特許第6404485号(P6404485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404485ハイブリッド車両用電力供給装置、ハイブリッド車両用電力供給システム、および、ハイブリッド車両用電力供給装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404485
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両用電力供給装置、ハイブリッド車両用電力供給システム、および、ハイブリッド車両用電力供給装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/26 20060101AFI20181001BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20181001BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20181001BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20181001BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20181001BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20181001BHJP
   B62M 23/02 20100101ALI20181001BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20181001BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20181001BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20181001BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20181001BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B60W10/26 900
   B60W10/06 900
   B60W10/08 900
   B60W20/13ZHV
   B60K6/46
   B60K6/48
   B62M23/02 110
   B62J99/00 K
   B62J99/00 Z
   H02J7/14 H
   B60L3/00 S
   B60L3/00 N
   B60L3/00 J
   B60L11/14
   B60L11/18 A
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-545762(P2017-545762)
(86)(22)【出願日】2016年9月9日
(86)【国際出願番号】JP2016076715
(87)【国際公開番号】WO2018016087
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2017年8月31日
(31)【優先権主張番号】特願2016-144741(P2016-144741)
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】目黒 一由希
(72)【発明者】
【氏名】木村 光宏
【審査官】 田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−320807(JP,A)
【文献】 特開2011−087428(JP,A)
【文献】 特開平07−067209(JP,A)
【文献】 特開2010−252427(JP,A)
【文献】 特開2006−025577(JP,A)
【文献】 特開2008−179182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
B60W 10/00 − 20/50
B60J 1/00 − 99/00
B62M 1/00 − 29/02
H02J 7/14 − 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両用電力供給装置であって、
正極が第1の電源端子に接続され且つ負極が固定電位に接続され、前記第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリの充電を制御し、正極が第2の電源端子に接続され且つ負極が前記固定電位に接続され、前記第1の電源端子の電圧をダウンレギュレータが降圧して前記第2の電源端子に供給する電圧により充電され、第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリの充電を制御し、内燃機関を駆動する駆動機能及び前記内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能を備えたモータジェネレータを制御し、前記第2の電源端子に接続され、第2の電源端子の電圧が供給される負荷を制御する、制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2のバッテリが出力する前記第2のバッテリ電圧で、動作し、
前記モータジェネレータの駆動時には、前記第1のバッテリから供給された前記第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧を前記モータジェネレータに供給することで、前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を駆動し、
前記モータジェネレータの発電時には、前記内燃機関の駆動により発電する前記モータジェネレータが出力する前記交流電圧を直流電圧に変換して、前記第1の電源端子に供給することで、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリを充電するようになっており、
前記第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部から前記バッテリ情報を取得し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止し、又は、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させて前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電を停止するものであり、
前記第2のバッテリの前記第のバッテリ電圧は、前記第1のバッテリの前記第1のバッテリ電圧よりも低く、
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧を監視し、前記第2の電源端子の電圧が、前記負荷を駆動するために必要な負荷電圧値よりも低い負荷用閾値未満になった場合には、前記ダウンレギュレータ又は第2のバッテリが故障していると判断するものであり、
前記ハイブリッド車両用電力供給装置は、
前記第2の電源端子と前記負荷との間に接続され、オンすることにより前記第2の電源端子の電圧を前記負荷に供給し、オフすることにより前記第2の電源端子の電圧の前記負荷への供給を遮断し、ユーザの操作によりオン/オフが制御されるメインスイッチと、
一端が前記第2のバッテリの正極に接続され、前記制御部によりオン/オフが制御される第1のリレーと、
アノードが前記第1のリレーの他端に接続され、カソードが前記第1の電源端子に接続されたダイオードと、
前記ダウンレギュレータの出力と前記第2の電源端子との間に接続され、オンすることにより前記ダウンレギュレータが出力した降圧電圧を前記第2の電源端子に供給し、オフすることにより前記ダウンレギュレータが出力した前記降圧電圧を前記第2の電源端子への供給を遮断し、前記メインスイッチがオンすることによりオンし、前記メインスイッチがオフすることによりオフする第2のリレーと、を備え、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態が正常であると判断した場合には、前記第1のリレーをオフに維持し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態に異常が発生したと判断し、前記第1のバッテリから前記第1のバッテリ電圧が出力されない場合には、前記第1のリレーをオンする
ことを特徴とするハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧が前記負荷用閾値未満になった場合には、前記負荷の制御を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項3】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置は、
ハイブリッド二輪車に積載され、前記モータジェネレータは前記ハイブリッド二輪車の内燃機関に接続され、前記制御部は、前記モータジェネレータを駆動することにより、前記内燃機関を起動し、及び/又は、前記内燃機関を駆動する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用電力供給装置。
【請求項4】
前記負荷は、前記ハイブリッド二輪車のライト、ウインカー、イグニッションコイル、フェールポンプ、又は、インジェクタの少なくとも何れかを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用電力供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧が、前記負荷用閾値未満になった場合には、前記ダウンレギュレータ又は第2のバッテリが故障している旨の情報を表示部に出力する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用電力供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリのセル電圧が満充電を規定する満充電閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、又、前記第1のバッテリの放電電圧が前記満充電閾値より低い予め設定されたセル異常電圧閾値以下であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリのSOCが予め設定されたSOC規定閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、一方、前記第1のバッテリのSOCが前記SOC規定閾値より低い予め設定されたSOC異常閾値以下であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリの温度が予め設定された高温異常閾値以上であると判断した場合、及び、前記第1のバッテリの温度が前記高温異常閾値よりも低い予め設定された低温異常閾値未満であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、又は、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリに流れる充電電流が予め設定された過多充電電流閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、一方、前記第1のバッテリに流れる放電電流が予め設定された過多放電電流閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記モータジェネレータにモータ電流を供給して駆動するトランジスタで構成されるHブリッジ回路を備え、
前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止する場合には、前記Hブリッジ回路のトランジスタを全てオープンにし、若しくは、ハイサイド又はローサイドのトランジスタをショートにする
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項11】
前記第1のバッテリは、リチウムイオンバッテリであり、
前記第2のバッテリは、鉛バッテリであることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用電力供給装置。
【請求項12】
内燃機関に接続されており、前記内燃機関を駆動する駆動機能と前記内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能とを備えたモータジェネレータと、
正極が第1の電源端子に接続され、負極が固定電位に接続され、前記第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリと、
前記第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部と、
前記第1の電源端子の電圧を降圧して第2の電源端子に出力するダウンレギュレータと、
正極が前記第2の電源端子に接続され、負極が前記固定電位に接続され、前記第2の電源端子に供給される電圧により充電され、第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリと、
前記第2の電源端子に接続され、前記第2の電源端子の電圧が供給される負荷と、
前記第2のバッテリが出力する第2のバッテリ電圧で動作し、前記モータジェネレータ及び前記負荷を制御するとともに、前記モータジェネレータの駆動時には、前記第1のバッテリから供給された前記第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧を前記モータジェネレータに供給することで、前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を駆動し、一方、前記モータジェネレータの発電時には、前記内燃機関の駆動により発電する前記モータジェネレータが出力する前記交流電圧を直流電圧に変換して、前記第1の電源端子に供給することで、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリを充電する、制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記マネジメント部から前記バッテリ情報を取得し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止し、又は、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させて前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電を停止するものであり、
前記第2のバッテリの前記第のバッテリ電圧は、前記第1のバッテリの前記第1のバッテリ電圧よりも低く、
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧を監視し、前記第2の電源端子の電圧が、前記負荷を駆動するために必要な負荷電圧値よりも低い負荷用閾値未満になった場合には、前記ダウンレギュレータ又は第2のバッテリが故障していると判断するものであり、
前記ハイブリッド車両用電力供給装置は、
前記第2の電源端子と前記負荷との間に接続され、オンすることにより前記第2の電源端子の電圧を前記負荷に供給し、オフすることにより前記第2の電源端子の電圧の前記負荷への供給を遮断し、ユーザの操作によりオン/オフが制御されるメインスイッチと、
一端が前記第2のバッテリの正極に接続され、前記制御部によりオン/オフが制御される第1のリレーと、
アノードが前記第1のリレーの他端に接続され、カソードが前記第1の電源端子に接続されたダイオードと、
前記ダウンレギュレータの出力と前記第2の電源端子との間に接続され、オンすることにより前記ダウンレギュレータが出力した降圧電圧を前記第2の電源端子に供給し、オフすることにより前記ダウンレギュレータが出力した前記降圧電圧を前記第2の電源端子への供給を遮断し、前記メインスイッチがオンすることによりオンし、前記メインスイッチがオフすることによりオフする第2のリレーと、を備え、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態が正常であると判断した場合には、前記第1のリレーをオフに維持し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態に異常が発生したと判断し、前記第1のバッテリから前記第1のバッテリ電圧が出力されない場合には、前記第1のリレーをオンする
ことを特徴とするハイブリッド車両用電力供給システム。
【請求項13】
ハイブリッド車両用電力供給装置であって、正極が第1の電源端子に接続され且つ負極が固定電位に接続され、前記第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリの充電を制御し、正極が第2の電源端子に接続され且つ負極が前記固定電位に接続され、前記第1の電源端子の電圧をダウンレギュレータが降圧して前記第2の電源端子に供給する電圧により充電され、第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリの充電を制御し、内燃機関を駆動する駆動機能及び前記内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能を備えたモータジェネレータを制御し、前記第2の電源端子に接続され、第2の電源端子の電圧が供給される負荷を制御する、制御部を備えたハイブリッド車両用電力供給装置の制御方法であって、
前記第2のバッテリが出力する前記第2のバッテリ電圧で、前記制御部が動作し、
前記モータジェネレータの駆動時には、前記制御部により、前記第1のバッテリから供給された前記第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧を前記モータジェネレータに供給することで、前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を駆動し、
前記モータジェネレータの発電時には、前記制御部により、前記内燃機関の駆動により発電する前記モータジェネレータが出力する前記交流電圧を直流電圧に変換して、前記第1の電源端子に供給することで、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリを充電するようになっており、
前記制御部により、前記第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部から前記バッテリ情報を取得し、
前記制御部により、前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止し、又は、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させて前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電を停止するものであり、
前記第2のバッテリの前記第のバッテリ電圧は、前記第1のバッテリの前記第1のバッテリ電圧よりも低く、
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧を監視し、前記第2の電源端子の電圧が、前記負荷を駆動するために必要な負荷電圧値よりも低い負荷用閾値未満になった場合には、前記ダウンレギュレータ又は第2のバッテリが故障していると判断するものであり、
前記ハイブリッド車両用電力供給装置は、
前記第2の電源端子と前記負荷との間に接続され、オンすることにより前記第2の電源端子の電圧を前記負荷に供給し、オフすることにより前記第2の電源端子の電圧の前記負荷への供給を遮断し、ユーザの操作によりオン/オフが制御されるメインスイッチと、
一端が前記第2のバッテリの正極に接続され、前記制御部によりオン/オフが制御される第1のリレーと、
アノードが前記第1のリレーの他端に接続され、カソードが前記第1の電源端子に接続されたダイオードと、
前記ダウンレギュレータの出力と前記第2の電源端子との間に接続され、オンすることにより前記ダウンレギュレータが出力した降圧電圧を前記第2の電源端子に供給し、オフすることにより前記ダウンレギュレータが出力した前記降圧電圧を前記第2の電源端子への供給を遮断し、前記メインスイッチがオンすることによりオンし、前記メインスイッチがオフすることによりオフする第2のリレーと、を備え、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態が正常であると判断した場合には、前記第1のリレーをオフに維持し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態に異常が発生したと判断し、前記第1のバッテリから前記第1のバッテリ電圧が出力されない場合には、前記第1のリレーをオンする
ことを特徴とするハイブリッド車両用電力供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用電力供給装置、ハイブリッド車両用電力供給システム、および、ハイブリッド車両用電力供給装置の制御方法の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の電力供給システムには、電源として出力電圧が異なる2つのバッテリを備えたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−87428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ハイブリッド二輪車には、電源として鉛バッテリとリチウムイオンバッテリとを備えたものがある。例えば、リチウムイオンバッテリは、モータジェネレータの駆動機能で内燃機関を駆動するのに用いられ、鉛バッテリは、内燃機関の始動、ライト等の負荷や制御部(ECU:Engine Control Unit)の駆動のために用いられる。このように、電圧が異なる2つのバッテリは、その特性や電圧を供給する対象が異なる。
【0005】
ところで、リチウムイオンバッテリの電圧をダウンレギュレータで降圧して鉛バッテリを充電する接続関係も考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、簡素な構成で、既述の接続関係におけるバッテリ状態に応じた制御を行うことが可能なハイブリッド車両用電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る実施形態に従ったハイブリッド車両用電力供給装置は、
ハイブリッド車両用電力供給装置であって、
正極が第1の電源端子に接続され且つ負極が固定電位に接続され、前記第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリの充電を制御し、正極が第2の電源端子に接続され且つ負極が前記固定電位に接続され、前記第1の電源端子の電圧をダウンレギュレータが降圧して前記第2の電源端子に供給する電圧により充電され、第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリの充電を制御し、内燃機関を駆動する駆動機能及び前記内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能を備えたモータジェネレータを制御し、前記第2の電源端子に接続され、第2の電源端子の電圧が供給される負荷を制御する、制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2のバッテリが出力する前記第2のバッテリ電圧で、動作し、
前記モータジェネレータの駆動時には、前記第1のバッテリから供給された前記第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧を前記モータジェネレータに供給することで、前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を駆動し、
前記モータジェネレータの発電時には、前記内燃機関の駆動により発電する前記モータジェネレータが出力する前記交流電圧を直流電圧に変換して、前記第1の電源端子に供給することで、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリを充電するようになっており、
前記第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部から前記バッテリ情報を取得し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止し、又は、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させて前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電を停止する
ことを特徴とする。
【0008】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記第2のバッテリの前記第1のバッテリ電圧は、前記第1のバッテリの前記第1のバッテリ電圧よりも低いことを特徴とする。
【0009】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧を監視し、前記第2の電源端子の電圧が、前記負荷を駆動するために必要な負荷電圧値よりも低い負荷用閾値未満になった場合には、前記ダウンレギュレータ又は第2のバッテリが故障していると判断する
ことを特徴とする。
【0010】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧が前記負荷用閾値未満になった場合には、前記負荷の制御を停止する
ことを特徴とする。
【0011】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記車両用電力供給装置は、
ハイブリッド二輪車に積載され、前記モータジェネレータは前記ハイブリッド二輪車の内燃機関に接続され、前記制御部は、前記モータジェネレータを駆動することにより、前記内燃機関を起動し、及び/又は、前記内燃機関を駆動する
ことを特徴とする。
【0012】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記負荷は、前記ハイブリッド二輪車のライト、ウインカー、イグニッションコイル、フェールポンプ、又は、インジェクタの少なくとも何れかを含む
ことを特徴とする。
【0013】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記第2の電源端子と前記負荷との間に接続され、オンすることにより前記第2の電源端子の電圧を前記負荷に供給し、オフすることにより前記第2の電源端子の電圧の前記負荷への供給を遮断し、ユーザの操作によりオン/オフが制御されるメインスイッチと、
一端が前記第2のバッテリの正極に接続され、前記制御部によりオン/オフが制御される第1のリレーと、
アノードが前記第1のリレーの他端に接続され、カソードが前記第1の電源端子に接続されたダイオードと、
前記ダウンレギュレータの出力と前記第2の電源端子との間に接続され、オンすることにより前記ダウンレギュレータが出力した前記降圧電圧を前記第2の電源端子に供給し、オフすることにより前記ダウンレギュレータが出力した前記降圧電圧を前記第2の電源端子への供給を遮断し、前記メインスイッチがオンスすることによりオンし、前記メインスイッチがオフすることによりオフする第2のリレーと、を備え、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態が正常であると判断した場合には、前記第1のリレーをオフに維持し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態に異常が発生したと判断し、前記第1のバッテリから前記第1のバッテリ電圧が出力されない場合には、前記第1のリレーをオンする
ことを特徴とする。
【0014】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
所定の情報をユーザに表示するための表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第2の電源端子の電圧が、前記負荷用閾値未満になった場合には、前記ダウンレギュレータ又は第2のバッテリが故障している旨の情報を前記表示部に出力する
ことを特徴とする。
【0015】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリのセル電圧が満充電を規定する満充電閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、又、前記第1のバッテリの放電電圧が前記満充電閾値より低い予め設定されたセル異常電圧閾値以下であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする。
【0016】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリのSOCが予め設定されたSOC規定閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、一方、前記第1のバッテリのSOCが前記SOC規定閾値より低い予め設定されたSOC異常閾値以下であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする。
【0017】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリの温度が予め設定された高温異常閾値以上であると判断した場合、及び、前記第1のバッテリの温度が前記高温異常閾値よりも低い予め設定された低温異常閾値未満であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、又は、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする。
【0018】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記制御部は、
前記バッテリ情報に基づいて、前記第1のバッテリに流れる充電電流が予め設定された過多充電電流閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させ、一方、前記第1のバッテリに流れる放電電流が予め設定された過多放電電流閾値以上であると判断した場合には、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止させる
ことを特徴とする。
【0019】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記制御部は、前記モータジェネレータにモータ電流を供給して駆動するトランジスタで構成されるHブリッジ回路を備え、
前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止する場合には、前記Hブリッジ回路のトランジスタを全てオープンにし、若しくは、ハイサイド又はローサイドのトランジスタをショートにする
ことを特徴とする。
【0020】
前記ハイブリッド車両用電力供給装置において、
前記第1のバッテリは、リチウムイオンバッテリであり、
前記第2のバッテリは、鉛バッテリであることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る実施形態に従ったハイブリッド車両用電力供給システムは、
内燃機関に接続されており、前記内燃機関を駆動する駆動機能と前記内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能とを備えたモータジェネレータと、
正極が第1の電源端子に接続され、負極が固定電位に接続され、前記第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリと、
前記第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部と、
前記第1の電源端子の電圧を降圧して第2の電源端子に出力するダウンレギュレータと、
正極が前記第2の電源端子に接続され、負極が前記固定電位に接続され、前記第2の電源端子に供給される電圧により充電され、第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリと、
前記第2の電源端子に接続され、前記第2の電源端子の電圧が供給される負荷と、
前記第2のバッテリが出力する第2のバッテリ電圧で動作し、前記モータジェネレータ及び前記負荷を制御するとともに、前記モータジェネレータの駆動時には、前記第1のバッテリから供給された前記第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧を前記モータジェネレータに供給することで、前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を駆動し、一方、前記モータジェネレータの発電時には、前記内燃機関の駆動により発電する前記モータジェネレータが出力する前記交流電圧を直流電圧に変換して、前記第1の電源端子に供給することで、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリを充電する、制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記マネジメント部から前記バッテリ情報を取得し、
前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止し、又は、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させて前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電を停止する
ことを特徴とする。
【0022】
本発明の一態様に係る実施形態に従ったハイブリッド車両用電力供給装置の制御方法は、ハイブリッド車両用電力供給装置であって、正極が第1の電源端子に接続され且つ負極が固定電位に接続され、前記第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリの充電を制御し、正極が第2の電源端子に接続され且つ負極が前記固定電位に接続され、前記第1の電源端子の電圧をダウンレギュレータが降圧して前記第2の電源端子に供給する電圧により充電され、第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリの充電を制御し、内燃機関を駆動する駆動機能及び前記内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能を備えたモータジェネレータを制御し、前記第2の電源端子に接続され、第2の電源端子の電圧が供給される負荷を制御する、制御部を備えたハイブリッド車両用電力供給装置の制御方法であって、
前記第2のバッテリが出力する前記第2のバッテリ電圧で、前記制御部が動作し、
前記モータジェネレータの駆動時には、前記制御部により、前記第1のバッテリから供給された前記第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧を前記モータジェネレータに供給することで、前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を駆動し、
前記モータジェネレータの発電時には、前記制御部により、前記内燃機関の駆動により発電する前記モータジェネレータが出力する前記交流電圧を直流電圧に変換して、前記第1の電源端子に供給することで、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリを充電するようになっており、
前記制御部により、前記第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部から前記バッテリ情報を取得し、
前記制御部により、前記バッテリ情報に基づいて前記第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、前記モータジェネレータの前記駆動機能を停止し、又は、前記モータジェネレータの前記発電機能を停止させて前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電を停止する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様に係るハイブリッド車両用電力供給システムは、内燃機関に接続されており、内燃機関を駆動する駆動機能と内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能とを備えたモータジェネレータと、正極が第1の電源端子に接続され、負極が固定電位に接続され、第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリと、第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部と、第1の電源端子の電圧を降圧して第2の電源端子に出力するダウンレギュレータと、正極が第2の電源端子に接続され、負極が固定電位に接続され、第2の電源端子に供給される電圧により充電され、第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリ(鉛バッテリ)と、第2の電源端子に接続され、第2の電源端子の電圧が供給される負荷と、第2のバッテリが出力する第2のバッテリ電圧で動作し、モータジェネレータ及び負荷を制御するとともに、モータジェネレータの駆動時には、第1のバッテリから供給された第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧をモータジェネレータに供給することで、モータジェネレータを駆動させて内燃機関を駆動し、一方、前記モータジェネレータの発電時には、内燃機関の駆動により回転して発電するモータジェネレータが出力する交流電圧を直流電圧に変換して、第1の電源端子に供給することで、第1のバッテリおよび第2のバッテリを充電する、制御部と、を備える。
【0024】
そして、制御部は、マネジメント部からバッテリ情報を取得し、バッテリ情報に基づいて第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、モータジェネレータの駆動機能を停止し、又は、モータジェネレータの発電機能を停止させて第1のバッテリおよび第2のバッテリの充電を停止する。
【0025】
このように、本発明は、電圧が異なる2つのバッテリのうち、第2のバッテリの電圧よりも高い電圧の第1のバッテリの状態に応じて、モータジェネレータを制御しつつ、2つのバッテリの充電の停止を実行するので、簡素な構成で2つバッテリの制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本実施形態に係るハイブリッド車両用電力供給システムを示す図である。
図2図2は、図1に示すハイブリッド車両用電力供給システムの動作フローの一例を示す図である。
図3図3は、図2に示す第1のバッテリB1の状態判定のフローの一例を示す図である。
図4図4は、図3に示す第1のバッテリB1の電圧状態を判定するフローの一例を示す図である。
図5図5は、図3に示す第1のバッテリB1のSOCを判定するフローの一例を示す図である。
図6図6は、図3に示す第1のバッテリB1の温度状態を判定するフローの一例を示す図である。
図7図7は、図3に示す第1のバッテリB1の電流状態を判定するフローの一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【第1の実施形態】
【0028】
図1は、本実施形態に係るハイブリッド車両用電力供給システムを示す図である。
【0029】
本実施形態に係るハイブリッド車両用電力供給システム100は、例えば、図1に示すように、第1のバッテリ(リチウムイオンバッテリ)B1と、第2のバッテリ(鉛バッテリ)B2と、ダウンレギュレータ(DC−DCコンバータ)DRと、表示部Iと、メインスイッチMSWと、第1のリレーR1と、第2のリレーR2と、ダイオードDと、負荷LOADと、モータジェネレータMと、制御部(ハイブリッド車両用電力供給装置)ECUと、内燃機関(エンジン)Eと、を備える。
【0030】
このハイブリッド車両用電力供給システム100は、例えば、ハイブリッド二輪車に積載されるようになっている。
【0031】
このハイブリッド車両用電力供給システム100は、モータジェネレータMで発電した交流電圧を用いて、該ハイブリッド二輪車に積載される第1、第2のバッテリB1、B2の充放電を制御するとともに、負荷LOADを制御するようになっている。
【0032】
上記モータジェネレータMは、該ハイブリッド二輪車の内燃機関Eに接続されている。そして、後述のように、制御部ECUは、モータジェネレータMを駆動することにより、内燃機関Eの起動及び/又は駆動するようになっている。
【0033】
すなわち、このモータジェネレータMは、例えば、該ハイブリッド二輪車の内燃機関Eにより駆動されるオルタネータ(発電機)として機能することが可能になっている。この場合、このモータジェネレータMは、第1、第2のバッテリB1、B2を充電するとともに負荷LOADを駆動するための交流電圧を発生して出力するようになっている。
【0034】
なお、後述のように、制御部ECUは、ドライバ回路(Hブリッジ回路)Yにより、モータジェネレータMが発電した当該交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を、第1、第2のスイッチSW1、SW2を介して、第1、第2のバッテリB1、B2に供給するようになっている。
【0035】
一方、モータジェネレータMは、該ハイブリッド二輪車の内燃機関Eを駆動するモータとしても機能することが可能になっている。この場合、このモータジェネレータMは、該ハイブリッド二輪車の内燃機関Eに接続され、制御部ECUは、第1又は第2のバッテリB1、B2が出力する電力で、モータジェネレータMを駆動することにより、内燃機関Eを起動し、及び/又は、内燃機関Eを駆動する(回転をアシストする)ようになっている。
【0036】
このように、モータジェネレータMは、内燃機関Eに接続されており、内燃機関Eを駆動する駆動機能と内燃機関Eの駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能とを備えている。
【0037】
また、第1のバッテリ(リチウムイオンバッテリ)B1は、正極が第1の電源端子TD1に接続され、負極が固定電位(接地電位、接地端子TG1)に接続されている。この第1のバッテリB1は、第1の電源端子TD1に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧(例えば、50V)を出力するようになっている。
【0038】
この第1のバッテリB1は、例えば、図1に示すように、第1の電源端子TD1と接地電位との間に、直列に接続された複数のリチウムイオン電池(セル)を備える。
【0039】
さらに、この第1のバッテリB1は、第1のバッテリB1の状態(第1のバッテリB1のセル電圧、第1のバッテリB1のSOC、第1のバッテリB1の温度、第1のバッテリB1の電流等)に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部(通信部)Xを備える。
【0040】
このマネジメント部Xは、第1のバッテリB1(すなわち、複数のリチウムイオン電池(セル))の状態を監視し、既述のバッテリ情報を制御部ECUに出力するようになっている。
【0041】
さらに、マネジメント部Xは、複数のリチウムイオン電池(セル)に異常が発生した場合には、必要に応じて、第1のバッテリB1の充放電を停止するようになっている。
【0042】
また、ダウンレギュレータDRは、第1の電源端子TD1の電圧を降圧して第2の電源端子TD2に出力するDC−DCコンバータである。すなわち、第2の電源端子TD2には、第1の電源端子TD1の電圧を降圧した電圧が印加されるようになっている。
【0043】
また、第2のバッテリ(鉛バッテリ)B2は、正極が第2の電源端子TD2に接続され、負極が該固定電位(接地電位)に接続されている。
【0044】
この第2のバッテリB2は、第2の電源端子TD2に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧(例えば、50V)よりも低い第2のバッテリ電圧(例えば、14V)を出力するようになっている。
【0045】
この第2のバッテリB2は、既述のように、例えば、鉛バッテリであり、第2のバッテリ電圧は、例えば、14Vである。この第2のバッテリB2の電力は、第1のバッテリB1に異常が無い場合、内燃機関Eの始動、ライトや制御部ECUの駆動のために用いられる。なお、後述のように、この第2のバッテリB2の電力は、第1のバッテリB1に異常がある場合、内燃機関Eの駆動(回転のアシスト)にも用いられる。
【0046】
また、負荷LOADは、第2の電源端子TD2に接続され、第2の電源端子TD2の電圧が供給されるようになっている。
【0047】
この負荷LOADは、第2の電源端子TD2に供給される電圧により駆動するようになっている。
【0048】
この負荷LOADは、例えば、該ハイブリッド二輪車のライト、ウインカー、内燃機関Eの点火を制御するためのイグニッションコイル、内燃機関Eに燃料を供給するためのフュエルポンプ、又は、内燃機関Eの供給する燃料を噴射するインジェクタ等、内燃機関Eの始動(駆動)のために必要な機構である。
【0049】
また、表示部Iは、所定の情報をユーザに表示するようになっている。この表示部Iは、第2の電源端子TD2の電圧(第2のバッテリB2の第2のバッテリ電圧)、又は、ダウンレギュレータDRが出力する降圧電圧で駆動するようになっている。
【0050】
また、メインスイッチMSWは、第2の電源端子TD2と負荷LOADとの間に接続されている。
【0051】
このメインスイッチMSWは、オンすることにより第2の電源端子TD2の電圧を負荷LOADに供給し、一方、オフすることにより第2の電源端子TD2の電圧の負荷LOADへの供給を遮断するようになっている。
【0052】
このメインスイッチMSWは、ユーザの操作によりオン/オフが制御されるようになっている。
【0053】
第1のリレーR1は、一端が第2のバッテリB2の正極に接続され、他端がダイオードDのアノードに接続されている。この第1のリレーR1は、制御部ECUによりオン/オフが制御されるようになっている。
【0054】
ダイオードDは、アノードが第1のリレーR1の他端に接続され、カソードが第1の電源端子TD1に接続されている。
【0055】
第2のリレーR2は、ダウンレギュレータDRの出力と第2の電源端子TD2との間に接続されている。
【0056】
この第2のリレーR2は、オンすることによりダウンレギュレータDRが出力した降圧電圧を第2の電源端子TD2に供給し、一方、オフすることによりダウンレギュレータDRが出力した降圧電圧を第2の電源端子TD2への供給を遮断するようになっている。
【0057】
この第2のリレーR2は、メインスイッチMSWがオンスすることによりオンし、メインスイッチMSWがオフすることによりオフするようになっている。
【0058】
また、制御部ECUは、第2のバッテリ(鉛バッテリ)B2が出力する第2のバッテリ電圧(第2のバッテリB2の正極から第2の電源端子TD2、オンしているメインスイッチMSWを介して供給される電圧)で動作するようになっている。
【0059】
そして、この制御部ECUは、例えば、図1に示すように、モータジェネレータMにモータ電流を供給して駆動するトランジスタで構成されるドライバ回路(Hブリッジ回路)Yを備える。なお、図1の例では、制御部ECUがハイブリッド車両用電力供給装置である場合について説明しているが、このハイブリッド車両用電力供給装置には、図1に示す制御部ECU以外の構成(図1に示す他の回路や素子)や、図示しない構成等が備えられるようにしてもよい。
【0060】
この制御部ECUは、モータジェネレータM及び負荷LOADを制御するようになっている。
【0061】
また、制御部ECUは、モータジェネレータMを駆動することにより、内燃機関Eを起動し、及び/又は、内燃機関Eを駆動するようになっている。
【0062】
そして、制御部ECUは、モータジェネレータMの駆動時には、第1のバッテリB1から供給された第1の電源端子TD1の直流電圧を変換した交流電圧をモータジェネレータMに供給することで、モータジェネレータMを駆動させて内燃機関Eを駆動するようになっている。
【0063】
一方、制御部ECUは、モータジェネレータMの発電時には、内燃機関Eの駆動により発電するモータジェネレータMが出力する交流電圧を直流電圧に変換して、第1の電源端子TD1に供給することで、第1のバッテリB1および第2のバッテリB2を充電するようになっている。
【0064】
また、制御部ECUは、マネジメント部Xからバッテリ情報を取得するようになっている。特に、制御部ECUは、マネジメント部Xが出力した第1のバッテリB1の状態に関するバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の状態が正常であるか又は異常であるか(故障しているか)を判断するようになっている。
【0065】
なお、この第1のバッテリ(リチウムイオンバッテリ)B1の状態が異常である場合とは、例えば、当該リチウムイオンバッテリのセル電圧、電流が充放電で通常使用する規定電圧・電流範囲外である場合、当該リチウムイオンバッテリのSOC(State Of Charge)が通常使用する規定SOC範囲外である場合、当該リチウムイオンバッテリのセル温度が充放電で通常使用する規定温度範囲外である場合や、その他の故障等により、当該リチウムイオンバッテリが所定の電圧を出力しない場合である。
【0066】
そして、制御部ECUは、このバッテリ情報に基づいて第1のバッテリB1の状態を判定(S2〜S5)した結果に応じて、モータジェネレータMの駆動機能を停止して内燃機関Eの駆動(回転アシスト)を停止し、又は、モータジェネレータMの発電機能を停止させて第1のバッテリB1および第2のバッテリB2の充電を停止するようになっている。
【0067】
ここで、この制御部ECUは、モータジェネレータMの駆動機能を停止する場合には、例えば、Hブリッジ回路Yのトランジスタを全てオープンにし、若しくは、ハイサイド又はローサイドのトランジスタをショートにするようになっている。
【0068】
また、制御部ECUは、第2の電源端子TD2の電圧(すなわち、第2の電源端子TD2からオンしているメインスイッチMSWを介して供給される電圧)を監視し、第2の電源端子TD2の電圧が、負荷LOADを駆動するために必要な負荷電圧値よりも低い負荷用閾値未満になった場合には、ダウンレギュレータDR又は第2のバッテリB2が故障していると判断する。
【0069】
そして、制御部ECUは、第2の電源端子TD2の電圧が既述の負荷用閾値未満になった場合には、負荷LOADの制御を停止するようになっている。
【0070】
特に、制御部ECUは、第2の電源端子TD2の電圧が、負荷用閾値未満になった場合には、ダウンレギュレータ又は第2のバッテリB2が故障している旨の情報を表示部Iに出力するようになっている。
【0071】
また、制御部ECUは、内燃機関Eの起動時には、第1のリレーR1をオンして、第2のバッテリB2が出力する第2のバッテリ電圧で、モータジェネレータMを駆動して、内燃機関Eを起動するようになっている。
【0072】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて第1のバッテリB1の状態が正常であると判断した場合には、第1のリレーR1をオフにするようになっている。
【0073】
これにより、制御部ECUは、第1のバッテリB1が出力する第1のバッテリ電圧で、モータジェネレータMを駆動して、内燃機関Eを駆動(回転アシスト)するようになっている。
【0074】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて第1のバッテリB1の状態に異常が発生したと判断し、第1のバッテリB1から第1のバッテリ電圧が出力されない場合には、第1のリレーR1をオンするようになっている。
【0075】
これにより、制御部ECUは、第1のバッテリB1の異常時には、第2のバッテリB2が出力する第2のバッテリ電圧で、モータジェネレータMを駆動して、内燃機関Eを駆動(回転アシスト)するようになっている。
【0076】
また、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1のセル電圧が満充電を規定する満充電閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させるようになっている。
【0077】
一方、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の放電電圧が該満充電閾値より低い予め設定されたセル異常電圧閾値以下であると判断した場合には、モータジェネレータMの駆動機能を停止させるようになっている。
【0078】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのセル電圧が充放電で通常使用する規定電圧範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止してリチウムイオンバッテリの過充電を防止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過放電を防止するようになっている。
【0079】
また、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1のSOCが予め設定されたSOC規定閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させるようになっている。
【0080】
一方、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1のSOCが該SOC規定閾値より低い予め設定されたSOC異常閾値以下であると判断した場合には、モータジェネレータMの駆動機能を停止させるようになっている。
【0081】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのSOC(State Of Charge)が通常使用する規定SOC範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止してリチウムイオンバッテリの過充電を防止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過放電を防止するようになっている。
【0082】
また、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の温度が予め設定された高温異常閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させ、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させるようになっている。
【0083】
一方、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の温度が該高温異常閾値よりも低い予め設定された低温異常閾値未満であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させ、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させるようになっている。
【0084】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのセル温度が充放電で通常使用する規定温度範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過度な温度上昇を抑制して破裂等を防止するようになっている。
【0085】
また、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1に流れる充電電流が予め設定された過多充電電流閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させるようになっている。
【0086】
一方、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1に流れる放電電流が予め設定された過多放電電流閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの駆動機能を停止させるようになっている。
【0087】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのセル電圧、電流が充放電で通常使用する規定電流範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過電流が流れるのを抑制して破裂等を防止するようになっている。
【0088】
なお、既述のように、制御部ECUは、モータジェネレータMの駆動機能を停止する場合には、例えば、Hブリッジ回路Yのトランジスタを全てオープンにし、若しくは、ハイサイド又はローサイドのトランジスタをショートにする。
【0089】
次に、以上のような構成を有するハイブリッド車両用電力供給システム100の制御方法の動作フローの一例について説明する。ここで、図2は、図1に示すハイブリッド車両用電力供給システムの動作フローの一例を示す図である。また、図3は、図2に示す第1のバッテリB1の状態判定のフローの一例を示す図である。
【0090】
例えば、既述のように、ハイブリッド車両用電力供給システム100の制御部ECUは、マネジメント部Xからバッテリ情報を取得する。そして、制御部ECUは、マネジメント部Xが出力した第1のバッテリB1の状態に関するバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の状態が正常であるか又は異常であるか(故障しているか)を判断する(図2のステップSX)。
【0091】
そして、制御部ECUは、第1のバッテリB1の状態を判断した結果に基づいて、モータジェネレータMを制御する(図2のステップSY)。
【0092】
ここで、図3に示すように、第1のバッテリB1の状態判定をする場合、制御部ECUは、マネジメント部Xからバッテリ情報を取得する(ステップS1)。そして、制御部ECUは、このバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の電圧状態を判定し(ステップS2)、第1のバッテリB1のSOCを判定し(ステップS3)、第1のバッテリB1の温度状態を判定し(ステップS4)、第1のバッテリB1の電流状態を判定する(ステップS5)。
【0093】
ここで、図4は、図3に示す第1のバッテリB1の電圧状態を判定するフローの一例を示す図である。
【0094】
例えば、図4に示すように、既述のステップS2において、制御部ECUは、バッテリ情報で示される第1のバッテリB1のセル電圧が、満充電を規定する満充電閾値以上であるか否かを判断(検出)する(ステップS21)。
【0095】
そして、制御部ECUは、バッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1のセル電圧が該満充電閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させる。
【0096】
また、既述のステップS2において、制御部ECUは、バッテリ情報で示される第1のバッテリB1の放電電圧(セル電圧)が、該満充電閾値より低い予め設定されたセル異常電圧閾値以下であるか否かを判断(検出)する(ステップS22)。
【0097】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の放電電圧が該異常電圧閾値以下であると判断した場合には、モータジェネレータMの駆動機能を停止させる。
【0098】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのセル電圧が充放電で通常使用する規定電圧範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止してリチウムイオンバッテリの過充電を防止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過放電を防止する。
【0099】
ここで、図5は、図3に示す第1のバッテリB1のSOCを判定するフローの一例を示す図である。
【0100】
例えば、図5に示すように、既述のステップS3において、制御部ECUは、バッテリ情報で示される第1のバッテリB1のSOCが、予め設定されたSOC規定閾値以上であるか否かを判断(検出)する(ステップS31)。
【0101】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1のSOCが該SOC規定閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させる。
【0102】
また、既述のステップS3において、制御部ECUは、バッテリ情報で示される第1のバッテリB1のSOCが、該SOC規定閾値より低い予め設定されたSOC異常閾値以下であるか否かを判断(検出)する(ステップS32)。
【0103】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1のSOCが該SOC規定閾値より低い予め設定されたSOC異常閾値以下であると判断した場合には、モータジェネレータMの駆動機能を停止させる。
【0104】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのSOC(State Of Charge)が通常使用する規定SOC範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止してリチウムイオンバッテリの過充電を防止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過放電を防止する。
【0105】
ここで、図6は、図3に示す第1のバッテリB1の温度状態を判定するフローの一例を示す図である。
【0106】
例えば、図6に示すように、既述のステップS4において、制御部ECUは、バッテリ情報で示される第1のバッテリB1の温度が、予め設定された高温異常閾値以上であるか否かを判断(検出)する(ステップS41)。
【0107】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の温度が該高温異常閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させ、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させる。
【0108】
また、既述のステップS4において、制御部ECUは、バッテリ情報で示される第1のバッテリB1の温度が該高温異常閾値よりも低い予め設定された低温異常閾値未満であるか否かを判断(検出)する(ステップS41)。
【0109】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1の温度が該低温異常閾値未満であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させ、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させる。
【0110】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのセル温度が充放電で通常使用する規定温度範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過度な温度上昇を抑制して破裂等を防止する。
【0111】
ここで、図7は、図3に示す第1のバッテリB1の電流状態を判定するフローの一例を示す図である。
【0112】
例えば、図7に示すように、既述のステップS5において、制御部ECUは、バッテリ情報で示される第1のバッテリB1の充電電流が予め設定された過多充電電流閾値(若しくは、放電電流が予め設定された過多放電電流閾値)以上であるか否かを判断(検出)する(ステップS51)。
【0113】
そして、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1に流れる充電電流が予め設定された過多充電電流閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの発電機能を停止させる。
【0114】
また、制御部ECUは、既述のバッテリ情報に基づいて、第1のバッテリB1に流れる放電電流が予め設定された過多放電電流閾値以上であると判断した場合には、モータジェネレータMの駆動機能を停止させる。
【0115】
このように、制御部ECUは、当該リチウムイオンバッテリのセル電圧、電流が充放電で通常使用する規定電流範囲外である場合、モータジェネレータMの発電機能を停止し、又は、モータジェネレータMの駆動機能を停止させて、リチウムイオンバッテリの過電流が流れるのを抑制して破裂等を防止する。
【0116】
なお、既述のように、制御部ECUは、モータジェネレータMの駆動機能を停止する場合には、例えば、Hブリッジ回路Yのトランジスタを全てオープンにし、若しくは、ハイサイド又はローサイドのトランジスタをショートにする。
【0117】
以上のように、本発明の一態様に係るハイブリッド車両用電力供給システムは、内燃機関に接続されており、内燃機関を駆動する駆動機能と内燃機関の駆動で発電して交流電圧を出力する発電機能とを備えたモータジェネレータと、正極が第1の電源端子に接続され、負極が固定電位に接続され、第1の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧を出力する第1のバッテリ(リチウムイオンバッテリ)と、第1のバッテリの状態に関するバッテリ情報を出力するマネジメント部と、第1の電源端子の電圧を降圧して第2の電源端子に出力するダウンレギュレータと、正極が第2の電源端子に接続され、負極が固定電位に接続され、第2の電源端子に供給される電圧により充電され、第1のバッテリ電圧よりも低い第2のバッテリ電圧を出力する第2のバッテリ(鉛バッテリ)と、第2の電源端子に接続され、第2の電源端子の電圧が供給される負荷と、第2のバッテリが出力する第2のバッテリ電圧で動作し、モータジェネレータ及び負荷を制御するとともに、モータジェネレータの駆動時には、第1のバッテリから供給された第1の電源端子の直流電圧を変換した交流電圧をモータジェネレータに供給することで、モータジェネレータを駆動させて内燃機関を駆動し、一方、モータジェネレータの発電時には、内燃機関の駆動により回転して発電するモータジェネレータが出力する交流電圧を直流電圧に変換して、第1の電源端子に供給することで、第1のバッテリおよび第2のバッテリを充電する、制御部と、を備える。
【0118】
そして、制御部は、マネジメント部からバッテリ情報を取得し、バッテリ情報に基づいて第1のバッテリの状態を判定した結果に応じて、モータジェネレータの駆動機能を停止し、又は、モータジェネレータの発電機能を停止させて第1のバッテリおよび第2のバッテリの充電を停止する。
【0119】
このように、本発明は、電圧が異なる2つのバッテリのうち、第2のバッテリの電圧よりも高い電圧の第1のバッテリの状態に応じて、モータジェネレータを制御しつつ、2つのバッテリの充電の停止を実行するので、簡素な構成で2つバッテリの制御を実行することができる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0121】
100 ハイブリッド車両用電力供給システム
B1 第1のバッテリ(リチウムイオンバッテリ)
B2 第2のバッテリ(鉛バッテリ)
DR ダウンレギュレータ(DC−DCコンバータ)
I 表示部
MSW メインスイッチ
R1 第1のリレー
R2 第2のリレー
D ダイオード
LOAD 負荷
M モータジェネレータ
ECU 制御部(ハイブリッド車両用電力供給装置)
E 内燃機関(エンジン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7