【実施例】
【0019】
まず、テナントから収集した売上集計レシートを利用して売上管理サーバ60に登録されている売上データや売上入金機50で入金された入金額の正否の判定処理の概要について、
図1を用いて説明する。
【0020】
複合商業施設に入店するテナントには、POSレジスタ20と、POSレジスタ20に接続される釣銭機30と、売上登録装置40とが設置される。POSレジスタ20は、テナントにおける商品販売に係る決済を担う装置であって、販売する商品の種類及び個数を入力することによって来店客に請求する金額を算出する。釣銭機30は、来店客から代金として受け付けた貨幣の計数を行ってPOSレジスタ20に通知する。POSレジスタ20は、自装置で算出した請求金額と、釣銭機30から通知された来店客から受け付けた貨幣の計数結果とから必要に応じて、釣銭機30に対して釣銭の払い出しの指示を行う。釣銭機30はPOSレジスタ20から釣銭の払い出しの指示を受け付けると受け付けた指示内容に従って貨幣の払い出しを行う。POSレジスタ20や釣銭機30はテナントが自己調達した装置を使用しているケースも少なくない。
【0021】
テナントにおいて1日の営業が終了すると、店員は、POSレジスタ20で当日の売上などの集計結果である売上集計レシートを出力する。売上集計レシートは、POSレジスタ20の機種によって出力形式や項目の名称に差異はあるものの、機種が異なっても出力される項目の内容はある程度、共通となっているものが多い。売上集計レシートに出力される内容についての詳細は後述するが、当日の売上の合計額や、売上の現金、商品券及びクレジットなどの決済手段ごとの内訳や、売上集計レシートの出力の都度カウントアップされる精算通番などの情報を含む。また、POSレジスタ20は、売上集計レシートを出力したならば当日の決済処理の履歴や集計結果をクリアする。また、店員は、売上集計レシートなどを参考にして当日の売上の合計額や、売上の決済手段ごとの内訳や、精算通番などの情報を売上登録装置40から入力することによって売上管理サーバ60に登録する。
【0022】
また、テナントの店員は、釣銭機30に収納された当日の売上金である現金や商品券などの現物を回収して、複合商業施設内の出納室に設置されている売上入金機50に入金する。売上入金機50は、テナントから回収された現金や商品券などの売上金を受け付けて計数及び収納して、収納した内容を通帳等に出力する。売上入金機50はテナントから受け付けて収納した実績の情報を、売上管理サーバ60に送信する。また、テナントの店員は、出力された売上集計レシートや日報などを複合商業施設のテナントの売上の管理を行う管理事務所に提出する。
【0023】
複合商業施設において、オーナー企業は、テナントに対して売上に基づいてテナント料を設定している場合が多い。そのため、オーナー企業は、テナントの日々の売上高を正しく把握する必要があり、売上の管理を行う管理事務所では、テナントから提出された売上集計レシートを利用して、テナントの店員によって売上管理サーバ60に登録された売上情報が正しく登録されていることのチェックを行っている。管理事務所には売上集計レシートのイメージを取得することのできるイメージスキャナ13の接続された日報チェック装置10が設置され、売上集計レシートから読み取った情報と比較することによって売上管理サーバ60に登録された売上情報が正しく登録されていることのチェックを行う。
【0024】
まず、日報チェック装置10は、テナントから収集した売上集計レシートの画像を、イメージスキャナ13によって読み取って、読み取った売上集計レシートの画像データに基づいて当該売上集計レシートに対応するテナントの識別情報を特定する。また、日報チェック装置10は、特定したテナントの識別情報に関連づけて、売上集計レシートに記載された項目をOCRするための文字列などの情報であるOCRパラメータ15bを有している。日報チェック装置10は、売上集計レシートの画像からテナントの識別情報を特定して、特定したテナントの識別情報に関連付けられた売上集計レシートのOCRパラメータ15bと売上集計レシートの画像とに基づいて、売上集計レシートに印字されている当日の売上の合計額や、売上の決済手段ごとの内訳や、精算通番などの売上に係る情報をOCRによって取得する。
【0025】
また、日報チェック装置10は、売上管理サーバ60からテナントの識別によって特定されたテナントから登録された売上情報や、該テナントから売上入金機50に入金された入金実績情報を取得して、OCRによって売上集計レシートから読み取った情報と一致するか否かのチェックを行う。当該チェックで一致していた場合には、売上管理サーバ60に登録されている売上情報は正しいと判断してチェック処理は終了する。また、当該チェックで不一致となった項目が存在する場合には、その情報を画面に表示することによって確認が必要であることを報知する。
【0026】
このように、テナントのPOSレジスタ20によって出力された当日の売上に係る情報の集計結果である売上集計レシートの画像データを取得して、当該画像データに基づいてテナントを識別し、テナントの識別結果と、テナントの識別情報に関連づけて有している売上集計レシートに印刷された項目のOCRに係る情報とに基づいて、当該売上集計レシートの画像データをOCRすることによって売上集計レシートに印字された売上に係る情報を読み取るようにしたので、複合商業施設におけるテナントからの売上に係る情報を効率的に収集することができる。
【0027】
次に、日報チェック装置10を含む売上管理システムのシステム構成を説明する。
図2は、日報チェック装置10を含む売上管理システムのシステム構成を示す図である。
【0028】
複合商業施設内には複数のテナントが入店している。
図2に示す例では、当該複合商業施設にはテナントa、テナントb及びテナントcが含まれ、それぞれPOSレジスタ20、釣銭機30及び売上登録装置40が設置される。また、複合商業施設内には、テナントに設置された売上登録装置40と通信回線によって接続されて、売上登録装置40から通信回線を通して受け付けたそれぞれのテナントの売上に係る情報の管理を行う売上管理サーバ60が設置される。
【0029】
また、複合商業施設の出納室には、テナントの売上である現金や商品券などを受け付けて収納する売上入金機50も設置される。売上入金機50は、通信回線によって売上管理サーバ60と接続され、現金や商品券などを受け付けて収納したテナントごとの実績情報を通信回線を通して売上管理サーバ60に送信する。売上管理サーバ60は、これらの通信によってテナントごとの売上に係る情報とテナントごとの売上入金機50に収納した現金や商品券などの実績情報とを受け付けて管理する。また、売上管理サーバ60は、日報チェック装置10からのテナントの識別情報を含むテナント情報取得要求を受け付けると、指定されたテナントに係る売上に係る情報と売上入金機50に収納した現金や商品券などの実績の情報とを返信する。尚、売上金の入金機能に加えて、釣銭準備金等の出金機能を備えた入出金機を設置してもよい。
【0030】
日報チェック装置10は、それぞれのテナントから売上管理サーバ60に登録された売上に関する情報の妥当性を検証する装置である。具体的には、それぞれのテナントからPOSレジスタ20で出力した当日の売上に係る情報の集計結果である売上集計レシートを入手して、当該売上集計レシートに印字された当日の売上に係る情報の集計結果をOCRによって読み取る。また、売上管理サーバ60にテナント情報取得要求を行うことによってテナントから登録された売上に係る情報と、テナントから売上入金機50に入金された現金や商品券などの実績の情報とを取得する。日報チェック装置10は、OCRで読み取った売上集計レシートに印字されている情報と、売上管理サーバ60から取得した情報との整合性を確認することによって、それぞれのテナントから売上管理サーバ60に登録された売上に関する情報の妥当性の検証を行う。
【0031】
図2に示すシステム構成の例では、売上管理サーバ60や売上入金機50及び日報チェック装置10は1台のみとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複合商業施設の規模に応じて売上入金機50が複数台存在してもよい。また、売上管理サーバ60についても、規模に応じて複数台の構成として管理する売上に係る情報や売上入金機50から取得した情報を複数台の売上管理サーバ60間で共有するような構成としてもよい。また、日報チェック装置10についても、複合商業施設に入店するテナント数が多い場合などは複数台設置するような構成でもよい。
【0032】
次に、テナントから収集する売上集計レシートを説明する。
図3は、テナントから収集する売上集計レシートの一例であり一般的に売上集計レシートに含まれる情報を説明するための説明図である。
【0033】
売上集計レシートは、例えば1日の営業時間の終了後に、POSレジスタ20で出力されるものであって、当日、POSレジスタ20で行った売上に係る情報の集計結果が印字されている。
図3に示す売上集計レシートの例では、集計結果には、当日の純売上(c)、純売上のうちの消費税額(d)、純売上の決算手段別の内訳として現金売上(e)、商品券による売上(f)、ギフト券による売上(g)、その他の金券による売上(h)、電子マネーによる売上(i)及びクレジットによる売上(j)を含んでいる。また、精算通番(b)は、売上集計レシートを出力した回数を示す通番であって、通常は営業日ごとに売上に係る情報の集計として売上集計レシートを出力することから、1営業日に1ずつカウントアップされる。また、売上集計レシートを出力すると、POSレジスタ20は、売上集計レシートの集計値に反映した売上に係る履歴や集計結果はクリアする。
【0034】
また、
図3に示すように売上集計レシートの上端から70mmまでの(a)の領域は、売上集計レシートに対応するテナントを特定するための領域である。詳細は後述するが、日報チェック装置10は、この(a)の領域に含まれるテナントごとの特徴によってテナントの識別を行う。売上集計レシートは、POSレジスタ20の種類などによってテナントごとに出力形式等が異なっており、売上集計レシート上に印字された項目の値をOCRで読み込むためには、テナントの識別を行い、対応するOCRパラメータ情報を特定する必要がある。日報チェック装置10は、テナントの識別情報に関連付けて売上集計レシートに印字された項目の位置や文字種などのOCRに必要なOCRパラメータ情報を有しており、売上集計レシートの(a)に示す領域から判別したテナントの識別情報からテナントの識別情報に対応したOCRパラメータ情報を特定して、特定したパラメータ情報と売上集計レシートの画像に基づいて売上集計レシートに印字された項目の値をOCRによって取得することができる。
【0035】
図3に示す売上集計レシートを受け付けたならば、日報チェック装置10は、売上集計レシートの画像データを取得して、取得した画像データの上端から70mmに対応する(a)の領域の画像に基づいてテナントが○△□書店であることを識別する。○△□書店の売上集計レシートに対応したOCRパラメータ情報に含まれる(b)〜(j)に示す項目の位置や文字種などの情報に基づいて、(b)〜(j)に示す項目の値をOCRによって取得する。
【0036】
図3に示す売上集計レシートの例は、テナントが「○△□書店」で、精算通番が「1234」で、当日の純売上が「¥154,494」で、消費税が「¥7,681」で、現金による決済が「¥142,615」で、商品券による決済が「¥2,000」で、ギフト券による決済が「¥5,000」で、その他金券による決済が「¥3,000」で、電子マネーによる決済が「¥0」で、クレジットによる決済が「¥17,560」であることを示している。
【0037】
次に、
図2に示した日報チェック装置10の本実施例に係る内部構成を説明する。
図4は、日報チェック装置10の本実施例に係る内部構成を示すブロック図である。
【0038】
図4に示すように日報チェック装置10には、テナントから持ち込まれる売上集計レシートの画像を取得するイメージスキャナ13が接続されている。また、日報チェック装置10は、入力部11、表示部12、通信部14、記憶部15及び制御部16を有している。入力部11は、キーボードやマウスなどの入力機器である。表示部12は、液晶ディスプレイなどの出力部である。通信部14は、売上管理サーバ60とデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0039】
記憶部15は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、レシート特徴データ15a、OCRパラメータ15b、レシート画像データ15c、OCR認識結果15d、売上データ15e、入金実績データ15f、検証結果データ15g、精算通番データ15h及び検証履歴データ15iを有する。
【0040】
レシート特徴データ15aは、テナントごとの売上集計レシートの上端から70mmの範囲の特徴情報を登録したデータである。当該レシート特徴データ15aに登録されているテナントごとの売上集計レシートの特徴情報と売上集計レシートの画像とをマッチングすることによって売上集計レシートに対応するテナントの識別を行う。OCRパラメータ15bは、テナントの識別情報に関連づけて当該テナントの売上集計レシートのOCRする項目に関する文字列等の情報を登録したデータである。
【0041】
レシート画像データ15cは、イメージスキャナ13で取得した売上集計レシートの画像データである。OCR認識結果15dは、レシート画像データ15cと、レシート特徴データ15aと、OCRパラメータ15bとに基づいて、売上集計レシートに記載された売上に係る情報をOCRによって取得した結果である。売上データ15eは、テナントの売上登録装置40から売上管理サーバ60に登録したテナントが申告した当日の売上に係る情報を売上管理サーバ60から取得して保存したデータである。入金実績データ15fは、テナントから売上入金機50に入金された現金や商品券などの実績情報を売上管理サーバ60経由で取得したデータを保存したデータである。検証結果データ15gは、OCR認識結果15dと、売上データ15eと、入金実績データ15fとを比較して、項目ごとに整合が取れているか否かの判定結果を記憶したデータである。
【0042】
精算通番データ15hは、テナント識別情報に対応付けて最後に処理を行った売上集計レシートの精算通番を記憶したデータである。精算通番は、通常の運用では1営業日につき1ずつカウントアップすることから、精算通番データ15hに記憶されている前営業日の精算通番に対して本日の精算通番が1だけカウントアップしているかどうかを確認することによって、途中で一旦売上集計レシートを出力することによって売上を過少申告する等の不正行為を検出することが可能となる。検証履歴データ15iは、日報チェック装置10でチェックした結果の履歴情報である。
【0043】
制御部16は、日報チェック装置10の全体を制御する制御部であり、帳票登録処理部16a、レシート認識処理部16b、OCR処理部16c、サーバデータ取得部16d、日報データ検証部16e及び確認画面表示部16fを有する。実際には、この機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、それぞれに対応するプロセスを実行させることになる。
【0044】
帳票登録処理部16aは、売上集計レシートに印字されている項目をOCRによって取得するために必要な、売上集計レシートごとのレシート特徴データ15aとOCRパラメータ15bを登録するための処理部である。
【0045】
レシート認識処理部16bは、イメージスキャナ13によって売上集計レシートの画像を取得して、取得した画像をレシート画像データ15cに保存する。また、レシート認識処理部16bは、レシート画像データ15cとレシート特徴データ15aにより売上集計レシートのテナントの識別を行う。また、レシート認識処理部16bは、レシート画像データ15cとレシート特徴データ15aにより売上集計レシートのテナントの識別が行えなかった場合には、採取した売上集計レシートの画像を画面に表示してテナントの識別情報の入力の受付を行う。
【0046】
OCR処理部16cは、レシート認識処理部16bによって特定されたテナントの識別情報と、レシート画像データ15cと、OCRパラメータ15bとを用いて、売上集計レシートに印字された売上金額などの項目のOCR処理を行って、認識結果をOCR認識結果15dに保存する。
【0047】
サーバデータ取得部16dは、レシート認識処理部16bによって特定されたテナントの識別情報を含むテナント情報取得要求を売上管理サーバ60に送信することによって、売上管理サーバ60から指定したテナントの売上に係る情報と、売上入金機50に入金した現金や商品券などの実績の情報とを取得して、売上データ15e及び入金実績データ15fに保存する。
【0048】
日報データ検証部16eは、OCR認識結果15dと、売上管理サーバ60から取得した売上データ15e及び入金実績データ15fとの比較をすることによって、売上管理サーバ60に登録された売上データの検証を行う。具体的には、OCR認識結果15dと、売上管理サーバ60から取得した売上データ15e及び入金実績データ15fとのデータ間に不整合の有無の判定をして、その判定結果を検証結果データ15gに出力する。不整合の有無の判定は、OCR認識結果15dと売上データ15e及び入金実績データ15fとの対応する項目の値が一致した項目については検証結果は「不整合なし」と判定し、不一致がある項目については検証結果は「確認が必要」と判定する。
【0049】
確認画面表示部16fは、日報データ検証部16eによって登録された検証結果データ15gのいずれかの項目の検証結果が「確認が必要」となっていた場合には、OCR認識結果15dと、売上データ15e及び入金実績データ15fの内容や不一致の内容(差異)を表示部12に表示することによって「確認が必要」と判定された項目があることを操作者にアラートを報知する。また、確認画面表示部16fは、報知したアラートに対する確認を受け付けたならば、検証結果データ15gの確認を受け付けた項目のステータスを「個別確認済」として、OCR認識結果15dと、売上データ15eと、入金実績データ15fと、検証結果データ15gの情報とを含む情報を検証履歴データ15iに登録する。
【0050】
次に、
図2に示した日報チェック装置10のレシート特徴データ15aのデータ構成について
図5を用いて説明する。
【0051】
レシート特徴データ15aは、テナントIDに対応付けてテナント名と、当該テナントIDに対応するテナントの売上集計レシートを識別するための特徴情報とをレコードの項目とするデータである。特徴情報は、売上集計レシートを識別するための2つの特徴領域情報を有する。それぞれの特徴領域情報は、特徴が表れる領域を示す矩形の左上の座標を示す開始位置と、特徴が表れる領域を示す矩形の横方向及び縦方向のサイズと、特徴区分と、特徴データとを有する。特徴区分は、特徴データに登録されるデータの区分であり、特徴区分が「1」は特徴データに登録されるデータがテナントのロゴのデータであることを示し、特徴区分が「2」は特徴データに登録されるデータが文字のデータであることを示し、特徴区分が「3」は特徴データに登録されるデータが電話番号のデータであることを示す。
【0052】
図5の下の売上集計レシートのイメージに示すように、特徴領域として登録可能なのは売上集計レシートの上端から70mmの範囲に含まれる領域である。
図5の下の売上集計レシートのイメージは、テナントのロゴである特徴領域1とテナントの電話番号である特徴領域2を当該売上集計レシートを識別するための特徴領域として選択した例を示している。特徴領域1はテナントに対応するロゴが含まれる矩形領域であり、当該矩形の左上の座標が(px1、py1)で横幅がw1で縦の高さがh1であり、特徴領域2は当該テナントの電話番号が含まれる矩形領域であり、当該矩形の左上の座標が(px2、py2)で横幅がw2で縦の高さがh2であることを示している。また、
図5のレシート特徴データ15aの例は、
図5の下に示した売上集計レシートに関する情報を登録したデータの例であり、テナントID「005」は、テナント名が「○△□書店」に対応し、当該テナントの売上集計レシートの特徴情報の1つ目の特徴領域情報は、特徴が表れる領域を示す矩形の左上の座標が(px1、py1)で、特徴が表れる領域を示す矩形の横方向のサイズがw1で縦方向のサイズがh1で、当該矩形の領域には特徴区分が「1」であるロゴが含まれることを示している。また、当該テナントの売上集計レシートの特徴情報の2つ目の特徴領域情報は、特徴が表れる領域を示す矩形の左上の座標が(px2、py2)で、特徴が表れる領域を示す矩形の横方向のサイズがw2で縦方向のサイズがh2で、当該矩形の領域には特徴区分が「3」である電話番号が含まれ、その電話番号は「03−1234−5678」であることを示している。
【0053】
次に、
図2に示した日報チェック装置10よって収集したレシートからテナントが識別できなかった場合に表示される画面の内容を
図6を用いて説明する。
【0054】
図6は、
図3に示した売上集計レシートの画像をイメージスキャナ13で読み取って、読み取ったレシート画像データ15cとレシート特徴データ15aとに基づいて売上集計レシートに対応するテナントを識別しようとしたが識別できなかった場合に表示される画面の例である。画面には、テナントIDを直接入力するための入力項目とテナント名を入力するための入力項目とがある。操作者は、テナントから売上集計レシートなどを収集するための袋などに書かれているテナントIDを入力部11から入力することによってテナントを特定することができる。
【0055】
また、画面に表示される当該売上集計レシートをイメージスキャナ13で読み取った画像を見ながらテナント名を入力する項目にテナント名を入力してもよい。テナント名の項目にカーソルを位置づけると、
図6に示すようにテナント名の一覧がプルダウン表示されるので、プルダウンで表示されたテナント名の一覧から選択することによってテナント名の入力をすることも可能である。テナントIDが入力されたならば対応するテナント名を自動で表示し、テナント名が入力されたならば対応するテナントIDを自動で表示するので、操作者はテナントID若しくはテナント名のいずれか一方を入力すればよい。
【0056】
次に、
図2に示した日報チェック装置10のOCRパラメータ15bのデータ構成について
図7を用いて説明する。
【0057】
OCRパラメータ15bは、テナントIDに関連づけて認識項目設定データをレコードの項目として有するデータである。認識項目設定データは、OCRによって画像から読み取る項目ごとにそれぞれの項目をOCRするための設定情報である認識項目情報を有している。また、認識項目情報は、項目の識別名である管理項目名に対応付けて売上集計レシート上に印刷された項目名であるキーワードと、認識対象位置情報と、認識する文字の種類を示す文字種などの情報を有する。文字種は、コード化された情報であって、「1」が数字、カンマ、¥で構成された数値で、「2」が数字、カンマで構成された数値で、「3」が英数若しくは記号で構成された文字列であることを示している。
【0058】
また認識対象位置情報には、売上集計レシートに印刷されたキーワードに対してOCRによる認識対象の文字列が位置する方向と、当該方向の何番目に現れる文字列なのかを示す順番とを有する。方向はコード化されたデータであって、「1」がキーワードの右方向で、「2」がキーワードの右下方向で、「3」がキーワードの下方向であることを示している。
【0059】
図7は、OCRパラメータ15bのデータ設定例とテナントIDが「005」のテナントの売上集計レシートの一部の画像の例を示し、売上集計レシートの印字フォーマットとOCRパラメータ15bの認識項目設定データの設定内容の関係を説明する。
図7の売上集計レシートの画像に示した(a−1)及び(a−2)の領域は、
図7のOCRパラメータ15bのテナントIDが「005」の認識項目情報1に対応し、(b−1)及び(b−2)の領域は、OCRパラメータ15bのテナントIDが「005」の認識項目情報2に対応する。
【0060】
(a−1)の領域に印字された「純売上」は、認識項目情報1の管理項目名が「純売上」の管理項目に対応するキーワードであって、(a−2)が当該管理項目の項目値の認識対象位置であり、(a−1)の領域に対して方向が「2」であり右下の方向であることを示している。また、(a−2)の領域は、(a−1)の領域から方向が示す「右下」方向に現れる2番目の文字列であることから、順番には「2」が設定されている。また、(a−2)の領域の認識対象の文字種は数字、カンマ及び¥で構成される数値で有ることを示す「1」が設定されている。
【0061】
(b−1)の領域に印字された「内税」は、認識項目情報2の管理項目名が「消費税」の管理項目に対応するキーワードであって、(b−2)が当該管理項目の項目値の認識対象位置であり、(b−1)の領域に対して方向が「1」であり右の方向であることを示している。また、(b−2)の領域は、(b−1)の領域から方向が示す「右」方向に現れる1番目の文字列であることから、順番には「1」が設定されている。また、(b−2)の領域の認識対象の文字種は数字、カンマ及び¥で構成される数値で有ることを示す「1」が設定されている。
【0062】
次に、
図2に示した日報チェック装置10の本実施例に係るその他のデータ構成について
図8を用いて説明する。
【0063】
OCR認識結果15dは、売上集計レシートの画像のOCRによる管理項目ごとの認識結果を記憶したデータである。
図8のOCR認識結果15dの例は、純売上に対応する項目のOCR認識結果が認識できなかったことをしめす「?」で、消費税に対応する項目のOCR認識結果が「7,681」円で、現金に対応する項目のOCR認識結果が「142,615」円で、商品券に対応する項目のOCR認識結果が「2,000」円で、ギフト券に対応する項目のOCR認識結果が「5,000」円で、その他金券に対応する項目のOCR認識結果が「3,500」円で、クレジットに対応する項目のOCR認識結果が「17,560」円で、電子マネーに対応する項目のOCR認識結果が「0」円で、精算通番に対応する項目のOCR認識結果が「1234」であることを示す。
【0064】
売上データ15eは、売上管理サーバ60から取得したテナントが管理項目ごとに登録したデータである。
図8の売上データ15eの例は、テナントが登録した純売上の内容が「154,494」円で、テナントが登録した消費税の内容が「7,681」円で、テナントが登録した現金の内容が「142,615」円で、テナントが登録した商品券の内容が「2,000」円で、テナントが登録したギフト券の内容が「5,000」円で、テナントが登録したその他金券の内容が「3,500」円で、テナントが登録したクレジットの内容が「17,560」円で、テナントが登録した電子マネーの内容が「0」円で、テナントが登録した精算通番の内容が「1234」であることを示す。
【0065】
入金実績データ15fは、売上管理サーバ60から取得した売上入金機50における管理項目に対応する入金実績のデータである。
図8の入金実績データ15fの例は、現金の入金実績が「142,615」円で、商品券の入金実績が「2,000」円で、ギフト券の入金実績が「5,000」円で、その他金券の入金実績が「3,500」円であることを示す。
【0066】
検証結果データ15gは、管理項目ごとの検証結果のデータである。検証結果は、コード化されたデータであって、「0」はOCR認識結果15d、売上データ15e及び入金実績データ15fに不整合が無いことを示し、「1」はOCR認識結果15d、売上データ15e及び入金実績データ15fに不整合があることから確認が必要であることを示し、「9」はOCR認識結果15d、売上データ15e及び入金実績データ15fに不整合があるが個別確認済であることを示す。
【0067】
図8の検証結果データ15gの例は、純売上の検証結果が「1」で確認が必要で、消費税の検証結果が「0」で不整合なしで、現金の検証結果が「0」で不整合なしで、商品券の検証結果が「0」で不整合なしで、ギフト券の検証結果が「0」で不整合なしで、その他金券の検証結果が「0」で不整合なしで、クレジットの検証結果が「0」で不整合なしで、電子マネーの検証結果が「0」で不整合なしで、精算通番の検証結果が「0」で不整合なしであることを示す。
【0068】
精算通番データ15hは、テナントIDごとに、最後に入手した売上集計レシートの精算通番を記憶したデータである。
図8に示す精算通番データ15hの例は、テナントIDが「005」のテナントから最後に入手した売上集計レシートの精算通番が「1233」であったことを示している。
【0069】
検証履歴データ15iは、日付とテナントIDに関連づけて、検証情報を有するデータである。検証情報は、日付とテナントIDに対応したOCR認識結果15dの情報を書き込んだ売上集計レシート情報と、日付とテナントIDに対応した売上データ15eの情報を書き込んだ売上情報と、日付とテナントIDに対応した入金実績データ15fの情報を書き込んだ入金実績情報と、日付とテナントIDに対応した検証結果データ15gの情報を書き込んだ検証結果情報とを有する。
【0070】
図8の検証履歴データ15iの例は、日付が「2013/10/31」に、テナントID「005」に対して、売上集計レシートのOCR認識結果である売上集計レシート情報は、純売上に対応する項目のOCR認識結果が認識できなかったことをしめす「?」で、消費税に対応する項目のOCR認識結果が「7,681」円で、現金に対応する項目のCR認識結果が「142,615」円で、精算通番に対応する項目のOCR認識結果が「1234」で、売上管理サーバ60から取得したテナントから登録された売上情報が「154,494」円で、売上管理サーバ60から取得した売上入金機50における現金の入金実績情報が「142,615」円で、検証結果情報の純売上の検証結果は「9」の個別確認済であることを示している。
【0071】
次に、
図2に示した日報チェック装置10において表示する確認画面の表示内容を説明する。
図9は、日報チェック装置10において表示する確認画面の表示内容を示す図である。
【0072】
図9に示す確認画面は、OCR認識結果15dと、売上管理サーバ60から取得した売上データ15e及び入金実績データ15fとの比較をすることによって、売上管理サーバ60に登録された売上データの検証の処理において、いずれかの管理項目に関してOCR認識結果15dと、売上データ15eと、入金実績データ15fとの間で不整合があった場合に表示する画面である。
図9に示す確認画面は、売上集計レシートのOCRによる項目の認識において純売上の項目が認識できていない場合の確認画面の例を示したものである。
【0073】
(a)の領域はイメージスキャナ13で読み取った売上集計レシートの画像を表示する領域であり、OCRで認識することができなかった管理項目である純売上に対するキーワードの位置と、当該管理項目に対する値の認識領域とを点線で示している。
【0074】
(b)の領域は、本日の日付と、当該売上集計レシートを読み込んで識別したテナントID及びテナント名の情報を表示する領域である。(c)の領域は、取得した売上集計レシートの画像から管理項目ごとのOCRによる認識結果であるOCR認識結果15dを表示する領域である。また、「純売上」の管理項目のOCRによる認識結果は、「?」の表示となっており、OCRによる認識ができなかったことを示している。また、管理項目「純売上」の行に関しては、反転表示となっており、OCRによる認識が正常に行えなかったことを示している。
【0075】
(d)の領域は、管理項目に対するテナントが入力した売上に係る情報である売上データ15eと、売上集計レシートの画像からのOCRによる認識結果であるOCR認識結果15dと、売上入金機50における入金実績である入金実績データ15fと、検証結果データ15gとを表示する領域である。検証結果データ15gは、列名が「過不足」で示す列に不整合なしを「○」で示し、確認が必要を「×」として表示する。また、(d)に示すように確認が必要と判定した管理項目については、反転表示にすることよって、操作者に対する確認すべき管理項目を強調して表示するようにする。尚、強調して表示する際には、文字や背景の色を変えたり、点滅させたり、ポップアップの表示を行う等の手法を採用してもよい。
【0076】
次に、
図2に示した日報チェック装置10における売上管理サーバ60に登録されている売上データの正否の判定処理の処理手順を説明する。
図10は、日報チェック装置10における売上管理サーバ60に登録されている売上データの判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
まず、レシート認識処理部16bは、イメージスキャナ13で採取した売上集計レシートの画像をレシート画像データ15cに記憶する(ステップS101)。また、レシート認識処理部16bは、レシート特徴データ15aとレシート画像データ15cとに基づいて、売上集計レシートのテナントの識別を行う(ステップS102)。具体的には、レシート特徴データ15aに登録されているいずれのテナントの売上集計レシートの特徴情報と、ステップS101で読み込んだ売上集計レシートの画像データから算出した特徴情報の類似性を評価することによってテナントの識別を行う。ステップS102のテナント識別処理においてテナントが識別できた場合(ステップS103;Yes)には、ステップS105に移行する。ステップS102のテナント識別処理においてテナントが識別できなかった場合(ステップS103;No)には、
図6に示したテナントの識別情報を入力する画面を表示して、入力部11の操作によってテナントの識別情報の入力を受け付ける(ステップS104)。
【0078】
次に、サーバデータ取得部16dは、特定されたテナントの識別情報を含むテナント情報取得要求を売上管理サーバ60に送信して、売上管理サーバ60から指定したテナントの売上に係る情報と売上入金機50に収納した現金や商品券などの入金実績の情報とを受け付けて、売上データ15e及び入金実績データ15fに記憶する(ステップS105)。また、OCR処理部16cは、特定したテナントの識別情報と、OCRパラメータ15bと、レシート画像データ15cに基づいて、売上集計レシートに印刷されたOCRによる管理項目の認識処理を行って、OCRの認識結果をOCR認識結果15dに記憶する(ステップS106)。
【0079】
日報データ検証部16eは、ステップS106の管理項目のOCR処理で得られた売上集計レシートの精算通番が精算通番データ15hの当該テナントの最終精算通番に対して1だけカウントアップされた値であるか否かの判定を行って(ステップS107)、OCR処理で得られた売上集計レシートの精算通番が精算通番データ15hの当該テナントの最終精算通番に対して1だけカウントアップされた値である場合(ステップS108;Yes)には、ステップS111に移行する。また、OCR処理で得られた売上集計レシートの精算通番が精算通番データ15hの当該テナントの最終精算通番に対して1だけカウントアップされた値とはなっていない場合(ステップS108;No)には、精算通番が正しくない旨のメッセージ表示を行って、処理を続行するか否かの入力を受け付ける(ステップS109)。ステップS109にて、処理続行が選択されなかった場合(ステップS110;No)には、処理を終了する。
【0080】
OCR処理で得られた売上集計レシートの精算通番が精算通番データ15hの当該テナントの最終精算通番に対して1だけカウントアップされた値となっていた場合(ステップS108;Yes)、若しくはステップS109にて、処理続行が選択された場合(ステップS110;Yes)には、その他の管理項目に関してOCR認識結果15dと、売上データ15eと、入金実績データ15fとにおいて不整合の有無を検証して、検証結果を検証結果データ15gに出力する(ステップS111)。ステップS111で出力した検証結果データ15gについていずれの管理項目にも不整合がない場合(ステップS112;No)には、ステップS115に移行する。また、ステップS111で出力した検証結果データ15gについていずれかの管理項目に不整合がある場合(ステップS112;Yes)には、確認画面表示部16fは、表示部12に不整合の内容を示す
図9に示したような確認画面の表示を行って、処理を続行するか否かの入力を受け付ける(ステップS113)。ステップS113で表示した確認画面で処理の続行が選択されなかった場合(ステップS114;No)には、処理を終了する。
【0081】
ステップS113で表示した確認画面で処理の続行が選択された場合(ステップS114;Yes)には、日報データ検証部16eは、OCR認識結果15d、売上データ15e、入金実績データ15f及び検証結果データ15gの内容を検証履歴データ15iに書き込む(ステップS115)。また、日報データ検証部16eは、最後に精算通番データ15hの当該テナントに対する最終精算通番を、受け付けた売上集計レシートの精算通番に更新して(ステップS116)、処理を終了する。
【0082】
上述してきたように、テナントのPOSレジスタ20によって出力された当日の売上に係る情報の集計結果である売上集計レシートの画像データを取得して、当該画像データに基づいてテナントを識別し、テナントの識別結果と、テナントの識別情報に関連づけて有している売上集計レシートに印刷された項目のOCRに係る情報とに基づいて、当該売上集計レシートの画像データをOCRすることによって売上集計レシートに印字された売上に係る情報を読み取るよう構成したので、複合商業施設におけるテナントからの売上に係る情報を効率的に収集することができる。
【0083】
なお、本実施例では、日報チェック装置10は、テナントから入手した当日の売上集計レシートに印字されている内容をOCRによって読み取ることによって売上集計レシートに印字された内容を取得して、売上管理サーバ60からテナントによって登録された当日の売上情報を取得して、日報チェック装置10において売上集計レシートに印字された内容と売上管理サーバ60に登録された内容の整合性のチェックを行うものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、テナントから入手した当日の売上集計レシートに印字されている内容をOCRによって読み取ることによって売上集計レシートに印字された内容を取得して、取得した売上集計レシートに印字された内容を売上管理サーバ60に送信して、売上管理サーバ60において売上集計レシートに印字された内容とテナントによって登録された当日の売上情報の整合性のチェックを行うようにしてもよい。
【0084】
また、本実施例では、現金や商品券などの有価媒体は売上入金機50に入金するものとして、売上入金機50に入金した実績を売上管理サーバ60経由で取得するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、売上入金機50に入金する代わりに売上集計レシートとともに日報チェック装置10の設置される管理事務所に収集して、管理事務所に収集された現金や商品券などの有価媒体の価値を計数して計数結果を日報チェック装置10で入力するようにしてもよい。また、現金のみを売上入金機50に入金して、売上入金機50に入金された現金の実績情報を売上管理サーバ60経由で取得し、現金以外の商品券などの有価媒体については売上集計レシートとともに日報チェック装置10の設置される管理事務所に収集して、管理事務所に収集された商品券などの有価媒体については管理事務所において有価媒体の価値を計数して計数結果を日報チェック装置10で入力するようにしてもよい。また、商品券などの有価媒体を管理事務所に収集する場合には、日報チェック装置10に接続されるイメージスキャナ13で収集された有価媒体の画像を取得して、あらかじめ登録しておいた有価媒体の特徴情報と当該画像を比較することによって、収集した有価媒体の種類(商品券、ギフト券及び図書券など)及び価値を識別し、その識別結果を集計することによって得られるテナントの有価媒体の種類ごとの集計金額を、
図9(d)に示した入金実績の欄に自動反映するようにしてもよい。
【0085】
また、上述の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成であることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。