【文献】
月桂冠「糖質ゼロ」を新発売,月桂冠ニュース,[online],2008年 7月29日,[検索日:平成28年11月1日],URL,http://www.gekkeikan.co.jp/company/news/200807_03.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、飲酒後の呼気中のアルコール低減剤が開示されているが、アルコール低減剤の評価方法として、飲酒後の呼気中に含まれるアルコールのみを評価しており、呼気中に含まれる他の不快臭気物質について評価していない。しかし、アルコール飲料飲酒後の呼気中に含まれる不快臭気物質を十分低減するためには、呼気中に含まれるアルコール以外の他の不快臭気物質に関しても評価することが必要となる。
【0006】
そこで本発明者は、アルコール飲酒後の呼気中に含まれる不快臭気物質を評価する手法の開発を行い、本発明を完成させた。本発明は、アルコール飲料飲酒後の呼気中に含まれる不快臭気物質を分析することにより、飲酒後の呼気中不快臭気物質の発生を評価するアルコール飲料の評価方法、飲酒後の呼気中不快臭気物質の発生を評価するアルコール飲料の評価装置、当該評価方法を用いて評価した飲酒後の呼気中不快臭気物質を低減したアルコール飲料、飲酒後の呼気中不快臭気物質を低減させる消臭物質の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係るアルコール飲料の評価方法の特徴構成は、
アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の閾値を設定し、
1)前記アルコール飲料の飲酒前の呼気中不快臭気物質濃度と飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度との差異
及び
2)前記アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度と前記閾値との差異
を指標として解析することによりアルコール飲料の特性を評価することにある。
【0008】
本構成のアルコール飲料の評価方法では、アルコール飲料飲酒前後の呼気中不快臭気物質の濃度の差異、及び飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度とその閾値との差異を解析することにより、飲酒後の呼気中不快臭気物質を評価することができる。したがって、アルコール飲料の飲酒後の特性を呼気中不快臭気物質に基づいて評価することができる。
【0009】
本発明に係るアルコール飲料の評価方法において、
2種類以上の呼気中不快臭気物質の夫々の閾値を設定し、
1)前記アルコール飲料の飲酒前のその夫々の呼気中不快臭気物質濃度と飲酒後のその夫々の呼気中不快臭気物質濃度との差異
及び
2)前記アルコール飲料の飲酒後のその夫々の呼気中不快臭気物質濃度とその夫々の前記閾値との差異
を指標として解析することによりアルコール飲料の特性を評価することが好ましい。
【0010】
本構成のアルコール飲料の評価方法では、2種以上の呼気中不快臭気物質をアルコール飲料の評価に用いることから、飲酒後の呼気中不快臭気物質をさらに正確に評価することができる。したがって、アルコール飲料の飲酒後の特性を呼気中不快臭気物質に基づいて正確に評価することができる。
【0011】
本発明に係るアルコール飲料の評価方法において、
前記呼気中不快臭気物質が、アセトアルデヒド、イソプレン、ジメチルスルフィド、アリルメチルスルフィド、メチルプロピルスルフィド、スチレン、酢酸、ダイアセチル、酪酸、イソ吉草酸、アセトイン、トリメチルジオキソラン、アセタール、ブタンジオール、イソアミルアルコール、オクタン、ヘプタナール、イソバレルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及びジメチルジスルフィド、並びにこれらの混合物の中から選択される1種類または2種類以上の物質であることが好ましい。
【0012】
本構成のアルコール飲料の評価方法では、上記の呼気中不快臭気物質をアルコール飲料の評価に用いることから、アルコール飲料飲酒後の呼気中不快臭気物質をさらに正確に評価することができる。したがって、アルコール飲料の飲酒後の特性を呼気中不快臭気物質に基づいてさらに正確に評価することができる。
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係るアルコール飲料の評価装置の特徴構成は、
請求項1乃至3に記載のアルコール飲料の評価方法に用いるアルコール飲料の評価装置であって、
アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を測定する測定手段と、
前記呼気中不快臭気物質の閾値を指標として前記測定手段により測定された飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度に基づいて飲酒後の呼気中に含まれる呼気中不快臭気物質を解析する解析手段と、を備えることにある。
【0014】
本構成のアルコール飲料の評価装置では、本発明に係るアルコール飲料の評価方法を用いることから、アルコール飲料の飲酒後の特性を呼気中不快臭気物質に基づいて評価することができる。また、本構成のアルコール飲料の評価装置は、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を測定、評価することができるため、飲酒したアルコール飲料の判別や飲酒後の経過時間などを推定する事が可能となり、例えば飲酒運転等を検査する検査装置に利用することが可能である。
【0015】
上記課題を解決するための本発明に係る呼気中不快臭気物質低減アルコール飲料の特徴構成は、
本発明に係るアルコール飲料の評価方法の何れかで評価したことにある。
【0016】
本構成の呼気中不快臭気物質低減アルコール飲料は、本発明のアルコール飲料の評価方法で評価したアルコール飲料であるため、飲酒後の呼気中に含まれる呼気中不快臭気物質の濃度を低減したアルコール飲料とすることができる。したがって、本構成の呼気中不快臭気物質低減アルコール飲料は、飲酒後に呼気中に発生する不快臭気物質を気にすることなく、飲酒することができ、周りの人に不快感を与えることを低減することが可能となる。
【0017】
上記課題を解決するための本発明に係る消臭物質の評価方法の特徴構成は、
アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の閾値を設定し、
1)アルコール飲料を飲酒する際に消臭物質を服用した場合のアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度と前記消臭物質を服用しない場合の前記アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度との差異
及び
2)前記アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度と前記閾値との差異
を指標として解析することにより前記消臭物質の有効性を評価することにある。
【0018】
本構成の消臭物質の評価方法では、消臭物質を服用する場合と消臭物質を服用しない場合でのアルコール飲料飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度の差異、及びアルコール飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度と閾値との差異を解析することにより、アルコール飲料を飲酒後の呼気中の不快臭気物質に基づいて消臭物質の有効性を評価することができる。したがって、アルコール飲料飲酒後の呼気中に含まれる不快臭気物質を効果的に消臭することができる消臭物質を効率よく選択することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るアルコール飲料の評価方法、アルコール飲料の評価装置、呼気中不快臭気物質低減アルコール飲料、及び消臭物質の評価方法に関する実施形態について、以下に具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0021】
[アルコール飲料の評価方法]
初めに、本明細書中に記載される「呼気中不快臭気物質」とは、アルコール飲料飲酒後に増加する呼気中に含まれる不快臭気物質を意味し、「閾値」とは、呼気中不快臭気物質を人がその存在を検知できる濃度の下限値である検知閾値であり、具体的には「人がその存在が不快と感じる濃度の下限値」を意味する。
「アルコール飲料」とは、アルコール分一度以上を含む飲料を意味する。具体的には酒類を指し示し、酒類とは「発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類及び混成酒類を含む」事を意味する。より具体的には、ビール、発泡酒、清酒、果実酒、その他の醸造酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ、合成清酒、リキュール、粉末酒、雑酒を含む飲料」を意味する。
(飲酒後呼気中不快臭気物質の評価)
図1は、本発明に係るアルコール飲料の評価方法のフローチャートである。
本発明に係るアルコール飲料の評価方法は、
図1に示すように、アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の閾値を設定する設定工程(S1)と、アルコール飲料の飲酒前の呼気中不快臭気物質濃度と飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度との差異、及びアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度とその閾値との差異を指標として解析する解析工程と、を備えている。
【0022】
解析工程は、アルコール飲料の飲酒後に発生する呼気中不快臭気物質を解析して、アルコール飲料の飲酒後の特性を評価する工程である。この解析工程としては、例えば、アルコール飲料の飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度を測定する第一測定工程(S2)と、アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を測定する第二測定工程(S3)と、飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度とアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質との差異を評価する第一評価工程(S4)と、呼気中不快臭気物質の閾値とアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度との差異を評価する第二評価工程(S5)と、を備え、以下の手順によってアルコール飲料の飲酒後の特性を評価する。
【0023】
第一評価工程では、第一測定工程及び第二測定工程での測定結果を受けて、飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度と、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度とを比較する。ここで、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が、飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度以下である場合には、飲酒したアルコール飲料は飲酒後に呼気中不快臭気物質を感じさせないアルコール飲料であると評価する。飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度を超える場合には、第二評価工程を実行する。第二評価工程では、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度と、その呼気中不快臭気物質の閾値とを比較する。ここで、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が閾値より低い場合には飲酒したアルコール飲料は飲酒量によって呼気中不快臭気物質を感じさせるアルコール飲料であると評価し、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が閾値以上である場合には飲酒後に呼気中不快臭気物質を感じさせるアルコール飲料であると評価する。
【0024】
飲酒後の呼気中不快臭気物質を感じさせるアルコール飲料、又は飲酒量によって呼気中不快臭気物質を感じさせるアルコール飲料であると評価する際に、呼気中不快臭気物質の種類、数、及び各物質の濃度に基づいて段階的にアルコール飲料を評価することが好ましい。これによりアルコール飲料の飲酒後に発生する呼気中不快臭気物質の評価を詳細に行うことが可能となる。
【0025】
本実施形態では、アルコール飲料の飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度を測定する第一測定工程を備えているが、第一測定工程を備えず、予め飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度の標準値を設定しておいてもよい。第一評価工程において、これら標準値とアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質との差異を評価することにより、アルコール飲料飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を測定するだけで、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度に基づいてアルコール飲料を評価することができる。
【0026】
(飲酒後の呼気中不快臭気物質の同定及び呼気中不快臭気物質の閾値)
摂取アルコール量を等量とする目的で、清酒(アルコール度 15%)300mlあるいは米焼酎(アルコール度25%の米焼酎180mlに水120mlを添加して、アルコール度の最終濃度を15%としたもの)300mlを飲酒後、飲酒後の呼気をPETフィルムヒートシールバッグ(容量:5L、近江オドエアーサービス社製)にサンプリングし、固相吸着剤TENAX(Gerstel社製)に呼気成分を吸着させて分析用サンプルとした。呼気中不快臭気物の分析は、GC/GC−FID/Olfactometry/MS(ガスクロマトグラフィー(6890N):アジレント・テクノロジー社製、質量分析計(5973inert):アジレント・テクノロジー社製、GC連結部(CTS1):Gerstel社製、匂い嗅ぎ装置(ODP2):Gerstel社製)を用いて行い、飲酒前の呼気中の呼気成分と飲酒後の呼気中の呼気成分とを比較し、飲酒により増加する呼気中不快臭気物質について、匂い嗅ぎを指標として同定した。測定条件は、1次元目のガスクロマトグラフィーのカラム:InertCap(登録商標) for Amines(長さ:30m、内径:0.32mm、ジーエルサイエンス社製)、2次元目のガスクロマトグラフィーのカラム:INNOWAX(長さ:60m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、アジレント・テクノロジー社製)、キャリア:ヘリウム、流量:2.96ml/分である。
【0027】
呼気中不快臭気物質の閾値は、呼気中不快臭気物質が不快と感じる下限値であり、日本環境衛生センター所報第17号(1990)p77−に示される閾値を参考に、嗅覚測定法により決定した。嗅覚測定法とは、人間の嗅覚を利用して、ある臭気の強さを数量的に把握しようとするものであり、ASTM注射器法、無臭室法、セントメータ法、食塩水平衡法、三点比較式臭袋法とがあるが、実用性の点で三点比較式臭袋法が最も秀れていると考えられている。三点比較式臭袋法では、まず、嗅覚異常者を排除する目的で、あらかじめ行われる嗅覚試験により選ばれた10人のパネル(においを嗅ぐ人)に、ポリエステル製等の容量3Lの袋を3個与える。そのうちの2個の袋には無臭の空気が、残りの1個の袋には原臭をある濃度で希釈したものが入っており、パネルにこれら3個の袋の中から原臭の入った袋を選び出させる。そして徐々に、原臭を希釈していき、最後にパネルが原臭を入れた袋を選び出すことが困難となったときの希釈倍率を求め、この希釈倍率をもって原臭の臭気濃度とするものである。具体的な試験方法としては、夫々の呼気中不快臭気物質の標準品を所定の濃度となるように水溶液を調整し、窒素充填したPETフィルムヒートシールバッグ(容量:5L)にシリンジで水溶液サンプル10μLを打ちこんで、濃度を5段階に変化させたサンプルバッグを作成した。サンプルの水溶液を自然気化させるため3時間以上放置した後、三点比較式臭袋法に準じる方法で官能評価に供した。清酒又は焼酎飲酒後に増加した呼気中不快臭気物質の同定結果及びこれら呼気中不快臭気物質の閾値を以下の表1に示す。
【0029】
表1に示すように、20種類の呼気中不快臭気物質を同定し、その閾値を決定した。閾値の具体的な官能試験は、上述のサンプルバックの臭気の強さを10人のパネラーにより、「0点(臭わない)、1点(臭いをかすかに感じる)、2点(はっきりと臭う)」の3段階で判定して、各パネラーの1点を超える濃度を各パネラーの閾値として閾値の範囲を決定し、3段階の判定のパネラーの平均点が1点を超える濃度を最も好ましい閾値とした。呼気中不快臭気物質としては、酒臭のアセトアルデヒドと、生臭のイソプレン、ジメチルスルフィドと、ニンニク臭/口臭のアリルメチルスルフィド(以下、AMSと称す)、メチルプロピルスルフィド(以下、MPSと称す)、スチレンと、酸臭/不快臭の酢酸、ダイアセチル、酪酸、イソ吉草酸、アセトインと、甘い/溶媒臭の2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン、アセタール、2,3ブタンジオール、イソアミルアルコール、オクタン、ヘプタナールと、焦げ臭のイソバレルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ジメチルジスルフィドと、を同定し、夫々の閾値を決定した。夫々の呼気中不快臭気物質の閾値は、アセトアルデヒドが0.0268〜3.5ng/L、好ましくは0.268〜3.0ng/L、より好ましくは0.536〜2.7ng/L、更に好ましくは0.9〜2.7ng/L、最も好ましくは2.68ng/Lであり、イソプレンが1.32〜200ng/L、好ましくは13.2〜180ng/L、より好ましくは26.5〜150ng/L、更に好ましくは48〜144ng/L、最も好ましくは132.88ng/Lであり、ジメチルスルフィドが0.0757〜20ng/L、好ましくは0.757〜15ng/L、より好ましくは1.54〜10ng/L、更に好ましくは3〜9ng/L、最も好ましくは7.57ng/Lであり、酢酸が0.1465〜30ng/L、好ましくは1.465〜25ng/L、より好ましくは2.93〜20ng/L、更に好ましくは5〜15ng/L、最も好ましくは14.65ng/Lであり、ダイアセチルが0.0017〜0.30ng/L、好ましくは0.017〜0.25ng/L、より好ましくは0.034〜0.20ng/L、更に好ましくは0.06〜0.18ng/L、最も好ましくは0.17ng/Lであり、イゾブチルアルデヒドが0.01〜3ng/L、好ましくは0.103〜2.0ng/L、より好ましくは0.206〜1.5ng/L、更に好ましくは0.4〜1.2ng/L、最も好ましくは1.03ng/Lであり、イソバレルアルデヒドが0.0035〜0.70ng/L、好ましくは0.035〜0.50ng/L、より好ましくは0.070〜0.45ng/L、更に好ましくは0.14〜0.42ng/L、最も好ましくは0.35ng/Lであり、AMSが0.005〜1.00ng/L、好ましくは0.05〜0.7ng/L、より好ましくは0.10〜0.65ng/L、更に好ましくは0.2〜0.6ng/L、最も好ましくは0.50ng/Lであり、MPSが0.0011〜0.3ng/L、好ましくは0.011〜0.25ng/L、より好ましくは0.022〜0.18ng/L、更に好ましくは0.047〜0.14ng/L、最も好ましくは0.11ng/Lであり、2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソランが0.244〜50ng/L、好ましくは2.44〜40ng/L、より好ましくは4.88〜30ng/L、更に好ましくは9〜27ng/L、最も好ましくは24.40ng/Lであり、アセタールが0.229〜50ng/L、好ましくは2.29〜40ng/L、より好ましくは4.58〜30ng/L、更に好ましくは8〜24ng/L、最も好ましくは22.90ng/Lであり、イソアミルアルコールが0.6095〜100ng/L、好ましくは6.095〜85ng/L、より好ましくは12.19〜70ng/L、更に好ましくは22〜66ng/L、最も好ましくは60.95ng/Lであり、ジメチルスルフィドが0.0842〜20ng/L、好ましくは0.842〜15ng/L、より好ましくは1.684〜12ng/L、更に好ましくは3〜9ng/L、最も好ましくは8.42ng/Lであり、酪酸が0.0068〜2.0ng/L、好ましくは0.068〜1.5ng/L、より好ましくは0.136〜1.0ng/L、更に好ましくは0.24〜0.72ng/L、最も好ましくは0.68ng/Lであり、オクタンが78.93〜20000ng/L、好ましくは789.3〜15000ng/L、より好ましくは1578.6〜11000ng/L、更に好ましくは2700〜8100、最も好ましくは7893.86ng/Lであり、イソ吉草酸が0.0032〜1.0ng/L、好ましくは0.032〜0.7ng/L、より好ましくは0.064〜0.5ng/L、更に好ましくは0.12〜0.36ng/L、最も好ましくは0.32ng/Lであり、アセトインが0.88〜200ng/L、好ましくは8.8〜150ng/L、より好ましくは17.6〜110ng/L、更に好ましくは32〜96ng/L、最も好ましくは88.00ng/Lであり、ヘプタナールが0.0084〜2ng/L、好ましくは0.084〜1.5ng/L、より好ましくは0.168〜1.2ng/L、更に好ましくは0.33〜0.99ng/L、最も好ましくは0.84ng/Lであり、スチレンが0.1482〜50ng/L、好ましくは1.482〜35ng/L、より好ましくは1.564〜25ng/L、更に好ましくは6〜18ng/L、最も好ましくは14.82ng/Lであり、2,3−ブタンジオールが1.49〜400ng/L、好ましくは14.9〜300ng/L、より好ましくは29.8〜250ng/L、更に好ましくは57〜171ng/L、最も好ましくは149.00ng/Lである。これら呼気中不快臭気物質並びにこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種類の物質が呼気中不快臭気物質としてアルコール飲料の評価に用いられる。アルコール飲料の評価に用いられる呼気中不快臭気物質の種類は、評価する酒類により適宜選択される。
【0030】
(飲酒前後の呼気中不快臭気物質の分析)
試験は、原則として3人のパネラーが清酒及び焼酎を飲酒するクロスオーバ試験により実施した。一部の試験については、1人又は2人のパネラーによる試験結果を採用した。分析方法は、上記と同様に清酒あるいは米焼酎を飲酒し、上記20種類の呼気中不快臭気物質の飲酒前と飲酒後の呼気中に含まれる呼気中不快臭気物質のサンプルを上記と同じ方法で取得し、GC−MS(使用カラム:、InertCap(登録商標) for Amines)にて、ヘリウム流速0.9ml/分で測定した。飲酒前の呼気中不快臭気物質と飲酒後の呼気中不快臭物質とを比較し、アルコール飲料飲酒後の呼気中不快臭気物質の増加量(飲酒前の呼気中不快臭気物質の量に対する倍率)を以下の表2に示した。d8−トルエンを内部標準として用いて、飲酒前及び飲酒後の呼気中不快臭気物質の測定値の補正を行った。清酒又は焼酎飲酒後に増加した呼気中不快臭気物質の増加量の結果を以下の表2及び表3に示す。
【0033】
表2及び表3に示されるように、酒類により呼気中不快臭気物質の増加量が異なることが示され、飲酒後に清酒で顕著に増加が認められた呼気中不快臭気物質と、焼酎でのみ増加が認められた呼気中不快臭気物質が存在した。清酒では、ジメチルジスルフィド、オクタン、及びスチレンは、飲酒前と比較して飲酒後の増加に大きな差異は認められず、イソバレルアルデヒドは飲酒後に検出されなかったが、それ以外の呼気中不快臭気物質に関しては、飲酒前と比較して飲酒後に優位に増加していた。焼酎では、全ての呼気中不快臭気物質は、飲酒前と比較して飲酒後に優位に増加していた。また、2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソランは、飲酒前には殆ど検出されていないが、清酒飲酒後では他の呼気中不快臭気物質と比較して特に顕著に増加(平均値:43.4)しており、2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソランは飲酒した酒類、特に清酒の判別に利用できる可能性がある。また、呼気中不快臭気物質として同定されたイソブチルアルデヒドについても、飲酒前と比較して、清酒及び焼酎を飲酒後に同様に増加した(データ示さず)。したがって、これら20種類の呼気中に含まれる不快臭気物質は、呼気中不快臭気物質として焼酎又は清酒の少なくとも何れかのアルコール飲料の評価に用いることが可能である。以下に、清酒の飲酒後に特徴的に増加する呼気中不快臭気物質の詳細について示す。
【0034】
図2及び
図3は、清酒又は焼酎を飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度変化を示したグラフである。清酒で特徴的に増加する(a)2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン、(b)ダイアセチル、(c)アセタール、(d)アセトイン、(e)2,3ブタンジオール、及び(f)アセトアルデヒドに関して、6人のパネラーで試験を行った。清酒又は焼酎を上記と同様に飲酒後、飲酒直後、及び飲酒3時間後における呼気中に含まれる各物質の濃度を上記と同様の方法でGC−MSにて定量した。グラフに示す各呼気中不快臭気物質の濃度は、6人のパネラーからサンプリングされた呼気中に含まれる夫々の物質の濃度の平均値で示しており、誤差範囲は標準誤差で示している。定量の結果、何れの呼気中不快臭気物質も飲酒直後に大きく増加し、清酒ではダイアセチル(閾値:0.17ng/L)及びアセトイン(閾値:88.0ng/L)に関して閾値を大きく上回り、焼酎ではダイアセチルに関して閾値を上回った。官能試験では、清酒及び焼酎の何れも、飲酒後3時間たっても呼気中に不快臭が感じられた。
【0035】
(酒類により呼気中の濃度が異なる呼気中不快臭気物質)
ビール、純米酒、白ワイン、赤ワイン、焼酎を飲酒後のパネラーの呼気中に含まれるAMS及びMPSの濃度を飲酒1時間後、飲酒2時間後、及び飲酒4時間後において測定した。飲酒量は、ビールを1L及び2Lとし、純米酒を600mlとし、白ワイン及び赤ワインを720mlとし、焼酎を180mlとした。夫々の酒類の飲酒量は、パネラーが摂取するアルコール量が同じとなるようにした(ビールについては、飲酒量2Lが他の酒類のアルコール摂取量と同じ)。AMS及びMPSの定量は、上記と同様の方法でGC−MSを用いて行った。
【0036】
図4は、酒類の違いによる飲酒前後の(a)アリルメチルスルフィドの濃度を比較したグラフ、及び(b)メチルプロピルスルフィドの濃度を比較したグラフである。
図4に示されるように、飲酒後のAMS及びMPSの呼気中に含まれる濃度は、ビールにおいて飲酒後4時間まで顕著に増加した。ビール2Lの飲酒2時間後のAMSの濃度は、純米酒の72.9倍、白ワインの6.5倍、赤ワインの37.6倍、焼酎の8.7倍であり、MPSの濃度は、純米酒の80.7倍、白ワインの4.1倍、赤ワインの9.9倍、焼酎の10.3倍であった。AMSは、ビール2Lの飲酒4時間後に閾値(閾値:0.50ng/L)を超え、MPSでは、飲酒1時間後で既に閾値(閾値:0.11ng/L)を超えた。他の酒類に関しては、AMS及びMPSの何れにおいても、閾値を超えることはなく、AMS及びMPSは、飲酒した酒類の判別、特にビールとの判別に利用できる可能性がある。
【0037】
[消臭物質の評価方法]
本明細書中に記載される「消臭物質」とは、当該消臭物質あるいは当該消臭物質を含有した飲食物を飲食することにより、呼気中の不快臭を低減させる物質を意味する。消臭物質としては、古くから植物抽出液に効果があることが知られており、とりわけフラボノール類・有機酸・アミン類などが、消臭物質として一般に知られている。特に植物の葉緑体などに由来するクロロフィル(群)と、植物の色素として知られているフラボノイド(群)が強力な消臭物質として知られている。例えば、アルコール飲料を飲食した後、消臭物質含有食品を飲食することにより、呼気中のアルコール臭を低減させる報告がなされている(非特許文献:大熊ほか、13−217ページ、No.2、Vol.9、日本歯科心身医学会雑誌(1994))。
【0038】
図5は、本発明に係る消臭物質の評価方法のフローチャートである。本発明に係る消臭物質の評価方法は、
図5に示されるように、アルコール飲料を飲酒する際に消臭物質を服用することにより、飲酒後の呼気中不快臭気物質を消臭する消臭物質の評価に用いることが可能である。ここで、消臭物質の服用は、アルコール飲料の飲酒前、飲酒中、飲酒後の何れであってもよい。消臭物質の評価方法としては、アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の臭気を感じる閾値を設定する設定工程(S1)と、アルコール飲料を飲酒する際に消臭物質を服用した場合のアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度と消臭物質を服用しない場合のアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度との差異、及びアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質濃度とその閾値との差異を指標として解析する解析工程と、を備えている。
【0039】
解析工程は、消臭物質服用後のアルコール飲料の飲酒後に発生する呼気中不快臭気物質を解析して、消臭物質の消臭効果を評価する工程である。解析工程としては、例えば、アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を測定する測定工程(S2)と、消臭物質を服用した場合と服用しない場合のアルコール飲料飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度の差異を評価する第一評価工程(S3)と、呼気中不快臭気物質の閾値と消臭物質を服用した場合のアルコール飲料飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度との差異を評価する第二評価工程(S4)と、を備え、以下の手順によってアルコール飲料の飲酒後の特性を評価する。
【0040】
第一評価工程では、測定工程での測定結果を受けて、消臭物質を服用した場合と服用しない場合の呼気中不快臭気物質の濃度とを比較する。ここで、消臭物質を服用した場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が消臭物質を服用しない場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度以上である場合には、服用した消臭物質は飲酒後の呼気中不快臭気物質を低減させる効果はないと評価する。消臭物質を服用した場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が、消臭物質を服用しない場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度より低い場合には、服用した消臭物質は飲酒後の呼気中不快臭気物質を低減させることに有効であると評価し、第二評価工程を実行する。第二評価工程では、消臭物質を服用した場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度と、その呼気中不快臭気物質の閾値とを比較する。ここで、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が閾値以上である場合には服用した消臭物質は飲酒量によっては、十分な消臭効果が得られない消臭物質であると評価し、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が閾値未満である場合には飲酒後の呼気中不快臭気物質を十分低減させることが可能な消臭物質であると評価する。
【0041】
本実施形態では、消臭物質を服用しない場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を測定しているが、消臭物質を服用しない場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度の標準値を予め設定しておいてもよい。第一評価工程において、これら標準値と消臭物質を服用した場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度との差異を評価することにより、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度に基づいて消臭物質の有効性を評価することができる。
【0042】
[アルコール飲料の評価装置]
図6は、本発明に係るアルコール飲料の評価装置100のブロック図である。本発明に係るアルコール飲料の評価装置100は、
図6に示されるように、アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の閾値を設定する設定手段1と、アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を測定する測定手段2と、呼気中不快臭気物質の閾値を指標として測定手段2により測定された飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度に基づいて飲酒後の呼気中に含まれる呼気中不快臭気物質を解析する解析手段10と、を備える。
【0043】
解析手段10は、アルコール飲料の飲酒後に発生する呼気中不快臭気物質を解析して、アルコール飲料の特性を評価する手段である。この解析手段10は、例えば、予め設定されている飲酒前の呼気中不快臭気物質の標準値の濃度とアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質との差異を評価する第一評価手段11と、呼気中不快臭気物質の閾値とアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質との濃度の差異を評価する第二評価手段12と、を備える。呼気中不快臭気物質の閾値及び飲酒前の呼気中不快臭気物質の標準値は、キーボードなどの入力手段3を用いて、入力されることにより、設定手段1により設定される。
【0044】
第一評価手段11では、測定手段2での測定結果を受けて、予め設定されている飲酒前の呼気中不快臭気物質の標準値の濃度と、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度とを比較する。ここで、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が、標準値の濃度以下である場合には、飲酒したアルコール飲料は飲酒後に不快臭気物質を感じさせないアルコール飲料であると評価する。飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が標準値の濃度を超える場合には、第二評価手段12を実行する。第二評価手段12では、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度と、その呼気中不快臭気物質の閾値とを比較する。ここで、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が閾値より低い場合には飲酒したアルコール飲料は飲酒量によって不快臭気物質を感じさせるアルコール飲料であると評価し、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が閾値以上である場合には飲酒後に不快臭気物質を感じさせるアルコール飲料であると評価する。評価された試験結果は、ディスプレー等の表示手段4に出力される。
【0045】
飲酒後の呼気中不快臭気物質を感じるアルコール飲料、又は飲酒量によって呼気中不快臭気物質を感じさせるアルコール飲料であると評価する際に、呼気中不快臭気物質の種類、数、及び各物質の濃度に応じて段階的にアルコール飲料を評価することが好ましい、これによりアルコール飲料の飲酒後に発生する呼気中不快臭気物質の評価を詳細に行うことが可能となる。
【0046】
本実施形態では、飲酒前の呼気中不快臭気物質の標準値を設定しているが、測定手段2において飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度を測定するよう構成してもよい。第一評価手段11において、この飲酒前の呼気中不快臭気物質の濃度とアルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度との差異を評価することにより、呼気中不快臭気物質に関してアルコール飲料を詳細に評価することができる。
【0047】
呼気中不快臭気物質を測定する手段としては、GC−MS等の機器を用いることができるが、呼気中不快臭気物質を検知することが可能な抗体等のバイオセンサーを用いて測定手段2を構成するようにしてもよい。これにより、アルコール飲料の評価装置100を小型化することができ、飲酒運転等の検査に用いるアルコール検知装置に応用することが可能となる。また、本発明に係るアルコール飲料の評価装置100は、アルコール飲料の飲酒後の呼気中不快臭気物質を消臭する消臭物質の評価に用いることができる。
【実施例】
【0048】
[実施例1:清酒の酒質の違いによる飲酒後の呼気中不快臭気物質の評価]
清酒のうち、純米酒(アルコール度 15%)600ml又は糖質ゼロ(アルコール度 13.5%月桂冠社製)600mlを飲酒し、飲酒2時間後、及び飲酒5時間後において呼気中不快臭気物質の濃度を上記と同様の方法でGC−MSにて定量し、飲酒前の濃度と比較した。比較する呼気中不快臭気物質は、清酒で増加し易い、(a)2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン、(b)ダイアセチル、(c)アセタール、(d)アセトイン、(e)2,3ブタンジオール、(f)アセトアルデヒド、及び(g)イソアミルアルコールを用いて行った。試験は、6人のパネラーにより行い、結果は、6人のパネラーの呼気中不快臭気物質の濃度の平均値で示した。誤差範囲は標準誤差で示している。以下の表4に、純米酒及び糖質ゼロの酒質を示した。
【0049】
【表4】
【0050】
図7〜
図9は、清酒の酒質の違いによる呼気中不快臭気物質の濃度を比較したグラフである。
図7〜
図9に示されるように、純米酒及び糖質ゼロの何れにおいても、飲酒前と比較して飲酒後、夫々の呼気中不快臭気物質の濃度は増加したが、その殆どが糖質ゼロより純米酒の濃度の方が高く、糖質ゼロでは、飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度が低く保たれていた。純米酒では、ダイアセチル(閾値:0.17ng/L)、アセトイン(閾値:88.0ng/L)、アセトアルデヒド(閾値:2.68ng/L)、及びイソアミルアルコール(閾値:60.95ng/L)に関して閾値を超えた。糖質ゼロでは、ダイアセチル、及びアセトアルデヒドにおいては、閾値を上回ったが、アセトイン及びイソアミルアルコールにおいては、その濃度は低く保たれ、閾値を下回った。官能試験でも、糖質ゼロは、純米酒と比較して、飲酒後の不快臭が低減された結果となり、糖質ゼロは、純米酒と比較して飲酒後の呼気中不快臭気物質の濃度を低減させることができる酒質であることが示された。糖質ゼロと純米酒の酒質は、表4に示されるように、糖質の含有量が大きく異なっている。したがって、アルコール飲料の糖質の含有量を減らすことにより、飲酒後の呼気中不快臭気物質を低減させることが可能であることが示唆された。このように、本発明に係るアルコール飲料の評価方法は、呼気中不快臭気物質を評価することにより、呼気中不快臭気物質低減アルコール飲料を評価、選択することができる。
【0051】
[実施例2:呼気中不快臭気物質に対する消臭物質の評価]
消臭物質を服用せずに清酒180mlのみを飲酒した場合の飲酒2時間後の呼気中不快臭気物質と、消臭物質A(ブドウ抽出物配合の消臭物質)又は消臭物質B(濃縮リンゴ果汁とウーロン茶抽出物配合の消臭物質)100gを服用後、清酒(月桂冠上撰)180mlを飲酒した場合の飲酒2時間後の呼気中不快臭気物質とをGC−MSにて測定した。消臭物質Aの試験は、3人のパネラーの呼気中不快臭気物質により評価を行い、消臭物質Bの試験では、2人のパネラーの呼気中不快臭気物質により評価を行った。以下の表5には、消臭物質を服用しない場合の清酒飲酒後に発生する呼気中不快臭気物質と、消臭物質を服用した場合の飲酒後の呼気中不快臭気物質の発生量とを比較して、その呼気中不快臭気物質の発生率(消臭物質を服用していない場合の発生量を1とした場合の呼気中不快臭気物質の発生量)を示した。比較する呼気中不快臭気物質は、清酒で増加しやすいアセトアルデヒド、ジメチルスルフィド、ダイアセチル、2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン、アセタール、及びイソアミルアルコールを用いた。d8−トルエンを内部標準として用いて、飲酒前及び飲酒後の呼気中不快臭気物質の測定値の補正を行っている。消臭物質の消臭効果の結果を以下の表5及び表6に示す。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
アセトアルデヒド、ジメチルスルフィド、ダイアセチル、2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン、アセタール、及びイソアミルアルコールについて、飲酒後の呼気中における消臭物質A及び消臭物質Bの消臭効果を評価した。表5及び表6に示されるように、消臭物質Aは、アセトアルデヒド、ジメチルスルフィド、ダイアセチル、2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン、アセタール、及びイソアミルアルコールについて、優位に消臭効果を発揮できることが確認された。消臭物質Bについては、逆に服用すると臭いが強くなる傾向がみられ消臭効果は認められなかった。官能試験でも、消臭物質Aに関して飲酒後の呼気中不快臭気物質が低減されていることを確認した。このように、本発明に係る消臭物質の評価方法は、消臭物質の消臭効果に関して評価を行い、消臭効果を備える消臭物質を選択することができる。