特許第6404560号(P6404560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404560
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】光ビーコンの車両感知用光変調回路
(51)【国際特許分類】
   G01S 1/70 20060101AFI20181001BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20181001BHJP
   G01S 7/484 20060101ALN20181001BHJP
【FI】
   G01S1/70
   G08G1/09 F
   !G01S7/484
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-220401(P2013-220401)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-81860(P2015-81860A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】二見 雅文
(72)【発明者】
【氏名】松田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】澤井 遼平
【審査官】 安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−213662(JP,A)
【文献】 特開2006−269932(JP,A)
【文献】 特開2010−050460(JP,A)
【文献】 特開2004−241992(JP,A)
【文献】 特開2004−106763(JP,A)
【文献】 特開2011−100837(JP,A)
【文献】 特開2012−094457(JP,A)
【文献】 実開昭58−013698(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/085800(WO,A1)
【文献】 特開2006−103566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/70,
G01S 3/78 − 3/789,
G01S 5/16,
G01S 7/48 − 7/51,
G01S 17/00 − 17/95,
H04B 10/00 − 10/90,
H04J 14/00 − 14/08,
G08G 1/00 − 99/00,
H01L 33/00 − 33/46,
H05B 37/00 − 39/10,
H03K 17/74 − 17/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知用赤外線及び通信用赤外線の一部が車両の通過する位置で重複するように発光される光ビーコンの感知用赤外線の変調回路であって、
感知用赤外線の変調が通信用赤外線に干渉しないように
前記感知用赤外線が順方向に接続された複数のLEDからなるLED群から発光され、
前記LED群への通電を制御する制御素子が抵抗Rsを介して電源に接続された前記LED群に直列に接続され、
前記LED群に並列に前記パルス波形の立ち上がりを緩やかにするンデンサC1が接続され、
前記制御素子に並列に前記パルス波形の立ち下がりを緩やかにするンデンサC2が接続されることを特徴とする感知用赤外線の変調回路。
【請求項2】
前記Rsと前記C1及び前記C2で決まる時定数をT1=Rs*C1及びT2=Rs*C2として定め、前記T1がT1>1.36ms及び前記T2がT2>0.068msにされる事を特徴とする請求項に記載の感知用赤外線の変調回路。
【請求項3】
前記感知用赤外線がデジタル信号で変調され、そのクロック周波数が前記通信用赤外線を変調するクロック周波数の1/8000以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感知用赤外線の変調回路。
【請求項4】
請求項1乃至何れかに記載された感知用赤外線の変調回路を用いたことを特徴とする光ビーコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ビーコンの車両感知用光変調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
道路を走行する車両にとって、渋滞や交通規制などの情報は非常に重要である。そこで、VICS(登録商標)センターで編集、処理された渋滞や交通規制などの道路交通情報を車両に送信し、車載機において文字・図形で表示する情報通信システムが実用化されている。この道路交通情報を車両に送信する手段の一つとして、光ビーコンが用いられている。
【0003】
光ビーコンは、新交通管理システム(UTMS)を実現するための主要機材で、狭い道路に最適な路車間システムの構築が可能、小型で設置や取扱いが容易、電波法上の免許が不要、設置費用が安価、などの特徴を有する。
【0004】
光ビーコンは、高所から道路に向けて指向性が非常に高い近赤外線を発光する。また車両からの反射光及び送信光を受光することで走行車両を検出する車両感知機能及び走行車両の車載装置との双方向通信機能を併せ持つ装置である。
【0005】
光ビーコンの車両感知部は、時速120kmまでの走行車両の存在検出を行うことができる様な車両感知用の発光・受光部を有している。光ビーコンからの赤外線は道路上で車両の走行方向に向けて、通信用と感知用に光の領域が分かれているが、近年、通信用赤外線の領域が車両の進行方向に向けて拡大された。そのため、感知用赤外線と重複する領域が増えた事に依り車両に搭載された車載器での感知光による通信光への通信障害が問題になってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−213662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、走行車両を対象とした通信用赤外線と感知用赤外線を同時に受光する際の感知用赤外線による通信用赤外線への通信妨害を無くす検討が必要になる。
【0008】
そこで、発明者らは感知用赤外線の変調回路について研究開発を行った。その結果、簡便な構成で通信用赤外線と感知用赤外線を同時に受光する際の感知用赤外線による通信用赤外線への妨害の無い感知用赤外線の変調回路の発明の完成に至ったものである。
【0009】
本発明は、通信用赤外線と感知用赤外線を同時に受光する際の感知用赤外線による通信用赤外線への妨害の無い感知用赤外線の変調回路及びこれを用いた光ビーコンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された発明は、感知用赤外線及び通信用赤外線の一部が車両の通過する位置で重複するように発光される光ビーコンの感知用赤外線の変調回路であって、
感知用赤外線の変調が通信用赤外線に干渉しないように前記感知用赤外線が順方向に接続された複数のLEDからなるLED群から発光され、前記LED群への通電を制御する制御素子が抵抗Rsを介して電源に接続された前記LED群に直列に接続され、前記LED群に並列に前記パルス波形の立ち上がりを緩やかにするンデンサC1が接続され、前記制御素子に並列に前記パルス波形の立ち下がりを緩やかにするンデンサC2が接続されることを特徴とする感知用赤外線の変調回路である。
【0011】
本発明においては、感知用赤外線の変調回路が、光ビーコンの感知用赤外線及び通信用赤外線が前記車両の通過する位置で重複する状態で、感知用赤外線の変調内容が、通信用赤外線による通信を妨害しないように構成される改良型となる。光ビーコンの感知用赤外線及び通信用赤外線が前記車両の通過する位置で重複する状態で、光ビーコンからの光を受光すると感知用赤外線と通信用赤外線が同時に受信されるので、通信用赤外線の受光部でこの両者を分離できるように感知用赤外線を変調する必要がある。分離には、赤外光の波長による分離の他に、電気的には周波数分離、時間分離、符号分離及びこれらの組合せが有る。分離方法の選択は、車両に搭載される車載器の仕様により決まってくる。LED群と並列にコンデンサC1が接続され、制御素子と並列にコンデンサC2が接続される。各コンデンサは電源との間に直列に接続される負荷抵抗Rsを介して充電され、その端子電圧が変化する。コンデンサC1は制御素子の通電後にLED群の電圧上昇を抑えるので立ち上がり時間の制御を目的とする。また、コンデンサC2は制御素子と並列に接続されており、制御素子が通電するON状態では端子間電圧は低くなっているが、制御素子が開放されるOFF状態になるとコンデンサC2を充電する電流が流れるので制御素子がOFF状態になっても回路が直ぐにはOFF状態にならない。したがって、コンデンサC2によって立ち下がり時間の制御をすることができる。
【0014】
請求項に記載された発明は、前記Rsと前記C1及び前記C2で決まる時定数をT1=Rs*C1及びT2=Rs*C2として定め、前記T1がT1>1.36ms及び前記T2がT2>0.068msにされる事を特徴とする感知用赤外線の変調回路である。
【0015】
直列抵抗Rsと並列コンデンサで決まる時定数を、T1=Rs*C1及びT2=Rs*C2となり、それぞれ、T1>1.36ms、T2>0.068msにとることで、通信用赤外線による通信のフレームエラーを実用上差支えない値にすることができる。
【0016】
請求項に記載された発明は、前記感知用赤外線がデジタル信号で変調され、そのクロック周波数が前記通信用赤外線を変調するクロック周波数の1/8000以下であることを特徴とする感知用赤外線の変調回路である。
【0017】
通信用赤外線は搬送波やクロック周波数を主周波数として変調されている。その周波数スペクトラムは主周波数を中心に低域側及び広域側に広がっている。感知用赤外線を変調するクロック周波数が前記通信用赤外線を変調する主周波数の1/8000以下に取られることで感知用赤外線の変調が通信用赤外線の通信を妨害する可能性の低下が図れる。
【0018】
請求項に記載された発明は、請求項1乃至何れかに記載された感知用赤外線の変調回路を用いたことを特徴とする光ビーコンである
【0019】
請求項1乃至4何れかに記載された感知用赤外線の変調回路は、通信用赤外線による通信を妨害することが無いので、これを用いた光ビーコンは光ビーコンの感知用赤外線及び通信用赤外線が前記車両の通過する位置で重複する状態で通信が安定に行える。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載された発明は、高所に置かれ感知用赤外線及び通信用赤外線を発光して下方に位置する車両の感知及び該車両との通信を行う光ビーコンの、感知用赤外線の変調回路において、前記感知用赤外線及び前記通信用赤外線の一部が前記車両の通過する位置で重複するように発光され、前記感知用赤外線及び前記通信用赤外線が同時に受光された際に前記感知用赤外線が前記通信用赤外線による通信を妨害しないように変調する感知用赤外線の変調回路であって、前記感知用赤外線が順方向に接続された複数のLEDからなるLED群から発光され、前記LED群への通電を制御する制御素子が、抵抗Rsを介して電源に接続された前記LED群に直列に接続され、前記LED群及び前記制御素子それぞれ並列にコンデンサC1及びC2が接続されることから、感知光のパルス波形の立ち上がりと立下りを独立して制御することができ、車載器と光ビーコンの間の通信の感知光による妨害の減少を図れる。
【0022】
請求項に記載された発明は、感知用赤外線が順方向に接続された複数のLEDからなるLED群から発光され、前記LED群への通電を制御する制御素子が抵抗Rsを介して電源に接続された前記LED群に直列に接続され、前記LED群に並列に前記パルス波形の立ち上がりを緩やかにするコンデンサC1が接続され、前記制御素子に並列に前記パルス波形の立ち下がりを緩やかにするコンデンサC2が接続される感知用赤外線の変調回路において前記Rsと前記C1及びC2で決まる時定数がT1=Rs*C1及びT2=Rs*C2として定められ、それぞれ所定の値、例えば、T1>1.36ms、T2>0.068msである感知用赤外線の変調回路であることから、変調回路のコンデンサや抵抗の値を決めやすくなり、上記の値を実現することで、車載器と光ビーコンの間の通信が感知光によって妨害の減少を図れる。
【0023】
請求項に記載された発明は、前記感知用赤外線がデジタル信号で変調され、そのクロック周波数が前記通信用赤外線を変調するクロック周波数の1/8000以下である請求項1乃至3何れかに記載の感知用赤外線の変調回路であることから、感知光と通信光の変調周波数が大きく異なることで、車載器と光ビーコンの間の通信が感知光によって妨害の減少を図れる。
【0024】
請求項に記載された発明は、請求項1乃至何れかに記載された感知用赤外線の変調回路を用いた光ビーコンであることから、車載器と光ビーコンの間の通信の感知光による妨害の減少を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に掛かるLED変調回路の実施例である。
図2】光ビーコンの電気系の構成図である。
図3】光ビーコンから発光されるA:感知用赤外線及びB:通信用赤外線の分布を示す図である。
図4】通信用赤外線に含まれる信号の周波数スペクトラムである。
図5】感知用赤外線の変調波形で従来型(A)、改良型(B)である。
図6】感知用赤外線の変調波形及びその周波数スペクトラムで、コンデンサ無し(A)、コンデンサ有り(B)である。
図7】感知用赤外線の変調波形及びその周波数スペクトラムで、従来型(A)、改良型(B)である。
図8】通信用赤外線と感知用赤外線の変調波形及びその周波数スペクトラムで、従来型(A)、改良型(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明で用いられるLED変調回路の説明図である。電圧Vの電源に接続される負荷抵抗RsにLED群2と制御素子4が接続される。LED群2には立ち上がりコンデンサC1が並列に接続される。また、制御素子4には立ち下がりコンデンサC2が並列に接続される。
【0027】
図2は光ビーコンの電気系10の構成図である。光ビーコンはこの電気系を筐体へ納め通行車両を見下ろす高所へ設置される。電気系10は大きく通信部と感知部に分かれる。
【0028】
通信部のダウンリンクは走行車両へ向けてLEDなどにより発光する通信発光部11とこれを駆動する通信発光ドライブ部12が通信インタフェース部13へ接続される。通信部のアップリンクは受光器からの出力を電気信号へ変換する通信受光部14とこの電気信号を増幅する通信受光増幅部15が通信インタフェース部13へ接続される。
【0029】
光ビーコンの感知光は、走行車両に向けて発光するダウンライトと走行車両や道路からの反射光を受光するアップライトで構成される。ダウンライトとして発光する感知発光部16とこれを駆動する感知発光ドライブ部及び発光波形を鈍らせる遅延回路部17が感知発光制御部19から制御されて作動する。感知発光制御部は感知光のデューティ比などの変調波形及び繰り返し周波数等を制御する。感知光は、反射光の存在を知ることが目的なので単一周波数で変調することが好ましい。
【0030】
図3は光ビーコン30からA:感知用赤外線31とB:通信用赤外線32が高所から道路へ向けて発光する領域を示している。感知用赤外光はダウンライトとなり、通信用赤外光はダウンリンクとなる。道路上で、A:感知用赤外線31とB:通信用赤外線32とが重複するC:領域33が存在する。ここで走行車両に搭載された車載器が受光すると、A:感知用赤外線31とB:通信用赤外線32の両方を同時に受光することになる。受光された光は電気信号に変換されるがそこには感知用赤外光と通信用赤外光に含まれる信号が重複しているので感知用赤外光の信号が通信用赤外光での通信に与える影響が問題となる。
【0031】
図4は、通信用赤外光に含まれる信号の周波数スペクトラムである。約1MHZのクロックで駆動されるランダム符号が入力されたマンチェスター信号についてのスペクトラムである。クロック周波数が主周波数となりその倍数にピークが見られる。奇数次のピークが大きいことが分かる。またピークの両側にランダム符号に伴う側帯波が観測される。時間波形を形成するパワーは1次、3次、5次と奇数次の高調波成分で、その殆どが最初の1MHZのピークの近傍の周波数成分によるものである。1次の成分の低周波側には0Hz付近までそのパワーが存在している。感知光のスペクトラムは0Hz付近の低域に存在するので、低域での感知光と通信光の干渉が問題になる。
【0032】
感知用赤外光の変調が通信用赤外光に干渉しないためには、感知用赤外光の変調周波数を下げることと、変調波形を鈍らせることがポイントになる。図5(A)に従来型の感知用赤外光の変調波形を示す。変調はパルス変調で繰り返し周期は1.6msであり、パルス波形の経ち上がりと立ち下がりはかなり急峻である。この急峻な波形を改良した波形を図5(B)に示す。繰り返しの周期が7ms以下になるとフレームエラーが観測されるので、今回、繰り返しの周期は8.0msとして、同時にパルス波形の立ち上がり及び立ち下がりを緩やかにしている。
【0033】
図6に、パルス波形を鈍らせたことによる周波数スペクトラムの変化を示す。図6(A)上段は従来型のパルス波形で下段にその周波数スペクトラムを示す。図6(B)上段は改良型のパルス波形で下段にその周波数スペクトラムを示す。改良により5KHz以上のスペクトラムが抑えられていることが分る。
【0034】
図7にパルス波形及び繰り返し周波数を変えた場合の比較を示す。図7(A)上段は従来型の波形で、下段はその周波数スペクトラムである。大きな周波数成分が5KHzを超えて存在している。図7(B)上段は改良型の波形で、下段はその周波数スペクトラムである。繰り返し周波数の低下と波形を鈍らせたことによりそのスペクトラムは3KHz以下に抑えられている。
【0035】
図8に信号光と感知光が重複して受信される場合の様子を示す。図8(A)上段は従来型の波形に通信用赤外光の信号が重複した図で、下段はその周波数スペクトラムである。
画面の横軸中央付近のピークは通信用信号の低域のスペクトラムで感知光のスペクトラムと干渉している様子が見える。
【0036】
図8(B)は上段は繰り返し周波数の低下と波形を鈍らせた改良型の波形に通信用赤外光の信号が重複した図で、下段はその周波数スペクトラムである。画面の横軸中央付近のピークは通信用信号の低域のスペクトラムで感知光のスペクトラムと干渉していない様子が分る。
【0037】
今回の改良のポイントは感知用赤外光の変調波形の立ち上がりと立ち下がりを独立して制御して通信用の赤外光の信号との干渉防止した点にある。立ち上がり制御用コンデンサC1と立ち下がり用コンデンサC2を変えて通信への妨害の様子を調べた結果を次表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
負荷抵抗Rsを68Ωにした実験によれば、立ち上がりコンデンサを20μF以下にするとフレームエラーが急増する。また、立ち上がりコンデンサ25μFのときに立ち下がりコンデンサC2を1μF以上にすることでフレームエラーを実用上差支えない値にすることが出来た。これのことから、コンデンサの値の推奨値としてC1を20μF以上、C2を1μF以上にすることが好ましい。この値は、抵抗RsとコンデンサC1及びC2で決まる時定数として、T1=Rs*C1及びT2=Rs*C2となり、それぞれ、T1>1.36ms、T2>0.068msが好ましい。
【0040】
上述の感知用赤外線の変調回路を有する光ビーコンを構成することができる。具体的には図2の光ビーコンの電気系のダウンライトを発生する部分に図1の回路などを用いて感知用赤外光の変調を所定の繰り返し周波数で行い、その波形を所定の形にすることで、通信用赤外光と重複する領域でも、通信に妨害を与えることが無い光ビーコンを提供することができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更は追加があっても本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 負荷抵抗Rs
2 LED群
3 立ち上がりコンデンサC1
4 制御素子(FET)
5 立ち下がりコンデンサC2
10 光ビーコンの電気系
11 通信発光部
12 通信発光ドライブ部
13 通信インタフェース部
14 通信受光部
15 通信受光増幅部
16 感知発光部
17 遅延回路部
18 感知発光ドライブ部
19 感知発光制御部
20 感知受光部
21 感知受光増幅部
22 感知レベル信号インタフェース部
30 光ビーコン
31 A:感知用赤外線(ダウンライト)
32 B:通信用赤外線(ダウンリンク)
33 C:AとBが重なる領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8