてインキ密着性評価及びインキ割れ評価を行なった。
【0088】
【表1】
【0089】
表1に示すように、保護コーティング層を有さない比較例1のラベルでは、トナー印刷層の剥離及びインキ割れが確認された。これに対して、各実施例のラベルでは、一部テープ剥離試験でトナー印刷層の剥離が確認されたことを除いて、トナー印刷層の剥離及びインキ割れは見られなかった。即ち、保護コーティング層を設けたことにより、トナー印刷層の耐久性(耐熱水性)が大幅に改良された。
【符号の説明】
【0090】
10,10x 筒状シュリンクラベル、11 ラベル基材、11a 外端縁、11b 内端縁、12 シール部、13 プライマー層、14 トナー印刷層、15 保護コーティング層、16,17 非印刷領域、18 透明部
図1
図2
図3
図4
図5
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図10