(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶剤ミスト混合圧縮エアー供給装置が,溶剤タンクと,圧縮エアー供給装置と,前記圧縮エアー供給装置から供給される圧縮エアーにより溶剤タンクからの溶剤を霧化する前記溶剤ミスト発生装置とを備えている,請求項1に記載のスプレー塗布装置。
前記圧縮エアー吹出口に導かれる溶剤ミスト混合圧縮エアーに旋回流を形成させるスクリューアダプターが,前記第1のスプレーガンの圧縮エアー供給路に設けられている,請求項1または2に記載のスプレー塗布装置。
前記第2のスプレーガンにおける前記ニードルの前記ノズル吐出孔内における位置を調整する調整手段が設けられている,請求項1から3のいずれか一項に記載のスプレー塗布装置。
前記第1のスプレーガンが,ノズルの吐出孔内を進退自在なニードルの先端部が該ノズル吐出孔よりも外方に突出可能で,ニードルの先端部外面と該ノズル吐出孔の内面との間の間隙を通して吐出される液体塗布材料を,その近傍の圧縮エアー吹出口から吹出される溶剤ミスト混合圧縮エアーにより微粒化するスプレーガンである,請求項1から4のいずれか一項に記載のスプレー塗布装置。
【実施例】
【0018】
図1はスプレー塗布システムの全体的構成の概要を示すものである。
【0019】
スプレー塗布システム10のハウジング19は機台19A上に設けられ,前面に作業口10Aを有している。ハウジング19内には塗装の対象物9が置かれる。対象物9の上方には,塗布バルブ装置20(スプレーガン(装置))が配置され,この塗布バルブ装置20はロボット装置14によって支持され,かつX,Y,Z方向の3次元方向に移動可能である。ハウジング19の上部前面には,制御盤,表示ランプ,動作用圧縮エアー圧力調整器24A, 124,霧化用圧縮エアー圧力調整器 123A等が配置される。ハウジング19の側面の中間の高さ位置には,制御装置(コンピュータ・システム)11およびCRT表示装置12が設けられている。スプレー塗布システム10の側方には,塗布液用圧送タンク(液体塗布材料貯留タンク)21,溶剤用送圧タンク(溶剤貯留タンク)(溶剤タンク)121が置かれる。
【0020】
図2は液体塗布材料(塗布液),動作用圧縮エアー,溶剤,溶剤霧化用圧縮エアーおよび溶剤ミスト含有霧化用圧縮エアーの配管系統を示す。
【0021】
塗布バルブ装置20には,液体塗布材料タンク21から液体塗布材料(塗布液)圧送ホース22を通して液体塗布材料(塗布液)が供給される。また,後述する溶剤ミスト発生装置(溶剤ミスト混合圧縮エアー供給装置)120 から溶剤ミスト含有(混合)霧化用エアーホース23を通して溶剤ミスト混合圧縮エアーが塗布バルブ装置20に供給され,塗布バルブ装置20からは,塗布液が溶剤ミスト含有(混合)圧縮エアーによって微粒化されて形成された塗布材料スプレーが噴射される。塗布バルブ装置20から吐出される塗布材料は,溶剤ミストを含んだ圧縮エアーによって微粒化される(わずかに希釈される)ので,供給される液体塗布材料が原液であったとしてもいわゆる糸引きの発生が防止されるとともに,吐出孔における詰りの発生が回避される。
【0022】
溶剤ミスト発生装置120には,溶剤タンク121から溶剤圧送ホース122 を経て溶剤が,また溶剤霧化用圧縮エアーホース123 を経て圧縮空気が供給され,溶剤のミストが発生し,ホース23を経て,塗布バルブ装置20に供給される。塗布バルブ装置20および溶剤ミスト発生装置120にはそれぞれ,動作用圧縮エアーホース24,124を経て動作用圧縮エアーが供給される。この配管系統のさらに詳しい説明は後述する。溶剤ミスト混合(含有)圧縮エアー供給装置は,溶剤ミスト発生装置120,この発生装置120に圧縮エアー(動作圧縮エアー)を供給するエアーホース123,エアーリレーバルブ128,圧力調整器123A,溶剤タンク121等により構成される。塗布材料供給装置は,液体塗布材料タンク21,圧力調整器21A,ホース22等から構成される。
【0023】
塗布バルブ装置20の構成について,
図3から
図10を参照して以下に詳述する。
【0024】
図3および
図4は塗布バルブ装置20の全体的構成を示す縦断面図であり,
図3は吐出孔(ノズル孔)が閉じ,塗布バルブ装置20が液吐出動作を停止している状態を示し,
図4は,吐出孔が開き,液を吐出している状態を示す。
図5は,液体吐出ノズルおよびエクステンション部分の拡大図であり,液吐出状態(
図4に対応)を示している。
図6は
図5のVI−VI線に沿う拡大断面端面図である。
図7および
図8は液体吐出ノズルを中心とする部分をさらに拡大して示すものであり,
図7は液吐出動作停止状態(
図3相当),
図8は液吐出状態(
図4相当)を示している。
【0025】
図3および
図4において,塗布バルブ装置20のやや下部の位置にフルイドボディ30があり,このフルイドボディ30から下方に向ってエクステンション部40を経て液体吐出ノズル51に至る。フルイドボディ30の上部は駆動部となっている。
【0026】
拡大した
図5および
図6を参照してフルイドボディ30とエクステンション部40について述べる。フルイドボディ30には,液体塗布材料導入孔31と圧縮霧化エアー(空気)導入孔34とが横方向に形成されている。導入孔31には液体塗布材料供給管32が接続されている。導入孔34には圧縮霧化エアー供給管35が接続されている。フルイドボディ30のこれらの導入孔31,34と交叉しない箇所を,
図4の下から上に向って,貫通する複数本のボルト(図示略)によってフルイドボディ30はその上方のシリンダジョイント61に固定されている。
【0027】
塗布バルブ装置20の圧縮霧化エアー導入孔34には,溶剤ミスト含有霧化エアーホース23を通して,溶剤ミスト発生装置120 から溶剤ミスト含有(混合)圧縮霧化エアーが供給されるので,この用法に限っていえば,導入孔34は溶剤ミスト含有(混合)圧縮霧化エアー導入孔34と称すべきであるが,塗布バルブ装置20それ自体は他の用途にも使用可能であるから,導入孔34を一般的に圧縮霧化エアー導入孔と呼ぶこととする。圧縮霧化エアーは,溶剤ミスト含有(混合)圧縮霧化エアーを含む概念である。このことは圧縮エアー供給管35,圧縮エアー供給路43にもあてはまる。
【0028】
液体塗布材料導入孔31は,フルイドボディ30の中心部において下方に曲って延びている(この部分を中心孔33という)。中心孔33の横断面は円形である。圧縮霧化エアー導入孔34もまた,中心孔33とは離隔した位置で下方に曲って延びている(この部分を連通孔36という)。中心孔33内には,中心孔33の内面との間に間隙をあけて液体吐出ニードル50が通っている。フルイドボディ30の中心孔33よりも上部にはOリングを含む軸受部37が設けられている。ニードル50は軸受部37のOリングによって気密を保って上下動自在に支持されている。
【0029】
フルイドボディ30の下部にはボス30Aが下方に突出して形成され,このボス30Aに下方に伸びるエクステンション外管42の上端部が螺合により固定されている。フルイドボディ30の中心孔33の下部内面に雌ねじが形成され,この雌ねじにエクステンション内管41の上端部の雄ねじが螺合して固定されている。ニードル50はエクステンション内管41の内面との間にわずかの間隙をあけて通り,下方に延びている。エクステンション内管41とエクステンション外管42との間には断面円環状の圧縮エアー供給路43が形成されている。圧縮エアー供給路43は連通孔36により圧縮エアー導入孔34につながっている。
【0030】
エクステンション内管41の下端部には吐出ノズル51が螺合により固定されている。吐出ノズル51は中心部に断面円形の吐出孔51Aを有し,この吐出孔51Aは先端にいくほど細くなっている。他方,液体吐出ニードル50の断面は円形であり,その先端部50Aは先端にいくほど細くなり,先端が尖っている。この先端部50Aの断面も円形である。ニードル50が進出した状態では,
図7に示すように,ニードル50の先端部50Aの一部はノズル51の吐出孔51Aよりも外方(下方)に突出し,先端部50Aの大部分はノズル51の吐出孔51Aの内面にぴったりと密着し,液体塗布材料の吐出を停止させる(液吐出動作停止状態)。
【0031】
ニードル50が退入した状態では,
図8に示すように,ニードル50の先端部50Aの外面と吐出ノズル51の吐出孔51Aの内面との間に間隙が生じ,液体塗布材料の吐出(噴出)が可能な状態となる(吐出動作状態)。ニードル先端部50Aとノズルの吐出孔51Aとの間の間隙の大きさは(これを開度という)吐出する液体の量(塗布幅)を制御するパラメータの一つである。
【0032】
エクステンション外管42の先端部(下端部)にはエアーキャップ52が螺合により固定されている。エアーキャップ52は吐出ノズル51の全体を間隙をあけて覆い,内面に噴出する圧縮エアーを収束させる収束内壁53を有し,先端にノズル51の吐出孔51Aよりも大きい圧縮エアー吹出口52Aがあけられている。さらに,エアーキャップ52には,ニードルカバー54が螺合により固定されている。ニードルカバー54は外方に向って開いている。
【0033】
エクステンション内管41と外管42との先端部において,これらの間の圧縮エアー供給路43内には,スクリューアダプター45が収められ,固定(たとえば接着)されている。スクリューアダプター45は
図9および
図10に拡大して示すように,周面に5つのスクリュー溝46が形成されたもので,これらのスクリュー溝46は軸方向に15〜25度の傾斜角度を有している。そして,中心には内管41がぴったり入る孔47があけられている。このスクリューアダプター45は,供給路43内を流れる(溶剤ミスト含有)霧化圧縮エアーに旋回流を形成させ,ノズル51の吐出孔51Aとニードル50の先端部50Aとの間隙から吐出する液体の微粒化を促進させる。
【0034】
すなわち,圧力調整された(後述する)液体塗布材料は供給管32,導入孔31,中心孔33を経て,エクステンション内管41内のニードル50との間の間隙を通って吐出ノズル51に供給される。一方,圧力調整されかつ溶剤ミストが混入された圧縮霧化エアーは,供給管35,導入孔34,連通孔36を経てエクステンション内管41と外管42との間の圧縮エアー供給路43に供給され,スクリューアダプター45により旋回流エアーとなって,吐出ノズル51を覆うエアーキャップ52内に吹き出す。吐出ノズル51から吐出される液体の霧化粒子は,エアーキャップ52の内壁53に沿ってその周囲を収束しながら旋回する溶剤ミスト含有圧縮エアーによって一定幅に収束され,噴出流スプレーパターンSPを形成する。旋回する溶剤ミスト含有圧縮エアーはノズル51から噴出する液体に溶剤ミストを振り掛けながらその霧化を促進し,かつ霧化粒子の飛散を防止する。
【0035】
スクリューアダプター45は,主に,ノズル51から噴出する霧化粒子を収束させて塗布幅を制限する働きをする。いわゆる糸引きの防止は圧縮霧化エアーに代えて溶剤ミスト含有圧縮霧化エアーを用いることにより達成される。したがって,糸引きの発生防止の目的のためにはスクリューアダプター45は必ずしも必要ではないので,スクリューアダプターを持たない塗布バルブ装置も適用可能である。
【0036】
次に主に,
図3,
図4を参照して液体吐出ニードル50の駆動部について説明する。
【0037】
シリンダジョイント61の上に,ジョイント62,さらにその上にシリンダ63が一直線上に配置され,かつこれらはボルト(図示略)により相互に固定的に連結されている。シリンダ63の上にリニアアクチュエータ70が配置され,ボルトによりシリンダ63に固定されている。リニアアクチュエータ70は吐出ノズル51の開度を制御するものである。リニアアクチュエータ70から下方に進退自在に突出するアジャスタシャフト71は一種のストッパとして働き,その下端面の位置が開度を決定する。
【0038】
シリンダ63の内部にはピストン64が摺動自在に収められており,ピストン64の中心にピストン棒65が固定されている。ピストン棒65の下部はニードル50の上部とカップリング66により固定的に連結(結合)されている。ピストン棒65の上部はピストン64を突き抜け,上端部にピストンキャップ68が設けられている。ピストンキャップ68はアジャスタシャフト71の下端面に接しうる位置にある。カップリング66はシリンダジョイント61内に形成された円筒孔内を上下動自在である。シリンダ63内のコイルスプリング69がピストン64を常時下方に付勢している。シリンダ63の内部(ピストン64の下方の空間)には,ジョイント62に設けられた圧縮エアー供給管67から供給される圧縮エアーがジョイント62内の供給孔を通して送られる。
【0039】
リニアアクチュエータは,たとえばモータとモータの回転をアジャスタシャフト71の軸方向運動(移動)に変換する機構(たとえば,モータによって回転されるボールねじとボールねじに嵌合するナット)とを含む。
【0040】
シリンダ63内に圧縮エアーが供給されていない状態では,
図3に示すように,スプリング69の力によってピストン64が下方に押され,ピストン64はジョイント62に接している。この状態では,ピストン64に固定されたピストン棒65にカップリング66により連結されたニードル50が下降した位置にあり,ニードル50の先端部50Aは吐出ノズル51を閉じている(
図7に示す状態)。
【0041】
圧縮エアーが供給されると,
図4に示されるように,ピストン64はスプリング69の付勢力に抗して上昇し,これによりピストン棒65も上昇して,キャップ68がアジャスタシャフト71の下端面に当って止る。したがって,ニードル50の上昇はアジャスタシャフト71の下端面の位置によって定まる。ニードル50の下端部50Aの外周面は吐出ノズル51の吐出孔51A内面から離れ,液体が吐出する(
図8に示す状態)。吐出ノズル51の開度はアジャスタシャフト71の下端面の位置によって定まる。すなわち,吐出ノズル51の開度はリニアアクチュエータ70によって制御される。
【0042】
図11は上述した塗布バルブ装置(液体塗布材料噴射バルブ装置)と,これに溶剤含有ミストを供給する溶剤ミスト発生装置(溶剤ミスト噴射バルブ装置)とを示すものである。また,
図12は溶剤ミスト発生装置の主要部を拡大して示すものである。この実施例の溶剤ミスト発生装置は,溶剤を吐出する吐出孔(ノズル)と吐出孔から吐出される溶剤を微粒化(霧化)する圧縮エアーの吹出口を有するという点で一種のスプレーガンであり,その基本的構造は塗布バルブ装置20と同じであるので(エクステンション部40やスクリューアダプター45がない点で異なる部分もあるが),以下では,上述したものと重複する説明を省略する。
【0043】
フルイドボディ130において,溶剤導入孔131は,フルイドボディ130 の中心部を下方にのびる中心孔133に連通している。中心孔133の下部内には導出管141 が固定されている。中心孔133と導出管141の内部は連通している。導出管141の下端部に吐出ノズル151が螺合されて固定されている。ノズル151の先端が溶剤吐出孔である。中心孔133,導出孔141 内部およびノズル151内を溶剤吐出ニードル150がその周囲に若干の溶剤通路をあけて上下動自在に通っている。ニードル150の先端部は先端にいくほど細くなり,ニードル150が進退することによりノズル151の吐出孔が開閉される。
【0044】
フルイドボディ130の下部にはエゼクター(エジェクター)ブロック140が螺合により固定されている。エゼクターブロック140内には噴出路143となる空間が形成され,この空間は下部において吹出口143Aとして開口している。またこの空間内に導出管141,ノズル151が入り,その周囲が圧縮霧化エアーが通る噴出路143となっている。フルイドボディ130 の圧縮霧化エアー導入孔134は連通孔136により噴出路143につながっている。導入孔134には圧縮霧化エアー供給管135を通して圧縮霧化エアーが導入される。
【0045】
ニードル150が上昇すると,供給管132から供給される溶剤がニードル150と中心孔133,導出管141,ノズル151の内面との間の空間(間隙)を通ってノズル151 先端の吐出孔から噴出する。これと同時に,供給管135に供給される圧縮エアーが連通孔136から噴出路143 を経てノズル吐出孔の周囲の吹出口 143Aから噴出し,溶剤を霧化する。これにより,溶剤ミストを含有した(混合した)圧縮エアーがエゼクターブロック140 から噴出する。エゼクターブロック140に継手155により接続されたホース23を通して,噴出された溶剤ミスト含有霧化用圧縮エアーは塗布バルブ装置20の圧縮霧化エアー供給管35に供給される。ニードル150を進出させればノズル151の吐出孔が閉塞され,溶剤の噴出が停止する。このとき,圧縮エアーの供給も停止するとよい。
【0046】
ニードル150の上部はシリンダジョイント161内においてカップリング166 によりピストン棒165の下部に連結され,ピストン棒165の上部はシリンダ163内のピストン164に固定されている。ピストン164はコイルスプリング169により下方に付勢されている。したがって常時は,ピストン164は下降位置にあり,ピストン棒165を通してニードル150 も下降し,ノズル151の吐出孔を閉じている。圧縮空気供給管167に動作用圧縮空気が導入されると,ピストン164が上昇し,これに伴ってピストン棒165,ニードル150が上昇し,ノズル151の吐出孔が開き,上述のように溶剤が圧縮エアーとともに噴霧する。ピストン164 にはキャップ168が嵌められており,このキャップ168がシリンダ163 の上部に設けられた調整ねじ(ストッパ)170の下端に当り,ピストン164の上昇位置が規制される。調整ねじ170 を廻してその先端部をシリンダ内163で進退させることができ,これにより,ノズル151の吐出孔の開度が定まる。
【0047】
図2に戻って,2つのバルブ装置20,120のニードル50,150を開閉する動作用圧縮エアーのオン,オフは,塗布動作用電磁弁26,霧化動作用電磁弁127 によって制御される。すなわち,コンプレッサ等(図示略)から供給される圧縮エアーはエアフィルター28A,ミストセパレータ28Bを経て,ホース(配管)126,27に分岐する。ホース126に供給される圧縮エアーは電磁弁127が開いたときに動作用圧縮エアー圧力調整器124Aを経てホース124 により,溶剤ミスト発生装置としてのバルブ装置120の動作用圧縮エアー供給管167に供給される。同じようにホース27に供給された圧縮エアーは電磁弁26が開いたときに塗布バルブ装置20の動作用圧縮エアー供給管67に供給される。
【0048】
溶剤ミスト発生装置としてのバルブ装置120 に供給される霧化用圧縮エアーはホース27から分岐するホースに接続されたエアーリレーバルブ128 ,霧化用圧縮エアー圧力調整器123Aを経てホース123により供給管135に供給される。エアーリレーバルブ128は,電磁弁127が開いたときにホース129を経て供給される圧縮エアーにより開放される。このエアーリレーバルブ128は電磁弁127等からの油類,異物の混入を防止するためのものである。
【0049】
溶剤用圧送タンク121には溶剤用圧力調整器121Aが設けられ,ホース27,25を経て供給される圧縮エアーがこの圧力調整器121Aで圧力調整されてタンク121内に加えられ,タンク121内の溶剤がホース122を経てバルブ装置120の溶剤供給管132に給送される。同じように,塗布液用圧送タンク21には塗布液用圧力調整器21Aが設けられ,ホース27,25を経て供給される圧縮エアーがこの圧力調整器21Aで圧力調整されてタンク21内に加えられ,タンク21内の塗布液がホース22,塗布液流量計22Aを経てバルブ装置20の塗布液供給管32に供給される。
【0050】
図13から
図15は溶剤ミスト発生装置の他の実施例を示している。これはいわゆるルブリケータを利用したものである。
【0051】
溶剤ミスト発生装置220はタンク221を備え,このタンク221 内に溶剤が貯えられる。タンク221にはその蓋としてルブリケータボディ222が設けられ,このボディ222 は下部に筒状部222Aを有している。筒状部222Aの内周面に形成された雌ねじにタンク221 上縁の雄ねじが螺合して,ボディ222がタンク221に固定される。ボディ222は圧縮エアーの入口223と出口224とを有している。この入口223と出口224との間のエアー通路にダンパ支持体225が固定されている。ダンパ支持体225は入口223,出口224に連なる通路227を有し,この通路227に弾性体よりなるダンパ226がその一側で固定されている。入口223 から入った圧縮エアーは通路227内でダンパ226を振動させながら通過し,出口224に向って流れていく。
【0052】
ダンパ支持体225には,入口223側からタンク221内に向う細いエアー通路228が形成され,通路228の出口部分に送止弁229が設けられている。したがって,入口223 に供給されるエアーの一部は通路228を経てタンク221内に供給され,タンク221 内の溶剤を押圧する。ダンパ支持体225から下方に向ってパイプ237が延びている。圧縮された溶剤はパイプ237 を上昇し,途中の送止弁237Aを経てダンパ支持体225およびボディ222に形成された通路238をさらに上昇していく。
【0053】
ボディ222にはその上部に外側ケース230と内側ケース231 が取付けられる。これらのケース230,231は上端が半球状に閉じられ,内側ケース231の外面と外側ケース230の内面との間に空間が形成される。外側ケース230はそのねじ部230Aがボディ222の取付部230Bの雌ねじに螺合されて固定される。通路238を上昇した溶剤は内外ケース231,230 の間の空間内を満たす。内側ケース231の上端には下方に向って突出する筒体231Aが形成され,この筒体231Aの下端は開口している。内外ケース231,230間の空間を上昇した溶剤は筒体231Aから滴下する。
【0054】
ボディ222には,筒体231Aから滴下する溶剤が落下する位置に小さな孔233 があけられている。この孔233の下方には,支持体225の上部の一部による棚部234 が形成されている。溶剤は孔233からこの棚部234の上に載る。ダンパ226 を振動させて通路を通る圧縮空気の流れによってこの溶剤が霧化するので,出口224 からは溶剤の霧化ミストを含む圧縮空気が勢いよく噴出することになる。なお,溶剤はボディ222に設けられた溶剤供給口236からタンク221内に供給される。
【0055】
上記以外にもさまざまな霧化器(装置)が溶剤ミスト発生装置として利用可能である。
【0056】
図16および
図17は液体塗布材料のスプレー状態を示している。
図16は糸引きが発生していない良好なスプレー霧化状態を示している(SPで示す)。
図17は液体材料が微粒化せずに糸状(AHで示す)に出る糸引きスプレー状態を示している。
【0057】
上述したように塗布バルブ装置(スプレーガン)において,圧縮エアー吹出口に,溶剤混合圧縮エアーを供給すると,液体塗布材料として粘度の高い原液を用いたとしても,
図17に示すような糸引き現状が発生しない。
【0058】
図18は基板に電子(電気)部品をハンダ付けした状態を示している。基板300 の裏面(B面)に電子部品301のピン足302 が突出し,その下部にハンダ303(
図19,20)が付けられている。
【0059】
図19,20は基板300の裏面に液体塗布材料をスプレー塗布した状態を示している。基板300の面上で30μ(ミクロン)の厚さの膜厚(符号400 で示す)になるように塗布するものとする。
図19は,液体塗布材料として粘度の高い原液を用い溶剤混合圧縮エアーを供給する方法で塗布した様子を示している。ピン足302 の上端面や側面にも,かなりの膜厚で(10μ以上,5μ以上)塗布されている(符号401,402で示す)。
図20は,液体塗布材料を糸引きが発生しない程度に溶剤であらかじめ希釈し,圧縮エアー吸出口に溶剤を混合しない単なる圧縮エアーを供給した場合に形成される塗膜を示している。塗布材料が希釈されているので流れやすく,ピン足の上端面や側面の塗膜の厚さはきわめて薄い(2μ以下)。
【0060】
表1は被塗物としてプリント基板の半田面側(裏面,B面)で,乾燥膜厚30μm を形成した場合において,本発明の方法と従来の代表的方法との比較結果を示すものである。防湿絶縁材(コンフォーマルコーティング)日東シンコー製エレップコート(型式LSS520MH)を使用した。
【0061】
【表1】
【0062】
この表の意味するところは
図19,
図20を参照すれば明らかと思われるが,若干説明を付け加えておく。
【0063】
乾燥時間における乾燥は指触乾燥という意味(溶剤が残ってなく,手で触って,組付け作業しても支障ない乾燥状態)である。
【0064】
塗布先端部の方向性とは,塗布ガンノズル先端部の吐出方向性を意味する,基板防湿塗布においては,通常は通常塗布ガンのノズルは,水平に設置した基板面にその上から下方向にする。下からとは,基板の下方向からノズルを上向きにして塗布すること。横からとは,基板を垂直に立てて,それに対し塗布ノズルが横から基板に吹き付ける塗布。
【0065】
塗着効率は,塗布液の基板への付着量/塗布液使用量である。
【0066】
管理メンテ性の定義は,塗布性能を維持するための塗布バルブ及び付属機器の日常点検清掃作業時間と難易度を下記の基準で決めた。
【0067】
連続自動塗布可能であり,塗布材料の特別な粘度管理要しなく安定塗布可能を◎。
連続自動塗布可能であるが,塗布材料の粘度管理をしないとNG製品が出るおそれある場合。自動粘度調整器が必要。自動塗布終了後に,各自動機器のメンテナンス,点検作業が必須を○。
連続自動塗布中で,一時停止して塗布バルブの一部又はある箇所を清掃,調整する手作業時間が必要。さらに自動塗布終了後に,各自動機器のメンテナンス,点検作業が必須を△。
【0068】
以上をまとめると,この発明によると乾燥時間は200%以上の短縮が可能となり,溶剤使用料は60%以上削減でき,さらに鋭角凸部膜厚は200%以上改善した。