(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
通常、有効成分が配合された高機能のスキンケア化粧品は、主に化粧水や美容液等の液体の状態で供され、毎日習慣的に用いることによって、その効果が発揮される。
一方で、近年では、旅先や出張先、あるいはスポーツジム等においてスキンケアが行われる機会が増加していることから、携帯の際に負担の少ない製品が求められている。さらに、近年の美容意識の向上から、出先で使用するスキンケア化粧品について、日常のケアと同等以上の満足感の得られる質の高い製品が要求されている。
また、上記のような携帯用に限らず、日常的に、あるいは肌の状態に応じて使用するスキンケア化粧品においても、手軽にかつカスタマイズして使用できる形態の製品の要求は高い。
【0003】
上記のような要求に応じる手段の一つとして、化粧水等液状の組成物を乾燥製剤とし、これを使用時に水に再溶解して使用するような形態が考えられる。
液状組成物の乾燥製剤化に関する技術として、例えば、特許文献1には、水との共存下で不安定なL−アスコルビン酸−2−リン酸塩を、糖アルコールと低吸湿性のオリゴ糖及び水溶性高分子と混合した水溶液とし、凍結乾燥を行うことにより、使用時まで安定に保てることが記載されている。
また、特許文献2には、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲンおよびアスコルビン酸誘導体を配合した水溶液を凍結乾燥させることにより得られた凍結乾燥化粧品が、長期間保存後でも吸湿による収縮や割れ、細菌類や酸化による変質等がなく、かつ使用時に水または化粧水で再溶解する際に極めて短時間で溶解することが記載されている。
また、特許文献3には、ヒアルロン酸ナトリウムと糖類を含む水性溶液を凍結乾燥することにより、室温に安定なヒアルロン酸固形組成物を得たことが記載されている。
また、特許文献4においても、ヒアルロン酸あるいはヒアルロン酸ナトリウムとリン酸−L−アスコルビルマグネシウムを含有する水溶液の凍結乾燥品を用いた粉末あるいは顆粒状化粧料が、両成分の水への溶解性を改善することが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るタブレット型凍結乾燥化粧料は、トレハロースと、特定の数平均分子量のポリエチレングリコールとを含み、基本的に、該成分の均一溶解・分散液から媒体を揮発させることによって製造されるものである。まず、本発明の構成成分について説明する。
【0009】
<賦形剤>
本発明に賦形剤として配合される成分は、(A)トレハロース、(B)ポリエチレングリコールである。
【0010】
(A)トレハロース
本発明に使用される(A)トレハロースは、D−グルコースが2つ結合した形の2糖類であり、その結合様式はα,α−、α,β−、β,β−の3種類があり、天然に多く存在が認められるα,α−の結合様式のものが一般的である。
【0011】
糖の一種であるトレハロースは、強い保水力を持っているため、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどの糖に比べて、凍結乾燥化粧料としての安定性、再溶解性および離型性の点で優れている。
【0012】
トレハロースの配合量は、化粧料中、30〜91質量%であると好ましい。また、65〜91質量%であると、高温安定性に優れる点でより好ましい。30質量%未満であると、高温安定性および再溶解時の水への溶解性が十分でない場合がある点で好ましくない。また、91質量%を超えると、高温耐性は優れているもの、凍結しにくく突沸するような場合がある点や使用感の点で好ましくない。
【0013】
トレハロースの市販品としては、例えば、トレハロース(化粧品用)(株式会社林原社製)等が挙げられる。
【0014】
トレハロースの他に本発明の効果を失わない範囲で、その他の糖類を加えることができる。
たとえば、マルトース、マルトテトラオース、マルトシルトレハロースなどが挙げられる。
【0015】
(B)ポリエチレングリコール
本発明に使用される(B)ポリエチレングリコールとしては、タブレットの賦形性の点から、数平均分子量が11000〜20000のものが挙げられる。より好ましくは、15000〜20000であると、成型性や離型性の点で好ましい。
数平均分子量が、11000未満であると、離型性が悪くなるという場合がある点で好ましくない。また、数平均分子量が、20000より大きいと、再溶解性が悪い、使用感が劣るという場合がある点で好ましくない。
【0016】
(B)ポリエチレングリコールの配合量は、化粧料中、好ましくは4〜16質量%、よりに好ましくは12〜16%質量%である。16質量%を超えて配合すると、タブレットの離型性や使用感が低下することがある。
【0017】
また、前記ポリエチレングリコールは、公知の合成方法により合成したものを用いても、市販品を用いてもよい。
ポリエチレングリコールの市販品としては、例えば、PEG-20000(三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。
【0018】
(C)ヒアルロン酸
本発明に使用される(C)ヒアルロン酸は、N−アセチル−D−グルコサミン残基と、D−グルクロン酸残基が交互に結合した直鎖状高分子であり、これを粉末状に加工したもの等を用いることができる。
【0019】
前記ヒアルロン酸は、例えば、鶏冠や他の動物組織からの単離抽出、あるいはストレプト・コッカス属などの微生物を用いた発酵法により得ることができる。また、本発明においては、例えば、ヒアルロン酸の誘導体として、ヒアルロン酸ナトリウム塩、ヒアルロン酸カリウム塩等のヒアルロン酸金属塩や、ヒアルロン酸のヒドロキシル基、カルボキシル基等をエーテル化、エステル化、アミド化、アセチル化、アセタール化、ケタール化させて得られるヒアルロン酸誘導体等の粉末を用いても構わない。
また、ヒアルロン酸として市販品を用いることもできる。市販のヒアルロン酸としては、例えば、ヒアルロン酸HA-LQ(キューピーファインケミカル社製)、ヒアルロン酸FCH(キッコーマンバイオケミファ株式会社製)等が挙げられる。
【0020】
また、(C)ヒアルロン酸の分子量は、特に限定されるものではないが、分子量10万以上、さらには分子量が50万〜300万程度であることが好適である。10万未満に低分子化されたヒアルロン酸を用いると、タブレットへの賦形性や再溶解後の使用感が十分でないことがある。また、分子量が、300万より大きいと、溶解性や再溶解後の使用感が十分でないという場合がある点で好ましくない。
【0021】
上記賦形剤のうち、特に(C)ヒアルロン酸は、低濃度の水溶液の状態でも極めて高い粘性を示すことから、その配合量は凍結乾燥後のタブレット及びその再溶解液の性質への関連性が高い。
(C)ヒアルロン酸の配合量は、化粧料中、好ましくは、0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%である。2質量%を超えて配合すると、タブレットの溶解性や離型性が低下してしまうため、好ましくない。
【0022】
(D)増粘剤
本発明に使用される(D)増粘剤は、タブレット化粧料の成型性や離型性を高めるために用いられる。
(D)増粘剤としては、キサンタンガム、タマリンドガム、アルギン酸ナトリウム、ジェランガム、寒天、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、クインスシードなどの水溶性高分子を用いることができる。この中でも、タブレット化粧料を使用し、乾いた際のべたつきや、つっぱり感が少ないという点で、キサンタンガム、タマリンドガム、クインスシードを用いることが好ましい。
【0023】
(D)増粘剤の配合量は、化粧料中、好ましくは0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.05〜0.1質量%である。1.0質量%を超えて配合すると、タブレットの離型性や使用感が低下することがあり、配合量が0.01質量%未満であると、成型性や離型性が低下することがある。
【0024】
このような増粘剤の市販品としては、例えば、キサンタンガム(ケルトロール、ケルコ社製)、タマリンドガム(グリロイド6C、大日本製薬株式会社製)、アルギン酸ナトリウム(ダックアルギンNSPH、キッコーマンバイオケミファ株式会社製)、ジェランガム(ケルコゲル、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)、寒天(伊那寒天CS−110、伊那食品工業株式会社製)などが挙げられる。
【0025】
また、本発明に係るタブレット型凍結乾燥化粧料には、上記成分に加え、通常化粧品や医薬部外品に配合可能なその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲において含んでいてもよい。
本発明の製造上、その他の成分としては、特に水性成分の使用が好ましいが、界面活性剤等を用いて可溶化するなどして、油性成分を配合することもできる。
水性成分としては、例えば、多価アルコール、(D)成分以外の水溶性高分子、キレート剤、pH調整剤、防腐剤等が挙げられる。
【0026】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、上記以外の分子量のポリエチレングリコール、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0027】
水溶性高分子としては、上記以外のもの、例えば、親水性合成高分子として、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、プルロニック、マクロゴール、ポピドン、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレンイミン等;親水性天然高分子として、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、カードラン、アルギン酸、カラギーナン、マンナン、ペクチン、アラビアゴム、カラヤガム、カゼイン、α−シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、エラスチン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等;親水性粘土鉱物として、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。
【0028】
キレート剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0030】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0031】
また、油性成分としては、例えば、香料、油性薬剤(例えば、ビタミンA等)が挙げられる。
【0032】
その他、配合可能成分としては、例えば、保湿剤(例えば、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)コポリマー、PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル等のPEG/PPGジメチルエーテル、水溶性コラーゲン、過酸化水素処理酵母加水分解物、dl−プロリドンカルボン酸ナトリウム、L−ヒドロキシプロリン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム);各種抽出物(例えば、バラ、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキョウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等);その他水溶性薬剤(例えば、トラネキサム酸)等の有効成分が挙げられ、これらの配合により本発明の化粧料に所望の効果を付加することができる。
なお、必須成分である増粘剤及びトレハロースも、本発明に保湿効果をもたらし得る。
【0033】
本発明に係るタブレット型凍結乾燥化粧料は、上記配合成分を水や低級アルコール等の揮発性液状媒体に溶解又は分散し、乾燥前溶液を調製後、凍結後減圧して昇華させることで後に残る乾燥物として得ることができる。
本発明に係るタブレット型凍結乾燥化粧料の製造において、水等の媒体に溶解された上記賦形剤成分は、媒体中で3次元の網目状構造を形成する。そのような状態から、媒体のみを除去しようとすると、乾燥によって網目構造が収縮し、歪んだり崩れたりすることから、通常は該構造を維持することは難しい。しかし、本発明においては、前記賦形剤とともに配合されるトレハロースが媒体揮発後も媒体に代わって網目状構造を支持するため、賦形剤による構造がほぼ維持されると考えられる。
【0034】
また、賦形剤の3次元網目状構造が維持された乾燥物は、該構造から媒体部分が抜けた多孔状態であり、再溶解時に水を加えると、各孔より網目状構造内部へ水が浸透し、タブレット製剤全体の溶解が進む。その際、上記構造物を含む構成成分の密度が高いほど水は内部へ浸透し難くなり、製剤は溶解し難くなる。一方、構成成分の密度が低すぎると、製剤そのものが脆く、崩れやすくなり、また、保存時に湿気を吸い易くなる。
そのため、瞬時に水が浸透し、製剤が崩壊するような溶解性をもつ一方で、保存時の吸湿性は極めて低い製剤とするには、さらに、構成成分の嵩密度を一定の範囲に設定する必要がある。
【0035】
そのため、本発明に係るタブレット型化粧料においては、上記構成成分を含み、且つ、その嵩比重が0.1〜0.5g/ml、好ましくは0.15〜0.3g/mlとすることを要する。
嵩比重が0.1g/mlに満たないと保存時の吸湿性が高くなり、0.5g/mlを超えると水への溶解性が低下する傾向がある。一方で、嵩比重が前記範囲内にあると、媒体が抜けた孔が適度な多さとなり、且つ増粘剤の網目構造も適度に広がった状態で固定され、水を添加して再溶解させた際に、極めて良好な溶解性となる。
【0036】
嵩比重の測定方法としては、凍結乾燥後のタブレットの重量(g)÷凍結乾燥型の容積(ml)にて算出する。
【0037】
本発明に係るタブレット型化粧料は、例えば、構成成分を水や低級アルコール等の揮発性液状媒体に溶解又は分散した溶液をタブレット型に充填後、これを凍結乾燥させ、必要に応じて前記型から取り出すことにより製造することができる。
本発明は、上記嵩比重を満たすように製剤の体積と構成成分及び媒体の量を設定することによって、あらゆる大きさ及び形状に成型され得る。
ただし、極端に細い形状や複雑すぎる形状は成形性などで問題があるため好ましくない。
また、本発明は製剤の吸湿性が低く、また、離型性が高く容器から剥離し易いため、容器に充填したまま使用分毎に包装する形態(例えば、ブリスターパック)に限らず、容器(型)から外した製剤のみを任意の形態で包装することも可能である。
【0038】
本発明に係るタブレット型化粧料は、通常、適量の水を加えて製剤を再溶解させ、その溶液を皮膚等に塗布することにより使用することができる。水の添加量は、製剤が完全に溶解する程度を下限に、塗布し易い粘度となるように調製すればよいが、多すぎると、成分濃度が低くすぎて十分な効果が得られないことがあり、少なすぎると塗布時にべたつくことがある。したがって、特に限定はされないが、製剤の体積の1〜10倍程度で添加量を調整することが好ましい。
また、製剤へ水を加える場所は、掌上や適用部位であっても、適当な容器内等であってもよいが、本発明の使用方法として、1回使用分の製剤を掌上に載せ、製剤に水を加えた後、掌上の溶解液をそのまま適用部位へ手で塗布することが好ましい。
なお、製剤の再溶解が可能であれば、水に代えて化粧水等を用いてもよい。
【0039】
本発明に係るタブレット型化粧料は、配合する成分により、化粧水、美容液、パック、クレンジング、洗顔フォーム、ハンドクリーム、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、日焼け止め等、任意の製品形態とすることができ、特に、保湿用の化粧水や美容液としての使用が好適である。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明について詳述するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
まず、以下の試験で用いた評価方法及び評価基準について説明する。
【0041】
<溶解性>
各試験例のタブレット型凍結乾燥化粧料(約100mg)を手のひらに載せ、500μl水を滴下してから、指でなじませ製剤が完全に溶解するまでに要した時間について、下記の基準で評価した。
A:製剤は瞬時に完全に溶解した。
B:製剤はやや時間を要するが完全に溶解した。
C:製剤はやや溶けにくく一部溶け残りが生じた。
D:製剤は溶けにくく溶け残りが生じた。
E:製剤は溶けなかった。
【0042】
<使用性>
各試験例のタブレット型凍結乾燥化粧料(約100mg)を掌上に載せ、500μlの水を加えて溶解させ、肌に塗布した際の使用感触(しっとりさ、べたつきのなさ、肌のなめらかさ)について、10名の専門パネルにより下記の基準で評価した。
A:10名中6名以上が、使用感触が良いと回答した。
B:10名中3名以上6名未満が、使用感触が良いと回答した。
C:10名中3名未満が、使用感触が良いと回答した。
【0043】
<離型性>
各試験例のタブレット型凍結乾燥化粧料の製造方法における乾燥工程後、乾燥物を容器から取り出す際の離れ易さについて、下記の基準で評価した。
A:製剤が容器から非常に容易に離れた。
B:製剤が容器から容易に離れた。
C:製剤が容器からやや離れ難かった。
D:製剤が容器から非常に離れ難かった。
【0044】
<成形性>
各試験例のタブレット型凍結乾燥化粧料の製造方法における乾燥工程後の成形性について、下記の基準で評価した。
A:製剤が容器から成形型どおりに成形された。
B:製剤が容器からほぼ成形型どおりに成形された。
C:製剤が容器から小さなクラックが生じたが成形された。
D:製剤が容器から小さくなるなど成形型どおりに成形されなかった。
E:製剤が容器から大きなクラックが生じた、またはもろく割れが生じた。
【0045】
下記各表に記載する処方の試験例組成物は、下記製造方法に従って調製した。
<製造方法>
各種配合成分を水や低級アルコール等の揮発性液状媒体に溶解又は分散し、成形型に流し込み、凍結後減圧して昇華させることで後に残る乾燥物としてタブレット型凍結乾燥化粧料を得た。
【0046】
まず、本発明者は、賦形剤として用いる糖についてのタブレット化粧料の成形性の検討を行った。
以下の表1に掲げる試験例の処方は以下の通りである。
【0047】
イオン交換水 残量
各種糖 表1に示す配合量
合計 100質量%
【0048】
【表1】
【0049】
このことから、賦形剤の基本骨格としては、糖の中でも、トレハロースを用いることが成形性の点で、優れていることがわかった。
したがって、本発明者は、以下において、乾燥前溶液に対するトレハロースの配合量の検討をした。表2中の配合量は、凍結乾燥化粧料中でなく、乾燥前溶液中の各成分の配合量を示す。
【0050】
【表2】
【0051】
試験例2−1〜2−6から分かるように、乾燥前溶液に対してトレハロースの配合量が、20質量%を超えると、突沸してしまうため、成形性の観点から好ましくない。また、再溶解性としては、乾燥前溶液に対してトレハロースの配合量が20質量%を超えると、溶け残りがあるため、好ましくない。
【0052】
そこで、本発明者は、その他の成分として、乾燥前溶液に(B)ポリエチレングリコールを加えることで、凍結乾燥後のタブレット型化粧料の成型性と離型性を改善することができるか検討した。表3中の配合量は、凍結乾燥化粧料中でなく、乾燥前溶液中の各成分の配合量を示す。
【0053】
【表3】
【0054】
(*1)トレハロース;株式会社林原社製
【0055】
試験例3−1〜3−2から分かるように、乾燥前溶液に(B)ポリエチレングリコールを加えると、再溶解性を維持したまま、成形性および離型性に優れた賦形剤となることが分かった。
【0056】
本発明者は、さらに、タブレット化粧料としての使用性について検討した。
【0057】
【表4】
【0058】
(*3)バイオヒアロ 12;資生堂社製
(*4)グリロイド6C;大日本製薬社製
(*5)Lipdure−PMB(Ph10);日油社製
【0059】
【表5】
【0060】
表4および表5より、タブレット化粧料の使用性を向上するためには、(B)ポリエチレングリコールを配合しつつ、さらに、保湿剤と増粘剤を加えることで、成形性、離型性、再溶解性を維持したまま、使用性を向上できることが分かった。
【0061】
次に、配合する(B)ポリエチレングリコールの数平均分子量の検討を行った。
【0062】
【表6】
【0063】
試験例6−1から6−7より、(B)ポリエチレングリコールは、数平均分子量が4000〜20000であることが、成形性および使用性の点では好ましい。
【0064】
【表7-1】
【0065】
試験例7−1〜7−6は、再溶解性、使用性に優れ、さらに、高温安定性にも優れたタブレット化粧料であった。
【0066】
本発明のタブレット型凍結乾燥化粧料(洗浄剤)の処方例は以下である。
【0067】
【表8】
【0068】
本発明のタブレット型凍結乾燥化粧料(ヘアートリートメント)の処方例は以下である。
【0069】
【表9】
【0070】
本発明のタブレット型凍結乾燥化粧料(シャンプー)の処方例は以下である。
【0071】
【表10】
【0072】
本発明のタブレット型凍結乾燥化粧料(皮膚塗布用化粧料)の処方例4〜7は以下である。
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
【表14】