特許第6404523号(P6404523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6404523
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】銀ナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/30 20060101AFI20181001BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B22F9/30 Z
   H01B13/00 501Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-504302(P2018-504302)
(86)(22)【出願日】2018年1月22日
(86)【国際出願番号】JP2018001793
【審査請求日】2018年1月26日
(31)【優先権主張番号】特願2017-41710(P2017-41710)
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新谷 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】外村 卓也
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−162767(JP,A)
【文献】 特許第3005683(JP,B1)
【文献】 特開2004−353038(JP,A)
【文献】 特開2013−023699(JP,A)
【文献】 特開2016−166391(JP,A)
【文献】 特開2014−194057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00−9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミンとシュウ酸銀とを混合し、シュウ酸銀にアミンが配位したシュウ酸銀−アミン錯体を得る混合工程と、
前記シュウ酸銀−アミン錯体にマイクロ波を照射して加熱し、前記シュウ酸銀−アミン錯体の還元を行う加熱工程とを含み、
前記アミンは、炭素数5以下のアルキルアミン及び、炭素数5以下のアルコキシアミンの少なくとも一方から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記混合工程と前記加熱工程との間に、前記シュウ酸銀−アミン錯体に溶媒を添加する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の銀ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
合成スケールがシュウ酸銀基準で100mmol以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の銀ナノ粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀ナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属微粒子を含有する導電性インクを基材上に印刷して焼成することにより、極めて微細な電子回路やデバイスを形成するプリンテッドエレクトロニクス技術が注目されている。導電性インクに用いられる金属微粒子は、従来から知られた導電ペースト中の導電フィラーよりもはるかに小さいナノメートルサイズの粒子であるため、ナノ粒子特有の融点降下によって低温で焼結させることができ、かつ金属箔に近い高い導電性を実現できるという特徴がある。このような導電性インクに用いられる金属の種類としては、銀、金、銅等が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、ナノメートルサイズの銀超微粒子の製造方法に関し、シュウ酸銀と、オレイルアミンとを反応させて少なくとも銀とオレイルアミンとシュウ酸イオンとを含む錯化合物を生成し、生成した錯化合物を加熱分解して銀超微粒子を生成する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、金属ナノ粒子の製造方法に関し、カルボン酸ニッケル及び1級アミンを含む混合物を100〜165℃の範囲内の温度に加熱して錯化反応液を得た後、錯化反応液をマイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、1級アミンで被覆されたニッケルナノ粒子のスラリーを得る方法等が開示されている。
【0005】
また、特許文献3及び4には、金属酸化物又は金属水酸化物を分散した有機溶媒にマイクロ波を照射して加熱することにより金属微粒子を製造する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献5には、金属ナノ粒子を溶液中で化学反応によって形成する金属ナノ粒子の作製方法において、溶液に金属源である無機化合物の粉末を分散させる工程と、分散剤を添加する工程と、熱及びキャビテーションの少なくとも一方を照射し、無機化合物を還元する工程を含むことを特徴とする金属ナノ粒子の作製方法が開示されており、熱の照射方法としてマイクロ波が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−270146号公報
【特許文献2】特開2013−87308号公報
【特許文献3】特開2011−12290号公報
【特許文献4】特開2013−23699号公報
【特許文献5】特開2010−65265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
導電性インクに用いられる金属微粒子を製造する方法のなかでも、出発原料としてアミンとシュウ酸銀の混合物を用い、加熱により銀の還元反応を生じさせて銀ナノ粒子を製造する方法は、炭酸銀を用いる場合等に比べて低温で銀ナノ粒子を製造でき、かつ、不純物の少ない銀ナノ粒子を容易に得られるという利点がある。しかしながら、シュウ酸銀−アミン錯体は粘性が高く、オイルバス等の通常の方法で加熱還元した場合には、銀ナノ粒子の合成に時間がかかるため、生産性が低かった。また、合成スケールを大きくすると、粘性が高いために反応系内の加熱ムラが起こりやすく、それによって粗大粒子が出来やすくなり、粒度分布の狭い銀ナノ粒子を短時間で製造することは困難であった。
【0009】
特許文献1では、オレイルアミンを用いることにより、粒度分布が狭く、保存安定性に優れた銀超微粒子が得られると記載されているが、実施例はいずれも10mmol以下の少量のシュウ酸銀を150℃で1時間加熱して還元しており、生産性の点で改善の余地があった。特に銀ナノ粒子の製造を量産レベルで行うためには、仕込み量の増加に伴い粒子合成が難しくなることに対する対策が求められていた。
【0010】
また、特許文献2では、錯化反応液の生成と加熱還元のために2段階の加熱を行っているだけでなく、加熱還元を非常に高温で実施しており、シュウ酸銀−アミン錯体を用いて低温で銀ナノ粒子を製造する方法とは異なり、プリンテッドエレクトロニクス用の導電性及び低温焼結性に優れた銀ナノ粒子を製造するものではない。特許文献2のような高温での加熱還元が行われると、アミンの揮発が進み過ぎるとともに、粒子に配位したアミンが外れてしまう。
【0011】
また、特許文献3及び4では、マイクロ波の吸収性(加熱性)の良い有機溶媒中に金属酸化物又は金属水酸化物を分散させた液に対してマイクロ波を照射して加熱しているが、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体を加熱するものではなかった。特許文献5においても、溶液に対してマイクロ波を照射して加熱する方法が開示されているが、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体を加熱するものではなかった。
【0012】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体から粒度分布の狭い銀ナノ粒子を短時間で大量に製造することができる銀ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、銀ナノ粒子の製造方法について種々検討したところ、シュウ酸銀−アミン錯体から銀ナノ粒子を得る方法に着目した。しかしながら、シュウ酸銀−アミン錯体の粘性が高いために、オイルバス等の通常の方法では、仕込み量が増えるほど粒度分布の狭い銀ナノ粒子を短時間で製造することは困難であった。これに対して、本発明者らは、鋭意検討した結果、アルキルアミン及びアルコキシアミンのマイクロ波吸収性が良いことを見出し、アルキルアミン及びアルコキシアミンの少なくとも一方とマイクロ波照射による加熱とを組み合わせて還元を行なえば、僅か数分で銀ナノ粒子を合成できることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、アミンとシュウ酸銀とを混合し、シュウ酸銀にアミンが配位したシュウ酸銀−アミン錯体を得る混合工程と、上記シュウ酸銀−アミン錯体にマイクロ波を照射して加熱し、上記シュウ酸銀−アミン錯体の還元を行う加熱工程とを含み、上記アミンは、アルキルアミン及びアルコキシアミンの少なくとも一方から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、上記混合工程と上記加熱工程との間に、上記シュウ酸銀−アミン錯体に溶媒を添加する工程を有してもよい。
【0016】
上記アミンは、炭素数5以下のアルキルアミン、及び、炭素数5以下のアルコキシアミンの少なくとも一方から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体から粒度分布の狭い銀ナノ粒子を短時間で大量に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、アミンとシュウ酸銀とを混合し、シュウ酸銀にアミンが配位したシュウ酸銀−アミン錯体を得る混合工程と、上記シュウ酸銀−アミン錯体にマイクロ波を照射して加熱し、上記シュウ酸銀−アミン錯体の還元を行う加熱工程とを含み、上記アミンは、アルキルアミン及びアルコキシアミンの少なくとも一方から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする。
【0019】
(混合工程)
本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、アミンとシュウ酸銀とを混合し、シュウ酸銀にアミンが配位したシュウ酸銀−アミン錯体を得る混合工程を含む。
【0020】
上記アミンは、アルキルアミン及びアルコキシアミンの少なくとも一方から選択される少なくとも1種の化合物を含む。具体的には、アルキルアミンに分類される1種類の化合物のみが用いられてもよいし、アルキルアミンに分類される2種類以上の化合物が用いられてもよいし、アルコキシアミンに分類される1種類の化合物のみが用いられてもよいし、アルコキシアミンに分類される2種類以上の化合物が用いられてもよいし、アルキルアミンに分類される1種類以上の化合物とアルコキシアミンに分類される1種類以上の化合物が併用されてもよい。
【0021】
また、シュウ酸銀と混合されるアミンは、アルキルアミン及びアルコキシアミンの少なくとも一方のみであることが好ましいが、加熱工程の前に還元反応を引き起こさないものであれば、アルキルアミン及びアルコキシアミン以外のアミンが添加されてもよい。例えば、アルカノールアミンのような水酸基を有するアミンは、配位子として用いるには極性が高く、配合量が多い場合は加熱工程の前に還元反応を引き起こしてしまう可能性がある。アルキルアミン及びアルコキシアミン以外のアミンが添加される場合には、使用するシュウ酸銀のmol数に対して5当量以下にすることが好ましい。
【0022】
アルキルアミンは、分子内にアルキル基及びアミン官能基を有するものであればよく、分子内にアミン官能基を2つ有するジアミンであってもよい。また、アルキルアミンは、1級アミン、2級アミン及び3級アミンのいずれであってもよいが、錯体の形成を促進する観点から、1級アミンであることが好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、一部に飽和炭素環を含んでもよいが、直鎖状アルキルアミンが好適に用いられる。アルキルアミンの具体例としては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、1,2−エタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン等が挙げられる。なかでも、錯体の形成を促進する観点及び極性の高い溶媒への分散性を高める観点からは、炭素数5以下のアルキルアミンが好適に用いられる。
【0023】
アルコキシアミンは、分子内にアルコキシ基及びアミン官能基を有するものであればよい。また、アルコキシアミンは、1級アミン、2級アミン及び3級アミンのいずれであってもよいが、錯体の形成を促進する観点から、1級アミンであることが好ましい。アルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、一部に飽和炭素環又は不飽和炭素環を含んでもよいが、直鎖状アルコキシアミンが好適に用いられる。アルコキシアミンの具体例としては、例えば、N−(3−メトキシプロピル)プロパン−1,3−ジアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン等が挙げられる。なかでも、錯体の形成を促進する観点及び極性の高い溶媒への分散性を高める観点からは、炭素数5以下のアルコキシアミンが好適に用いられる。
【0024】
上記シュウ酸銀は、最も単純なジカルボン酸銀であり、シュウ酸銀を用いて合成されるシュウ酸銀−アミン錯体は、低温かつ短時間で還元が進むことから、銀ナノ粒子(ナノメートルサイズの銀微粒子)の合成に好適である。更に、シュウ酸銀を用いると、合成時には副生成物が発生せず、系外にシュウ酸イオン由来の二酸化炭素が出るのみであるため、合成後に精製の手間が少ないという利点もある。
【0025】
上記アミンと上記シュウ酸銀との混合比率としては、銀原子のモル数よりも上記アミンのモル数を多くすることが好ましく、銀原子1molに対して上記アミンを2mol以上添加することがより好ましい。これにより、還元によって生成される銀ナノ粒子の表面にアミンを適量付着させることができ、銀ナノ粒子に種々の分散媒に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
【0026】
上記アミンと上記シュウ酸銀との混合方法は特に限定されないが、アミンとシュウ酸銀とが錯形成することで粘度が上昇することから、例えば、アミンとシュウ酸銀の混合液を、マグネティックスターラー等の回転体を用いて攪拌する方法が用いられる。攪拌は、室温(10〜30℃)で行うことが好ましい。シュウ酸銀−アミン錯体が得られたことは、粘性のある白色の物質の生成により外見的に確認できる。
【0027】
上記混合工程では、シュウ酸銀−アミン錯体の形成を妨げない範囲で、アミン及びシュウ酸銀以外の物質を添加してもよく、例えば、高分子分散剤を用いてもよい。高分子分散剤としては、市販されている高分子分散剤を使用することができる。市販の高分子分散剤としては、例えば、ソルスパース(SOLSPERSE)11200、ソルスパース13940、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(以上、日本ルーブリゾール社製);DISPERBYK−102、110、111、170、190.194N、2015、2090、2096(以上、ビックケミー・ジャパン社製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(以上、EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(以上、EFKAケミカル社製);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(以上、味の素社製);フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(以上、共栄社化学工業社製);TEGO Dispersシリーズの610、610S、630、651、655、750W、755W(エボニック社製)、ディスパロンシリーズのDA−375、DA−1200(楠本化成社製)等が挙げられる。
【0028】
(溶媒添加工程)
本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、混合工程と加熱工程との間に、シュウ酸銀−アミン錯体に溶媒を添加する工程を含んでもよい。シュウ酸銀−アミン錯体はペースト状の増粘物であることから、加熱前に溶媒を添加して粘度を下げておくことで、加熱工程後に得られる銀ナノ粒子の粒径をより小さなものとすることや、銀ナノ粒子の分散性の向上を図ることができる。
【0029】
上記溶媒としては、混合工程で得られたシュウ酸銀−アミン錯体を分散させ、粘度を低下させることができるものであれば特に限定されないが、導電性インクを作製する際の分散媒と相溶するもの(極性が近いもの)や、製造される銀ナノ粒子の良溶媒となり得る溶媒が好ましく、例えば、有機溶媒が用いられる。また、加熱工程の前にシュウ酸銀−アミン錯体の還元が生じると、加熱による均一な銀ナノ粒子の合成が妨げられるため、上記溶媒は、シュウ酸銀−アミン錯体に対して還元剤として作用しないものであることが望ましい。上記有機溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、テルペン、ターピネオール(テルピネオール)、ジヒドロターピニルアセテート、イソホロン、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トルエン、トリデカン等の良溶媒が挙げられる。上記溶媒は、1種類のみが用いられてもよく、混合溶媒が用いられてもよい。
【0030】
なお、本発明の銀ナノ粒子の製造方法では、加熱工程においてシュウ酸銀−アミン錯体に溶媒を添加してもよい。
【0031】
なお、本発明の銀ナノ粒子の製造方法によれば、シュウ酸銀−アミン錯体自体を直接加熱することができることから、溶媒がほとんど含まれない増粘物の状態であっても、シュウ酸銀−アミン錯体の還元をシュウ酸銀基準で100mmol以上のスケールで行うことが容易であり、特に1mol以上の大スケールで行うことができる点において優れている。
【0032】
(加熱工程)
本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、シュウ酸銀−アミン錯体にマイクロ波を照射して加熱し、シュウ酸銀−アミン錯体の還元を行う加熱工程を含む。本発明においては、マイクロ波の吸収性能の高いアルキルアミン及び/又はアルコキシアミンを用いることにより、還元剤を用いずに、マイクロ波の照射による加熱によってアミン錯体銀を還元反応により分解して銀を生成させることができる。また、シュウ酸銀は、炭酸銀やカルボキシル基を1つだけ有するカルボン酸に比べて、低温で還元反応を生じさせることができるので、マイクロ波の照射は短時間でよい。加熱工程における加熱の最高温度は、80〜160℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは100〜130℃である。加熱工程におけるマイクロ波照射時間は、合成スケールや単位時間当たりの照射量に依るが、30分以内であることが好ましく、より好ましくは5分以内であり、更に好ましくは3分以内である。照射時間が30分を超えると、特に短鎖の配位子が外れやすくなるため、生成する粒子が凝集し易くなり、分散安定性が低下するおそれがある。また、照射時間が長いほど、生産性が低下することになる。マイクロ波照射時間は、生産性の観点からは短い方がよく、還元反応が終われば直ちに照射を終了してよいが、通常は、1分以上行う。
【0033】
ところで、シュウ酸銀とアミンからなるアミン錯体銀は、常温での粘性が非常に高い。このため、特に100mmol以上の大容量の合成を行う場合には、攪拌が困難であり、オイルバスやヒーター等の伝熱加熱を用いた場合には、温度上昇により粘性が低下して充分に攪拌できるようになるまでの加熱初期の段階(系内温度が90℃近くまで)で、加熱ムラが特に大きくなってしまう。したがって、反応容器の壁面近傍では還元反応が生じるが、反応容器の中心部は温まりにくいため、粒子の核生成が系内で不均一になり、粗大粒子が発生しやすくなる。また、シュウ酸銀とアミンからなるアミン錯体銀は増粘性であるため、液系の出発原料を用いたとしても、系内の温度ムラを抑制することは困難である。更に、超音波のような他の方法では、温度上昇がさせ難くシュウ酸銀−アミン錯体を還元させることはできない。これに対して、マイクロ波の照射によれば、反応容器の壁面側からの伝熱を利用せず、壁面近傍と中心部を同時に加熱できることから、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体であっても系内を均一に加熱することができる。すなわち、シュウ酸銀とアルキルアミン及び/又はアルコキシアミンとの組み合わせは、マイクロ波照射という簡便な方法を用いて粒度分布の狭い銀ナノ粒子を短時間で製造できる点において、最適なものである。
【0034】
また、シュウ酸銀−アミン錯体をアミンの存在下で熱分解することで、アミンにより被覆された銀ナノ粒子を製造する熱分解法においては、単一種の分子である銀アミン錯体の分解反応により銀原子が生成するため、反応系内に均一に銀原子を生成することが可能であり、複数の成分間の反応により銀原子を生成する場合に比較して、反応を構成する成分の組成揺らぎに起因する反応の不均一が抑制され、特に工業的規模で多量の銀ナノ粒子を製造する際に有利である。
【0035】
また、生成した銀原子は凝集して銀ナノ粒子を形成するが、上記熱分解法により生成した銀原子にはアミン分子が配位結合していることから、銀原子に配位したアミン分子の働きにより凝集を生じる際の銀原子の運動がコントロールされるものと推察される。この結果として、非常に微細で、粒度分布が狭い銀ナノ粒子を製造することが可能となる。
【0036】
本発明の銀ナノ粒子の製造方法によれば、上記加熱工程を行うことにより、平均粒子径が1μm以下の銀ナノ粒子が得られる。銀ナノ粒子の粒子径がナノメートルサイズであると、融点降下が生じ、低温で焼成できる。また、印刷法を用いて、例えば線幅が5μm以下の微細な導電性パターンを形成することができる。得られる銀ナノ粒子の平均粒子径は、1〜200nmであることが好ましい。銀ナノ粒子の平均粒子径が200nm以下であれば、銀ナノ粒子の分散性が経時的に変化しにくい。
【0037】
得られる銀ナノ粒子は、平均粒子径が200nmを超え、1μm以下の粒子を含有してもよい。また、得られる銀ナノ粒子は、平均粒子径が1〜200nmであるナノサイズ粒子と、平均粒子径が200nmを超え、1μm以下のサブミクロンサイズ粒子とを含有してもよい。ナノサイズ粒子とサブミクロンサイズ粒子とを併用することで、ナノサイズ粒子がサブミクロンサイズ粒子の周囲で融点降下することにより、サブミクロンサイズ粒子のみを用いた場合よりも、良好な導電パスを形成させることができる。更に、上記加熱工程で得られる銀ナノ粒子は、平均粒子径が1μmを超えるミクロンサイズ粒子を含んでいてもよく、必要に応じて、加熱工程後に除去される。
【0038】
銀ナノ粒子の平均粒子径は、動的光散乱法、小角X線散乱法、広角X線回折法で測定することができる。本明細書中、「平均粒子径」とは、分散メジアン径をいう。分散メジアン径は、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering)にて、粒子径基準を体積基準として、分散粒径を得ることで算出される。
【0039】
また、上記加熱工程で得られる銀ナノ粒子の表面には、アルキルアミン及び/又はアルコキシアミンの分子が比較的弱い結合により付着し、銀ナノ粒子の表面に保護被膜が形成される。保護被膜は、銀ナノ粒子同士の凝集を防止するとともに、保護被膜で被覆された銀ナノ粒子が無機コロイド粒子を構成することから、保存安定性に優れる。また、上記保護被膜を形成するアルキルアミン及び/又はアルコキシアミンは、加熱等により容易に脱離可能であるため、低温で焼結可能な銀ナノ粒子を製造することが可能となる。
【0040】
上記のようにして得られた銀ナノ粒子を含む分散液には、銀ナノ粒子の他に、金属塩の対イオン、分散剤の残留物等が存在しており、液全体の電解質濃度や有機物濃度が高い傾向にある。このような状態の液は、電導度が高い等の理由で銀ナノ粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。または、沈殿しなくても、金属塩の対イオン、分散に必要な量以上の過剰な分散剤等が残留していると、導電性を悪化させるおそれがある。そこで、上記加熱工程の後に、銀ナノ粒子を含む分散液を洗浄して余分な残留物を取り除く洗浄工程を実施することが好ましい。
【0041】
上記洗浄工程における洗浄方法としては、例えば、表面の少なくとも一部を有機成分で被覆された銀ナノ粒子を含む分散液を一定時間静置し、上澄み液を取り除いた後、銀ナノ粒子を沈殿させる溶媒(例えば、水、メタノール、メタノール/水混合溶媒等)を加えて撹枠し、再度一定期間静置して上澄み液を取り除く処理を幾度か繰り返すものが挙げられる。他の洗浄方法としては、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。
【0042】
銀ナノ粒子の不揮発分全体に対する銀原子の重量比率は、90重量%以上であることが好ましい。上記不揮発分とは、溶媒以外の成分をいい、銀ナノ粒子の他に、銀ナノ粒子を被覆する有機成分、高分子分散剤等が含まれる。銀原子の重量比率が90重量%以上であることで、銀含有率の高い導電性パターンを形成することができる。
【0043】
得られた銀ナノ粒子は、水、有機溶媒、分散剤、オリゴマー成分、界面活性剤、増粘剤、表面張力調整剤等の任意成分と混合され、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性、表面張力、印刷性等の機能が付与された銀ナノ粒子分散体とされ、例えば、プリンテッドエレクトロニクス技術で利用される導電インクを得ることができる。このような銀ナノ粒子分散体は、インクジェット法、フレキソ法、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷等の印刷法やディスペンサーを用いて、基材上に塗布し、更に焼成することで、導電性パターンを形成することができる。導電性パターンとしては、例えば、電子回路基板上に形成される電子回路を構成する配線が挙げられる。
【0044】
上記焼成を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば従来公知のギヤオーブン等を用いることができる。上記焼成の温度は、140℃未満であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。導電性パターンの体積抵抗値は、焼成の温度と時間によって制御できるが、本発明で得られる銀ナノ粒子は、140℃未満の温度で焼成しても銀ナノ粒子同士を焼結(ネッキング)させることができ、優れた導電性を有する導電性パターンを形成できることから、比較的熱に弱い基材上にも形成できる。上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、基材上に導電性パターンを形成できる温度であって、かつ、有機成分等を蒸発又は分解により除去できる温度であることが好ましい。また、焼成時間は特に限定されず、焼成温度に応じて適宜調整することができる。
【0045】
本発明により得られる導電性パターンの体積抵抗値は、110μΩ・cm以下であることが好ましく、100μΩ・cm以下であることがより好ましく、50μΩ・cm以下であることが更に好ましい。上記体積抵抗値は、下記式(1)に基づき算出される。
式(1):(体積抵抗値)=(抵抗値)×(被膜幅)×(被膜厚さ)/(端子間距離)=(表面抵抗値)×(被膜厚さ)
【0046】
上記焼成工程後の導電性パターンの被膜厚さは、例えば、0.1〜5μmであり、好ましくは0.1〜1μmである。
【実施例】
【0047】
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
<実施例1>
3−メトキシプロピルアミン(和光純薬工業社製、試薬一級、炭素数:4)9.0gと、高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン社製、「DISPERBYK−102」)0.2gとを混合し、マグネティックスターラーにてよく撹拌してアミン混合液を作製した。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0g(10mmol)を添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で攪拌を続けることでシュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したと認められる時点で撹拌を終了した(混合工程)。
【0049】
得られた混合液をマイクロ波加熱装置(四国計測工業株式会社製、「μReactorEX」)に移し、出力自動制御モードにて系内のピーク温度を120℃に設定し、30℃/minの昇温プロファイルにして混合液の加熱を行った。炭酸ガスの吹き出しにより銀ナノ粒子の合成状況を確認し、混合液の加熱を3分間で終了し、銀ナノ粒子の懸濁液を得た(加熱工程)。
【0050】
次に、懸濁液の分散媒を置換するため、メタノールと水の混合溶媒10mLを加えて撹拌後、遠心分離により銀ナノ粒子を沈殿させて分離し、分離した銀ナノ粒子に対してメタノールと水の混合溶媒10mLを加え、撹拌、遠心分離を行うことで銀ナノ粒子を沈殿させて精製分離し、分離したものを室温で20分間乾燥してスラリーを得た。得られたスラリー50重量部に対して、同重量部のエタノール(和光純薬工業社製試薬)を添加しマグネティックスターラー上で撹拌しエタノール中に分散させた。その後、遠心分離を行い、粗大分の除去を行った後、上澄みを回収し、銀ナノ粒子を含む導電性インクを得た。
【0051】
<実施例2>
使用する原料の量を10倍スケールにしたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を含む導電性インクを得た。具体的には、3−メトキシプロピルアミンを90.0g、高分子分散剤を2.0g、シュウ酸銀を30.4g、洗浄時の溶媒を100mLにした。
【0052】
<実施例3>
使用する原料の量を100倍スケールにし、混合液の加熱を5分間行ったこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を含む導電性インクを得た。具体的には、3−メトキシプロピルアミンを900.0g、高分子分散剤を20.0g、シュウ酸銀を304.0g、洗浄時の溶媒を1000mLにした。
【0053】
<実施例4>
実施例3と同様にしてシュウ酸銀を304.0g加え、室温で攪拌を続けることでシュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ終わった後、N−メチルピロリドン(和光純薬工業社製、試薬一級)を580.0g加えたこと以外は実施例3と同様にして、銀ナノ粒子を含む導電性インクを得た。
【0054】
<実施例5>
アミン混合液の作製に用いる3−メトキシプロピルアミン9.0gをペンチルアミン9.0g(和光純薬工業社製、試薬一級、炭素数:5)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を含む導電性インクを得た。
【0055】
<比較例1>
混合液の加熱方法をマイクロ波加熱からオイルバスに変更し、120℃で15分間オイルバスにより加熱したこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を含む導電性インクを得た。
【0056】
<比較例2>
混合液の加熱方法をマイクロ波加熱からオイルバスに変更し、120℃で15分間オイルバスにより加熱したこと以外は実施例2と同様にして、銀ナノ粒子を含む導電性インクを得た。
【0057】
<評価試験>
実施例及び比較例で作製した導電性インクについて、下記の方法により評価した。その結果を下記表1に示した。
【0058】
(1) 分散メジアン径
導電性インクをエタノールで100倍に希釈した試料を堀場製作所社製の動的光散乱式粒径分布測定装置(型番:LB−550)を用い、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering)にて測定し、分散粒径を得た。測定時の溶媒屈折率は1.361とした。
(判定基準)
○:メジアン径40nm以下
△:メジアン径40nm超〜50nm以下
×:メジアン径50nm超
【0059】
(2)分散性
導電性インクを分散媒で2倍希釈してから容器中に静置し、室温で1日放置後、沈殿の有無及び上澄みの状態を目視で観察することにより、分散性を評価した。
(判定基準)
○:容器下に沈降物がほとんど認められなかった
×:容器上下で明らかに濃度差があり、沈降物がはっきり認められた
【0060】
(3)希釈性
導電性インクを分散媒に100倍希釈したときの分散性を目視で評価した。評価は、希釈直後と希釈後1週間の時点で行った。
(判定基準)
○:分散した
△:一部凝集や銀の析出が見られた
×:凝集・沈殿が生じた
【0061】
(4)体積抵抗値
25mm×25mmのスライドガラス上に、スピンコート法により2000rpm×15秒の条件で導電性インクを塗布し、その後ギヤオーブン中で120℃、30分間の条件で加熱・焼成することにより焼結させ、導電性被膜を形成した。この被膜の表面抵抗値を抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、「ロレスタ」、四深針方式)で測定し表面抵抗値を得た。次いで、厚みをレーザー顕微鏡(キーエンス社製)で測定した。そして、以下の式に基づき、表面抵抗値と導電性被膜の厚みから体積抵抗値を換算した。
式:体積抵抗値(Ω・cm)=表面抵抗値(Ω/□)×被膜厚さ(μm)/10000
【0062】
(5)合成時間
加熱工程における加熱に要した時間を生産性の観点から以下のように評価した。
(判定基準)
○:5分以内
△:5分超〜15分以内
【0063】
【表1】
【0064】
表1から分かるように、実施例1〜5では、マイクロ波を用いることで急速加熱することができ、合成時間を大幅に短縮することができた。また、マイクロ波加熱によれば、反応容器の壁面近傍と中心部を同時に加熱し、粘性のある混合液をムラなく加熱することができたので、分散メジアン径の小さい銀ナノ粒子を製造することができた。更に、実施例1〜5において得られた銀ナノ粒子は、分散性及び希釈性が良好であり、低温(120℃)で焼成したときの体積抵抗値が低いものであった。
【0065】
また、実施例3及び4の結果から、マイクロ波を用いる場合には、シュウ酸銀基準で1mol以上に合成スケールを大きくしても、短時間で小粒径の銀ナノ粒子を製造できることが分かった。実施例4では、錯体合成時に溶媒を添加したことにより、混合液の粘性を低下させ、より均一に加熱することができたので、実施例3よりも分散メジアン径が小さく、希釈性に優れた銀ナノ粒子を製造することができた。
【0066】
一方、比較例1及び2では、オイルバスを用いたため、合成時間が長くなった。また、オイルバスでは合成スケールが大きくなると、反応容器の壁面近傍と中心部との加熱ムラが発生するため、比較例2では、得られた銀ナノ粒子の分散メジアン径が大きく、分散性及び希釈性が悪化した。
【0067】
(付記)
本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体を加熱ムラなく均一に加熱するためにマイクロ波を照射する点に特徴があるが、上記溶媒添加工程のように、シュウ酸銀−アミン錯体に溶媒を添加することによっても、シュウ酸銀−アミン錯体の粘度を下げることが可能である。アミンとシュウ酸銀とを混合し、シュウ酸銀にアミンが配位したシュウ酸銀−アミン錯体を得る混合工程と、上記シュウ酸銀−アミン錯体に溶媒を添加する溶媒添加工程と、上記シュウ酸銀−アミン錯体を加熱し、上記シュウ酸銀−アミン錯体の還元を行う加熱工程とを含み、上記アミンは、アルキルアミン及びアルコキシアミンの少なくとも一方から選択される少なくとも1種の化合物を含む銀ナノ粒子の製造方法(以下、「本発明の第二の銀ナノ粒子の製造方法」ともいう)もまた、加熱工程における加熱ムラを効果的に防止することができ、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体から粒度分布の狭い銀ナノ粒子を短時間で大量に製造する方法として有用である。また、製造される銀ナノ粒子の良溶媒となり得る溶媒を加熱前又は加熱中に予め添加しておくことで粒子の粗大化を防止できる。
【0068】
なお、本発明の第二の銀ナノ粒子の製造方法では、加熱工程が溶媒添加工程を兼ねてもよい。すなわち、シュウ酸銀−アミン錯体の加熱を溶媒の添加と並行して行ってもよい。また、本発明の第二の銀ナノ粒子の製造方法では、混合工程が溶媒添加工程を兼ねてもよい。すなわち、アミンとシュウ酸銀との混合を溶媒の添加と並行して行ってもよい。混合工程が溶媒添加工程を兼ねる場合には、非アルコール溶媒や出来上がる銀ナノ粒子と相溶性のある有機溶媒が用いられることが好ましい。
【0069】
本発明の第二の銀ナノ粒子の製造方法では、加熱方法は特に限定されず、オイルバス等による加熱を適用することも可能である。
【要約】
本発明は、粘性の高いシュウ酸銀−アミン錯体から粒度分布の狭い銀ナノ粒子を短時間で大量に製造することができる銀ナノ粒子の製造方法を提供する。本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、アミンとシュウ酸銀とを混合し、シュウ酸銀にアミンが配位したシュウ酸銀−アミン錯体を得る混合工程と、上記シュウ酸銀−アミン錯体にマイクロ波を照射して加熱し、上記シュウ酸銀−アミン錯体の還元を行う加熱工程とを含み、上記アミンは、アルキルアミン及びアルコキシアミンの少なくとも一方から選択される少なくとも1種の化合物を含む。