(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送制御部は、前記多数集積状態となった集積部が前記空き状態となった後、前記代替する区分先として割り当てた予備集積部が前記多数集積状態となったときに、前記代替する区分先として割り当てた予備集積部への配達対象物の搬送を停止して、前記空き状態となった集積部への配達対象物の搬送を開始する、
請求項1記載の配達物処理装置。
前記搬送制御部は、前記代替する区分先として割り当てられた予備集積部が前記空き状態となった場合に、前記代替する区分先としての当該予備集積部への割り当てを解消し、以降、当該予備集積部を、前記特定部により特定された区分先の集積部が前記多数集積状態となった場合に、前記多数集積状態となった集積部を代替する区分先として割り当てる対象とする、
請求項1または2記載の配達物処理装置。
配達対象物が集積される複数の集積部と、前記配達対象物を前記複数の集積部のうち指示された集積部に搬送する搬送部と、前記複数の集積部のうち監視対象である集積部が、所定量以上の配達対象物が集積された多数集積状態であることを検知するための第1の検知部と、前記複数の集積部のうち監視対象である集積部が、全ての配達対象物が取り出された空き状態であることを検知するための第2の検知部と、前記配達対象物から得られる宛先情報に基づいて、前記配達対象物の区分先となる集積部を特定する特定部と、を備える配達物処理装置の制御コンピュータが、
前記複数の集積部のうち前記特定部により特定された区分先の集積部に配達対象物を搬送するように前記搬送部を制御し、
前記特定部により特定された区分先の集積部が前記多数集積状態となった場合に、前記多数集積状態となった区分先の集積部への配達対象物の搬送を停止すると共に前記複数の集積部のうち前記宛先情報に対応付けられていない予備集積部を前記多数集積状態となった区分先を代替する区分先として割り当て、
前記代替する区分先として割り当てた後、前記多数集積状態となった集積部が前記空き状態となった後に、前記代替する区分先として割り当てた予備集積部への配達対象物の搬送を停止し、前記空き状態となった集積部への配達対象物の搬送を開始し、
一定期間における前記複数の集積部の稼働状態に基づき、前記予備集積部の稼働率が低ければ前記予備集積部の数を減らし、前記予備集積部の稼働率が高ければ前記予備集積部の数を増やす、制御を行う、
配達物処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の配達物処理装置、および配達物処理方法を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る配達物処理装置1の構成の概略を示す図である。配達物処理装置1は、例えば郵便局などに設置される郵便物処理区分機である。配達物処理装置1は、はがき、封書などの配達対象物Sに記載・貼り付け等された宛先を認識し、その宛先に応じたスタッカに配達対象物Sを区分集積する装置である。
【0009】
配達物処理装置1は、例えば、区分前処理部10と、区分部20とを備える。区分部20には、複数のスタッカ(集積部)30(1)〜30(9)が設けられている。以下、符号に付された括弧内の数字は、スタッカの識別情報であるものとする。なお、スタッカ30の数は複数であればよく、2以上の任意の数であってよい。
【0010】
図2は、区分前処理部10の構成の概略を示す図である。区分前処理部10は、例えば、供給部11と、取出し部12と、排除集積部13と、バーコード読取部14と、OCR(Optical Character Recognition)処理部15と、VC(Video Coding)依頼部16と、IJP17(Ink Jet Printer)とを備える。
【0011】
供給部11では、例えば作業員による手作業で複数の配達対象物Sがセットされる。取出部12は、供給部11にセットされた配達対象物Sを1つずつ取出し、搬送路に供給する。この搬送路では、異物が混入している配達対象物Sや定型外の配達対象物Sが排除され、排除集積部13に集積される。
【0012】
バーコード読取部14は、既にステルスバーコードが印刷された配達対象物Sからバーコードを読み込み、ステルスバーコードにエンコードされた情報をデコードして制御部50(後述)に出力する。この時点でステルスバーコードが印刷された配達対象物Sとは、例えば、後述するVC処理により識別情報が読み取られたが、区分先に応じたスタッカへの搬送が行われなかった配達対象物Sである。
【0013】
OCR処理部15は、配達対象物Sを撮像するカメラ(ラインセンサ)を備え、カメラによって撮像された画像に対してOCR処理を行って、配達対象物Sの郵便番号、宛先、差出人等の情報を読み取る。なお、OCR処理の一部(例えば郵便番号以外の文字認識部分)は、ネットワークを介して接続された他のコンピュータにより分散処理されてもよい。
【0014】
VC依頼部16は、OCR処理部15によって情報の一部または全部が読み取れなかった配達対象物Sの画像を、ネットワークNWを介してVC端末90に送信し、VC端末90から配達対象物Sに関する情報(例えば郵便番号や宛先)を受信する。VC端末90では、配達物処理装置1から受信した画像をオペレータに表示し、オペレータにより入力された情報を配達物処理装置1に返信する。この画像を表示して入力を受け付ける処理を、VC処理と称する。
【0015】
IJP17は、OCR処理部15またはVC依頼部16によって取得された配達対象物Sの情報をエンコードしたオブジェクトを、ステルスバーコードとして配達対象物Sに印刷する。このステルスバーコードは、IJP17に付設されたバーコード読取部によって読み取られ、ベリファイ処理が行われる。
【0016】
図3は、スタッカ30の構成例を示す図である。ここでは、いずれのスタッカ30であるかを区別せず、括弧書きによるスタッカ30の識別は行わずに説明する。スタッカ30は、例えば、ゲート部31と、集積通路32と、プレート部33と、センサ34、35と、満杯ランプ36と、取出済スイッチ37と、紙札発行スイッチ38とを備える。
【0017】
ゲート部31は、例えばベルトによって挟持された状態で方向D1に向けて搬送される配達対象物Sを、集積通路32側に指向させる。集積通路32には、配達対象物Sがプレート部33と平行な向きで集積される。プレート部33は、図中、方向D2と反対方向に付勢されており、配達対象物Sが集積されるのに応じて方向D2に向けて移動する。
【0018】
センサ34、35は、例えば金属等で形成されるプレート部33が接触するのに応じて信号を出力する。例えば、センサ34は、配達対象物Sの量が当該スタッカ30の最大集積量の80%に至った辺りで信号(プリフル信号)を出力するように設置され、センサ35は、配達対象物Sの量が当該スタッカ30の最大集積量の100%に至った辺りで信号(フル信号)を出力するように設置される。
【0019】
満杯ランプ36、取出済スイッチ37、および紙札発行スイッチ38は、任意の箇所(例えば集積通路32の側壁部端面など)に設置される。満杯ランプ36は、例えば、プリフル信号が出力されたときに黄色で発色し、フル信号が出力されたときに赤色で発色するように制御される。取出済スイッチ37は、作業員がスタッカ30から配達対象物Sを全て取りだしたときに操作するように指示されているスイッチである。取出済スイッチ37は、例えば常態でオフ信号を出力し、作業員により操作がなされたときにオン信号を出力するように設定されている。紙札発行スイッチ38は、当該スタッカ30の識別情報が印刷された紙札を装置に発行させるためのスイッチである。
【0020】
以上のような構成を有する配達物処理装置1の各部は、制御部50により制御される。
図4は、制御部50を中心とした配達物処理装置1の構成例を示す図である。制御部50は、例えば、取出制御部51と、排除制御部52と、区分先特定部53と、搬送制御部54と、IJP制御部55と、配達対象物状態認識部56と、ランプ制御部57と、印刷制御部58とを備える。これらの機能部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部80に格納されたプログラムを実行することで機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、各種インターフェース等のハードウェアを含んでもよい。
【0021】
また、制御部50には、搬送機構40、印刷部45、入力部70、表示部72、記憶部80などが接続される。搬送機構40は、前述したスタッカ30内のゲート部31を駆動するモータ、区分部20内で配達対象物Sを搬送するベルト、ベルトを駆動するモータ等を含む。印刷部45は、IJP17とは別体の印刷機である。入力部70は、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスである。表示部72は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)表示装置などの表示装置である。記憶部80は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置により実現される。記憶部80には、制御部50のプロセッサが実行するプログラムの他、配達対象物状態情報81、アロケーション情報82、スタッカ状態情報83、バケット内容情報85などが格納される。
【0022】
取出制御部51は、取出部12を制御する。排除制御部52は、排除集積部13に指向させる図示しないゲート部を駆動するモータ等を制御する。
【0023】
区分先特定部53は、バーコード読取部14、OCR処理部15、VC処理部16による処理結果を取得し、これらの処理結果に含まれる宛先情報(例えば郵便番号)から、配達対象物Sの区分先となるスタッカ30を特定する。区分先は、例えば、日本国の住所であれば、宛先における「○丁目」が一致する住所を一括りにして決定される。区分先特定部53は、例えば、宛先情報と区分先とが対応付けられた対応情報を参照し、区分先を特定する。なお、この対応情報は、テーブルデータであってもよいし、関数やプログラムの中に埋め込まれた情報であってもよい。
【0024】
搬送制御部54は、センサ34、35から入力される信号、および取出済スイッチ37から入力される信号に基づいて、搬送機構40を制御することで、配達対象物Sを区分先に応じたスタッカ30に搬送する。これについては後述する。IJP制御部55は、IJP17を制御する。
【0025】
配達対象物状態認識部56は、区分先特定部53、搬送制御部54、IJP制御部55などの処理結果を統合し、取出部12によって取りだされた後の配達対象物Sの状態を認識する。配達対象物状態認識部56は、認識結果を配達対象物状態情報81として記憶部80に格納させる。
図5は、配達対象物状態情報81として格納されるデータの内容を模式的に示す図である。図示するように、配達対象物状態情報81には、各スタッカ30に集積された配達対象物Sの固有情報の他、配達物処理装置1の各部に置かれた配達対象物Sの数や固有情報(既に判明しているもの)が記述される。以下、配達対象物Sの固有情報とは、郵便番号など、配達対象物Sの宛先情報を構成する情報であるものとする。
【0026】
ランプ制御部57は、センサ34、35から入力される信号に基づいて、満杯ランプ36を制御する。また、印刷制御部58は、作業員によるリスト作成の要求に応じて、バケット内容一覧を印刷するように印刷部45を制御する。また、印刷制御部58は、作業員によって紙札発行スイッチ38が操作されたときに、紙札発行スイッチ38に対応するスタッカ30の識別情報を印刷するように印刷部45を制御する。
【0027】
以下、搬送制御部54により実行されるダイナミックアロケーション制御について説明する。
図1に示すように、配達物処理装置1には、複数のスタッカ30が設けられている。これらのスタッカ30のうち、例えばスタッカ30(1)〜30(5)は固有の区分先が割り当てられるレギュラースタッカとして扱われ、スタッカ30(6)〜30(8)はダイナミックアロケーション用の予備スタッカとして扱われ、スタッカ30(9)は区分先が不明な配達対象物Sが集積されるリジェクトスタッカとして扱われる。予備スタッカには、レギュラースタッカが、所定量以上の配達対象物が集積された多数集積状態になったときに、そのレギュラースタッカを代替する区分先として一時的に割り当てられる。多数集積状態とは、そのスタッカ30が満杯或いはそれに近い状態になった状態をいう。例えば、搬送制御部54は、センサ34からプリフル信号が出力された、或いはセンサ35からフル信号が出力されたときに、そのスタッカ30が多数集積状態になったことを検知する。ここで、レギュラースタッカと予備スタッカは、固定的に役割が設定されてもよいが、搬送制御部54が搬送状況に応じて、或いは作業員の操作に応じて、動的に役割を変更してよい。例えば、一定期間における各スタッカ30の稼働状態を監視し、予備スタッカの稼働率が低ければ予備スタッカの数を減らし、予備スタッカの稼働率が高ければ予備スタッカの数を増やすといった制御が、搬送制御部54により行われてもよい。この場合、例えば、スタッカ30(1)〜30(5)がレギュラースタッカとして扱われ、スタッカ30(6)〜30(8)が予備スタッカとして扱われる第1の状態から、スタッカ30(1)〜30(4)がレギュラースタッカとして扱われ、スタッカ30(5)〜30(8)が予備スタッカとして扱われる第2の状態に移行することが可能となる。こうすれば、より効率的な配達物処理装置1の運用が可能となる。
【0028】
搬送制御部54は、上記のように区分先を代替するものとして一時的に割り当てられた予備スタッカを、アロケーション情報82によって管理する。
図6は、アロケーション情報82として格納される情報の一例を示す図である。
図6の例では、スタッカ30(1)が多数集積状態になっており、スタッカ30(1)を代替する区分先として一時的に割り当てられたスタッカ30(6)も多数集積状態になったため、更にスタッカ30(7)がスタッカ30(1)を代替する区分先として一時的に割り当てられている。また、搬送制御部54は、多数集積状態になったスタッカ30を、スタッカ状態情報83によって管理する。
図7は、スタッカ状態情報83として格納される情報の一例を示す図である。図中、状態1は、多数集積状態であるか否かを示す情報であり、値1が多数集積状態であることを、値0が多数集積状態でないことを、それぞれ示している。また、状態2は、値1である場合に、取出済スイッチ37が操作されて多数集積状態から空き状態に移行したが、予備スタッカが多数集積状態になるのを待機している待機状態であることを、値0である場合に非待機状態であることを、それぞれ示している。
【0029】
図8は、搬送制御部54による制御の内容を模式的に示す図である。ここでは、ある配達対象物Sについて、区分先特定部53により特定された区分先がスタッカ30(1)であった場合、その配達対象物Sを配達対象物S(1)と称して説明する。
【0030】
図8の状況(A)に示すように、搬送制御部54は、レギュラースタッカであるスタッカ30(1)が多数集積状態となると、スタッカ30(1)への配達対象物S(1)の搬送を停止すると共に、アロケーション情報82を参照して、予備スタッカのうち区分先として割り当てられていないスタッカ30(6)を、スタッカ30(1)を代替する区分先として一時的に割り当てる。
【0031】
次いで、
図8の状況(B)に示すように、搬送制御部54は、スタッカ30(1)から配達対象物S(1)が取りだされ、スタッカ30(1)の取出済スイッチ37(取出済スイッチ37(1))が操作されるまで、スタッカ30(1)に配達対象物S(1)を搬送せず、本来であればスタッカ30(1)に搬送されるべき配達対象物S(1)をスタッカ30(6)に搬送する。
【0032】
次いで、
図8の状況(C)に示すように、スタッカ30(1)から配達対象物Sが取りだされ、取出済スイッチ37(1)が操作されると、搬送制御部54は、スタッカ30(6)が多数集積状態になるまで、配達対象物S(1)をスタッカ30(6)に搬送することを継続する。そして、
図8の状況(D)に示すように、搬送制御部54は、スタッカ30(6)が多数集積状態になったときに、スタッカ30(6)への配達対象物S(1)の搬送を停止し、空き状態となったスタッカ30(1)への配達対象物S(1)の搬送を再開する。なお、取出済スイッチ37(1)が操作されるまでにスタッカ30(6)も多数集積状態になった場合、搬送制御部54は、更に別の予備スタッカを、スタッカ(1)を代替する区分先として割り当てる。ここで、搬送制御部54は、取出済スイッチ37(1)が操作されたときに、配達対象物S(1)をスタッカ30(1)に搬送することを再開するようにしてもよい。
【0033】
そして、
図8の状況(E)に示すように、搬送制御部54は、スタッカ30(6)が空き状態となった場合に、スタッカ30(6)への一時的な割り当てを解消し、以降、スタッカ30(6)を、いずれかのレギュラースタッカが多数集積状態となった場合に、これを代替する区分先として一時的に割り当てる対象とする。
【0034】
このような制御によって、本実施形態の配達物処理装置1は、配達対象物Sの区分集積を効率的に行うことができる。まず、本実施形態の配達物処理装置1によれば、多数集積状態となったレギュラースタッカが空き状態となった後、代替する区分先として割り当てた予備スタッカへの配達対象物の搬送を停止し、空き状態となったレギュラースタッカへの配達対象物の搬送を再開するため、搬送先のスタッカ30が頻繁に変更されるといった無駄な制御がなされるのを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態の配達物処理装置1によれば、多数集積状態となったレギュラースタッカが空き状態となった後、代替する区分先として割り当てた予備スタッカが多数集積状態となったときに、空き状態となったレギュラースタッカへの配達対象物の搬送を再開するため、予備スタッカに余裕がある状態でレギュラースタッカに搬送先が変更されるといった、中途半端な状態が生じるのを防止することができる。
【0036】
また、本実施形態の配達物処理装置1によれば、代替する区分先として割り当てられた予備スタッカが空き状態となった場合に、予備スタッカへの割り当てを解消し、以降、当該予備スタッカを、レギュラースタッカを代替する区分先として割り当てる対象とするため、予備スタッカを柔軟に使い回すことができ、配達対象物Sの区分集積を更に効率的に行うことができる。
【0037】
以下、
図8に示す制御を実現するために搬送制御部54が実行する処理について説明する。
図9は、搬送制御部54により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、搬送対象である配達対象物Sごとに実行される。まず、搬送制御部54は、区分先特定部53により区分先のスタッカ30が特定されたか否かを判定する(ステップS100)。区分先特定部53により区分先のスタッカ30が特定されなかった場合、搬送制御部54は、配達対象物Sをリジェクトスタッカに搬送する(ステップS102)。
【0038】
区分先特定部53により区分先のスタッカ30が特定された場合、搬送制御部54は、スタッカ状態情報83を参照し、区分先のレギュラースタッカが多数集積状態となっているか否かを判定する(ステップS104)。区分先のレギュラースタッカが多数集積状態となっていない場合、搬送制御部54は、区分先のレギュラースタッカが待機状態となっているか否かを判定する(ステップS106)。区分先のレギュラースタッカが待機状態となっていない場合、搬送制御部54は、区分先のレギュラースタッカに配達対象物Sを搬送するように搬送機構40を制御する(ステップS108)。一方、区分先のレギュラースタッカが待機状態となっている場合、搬送制御部54は、既に当該区分先を代替するように割り当てられている予備スタッカに配達対象物Sを搬送するように、搬送機構40を制御する(ステップS114)。
【0039】
ステップS104において区分先のレギュラースタッカが多数集積状態となっていると判定された場合、搬送制御部54は、アロケーション情報を参照し、当該区分先を代替するように割り当てられた予備スタッカが存在するか否かを判定する(ステップS110)。割り当てられた予備スタッカが存在する場合、当該予備スタッカが多数集積状態となっているか否かを判定する(ステップS112)。当該予備スタッカが多数集積状態となっていない場合、搬送制御部54は、当該割り当て済の予備スタッカに配達対象物Sを搬送するように、搬送機構40を制御する(ステップS114)。
【0040】
ステップS110において、当該区分先を代替するように割り当てられた予備スタッカが存在しないと判定された場合、または、ステップS112において当該予備スタッカが多数集積状態であると判定された場合、搬送制御部54は、新たな予備スタッカに、当該区分先を代替するものとして割り当てを行い、割り当てを行った予備スタッカに配達対象物Sを搬送するように、搬送機構40を制御する(ステップS116)。
【0041】
次に、搬送制御部54は、搬送先のスタッカ30が多数集積状態となったか否かを判定する(ステップS118)。搬送先のスタッカ30が多数集積状態となった場合、搬送制御部54は、スタッカ状態情報を変更する(ステップS120)。こうして、一つの配達対象物Sについての処理が終了する。
【0042】
本実施形態において、取出済スイッチ37が操作された際の処理は、例えば
図9のフローチャートとは別に並行して行われる。
図10は、取出済スイッチ37の操作に応じて搬送制御部54により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
まず、搬送制御部54は、取出済スイッチ37が操作されるまで待機する(ステップS200)。取出済スイッチ37が操作されると、搬送制御部54は、レギュラースタッカの取出済スイッチ37が操作されたか否かを判定する(ステップS202)。レギュラースタッカの取出済スイッチ37が操作された場合、搬送制御部54は、スタッカ状態情報83において、当該レギュラースタッカの状態1を空き状態(0)、状態2を待機状態(1)に変更する(ステップS204)。
【0044】
一方、予備スタッカの取出済スイッチ37が操作された場合、搬送制御部54は、スタッカ状態情報83において、代替割り当てされているレギュラースタッカの状態2を非待機状態(0)に変更して待機状態を解消し、当該予備スタッカの状態1を空き状態(0)に変更し、更に、アロケーション情報82において、当該予備スタッカの割り当て区分先をクリアすることで、区分先を代替する割り当てを解消する(ステップS206)。
【0045】
配達対象物状態認識部56は、バケット内容情報85を作成する。以下、これについて説明する。バケットとは、スタッカ30から取りだされた配達対象物Sが搬入される格納容器である。
図11は、バケット内容情報85の内容を説明するための図である。スタッカ30に集積された配達対象物Sは、スタッカ30が多数集積状態になると、作業員によってバケットBに移し替えられる。このとき、作業員は、配達対象物Sを取り出したスタッカ30の取出済スイッチ37を操作すると共に、紙札発行スイッチ38を操作して、配達対象物Sを取り出したスタッカ30を示す情報が記載された紙札Pを発行させる。このとき印刷制御部58は、印刷部45に紙札Pの印刷を指示する。紙札Pは、例えば、作業員によってバケットB内の配達対象物S間に挿入される。
【0046】
バケットBに、ある程度の量の配達対象物Sを搬入すると、作業員は、入力部70を操作してバケット内容情報85の印刷を配達物処理装置1に要求する。これに備えて配達対象物状態認識部56は、取出済スイッチ37が操作される度に、その時点で対応するスタッカ30に集積されていた配達対象物Sの固有情報を配達物状態情報81から取得し、バケット内容情報85に追加する。そして、バケット内容情報85の印刷要求がなされると、印刷制御部58は、バケット内容情報85に基づくリストLを印刷するように印刷部45に指示する。こうして、バケットBに搬入された配達対象物Sの固有情報のリストLが印刷されることになる。図示するように、リストLの元になるバケット内容情報85は、搬入元のスタッカ30毎に、配達対象物Sの固有情報を列挙した情報である。なお、紙札Pの印刷を実行する印刷部と、リストLの印刷を実行する印刷部とが同一であるかのように記載したが、これらの印刷部は、別体のハードウェアであってもよい。この場合(或いは同体の印刷部が紙札PとリストLを印刷する場合であっても)、紙札Pの印刷を制御する印刷制御部と、リストLの印刷を制御する印刷制御部とは、別の機能部、すなわち別のプログラムモジュールによるソフトウェア機能部であってもよいし、別体のハードウェアを備えるものであってもよい。
【0047】
前述したように、本実施形態の配達物処理装置1を操作する作業員は、スタッカ30から配達対象物Sを取り出す際には、そのスタッカ30に集積された全ての配達対象物Sを取り出した上で取出済スイッチ37を操作する。そして、配達物処理装置1は、スタッカ30に集積された全ての配達対象物Sが取り出されたことを示す取出済スイッチ37の操作をトリガーとしてバケット内容情報85を更新するため、どの配達対象物Sが、どの順でバケットBに搬入されたかを、より正確に把握することができる。仮に、スタッカ30に集積された一部の配達対象物SがバケットBに搬入されることを許容する場合、スタッカ30内の何番目までの配達対象物SがバケットBに搬入されたのかを、正確に把握するのは困難だからである。
【0048】
以上説明した第1の実施形態に係る配達物処理装置1によれば、区分先特定部53により特定された区分先のレギュラースタッカが多数集積状態となった場合に、このレギュラースタッカへの配達対象物Sの搬送を停止すると共に複数のスタッカ30のうち宛先情報に対応付けられていない予備スタッカを、多数集積状態となった区分先を代替する区分先として割り当て、代替する区分先として割り当てた後、多数集積状態となったレギュラースタッカが空き状態となった後に、代替する区分先として割り当てた予備スタッカへの配達対象物Sの搬送を停止し、空き状態となったレギュラースタッカへの配達対象物Sの搬送を開始するため、配達対象物Sの区分集積を効率的に行うことができる。
【0049】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態との共通点についての説明を省略する。
図12は、第2の実施形態に係る制御部50を中心とした配達物処理装置1の構成例を示す図である。第2の実施形態において、記憶部80には、搬送履歴情報84が格納される。搬送履歴情報84は、区分先ごとに、搬送制御部54が搬送先として選択したスタッカ30を時系列で並べた情報である。
【0050】
図13は、第2の実施形態に係る搬送制御部54により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、搬送制御部54は、区分先特定部53により区分先のスタッカ30が特定されたか否かを判定する(ステップS300)。区分先特定部53により区分先のスタッカ30が特定されなかった場合、搬送制御部54は、配達対象物Sをリジェクトスタッカに搬送する(ステップS302)。
【0051】
区分先特定部53により区分先のスタッカ30が特定された場合、搬送制御部54は、搬送履歴情報84を参照し、前回その区分先として搬送した搬送先のスタッカ30は、予備スタッカであるか否かを判定する(ステップS304)。前回の搬送先が予備スタッカでない(レギュラースタッカである)場合、搬送制御部54は、そのレギュラースタッカが多数集積状態であるか否かを判定する(ステップS306)。レギュラースタッカが多数集積状態でない場合、搬送制御部54は、レギュラースタッカに配達対象物Sを搬送するように搬送機構40を制御する(ステップS308)。一方、レギュラースタッカが多数集積状態である場合、搬送制御部54は、新たに区分先を予備スタッカに割り当て、割り当てた予備スタッカに配達対象物Sを搬送するように搬送機構40を制御する(ステップS316)。
【0052】
前回の搬送先が予備スタッカである場合、搬送制御部54は、前回の搬送先の予備スタッカが多数集積状態であるか否かを判定する(ステップS310)。前回の搬送先の予備スタッカが多数集積状態でない場合、搬送制御部54は、前回の搬送先の予備スタッカに配達対象部Sを搬送するように、搬送機構40を制御する(ステップS312)。
【0053】
前回の搬送先の予備スタッカが多数集積状態である場合、搬送制御部54は、スタッカ状態情報83を参照し、本来のレギュラースタッカが待機状態であるか否かを判定する(ステップS314)。本来のレギュラースタッカが待機状態である場合、搬送制御部54は、本来のレギュラースタッカに配達対象物Sを搬送するように搬送機構40を制御する(ステップS308)。一方、本来のレギュラースタッカが待機状態でない場合、搬送制御部54は、新たに区分先を予備スタッカに割り当て、割り当てた予備スタッカに配達対象物Sを搬送するように搬送機構40を制御する(ステップS316)。
【0054】
以上説明した第2の実施形態に係る配達物処理装置1によれば、第1の実施形態とは異なるソフトウェア処理によって、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0055】
(その他)
上記各実施形態において、バケットBに搬入された配達対象物Sの固有情報のリストLを印刷するものとしたが、紙などに印刷するのではなく、配達対象物Sの固有情報のリストLをデータとして他装置に出力してもよい。
【0056】
また、上記各実施形態において、搬送制御部54は、取出済スイッチ37が操作されたことを持って、対応するスタッカ30が空き状態となったことを検知するものとしたが、各スタッカ30に、空き状態であるか否かを検知するセンサを備え、搬送制御部54は、このセンサの出力に基づいて、対応するスタッカ30が空き状態となったことを検知するようにしてもよい。
【0057】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、区分先特定部53により特定された区分先のレギュラースタッカが多数集積状態となった場合に、このレギュラースタッカへの配達対象物Sの搬送を停止すると共に複数のスタッカ30のうち宛先情報に対応付けられていない予備スタッカを、多数集積状態となった区分先を代替する区分先として割り当て、代替する区分先として割り当てた後、多数集積状態となったレギュラースタッカが空き状態となった後に、代替する区分先として割り当てた予備スタッカへの配達対象物Sの搬送を停止し、空き状態となったレギュラースタッカへの配達対象物Sの搬送を開始するため、配達対象物Sの区分集積を効率的に行うことができる。
【0058】
上記各実施形態は、以下のように表現できる。
配達対象物が集積される複数の集積部と、
前記配達対象物を前記複数の集積部のうち指示された集積部に搬送する搬送部と、
前記複数の集積部のうち監視対象である集積部において、前記配達対象物の集積量を検出するセンサと、
前記複数の集積部のうち監視対象である集積部から全ての配達対象物が取り出されたときに、作業員によって操作されるスイッチと、
前記配達対象物から得られる宛先情報を用いて、前記宛先情報と区分先とが対応付けられた対応情報を参照し、前記配達対象物の区分先となる集積部を特定する特定部と、
前記複数の集積部のうち前記特定部により特定された区分先の集積部に配達対象物を搬送するように前記搬送部を制御する搬送制御部であって、前記特定部により特定された区分先の集積部が前記多数集積状態となった場合に、前記多数集積状態となった区分先の集積部への配達対象物の搬送を停止すると共に前記複数の集積部のうち前記宛先情報に対応付けられていない予備集積部を前記多数集積状態となった区分先を代替する区分先として割り当て、前記代替する区分先として割り当てた後、前記多数集積状態となった集積部が前記空き状態となった後に、前記代替する区分先として割り当てた予備集積部への配達対象物の搬送を停止し、前記空き状態となった集積部への配達対象物の搬送を開始する搬送制御部と、
を備える配達物処理装置。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。