(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の導電型を有する棒状の半導体コアと、前記半導体コアの中心軸線周りに配置され、前記半導体コアの側面に接して形成される発光層と、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有し、前記中心軸線周りに配置され、前記発光層に接して形成される半導体層とを備え、前記側面が非極性面であり、前記半導体コアの軸方向両端面が前記発光層から露出した発光素子の製造方法であって、
極性面を主面とする基板上に、前記主面の法線方向に延びる棒状の半導体コアを形成する工程と、
前記半導体コアの中心軸線周りに位置する側面を覆う発光層を形成する工程とを備え、
前記半導体コアを形成する工程及び前記発光層を形成する工程では、前記半導体コアの軸方向端面をマスクで覆う、製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態による発光素子は、半導体コアと、発光層と、半導体層とを備える。半導体コアは、棒状であり、第1の導電型を有する。発光層は、半導体コアの中心軸線周りに配置され、半導体コアの側面に接して形成される。半導体層は、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有し、中心軸線周りに配置され、発光層に接して形成される。上記側面は、非極性面である。半導体コアの軸方向両端面は、露出している。
【0011】
上記発光素子においては、非極性面だけに発光層が形成される。そのため、単一波長の光を発することができる。
【0012】
上記発光素子の製造方法は、以下の工程を備える。
(1)極性面であるc面を主面とする基板上に、主面の法線方向に延びる棒状の半導体コアを形成する工程
(2)半導体コアの中心軸線周りに位置する側面を覆う発光層を形成する工程
ここで、上記(1)及び(2)の工程では、半導体コアの軸方向端面をマスクで覆う。
【0013】
上記製造方法によれば、発光層を形成するときに、半導体コアの軸方向一方の端面がマスクで覆われる。また、半導体コアの軸方向他方の端面は、基板に接している。そのため、マスクを除去し、且つ、半導体コアを基板から分離すれば、半導体コアの軸方向両端面が露出している、つまり、半導体コアの軸方向両端面が発光層で覆われていない発光素子を得ることができる。
【0014】
本発明の実施の形態による発光装置は、上記発光素子を複数備える。発光装置は、ベース基板をさらに備える。ベース基板は、絶縁性基板と、第1電極と、第2電極とを含む。第1電極は、絶縁性基板の主面上に配置される。第2電極は、上記主面上に配置され、第1電極に印加される電圧とは異なる電圧が印加されることにより、第1電極とともに、複数の発光素子を所定の位置に配置する。上記主面の法線方向から見て、各発光素子の軸方向一端部が第1電極に重なり、各発光素子の軸方向他端部が第2電極に重なる。
【0015】
上記発光装置においては、静電力により、複数の発光素子を所定の位置に配置できる。
【0016】
上記発光装置において、好ましくは、ベース基板が絶縁膜をさらに含む。絶縁膜は、上記主面上に形成され、第1電極及び第2電極を覆う。
【0017】
この場合、複数の発光素子を配置するときに用いる液体、つまり、複数の発光素子を含み、且つ、ベース基板を覆う液体を通じて、第1電極と第2電極との間に大きな電流が流れるのを回避できる。その結果、第1電極と第2電極との間に所望の電位差を形成することが容易になる。
【0018】
上記発光装置の製造方法は、以下の工程を含む。
(a)複数の発光素子を含む液体により、ベース基板を覆う工程
(b)第1電極及び第2電極に異なる電圧を印加し、複数の発光素子を所定の位置に配置する工程
【0019】
上記製造方法によれば、静電力により、複数の発光素子を所定の位置に配置できる。
【0020】
以下、本発明のより具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
[発光素子]
図1〜
図6を参照しながら、本発明の実施の形態による発光装置100について説明する。
図1は、発光装置100を示す断面図であって、
図2及び
図3におけるI−I方向の断面図ある。
図2は、
図1におけるII−II方向の断面図である。
図3は、
図1におけるIII−III方向の断面図である。
図4は、発光装置100が備える複数の発光素子10の配置を示す平面図である。
図5は、発光素子10を示す断面図であって、
図6におけるV−V方向の断面図である。
図6は、
図5におけるVI−VI方向の断面図である。
【0022】
発光装置100は、
図1〜
図4に示すように、複数の発光素子10と、ベース基板20と、透明導電膜30と、保護膜40と、第1配線50と、第2配線60とを備える。
【0023】
発光素子10は、
図5及び
図6に示すように、半導体コア12と、発光層14と、半導体層16とを備える。以下、
図5及び
図6を参照しながら、発光素子10について説明する。
【0024】
[半導体コア]
半導体コア12は、n型のGaNからなる。つまり、半導体コア12は、n層として機能する。
【0025】
半導体コア12は、棒状である。半導体コア12では、中心軸線CLに垂直な方向の断面が六角形である。つまり、半導体コア12は、六角柱形状を有する。半導体コア12の中心軸線CLに垂直な断面において、最も長い対角線の長さは、例えば、100nm〜5μmである。
【0026】
半導体コア12は、6つの側面12Aと、2つの軸方向端面(以下、単に端面と称する)12Bとを備える。
【0027】
6つの側面12Aは、中心軸線CLの周囲に形成される。各側面12Aは、中心軸線CLに対して平行である。6つの側面12Aのうち、中心軸線CLを挟んで対向する2つの側面12Aは、互いに平行である。各側面12Aの幅は、例えば、50nm〜2.5μmである。
【0028】
各側面12Aは、非極性面である。本実施形態では、各側面12Aは、m面である。
【0029】
ここで、m面の面方位は、{−1100}である。{−1100}は、(−1100)及び(−1100)に等価な面方位を示す。等価な面方位は、(−1010)、(01−10)、(0−110)、(10−10)及び(1−100)である。
【0030】
なお、各側面12Aは、a面であってもよい。ここで、a面の面方位は、{−1120}である。{−1120}は、(−1120)及び(−1120)に等価な面方位を示す。等価な面方位は、(−1210)、(21−10)、(2−110)、(12−10)及び(−1210)である。
【0031】
2つの端面12Bは、中心軸線CLが延びる方向に離れて配置される。各端面12Bは、中心軸線CLに対して垂直な方向に広がる。つまり、各端面12Bは、極性面(c面)である。2つの端面12Bは、互いに平行である。2つの端面12Bの離隔距離、つまり、半導体コア12の軸方向長さは、例えば、1〜100μmである。
【0032】
[発光層]
発光層14は、中心軸線CL周りで全周に亘って形成される。発光層14は、各側面12Aに接する。つまり、発光層14は、非極性面(本実施形態では、m面)を成長面として形成される。
【0033】
発光層14は、端面12Bに形成されていない。つまり、発光素子10では、端面12Bが発光層14で覆われていない。
【0034】
発光層14は、InGaNからなる。発光層14は、量子井戸層として機能する。なお、発光層14は、障壁層と量子井戸層とが交互に形成された多重量子井戸構造であってもよい。障壁層は、例えば、GaNである。量子井戸層は、例えば、InGaNである。In及びGaの組成比は、目的とする光の波長に応じて、適宜、設定される。
【0035】
発光層14は、中心軸線CLが延びる方向で全長に亘って略一定の厚みを有する。つまり、側面12Aと、中心軸線CLに垂直な方向から見て当該側面12Aに重なる、発光層14の表面とは、平行である。単一の量子井戸層の場合、発光層14の厚みは、例えば、1〜40nmである。多重量子井戸層の場合、発光層14の厚みは、積層数に比例して厚くなる。例えば、量子井戸層の厚みが1〜40nmであって、且つ、障壁層の厚みが1〜40nmである場合、5層積層すると、発光層14の厚みは、10〜400nmである。
【0036】
[半導体層]
半導体層16は、第1半導体層16A及び第2半導体層16Bを含む。
【0037】
第1半導体層16Aは、p型のAlGaNからなる。第1半導体層16Aは、中心軸線CL周りで全周に亘って形成される。第1半導体層16Aは、発光層14に接する。第1半導体層16Aの厚みは、例えば、5〜100nmである。
【0038】
第2半導体層16Bは、p型のGaNからなる。第2半導体層16Bは、中心軸線CL周りで全周に亘って形成される。第2半導体層16Bは、第1半導体層16Aに接する。第2半導体層16Bの厚みは、例えば、10〜400nmである。
【0039】
第1半導体層16Aは、電子ブロック層として機能する。第1半導体層16A及び第2半導体層16Bは、p層として機能する。
【0040】
[透明導電膜]
このような発光素子10の周囲には、
図3に示すように、透明導電膜30が配置される。透明導電膜30は、インジウム酸化錫(ITO)からなる。透明導電膜30は、中心軸線CL周りで全周に亘って形成される。透明導電膜30は、第2半導体層16Bに接する。透明導電膜30の厚みは、例えば、5〜100nmである。
【0041】
発光装置100は、このようにして側面が透明導電膜30で覆われた発光素子10を複数備える。なお、以下の説明では、側面が透明導電膜30で覆われた発光素子10を、単に、発光素子10と称することがある。
【0042】
複数の発光素子10は、ベース基板20上に配置される。
図4に示す例では、複数の発光素子10は、3つの領域に分かれて配置される。理解を容易にするため、
図4に示す例では、1つの領域に9つの発光素子10が配置されているが、1つの領域に配置される発光素子10の数及び当該領域の数は、任意である。
【0043】
[ベース基板]
ベース基板20は、
図1〜
図4に示すように、絶縁性基板22と、第1電極24と、第2電極26と、下地絶縁膜28とを備える。
【0044】
[絶縁性基板]
絶縁性基板22は、少なくとも表面が絶縁性を有していればよい。例えば、ガラス、セラミック、酸化アルミニウム、合成樹脂のような絶縁材からなるものであってもよい。或いは、シリコンのような半導体の表面にシリコン酸化膜を形成したものであってもよい。因みに、本実施形態では、絶縁性基板22は、ガラス基板である。
【0045】
[第1電極]
第1電極24は、導電性を有する材料(例えば、金属材)からなる。第1電極24は、
図1及び
図2に示すように、絶縁性基板22の主面に接して形成される。第1電極24の厚みは、例えば、10〜1000nmである。
【0046】
第1電極24は、連結電極24Aと、複数の駆動電極24Bとを含む。連結電極24Aは、略一定の幅で所定の方向に延びる。複数の駆動電極24Bは、連結電極24Aの長手方向に所定の間隔で配置される。各駆動電極24Bは、連結電極24Aの幅方向一方の端縁から延び出す。
【0047】
各駆動電極24Bは、本体部241と、複数の凸部242とを含む。本体部241は、連結電極24Aの幅方向に延び、連結電極24Aに一体形成される。複数の凸部242は、本体部241の長手方向に所定の間隔で配置される。各凸部242は、本体部241の幅方向一方の端縁から延び出す。
【0048】
[第2電極]
第2電極26は、導電性を有する材料(例えば、金属材)からなる。第2電極26は、
図1及び
図3に示すように、絶縁性基板22の表面に接して形成される。第2電極26の厚みは、第1電極24の厚みと同じである。
【0049】
第2電極26は、連結電極26Aと、複数の駆動電極26Bとを含む。連結電極26Aは、略一定の幅で連結電極24Aと平行に延びる。複数の駆動電極26Bは、連結電極26Aの長手方向に所定の間隔で配置される。各駆動電極26Bは、連結電極26Aの幅方向一方の端縁(連結電極24Aに近い方の端縁)から延び出す。
【0050】
各駆動電極26Bは、本体部261と、複数の凸部262とを含む。本体部261は、連結電極26Aの幅方向に延び、連結電極26Aに一体形成される。本体部261は、本体部241と平行であり、本体部241とは異なる位置に形成される。連結電極26A(連結電極24A)の長手方向において、本体部261と本体部241とは交互に配置される。複数の凸部262は、本体部261の長手方向に所定の間隔で配置される。本体部261(本体部241)の長手方向において、複数の凸部262と、複数の凸部241とは、同じ位置に形成される。各凸部262は、本体部261の幅方向一方の端縁から延び出す。
【0051】
[下地絶縁膜]
下地絶縁膜28は、例えば、シリコン酸化膜であってもよいし、シリコン窒化膜であってもよい。下地絶縁膜28は、
図1〜
図3に示すように、絶縁性基板22の主面上に形成され、第1電極24及び第2電極26を覆う。下地絶縁膜28の厚みは、例えば、50〜1000nmである。
【0052】
このようなベース基板22上に、複数の発光素子10が配置される。具体的には、各発光素子10は、下地絶縁膜28の表面に接して配置される。このとき、ベース基板22の主面の法線方向(ベース基板22の厚み方向)から見て、各発光素子10の軸方向一端部は凸部242に重なり、軸方向他端部は凸部262に重なる。
【0053】
[保護膜]
保護膜40は、絶縁性、且つ、透明性を有する材料からなるものであれば、特に限定されない。保護膜40は、例えば、シリコン酸化膜である。保護膜40は、
図1〜
図3に示すように、ベース基板22の主面及び複数の発光素子10を覆う。保護膜40の厚み(保護膜40のうち、ベース基板22の主面を覆う部分の厚み)は、例えば、100nm〜10μmである。
【0054】
[第1配線]
第1配線50は、導電性を有する材料(例えば、金属)からなる。第1配線50は、
図1及び
図2に示すように、本体部50Aと、コンタクトプラグ50Bとを備える。本体部50Aは、保護膜40の表面に接して形成される。コンタクトプラグ50Bは、本体部50Aと一体形成され、保護膜40に形成されたコンタクトホール40A内に位置する。コンタクトプラグ50Bは、透明導電膜30と接する。
【0055】
[第2配線]
第2配線60は、導電性を有する材料(例えば、金属)からなる。第2配線60は、
図1及び
図3に示すように、本体部60Aと、コンタクトプラグ60Bとを備える。本体部60Aは、保護膜40の表面に接して形成される。コンタクトプラグ60Bは、本体部60Aと一体形成され、保護膜40に形成されたコンタクトホール40B内に位置する。コンタクトプラグ60Bは、半導体コア12と接する。つまり、コンタクトホール40Bが形成された位置では、半導体コア12が中心軸線CLに垂直な方向で露出している。
【0056】
続いて、発光素子10の製造方法及び発光装置100の製造方法について説明する。先ず、発光素子10の製造方法について説明する。その後、発光装置100の製造方法について説明する。
【0057】
先ず、
図7Aに示すように、サファイア基板70の主面上にn型GaN72を形成する。サファイア基板70の主面は、c面である。n型GaN72の厚みは、例えば、30μmである。n型GaN72を形成する方法としては、例えば、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等がある。
【0058】
続いて、
図7Bに示すように、n型GaN72上にマスク74を形成する。マスク74は、酸化シリコン膜である。マスク74は、以下のようにして形成される。先ず、酸化シリコン膜をn型GaN72の表面全体に形成する。酸化シリコン膜を形成する方法としては、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等がある。n型GaN72の表面全体に形成された酸化シリコン膜を、フォトリソグラフィ法により、パターニングする。その結果、マスク74が形成される。なお、マスク74のパターンは、特に限定されない。例えば、円形であってもよいし、多角形であってもよい。
【0059】
続いて、
図7Cに示すように、反応性イオンエッチングにより、n型GaN72をエッチングする。これにより、複数の棒状n型GaN72Aが形成される。各棒状n型GaN72Aにおいて、軸方向一方の端面はマスクで覆われ、軸方向他方の端面はサファイア基板70に接する。エッチングガスとしては、例えば、塩素ガスとアルゴンガスとの混合ガスがある。塩素ガスとアルゴンガスとの体積比率は、例えば、2:3である。
【0060】
続いて、
図7Dに示すように、ウェットエッチングにより、棒状n型GaN72Aの側面をエッチングする。これにより、各棒状n型GaN72Aの側面は、サファイア基板70の主面に垂直となる。エッチング溶液は、例えば、70℃に加熱した水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(質量パーセント濃度:5%)である。エッチング時間は、例えば、3時間である。
【0061】
続いて、
図7Eに示すように、半導体コア12、発光層14及び半導体層16を、MOCVD法で形成する。
【0062】
具体的には、棒状n型GaN72Aの側面に、n型GaN層を形成する。これにより、側面がm面である半導体コア12が形成される。n型GaN層を形成するときのサファイア基板70の温度は、例えば、900〜1000℃である。
【0063】
続いて、半導体コア12のm面上に、InGaN層を形成する。これにより、半導体コア12のm面上に、量子井戸層としての発光層14が形成される。InGaN層を形成するときのサファイア基板70の温度は、例えば、650〜750℃である。
【0064】
続いて、発光層14の表面上に、p型AlGaN層を形成する。これにより、電子ブロック層としての第1半導体層16Aが形成される。p型AlGaN層を形成するときのサファイア基板70の温度は、例えば、800〜900℃である。
【0065】
続いて、第1半導体層16Aの表面上に、p型GaN層を形成する。これにより、p層としての第2半導体層16Bが形成される。p型GaN層を形成するときのサファイア基板70の温度は、例えば、800〜900℃である。
【0066】
続いて、
図7Fに示すように、ITO膜をミストCVD法で形成する。これにより、透明導電膜30が第2半導体層16Bの表面に形成される。なお、透明導電膜30を形成するときには、サファイア基板70の主面及びマスク74の表面にも、ITO膜が形成される。
【0067】
続いて、
図7Gに示すように、マスク74を除去する。マスク74を除去する方法としては、例えば、ウェットエッチングや、ドライエッチング(反応性イオンエッチング)がある。例えば、反応性イオンエッチングでマスク74の表面上に形成されたITO膜を除去した後、ウェットエッチングでマスク74を除去することができる。エッチングガスとしては、例えば、CF
4やCHF
3等がある。エッチング溶液としては、例えば、HF溶液等がある。
【0068】
続いて、
図7Hに示すように、複数の発光素子10をサファイア基板70から分離する。具体的には、先ず、複数の発光素子10を有機膜(例えば、ワックス)等に埋め込む。続いて、サファイア基板70の裏面からレーザを照射する。これにより、サファイア基板70と半導体コア12Aとの界面を溶かす。その後、サファイア基板70をアセトン溶液に入れ、超音波により、有機膜を溶かす。その結果、複数の発光素子10がサファイア基板70から分離される。続いて、遠心分離機により、複数の発光素子10を沈殿させ、上澄み液を取り除く。その後、アセトンを加え、上記の処理を繰り返し、複数の発光素子10が入ったアセトン溶液から有機膜の成分を取り除く。同様の方法により、複数の発光素子10が入った溶液をアセトン溶液からイソプロピルアルコール(IPA)に置換する。その後、同様の方法により、複数の発光素子10が入った溶液をIPAから水に置換する。
【0069】
なお、複数の発光素子10をサファイア基板70から分離する方法は、例えば、超音波等により、各発光素子10を根本から折る方法等であってもよい。
【0070】
続いて、
図8Aに示すように、複数の発光素子10が入った水80でベース基板20の主面を覆う。具体的には、先ず、ベース基板20上に水を流す。この水に対して、複数の発光素子10が入った水を少しずつ注入する。ベース基板20の主面を覆う水80は、複数の発光素子10が自由に移動できる程度の量であればよい。
【0071】
続いて、
図8Bに示すように、各発光素子10をベース基板20上の所定位置に配置する。具体的には、第1電極24と第2電極26とに対して異なる電圧を印加する。これにより、第1電極24及び第2電極26の一方に負電荷が誘起され、他方の正電荷が誘起される。この状態で、発光素子10が第1電極24及び第2電極26に近づくと、発光素子10のうち、負電荷が誘起された電極に近いほうの軸方向端部には、静電誘導により、正電荷が誘起される。同様に、他の軸方向端部には、負電荷が誘起される。その結果、各電極24,26と発光素子10との間に引力が働く。その際、発光素子10は、第1電極24と第2電極26との間に生じる電気力線に沿って配置される。また、各発光素子10に誘起された電荷は略等しい。そのため、電荷による反発力により、所定の方向に並ぶ2つの発光素子10の間隔は略同じとなる。
【0072】
続いて、複数の発光素子10が入った溶液を水80からIPAに置換する。例えば、水80にIPAを注ぐことで、複数の発光素子80が入った溶液を水80からIPAに置換できる。
【0073】
続いて、ベース基板10を加熱することにより、複数の発光素子10が入った溶液(IPA)を蒸発させて、乾燥させる。その結果、
図4に示すように、複数の発光素子10がベース基板20上で所定の位置に配置される。
【0074】
続いて、
図8Cに示すように、各発光素子10の軸方向一端部の側面において、半導体コア12を露出させる。その方法としては、例えば、塩素ガスを用いた反応性イオンエッチング等がある。
【0075】
続いて、
図8Dに示すように、ベース基板20の主面上に保護膜40を形成する。これにより、各発光素子10が保護膜40で覆われる。
【0076】
続いて、
図8Eに示すように、コンタクトホール40A、40Bを形成する。コンタクトホール40A、40Bは、例えば、フォトリソグラフィ法によって形成される。
【0077】
続いて、
図8Fに示すように、第1配線50及び第2配線60を形成する。具体的には、先ず、保護膜40の表面全体に金属膜(例えば、Ti層とAl層との積層膜)を形成する。続いて、フォトリソグラフィ法により、当該金属膜をパターニングする。その結果、第1配線50及び第2配線60が形成され、目的とする発光装置100が得られる。
【0078】
このような発光装置100においては、第1配線50及び第2配線60を通じて、発光素子10に電圧を印加する。これにより、発光素子10の側面が全周に亘って発光する。つまり、発光装置100においては、発光領域を広くすることができる。そのため、発光効率を高くしつつ、消費電力を抑えることができる。
【0079】
発光装置100においては、発光素子10が横向き、つまり、中心軸線CLがベース基板22の主面と平行に配置される。そのため、発光装置100を薄くすることができる。
【0080】
ここで、発光装置100が備える発光素子10においては、発光層14が非極性面上にのみ形成される。そのため、単一波長の光を発することができる。以下、この点について、もう少し詳しく説明する。
【0081】
発光層を形成する原子の組成は、発光層が形成される成長面の面方位に依存する。そのため、成長面が異なると、発光層が発する光の波長も異なる。発光素子10では、発光層14の成長面が非極性面に限定される。そのため、発光層14が発する光は、単一波長の光となる。
【0082】
GaN系の発光素子では、発光層が非極性面以外の面(例えば、極性面や半極性面)に形成されると、発光時にピエゾ電界の影響により、外部量子効率が低下する。これに対して、発光素子10では、発光層14の成長面が非極性面に限定される。そのため、発光時にピエゾ電界の影響がなくなり、外部量子効率を向上させることができる。
【0083】
発光素子10においては、発光層14が非極性面上にのみ形成される。そのため、第1電極24と第2電極26との間に生じる電気力線に沿って配置する際において、軸方向一方の端面が発光層で覆われている発光素子では、発光素子の向きがばらばらになってしまう。その結果、このような発光素子を備える場合には、発光素子に印加する電圧を交流電圧にする必要がある。一方、発光素子10では、上述のような不具合が発生することはない。そのため、発光素子10に印加する電圧は直流電圧でよい。その結果、発光装置100においては、消費電力を少なくできる。
【0084】
[発光装置の用途]
発光装置は、例えば、
図9に示すように、LDE電球110に用いられる。LED電球110は、口金112と、放熱部114と、透光部116とを備える。口金112は、ソケットに嵌められて、商用電源に接続される。放熱部114は、口金112の一端に接続され、他端が徐々に拡径する。つまり、放熱部114は、略円錐台形状を有する。透光部116は、放熱部114の他端を覆う。放熱部114内には、放熱板118が配置される。この放熱板118上に、発光装置100Aが配置される。
【0085】
LED電球100においては、各発光素子10が単一波長の光を発する。そのため、色むらがない。また、各発光素子10においては、外部量子効率が高い。そのため、高効率である。
【0086】
発光装置は、例えば、
図10に示すように、液晶表示装置のバックライト120に用いられる。バックライト120は、複数の発光装置100Bと、支持基板122とを備える。複数の発光装置100Bは、支持基板122上において、マトリクス状に配置される。支持基板122は、例えば、放熱板として機能する。
【0087】
バックライト120においては、各発光素子10が単一波長の光を発する。そのため、色むらがない。また、各発光素子10においては、外部量子効率が高い。そのため、高効率である。全面を照射できるのであれば、拡散板を設ける必要はない。この場合、バックライトの薄型化及び軽量化を実現できる。
【0088】
図10に示す例では、支持基板122上に複数の発光装置100Bが配置されていたが、支持基板122上に配置される発光装置は1つであってもよい。
【0089】
発光装置は、例えば、
図11に示すように、液晶表示装置130に用いられる。液晶表示装置130は、液晶パネル132を備える。液晶パネル132は、アクティブマトリクス基板134と、対向基板136と、液晶層138とを備える。対向基板136は、アクティブマトリクス基板134の厚さ方向で、アクティブマトリクス基板134に対向して配置される。液晶層138は、アクティブマトリクス基板134と対向基板136との間に封入される。アクティブマトリクス基板134の厚さ方向一方の面、つまり、液晶層138に近いほうの面には、画素電極や薄膜トランジスタ等が配置される。一方、アクティブマトリクス基板134の厚さ方向他方の面には、複数の発光素子10が配置される。つまり、アクティブマトリクス基板134において画素電極や薄膜トランジスタ等が実装されるガラス基板が、絶縁性基板22として機能する。要するに、液晶表示装置130では、アクティブマトリクス基板134が発光装置として機能する。なお、
図11では、複数の発光素子10を覆う保護膜40のみ図示している。
【0090】
液晶表示装置130においては、バックライトを別途設ける必要がない。そのため、液晶表示装置の薄型化及び軽量化を実現できる。
【0091】
図11に示す例では、アクティブマトリクス基板134が発光装置として機能していたが、例えば、対向基板136が発光装置として機能してもよい。この場合、対向基板136の厚さ方向一方の面、つまり、液晶層138に近いほうの面に共通電極が配置され、厚さ方向他方の面に複数の発光素子10が配置される。なお、対向基板136の厚さ方向一方の面には、共通電極の他に、カラーフィルタが配置されていてもよい。
【0092】
[ベース基板の応用例]
ベース基板20は、矩形形状に限定されない。例えば、円形であってもよいし、三角形であってもよい。ベース基板20をマザー基板から切り出される。ベース基板20を切り出す位置には、第1電極24及び第2電極26や、これらの電極に接続される配線などは、形成されていないことが好ましい。この場合、ベース基板20をマザー基板から切り出すときに、配線屑が発生するのを防止できる。
【0093】
[複数の発光素子の配置方法の応用例]
上記実施の形態では、静電力を利用して、複数の発光素子10をベース基板20上に配置していたが、例えば、ラビングにより、複数の発光素子10を絶縁性基板22上に配置してもよい。ラビングにより複数の発光素子10を配置する場合には、第1電極24、第2電極26及び下地絶縁膜28は必要ない。以下、ラビングにより複数の発光素子10を配置する方法について説明する。
【0094】
先ず、複数の発光素子10を含む水でベース基板20の主面を覆う。続いて、ラビングにより、複数の発光素子10の向きを揃える。具体的には、例えば、ローラに巻いたラビング布で、ベース基板20の主面を擦り、複数の発光素子10の向きを揃える。その後、複数の発光素子10を含む水を蒸発させる。このとき、
図12に示すように、複数の発光素子10の向きはラビング方向(
図12中のX方向)に揃っている。つまり、複数の発光素子10は、ラビング方向で互いに平行である。この場合、第1金属配線140及び第2金属配線142の形成位置を適当に調整することにより、複数の発光素子10の幾つかを発光させることができる。具体的には、複数の発光素子10のうち、第1金属配線140に対して半導体コア12が接触し、且つ、第2金属配線142に対して半導体層16が接触する発光素子10を発光させることができる。第1金属配線140に接触する半導体コア12は、複数の発光素子10のうち、第1金属配線140が形成される領域に位置する部分をエッチングすることで露出される。図面上では明示していないが、複数の発光素子10は保護膜で覆われる。第1金属配線140及び第2金属配線142は、保護膜上に形成される。つまり、第1金属配線140及び第2金属配線142は、保護膜に形成されたコンタクトホールを介して、複数の発光素子10の幾つかに接続される。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について、詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態によって、何等、限定されない。
【0096】
例えば、上記実施の形態では、発光素子10の断面が六角形であったが、発光素子の断面は十二角形であってもよい。この場合、発光素子の側面には、m面とa面とが交互に並ぶ。
【0097】
例えば、上記実施の形態では、発光素子10を製造するときに、半導体コア12の端面がマスク74で覆われていたが、半導体コア12の端面をマスクで覆う必要はない。この場合、半導体コア12の端面にも発光層等が形成されるが、例えば、複数の発光素子10を有機膜に埋め込み、有機膜及び半導体コア12の端面に形成された発光層等を化学機械研磨(CMP)等で除去することにより、半導体コア12の端面を露出させてもよい。