(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404477
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】編地、および編地の接合方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/22 20060101AFI20181001BHJP
D04B 1/00 20060101ALI20181001BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
D04B1/22
D04B1/00 Z
A43B23/02 101Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-531115(P2017-531115)
(86)(22)【出願日】2016年7月7日
(86)【国際出願番号】JP2016070193
(87)【国際公開番号】WO2017018158
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2017年9月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-151242(P2015-151242)
(32)【優先日】2015年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】弓場 功雄
(72)【発明者】
【氏名】島崎 宜紀
【審査官】
長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−036542(JP,A)
【文献】
特開昭60−215802(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/037540(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B1/00−23/30
A43C1/00−19/00
A43D1/00−999/00
B29D35/00−35/14
D04B1/00−39/08
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立した二層状態で厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とが接合している編地において、
n,mを任意の自然数としたとき、
前記第二編地部の第n番目の編成コースの各編目が、編目間隙を前記第一編地部の一面側から他面側に通過し、前記第一編地部と前記第二編地部の厚み方向の上下の位置が入れ替わる通過箇所を備え、
前記第二編地部の終端部が、前記通過箇所の近傍で解れ止め処理されることで、前記通過箇所の位置で前記第一編地部と前記第二編地部とが接合されている編地。
ここで、前記編目間隙は、前記第一編地部の第m番目の編成コースの隣接する二つの編目と、その隣接する編目を繋ぐシンカーループと、第m+1番目の編成コースのシンカーループと、で囲まれた間隙。
【請求項2】
前記第m番目の編成コースの所定範囲内に並ぶ複数の前記編目間隙のそれぞれに、前記第n番目の編成コースの編目が一つずつ通過している請求項1に記載の編地。
【請求項3】
前記第一編地部はシューズアッパーで、前記第二編地部がタンであり、
前記シューズアッパーの始端部が、前記通過箇所の近傍に形成されている請求項1または請求項2に記載の編地。
【請求項4】
一方の針床と他方の針床を備える横編機を用いて、独立した二層状態で厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とを接合する編地の接合方法において、
n,mを任意の自然数としたとき、
前記第一編地部の第m番目の編成コースが前記一方の針床に係止され、前記第二編地部の第n番目の編成コースが前記他方の針床に係止された状態とする工程と、
前記第m番目の編成コースの編目を前記他方の針床に移動させると共に、前記第n番目の編成コースの編目を前記一方の針床に移動させ、前記第n番目の編成コースの各編目を前記第m番目の編成コースの編目の間に通過させた状態で、前記第一編地部と前記第二編地部の前後の位置を入れ替える工程と、
前記第n番目の編成コースを解れ止め処理する、または前記第n番目の編成コースのウエール方向に続けて数段の編成コースを編成してから解れ止め処理する工程と、
前記第m番目の編成コースに続く複数段の編成コースを編成する工程と、を備える編地の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した二層状態で厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とが接合している編地、および独立した二層状態で厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とを接合する編地の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
横編機を用いて、異なる給糸口を用いて編成される第一編地部と第二編地部とを接合することが行なわれている。第一編地部と第二編地部とが編幅方向に並んでいる場合、第一編地部の編目と第二編地部の編目とを重ねて両編地部を接合する手法や、特許文献1に記載のように、第一編地部の編糸と第二編地部の編糸とを交差させる手法などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5695859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、独立した二層状態で厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とを接合する場合、通常は第一編地部の編目と第二編地部の編目とを重ね合わせ、その重ね目のウエール方向に連続する編目を編成して、重ね目を固定する。
【0005】
ここで、シューズアッパー(第一編地部)のタン(第二編地部)や、ニットウェア(第一編地部)のポケットのフタ(第二編地部)などのように、第一編地部と第二編地部とが接合された部分を回転軸として第一編地部に対して第二編地部が回動し易くなっていることが好ましい場合がある。しかし、重ね目による接合では、重ね目を構成する一方の編目と他方の編目とが互いの動きを拘束するため、第二編地部が第一編地部に対して回動し難い。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とを、両編地部の接合箇所を回転軸として容易に回動させることができるように接合した編地を提供することにある。また、本発明の別の目的は、厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とを、両編地部の接合箇所を回転軸として容易に回動させることができるように接合する編地の接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の編地は、独立した二層状態で厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とが接合している編地である。この編地では、n,mを任意の自然数としたとき、前記第二編地部の第n番目の編成コースの各編目が、編目間隙を前記第一編地部の一面側から他面側に通過し、前記第一編地部と前記第二編地部の厚み方向の上下の位置が入れ替わる通過箇所を備える。また、前記第二編地部の終端部が、前記第一編地部を通過する通過箇所の近傍で解れ止め処理されることで、前記第一編地部と前記第二編地部とが前記通過箇所の位置で接合されている。ここで、前記編目間隙は、前記第一編地部の第m番目の編成コースの隣接する二つの編目と、その隣接する編目を繋ぐシンカーループと、第m+1番目の編成コースのシンカーループと、で囲まれた間隙。第m+1番目の編成コースのシンカーループは、第m番目の編成コースの隣接する二つの編目のウエール方向に続く二つの編目を繋ぐシンカーループである。
【0008】
本発明の編地の一形態として、前記第m番目の編成コースの所定範囲内に並ぶ複数の前記編目間隙のそれぞれに、前記第n番目の編成コースの編目が一つずつ通過している形態を挙げることができる。
【0009】
本発明の編地の一形態として、前記第一編地部はシューズアッパーで、前記第二編地部がタンであり、前記シューズアッパーの始端部が、前記通過箇所の近傍に形成されている形態を挙げることができる。
【0010】
本発明の編地の接合方法は、一方の針床と他方の針床を備える横編機を用いて、独立した二層状態で厚み方向に重なる第一編地部と第二編地部とを接合する編地の接合方法である。この本発明の編地の接合方法では、n,mを任意の自然数としたとき、以下の工程を備える。
・前記第一編地部の第m番目の編成コースが前記一方の針床に係止され、前記第二編地部の第n番目の編成コースが前記他方の針床に係止された状態とする工程。
・前記第m番目の編成コースの編目を前記他方の針床に移動させると共に、前記第n番目の編成コースの編目を前記一方の針床に移動させ、前記第n番目の編成コースの各編目を前記第m番目の編成コースの編目の間に通過させた状態で前記第一編地部と前記第二編地部の前後の位置を入れ替える工程。
・前記第n番目の編成コースを解れ止め処理する、または前記第n番目の編成コースのウエール方向に続けて数段の編成コースを編成してから解れ止め処理する工程。
・前記第m番目の編成コースに続く複数段の編成コースを編成する工程。
【発明の効果】
【0011】
本発明の編地では、第一編地部と第二編地部の厚み方向の上下の位置を入れ替えることで第一編地部と第二編地部とを接合しているため、両編地部の上下の位置が入れ替わる通過箇所を回転軸として、第一編地部に対して第二編地部を容易に回動させることができる。また、本発明の編地では、第二編地部の終端部が前述の通過箇所の近傍に設けられており、第一編地部の他面側に配置される第二編地部が小さくなっている。第一編地部の一面側を表にして使用する編地では、第一編地部の他面側(裏側)に配置される第二編地部が大きいと、第二編地部を回動させ難くなる。このような問題は、第一編地部の他面側に配置される第二編地部が小さければ生じ難くなる。
【0012】
第m番目の編成コースの所定範囲内に並ぶ複数の編目間隙のそれぞれに、第n番目の編成コースの編目を一つずつ通過させることで、第一編地部と第二編地部との接合強度を向上させることができる。
【0013】
シューズアッパーとタンの厚み方向の上下の位置を入れ換えてシューズアッパーとタンとを接合することで、履き易いシューズアッパーとなる。シューズアッパーを着用する際にタンを回動させることで、履き口が大きくなるからである。
【0014】
本発明の編地の接合方法によれば、本発明の編地を編成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に示すシューズアッパーの概略図である。
【
図2A】シューズアッパーのII−II断面図である。
【
図2B】シューズアッパーとタンとの接合箇所近傍の概略ループ図である。
【
図3】シューズアッパーの編成手順の一例を模式的に示す編成イメージ図である。
【
図4】接合箇所近傍の形成手順の一例を示す編成工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1では、本発明の編地の接合方法によって編成された部分を有するシューズアッパー1(
図1参照)を説明する。本発明の編地の接合方法を適用する位置は、後述するインステップカバー2とタン4とを接合する部分である。以下、シューズアッパー1の各構成を説明し、その後シューズアッパー1の製造手順を説明し、最後にインステップカバー2とタン4とを接合する具体的な手順を説明する。
【0017】
≪シューズアッパー≫
シューズアッパー1は、横編機を用いて編成された編地であって、着用者の甲側部分を覆うインステップカバー2と、着用者の足裏部分を覆うソールカバー3と、を備える。インステップカバー2の上方にはシューズ開口部5が形成されており、このシューズ開口部5は、着用者が足を挿入する履き口5iと、履き口5iから爪先側に向かって延びるスリット5sと、で構成されている。スリット5sの位置にはタン4が設けられており、インステップカバー2におけるスリット5sに臨む位置には鳩目孔6が設けられている。
【0018】
本例のシューズアッパー1では、インステップカバー(第一編地部)2と、タン(第二編地部)4と、を接合する構成が従来と異なる。以下、
図2AのII−II断面図、および
図2Bのループ図を参照し、インステップカバー2とタン4との接合箇所の構成を詳しく説明する。
【0019】
図2Aの紙面左側はインステップカバー2の表面側(一面側)、右側はインステップカバー2の裏面側(他面側)であり、上側は爪先側、下側は踵側である。この
図2Aに示すように、本例の接合箇所では、インステップカバー2におけるウエール方向の始端部2xと終端部2yとの間の位置で、タン4におけるウエール方向の始端部4xと終端部4yとの間の編成コースの編目が、インステップカバー2の一面側から他面側に通過する通過箇所7が形成されている。タン4のうち、インステップカバー2の裏面側に配置される部分が短いほど、タン4が着用者の甲に触れ難くなり、
図1のシューズアッパー1の履き心地が良くなる。
【0020】
次に、
図2Bのループ図に基づいて、通過箇所7を含む接合箇所近傍の編目の状態を説明する。
図2Bでは、インステップカバー2を細線で、タン4を太線で示す。この図に示すように、通過箇所7では、タン4の第n番目の編成コース4Aの各編目4a〜4dが、インステップカバー2の編目間隙を通過しており(nは任意の自然数)、インステップカバー2の編目とタン4の編目とが重なっている部分は存在しない。各編目4a〜4dが通過する編目間隙は、第一編地部2の第m番目の編成コース2Aの隣接する二つの編目2a,2b〜2d,2eと、その隣接する編目2a,2b〜2d,2eを繋ぐシンカーループと、第m+1番目の編成コース2Bのシンカーループと、で囲まれた間隙である(mは任意の自然数)。本例では、タン4の各編目4a〜4dが貫通する位置は全て異なっており、そのため櫛歯が噛み合うようにインステップカバー2の編目とタン4の編目とが一目ずつ前後に交差している。ここで、一つの編目間隙に複数の編目(例えば、編目4a,4b)を貫通させることもできる。
【0021】
インステップカバー2の編目2a〜2eのウエール方向には新たな編目2f〜2jからなる第m+1番目の編成コース2Bが形成されており、タン4の編目4a〜4dのウエール方向には新たな編目4f〜4iからなる第n+1番目の編成コース4Bが形成されている。これらの編成コース2B,4Bによって、インステップカバー2とタン4とが外れないように接合される。例えば、タン4の第n+1番目の編成コース4Bを解れ止め処理しておけば、タン4を手前側に引っ張っても、編成コース4Bのシンカーループがインステップカバー2に引っ掛かるために、タン4がインステップカバー2から外れることはない。なお、タン4の解れ止め処理を行なう編成コースは、第n+1番目の編成コース4Bに限定されるわけではない。
【0022】
上述したように、本例のシューズアッパー1では、通過箇所7でインステップカバー2とタン4の厚み方向の上下の位置を入れ換えてインステップカバー2とタン4とを接合している。そのため、インステップカバー2とタン4との通過箇所7を回転軸として、タン4を容易に回動させることができる。
図1に示す本例のシューズアッパー1の場合、紙面手前側にタン4を回動させ易くなるため、足を挿入し易いシューズアッパー1となる。
【0023】
その他、厚み方向の位置を入れ替えてインステップカバー2とタン4とを接合することで、インステップカバー2とタン4とを異なる色の編糸で編成されていても、通過箇所7近傍における色の滲みを抑制できるという効果もある。
【0024】
≪シューズアッパーの製造手順≫
本例のシューズアッパー1は、横編機を用いてタン4を接合したインステップカバー2を編成し、インステップカバー2とは別に用意したソールカバー3をインステップカバー2に組み合わせることで得られる。本例とは異なり、インステップカバー2とソールカバー3とを一体に編成しても構わない。横編機としては前後に対向する一方の針床と他方の針床を備える2枚ベッド横編機や、4枚ベッド横編機を利用することができる。インステップカバー2とタン4の編成には、熱融着糸を含む編糸などを用いることができる。インステップカバー2とタン4の少なくとも一部は、前後の針床を用いた編成(例えば、袋編みとリブ編みを組み合わせた編成など)によって肉厚の編組織とすることが好ましい。
【0025】
インステップカバー2とタン4は、
図3の編成イメージ図に示す手順で編成することができる。図中の白抜き矢印は編成の進行方向(ウエール方向)を示し、各部2,4における横線は編幅方向(編目が並ぶ方向)を示す。また、
図3では編成の要所となる部分に小文字アルファベットを付している。
【0026】
まず、インステップカバー2の一部であるヒールカバー部20を編成する。ヒールカバー部20は、インステップカバー2の踵側の部分を着用者の足の形状に沿った形状とするためのもので、シューズ開口部5側の編幅が狭くなっている。図中のラインa−bはヒールカバー部20の編出し部、ラインc−dは編終り部、ラインb−dおよびラインa−cは編幅方向の側縁である。
【0027】
次に、ヒールカバー部20の側縁a−c(Vマークで示す編目)に続けてボディー部21の左側部分を編出すと共に、ヒールカバー部20の側縁b−dに続けてボディー部21の右側部分を編出す。ボディー部21の左側端部と右側部分とは別々の給糸口を利用して編成する。ボディー部21の左側部分と右側部分とは針床上で左右に並べた状態で編成する。また、ボディー部21とは別の給糸口を用いて、ボディー部21とは独立してタン4を編成する(ラインe−fがタン4の始端)。そして、ラインg−hの位置でインステップカバー2とタン4とを接合した後、インステップカバー2を完成させる。
【0028】
≪接合方法≫
インステップカバー2(第一編地部)と、タン4(第二編地部)と、を接合する手順を
図4の編成工程図に基づいて説明する。
図4の『S+数字』は編成工程の番号を、右欄の黒点は前針床(FB)と後針床(BB)の編針を示す。図中の符号は、
図2Bの符号と一致する。
【0029】
S0には、FBの編針にタン4の第n番目の編成コース4A(編目4a〜4dを含む)が係止され、BBの編針にインステップカバー2の第m番目の編成コース2A(編目2a〜2eを含む)が係止された状態が示されている。この状態からタン4とインステップカバー2との前後位置を入れ換える。ここで、第n番目の編成コース4Aは、タン4の最終段の編成コースか、その1〜5段前の編成コースとすることが好ましい。また、第m番目の編成コース2Aは、インステップカバー2の編出し部(始端部2x)に続く第1番目〜第5番目の編成コースであることが好ましい。そうすることで、
図2Aに示すように、タン4の終端部4yと、インステップカバー2の始端部2xと、が通過箇所7の近傍に配置される。
【0030】
S1では、BBを右方向に1ピッチラッキングさせ、BBに係止されるインステップカバー2の右端の編目2eをFBに移動させる。続くS2では、FBに係止されるタン4の右端の編目4dを、S1におけるインステップカバー2の編目2eの移動によって空針となったBBの編針に移動させる。
【0031】
S3では、BBに係止されるインステップカバー2の右端の編目2dを、S2におけるタン4の編目4dの移動によって空針となったFBの編針に移動させる。続くS4では、FBに係止されるタン4の右端の編目4cを、S3におけるインステップカバー2の編目2dの移動によって空針となったFBの編針に移動させる。
【0032】
以降、タン4の編目の移動によって空針となったFBの編針にインステップカバー2の一端側(右端側)の編目を移動させること(S3に相当する編成)と、インステップカバー2の編目の移動によって空針となったBBの編針にタン4の一端側(右端側)の編目を移動させること(S4と同様の編成)、とを繰り返す。その結果、S5に示すように、インステップカバー2とタン4の前後の位置が入れ換えられ、
図2Bに示すように、タン4の編目4a〜4dが、インステップカバー2における隣接する編目2a,2b〜2d,2eの間を通って、インステップカバー2の一面側から他面側に通過した状態になる。
【0033】
S5の後、BBの編針に係止されるタン4の第n番目の編成コース4Aに続く第n+1番目の編成コース4B(
図2B参照)を編成すると共に、FBの編針に係止されるインステップカバー2の第m番目の編成コース2Aに続く第m+1番目の編成コース2B(
図2B参照)を編成する。二つの新たな編成コース2B,4Bは独立して編成される。タン4の第n+1番目の編成コース4Bは、伏目などによって解れ止め処理しても良いし、第n+1番目の編成コース4Bのウエール方向に続けて数段分(例えば、1〜5段分)の編成コースを編成してから、最終の編成コースを解れ止め処理しても良い。解れ止め処理によって、インステップカバー2とタン4との接合が確定する。
【0034】
ここで、S5におけるタン4の第n番目の編成コース4Aを伏目処理しても構わない。また、伏目以外の解れ止め処理として、熱によって縮む編糸でタン4の最終の編成コースを編成し、タン4を熱処理することを挙げることができる。
【0035】
≪変形例≫
図4では、インステップカバー2とタン4の全ての編目の前後関係を入れ換えてから、インステップカバー2とタン4との接合を確定させた。これに対して、インステップカバー2の編目とタン4の編目の前後位置を入れ換えるごとに、タン4の編目に続く新たな編目を編成しても良い。また、インステップカバー2の編目とタン4の編目の前後位置を入れ換えるごとに、タン4の編目を伏目処理しても良い。あるいは、インステップカバー2の編目とタン4の編目の前後位置を一気に入れ換えても良い。
【0036】
その他、給糸口の前後関係による編糸の交差を利用して
図2Bと同様の接合箇所を形成することが可能である。BB側にある給糸口でFBに給糸し、FB側にある給糸口でBB側に給糸すれば、FBとBBとの間で両給糸口から給糸される編糸同士が交差する。従って、タン4の編目がインステップカバー2における隣接する編目の間を通るように二つの給糸口を操作することで、
図2Bと同様の接合箇所を形成することができる。
【0037】
<実施形態2>
本発明の編地の接合方法の適用範囲は、シューズアッパーに限定されるわけではない。例えば、ニットウェアのフタ付きのポケットを形成する場合、身頃へのフタの接合に本発明の編地の接合方法を適用することができる。さらには、本発明の編地の接合方法を用いて、シューズアッパーやニットウェア以外の産業資材を編成しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 シューズアッパー(編地)
2 インステップカバー(第一編地部) 2x 始端部 2y 終端部
20 ヒールカバー部 21 ボディー部
3 ソールカバー
4 タン(第二編地部) 4x 始端部 4y 終端部
5 シューズ開口部 5i 履き口 5s スリット
6 鳩目孔
7 通過箇所
2A 第m番目の編成コース 2B 第m+1番目の編成コース
2a〜2e,2f〜2j インステップカバーの編目
4A 第n番目の編成コース 4B 第n+1番目の編成コース
4a〜4d,4f〜4i タンの編目