特許第6404704号(P6404704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404704
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】流体加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/10 20060101AFI20181001BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   F24H1/10 J
   H05B6/10 371
   H05B6/10 311
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-257355(P2014-257355)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-118319(P2016-118319A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年4月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】外村 徹
(72)【発明者】
【氏名】玉置 幸男
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰広
(72)【発明者】
【氏名】松川 長通
(72)【発明者】
【氏名】北野 孝次
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−286654(JP,A)
【文献】 米国特許第6220344(US,B1)
【文献】 米国特許第7756404(US,B2)
【文献】 米国特許第04261333(US,A)
【文献】 国際公開第2012/161142(WO,A1)
【文献】 特開2012−163230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
H05B 6/04
H05B 6/10
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる内部流路が形成された加熱用金属体を誘導加熱することによって前記内部流路を流れる流体を加熱する流体加熱装置であって、
前記加熱用金属体が、円筒状をなす第1の金属要素と、当該第1の金属要素の内部に設けられた円筒状をなす第2の金属要素とを備え、
前記内部流路が、前記第1の金属要素の内面及び前記第2の金属要素の外面により形成されており、
前記第1の金属要素及び前記第2の金属要素は金属薄板製のものであり、前記第1の金属要素又は前記第2の金属要素の少なくとも一方に前記内部流路を形成するための凹溝が加圧変形により形成されており、
前記第2の金属要素が前記第1の金属要素よりも薄く構成され、又は、前記第2の金属要素が前記第1の金属要素よりも固有抵抗が高い材質で構成されている、流体加熱装置。
【請求項2】
前記第1の金属要素及び前記第2の金属要素が、前記内部流路が螺旋状となるように加工されている請求項記載の流体加熱装置。
【請求項3】
前記第1の金属要素及び前記第2の金属要素の一方が、前記内部流路が螺旋状となるように加工されている請求項記載の流体加熱装置。
【請求項4】
前記第1の金属要素及び前記第2の金属要素の軸方向両端部のみに、流体漏れ防止用のシール加工が施されている請求項2又は3記載の流体加熱装置。
【請求項5】
前記加熱用金属体により飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生するものである請求項1乃至の何れか一項に記載の流体加熱装置。
【請求項6】
前記加熱用金属体を2つ有し、
前記加熱用金属体の一方が、水を加熱して飽和水蒸気を生成する飽和水蒸気生成部となり、
前記加熱用金属体の他方が、前記飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部となる請求項1乃至の何れか一項に記載の流体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱用金属体を誘導加熱することによって当該加熱用金属体内に通流した流体を加熱する流体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流体加熱装置において、特許文献1に示すように、二次コイルを形成する螺旋状に巻廻した導体管の複数重を、螺旋の軸方向に延びる電気接続部材で溶接等により電気接続し、短絡回路を構成して電気的リアクタンスを低減させて力率を改善し、加熱効率を向上させたものが知られている。
【0003】
ところで、螺旋導体管を誘導加熱すると、外周側に比べ長さが短く電気抵抗値が低い導体管の内周側に、外周側に比べて大きな電流が流れることとなるため、内周側は外周側より高温になる。このことから導体管の内周側は外周側に比べて熱膨張が大きくなって、ねじれ等の熱変形が生じる。
【0004】
しかしながら、従来のように、電気接続部材が導体管の所要箇所間に固定されていると、前述した導体管が変形しようとした際に大きな応力が発生し、導体管や電気接続部材、あるいは導体管と電気接続部材との固定箇所等に疲労が蓄積したりや破損したりするおそれが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−71624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、誘導加熱により熱変形が生じても、破損等の可能性が小さい流体加熱装置を提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る流体加熱装置は、流体が流れる内部流路が形成された加熱用金属体を誘導加熱することによって前記内部流路を流れる流体を加熱する流体加熱装置であって、前記加熱用金属体が、複数の金属要素を重ねて形成されたものであり、当該複数の金属要素の間に前記内部流路が形成されていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、加熱用金属体が複数の金属要素を重ねて形成し、それらの金属要素の間に内部流路が形成されているので、金属要素が持つ柔軟性により、誘導加熱による熱変形に耐える構造とすることができる。これにより、熱変形による破損等の可能性が小さい流体加熱装置を提供することができる。
【0009】
前記加熱用金属体が、円筒状をなす第1の金属要素と、当該第1の金属要素に挿入して設けられた円筒状をなす第2の金属要素とを備え、前記内部流路が、前記第1の金属要素の内面及び前記第2の金属要素の外面により形成されていることが望ましい。
これならば、変圧器の脚鉄心を第1の金属要素の内側に配置する構成により、前記加熱用金属体を誘導加熱することができる。このとき、加熱用金属体の内径側部分を単一部材(第1の金属要素)から形成されているので、熱変形に強い構造とすることができる。
【0010】
前記第1の金属要素及び前記第2の金属要素が、前記内部流路が螺旋状となるように加工されていることが望ましい。つまり、第1の金属要素に形成された螺旋状の凹溝と、第2の金属要素に形成された凹溝とは、第1の金属要素に第2の金属要素を挿入した状態で同位置となるように形成されている。
このように内部流路を螺旋状にすることで、誘導加熱された金属要素との接触面積を大きくするとともに、流体流速を速くすることができ、熱交換効率を向上させることができる。また、第1の金属要素及び第2の金属要素に螺旋状の凹溝が形成されることになるため、金属要素が薄板要素の場合には特に機械的強度を向上させることができる。
ここで、第1の金属要素及び第2の金属要素に施される変形加工としては、それら金属要素が薄板要素の場合には、水圧等の液圧によって変形させるバルジ加工(ハイドロフォーミング)や、螺旋状の凹部又は凸部が形成された型に沿って駒(ローラ)等によって加圧変形させる加工等が考えられる。また、前記金属要素が所定の肉厚を有する厚板要素の場合には、前記第1の金属要素又は前記第2の金属要素の少なくとも一方に、例えば切削加工等の機械加工により変形させることが考えられる。
【0011】
前記第1の金属要素及び前記第2金属要素の一方が、前記内部流路が螺旋状となるように加工されていることが望ましい。特に、第1の金属要素に変形加工が施されていることが望ましい。
これならば、一方の金属要素のみに螺旋状の凹溝を形成すればよく、他方の金属要素に変形加工を施す必要がないため、加工工数及び加工コストの低減、変形金型の簡易化が可能となる。
【0012】
前記第1の金属要素及び前記第2の金属要素が、互いに異なる板厚又は材質であることが望ましい。
これならば、それぞれの金属要素の電気抵抗値や機械的強度を調整した構造にすることができる。例えば、金属要素が薄板の場合、変形加工を施すことで機械的強度が増すことになるので、板厚を薄く設定することができる。また、内径側の金属要素は外径側の金属要素よりも周長が短く電気抵抗値が小さくなるので、内径側の金属要素を薄くしたり、固有抵抗が高い材質にすることで、外周側の金属要素と同等の温度上昇値にすることができる。
【0013】
前記第1の金属要素及び前記第2の金属要素の軸方向両端部のみに、流体漏れ防止用のシール加工が施されていることが望ましい。
これならば、第1の金属要素及び第2の金属要素の熱膨張差による変形差を機械的に吸収することができる。なお、内部流路間は接合しないので多少の漏れが発生することになるが、実用上の大きな問題にはならない。
【0014】
過熱水蒸気は200℃から2000℃にもなる高温なので、前記加熱用金属体は、その温度以上に加熱されることになる。このため、加熱用金属体が飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生するものの場合、流体加熱装置のなかでも、温度上昇が大きく、加熱用金属体の変形も大きくなるため、本発明の効果が特に顕著となる。
【0015】
前記加熱用金属体を2つ有し、前記加熱用金属体の一方が、水を加熱して飽和水蒸気を生成する飽和水蒸気生成部となり、前記加熱用金属体の他方が、前記飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部となることが望ましい。前記飽和水蒸気生成部の加熱用金属体は、前記過熱水蒸気生成部の加熱用金属体ほどではないが、常温の水を100℃から150℃の高温に加熱する必要があり、本発明の構造にすることで破損防止の効果を奏する。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、加熱用金属体が複数の金属要素を重ねて形成し、それらの金属要素の間に内部流路が形成されているので、誘導加熱により熱変形が生じても、破損し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態における加熱用金属体の平面図、正面図及び側面図。
図2】同実施形態の加熱用金属体のA−A’線断面図。
図3】変形実施形態の加熱用金属体の平面図、正面図及び側面図。
図4】変形実施形態の加熱用金属体のB−B’線断面図。
図5】変形実施形態の加熱用金属体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る流体加熱装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態の流体加熱装置は、図1及び図2に示すように、流体が流れる内部流路Rが形成された加熱用金属体1を誘導加熱することによって前記内部流路Rを流れる流体を加熱するものである。
【0020】
なお、この流体加熱装置は、流体として水を加熱するものであり、当該水を加熱用金属体1で加熱して、100℃超(200℃〜2000℃)の過熱蒸気を発生する過熱蒸気発生装置として用いられるが、加熱温度や加熱対象流体がこれに限られるものでない。例えば、外部で生成された飽和水蒸気を加熱用金属体1で加熱して、過熱蒸気を発生するものであっても良い。
【0021】
また、前記加熱用金属体1を誘導加熱する機構は、図示しないが、鉄心と、当該鉄心に沿って巻回された一次コイルとからなる。この誘導加熱機構の一次コイルの外周又は内周又は一次コイル間に、当該一次コイルに沿って前記加熱用金属体1が設けられる。
【0022】
しかして、加熱用金属体1は、複数の金属要素2、3を重ねて形成されたものであり、当該複数の金属要素2、3の対向面の間に内部流路Rが形成されている、この加熱用金属体1には、前記内部流路Rに流体を供給するための外部配管が接続される導入ポートP1が形成されるとともに、加熱された流体を外部に導出するための外部配管が接続される導出ポートP2が形成されている。
【0023】
具体的に前記加熱用金属体1は、円筒状をなす第1の金属要素2と、当該第1の金属要素2に挿入して設けられた円筒状をなす第2の金属要素3とを備えており、当該第1の金属要素2の内面及び第2の金属要素3の外面とにより前記内部流路Rが形成される。本実施形態の内部流路Rは、前記加熱用金属体1の一端部から他端部に亘って形成された螺旋状をなすものである。内部流路Rの一端部には、前記導入ポートP1が連通しており、内部流路Rの他端部には、前記導出ポートP2が連通している。つまり、前記導入ポートP1は加熱用金属体1の第1の金属要素2の軸方向一端部に設けられており、前記導出ポートP2は加熱用金属体1の第1の金属要素2の軸方向他端部に設けられている。
【0024】
より詳細には、前記第1の金属要素2は、加熱用金属体1の外径側部分を形成する例えばSUS306L等の金属薄板(例えば厚さ2mm)製の円筒体である。この第1の金属要素2には、前記螺旋状の内部流路Rを形成するために、その内面に径方向外側に向かって凹んだ螺旋状の凹溝21が形成されている。この螺旋状の凹溝21を形成するために第1の金属要素2は変形加工が施されている。この変形加工としては、例えば、水圧等の液圧によって変形させるバルジ加工(ハイドロフォーミング)や、螺旋状の凹部又は凸部が形成された型に沿って駒(ローラ)等によって加圧変形させる加工等が考えられる。
【0025】
また、第2の金属要素3は、加熱用金属体1の内径側部分を形成する例えばSUS306L等の金属薄板(例えば厚さ2mm)製の円筒体である。この第2の金属要素3には、前記螺旋状の内部流路Rを形成するために、その外面に径方向内側に向かって凹んだ螺旋状の凹溝31が形成されている。この第2の金属要素3の螺旋状の凹溝31は、前記第1の金属要素2の螺旋状の凹溝21に対応するように同一高さに同一ピッチで形成されている。この変形加工としては、水圧等の液圧によって変形させるバルジ加工(ハイドロフォーミング)や、螺旋状の凹部又は凸部が形成された型に沿って駒(ローラ)等によって加圧変形させる加工等が考えられる。さらに、第2の金属要素3の外径寸法は、前記第1の金属要素2の内径寸法と略同一であり、第2の金属要素3は、圧入、焼きばめ又は冷やしばめ等によって、第1の金属要素2に挿入して設けられる。
【0026】
そして、第1の金属要素2及び第2の金属要素3の軸方向両端部(加熱用金属体1の軸方向両端部1a、1b)のみに、流体漏れ防止用のシール加工が施されている。このシール加工としては、例えば溶接が考えられる。
【0027】
この構成により、加熱用金属体1の軸方向両端部1a、1bは液密にシールされるが、第1の金属要素2の凹溝21間の内面と、第2の金属要素3の凹溝31間の外面とが面接触する(図2の部分拡大図参照)。
【0028】
<本実施形態の効果>
このように構成した流体加熱装置によれば、加熱用金属体1が複数の金属要素(第1の金属要素2及び第2の金属要素3)を重ねて形成し、それらの金属要素2、3の間に内部流路Rが形成されているので、金属要素2,3が持つ柔軟性により、誘導加熱による熱変形に耐える構造とすることができる。これにより、熱変形による破損等の可能性が小さい流体加熱装置を提供することができる。
【0029】
加熱用金属体1が円筒状であるので、変圧器の脚鉄心を第1の金属要素2の内側に配置する構成によって、加熱用金属体1を誘導加熱することができる。このとき、加熱用金属体1の内径側部分を単一部材(第1の金属要素2)から形成されているので、熱変形に強い構造とすることができる。
【0030】
また、内部流路Rが螺旋状をなすものであり、誘導加熱された金属要素2、3との接触面積を大きくするとともに、流体流速を速くすることができ、熱交換効率を向上させることができる。また、第1の金属要素2及び第2の金属要素3に螺旋状の凹溝21、31が形成されることになるため、金属要素2、3の機械的強度を向上させることができる。
【0031】
さらに、第1の金属要素2及び第2の金属要素3の軸方向両端部のみに、流体漏れ防止用のシール加工が施されているので、第1の金属要素2及び第2の金属要素3の熱膨張差による変形差を機械的に吸収することができる。
【0032】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0033】
例えば、前記実施形態では、第1の金属要素及び第2の金属要素の両方に凹溝が形成されたものであったが、何れか一方に凹溝を形成するものであっても良い。例えば、図3及び図4に示すように、第1の金属要素2を、前記実施形態と同様に螺旋状の凹溝21を形成したものとし、第2の金属要素3を、変形加工を施していない等断面形状の円筒体としても良い。このような構成により、第1の金属要素2のみに螺旋状の凹溝2を形成すればよく、第2の金属要素3に変形加工を施す必要がないため、加工工数及び加工コストの低減、変形金型の簡易化が可能となる。なお、第2の金属要素を、前記実施形態と同様に螺旋状の凹溝を形成したものとし、第1の金属要素を変形加工を施していない等断面形状の円筒体としても良い。
【0034】
また、前記実施形態では、加熱用金属体1の軸方向両端部1a、1bのみを溶接等によりシール加工しているが、内部流路の間における第1の金属要素及び第2の金属要素の面接触部分をスポット溶接等により溶接しても良い。
【0035】
さらに、第1の金属要素及び第2の金属要素を互いに異なる板厚又は材質で構成しても良い。これならば、それぞれの金属要素の電気抵抗値や機械的強度を調整した構造にすることができる。例えば、変形加工を施した金属要素は機械的強度が増すことになるので、板厚を薄く設定することができる。また、内径側の金属要素は外径側の金属要素よりも周長が短く電気抵抗値が小さくなるので、内径側の金属要素を薄くしたり、固有抵抗が高い材質にすることで、外周側の金属要素と同等の温度上昇値にすることができる。
【0036】
その上、前記実施形態では金属要素が薄板要素であったが、金属要素が所定の肉厚(例えば20mm)を有する厚板要素であっても良い。この場合、図5に示すように、例えばSUS306L等の円筒体である第2の金属要素3の外面に螺旋状の凹溝加工を施して、その外側に、例えばSUS306L等の円筒体である第1の金属要素2を焼きばめや冷やしばめ等により嵌入して構成しても良い。なお、前記凹溝加工としては、例えば切削加工等の機械加工である。そして、第1の金属要素2及び第2の金属要素3の軸方向両端部(加熱用金属体1の軸方向両端部1a、1b)のみに、流体漏れ防止用のシール加工(例えば溶接)を施す。なお、第2の金属要素3だけでなく、前記実施形態のように、第1の金属要素2の内面に、第2の金属要素3の螺旋状の凹溝31に対応するように同一高さに同一ピッチで凹溝加工を施しても良い。また、第1の金属要素2の内面のみに凹溝加工を施しても良い。
【0037】
さらに、前記実施形態では、第1の金属要素及び第2の金属要素からなる2つの金属要素から加熱用金属体が構成されているが、3つ以上の金属要素を多重に重ねて形成したものであっても良い。例えば、円筒状をなす第1の金属要素と、当該第1の金属要素に挿入して設けられた円筒状をなす第2の金属要素と、当該第2の金属要素に挿入して設けられた円筒状をなす第3の金属要素とを備え、中央の金属要素(第2の金属要素)の内面及び外面に溝加工を施すことにより、内部流路が前記第2の金属要素の内側及び外側の両方に形成されるものであっても良い。あるいは、前記第1の金属要素の内面に溝加工を施すとともに、前記第3の金属要素の外面に溝加工を施すころにより、内部流路が前記第2の金属要素の内側及び外側の両方に形成されるものであっても良い。
【0038】
加えて、流体加熱装置として、2つ以上の加熱用金属体を有するものであっても良い。この場合、1つ目の加熱用金属体により、水を加熱して飽和水蒸気を生成する飽和水蒸気生成部を構成し、2つ目の加熱用金属体により、前記飽和水蒸気生成部から飽和水蒸気を受け取り、当該飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部を構成することが考えられる。
【0039】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1・・・加熱用金属体
R・・・内部流路
2・・・第1の金属要素
21・・・凹溝
3・・・第2の金属要素
31・・・凹溝
図1
図2
図3
図4
図5