(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404678
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】分散した炭素およびマイクロテクスチャ表面を有する画像形成ブランケット
(51)【国際特許分類】
B41N 1/12 20060101AFI20181001BHJP
B41M 1/06 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
B41N1/12
B41M1/06
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-215036(P2014-215036)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-85691(P2015-85691A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2017年9月5日
(31)【優先権主張番号】14/068,932
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502096543
【氏名又は名称】パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ビン・アール・シェイ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ディー・ストウ
【審査官】
藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−538319(JP,A)
【文献】
特表2005−527395(JP,A)
【文献】
特開2012−096537(JP,A)
【文献】
特開2014−141090(JP,A)
【文献】
特開2001−225565(JP,A)
【文献】
特開2004−066736(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/115596(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0074718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 1/00 − 1/24
B41N 10/00 −10/06
B41M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変データリソグラフ印刷システムのための画像形成ブランケットであって、
カーボンブラック、および
表面処理されたヒュームドシリカ
を組み込むシリコーンまたはフルオロシリコーン体を含む、画像形成ブランケット。
【請求項2】
前記表面処理されたヒュームドシリカが、前記画像形成ブランケットの2重量%を超えて、15重量%未満で含まれる、請求項1に記載の画像形成ブランケット。
【請求項3】
前記表面処理されたヒュームドシリカが、前記画像形成ブランケットの実質的に9.06重量%で含まれる、請求項2に記載の画像形成ブランケット。
【請求項4】
前記カーボンブラックが、前記画像形成ブランケットの実質的に5重量%を超え、30重量%未満で含まれる、請求項2に記載の画像形成ブランケット。
【請求項5】
前記カーボンブラックが、前記画像形成ブランケットの実質的に15重量%で含まれる、請求項4に記載の画像形成ブランケット。
【請求項6】
カーボンブラックおよび表面処理されたヒュームドシリカ
を組み込むポリマー体
を含む画像形成ブランケットと、
前記画像形成ブランケットに湿潤溶液の層を適用するための湿潤溶液サブシステムと、
前記湿潤溶液において潜像を製造するために、前記湿潤溶液層の部分を選択的に除去するためのパターニングサブシステムと、
画像形成ブランケットにわたってインクを適用するためのインキングサブシステムであって、こうして前記インクは、選択的に画像形成ブランケットの領域を占め、この領域においては湿潤溶液が、インク着色された潜像を製造するために、サブシステムをパターニングすることによって除去されたサブシステムと、
前記インク着色された潜像を基材に転写するための画像転写サブシステムと
を含む可変データリソグラフシステム。
【請求項7】
前記表面処理された前記ヒュームドシリカが、前記画像形成ブランケットの2重量%を超えて15重量%未満で含まれる、請求項6に記載の可変データリソグラフシステム。
【請求項8】
前記表面処理されたヒュームドシリカが、前記画像形成ブランケットの実質的に9.06重量%で含まれる、請求項7に記載の可変データリソグラフシステム。
【請求項9】
前記カーボンブラックが、前記画像形成ブランケットの実質的に5重量%を超え、30重量%未満で含まれる、請求項8に記載の可変データリソグラフシステム。
【請求項10】
前記カーボンブラックが、前記画像形成ブランケットの実質的に15重量%で含まれる、請求項9に記載の可変データリソグラフシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マーキングおよび印刷システム、より詳細には制御された表面トポグラフィを有するこうしたシステムの画像転写要素に関する。
【背景技術】
【0002】
オフセットリソグラフは、現在の一般的な印刷方法である。(本明細書の趣旨上、用語「印刷」および「マーキング」は、相互交換可能である。)典型的なリソグラフプロセスにおいて、画像転写要素または画像形成プレート(平らなプレート様構造、シリンダの表面またはベルトなどであってもよい)は、疎水性および親油性材料から形成される「画像領域」と、親水性材料から形成される「非画像領域」とを有するように構成される。画像領域は、印刷材料またはマーキング材料(例えば、インク)によって占められる最終プリント(すなわち、ターゲット基材)上のエリアに対応する領域であり、それに対して、非画像領域は、このマーキング材料によって占められていない最終プリント上のエリアに対応する領域である。親水性領域は、一般に、湿し水(fountain solution)または湿潤液(dampening fluid)と呼ばれる水ベースの流体(通常、水および少量のアルコール、ならびに他の添加剤および/または例えば表面張力を低下させるための界面活性剤からなる)を受け入れ、この流体によって容易に湿潤される。疎水性領域は、湿潤液をはじき、インクを受け入れるが、一方で親水性領域にわたって形成された湿潤液は、インクを拒絶するための流体「離型層」を形成する。故に、画像形成プレートの親水性領域は、最終プリントの非印刷エリア、すなわち「非画像エリア」に対応する。
【0003】
インクは、基材、例えば紙に直接転写されてもよく、または中間体表面、例えばオフセット印刷システムにおけるオフセット(すなわちブランケット)シリンダに適用されてもよい。後者の場合において、オフセットシリンダは、基材(画像形成ブランケットの山から谷までの表面深度よりいくぶん大きい山から谷までの表面深度を有し得る)のテクスチャに適合し得る表面を有する適合性コーティングまたはスリーブによって覆われる。ブランケットまたはオフセットシリンダから基材へ画像を転写するために、十分な圧力が使用される。
【0004】
上記のリソグラフ印刷およびオフセット印刷技術は、印刷されるべき画像(またはそのネガ型)で永久的にパターニングされたプレートを利用するので、例えば雑誌、新聞などの同じ画像の多数のコピー(すなわち、大部数印刷)を印刷する際にのみ有用である。これらの方法は、印刷シリンダおよび/または画像形成プレートを取り除き、入れ替えることなしに、1つの頁から次の頁へ異なるパターンを印刷する(本明細書において可変印刷と称される)ことはできない(すなわち、この技術は、例えばデジタル印刷システムの場合のように、画像が刷から刷へと変わる場合の真の高速可変データ印刷を提供できない)。
【0005】
一般に、湿潤液は、画像プレート上に相対的に薄い層として適用される。ある程度の表面ラフネスが、湿潤液をその上に保持するために必要とされる。一部の市販の画像形成システムにおいて、具体的な非印刷エリアは、湿潤流体の薄層を保持することを目標とする適切な表面ラフネスを有する表面によって規定される。表面ラフネスを提供することは、部分的には、画像形成プレートを形成する材料の機能である。金属画像形成プレートは、種々のテクスチャリング方法、例えばエッチング、アノーダイジングなどを受けやすい。
【0006】
典型的な画像形成プレートの機能およびインキングのためにパターニングされた湿潤液を保持し、そのインクパターンを基材に送達するために典型的なブランケットの機能の両方を果たすための構造を使用する可変データリソグラフデバイス群が開発されている。これらの機能の両方を果たすブランケットは、本明細書において画像形成ブランケットと称される。画像形成ブランケットは、湿潤液を保持し、その表面が選択されたテクスチャを有することを必要とする。画像形成ブランケットのテクスチャリングは、最適化の機会を与える。
【0007】
さらに、画像形成ブランケットは、パターニングの間に湿潤液の迅速な蒸発を可能にするために熱吸収性でなければならない。熱吸収性の1つの態様は、画像形成ブランケットの組成である。画像形成ブランケットの組成を、ブランケットの他の要件、例えばテクスチャ、耐久性、水および油に対する親和性などと共に熱吸収性とバランスをとるように構成することにより、さらなる最適化の機会を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本開示は、当該技術分野において同定されている必要性に対処する可変データリソグラフシステムのための画像形成ブランケットを提供するためのシステムおよび方法を対象とする。開示の1つの態様に従って、そこに組み込まれるカーボンブラックおよび測定量の表面処理されたヒュームドシリカを有するポリマー体を含む可変データリソグラフ印刷システムのための画像形成ブランケットが開示される。カーボンブラックは、使用中の画像形成ブラケットにわたって形成される湿潤液層の熱パターニングのために熱吸収効率を改善するように作用する。しかし、カーボンブラックは、ポリマー体にクランプを形成する傾向があり、熱吸収の非効率性およびマクロスケールのアーチファクトを導き、画像形成ブランケットの表面の所望のマイクロテクスチャに影響を与える。表面処理されたヒュームドシリカは、ポリマー体中のカーボンブラックの分散を補助し、熱吸収を改善すると共に、マクロスケールのアーチファクトを低減する。表面処理されたヒュームドシリカはさらに、画像形成ブランケットを形成するために使用されるモールドのテクスチャ表面と適合するようにポリマー体を補助し、それによって画像形成ブランケット上へのマイクロテクスチャリングされた表面の形成を改善する。
【0009】
この態様の特定の実施では、画像形成ブランケットの2重量%を超え、15重量%未満で含まれる表面処理されたヒュームドシリカを有する画像形成ブランケットを提供してもよい。他の実施では、この画像形成ブランケットの9.06重量%で含まれる表面処理されたヒュームドシリカを有する画像形成ブランケットを提供し得る。
【0010】
この態様の特定の実施では、画像形成ブランケットの5重量%を超え、30重量%未満で含まれる、特定の実施形態では画像形成ブランケットの実質的に15重量%で含まれるカーボンブラックを有する画像形成ブランケットを提供し得る。他の実施では、画像形成ブランケットの実質的に15重量%で含まれるカーボンブラックを有する画像形成ブランケットを提供し得る。特定の実施において、カーボンブラックは半導体性であってもよい。
【0011】
他の実施によれば、ポリマー体は、シリコーンまたはフルオロシリコーンを含んでいてもよい。
【0012】
開示のさらに他の実施によれば、24〜36インチの範囲の長さおよび8〜18インチの範囲の幅を有する画像形成ブランケットである。この画像形成ブランケットは、完全な可変データリソグラフ印刷システムの一部分を形成してもよい。
【0013】
本明細書に開示される方法の特定の実施によれば、可変データリソグラフ印刷システムのための画像形成ブランケットは、ポリマー、カーボンブラック、および表面処理されたヒュームドシリカを含む組成物をモールド構造に適用する工程であって、このモールド構造は、反復性の周期性マイクロテクスチャを有する表面をこの組成物に与える工程;組成物をモールド内で硬化する工程;およびこの組成物をモールドから離型して、画像形成ブランケットを製造し、画像形成ブランケットの表面が、明確に規定された周期性を有するこのマイクロテクスチャを含むように成型する工程によって製造されてもよい。
【0014】
特定の実施において、本明細書および上記で開示されるタイプの画像形成ブランケットは、可変データリソグラフシステムの要素を形成してもよい。画像形成ブランケットに加えて、こうしたシステムは、湿潤溶液サブシステム、パターニングサブシステム、インキングサブシステム、および画像転写サブシステムを含んでいてもよい。
【0015】
上記は、本開示の多数の独特の態様、特徴および利点の簡単な要約である。上記要約は、以下の完全な説明に関する文脈および特定の概念を導入するために提供される。しかし、この要約は排他的ではない。上記要約は、特許請求される主題の態様、特徴、または利点の排他的な同定として読まれるべきではない。故に、上記要約は、特許請求の範囲に限定を与えるようにも、この特許請求の範囲を決定するいかなる他の方法によって限定を与えるようにも読まれるべきではない。
【0016】
本明細書に添付される図面において、同様の参照番号は、種々の図面間で同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、種々の異なる画像形成ブランケット添加剤の配合物の組成を示す表であり、これらの配合物は、粒子クランピング、表面テクスチャの質および可変データリソグラフのために使用されるタイプの画像形成ブランケットの他の属性などに対するこうした添加剤の種々の組み合わせの効果を調査するために使用される。
【
図2】
図2は、本明細書に開示され、本明細書でさらに議論されるタイプの画像形成ブランケットをモールドするために使用される例としてのナノテクスチャリングされたマスターの平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される例としてのナノテクスチャリングされたマスターの断面図である。
【
図4】
図4は、本明細書に開示されるプロセスに従う画像形成ブランケットを製造するために使用されるベースモールド表面の走査電子顕微鏡である。
【
図5】
図5は、
図1の表に詳述されるようなサンプル1のパラメータに従って形成された画像形成ブランケットの走査電子顕微鏡写真である。
【
図6】
図6は、
図1の表に詳述されるようなサンプル4のパラメータに従って形成される画像形成ブランケットの走査電子顕微鏡写真である。
【
図7】
図7は、
図1の表に詳述されるようなサンプル5のパラメータに従って製造される画像形成ブランケットのサンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【
図8】
図8は、
図1の表に詳述されるようなサンプル8のパラメータに従って形成される画像形成ブランケットのサンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【
図9】
図9は、
図1の表に詳述されるようなサンプル9のパラメータに従って製造される画像形成ブランケットのサンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【
図10】
図10は、
図1の表に詳述されるようなサンプル10のパラメータに従って製造される画像形成ブランケットのサンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【
図11】
図11は、
図1の表に詳述されるようなサンプル11のパラメータに従って製造される画像形成ブランケットのサンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【
図12】
図12は、
図1の表に詳述されるようなサンプル12のパラメータに従って製造される画像形成ブランケットのサンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【
図13】
図13は、
図1の表に詳述されるようなサンプル13のパラメータに従って製造される画像形成ブランケットのサンプルの走査電子顕微鏡写真である。
【
図14】
図14は、本明細書においてさらに開示および議論されるタイプの画像形成ブランケットを含む可変データリソグラフ印刷システムを構成する選択されたサブシステムの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に記述される例の多くは、印刷のためにインクパターニングされる均一に粒状化され、テクスチャリングされたブランケット表面を有する画像形成ブランケット(例えば印刷スリーブ、ベルト、ドラムなどを含む)を対象とする。可変データリソグラフ印刷のなおさらなる例において、硬度の低い(low durometer)ポリマー画像形成ブランケットを有するダイレクト・セントラル・インプレッション印刷ドラムが使用され、その上に、例えば湿潤液が形成され、インク着色されてもよい。こうしたポリマー画像形成ブランケットは、他のパラメータのうち、表面ラフネス、放射線吸収性、および疎油性の独特の仕様を必要とする。
【0019】
制御された表面ラフネスは、例えば近赤外(IR)入射レーザービームによる後続の選択除去のために相対的に非常に薄い(例えば200nmのオーダー)湿潤液層を保持する機能を有する。特定の実施形態において、表面処理されたヒュームドシリカの組み込みは、画像形成ブランケットにおける炭素分散(改善された熱吸収効率を生じる)および所望の表面マイクロテクスチャの形成の両方を改善することを見出した。さらに、ヒュームドシリカのこうした組み込みにより、以前のテクスチャリング手法に見られるテクスチャの不規則性の問題に対処するテクスチャを生じ、特にテクスチャ中に1ミクロン(<11−Jm)未満のピッチおよび高さを生じる。
【0020】
本開示によれば、ポリマー体を有する可変データリソグラフ画像形成ブランケットの表面テクスチャリング方法が開示される。特定の実施形態によれば、この方法は、ポリマー表面テクスチャリングを含む。ポリマー(例えばシリコーン)画像形成ブランケットは、キャスティングによって形成されることが多い。典型的なキャスト直後のポリマー表面は、高い表面光沢を、特に成型面の表面に有している。選択されたヒュームドシリカは、形成中にブランケット材料に導入される。
【0021】
本明細書に開示される可変データリソグラフ画像形成ブランケットのための1つの製作プロセスによれば、白金硬化される二成分液体のシリコーン化学物質が使用される。配合物のPartAは、以下の通りに調製されてもよい:ビニル末端処理されたまたはビニル含有シリコーンまたはビニル末端処理されたフルオロシリコーン(50〜70重量%)、カーボンブラック(10〜20重量%)、表面処理されたシリカ(2〜10重量%)、溶媒(固形分重量の2〜3倍)、および研削媒体(上述の成分の総重量の1〜2倍)の混合物を、ペイントシェーカー、ロールミル、または顔料磨砕機を用いて8〜24時間混合する。配合物のPartBは、メチルヒドロシリコーンまたはフルオロヒドロシリコーン(10〜20重量%)および溶媒(ヒドロシリコーンの重量の1〜6倍)を混合することによって調製される。白金触媒(10〜200ppm)をPartA混合物に添加し、続いてpartBを添加する。得られた混合物を、例えば30分未満で混合し、次いでヒュームドシリカを導入し、材料をさらに混合する。
【0022】
本開示のいくつかの一般的な最終目的は、それぞれ以下にさらに議論されるように、改善された炭素分散、およびブランケット上へのマイクロテクスチャの形成にある。表面処理された疎水性ヒュームドシリカの導入は、これらの最終目的を達成できる予測できない手法である。
【0023】
炭素分散を改善するための別の手法は、表面処理されたカーボンブラック、例えばCabot’s Emperorシリーズのカーボンブラック(Cabot Corporation,Boston,MA)を使用することである。伝導性(または半導体性)カーボンブラック、例えばCabot’s Vulcan XC72、0rion Engineering Carbon’s Printex L6およびPrintex XE−2B(Orion Engineered Carbons,Kingwood,TX)は、熱吸収充填材の例である。処理されたシリカの例としては、Cabosil TS−610およびTS−530(Cabot Corporation,Boston,MA)ならびにEvonik Aerosil R812(Evonic Industries,Parsippany,NJ)が挙げられるが、これらに限定されない。広範囲の分子量を有するビニル含有またはヒドロシラン含有シリコーンおよびフルオロシリコーンは、Gelest Inc.(Gelest,Inc.,Morrisville,PA19067)、Momentive Performance Materials Inc.(Momentive,Columbus,OH43215)、Dow Corning(Dow Corning Corporation,Midland,Ml)、NuSil Technology(NuSil Technology LLC,Carpinteria,CA93013)、およびWacker(WackerChemieAG,Munich,Germany)で入手可能である。
【0024】
図1は、画像形成ブランケット添加剤の種々の配合物の複数の例および得られた構造の評価を示す。これらの例の比較が、例えば選択された配合物を評価するために使用されてもよい。いくつかの市販のカーボンブラック材料が、これらの例において、フルオロシリコーン体材料を含む画像形成ブランケットにおいて、使用される(が、シリコーンおよび他の同様の材料も利用されてもよい)。
【0025】
シリコーンブランケットをテクスチャリングする既知の方法は、従来のオフセット印刷プレート、ダイアモンドマイクロ研磨フィルムまたは酸化アルミニウムラッピングフィルム上に液体シリコーンを湿式キャスティングすることを含む。しかし、既知のプレートおよびフィルムのテクスチャは、極めて確率的である。そのため、本発明者らは、特殊化したマイクロテクスチャリングされたマスターモールド(例えばNanotexx GmbHから入手可能)を利用している。マイクロテクスチャリングされたマスターエンボス加工ローラがまず、従来の半導体リソグラフ技術によって製作される。次いでローラのマイクロテクスチャが、薄いMylarフィルム上に堆積された湿式ソフトラッカーコーティング上にインプリントされる。インプリントされたラッカーは、次いでUV光によって硬化され、よく規定されたナノテクスチャを有する最終モールドフィルムを与えるためにUV光によって硬化される。マスターモールドを製造するための他のプロセスは、既知であり、本明細書に開示されるものに限定されない。
【0026】
1つ以上の多くの可能性としてのナノテクスチャ設計および配置は、成型中に、ブランケットへの最終的な転写のためにモールド表面に形成されてもよい。これらの設計および配置としては、ピラミッド、六角形、および円形が挙げられるが、これらに限定されない。ナノテクスチャの1つの例は、
図2および3に示されるように、サブミクロンピッチ(0.1〜1.0ミクロン)、ピッチ直径(0.1〜1.0ミクロン)および深さ(0.1〜1.0ミクロン)を有する六角形の十分な充填である。
【0027】
図1に示されるように、一連のブランケットサンプルは、高度な炭素分散およびナノテクスチャ再現性を達成するために最も望ましい配合物を決定するために調製および特徴付けられる。本発明者らは、高度の炭素分散および高品質のテクスチャ再現性を達成するために、カーボンブラック、フルオロシリコーン油、分散剤、シリカエアロゲル、および表面処理されたシリカの使用を調査した。ブランケットサンプルの製作のための詳細な手順を以下でさらに議論する。
【0028】
3つのタイプの伝導性カーボンブラック、すなわちCabot Vulcan XC72,Orion PrintexL6およびXE−28(それぞれBET表面積220、250および1000m
2/g)を調べた。炭素分散の質およびテクスチャ再現性は、走査電子顕微鏡法を用いて、それぞれ炭素クランプのサイズおよび成型された表面を決定するためのブランケットサンプルの断面を試験することによって特徴付けた。Cabot Vulcan XC72カーボンブラックを含有するサンプル1〜3について
図1の表に示されるように、3〜15ミクロンの区別可能な炭素クランプが観察され、炭素分散が非常に劣ることが示された。同様に、より大きな炭素クランプが、Orion Printex L6カーボンブラックを含有するサンプル4〜7について観察された。これらは、添加剤、例えばフルオロシラン分散剤、例えば1H,1H,2H,2H−フルオロオクチルトリヒドロキシシラン、シリカエアロゲル、および未処理シリカ、例えばAldrichシリカS5130は、炭素クランプを壊すのには有効でないことを示していた。予測できないことに、表面処理されたシリカ、例えばEvonikAerosil R812の存在下では、炭素クランプは、2.67〜4.49重量%のR812を有するサンプル8〜10によって例示されるように、より均一なパッチに壊されていた。パッチは、区別可能なクランプまたはパッチが見られなかったサンプル11によって例示されるように、R812をさらに9.0重量%まで増大させると消失した。
【0029】
約1ミクロンのピッチ長さおよび高さを有するNanotexxモールド(
図4を参照のこと)は、種々の配合物のテクスチャ再現性を調べるために使用した。サンプル1および4についてそれぞれ
図5および6に例示されるように、サンプル1の場合よりもサンプル4の場合に突き出た炭素クランプが少ない。結果として、サンプル4は、より良好なテクスチャ再現性を示し、Orion Printex L6は、Cabot Vulcan XC72よりもフルオロシリコーン結合剤との適合性が高いことを示している。
【0030】
本発明者らは、フルオロシリコーンブランケットにおいて添加剤としてシリカナノ粒子の使用を調査した。シリカエアロゲル(サンプル5)および未処理の親水性シリカ(サンプル6および7)の使用では、テクスチャ再現性を改善できなかった。例えばサンプル5について
図7を参照のこと。対照的に、表面処理された疎水性シリカ、例えばEvonik’s R812を使用することにより、サンプル8〜12について
図8〜11に示されるように、炭素分散を改善するだけでなく、テクスチャ再現性を改善する。結果は、炭素クランプが存在すると、不均一な表面を生じ、モールドと不均一に接触し、ひいてはテクスチャ再現性が悪くなることを示している。未処理のシリカは、親水性(表面Si−OH基による)であり、配合物中の残りの疎水性成分(ビニル末端処理されたフルオロシリコーン、トリフルオロトルエン、およびカーボンブラックを含む)と適合性ではなく、自己アグロメレーションを生じ易い。一方、表面Si−OCH
3基を有する表面処理されたシリカは、疎水性成分の中で、均一に分散できる疎水性である。しかし、その存在下で炭素クランプを壊すことは予測できない。カーボンブラック粒子とシリカナノ粒子との間の高い親和性が存在することで、炭素クランプの破壊を導くというのが1つの理論である。
【0031】
高表面積カーボンブラック、例えばOrion Printex XE−28(サンプル12)の使用により、断面図において炭素クランプのないブランケットを与えた。しかし、
図12に示されるように、わずかに突き出た炭素パッチにより生じた不均一な表面は、テクスチャ再現性が劣る可能性があることは注目に値する。Orion Printex L6およびXE−28の両方を含有するサンプル13は、炭素クランプを示し、テクスチャ再現性が劣る。Orion Printex XE−28について炭素クランプが存在しないことは、Cabot Vulcan XC72およびOrion Printex L6の場合より約4倍高い1000m
2/gというその相当大きな表面積に起因し得る。
【0032】
サンプル調製のための一般的手順を、
図1の第1欄に列挙されたサンプル1の調製について以下に記載する。炭素分散液は、まずCabot Vulcan XC72 カーボンブラック(0.85g)、NuSil FS−3502−1A(5.4g)、1,3,5−トリス[(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチル]シクロトリシロキサン(D3F,0.84g)、トリフルオロトルエン(16g)、およびステンレススチールボール(20g)を、60mlのポリプロピレン(PP)ボトルに添加することによって調製された。得られた混合物は、リストアクションシェーカーを用いて高速で一晩振とうした。白金触媒(70マイクロリットル,白金濃度2.1〜2.4%を有するGelest製SIP6831.2)を、マイクロシリンジを介して60mlのPPボトルに添加し、得られた混合物をリストアクションシェーカーにおいて5分間振とうし、最終PartA混合物を得た。Nusil XL150、メチル(methy)ヒドロフルオロシリコーン(1.2g)およびトリフルオロトルエン(2.4g)を含有するプレ混合されたPartB溶液を一度にPPボトルに添加し、得られた混合物を10分間振とうした。最終混合物を、4インチ×4インチのポリプロピレン皿の底部に対して両面接着剤によって保持された3.5インチ×3.5インチのナノテクスチャリングされたモールド(
図2および3に対して議論されるように)に注いだ。溶媒を蒸発させ、混合物を室温で一晩硬化させ、フルオロシリコーンサンプル1を得た。
【0033】
乾燥されたサンプルをモールドから放出し、テクスチャサイドが上になるようにアルミニウムプレートに置き、次いで160〜170℃のオーブンで少なくとも6時間完全に硬化するまで硬化し、最終サンプル1を得た。得られたブランケット材料のテクスチャを、次いで走査電子顕微鏡法によって特徴付けた。
図4に示されるように、3〜15ミクロンの炭素クランプが見られ、結果として不均一な表面をもたらし、炭素分散が非常に劣ることを示す。観察されたサイズのクランプは、画像形成ブランケット表面テクスチャのサイズおよび均一性、熱効率、耐摩耗性などに負の影響を与える。加えて、テクスチャ再現性が劣り、主に炭素クランプエリアにて生じる。
【0034】
議論されたように、サンプル2および3は、他の構成要素、例えば溶媒のパーセンテージを変動させると同時に、Cabot Vulcan XC72を用いる追加の例である。
図1のサンプル4から12は、Orion Printex L6(Orion Engineered Carbons,Kingwood,TX)、Orion Printex XE−28、または両方を用いた追加の例を示す。
【0035】
1つの特定伝導性カーボンブラックOrion Printex L6と組み合わせて表面処理されたシリカを使用することにより、結果として炭素クランプを壊すことによって炭素分散を改善することを示した。他のカーボンブラック組成物、例えばCabotおよびXE−28炭素について表面処理されたシリカの使用に関するデータは提供されていないが、カーボンブラックについてのこの手法は一般化され、それらについても同様に作用し得る。
【0036】
カーボンブラックに加えて、ヒュームドシリカを、形成中に
図1からの種々の例に導入した。3つのタイプのシリカ、すなわちDow Corningシリカエアロゲル(Dow Corning Corporation,Midland,Ml)、AldrichシリカS5130(Sigma−Aldrich Company,St.Louis,MO)、およびAerosil R812(Evonic Industries,Parsippany,NJ)を添加剤として調査した。これらを、
図1のサンプル6〜11について例示する。
【0037】
図1に示されるように、炭素クランプおよび劣るテクスチャ再現性は、Dow Corning AerogelおよびAldrich ヒュームドシリカS5130(例7〜9)の存在において見られた。しかし、Aerosil R812は、この材料の重量%が2.67%から4.46%および9.06%(例10〜12)に増大するときに、炭素分散および表面テクスチャ再現性に顕著な改善を示した。9.06%のAerosil R812を含有する画像形成ブランケットサンプル12は、炭素クランプがなく、優れたマイクロテクスチャ製造を示した。Aerosil R812は、表面処理されたヒュームドシリカであり、Aldrich ヒュームドシリカS5130は表面処理されていない。
【0038】
一般に、画像形成ブランケットシステムにおいて表面処理されたヒュームドシリカを提供する利益は、シリカがブランケット固形分の約5重量%よりも多い量で、約15重量%までの量で存在する場合に実現される(しかし、上限は、ブランケットの得られる脆弱性によって設定され、これは多くの変数の関数であるが、これらとしては、ブランケットシステムに存在する他の材料およびブランケットを形成するためのプロセスが挙げられるが、これらに限定されない)。上記で議論される1つの特定実施形態によれば、実質的に9.06の重量%の表面処理されたヒュームドシリカは、観察された最適化された炭素分散および表面マイクロテクスチャ形成を与えた。しかし、画像形成ブランケットシステムの他の組成物のような他の実施形態によれば、他のパーセンテージでも最適であり得る。
【0039】
本発明者らは、上記例の結果を拡張し、可変データリソグラフ用途のために商業的に実現可能なフルオロシリコーン画像形成ブランケットを製造した。こうしたブランケットは、長さが24〜36インチ程度および幅が8〜18インチ程度である。歴史的には、表面処理されたヒュームドシリカの組み込みにより、こうした大面積の均一な小さいフィーチャテクスチャリングを得ることは困難であったが、製造された画像形成ブランケットは、高度に均一なサブミクロンのテクスチャリングを示し、適切な成型構造から正確に再現された。山と谷は、表面積全体にわたって均一にランダムである。
【0040】
上記で記載されるタイプの画像形成ブランケットは、
図14に示されるように、可変データリソグラフ印刷システムにおいて配置されていてもよく、これはこうしたシステムの特定のサブシステムを例示するが、こうしたブランケットが配置されていてもよい多くの例の1つに過ぎない。システム10は、上記で記載されるタイプの画像形成ブランケット12を保持する画像形成部材(この実施形態においてはドラムであるが、これは等価に、プレート、ベルトなどであってもよい)を含む。画像形成ブランケット12は、基材14が、画像形成ブランケット12とインプレッションローラ18との間に挟まれているニップ16にて基材14にインク画像を適用する。種々広範なタイプの基材、例えば紙、プラスチックまたは複合シートフィルム、セラミック、ガラスなどを使用してもよい。この説明の明確性および簡潔性のために、本発明者らは、基材が紙であると想定し、本開示は、その基材の形態に限定されないことを理解する。例えば他の基材としては、ボール紙、波形包装材料、木材、セラミックタイル、布地(例えば衣類、ドレープ、衣料品など)、透明またはプラスチックフィルム、金属箔などを挙げることができる。10重量%を超える顔料密度を有するものを含む広い許容度のマーキング材料が使用されてもよく、これらとしては、包装に有用な金属性インクまたは白色インクが挙げられるが、これらに限定されない。開示のこの部分の明確性および簡潔性のために、本発明者らは、一般に用語インクを使用し、これはマーキング材料の範囲、例えばインク、顔料および他の材料の範囲を含むと理解され、これは本明細書に開示されるシステムおよび方法によって適用されてもよい。
【0041】
画像形成ブランケット12の周りの第1の位置に、湿潤液サブシステム30を配置する。湿潤溶液サブシステム30は、一般に、画像形成ブランケット12の表面を均一に湿潤するために一連のローラ(湿潤ユニットと称する)を含む。多くの異なるタイプおよび構成の湿潤ユニットが存在することが周知である。湿潤ユニットの目的は、均一および制御可能な厚さを有する湿潤溶液32の層を送達することである。1つの実施形態において、この層は、0.2μm〜1.0μmの範囲であり、ピンホールがなく非常に均一である。湿潤溶液32は、主に水を含むが、場合により、その元々の表面張力を低減するため、ならびに後続のレーザーパターニングのために必要な蒸発エネルギーを低下させるために少量のイソプロピルアルコールまたはエタノールを有していてもよい。加えて、好適な界面活性剤は、理想的には、少量の重量%で添加され、これが再画像形成性の表面層に多量の湿潤を促進する。
【0042】
正確で均一な量の湿潤溶液を適用した後、1つの実施形態において、光学パターニングサブシステム36を使用し、例えばレーザーエネルギーを用いて湿潤溶液層を画像様の蒸発を行うことにより湿潤溶液に潜像を選択的に形成する。エネルギーを送達して再画像形成性表面にわたって湿潤溶液をパターニングするための種々の異なるシステムおよび方法が、本明細書に開示され、特許請求される種々のシステム構成成分と共に使用されてもよいことが理解される。しかし、特定のパターニングシステムおよび方法は、本開示を限定しない。
【0043】
湿潤溶液32の層のパターニングの後、インカーサブシステム46を使用して、湿潤溶液32の層および画像形成ブランケット12にわたって、インク48の均一な層を適用する。インカーサブシステム46は、1つ以上の形成ローラ上にオフセットインクを計量するためにアニロックスローラを用いる「キーレス」システムからなってもよい。あるいは、インカーサブシステム46は、インクの正確な供給量を決定するために電気機械的キーを使用する一連の計量ローラを有する、より典型的な要素からなってもよい。インカーサブシステム46の一般的な態様は、本開示の用途に依存し、当業者によって十分理解される。
【0044】
インカーサブシステム46からのインクが初期に画像形成ブランケット12を湿潤するために、インクは、画像形成ブランケット12の露呈した部分(ここで湿潤溶液は、サブシステム36をパターニングすることによって除去されてもよい)上に分裂するために十分低い凝集エネルギーを有していなければならず、湿潤溶液の領域(ここで湿潤溶液はサブシステム36をパターニングすることによって除去されていない)にて拒絶されるのに十分疎水性でなければならない。湿潤溶液は、低粘度および疎油性であるので、湿潤溶液によって覆われるエリアは、動的凝集エネルギーが非常に低い湿潤溶液の層において分裂が元々生じるので、元来すべてのインクを拒絶する。湿潤溶液を有していないエリアにおいて、インク間の凝集力が、インクと画像形成ブランケット12との間の接着力よりも十分低い場合、インクは、形成ローラニップの出口にてこれらの領域間で分裂する。そのため、使用されるインクは、溶液を含まない領域の良好な充満および画像形成ブランケット12に対する良好な接着を促進するために、相対的に低い粘度を有するべきである。
【0045】
このレオロジーの考慮に加えて、インク組成物が、疎水性特徴を維持することにより、結果として湿潤溶液32の領域によって拒絶されることが重要である。これは、オフセットインク樹脂、および疎水性であり、非極性化学基(分子)を有する溶媒を選択することによって維持できる。
【0046】
インクは、次に転写サブシステム70にて基材14に転写される。
図14に例示される実施形態において、これは基材14を画像形成ブランケット12とインプレッションローラ18との間のニップ16を通して通過させることによって達成される。適切な圧力は、画像形成ブランケット12とインプレッションローラ18との間に適用され、こうしてインク(湿潤溶液が除去された領域において)を基材14と物理的に接触させる。インクの基材14に対する接着および強力な内部凝集性によって、インクが画像形成ブランケット12から分離し、基材14に接着する。
【0047】
大部分のインクが基材14に転写された後、いずれかの残留インクおよび残留湿潤溶液は、好ましくはその表面をこすり取ることも摩耗することもなく、画像形成ブランケット12から除去されなければならない。湿潤溶液の大部分は、容易に、十分なエアフローを伴うエアナイフ77を用いることによって容易に素早く除去できる。しかし、一部の量のインク残留物は、依然として残っていてもよい。本明細書に開示される1つの実施形態によれば、この残留インクの除去は、画像形成ブランケット12と物理的に接触した状態の第1のクリーニング部材を用いるクリーニングサブシステム72、例えば粘つく粘着性部材74にて達成される。ローラとして示され、記載されるが、粘着性部材74は、プレート、ベルトなどであってもよい。粘着性部材74は、高い表面接着を有し、湿潤溶液からの残留インクおよび残留(少)量の界面活性剤化合物を、画像形成ブランケット12から引きつける。
【0048】
本明細書で議論される例は、単に、画像形成ブランケットシステムに対する表面処理されたヒュームドシリカの添加により得られる利益を例示するために与えられる。本開示は、これらの例の条件のいずれか1つのセットに限定されると解釈されるべきではない。実際、本開示の記載またはその特許請求の範囲における限定は、絶対的なものとして読み取られ得ず、読み取られるべきでもない。特許請求の範囲の限定は、本開示の境界を規定することを意図する(これらの限定までおよびこれらの限定を含む)。このことをさらに強調するために、用語「実質的に」が、場合によっては、特許請求の範囲の限定と関連して本明細書で使用されてもよい(しかし、変形および不完全性の考慮は、この用語と共に使用されるこうした限定のみに制限されない)。本開示自体の限定を厳密に定義することは困難であるが、本発明者らは、この用語が「大きい範囲まで」、「実施可能な程度に近い」、「技術的限定内」などとして解釈されることを意図する。