特許第6404465号(P6404465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404465
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】レーザー刻線用光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   G02B13/00
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-518212(P2017-518212)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公表番号】特表2017-531826(P2017-531826A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(86)【国際出願番号】CN2014092429
(87)【国際公開番号】WO2016082172
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】515016891
【氏名又は名称】ハンズ レーザー テクノロジー インダストリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 博
(72)【発明者】
【氏名】李 家英
(72)【発明者】
【氏名】周 朝明
(72)【発明者】
【氏名】陳 玉慶
(72)【発明者】
【氏名】高 云峰
【審査官】 岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−519070(JP,A)
【文献】 特表2011−519068(JP,A)
【文献】 特開2004−151134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー刻線用光学レンズであって、入射光の伝播方向に順に同軸に配列される第一レンズ、第二レンズ、第三レンズから構成され、前記第一レンズと前記第二レンズはメニスカス状レンズであり、前記第三レンズは両凸型レンズであり、
前記第一レンズは第一曲面と第二曲面を含み、前記第二レンズは第三曲面と第四曲面を含み、前記第三レンズは第五曲面と第六曲面を含み、前記第一曲面ないし第六曲面は入射光の伝播方向に順に配列され、
前記第一曲面ないし第六曲面の曲率半径は順に、−47±5%mm、∞、−218±5%mm、−81±5%mm、778±5%mm、−142±5%mmであり、
前記第一レンズ、第二レンズおよび第三レンズの中心厚さは順に、4±5%mm、15±5%mm、18±5%mmであることを特徴とするレーザー刻線用光学レンズ。
【請求項2】
前記第一レンズ、第二レンズおよび第三レンズにおいて、屈折率とアッベ数の比例値はそれぞれ、(1.50/62)±5%、(1.80/25)±5%、(1.80/25)±5%であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー刻線用光学レンズ。
【請求項3】
前記第一レンズと前記第二レンズの間の距離は12±5%mmであり、前記第二レンズと前記第三レンズの間の距離は0.3±5%mmであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー刻線用光学レンズ。
【請求項4】
保護レンズを更に含み、該保護レンズは前記第三レンズの撮像側に設けられることを特徴とする請求項1に記載のレーザー刻線用光学レンズ。
【請求項5】
前記保護レンズは平板型ガラスであり、該保護レンズの厚さは2±5%mmであり、前記保護レンズと前記第三レンズとの間の距離は2±5%mmであることを特徴とする請求項4に記載のレーザー刻線用光学レンズ。
【請求項6】
前記レーザー刻線用光学レンズのパラメーターは、
f=160mm、
Φ=7mm、
刻線の範囲A=100*100mm
作業用光線の波長λ=1064nmであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー刻線用光学レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズに関し、特に、レーザー加工装置に用いられる刻線用光学レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パーソナルコンピュータ、薄型テレビなどの電子装置の発展に伴い、それらに用いられるパネルの需要がますます増加している。パネルを生産する過程において、レーザーによってパネル上に刻線を形成し、該刻線に沿ってパネルをカットする。パネル製品の技術的要求に合わせるため、レーザーでパネルに刻線を形成するとき、刻線の細さと深さを確保しなければならない。このため、レーザーエッチング装置の刻線用光学レンズに対する要求がますます高まっている。
【0003】
従来のレーザーエッチング装置は1つの刻線用光学レンズまたは複数(三個以下)の刻線用光学レンズを採用する。1つの刻線用光学レンズを採用すると、刻線の品質を向上させることができるが、作業台によって刻線用光学レンズを移動させながら刻線を形成する、もしくはカットする必要があるので、刻線を形成する速度が非常に遅い。それに対して、複数の刻線用光学レンズを採用すると、刻線を形成する速度を向上させることができるが、刻線の深度と幅の一様性を確保することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、刻線の品質がよく、刻線を形成する速度が速いレーザー刻線用光学レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のレーザー刻線用光学レンズは、入射光の伝播方向に順に同軸に配列される第一レンズ、第二レンズ、第三レンズから構成され、前記第一レンズと前記第二レンズはメニスカス状レンズであり、前記第三レンズは両凸型レンズであり、
前記第一レンズは第一曲面と第二曲面を含み、前記第二レンズは第三曲面と第四曲面を含み、前記第三レンズは第五曲面と第六曲面を含み、前記第一曲面ないし第六曲面は入射光の伝播方向に順に配列され、
前記第一曲面ないし第六曲面の曲率半径は順に、−47±5%mm、∞、−218±5%mm、−81±5%mm、778±5%mm、−142±5%mmであり、
前記第一レンズ、第二レンズおよび第三レンズの中心厚さはそれぞれ、4±5%mm、15±5%mm、18±5%mmである。
【0006】
本発明の一実施例の前記第一レンズ、第二レンズおよび第三レンズにおいて、各レンズの屈折率とアッベ数の比例値は順に、(1.50/62)±5%、(1.80/25)±5%、(1.80/25)±5%である。
【0007】
本発明の一実施例において、前記第一レンズと前記第二レンズの間の距離は12±5%mmであり、前記第二レンズと前記第三レンズの間の距離は0.3±5%mmである。
【0008】
本発明の一実施例において、前記レーザー刻線用光学レンズは保護レンズを更に含み、該保護レンズは前記第三レンズの撮像側に設けられる。
【0009】
本発明の一実施例において、前記保護レンズは平板型ガラスであり、該保護レンズの厚さは2±5%mmであり、前記保護レンズと前記第三レンズの間の距離は2±5%mmである。
【0010】
本発明の一実施例において、前記レーザー刻線用光学レンズのパラメーターは、
f=160mm、Φ=7mm、
刻線の範囲A=100*100mm
作業用光線の波長λ=1064nmである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレーザー刻線用光学レンズは、F−θ構造のレンズを採用するので、刻線の品質がよく、刻線の細さと深さを確保することができ、刻線を形成する速度が速く、従来の刻線用レンズより効率がよいという利点を有している。
【0012】
図面に示された本発明の好適な実施例の技術的事項によって本発明を具体的に説明することにより、本発明の目的、特徴および発明の効果をよく理解することができる。図面において、同様の符号は同様の部分を示す。下記図面は、実際の製品のサイズ比によって描いたものではなく、本発明の趣旨をよく表すことができるように描かれている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例のレーザー刻線用光学レンズの構造を示す図である。
図2】本発明の一実施例のレーザー刻線用光学レンズの細い光束の収差を示す図である。
図3】本発明の一実施例のレーザー刻線用光学レンズの幾何的収差を示す図である。
図4】本発明の一実施例のレーザー刻線用光学レンズの変調伝達関数の曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、特徴および発明の効果をより詳細に理解してもらうため、以下、図面により本発明の具体的な実施例をより詳細に説明する。下記実施例に示される具体的な技術的事項により、本発明を充分に理解することができる。明細書には本発明の好適な実施例が示されているが、本発明はそれらと異なる他の実施形態によって実施されることもできる。すなわち、本技術分野の技術者は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で色々な設計の変更などをすることができ、本発明は下記実施例の構成にのみ限定されるものではない。
【0015】
図1は本発明の一実施例のレーザー刻線用光学レンズの構造を示す図である。説明を簡単にするため、該図面には本発明に係る部分のみが示されている。
【0016】
本実施例の光学システムにおいて、光の伝播方向が図面の左側から右側に向かう。レンズの曲率半径の正負は球面と光軸の交差点によって決められ、球面の球心が該交差点の左側に位置するとき、曲率半径は負数になり、逆に、球面の球心が該交差点の右側に位置するとき、曲率半径は正数になる。以下同様である。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施例のレーザー刻線用光学レンズは、遠心刻線用F−θレンズであり、入射光の伝播方向に同軸に配列される第一レンズL1、第二レンズL2、第三レンズL3および保護レンズL4を含む。
【0018】
第一レンズL1は、メニスカス状レンズであり、対向する第一面S1と第二面S2を含む。第一面S1は撮像側へ突出しており、曲率半径は−47mmであり、第二面S2は平面であり、曲率半径は∞、すなわち無限大である。第一レンズL1の中心厚さd1(すなわち第一レンズL1の光軸上の厚さ)は4mmである。第一レンズL1の屈折率とアッベ数の比例値は1.50/62である。上述した各パラメーターは希望値であり、いずれも±5%の公差を許容する。すなわち、上述した各パラメーターは希望値の±5%の範囲内で変化することができる。
【0019】
第二レンズL2は、メニスカス状レンズであり、対向する第三面S3と第四面S4を含む。第三面S3は撮像側へ突出しており、曲率半径は−218mmであり、第四面S4は撮像側へ突出しており、曲率半径は−81mmである。第二レンズL2の中心厚さd3は15mmである。第二レンズL2の屈折率とアッベ数の比例値は1.80/25である。上述した各パラメーターは希望値であり、いずれも±5%の公差を許容する。すなわち、上述した各パラメーターは希望値の±5%の範囲内で変化することができる。
【0020】
第三レンズL3は、両凸型レンズであり、対向する第五面S5と第六面S6を含む。第五面S5は物体側へ突出しており、曲率半径は778mmであり、第六面S6は撮像側へ突出しており、曲率半径は−142mmである。第三レンズL3の中心厚さd5は18mmである。第三レンズL3の屈折率とアッベ数の比例値は1.80/25である。上述した各パラメーターは希望値であり、いずれも±5%の公差を許容する。すなわち、上述した各パラメーターは希望値の±5%の範囲内で変化することができる。
【0021】
第一面S1ないし第六面S6は入射光の伝播方向に順に配列される。
【0022】
保護レンズL4は第三レンズL3の撮像側に設けられる。本実施例において、保護レンズL4は平板型ガラスであり、両面の曲率半径はいずれも∞である。保護レンズL4の中心厚さd7は2mmである。保護レンズL4の屈折率とアッベ数の比例値は1.50/62である。上述した各パラメーターは希望値であり、いずれも±5%の公差を許容する。すなわち、上述した各パラメーターは希望値の±5%の範囲内で変化することができる。注意されたいことは、本実施例において保護レンズL4を設けなくてもよい。
【0023】
本発明において、第一レンズL1と第二レンズL2の間の距離、第二レンズL2と第三レンズL3の間の距離、第三レンズL3と保護レンズL4の間の距離が限定されている。本実施例において、第一レンズL1の出射面(第二面S2)と第二レンズL2の入射面(第三面S3)の間の光軸上の距離d2は12mmであり、該距離d2の公差範囲は5%である。第二レンズL2の出射面(第四面S4)と第三レンズL3の入射面(第五面S5)の間の光軸上の距離d4は0.3mmであり、該距離d4の公差範囲は5%である。第三レンズL3の出射面(第六面S6)と保護レンズL4の入射面の間の光軸上の距離d6は2mmであり、該距離d6の公差範囲は5%である。
【0024】
上述したレーザー刻線用光学レンズの焦点距離fは160mmであり、外円の直径Φは7mmであり、刻線の範囲Aは100*100mmであり、作業用光線の波長λは1064nmである。該レーザー刻線用光学レンズで刻線を形成するとき、刻線の深さは0.5mmに達し、開口数がsinα=0.02であるとき、刻線の幅は0.03mmに達することができる。
【0025】
図2図4にはそれぞれ、該レーザー刻線用光学レンズの細い光束の収差、幾何的収差および変調伝達関数の曲線(伝達関数のMTF図)が示されている。
【0026】
図2に示すように、該レーザー刻線用光学レンズの像面湾曲と変形はいずれも、理論値レベルになっている。
【0027】
図3に示すように、撮像全面の錯乱円はいずれも6μm以内になっており、いずれも理想的な状態になっている。
【0028】
図4に示すように、解像度が20line/mmになるとき、該レーザー刻線用光学レンズのMTFは依然として0.3より大きく、理想的な状態に達している。
【0029】
上述したとおり、本発明のレーザー刻線用光学レンズは、F−θ構造のレンズを採用するので、刻線の品質がよく、刻線の細さと深さを確保し、刻線の深度と幅の一様性を確保することができ、刻線を形成する速度が速く、従来の刻線用レンズより効率がよいという利点を有している。
【0030】
以上、上述した複数の実施例により本発明のいくつかの実施例を詳述してきたが、本発明の構成は前記実施例にのみ限定されるものではない。本技術分野の当業者は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で設計の変更等を行うことができ、このような設計の変更等があっても本発明に含まれることは勿論である。本発明の保護範囲は後述する特許請求の範囲が定めたものを基準にする。
図1
図2
図3
図4