特許第6404442号(P6404442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6404442
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】シーツ
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/02 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   A47G9/02 Q
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-232772(P2017-232772)
(22)【出願日】2017年12月4日
【審査請求日】2018年3月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517424003
【氏名又は名称】宮下 太輔
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】宮下 太輔
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3086875(JP,U)
【文献】 特開昭53−045465(JP,A)
【文献】 実開昭57−062968(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第01121856(GB,A)
【文献】 仏国特許発明第02110822(FR,A5)
【文献】 実開平04−006964(JP,U)
【文献】 米国特許第05615425(US,A)
【文献】 米国特許第05287574(US,A)
【文献】 米国特許第04144602(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形状のシーツ本体と、前記シーツ本体の両短辺に設けられた一対の短辺側耳部と、前記シーツ本体の両長辺に設けられた一対の長辺側耳部と、を備え、
前記短辺側耳部及び前記長辺側耳部は、その縁部にかがり加工が施されてなり、
前記シーツ本体は、少なくとも一つの隅に、内方に向かって湾曲する湾曲縁部を有し、
前記短辺側耳部は、前記湾曲縁部に向かって延びる短辺側縁部を有し、
前記長辺側耳部は、前記湾曲縁部に向かって延びる長辺側縁部を有し、
前記湾曲縁部、前記短辺側縁部及び前記長辺側縁部が滑らかに連結され、
前記湾曲縁部にかがり加工が施されていることを特徴とするシーツ。
【請求項2】
前記短辺側縁部と前記長辺側縁部とが固着されてなるマチ部を有することを特徴とする、請求項に記載のシーツ。
【請求項3】
前記マチ部は、前記シーツ本体の短辺方向又は長辺方向の何れかに沿って複数形成されていることを特徴とする、請求項に記載のシーツ。
【請求項4】
前記短辺側耳部及び前記長辺側耳部の少なくとも一方は、前記シーツ本体と別体に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシーツ。
【請求項5】
前記短辺側耳部及び前記長辺側耳部は、互いに着脱可能に連結する連結手段を有することを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載のシーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスに装着されるシーツに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、マットレスに装着されるシーツとして、布の四隅が立体的に縫合されることで、マットレスの厚みに合わせたマチが形成されている、所謂ボックスシーツが汎用されてきた。
【0003】
通常、ボックスシーツは、底面側に開口部が形成されており、この開口部の周縁には、ゴムが挿通されていることで、マットレス全体を包み込むようにして装着される。
【0004】
しかし、上記したボックスシーツは、装着時の作業能率の点で、以下のような問題点を有していた。
即ち、作業者は、ボックスシーツをマットレスに装着する際に、開口部の周縁をマットレスの底面に敷き込む作業を行うこととなる。この作業は、マットレスの各辺について行われ、偏りなく装着するための位置調整も必要となる。このため、作業者は、ベッドの周囲を周回しながら装着作業を行うこととなり、作業能率が極めて悪くなる。
【0005】
特に、宿泊施設や介護施設等では、シーツの付け替え作業が頻繁に行われることから、マットレスへの付け替えを簡便に行うことが可能なシーツの開発が切望されていた。
【0006】
このような問題点を解決するために、特許文献1及び特許文献2には、一枚の略長方形状の布の四隅を切除し、切除部近傍に着脱手段を設けることにより構成されたシーツが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−16305号公報
【特許文献2】実用新案登録第3086875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載のシーツは、何れも周縁に加工が一切施されていないため、糸のほつれが発生してしまう。また、何れも四隅を直角に切除していることから、装着作業時等に隅へ応力が集中し、亀裂が入り易い。
【0009】
このため、特許文献1及び特許文献2に記載のシーツは、経年劣化が激しく、繰り返しの使用に適していない。
【0010】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、マットレスに対する着脱作業を簡便に行え、繰り返しの使用による経年劣化を抑制するシーツを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、
略長方形状のシーツ本体と、前記シーツ本体の両短辺に設けられた一対の短辺側耳部と、前記シーツ本体の両長辺に設けられた一対の長辺側耳部と、を備え、
前記短辺側耳部及び前記長辺側耳部は、その縁部にかがり加工が施されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、短辺側耳部及び長辺側耳部の縁部にかがり加工が施されていることで、糸のほつれの発生を防止することが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、
前記シーツ本体は、少なくとも一つの隅に、内方に向かって湾曲する湾曲縁部を有し、
前記短辺側耳部は、前記湾曲縁部に向かって延びる短辺側縁部を有し、
前記長辺側耳部は、前記湾曲縁部に向かって延びる長辺側縁部を有し、
前記湾曲縁部、前記短辺側縁部及び前記長辺側縁部が滑らかに連結されていることを特徴とする。
【0014】
このような構成とすることで、シーツ本体の隅への応力集中を分散し、隅からの亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記湾曲縁部にかがり加工が施されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成とすることで、湾曲縁部の糸のほつれの発生を防止する共に、強度を向上させ、シーツ本体の四隅からの亀裂の発生を、より起こりにくくすることが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記短辺側縁部と前記長辺側縁部とが固着されてなるマチ部を有することを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、シーツをマットレスに装着した際、シーツに強い外力が加わったとしても、固着された部分がマットレスの隅に引っ掛かることで、シーツの装着位置のずれやマットレスからの不意の脱離を抑制することが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記マチ部は、前記シーツ本体の短辺方向又は長辺方向の何れかに沿って複数形成されていることを特徴とする。
【0020】
このような構成とすることで、マットレスへの装着時に、表面にしわの無い装着状態を簡便に実現することが可能となる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記短辺側耳部及び前記長辺側耳部の少なくとも一方は、前記シーツ本体と別体に構成されていることを特徴とする。
【0022】
このような構成とすることで、シーツをマットレスに装着した際、四隅の上方への隆起をなくすことができ、美観に優れた装着状態とすることが可能となる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記短辺側耳部及び前記長辺側耳部は、互いに着脱可能に連結する連結手段を有することを特徴とする。
【0024】
このような構成とすることで、シーツのマットレスへの着脱作業を、簡便に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、マットレスに対する着脱作業を簡便に行え、繰り返しの使用による経年劣化を抑制するシーツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1に係るシーツを示す図であって、(a)表面図、(b)裏面図である。
図2】本発明の実施形態1に係るシーツの断面を示す図であって、(a)P−P線断面図、(b)A領域の拡大図である。
図3】本発明の実施形態1に係るシーツの使用例を示す概略斜視図である。
図4】本発明の実施形態1に係るシーツの変更例を示す図であって、(a)概略斜視図、(b)B領域の拡大図である。
図5】本発明の実施形態2に係るシーツを示す図であって、(a)表面図、(b)裏面図である。
図6】本発明の実施形態2に係るシーツの断面を示す図であって、(a)Q−Q線断面図、(b)C領域の拡大図である。
図7】本発明の実施形態2に係るシーツの使用例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1>
以下、図1図4を用いて、本発明の実施形態1に係るシーツについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。これらの図において、符号1は、本実施形態のシーツを示す。
【0028】
図1(a)に示すように、本実施形態に係るシーツ1は、一枚の生地を用いて構成されており、略長方形状のシーツ本体11と、シーツ本体11の両短辺に設けられた一対の略長方形状の短辺側耳部12と、シーツ本体11の両長辺に設けられた一対の略長方形状の長辺側耳部13と、を備えている。
各短辺側耳部12及び各長辺側耳部13の形状は、略長方形状に限られず、三角形や多角形、半円形状や楕円形状等であっても良い。
【0029】
シーツ本体11は、四隅に、シーツ本体11の内方に向かって湾曲する湾曲縁部Rを有している。
【0030】
各短辺側耳部12は、各短辺側耳部12の一対の短辺を構成し、各湾曲縁部Rに向かって延びる短辺側縁部121と、一対の長辺を構成する耳部長辺122と、を有し、短辺側縁部121と、シーツ本体11に連接されていない耳部長辺122には三巻縫いが施されている。
【0031】
各長辺側耳部13は、各長辺側耳部13の一対の短辺を構成し、各湾曲縁部Rに向かって延びる長辺側縁部131と、一対の長辺を構成する耳部長辺132と、を有し、長辺側縁部131と、シーツ本体11に連接されていない耳部長辺132には三巻縫いが施されている。
【0032】
ここで、各湾曲縁部R、各短辺側縁部121及び各長辺側縁部131は、滑らかに連接されており、各湾曲縁部Rにも三巻縫いが施されている。
【0033】
図1(b)に示すように、各短辺側耳部12及び各長辺側耳部13の裏面には、互いに着脱可能な連結手段Dが設けられている。
本実施例においては、各短辺側耳部12の各短辺側縁部121に間隔を置いて雌ホックが2つ設けられ、各長辺側耳部13の各長辺側縁部131に間隔を置いて、雄ホックが2つ設けられている構成としている。なお、連結手段Dはこれに限定されず、例えば、面ファスナーを用いる構成としても良い。
【0034】
なお、図1(a)及び図1(b)に示す点線は、三巻縫いを施した際に表出する縫い目を示している。
【0035】
図2に示すように、三巻縫いは、生地の縁部(図2では耳部長辺122)を、三重に重なるように裏面に巻き込んだ状態で縫合することにより施される。
なお、各湾曲縁部R、各短辺側縁部121、各長辺側縁部131、各耳部長辺122及び132の加工手段は、三巻縫いに限定されず、まつり縫い、4本糸合わせ縫い等、かがり加工であれば、どのような手段であっても良い。
【0036】
図3に示すように、シーツ1は、シーツ本体11の裏面がマットレスMの上面と接するように、上方から覆い被せ、各短辺側耳部12及び各長辺側耳部13を、着脱手段により連結することで、マットレスMに装着される。
【0037】
本実施形態によれば、短辺側縁部121と、シーツ本体11に連接されていない耳部長辺122には三巻縫いが施され、また、長辺側縁部131と、シーツ本体11に連接されていない耳部長辺132には三巻縫いが施されていることで、糸のほつれの発生を防止することが可能となる。
【0038】
また、シーツ本体11が、その四隅に、内方に向かって湾曲する湾曲縁部Rを有し、各短辺側縁部121及び各長辺側縁部131と滑らかに連結していることで、シーツ本体11の四隅への応力集中を分散し、四隅からの亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0039】
また、各湾曲縁部Rに三巻縫いが施されていることで、湾曲縁部Rの糸のほつれの発生を防止する共に、強度を向上させ、シーツ本体11の四隅からの亀裂の発生を、より起こりにくくすることが可能となる。
【0040】
また、各短辺側耳部12及び各長辺側耳部13が、互いに着脱可能に連結する連結手段Dを有することで、シーツ1のマットレスMへの着脱作業を、簡便に行うことが可能となる。
【0041】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0042】
例えば、図4に示すように、シーツ1は、短辺側縁部121と長辺側縁部131とが固着されてなるマチ部Tを有する構成としても良い。
【0043】
図4において、一方の短辺側耳部12の短辺側縁部121と、各長辺側耳部13の一方の長辺側縁部131とが縫合されることにより、マチ部Tが形成されている。即ち、マチ部Tは、シーツ本体11の短辺方向に沿って二箇所形成されている。
【0044】
このようにすることで、シーツ1をマットレスMに装着した際、シーツ1に強い外力が加わったとしても、マチ部TがマットレスMの隅に引っ掛かることで、シーツ1の装着位置のずれやマットレスMからの不意の脱離を抑制することが可能となる。
【0045】
また、作業者は、二箇所のマチ部TをマットレスMの隅部に引っ掛け、マチ部Tが形成されていない短辺側耳部12を掴み、外方に引張りながら、短辺側耳部12と長辺側耳部13とを連結することで、シーツ1をマットレスMに装着することができる。即ち、マチ部Tが、シーツ本体11の短辺方向に沿って二箇所形成されていることで、マットレスMへの装着時に、表面にしわの無い装着状態を簡便に実現することが可能となる。
【0046】
なお、固着手段はこれに限定されず、例えば接着剤等で固着することでマチ部Tを形成しても良い。また、マチ部Tは、シーツ本体11の長辺方向に沿って二箇所形成しても良い。また、上記のような構成とした場合、連結手段Dは必ずしも設ける必要はない。
【0047】
<実施形態2>
以下、図5図7を用いて、本発明の実施形態2に係るシーツについて説明する。なお、同実施形態において、先の実施形態と基本的に同一の構成要素については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
【0048】
図5(a)に示すように、本実施形態に係るシーツ1も、略長方形状のシーツ本体11と、シーツ本体11の両短辺に設けられた一対の略長方形状の短辺側耳部12と、シーツ本体11の両長辺に設けられた一対の略長方形状の長辺側耳部13と、を備えている。
【0049】
また、シーツ本体11及び各短辺側耳部12は、一枚の生地を用いて一体に構成されており、各長辺側耳部13は、シーツ本体11及び短辺側耳部12と別体で構成されている。
【0050】
シーツ本体11は、シーツ本体11の一対の長辺を構成する本体長辺111に、三巻縫いが施されている。
【0051】
各短辺側耳部12は、各短辺側耳部12の一対の短辺を構成し、各湾曲縁部Rに向かって延びる短辺側縁部121と、一対の長辺を構成する耳部長辺122と、を有し、短辺側縁部121と、シーツ本体11に連接されていない耳部長辺122には三巻縫いが施されている。
【0052】
各長辺側耳部13は、各長辺側耳部13を構成する全ての辺に、三巻縫いが施されている。
【0053】
図5(b)に示すように、各短辺側耳部12及び各長辺側耳部13の裏面には、実施形態1と同様にして、互いに着脱可能な連結手段Dが設けられている。
【0054】
図6に示すように、各長辺側耳部13は、一方の耳部長辺132の裏面を、各本体長辺111の表面に重ね合わせた状態で縫合することにより、シーツ本体11に連結される。
【0055】
図7に示すように、シーツ1は、実施形態1と同様、シーツ本体11の裏面がマットレスMの上面と接するように、上方から覆い被せ、各短辺側耳部12及び各長辺側耳部13を、着脱手段により連結することにより、マットレスMに装着される。
【0056】
本実施形態によれば、各長辺側耳部13が、シーツ本体11及び各短辺側耳部12と別体で構成されていることにより、シーツ1をマットレスMに装着した際、四隅の上方への隆起をなくすことができ、美観に優れた装着状態とすることが可能となる。
【0057】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0058】
例えば、シーツ本体11と各長辺側耳部13とを、一枚の生地を用いて一体に構成し、各短辺側耳部12を、シーツ本体11及び各長辺側耳部13と別体に構成しても良いし、各短辺側耳部12と各長辺側耳部13双方を、シーツ本体11と別体に構成しても良い。
【0059】
また、実施形態1において示した、短辺側耳部12及び長辺側耳部13の形状の変更例や、かがり加工の変更例、連結手段Dの変更例は、本実施形態においても当然に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 シーツ
11 シーツ本体
111 本体長辺
12 短辺側耳部
121 短辺側縁部
122 耳部長辺
13 長辺側耳部
131 長辺側縁部
132 耳部長辺
R 湾曲縁部
D 連結手段
T マチ部
M マットレス
【要約】      (修正有)
【課題】マットレスに対する着脱作業を簡便に行え、繰り返しの使用による経年劣化を抑制するシーツを提供する。
【解決手段】略長方形状のシーツ本体11と、前記シーツ本体11の両短辺に設けられた一対の短辺側耳部12と、前記シーツ本体11の両長辺に設けられた一対の長辺側耳部13と、を備え、前記短辺側耳部12及び前記長辺側耳部13は、その縁部にかがり加工が施されてなることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7