(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動可能な蓄電装置が施設内の電力線に対して電気的に接続されている状態で、前記蓄電装置へ、前記電力線に接続されている発電装置及び商用電力系統の少なくとも一方から前記電力線を介して充電を行う充電制御装置であって、
前記電力線への前記蓄電装置の接続を仲介すると共に、前記蓄電装置への充電を行う充電回路部と、
前記充電回路部の動作を制御する充電制御手段と、
前記蓄電装置に蓄電されている電力が、前記蓄電装置が前記電力線から電気的に切断される状態で使用開始される予定の時刻である予定使用開始時刻と、当該予定使用開始時刻で前記蓄電装置に蓄電されているべき最終目標蓄電量と、前記発電装置の発電電力及び前記商用電力系統から受電した電力のうち、少なくとも前記商用電力系統から受電した電力を用いて前記蓄電装置へ充電を行うときの最大充電速度とに基づいて、前記予定使用開始時刻に至る以前の時刻と、前記予定使用開始時刻で前記蓄電装置に前記最終目標蓄電量が蓄電されるために前記時刻で前記蓄電装置に蓄電されているべき最低の蓄電量である暫定目標蓄電量との間の関係を導出する目標蓄電量導出手段とを備え、
前記充電制御手段は、
随時進行する特定の時刻における前記蓄電装置の蓄電量が、前記関係に従って導出される前記特定の時刻における前記暫定目標蓄電量より多い間は、前記発電装置の発電電力を用いて前記蓄電装置が充電されるように前記充電回路部の動作を制御する通常充電制御を行い、
前記特定の時刻における前記蓄電装置の蓄電量が、前記関係に従って導出される前記特定の時刻における前記暫定目標蓄電量以下となったときは、前記発電装置の発電電力及び前記商用電力系統から受電した電力のうち、少なくとも前記商用電力系統から受電した電力を用いて前記蓄電装置が前記最大充電速度で充電されるように前記充電回路部の動作を制御する急速充電制御を行う充電制御装置。
請求項1〜3の何れか一項に記載の充電制御装置と、前記発電装置と、電力消費装置とを備え、前記電力線を介して前記発電装置と前記電力消費装置と前記商用電力系統とが接続されている電力供給システムであって、
前記充電制御手段は、所定の運転計画に応じて運転されている前記発電装置の発電電力から前記電力消費装置の消費電力を減算して導出した余剰電力を、前記蓄電装置へ充電するように前記充電回路部の動作を制御する電力供給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の充電制御装置は、予め充電スケジュールを作成して、その充電スケジュールに従って車両の蓄電装置への充電を行うため、充電開始当初から商用電力系統の電力が充電に使用されることもある。つまり、充電コストの高い商用電力系統の電力による充電が、充電コストの低い太陽光発電の電力による充電よりも先に行われる場合もある。その場合、先に商用電力系統の電力での蓄電装置への充電が多量に行われてしまうと、後で太陽光発電装置の発電電力が余っていたとしてもその全てを充電に使用することはできない可能性が生じる。つまり、本来ならば充電コストの低い太陽光発電装置の電力の全てを蓄電装置への充電に使用し、不足する電力量を商用電力系統の電力で補充することが好ましいが、特許文献1に記載の充電制御装置ではそのような制御は行われていない。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電装置の発電電力を蓄電装置の充電のために有効に活用し且つ商用電力系統の電力を蓄電装置への充電に使用することを極力避けつつ、蓄電装置に対して所望の電力量を蓄えることのできる充電制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る充電制御装置の特徴構成は、
移動可能な蓄電装置が施設内の電力線に対して電気的に接続されている状態で、前記蓄電装置へ、前記電力線に接続されている発電装置及び商用電力系統の少なくとも一方から前記電力線を介して充電を行う充電制御装置であって、
前記電力線への前記蓄電装置の接続を仲介すると共に、前記蓄電装置への充電を行う充電回路部と、
前記充電回路部の動作を制御する充電制御手段と、
前記蓄電装置に蓄電されている電力が、前記蓄電装置が前記電力線から電気的に切断される状態で使用開始される予定の時刻である予定使用開始時刻と、当該予定使用開始時刻で前記蓄電装置に蓄電されているべき最終目標蓄電量と、
前記発電装置の発電電力及び前記商用電力系統から受電した電力のうち、少なくとも前記商用電力系統から受電した電力を用いて前記蓄電装置へ充電を行うときの最大充電速度とに基づいて、前記予定使用開始時刻に至る以前の時刻と、前記予定使用開始時刻で前記蓄電装置に前記最終目標蓄電量が蓄電されるために前記時刻で前記蓄電装置に蓄電されているべき最低の蓄電量である暫定目標蓄電量との間の関係を導出する目標蓄電量導出手段とを備え、
前記充電制御手段は、
随時進行する特定の時刻における前記蓄電装置の蓄電量が、前記関係に従って導出される前記特定の時刻における前記暫定目標蓄電量より多い間は、前記発電装置の発電電力を用いて前記蓄電装置が充電されるように前記充電回路部の動作を制御する通常充電制御を行い、
前記特定の時刻における前記蓄電装置の蓄電量が、前記関係に従って導出される前記特定の時刻における前記暫定目標蓄電量以下となったときは、前記発電装置の発電電力及び前記商用電力系統から受電した電力のうち、少なくとも前記商用電力系統から受電した電力を用いて前記蓄電装置が前記最大充電速度で充電されるように前記充電回路部の動作を制御する急速充電制御を行う点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、目標蓄電量導出手段は、予定使用開始時刻で蓄電装置に最終目標蓄電量が蓄電されるために、その予定使用開始時刻に至る以前の所定時刻で蓄電装置に蓄電されているべき最低の蓄電量である暫定目標蓄電量との間の関係を導出する。つまり、目標蓄電量導出手段が導出する、所定時刻での暫定目標蓄電量は、その所定時刻において蓄電装置に暫定目標蓄電量しか蓄えられていなかったとしても、その所定時刻以後に最大充電速度で蓄電装置への充電を行えば予定使用開始時刻に蓄電装置へ最終目標蓄電量を蓄えることができることを示している。そのため、充電制御手段は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量よりも多く蓄電装置に蓄電できているとき、上記通常充電制御を行って、発電装置の発電電力を蓄電装置の充電のために有効に活用しながら充電を継続することができる。そして、充電制御手段は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量しか蓄電装置に蓄電できていないとしても、上記急速充電制御を行うことで、予定使用開始時刻では蓄電装置に最終目標蓄電量を確実に蓄電させることができる。
従って、発電装置の発電電力を蓄電装置の充電のために有効に活用し且つ商用電力系統の電力を蓄電装置への充電に使用することを極力避けつつ、蓄電装置に対して所望の電力量を蓄えることのできる充電制御装置を提供できる。
【0008】
本発明に係る充電制御装置の別の特徴構成は、前記蓄電装置が次に施設から搬出される予定搬出時刻を記憶する記憶手段を備え、前記目標蓄電量導出手段は、前記予定搬出時刻を前記予定使用開始時刻として決定する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、蓄電装置が次に施設から搬出される予定搬出時刻を上記予定使用開始時刻として、その予定使用開始時刻において蓄電装置に最終目標蓄電量が蓄電された状態にすることができる。
【0010】
本発明に係る充電制御装置の更に別の特徴構成は、前記目標蓄電量導出手段は、前記蓄電装置の最大蓄電量を前記最終目標蓄電量として決定する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、予定使用開始時刻において、蓄電装置に最大蓄電量が蓄電された状態にすることができる。
【0012】
本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、上記充電制御装置と、前記発電装置と、電力消費装置とを備え、前記電力線を介して前記発電装置と前記電力消費装置と前記商用電力系統とが接続されている電力供給システムであって、前記充電制御手段は、所定の運転計画に応じて運転されている前記発電装置の発電電力から前記電力消費装置の消費電力を減算して導出した余剰電力を、前記蓄電装置へ充電するように前記充電回路部の動作を制御する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、充電制御装置が備える目標蓄電量導出手段は、予定使用開始時刻で蓄電装置に最終目標蓄電量が蓄電されるために、その予定開始時刻に至る以前の所定時刻で蓄電装置に蓄電されているべき最低の蓄電量である暫定目標蓄電量との間の関係を導出する。そして、充電制御装置が備える充電制御手段は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量よりも多く蓄電装置に蓄電できているとき、上記通常充電制御を行って、発電装置の発電電力を蓄電装置のために有効に活用しながら充電を継続することができる。また、充電制御装置が備える充電制御手段は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量しか蓄電装置に蓄電できていないとしても、上記急速充電制御を行うことで、予定使用開始時刻では蓄電装置に最終目標蓄電量を蓄電させることができる。
従って、発電装置の発電電力を蓄電装置の充電のために有効に活用し且つ商用電力系統の電力を蓄電装置への充電に使用することを極力避けつつ、蓄電装置に対して所望の電力量を蓄えることのできる電力供給システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照して本発明に係る充電制御装置及びそれを備える電力供給システムについて説明する。
図1は、電力供給システムの構成を示す図である。施設10に設けられる電力供給システムは、充放電制御装置20と、発電装置14と、電力消費装置15とを備える。加えて、本実施形態の電力供給システムは、運転制御装置16と記憶装置17とを備える。
【0016】
蓄電装置2は、移動可能に構成されている。本実施形態では、
図1に示すように、蓄電装置2が車両1に搭載された状態で持ち運びされると共に車両1のエネルギー供給源として機能するように構成されている。例えば、車両1は、その蓄電装置2に蓄えられている電力を用いて、車輪を駆動することや、車両1に搭載されている他の電気部品(図示せず)を動作させることができる。また、車両1は、蓄電装置2と電気的に接続された車両側端子3を備えており、後述するように車両側端子3と施設側端子25とが電気的に接続された状態で、施設10から車両1の蓄電装置2への電力の充電、及び、車両1の蓄電装置2から施設10への電力の放電が行えるように構成されている。
車両1は、電力のみをエネルギー源として車輪を駆動する電気車両及び燃料電池車両や、エンジンの駆動力と電力とを併用して車輪を駆動するハイブリッド車両などである。
【0017】
充放電制御装置20(本発明の「充電制御装置」に対応)は、車両1に搭載されている蓄電装置2が施設10内の電力線12に対して電気的に接続されている状態で、蓄電装置2へ、電力線12に接続されている発電装置14及び商用電力系統11の少なくとも一方から電力線12を介して充電を行う装置である。施設10と車両1の蓄電装置2との電気的な接続には、電力線12の一部を構成する接続ケーブル13が用いられる。詳細には、接続ケーブル13に接続される施設側端子25と、車両1の蓄電装置2に接続される車両側端子3とが連結(即ち、電気的に接続)されると、車両1の蓄電装置2と施設10の電力線12とが電気的に接続されることになる。
【0018】
施設10に設けられる発電装置14は、燃料電池を備える装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などの様々な装置である。施設10に設けられる電力消費装置15は、施設10の照明機器、空調機器、情報機器など、電力を消費して動作する様々な機器である。発電装置14は、電力線12の一部を構成する構内線18に接続されて、その発電電力を構内線18に供給することができる。電力消費装置15は、構内線18(電力線12)に接続されて、構内線18から電力の供給を受けて動作することができる。また、構内線18には外部の商用電力系統11も接続されており、構内線18で不足した電力は商用電力系統11から供給される電力で賄われる。
【0019】
本実施形態では、施設10には、発電装置14で発生された熱の供給を受けてその熱を消費する熱消費装置19も設けている。例えば、発電装置14が燃料電池を有する構成の場合、燃料電池の電池冷却水などから熱を回収することができる。発電装置14がエンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを有する構成の場合、エンジンの冷却水などから熱を回収することができる。熱消費装置19は、例えば給湯装置や床暖房装置や空調装置などの様々な装置であり、加えて、熱を湯水の状態で蓄えることのできる蓄熱装置(貯湯装置)を含んでいてもよい。このような蓄熱装置を備えていれば、予め多量の熱を蓄熱装置に蓄えておき、随時、給湯装置や床暖房装置や空調装置などでその熱を消費することができる。つまり、この場合の発電装置14は、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置となる。
【0020】
発電装置14の運転は運転制御装置16によって制御される。本実施形態では、発電装置14と構内線18との接続部位には電力検出部30が設けられ、電力消費装置15と構内線18との接続部位にも電力検出部31が設けられている。これら電力検出部30、31の検出結果は運転制御装置16に伝達される。
【0021】
運転制御装置16は、発電装置14の運転を制御する。例えば、運転制御装置16は、発電装置14に対して一定出力運転や熱主運転などを行わせることができる。
一定出力運転は、電力消費装置15の消費電力の大きさとは無関係に、発電装置14から予め計画した通りの所定の一定電力を出力させる運転であり、この場合、運転制御装置16は、発電装置14の発電電力を定格の50%、75%、100%など、所定の発電電力を一定して発生するような計画運転を発電装置14に行わせる。
熱主運転は、熱消費装置19で消費される熱を発電装置14から排出される熱によって賄うことを目的とした運転である。例えば、運転制御装置16は、記憶装置17に記憶してある過去の熱消費量データに基づいて、午後8時に入浴や食器洗浄などの熱消費の予定があると判定した場合、午後8時に先立って発電装置14を所定の出力で運転して熱を発生させ、蓄熱装置に必要な熱量を蓄えておく計画運転を発電装置14に行わせる。
【0022】
充放電制御装置20は、充放電回路部21(本発明の「充電回路部」に対応)と、充放電制御手段22(本発明の「充電制御手段」に対応)と、目標蓄電量導出手段23とを備える。加えて、本実施形態では、充放電制御装置20は、充放電制御装置20で取り扱われる情報を記憶する記憶手段24を備える。
【0023】
充放電回路部21は、電力線12への蓄電装置2の接続を仲介すると共に、蓄電装置2への充電を行う回路部である。例えば、充放電回路部21は、半導体スイッチング素子などを用いて構成される電力変換回路を有して構成される。この充放電回路部21は、電力線12の一部である接続ケーブル13、及び、電力線12の別の一部である構内線18に接続される。即ち、充放電回路部21は、接続ケーブル13と構内線18との間の接続を仲介しており、構内線18側から接続ケーブル13側(即ち、車両1の蓄電装置2側)へ向けた電力の供給(蓄電装置2から見ると「充電」)や、接続ケーブル13側から構内線18側へ向けた電力の供給(蓄電装置2から見ると「放電」)を行う。
【0024】
充放電制御手段22は、充放電回路部21の動作を制御する。例えば、充放電回路部21が有する上記半導体スイッチング素子のオン/オフタイミングを制御することで、充放電回路部21の動作を制御する。
【0025】
目標蓄電量導出手段23は、車両1に搭載されている蓄電装置2が施設10内の電力線12に対して電気的に接続されている状態で、所定時刻と、その所定時刻で蓄電装置2に蓄電されているべき最低の蓄電量である暫定目標蓄電量との間の関係を導出する。この導出結果は充放電制御手段22に伝達され、充放電制御手段22が行う充放電回路部21の動作制御に利用される。具体的には、目標蓄電量導出手段23は、蓄電装置2に蓄電されている電力が、蓄電装置2が電力線12から電気的に切断される状態で車両1で使用開始される予定の時刻である予定使用開始時刻と、当該予定使用開始時刻で蓄電装置2に蓄電されているべき最終目標蓄電量と、蓄電装置2へ充電を行うときの最大充電速度とに基づいて、予定使用開始時刻に至る以前の所定時刻と、予定使用開始時刻で蓄電装置2に最終目標蓄電量が蓄電されるために所定時刻で蓄電装置2に蓄電されているべき最低の蓄電量である暫定目標蓄電量との間の関係を導出する。以下、この関係を単に「関係」と記載することもある。
【0026】
予定使用開始時刻は、車両1の使用者が入力した時刻、又は、過去の情報に基づいて予測した時刻である。
例えば、車両1の使用者が、施設10に設置されている情報入力装置(図示せず)を用いて、車両1が次に施設10から出発する予定の時刻(即ち、蓄電装置2が次に施設10から搬出される予定搬出時刻)を入力すると、その時刻が運転制御装置16に伝達されると共に、充放電制御装置20にも伝達される。そして、充放電制御装置20の記憶手段24に記憶されることで、目標蓄電量導出手段23は、車両1が次に施設10から出発する予定の時刻(予定使用開始時刻)を知ることができる。他には、充放電制御手段22が、過去の使用開始時刻(例えば、施設側端子25と車両側端子3とが電気的に切断された時刻など)に関する情報を記憶手段24に記憶させておき、その情報に基づいて、車両1が次に施設10から出発する予定の時刻を予定使用開始時刻として導出し、記憶手段24に記憶させておく。その結果、目標蓄電量導出手段23は、車両1が次に施設10から出発する予定の時刻(予定使用開始時刻)を知ることができる。尚、この予測時刻の導出を運転制御装置16が行い、その都度、充放電制御装置20に伝達するように構成してもよい。
【0027】
図2は、目標蓄電量導出手段23が導出する、所定時刻と、その所定時刻で蓄電装置2に蓄電されているべき最低の蓄電量である暫定目標蓄電量との間の関係を示すグラフ例である。つまり、目標蓄電量導出手段23が導出する、所定時刻での暫定目標蓄電量は、その所定時刻において蓄電装置2に暫定目標蓄電量しか蓄えられていなかったとしても、その所定時刻以後に最大充電速度で蓄電装置への充電を行えば予定使用開始時刻に蓄電装置2へ最終目標蓄電量を蓄えることができる蓄電量を示している。従って、
図2の暫定目標蓄電量の傾きは、上記最大充電速度となる。
【0028】
車両1の使用者が施設10に帰還して、施設側端子25を車両側端子3と連結すると、例えば、接続ケーブル13に接続されている充放電回路部21の内部の回路部分の電圧が上昇するなどの理由により、充放電回路部21に蓄電装置2が接続されたことが検知され、その検知結果が充放電制御手段22に伝達される。そして、充放電制御手段22は、施設側端子25と車両側端子3とが連結されたことを、目標蓄電量導出手段23に伝達する。また、車両1の蓄電装置2の蓄電量に関する情報は、例えば、接続ケーブル13に併設される他の通信線(図示せず)などを介して、車両1から充放電制御装置20へと伝達され、記憶手段24に記憶される。
【0029】
記憶手段24は、予定使用開始時刻に関する情報と、最終目標蓄電量に関する情報と、蓄電装置2へ充電を行うときの最大充電速度に関する情報を記憶している。その結果、目標蓄電量導出手段23は、
図2に示す暫定目標蓄電量を導出できる。この暫定目標蓄電量は、予定使用開始時刻の時点で蓄電装置2に最終目標蓄電量が蓄電されているように、最大充電速度で充電を行ったときの蓄電量の時刻領域での変化に対応する。つまり、時刻t1において蓄電量が零であっても、最大充電速度で充電を行えば、予定使用開始時刻の時点で蓄電装置2に最終目標蓄電量が蓄電されることを表している。同様に、時刻t2において蓄電量がPであっても、最大充電速度で充電を行えば、予定使用開始時刻の時点で蓄電装置2に最終目標蓄電量が蓄電されることを表している。
逆に、時刻t2において蓄電量がP未満であれば、その後に最大充電速度で充電を行ったとしても、予定使用開始時刻の時点で蓄電装置2に最終目標蓄電量が蓄電されることはない。
【0030】
従って、充放電制御手段22は、蓄電装置2の蓄電量が、暫定目標蓄電量の値を下回らないように充電を行う必要がある。具体的には、充放電制御手段22は、特定の時刻における蓄電装置2の蓄電量が先に説明した上記「関係」に従って導出される暫定目標蓄電量より多いとき、発電装置14の発電電力を用いて蓄電装置2へ充電されるように充放電回路部21の動作を制御する通常充電制御を行い、特定の時刻における蓄電装置2の蓄電量が上記「関係」に従って導出される暫定目標蓄電量以下のとき、発電装置14及び商用電力系統11のうちの少なくとも商用電力系統11から受電した電力を用いて蓄電装置2へ最大充電速度で充電されるように充放電回路部21の動作を制御する急速充電制御を行う。
【0031】
以上のように、充放電制御手段22は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量よりも多く蓄電装置2に蓄電できているとき、上記通常充電制御を行って、発電装置14の発電電力を蓄電装置2のために有効に活用しながら充電を継続することができる。また、充放電制御手段22は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量しか蓄電装置2に蓄電できていないとしても、上記急速充電制御を行うことで、予定使用開始時刻では蓄電装置2に最終目標蓄電量を蓄電させることができる。
【0032】
次に、充放電制御手段22による通常充電制御及び急速充電制御の具体例について説明する。
図3は、蓄電装置2の蓄電量の時間的変化を例示するグラフである。
図3においても、一点鎖線で示す暫定目標蓄電量は、時刻t1において蓄電量が零であっても、最大充電速度で充電を行えば、予定使用開始時刻の時点で蓄電装置2に最終目標蓄電量が蓄電されることを表している。最終目標蓄電量は、蓄電装置2の最大蓄電量:SOC(State of Charge)=100%の場合を例示している。
【0033】
図3に示す例では、蓄電装置2の蓄電量(SOC)が30%の状態で車両1が施設10に帰還し、蓄電装置2への充電が開始され、その後、時刻t3に到達した時点で暫定目標蓄電量に到達する場合の蓄電装置2の蓄電量変化の一例を示している。
【0034】
この例では、時刻t3に至るまでの間は、充放電制御手段22は、特定の時刻における蓄電装置2の蓄電量が暫定目標蓄電量より多いため、発電装置14の発電電力を用いて蓄電装置2へ充電されるように充放電回路部21の動作を制御する通常充電制御を行う。具体的には、運転制御装置16は、発電装置14に対して上述したような計画運転を行わせており、そのときの発電装置14の余剰電力(=〔発電装置14の発電電力〕−〔電力消費装置15の消費電力〕)を用いて蓄電装置2への充電を行っている。運転制御装置16は、電力検出部30において発電装置14の発電電力を検出し、電力検出部31において電力消費装置15の消費電力を検出しているため、常時、発電装置14の余剰電力を導出できる。そして、運転制御装置16は、導出した発電装置14の余剰電力を充放電制御装置20に伝達する。その結果、充放電制御装置20の充放電制御手段22は、発電装置14の余剰電力が車両1の蓄電装置2へ充電されるように充放電回路部21の動作を制御する。充放電制御手段22がこのような充電制御(通常充電制御)を行うことで、
図3に示したように、蓄電装置2の蓄電量は徐々に増大する。尚、発電装置14の余剰電力が零の場合には、充放電制御手段22は、蓄電装置2への充電を行わない。
【0035】
時刻t3では、蓄電装置2の蓄電量が暫定目標蓄電量に等しくなっているため、その後に最大充電速度で充電を行わなければ、予定使用開始時刻の時点で蓄電装置2に最終目標蓄電量を蓄電することができない。そこで、充放電制御手段22は、時刻t3以後は、発電装置14及び商用電力系統11のうちの少なくとも商用電力系統11から受電した電力を用いて蓄電装置2へ最大充電速度で充電されるように充放電回路部21の動作を制御する急速充電制御を行う。
【0036】
以上のように、充放電制御手段22は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量よりも多く蓄電装置2に蓄電できているときは、上記通常充電制御を行って、発電装置14の発電電力を蓄電装置2のために有効に活用しながら充電を継続する。また、充放電制御手段22は、特定の時刻で、その時刻における暫定目標蓄電量しか蓄電装置2に蓄電できていないとしても、上記急速充電制御を行うことで、予定使用開始時刻では蓄電装置2に最終目標蓄電量を蓄電させる。従って、蓄電装置2に対して所望の電力量を蓄えつつ、商用電力系統11の電力を蓄電装置2への充電に使用することを極力避けることができる充放電制御装置20を提供できる。
【0037】
<別実施形態>
上記実施形態では、電力供給システムや充放電制御装置20の構成例や動作例などについて説明したが、それらは上述した例に限定されず、適宜変更可能である。
例えば、充放電制御手段22が、通常充電制御において、発電装置14の発電電力のうちの余剰電力を蓄電装置2に充電させる例を説明したが、発電装置14の発電電力の全てを蓄電装置2に充電させるような変更を行ってもよい。例えば、充放電制御手段22が、電力検出部30で検出される発電装置14の発電電力の全てが蓄電装置2に充電されるように充放電回路部21の動作を制御してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、蓄電装置2に蓄電されている電力が、蓄電装置2が電力線から電気的に切断される状態で車両1で使用開始される予定の時刻である予定使用開始時刻の例として、車両1が次に施設10から出発する予定出発時刻を挙げたが、他の時刻を予定使用開始時刻としてもよい。例えば、蓄電装置2を接続ケーブル13から切断した状態で、車両1を点検・整備などする予定の時刻を予定使用開始時刻としてもよい。
【0039】
上記実施形態では、
図2及び
図3において暫定目標蓄電量の例を示したが、この暫定目標蓄電量の傾きを決定する最大充電速度の大きさは、適宜設定可能である。
【0040】
上記実施形態では、施設10に熱消費装置19が設けられ、熱電併給装置としての発電装置14からその熱消費装置19に熱を供給する例について説明したが、発電装置14が、その排熱利用が行われない発電専用の装置であってもよい。
【0041】
上記実施形態では、蓄電装置2が車両1に搭載された状態で移動可能に構成されている例を説明したが、蓄電装置2がそれ単体で設置されて人によって持ち運びされるような可搬型の蓄電装置として構成されてもよい。
蓄電装置2が、可搬型の蓄電装置として構成される場合、その可搬型の蓄電装置2は、単体で設置されている場合や、何らかの電気機器に対して取り外し可能な状態で付属して設置されている場合などがある。そして、蓄電装置2を台車などの移動体に搭載して或いはそのような移動体に搭載せずに人間が移動させることができる。この場合、使用者が蓄電装置2を上記電力線12に接続すると、蓄電装置2から電力線12への電力供給(放電)や、蓄電装置2への電力の供給(充電)などを行うことができる。そして、蓄電装置2を施設10の外部へ搬出して、様々な電気機器にとっての電源として利用することができる。この場合、蓄電装置2の使用者が次に施設10から蓄電装置2を搬出する予定の時刻が上記予定搬出時刻となる。