(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100の構成について説明する。
【0013】
図1は、マスキング治具100を基板200面上に取り付けた状態を示す図である。
図1(a)は、マスキング治具100を基板200面上に取り付けた状態を示す上面図である。
図1(b)は、マスキング治具100を基板200面上に取り付けた状態を示す断面図であって、
図1(a)のA−A切断面における断面図である。
【0014】
図2は、マスキング治具100の構成を示す図である。
図2(a)は、マスキング治具100の構成を示す上面図である。
図2(b)は、マスキング治具100の構成を示す断面図であって、
図2(a)のB−B切断面における断面図である。
図2(c)は、マスキング治具100の構成を示す下面図である。
【0015】
図3は、マスキング治具100の第2のカバー部の構成を示す斜視図である。
図3(a)は、マスキング治具100の第2のカバー部の第1の例の構成を示す斜視図である。
図3(b)は、マスキング治具100の第2のカバー部の第2の例の構成を示す斜視図である。
【0016】
図4は、基板200の構成を示す図である。
図4(a)は、基板200の上面図である。
図4(b)は、基板200の断面図であって、
図4(a)のC−C切断面における断面図である。
図4(c)は、基板200の上面図であって、マスキング領域を示す図である。
【0017】
説明の便宜上、まず、基板200の構成から説明する。
【0018】
図4(a)〜(c)に示されるように、基板200は、基材210と、パターン配線220と、電子部品230a、230bとが設けられている。
【0019】
基材210は、矩形の板状に形成されている。なお、ここでは、基材200の形状を矩形としたが、これに限定されず、円形や多角形などであってもよい。基材200の材料には、例えばガラスエポキシ樹脂が用いられる。
【0020】
パターン配線220は、基材210の表面に、基材210の外周に沿って形成されている。パターン配線220の材料には、例えば、銅合金や金合金が用いられる。パターン配線220は、接地電位に接続されたグランドパターンである。なお、パターン配線220は、基材210の外周以外に形成されてもよい。
【0021】
電子部品230a、230bは、基材210の表面上に実装されている。電子部品230a、230bは、CPUなど熱を発する部品や、他のコネクタが接続されるコネクタや、上面側を開閉できるように構成されたシールドケースなどである。なお、その他の部品として、抵抗やコンデンサ等も基材210上に実装されるが、
図1(a)〜(c)では、省略する。また、電子部品230aと電子部品230bを区別する必要がない場合、これらの総称として、電子部品230と表す。なお、その他の部品は、本発明の電子部品に該当しないものとする。すなわち、本発明の電子部品230は、CPUなど熱を発する部品や、他のコネクタが接続されるコネクタや、上面側を開閉できるように構成されたシールドケースなどであって、マスキングしたくない部品をいうものとする。
【0022】
図4(c)に示されるように、第1のマスキング領域MA1(一点鎖線の太線に囲われた領域)は、基板200(基材210)の外周側に沿って、設けられている。この第1のマスキング領域MA1は、パターン配線220の形成領域に対応している。
【0023】
図4(c)に示されるように、第2のマスキング領域MA2(二点鎖線の太線に囲われた領域)は、基板200(基材210)の外周部に囲われた中央部に設けられている。より具体的には、第2のマスキング領域MA2は、基板200(基材210)上であって、電子部品230a、230b(CPUなど熱を発する部品や、他のコネクタが接続されるコネクタや、上面側を開閉できるように構成されたシールドケースなど)の各々の実装位置に対応する位置に、設けられている。CPUなど熱を発する部品や、他のコネクタが接続されるコネクタや、上面側を開閉できるように構成されたシールドケースなど以外の電子部品(抵抗やコンデンサ等)に対しては、第2のマスキング領域MA2は設定されない。
【0024】
ここで、被覆材塗布領域とは、基板200(基材210)上であって、第1のマスキング領域MA1および第2のマスキング領域MA2以外の領域をいう。この被覆材塗布領域には、被覆材が塗布される。なお、被覆材塗布領域は、本発明の塗布領域に対応する。
【0026】
次に、マスキング治具100の構成について説明する。
【0027】
図2(a)〜(c)に示されるように、マスクキング治具100は、外枠部110と、第1のカバー部120と、第2のカバー部130a、130bと、連結部140とを備えている。なお、マスキング治具100の材料には、樹脂が用いられる。マスキング治具100は、樹脂成型や樹脂削り出しなどによって、形成される。また、それぞれ別々に形成された各部材を組み合わせることによっても、マスキング治具100を構成してもよい。
【0028】
外枠部110は、基板200の外周に沿って矩形の枠状に形成されている。
【0029】
第1のカバー部120は、第1のマスキング領域MA1(
図2(c)を参照)の配置位置に対応する位置に設けられている。すなわち、第1のカバー部120は、基板200の外周側に設けられた第1のマスキング領域MA1を被覆するように形成されている。なお、第1のカバー部120の上面外周には、テーパTが形成されている。これにより、被覆材を基板200上に塗布しやすくすることができる。
【0030】
第1のカバー部120は、外枠部110に接続されている。第1のカバー部120は、第1のマスキング領域MA1の外周(
図2(c)にて内側の線)に沿ってリブ121が設けられている。すなわち、リブ121は、第2のマスキング領域MA2および被覆材塗布領域の境界部に沿って、配置されている。このリブ121の根元部121aは、基板200の表面から離れる側に、設けられている。リグ121の先端部121bは、基板200の表面に近づく側に、設けられている。リブ121は、根元部121a側から先端部121b側に向けて延出するように、第1のカバー部120内に形成されている。
【0031】
図2(b)に示されるように、リブ121は、先端部121b側に、傾斜面121cを有する。この傾斜面121cは、先端部121b側から根元部121a側に向けて、徐々に板厚が大きくなるように形成されている。また、リブ121の先端部121bは、基板200(基材210)の表面に、線接触するように設けられている。ここで、線接触とは、リブ121の先端部121bと基板200(基材210)の表面との接触が幾何学的に1本の線の接触となることをいう。これにより、リブ121の先端部122bを確実に基板200(基材210)の表面に当接させることができる。
【0032】
第2のカバー部130a、130bの各々は、後述の連結部140により外枠部110に連結されている。さらには、第2のカバー部130a、130bの各々は、後述の連結部140および外枠部110を介して、第1のカバー部120に連結されている。
【0033】
第2のカバー部130a、130bの各々は、第2のマスキング領域MA2(
図2(c)を参照)の配置位置に対応する位置に設けられている。すなわち、第2のカバー部130a、130bは、基板200(基材210)の外周部に囲われた中央部に設けられた第2のマスキング領域MA2を被覆するように、形成されている。第2のカバー部130a、130bの上面外周には、テーパTが形成されている。これにより、被覆材を基板200上に塗布しやすくすることができる。なお、第2のカバー部130aと第2のカバー部130bを区別する必要がない場合、これらの総称として、第2のカバー部130と表す。
【0034】
第2のカバー部130は、第2のマスキング領域MA2の外周(
図2(c)にて外側の線)に沿ってリブ131が設けられている。すなわち、リブ131は、第2のマスキング領域MA2および被覆材塗布領域の境界部に沿って、配置されている。このリブ131の根元部131aは、基板200の表面から離れる側に、設けられている。リブ131の先端部131bは、基板200の表面に近づく側に、設けられている。リブ131は、根元部131a側から先端部131b側に向けて延出するように、第2のカバー部130内に形成されている。
【0035】
図2(b)に示されるように、リブ131は、先端部131b側に、傾斜面131cを有する。この傾斜面131cは、先端部131bから根元部131a側に向けて、徐々に板厚が大きくなるように形成されている。また、リブ131の先端部131bは、基板200(基材210)の表面に、線接触するように設けられている。ここで、線接触とは、前述と同様に、リブ131の先端部131bと基板200(基材210)の表面との接触が幾何学的に1本の線の接触となることをいう。これにより、リブ121の先端部122bを確実に基板200(基材210)の表面に当接させることができる。
【0036】
なお、リブ121とリブ131は、同様の機能を有する点で、互いに対応する。同様に、傾斜面121cと傾斜面131cも、互いに対応する。
【0037】
第2のカバー部130の上部は、
図3(a)または
図3(b)に示されるように、構成されている。
【0038】
すなわち、第1の例(
図3(a))では、第2のカバー部130の上部には、板状の延出部134が形成されている。この延出部134は、連結部140に連結されている。また、この延出部134は、マスキング治具100の一括切削加工により形成されている。
【0039】
第2の例(
図3(b))では、第2のカバー部130の上部には、円柱状の延出部134Aが形成されている。この延出部134Aは、ねじSによって、連結部140に連結されている。この延出部134Aは、別ピース(3ピース構造)で形成されている。
【0040】
連結部140は、第1のカバー部120と第2のカバー部130を連結する。ただし、
図2(a)〜(c)に示す例では、連結部140は、外枠部110を介して、第1のカバー部120と第2のカバー部130を連結する。すなわち、第1のカバー部120は、外枠部110に連結されている。また、第2のカバー部130の上部に設けられた延出部134(134A)と、連結部140とが連結されている。これにより、第1のカバー部120および第2のカバー部130が、外枠部110を介して、連結部140により連結される。
【0041】
なお、本実施の形態では、マスキング治具100は外枠部110を有するものとして説明したが、マスキング治具100が外枠部110を有さない構成も考えられる。この場合、連結部140は、第1のカバー部120と第2のカバー部130を直接的に連結する。
【0042】
次に、マスキング治具100のリブ121、131の先端部121b、131b側の構成について、3つの例を説明する。
【0043】
図5は、マスキング治具100のリブ121、131の構成を示す断面図である。
図5(a)は、マスキング治具100のリブ121、131の第1の例の構成を示す断面図である。
図5(b)は、マスキング治具100のリブ121、131の第2の例の構成を示す断面図である。
図5(c)は、マスキング治具100のリブ121、131の第3の例の構成を示す断面図である。
【0044】
図5(a)〜(c)において、マスキング領域は、
図4(c)に示したマスキング領域MA1またはマスキング領域MA2に対応する。前述の通り、リブ121は、第1のマスキング領域MA1およびこの領域外の境界部に配置されている。同様に、リブ131は、第2のマスキング領域MA2およびこの領域外の境界部に配置されている。
【0045】
図5(a)に示されるように、マスキング治具100のリブ121、131の第1の例では、傾斜面121c、131cは、マスキング領域内側から被覆材塗布領域(マスキング領域外側)へ向けて、リブ121、131の板厚が徐々に小さくなるように形成されている。これにより、リブ121、131の外面(塗布領域側に露出される面)を、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界線に合わせて、配置することができる。これにより、リブ121、131の近傍であっても、被覆材を基板200(基材210)の被覆材塗布領域にむら無く塗布することができる。
【0046】
図5(b)に示されるように、マスキング治具100のリブ121、131の第2の例では、傾斜面121c、131cは、被覆材塗布領域(マスキング領域外側)からマスキング領域内側へ向けて、リブ121、131の板厚が徐々に小さくなるように形成されている。このような構成であっても、リブ121、131を構成することができる。一方、
図5(a)に示した第1の例と異なり、リブ121、131の外面(被覆材塗布領域側に露出される面)は、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界線に合わせて、配置することができない。このため、
図5(a)に示した第1の例と比較すると、リブ121、131の近傍では、被覆材を基板200(基材210)の被覆材塗布領域にむらが生じうる。したがって、この第2の例は、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界線にあまり厳密さを求めない場合に適している。
【0047】
図5(c)に示されるように、マスキング治具100のリブ121、131の第3の例では、傾斜面121c、131cは、リブ121、131の板厚方向(
図5(c)の紙面で左右方向)の両端部から中央部へ向けて、リブ121、131の板厚が徐々に小さくなるように形成されている。このような構成であっても、リブ121、131を構成することができる。一方、
図5(a)に示した第1の例と異なり、リブ121、131の外面(被覆材塗布領域側に露出される面)は、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界線に合わせて、配置することができない。このため、
図5(a)に示した第1の例と比較すると、リブ121、131の近傍では、被覆材を基板200(基材210)の被覆材塗布領域にむらが生じうる。したがって、この第3の例は、第2の例と同様に、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界線にあまり厳密さを求めない場合に適している。
【0048】
以上、マスキング治具100の構成を説明した。
【0049】
次に、マスキング治具100の使用方法を説明する。
【0050】
まず、
図2(a)〜(c)および
図3(a)〜(c)に示されるように、基板200およびマスキング治具100を準備する。
【0051】
次に、
図1(a)および
図1(b)に示されるように、基板200をテーブル(不図示)等の載置面上に設置し、基板200の表面を覆うように、マスキング治具100を設置する。このとき、第1のカバー部120が第1のマスキング領域MA1を覆うように、マスキング治具100を基板200の表面上に配置する。併せて、第2のカバー部130が第2のマスキング領域MA2を覆うように、マスキング治具100を基板200の表面上に配置する。これにより、マスキング治具100のリブ121、131が、基板200の表面のうち、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界部に配置される。
【0052】
なお、基板200をテーブル(不図示)に設置する際に、基板用位置決め部(不図示)を用いてもよい。この基板用位置決め部は、例えば、基板200の外周部に形成された貫通穴と、テーブル上に設けられたピンとの複数の組合せにより、構成される。これら複数の貫通穴の各々と、複数のピンの各々は、互いに対応する位置に配置されている。貫通穴の内径は、ピンが貫通する程度に設定されている。複数のピンの各々が複数の貫通穴の各々に挿入されることにより、基板200がテーブル上の所定の位置に固定して配置される。なお、基板位置決め部は、3箇所以上設置されることが望ましい。
【0053】
また、マスキング治具100を基板200上に設置する際に、マスキング治具用位置決め部(不図示)を用いてもよい。このマスキング治具用位置決め部は、マスキング治具100外枠110に形成された貫通穴と、テーブル上に設けられたピンとの複数の組合せにより、構成される。これら複数の貫通穴の各々と、複数のピンの各々は、互いに対応する位置に配置されている。貫通穴の内径は、ピンが貫通する程度に設定されている。複数のピンの各々が複数の貫通穴の各々に挿入されることにより、マスキング治具100がテーブル上の所定の位置に固定して配置される。なお、マスキング治具用位置決め部は、3箇所以上設置されることが望ましい。
【0054】
このようにして、基板用位置決め部およびマスキング治具用位置決め部を用いることによって、マスキング治具100および基板200の相対的な位置が決められる。
【0055】
また、マスキング治具100が基板200上に設置された状態で、マスキング治具100を基板200に固定するために、固定部(不図示)をさらに設けてもよい。例えば、マスキング治具100の上面と基板200の裏面を、テーブル面(不図示)および固定部の間で挟持するように固定部を設置する。これにより、マスキング治具100が基板200上に固定される。この結果、次の被覆材の塗布の作業中であっても、マスキング治具100および基板200の相対的な位置がずれることを防止することができる。
【0056】
次に、マスキング治具100を基板200上に設置した状態で、マスキング治具100の上側から被覆材を塗布する。これにより、マスキング領域(第1のマスキング領域MA1、第2のマスキング領域MA2)以外の領域(被覆材塗布領域)に、被覆材が塗布される。これにより、マスキング領域(第1のマスキング領域MA1、第2のマスキング領域MA2)以外の領域を、被覆材によって保護することができる。この結果、基板200のそりを抑制できる。
【0057】
被覆材の材料には、例えば合成樹脂が用いられる。合成樹脂は、絶縁性を有するので、基板200の表面の耐湿性および防塵性を向上させることができる。また、被覆材の材料に合成樹脂を用いることにより、耐熱性(高温の半田が基板200面に付着しても基板200が損傷しない。)や耐薬品性(薬品で基板200を洗浄する際に溶剤が基板200の材質に影響を与えない。)や耐静電性(基板200に静電気が発生することを抑制する。)を向上することができる。
【0058】
最後に、マスキング治具100を基板200上から取り外し、さらに基板200をテーブル上から取り外す。
【0059】
以上、マスキング治具100の使用方法について説明した。
【0060】
以上の通り、本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100は、基板200面に取り付けられて用いられるものである。マスキング治具100は、リブ121、131を備えている。リブ121、131は、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界部に沿って設けられている。また、リブ121、131は、基板200面から離れた根元部121a、131a側から基板200面に近づく先端部121b、131b側へ向けて延出する。リブ121、131の先端部121b、131bの板厚は、リブ121、131の根元部131a、121a側の板厚よりも小さい。
【0061】
このように、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界部に沿ってリブ121、131を設けているので、マスキング治具100を基板200上に設置するだけで、基板200上のマスキング領域および被覆材塗布領域以外の境界部にリブ121、131を仕切板として設置することができる。したがって、背景技術のように複数のテープを基板のマスキング領域上に貼り付けることを必要とせず、簡単な作業で、マスキング領域(基板200面のうちで被覆材を塗布したくない領域)を覆うことができる。この結果、基板200面のうちで被覆材を塗布したくない領域を覆った状態で、被覆材を基板200面上に塗布することができる。
【0062】
また、リブ121、131の先端部121b、131bの板厚は、リブ121、131の根元部131a、121a側の板厚よりも小さい。このように、リブ121、131の先端部121b、131bを細くすることにより、当該先端部121b、131bに加わる圧力を増加させることができる。これにより、基板200面とマスキング治具100との間の密着性を高めることができる。
【0063】
なお、電子部品230とリブ131の間には隙間が形成される場合がある(
図1を参照)。このように、例えば、電子部品230とリブ131の間に隙間を設けることにより、リブとマスキング対象(例えば電子部品)の間に空間を有するようにすることができる。このように、リブとマスキング対象を離間して配置することにより、被覆材が毛細管現象によって、リブ121、131の先端部121b、131bから根元部121a、131a側に向けて上昇する。この結果、被覆材がマスキング対象側に広がることを低減できる。
【0064】
また、本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100において、リブ121、131の先端部121b、131bは、基板200面に線接触する。これにより、リブ121、131の先端部121b、131bを確実に基板200面に当接させることができる。この結果、当該先端部121b、131bに加わる圧力をさらに増加させることができ、基板200面とマスキング治具100との間の密着性をさらに高めることができる。これにより、さらに、被覆材が、リブ121、131の被覆材塗油領域側の面において、毛細管現象によって、リブ121、131の先端部121b、131bから根元部121a、131a側に向けて上昇する。この結果、被覆材がマスキング領域MA1、MA2側に広がることを抑止できる。
【0065】
本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100において、リブ121、131は、先端部121b、131bから根元部121a、131a側に向けて、徐々に板厚が大きくなるように形成されている。これにより、リブ121、131の先端部121b、131bを簡単に鋭利にすることができる。この結果、リブ121、131の先端部121b、131bを、簡単に基板200面に線接触させることができる。
【0066】
本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100において、リブ121、131は、傾斜面121c、131cを有する。傾斜面121c、131cは、先端部121b、131bから根元部121a、131a側に向けて、徐々に板厚が大きくなるように形成されている。傾斜面121c、131cは、マスキング領域(第1のマスキング領域MA1、第2のマスキング領域MA2)内側からマスキング領域外側へ向けて、リブ121、131の板厚が徐々に小さくなるように形成されている。これにより、リブ121、131の外面(被覆材塗布領域側に露出される面)を、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界部に合わせて、配置することができる。これにより、リブ121、131の近傍であっても、被覆材を基板200(基材210)の被覆材塗布領域にむら無く塗布することができる。
【0067】
本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100において、複数の被覆材塗布領域が基板200面上に設けられている。これにより、マスキング治具100を基板200面上に設置するだけで、複数のマスキング領域をマスキング治具100で同時に被覆することができる。この結果、背景技術のように複数のテープを基板のマスキング領域上に貼り付けることを必要とせず、簡単な作業で、基板200面のうちで被覆材を塗布したくない複数領域を覆った状態で、被覆材を基板200面上の所望の領域に塗布することができる。
【0068】
本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100は、第1のカバー部120と、第2のカバー部130と、連結部140とを備えている。第1のカバー部120は、基板200の外周側に設けられた第1のマスキング領域MA1を被覆する。第2のカバー部130は、基板200の外周部に囲われた中央部に設けられた第2のマスキング領域MA2を被覆する。連結部140は、第1のカバー部120および第2のカバー部130を連結する(ただし、第1の実施の形態の具体例では、連結部140は、第1のカバー部120および第2のカバー部130を、外枠110を介して連結している。一方、外枠110を設けない場合、連結部140は、第1のカバー部120および第2のカバー部130を、直接的に連結することができる。)。これにより、第1のカバー部120および第2のカバー部130を簡単な構成で連結することができる。また、連結部140が設けられた位置および基板200面の間の距離DAは、リブ121、131が設けられた位置および基板200面の間の距離D1、D2よりも大きい(
図1(b)を参照)。このように、リブ121、131の設置位置と連結部140の設置位置との間に高低差を設けたことにより、マスキング治具10の高さ方向(基板200の面に対して略垂直方向、基板200の厚み方向)の影になり、被覆材の塗り残しを防ぐことができる。なお、連結部140を極力細くすることで、さらに被覆材の塗り残しを防ぐことができる。
【0069】
本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100は、位置決め部(不図示)を備えている。位置決め部は、マスキング治具100を基板200に取り付ける際に、被覆材塗布領域(第1のマスキング領域MA1および第2のマスキング領域MA2以外の領域)およびリブ121、131の相対的な位置を決めるためのものである。この位置決め部を用いることによって、マスキング治具100および基板200の相対的な位置を容易に決定するができる。
【0070】
また、本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100は、基板200に固定するための固定部(不図示)を備えている。これにより、マスキング治具100が基板200上に固定される。この結果、次の被覆材の塗布の作業中であっても、マスキング治具100および基板200の相対的な位置がずれることを防止することができる。
【0071】
本発明の第1の実施の形態におけるマスキング治具100において、被覆材は、合成樹脂である。合成樹脂は、絶縁性を有するので、基板200の表面の耐湿性および防塵性を向上させることができる。また、被覆材の材料に合成樹脂を用いることにより、耐熱性(高温の半田が基板200面に付着しても基板200が損傷しない。)や耐薬品性(薬品で基板200を洗浄する際に溶剤が基板200の材質に影響を与えない。)や耐静電性(基板200に静電気が発生することを抑制する。)を向上することができる。
【0072】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態におけるマスキング治具1000の構成について説明する。
【0073】
図6は、マスキング治具1000を双方の基板200A面上に取り付けた状態を示す図である。
図6(a)は、マスキング治具1000を双方の基板200A面上に取り付けた状態を示す上面図である。
図6(b)は、マスキング治具1000を双方の基板200A面上に取り付けた状態を示す断面図であって、
図6(a)のD−D切断面における断面図である。なお、
図6では、
図1〜5で示した各構成要素と同等の構成要素には、
図1〜5に示した符号と同等の符号を付している。
【0074】
説明の便宜上、まず、基板200Aの構成から説明する。
【0075】
図6(a)、(b)に示されるように、基板200Aは、基材210と、パターン配線220と、電子部品230a、230bと、基板側位置決め用孔260が設けられている。
【0076】
ここで、
図6(a)、(b)に示された基板200Aと、
図1(a)、(b)に示された基板200とを対比する。
【0077】
図1(a)、(b)に示されるように、基板200では、パターン配線220は、基材210の表面のみに形成されている。これに対して、
図6(a)、(b)に示されるように、基板200Aでは、パターン配線220は、基材210の表面および裏面の双方に形成されている。この点で、基板200および基板200Aは互いに相違する。
【0078】
また、
図1(a)、(b)に示されるように、基板200では、電子部品230a、230bは、基材210の表面のみに実装されている。これに対して、
図6(a)、(b)に示されるように、基板200Aでは、電子部品230a、230bは、基材210の表面および裏面の双方に形成されている。この点で、基板200および基板200Aは互いに相違する。
【0079】
さらに、
図6(a)、(b)に示されるように、基板200Aには基板側位置決め用孔260が設けられている点で、
図1(a)、(b)に示される基板200と相違する。
【0080】
図6(a)、(b)に示されるように、基板側位置決め用孔260は、基材210の角部の延出部に形成されている。この基板側位置決め用孔260は、後述の位置決め用ピン160の設置位置に対応した位置に配置されている。
【0081】
なお、
図6(a)、(b)では、基材210の双方に同じ電子部品230a、230bが実装された例を示している。しかしながら、これに限定されず、基材210の表面および裏面で互いに異なる電子部品が実装されてもよい。また、基材210の表面(
図6(b)紙面の上側)上に実装された電子部品230a、230bと、基材210の裏面(
図6(b)紙面の下側)上に実装された電子部品230a、230bは、互いに向かい合うように配置されているが、これに限定されない。
【0082】
また、
図4(c)を用いて説明した内容と同様に、第1のマスキング領域MA1(一点鎖線の太線に囲われた領域)は、基板200(基材210)の表面および裏面の双方の面の外周側に沿って、設けられている。同様に、第2のマスキング領域MA2(二点鎖線の太線に囲われた領域)は、基板200(基材210)の表面および裏面の双方の面において、外周部に囲われた中央部に設けられている。より具体的には、第2のマスキング領域MA2は、基板200(基材210)の表面および裏面の双方の面上であって、電子部品230a、230b(CPUなど熱を発する部品や、他のコネクタが接続されるコネクタや、上面側を開閉できるように構成されたシールドケースなど)の各々の実装位置に対応する位置に、設けられている。
【0083】
以上、基板200Aについて説明した。
【0084】
次に、マスキング治具1000の構成について説明する。
【0085】
図6(a)、(b)に示されるように、マスキング治具1000は、第1のマスキング治具100Aと、第2のマスキング治具100Bを備えている。
【0086】
ここで、
図6(a)、(b)に示されるマスキング治具1000と、
図1(a)、(b)に示されるマスキング治具100とを対比する。
【0087】
図6(a)、(b)に示されるように、マスキング治具1000は、2つのマスキング治具100A、100Bにより構成されている点で、
図1(a)、(b)に示されるマスキング治具100と、相違する。すなわち、マスキング治具1000では、
図6(a)、(b)に示されるように、2つのマスキング治具100A、110Bが基板200Aを挟持する構成が採用されている。一方、
図1(a)、(b)に示されるように、マスキング治具100は、基板200の表面上に配置されている。
【0088】
ここで、マスキング治具100A、100Bは、マスキング治具100の一部を変形して構成されている。
【0089】
図6(a)〜(c)に示されるように、マスクキング治具100Aは、外枠部110と、第1のカバー部120と、第2のカバー部130a、130bと、連結部140と、マスキング治具側位置決め用孔150とを備えている。また、マスクキング治具100Bは、外枠部110と、第1のカバー部120と、第2のカバー部130a、130bと、連結部140と、マスキング治具側位置決めピン160と、固定部170とを備えている。
【0090】
マスキング治具100Aとマスキング治具100を対比する。
図6(a)、(b)に示されるように、マスキング治具100Aは、外枠部110から延びる位置決め用延出部112と、この位置決め用延出部112に形成されたマスキング治具側位置決め用孔150を備えている点で、マスキング治具100と相違する。また、
図6(a)、(b)に示されるように、マスキング治具100Aは、外枠部110から延びる固定用延出部114を備えている点で、マスキング治具100と相違する。
【0091】
マスキング治具100Bとマスキング治具100を対比する。
図6(a)、(b)に示されるように、マスキング治具100Bは、外枠部110から延びる位置決め用延出部111と、この位置決め用延出部111に取り付けられたマスキング治具側位置決めピン160を備えている点で、マスキング治具100と相違する。また、
図6(a)、(b)に示されるように、マスキング治具100Bは、外枠部110から延びる固定用延出部113と、この固定用延出部113に取り付けられた固定部170を備えている点で、マスキング治具100と相違する。
【0092】
ここで述べたその他の構成については、マスキング治具100A、100Bと、マスキング治具100とは、共通する。マスキング治具100Aの第1のカバー部120および第2のカバー部130a、130bの各々は、基板200Aの表面の第1のマスキング領域MA1および第2のマスキング領域MA2の各々の配置位置に対応する位置に設けられている。マスキング治具100Bの第1のカバー部120および第2のカバー部130a、130bの各々は、基板200Aの裏面の第1のマスキング領域MA1および第2のマスキング領域MA2の各々の配置位置に対応する位置に設けられている。
【0093】
図6(a)、(b)に示されるように、マスキング治具側位置決めピン160は、基板側位置決め用孔260およびマスキング治具側位置決め用孔150に挿入される。これにより、マスキング治具100A、100Bおよび基板200Aの相対的な位置が決定される。この結果、基板200Aの表面および裏面の双方において、第1のカバー部120が第1のマスキング領域MA1上に配置され、第2のカバー部130が第2のマスキング領域MA2上に配置される。なお、
図6(a)、(b)で示す例では、マスキング治具側位置決めピン160、基板側位置決め用孔260およびマスキング治具側位置決め用孔150は、それぞれ2つずつ設けられている。しかし、好ましくはこれらそれぞれを3つ以上設けるとよい。これにより、マスキング治具100A、100Bおよび基板200Aの相対的な位置が安定的に決定される。
【0094】
図1(a)、(b)に示されるように、固定部170が固定用延出部114に係止されている。固定部170は、軸部171と、係止部172を備えている。係止部172は、軸部171の中心軸を中心に回転自在に、軸部171の先端部に取り付けられている。したがって、係止部172の下面(
図6(b)の紙面下側の面)が固定用延出部114に当接するように係止部172を回転させることで、マスキング治具100Aおよびマスキング治具100Bの間で基板200Aを挟持することができる。この結果、マスキング治具100Aおよびマスキング100Bを基板200Aに固定することができる。
【0095】
以上、マスキング治具1000の構成を説明した。
【0096】
次に、マスキング治具100の使用方法を説明する。
【0097】
図6(a)および
図6(b)に示されるように、マスキング治具100Aおよびマスキング治具100Bの間に、基板200Aを配置する。このとき、基板側位置決め用孔260およびマスキング治具側位置決め用孔150にマスキング治具側位置決めピン160を、挿入する。これにより、マスキング治具100A、100Bおよび基板200Aの相対的な位置が決定される。この結果、基板200Aの表面および裏面の双方において、第1のカバー部120が第1のマスキング領域MA1上に配置され、第2のカバー部130が第2のマスキング領域MA2上に配置される。マスキング治具100A、100Bの各リブ121、131の先端部121b、131bが、基板200Aの表面および裏面のうち、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界部に配置される。
【0098】
次に、係止部172の下面(
図6(b)の紙面下側の面)が固定用延出部114に当接するように係止部172を回転させることで、マスキング治具100Aおよびマスキング100Bの間で基板200Aを挟持する。これにより、マスキング治具100Aおよびマスキング100Bを基板200Aに固定することができる。すなわち、マスキング治具1000が基板200Aに固定される。この結果、次の被覆材の塗布の作業中であっても、マスキング治具100A、100Bおよび基板200Aの相対的な位置がずれることを防止することができる。
【0099】
次に、マスキング治具1000を基板200Aに固定した状態で、マスキング治具100Aの上側から被覆材を塗布する。これにより、基板200Aの表面において、マスキング領域(第1のマスキング領域MA1、第2のマスキング領域MA2)以外の領域に、被覆材が塗布される。マスキング治具1000が固定された基板200Aを反転させて、基板200Aの裏面が上側に、基板200Aの表面が下側になるように配置する。この状態で、マスキング治具100Bの上側から被覆材を塗布する。これにより、基板200Aの裏面において、マスキング領域(第1のマスキング領域MA1、第2のマスキング領域MA2)以外の領域(被覆材塗布領域)に、被覆材が塗布される。これにより、基板200Aの表面および裏面の双方において、マスキング領域(第1のマスキング領域MA1、第2のマスキング領域MA2)以外の領域(被覆材塗布領域)を、被覆材によって保護することができる。この結果、基板200Aのそりを抑制できる。
【0100】
被覆材の材料には、例えば合成樹脂が用いられる。合成樹脂は、絶縁性を有するので、基板200Aの表面の耐湿性および防塵性を向上させることができる。また、被覆材の材料に合成樹脂を用いることにより、耐熱性(高温の半田が基板200面に付着しても基板200Aが損傷しない。)や耐薬品性(薬品で基板200Aを洗浄する際に溶剤が基板200の材質に影響を与えない。)や耐静電性(基板200Aに静電気が発生することを抑制する。)を向上することができる。
【0101】
次に、マスキング治具1000(マスキング治具100A、100B)を基板200Aから取り外す。
【0102】
以上、マスキング治具1000の使用方法について説明した。
【0103】
以上の通り、本発明の第2の実施の形態におけるマスキング治具1000は、基板200Aの両面(表面および裏面)に取り付けられて用いられるものである。マスキング治具1000は、リブ121、131を備えている。リブ121、131は、マスキング領域および被覆材塗布領域(第1のマスキング領域MA1、第2のマスキング領域MA2)の境界部に沿って設けられている。また、リブ121、131は、基板200A面の各々(表面、裏面)から離れた根元部121a、131a側から、基板200A面の各々(表面、裏面)に近づく先端部121b、131b側へ向けて延出する。リブ121、131の先端部121b、131bの板厚は、リブ121、131の根元部131a、121a側の板厚よりも小さい。
【0104】
このように、マスキング領域および被覆材塗布領域の境界部に沿ってリブ121、131を設けているので、マスキング治具1000を基板200Aに設置するだけで、基板200A上のマスキング領域および被覆材塗布領域の境界部にリブ121、131を仕切板として設置することができる。したがって、背景技術のように複数のテープを基板のマスキング領域上に貼り付けることを必要とせず、簡単な作業で、マスキング領域(基板200A面のうちで被覆材を塗布したくない領域)を覆うことができる。この結果、基板200A面のうちで被覆材を塗布したくない領域を覆った状態で、被覆材を双方の基板200A面上の所望の領域に塗布することができる。
【0105】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。