特許第6404710号(P6404710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404710看護支援端末装置、看護支援システム、ならびに、看護支援方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404710
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】看護支援端末装置、看護支援システム、ならびに、看護支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20181001BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20181001BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20181001BHJP
【FI】
   A61B5/00 102B
   A61G12/00 Z
   G06Q50/22
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-266040(P2014-266040)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-123570(P2016-123570A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】三輪 芳久
(72)【発明者】
【氏名】井上 智紀
(72)【発明者】
【氏名】野田 達大
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−093852(JP,A)
【文献】 特開2005−149085(JP,A)
【文献】 特開2014−238638(JP,A)
【文献】 特開2006−285520(JP,A)
【文献】 特開2007−52699(JP,A)
【文献】 特開2004−130522(JP,A)
【文献】 特開2002−132962(JP,A)
【文献】 特開2003−67486(JP,A)
【文献】 特開2012−252698(JP,A)
【文献】 特開2013−149048(JP,A)
【文献】 特開2014−96116(JP,A)
【文献】 特開2007−25956(JP,A)
【文献】 特開2002−312471(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0055219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/01
G08B 23/00−31/00
G16H 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の生体情報のデータを収集する看護支援端末装置であって、
被測定者が装着する記憶媒体から被測定者を識別するための識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報に基づいて被測定者を特定する被測定者特定部と、
自装置の位置に関する情報を取得する位置情報取得部と、
前記被測定者特定部が特定した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を取得する測定位置情報取得部と、
前記自装置の位置に関する情報、および、前記被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報に基づいて、前記自装置の位置および前記過去に生体情報の測定を受けた位置を表示する表示部と、を有する看護支援端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の看護支援端末装置であって、
前記表示部は、病棟のフロアのマップ画像を表示し、当該マップ画像上に、前記自装置の位置および前記過去に生体情報の測定を受けた位置を示すマーカを重畳して表示する、ことを特徴とする看護支援端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の看護支援端末装置であって、
前記自装置の位置と、前記過去に生体情報の測定を受けた位置とが、同一の病室に含まれる場合には、前記表示部は、前記自装置の位置および前記過去に生体情報の測定を受けた位置を示すマーカを、前記フロアのマップ画像よりもスケールが拡大された当該病室のマップ画像に重畳して表示する、ことを特徴とする看護支援端末装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の看護支援端末装置であって、
さらに、注意喚起のための情報を出力する報知部を有し、
前記自装置の位置と前記過去に生体情報の測定を受けた位置との隔たりが、予め定めた範囲を超えている場合には、前記報知部は、注意喚起メッセージを出力する、ことを特徴とする看護支援端末装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の看護支援端末装置であって、
前記過去に生体情報の測定を受けた位置は、前記被測定者が前回、生体情報の測定を受けた位置である、ことを特徴とする看護支援端末装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の看護支援端末装置であって、
前記識別情報取得部は、無線通信により、前記記憶媒体から前記識別情報を取得する、ことを特徴とする看護支援端末装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の看護支援端末装置であって、
さらに、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置から被測定者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
生体情報を収集するサーバ装置へ被測定者の生体情報を送信する生体情報送信部と、を有することを特徴とする看護支援端末装置。
【請求項8】
請求項1に記載の看護支援端末装置と、
被測定者に装着されて使用され、被測定者を識別するための識別情報を保持する記憶媒体と、
被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を保持するデータベースと、を有する、看護支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の看護支援システムであって、
前記記憶媒体は、ICタグである、ことを特徴とする看護支援システム。
【請求項10】
被測定者の生体情報のデータを収集する看護支援端末装置における看護支援方法であって、
被測定者が装着する記憶媒体から被測定者を識別するための識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記識別情報取得ステップで取得した前記識別情報に基づいて被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
自装置の位置に関する情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記被測定者特定ステップで特定した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を取得する測定位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得した前記自装置の位置に関する情報、および、前記測定位置情報取得ステップで取得した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報に基づいて、前記自装置の位置および前記過去に生体情報の測定を受けた位置を表示部に表示する表示ステップと、を有する看護支援方法。
【請求項11】
被測定者の生体情報のデータを収集する看護支援端末装置のコンピュータに、
被測定者が装着する記憶媒体から被測定者を識別するための識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記識別情報取得ステップで取得した前記識別情報に基づいて被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
自装置の位置に関する情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記被測定者特定ステップで特定した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を取得する測定位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得した前記自装置の位置に関する情報、および、前記測定位置情報取得ステップで取得した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報に基づいて、前記自装置の位置および前記過去に生体情報の測定を受けた位置を表示部に表示する表示ステップと、を実行させる看護支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、患者の生体情報(体温、血圧等)のデータの収集に用いられる看護支援端末装置に関する。
【0002】
またこの発明は、患者の生体情報のデータの収集に用いられる看護支援端末装置、および、端末装置とデータ通信可能に接続されて患者の生体情報のデータを端末装置から取得し電子カルテに記録する看護支援サーバ装置を有する看護支援システムに関する。
【0003】
またこの発明は、看護支援端末装置における看護支援方法および看護支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0004】
従来、この種のシステムとしては、例えば特許文献1(特開2004−351063号公報)に示されるように、バイタルデータの測定を担当するデータ採取者を確認する第1の確認手段と、測定の対象となる患者を確認する第2の確認手段と、患者に装着され測定実施項目を測定する測定手段と、測定手段から得られた測定データを読み込んで一時保持するデータ取得手段と、測定データの転送・記録を指示する指示手段と、測定データの記録が指示された場合に測定データが記録されるデータ蓄積サーバと、を有する患者データ採取管理システムがある。特許文献1のシステムでは、システムがデータ採取者および患者のそれぞれに装着された二次元バーコードを読み取ってデータ採取者および患者を特定する。
【0005】
特許文献2(特開2014−068696号公報)には、生体情報計測装置(例、体温計)から生体情報を無線で受信する際に患者の識別情報も生体情報計測装置から無線方式によって取得し、取得した識別情報に基づいて患者を特定する生体情報取得装置が開示されている。また、特許文献2には、患者認証方法の一例として生体情報取得装置が患者の手首に装着された電子タグを無線で読み取る手法も挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−351063号公報
【特許文献2】特開2014−068696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシステムでは、データ採取者(例、看護師)、および、患者の特定のために、データ採取者および患者に装着された二次元バーコードを読み取る必要がある。患者の二次元バーコードの読み取りは、通常、看護師等のデータ採取者が行うこととされている。そのため、該システムでは、看護師は、体温、血圧といった生体情報の測定に際し、患者毎に、二次元バーコードの読み取りを実施する必要がある。例えば、二次元バーコードは、患者の腕に装着されている。そのため、看護師は、布団に覆われた二次元バーコードをバーコードリーダに読み取らせるために患者の布団をめくらなければならないような場合もある。また、患者によっては、二次元バーコードが装着された腕を下にした姿勢で横になっていることもある。このような場合、二次元バーコードの読み取り自体が困難となる。
【0008】
近年、無線通信により識別情報を発信することが可能な識別用機器、例えばRFIDタグ、の利用が拡大している。上述のような看護支援システムにおいて、二次元バーコードに代えてそのような識別用機器を採用した場合、患者にRFIDタグを装着してもらうことになる。そうすることにより、看護師による患者の特定作業の効率化が期待でき、さらには、上述の患者特定作業の完全自動化も期待できるようになる。
【0009】
しかしながら、直上記載のように、患者にRFIDタグを装着してもらい、患者の特定作業を当該RFIDを用いて自動化する場合、看護師にとっては、これから生体情報の測定を行おうとしている患者が正しく特定されているかを簡便に確認することがむしろ困難になるという問題が生じる。
【0010】
そこで、この発明の課題は、患者の生体情報のデータの収集において患者の取り違えを未然に防止することができる看護支援端末装置の提供にある。
【0011】
また、この発明の別の課題は、当該看護支援端末装置を有する看護支援システムの提供にある。
【0012】
またこの発明のさらに別の課題は、看護支援端末装置における看護支援方法およびプログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明の一態様による看護支援端末装置は、
被測定者の生体情報のデータを収集する看護支援端末装置であって、
被測定者が装着する記憶媒体から被測定者を識別するための識別情報を取得する識別情報取得部と、
識別情報に基づいて被測定者を特定する被測定者特定部と、
自装置の位置に関する情報を取得する位置情報取得部と、
被測定者特定部が特定した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を取得する測定位置情報取得部と、
自装置の位置に関する情報、および、被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報に基づいて、自装置の位置および過去に生体情報の測定を受けた位置を表示する表示部と、を有する
ことを特徴とする。
【0014】
この発明の一態様による看護支援端末装置では、識別情報取得部が、被測定者に装着された記憶媒体に保持された被測定者を識別するための識別情報を取得し、被測定者特定部が、被測定者を識別するための識別情報に基づいて被測定者を特定する。また、位置情報取得部は、自装置の位置に関する情報を取得し、測定位置情報取得部は、被測定者特定部が特定した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を取得する。そして、表示部が、自装置の位置に関する情報および被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報に基づいて、自装置の位置および被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置を表示する。このようにして、看護支援端末装置の表示部には、看護支援端末装置の位置と、患者等の被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報が表示される。看護支援端末装置を使用する看護師は、表示部を通じて、自身の現在位置と、被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置と、の位置関係を簡便に確認することができる。当該表示を通じて、看護師といった測定者は、例えば、これから生体情報のデータを収集しようとしている患者の位置が、その患者が過去に生体情報のデータの収集を受けた位置と同じであるかどうかを簡便に確認できる。仮に、自身の現在位置と、被測定者として特定されている患者が過去に生体情報の測定を受けた位置との位置関係が、大きくかけ離れているように表示部に表示されたならば、識別情報取得部および被測定者特定部による被測定者の特定がうまく機能していないか、あるいは、被測定者として特定された患者が偶然他人のベッドに居合わせた、といったケースが想定される。そのような場合、測定者である看護師は、看護支援端末装置に対し被測定者の特定を再試行するよう指示したり、患者に声かけをするなどして本人確認をしたりすることで、被測定者の取り違えを未然に防止することができるようになる。
【0015】
一実施形態の看護支援端末装置では、表示部は、病棟のフロアのマップ画像を表示し、当該マップ画像上に、自装置の位置および上記過去に生体情報の測定を受けた位置を示すマーカを重畳して表示してもよい。
【0016】
この一実施形態の看護支援端末装置では、自装置の位置および被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置が、病棟のフロアのマップ画像上にマーカ表示される。そのため、看護支援端末装置を使用する測定者は、当該表示を通じて、自身の現在位置と、看護支援端末装置によって被測定者として特定された者が過去に生体情報の測定を受けた位置の位置関係を、直感的に認識することができる。
【0017】
一実施形態の看護支援端末装置では、自装置の位置と、上記過去に生体情報の測定を受けた位置とが、同一の病室に含まれる場合には、表示部は、自装置の位置および上記過去に生体情報の測定を受けた位置を示すマーカを、フロアのマップ画像よりもスケールが拡大された当該病室のマップ画像に重畳して表示してもよい。
【0018】
この一実施形態の看護支援端末装置では、自装置の位置および被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置が、フロアのマップ画像よりもスケールが拡大された病室のマップ画像上にマーカ表示される。そのため、看護支援端末装置を使用する測定者は、当該表示を通じて、自身の現在位置と、被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置の位置関係を、直感的に認識することがさらに容易になる。
【0019】
一実施形態の看護支援端末装置では、さらに注意喚起のための情報を出力する報知部を備え、自装置の位置と上記の過去に生体情報の測定を受けた位置との隔たりが、予め定めた範囲を超えている場合には、報知部は、注意喚起メッセージを出力してもよい。
【0020】
この一実施形態の看護支援端末装置では、自装置の位置と上記の過去に生体情報の測定を受けた位置とが予め定めた範囲を超えて隔たっている場合に、注意喚起メッセージが出力される。そのため、看護支援端末装置を使用する測定者は、自身の現在位置と上記の過去に生体情報の測定を受けた位置とが大きく異なっていることを容易に認識できるようになる。
【0021】
一実施形態の看護支援端末装置では、上記の過去に生体情報の測定を受けた位置は、被測定者が前回、生体情報の測定を受けた位置でもよい。
【0022】
この位置実施形態の看護支援端末装置では、自身の現在位置と、被測定者が前回、生体情報の測定を受けた位置との位置関係を簡便に確認することができる。
【0023】
一実施形態の看護支援端末装置では、識別情報取得部は、無線通信により、記憶媒体から識別情報を取得してもよい。
【0024】
この一実施形態の看護支援端末装置では、無線通信により被測定者を識別するための識別情報を取得することができる。そのため、極めて高速かつ簡便に被測定者を特定することができる。
【0025】
一実施形態の看護支援端末装置では、さらに、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置から被測定者の生体情報を取得する生体情報取得部と、生体情報を収集するサーバ装置へ被測定者の生体情報を送信する生体情報送信部と、を有してもよい。
【0026】
この一実施形態の看護支援端末装置では、被測定者の生体情報を生体情報測定装置から取得して取得した生体情報をサーバ装置へ出力することができる。そのため、生体情報の取得から取得した生体情報の蓄積に至る処理をスムースに完了させることが可能になる。
【0027】
この発明の別の一態様による看護支援システムは、
上記一態様による看護支援端末装置と、
被測定者に装着されて使用され、被測定者を識別するための識別情報を保持する記憶媒体と、
被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を保持するデータベースと、を有する
ことを特徴とする。
【0028】
この発明の別の一態様による看護支援システムでは、看護支援端末装置の表示部には、看護支援端末装置の位置と、患者等の被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報が表示される。看護支援端末装置を使用する看護師は、表示部を通じて、自身の現在位置と、被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置と、の位置関係を簡便に確認することができる。当該表示を通じて、看護師といった測定者は、例えば、これから生体情報のデータを収集しようとしている患者の位置が、その患者が過去に生体情報のデータの収集を受けた位置と同じであるかどうかを簡便に確認できる。
【0029】
一実施形態の看護支援システムでは、記憶媒体は、ICタグでもよい。
【0030】
この一実施形態の看護支援システムでは、看護支援端末装置は、ICタグから被測定者を識別するための識別情報を取得することができる。そのため、極めて高速かつ簡便に被測定者を特定することができる。
【0031】
この発明のさらに別の一態様による看護支援方法は、
被測定者の生体情報のデータを収集する看護支援端末装置における看護支援方法であって、
被測定者が装着する記憶媒体から被測定者を識別するための識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
識別情報取得ステップで取得した識別情報に基づいて被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
自装置の位置に関する情報を取得する位置情報取得ステップと、
被測定者特定ステップで特定した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を取得する測定位置情報取得ステップと、
位置情報取得ステップで取得した自装置の位置に関する情報、および、測定位置情報取得ステップで取得した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報に基づいて、自装置の位置および過去に生体情報の測定を受けた位置を表示部に表示する表示ステップと、を有する
ことを特徴とする。
【0032】
この発明のさらに別の一態様による看護支援方法では、看護支援端末装置の表示部には、看護支援端末装置の位置と、患者等の被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報が表示される。看護支援端末装置を使用する看護師は、表示部を通じて、自身の現在位置と、被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置と、の位置関係を簡便に確認することができる。当該表示を通じて、看護師といった測定者は、例えば、これから生体情報のデータを収集しようとしている患者の位置が、その患者が過去に生体情報のデータの収集を受けた位置と同じであるかどうかを簡便に確認できる。
【0033】
この発明のさらに別の一態様による看護支援プログラムは、
被測定者の生体情報のデータを収集する看護支援端末装置のコンピュータに、
被測定者が装着する記憶媒体から被測定者を識別するための識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
識別情報取得ステップで取得した識別情報に基づいて被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
自装置の位置に関する情報を取得する位置情報取得ステップと、
被測定者特定ステップで特定した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報を取得する測定位置情報取得ステップと、
位置情報取得ステップで取得した自装置の位置に関する情報、および、測定位置情報取得ステップで取得した被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報に基づいて、自装置の位置および過去に生体情報の測定を受けた位置を表示部に表示する表示ステップと、を実行させる
ことを特徴とする。
【0034】
この発明のさらに別の一態様による看護支援プログラムでは、看護支援端末装置の表示部には、看護支援端末装置の位置と、患者等の被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関する情報が表示される。看護支援端末装置を使用する看護師は、表示部を通じて、自身の現在位置と、被測定者が過去に生体情報の測定を受けた位置と、の位置関係を簡便に確認することができる。当該表示を通じて、看護師といった測定者は、例えば、これから生体情報のデータを収集しようとしている患者の位置が、その患者が過去に生体情報のデータの収集を受けた位置と同じであるかどうかを簡便に確認できる。
【発明の効果】
【0035】
以上より明らかなように、この発明の一態様による看護支援端末装置、看護支援システムならびに看護支援方法および看護支援プログラムによれば、測定者は、看護支援端末装置の表示部の表示を通じて、例えば、これから生体情報のデータを収集しようとしている患者の位置が、その患者が過去に生体情報のデータの収集を受けた位置と同じであるかどうかを簡便に確認できるようになる。よって、患者の生体情報のデータの収集において患者の取り違えを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】この発明の一実施形態による看護支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】この発明の一実施形態による看護支援端末装置の構成を示すブロック図である。
図3】看護支援端末装置の表示例を示す図である。
図4】この発明の一実施形態によるデータ収集サーバの構成を示すブロック図である。
図5A】データ収集サーバが保持する看護師データベースの例を示す図である。
図5B】データ収集サーバが保持する患者データベースの例を示す図である。
図6A】看護師の認証にかかる看護支援端末装置の処理を示すフローチャートである。
図6B】看護師の認証にかかるデータ収集サーバの処理を示すフローチャートである。
図7】看護師の認証が完了したときの看護支援端末装置の表示例を示す図である。
図8】看護師が患者の生体情報の測定を行う様子を示す模式図である。
図9A】患者の認証、および、患者の前回測定位置の表示にかかる看護支援端末装置の処理を示すフローチャートである。
図9B】患者の認証にかかるデータ収集サーバの処理を示すフローチャートである。
図10A】認証された患者の前回測定位置と、認証された看護士の現在位置とが同一の病室でない場合の、看護支援端末装置の表示例を示す図である。
図10B】認証された患者の前回測定位置と、認証された看護士の現在位置とが同一の病室である場合の、看護支援端末装置の表示例を示す図である。
図10C】認証された患者の前回測定位置と、認証された看護士の現在位置とが同一の範囲に含まれる場合の、看護支援端末装置の表示例を示す図である。
図11A】生体情報データの収集にかかる看護支援端末装置の処理を示すフローチャートである。
図11B】生体情報データの収集および患者データベースの更新にかかるデータ収集サーバの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施形態による看護支援システムを含む病院等の院内ネットワークの一例を示すブロック図である。図1を参照し、本発明の実施形態による看護支援システムの構成の概要を説明する。
【0039】
看護支援システムは、看護師等が使用して患者等の生体情報(血圧、体温等)のデータを収集する端末装置1と、端末装置1とデータ通信可能に接続され端末装置1から生体情報のデータを取得し該生体情報のデータを電子カルテサーバ3sが管理する電子カルテに記録するデータ収集サーバ2と、端末装置1からの要求に応じて端末装置1の現在位置の情報を端末装置1に提供する位置情報サーバ4と、看護師等に装着され、看護師等を識別するための識別情報をRFID通信により端末装置1へ送信する看護師IDタグ5と、患者等に装着され、患者等を識別するための識別情報をRFID通信により端末装置1へ送信する患者IDタグ7と、を有する。データ収集サーバ2は、後述するように、看護師および患者の認証のための機能も備える。端末装置1は、Wi−Fi通信により無線LANアクセスポイント8と接続され、無線LANアクセスポイント8を経由して院内ネットワーク9に接続されている。院内ネットワーク9には、これら端末装置1およびデータ収集サーバ2のほか、電子情報化されたカルテ(電子カルテ)を管理する電子カルテサーバ3sや、電子カルテサーバ3sにアクセスして電子カルテの情報を閲覧する電子カルテ閲覧端末装置3cが接続されている。
【0040】
端末装置1は、本実施形態による看護支援端末装置である。端末装置1は、測定者である看護師等が装着する看護師IDタグ5、および、被測定者である患者等が装着する患者IDタグ7からそれぞれ、RFID通信により、看護師識別情報(測定者を識別するための識別情報)および患者識別情報(被測定者を識別するための識別情報)を取得することができる。端末装置1は、取得した看護師識別情報および患者識別情報に基づいて、測定者および被測定者を特定する。より詳しくは、端末装置1は、先ず、取得した看護師識別情報および患者識別情報をデータ収集サーバ2へ送る。データ収集サーバ2は、受け取った情報に基づいて看護師または患者の認証を行い、認証の結果を端末装置1へ送信する。端末装置1は、データ収集サーバ2から返ってくる認証の結果に基づいて、データ測定を行う看護師およびデータが測定される患者を特定する。
【0041】
看護師および患者が特定された状態において、端末装置1は、生体情報測定装置6から生体情報の測定データを受信する。具体的には、端末装置1は、体温計、血圧計、血糖計といった生体情報測定装置6から、体温、血圧、血糖値といった生体情報の測定データを、NFC(Near Field Communication)通信により、取得する。端末装置1は、取得した生体情報の測定データを、表示部13(図2)に表示し、測定者の指示に従って、測定者(看護師)および被測定者(患者)の情報とともにデータ収集サーバ2へ送る。
【0042】
データ収集サーバ2は、測定者(看護師)および被測定者(患者)の情報ならびに生体情報の測定データを端末装置1から受け取ると、受け取った情報に基づいて電子カルテサーバ3sに対し電子カルテへの測定結果の記録を要求する。
【0043】
電子カルテサーバ3sは、電子情報化されたカルテを管理するサーバである。電子カルテサーバ3sは、データ収集サーバ2からの要求に従い、被測定者の電子カルテに対し、測定データや測定者や時刻等といったデータを記録する。
【0044】
看護師IDタグ5は、記憶媒体、プロセッサ、および、無線通信用回路を有し、その記憶媒体に識別情報を保持するRFIDタグ(ICタグ)である。本システムでは、当該識別情報を、看護師を識別するための情報(看護師識別情報(測定者識別情報))として使用する。看護師IDタグ5は、職員証、リストバンド、バッジ等として看護師に装着可能である。看護師IDタグ5は、端末装置1に内蔵または接続されたRFIDリーダ(第1無線通信モジュール(図2))からの電波を受信するとそれに対する応答として看護師識別情報を発信するパッシブタイプのRFIDタグである。看護師IDタグ5は、例えば、端末装置1からおよそ1mの範囲内において、当該端末装置1のRFIDリーダ(第1無線通信モジュール(図2))と通信することができる。なお、看護師IDタグ5は、アクティブタイプ、あるいは、セミアクティブタイプのRFIDタグでもよい。また、上記通信可能な範囲は、1mの範囲に限定されない。
【0045】
患者IDタグ7もまた、記憶媒体、プロセッサ、および、無線通信用回路を有し、その記憶媒体に識別情報を保持するRFIDタグ(ICタグ)である。本システムでは、当該識別情報を、患者を識別するための情報(患者識別情報(被測定者識別情報))として使用する。患者IDタグ7は、名札、リストバンド、バッジ等として患者に装着可能である。患者IDタグ7は、看護師IDタグ5同様、端末装置1のRFIDリーダ(第1無線通信モジュール(図2))からの電波を受信すると応答として患者識別情報を発信するパッシブタイプのRFIDタグである。患者IDタグ7も、例えば、端末装置1からおよそ1mの範囲内において、当該端末装置1のRFIDリーダ(第1無線通信モジュール(図2))と通信することができる。なお、患者IDタグ7もまた、アクティブタイプ、あるいは、セミアクティブタイプのRFIDタグでもよい。また、上記通信可能な範囲は、1mの範囲に限定されない。
【0046】
生体情報測定装置6は、例えば、体温計、血圧計、血糖計、パルスオキシメータといった生体情報を測定するための装置である。生体情報測定装置6は、NFC通信により、測定データを端末装置1へ送信する。なお、生体情報測定装置6と端末装置1との間の通信は、NFCでなくともよく、Bluetooth(登録商標)といった通信規格であってもよい。また、生体情報測定装置6と端末装置1との間の通信は、通信ケーブル等を用いた有線接続により行ってもよい。
【0047】
位置情報サーバ4は、端末装置1からの要求に応じて端末装置1の現在位置の情報を端末装置1へ提供するサーバ装置である。位置情報サーバ4は、例えば、端末装置1が使用している無線LANアクセスポイント8の設置位置や、端末装置1と無線LANアクセスポイント8との通信状況(電波強度等)に基づいて、端末装置1の現在位置を推定し、推定結果を端末装置1の現在位置の情報として端末装置1に提供する。なお、位置情報サーバ4は、必ずしも必要ではない。後述するように、端末装置1は、それが内蔵するGPSモジュール15(図2)の働きにより、自身の現在位置の情報を取得することも可能である。その場合、位置情報サーバ4は、なくともよい。GPSモジュール15および位置情報サーバ4は、それぞれ、本実施形態において、位置情報提供装置として動作することができる。
【0048】
図2を参照して端末装置1の構成について詳しく説明する。端末装置1は、所謂タブレット端末である。端末装置1は、制御部(CPU)11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、GPS(Global Positioning System)モジュール15と、第1無線通信モジュール16と、第2無線通信モジュール17と、第3無線通信モジュール18とを有する。
【0049】
制御部(CPU)11は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)およびその補助回路で構成され、端末装置1を構成する各部を制御し、記憶部12に記憶されたプログラムおよびデータに従って各種の処理を実行する。すなわち、制御部(CPU)11は、操作部14、GPSモジュール15、第1無線通信モジュール16、第2無線通信モジュール17、第3無線通信モジュール18等との間でデータのやりとりを行い、入力されたデータを処理し、処理したデータを、記憶部12に記憶したり、表示部13で表示したり、通信モジュール16、17、18へ出力したりする。制御部(CPU)11は、1つまたは複数のプログラムをそれぞれ独立・並列的に随時実行することができ、それらプログラムを実行することによって、図6A図9A図11A等に記載された処理を実行することができる。
【0050】
なお、制御部11の構成は、CPUおよびその周辺の補助回路に限定されない。制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルロジックデバイスや、マイクロコントローラ、といったプロセッサとして実装可能である。また、制御部11の実装上の構成は上述した例に限定されない。
【0051】
記憶部12は、制御部(CPU)11が実行するプログラムを格納し、またプログラムを実行するために必要な作業領域として用いられる。記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)といった記憶装置である。また、記憶部12の記憶領域を補助するための補助記憶装置の記憶媒体として、半導体メモリ(メモリカード、SSD(Solid State Drive))などを用いることができる。
【0052】
表示部13および操作部14は、タッチパネル液晶ディスプレイとして一体的に構成される。つまりその場合、表示部13は、文字および図形を表示することができる液晶ディスプレイにより構成され、操作部14は、液晶ディスプレイの表示面上に形成されたタッチセンサである。
【0053】
GPSモジュール15は、GPS衛星からの電波を受信して受信した電波に含まれる信号に基づいて現在位置を特定するためのモジュールである。GPSモジュール15は、制御部(CPU)11の指示に従って動作し、現在位置の情報(経度・緯度・高度等)を制御部(CPU)11へ返すことができる。
【0054】
第1無線通信モジュール16は、所謂RFIDリーダを備えたモジュールである。第1無線通信モジュール16は、看護師IDタグ5および患者IDタグ7との間でRFIDによる通信を行って、看護師IDタグ5および患者IDタグ7(RFIDタグ)が保持する識別情報を取得する。
【0055】
第2無線通信モジュール17は、生体情報測定装置6との間で非接触近距離無線通信を行うためのNFCモジュールである。ユーザが生体情報測定装置6を端末装置1(の第2無線通信モジュール17)に近接させると、第2無線通信モジュール17は、生体情報測定装置6との間で通信を行い、生体情報測定装置6に保持された生体情報の測定データを受信する。なお、生体情報測定装置6と端末装置1との間の通信は、NFCに限定されるものではない。
【0056】
第3無線通信モジュール18は、例えば病室やナースステーションに設置された無線LANアクセスポイント8との間で無線データ通信を行うためのWi−Fiモジュールである。端末装置1は、第3無線通信モジュール18を介して、院内ネットワーク9(図1)に接続される。
【0057】
図3は、端末装置1を上から見たときの模式図である。タブレット端末で構成される端末装置1は、その上面にタッチパネル液晶ディスプレイ13(14)を備えており、これが端末装置1の表示部13および操作部14を構成する。図面中の表示部13の下方には、第2無線通信モジュール17が配されている。
【0058】
看護師IDタグ5を装着した看護師が端末装置1に近づくと、(およそ1mの範囲にあると、)端末装置1は、看護師IDタグ5の存在を検出し、当該IDタグ5から看護師識別情報を取得する。端末装置1は、看護師識別情報に基づいて(データ収集サーバ2に認証を要求して得た認証の結果に基づいて)、測定者である看護師を特定する。すると、特定された看護師の名前が、看護師氏名表示欄101に表示される。
【0059】
端末装置1を携えた看護師が患者に近づくと、端末装置1は、患者IDタグ7の存在を検出し、当該IDタグ7から患者識別情報を取得する。端末装置1は、患者識別情報に基づいて(データ収集サーバ2に認証を要求して得た認証の結果に基づいて)、被測定者である患者を特定する。すると、特定された患者の名前が、患者氏名表示欄102に表示される。
【0060】
生体情報測定装置6の1つである血圧計から、測定データ(血圧のデータ)を受信すると、端末装置1は、当該血圧の値を血圧値表示欄103および104に表示する。また、脈拍数が、脈拍数表示欄105に表示される。
【0061】
生体情報測定装置6の1つである体温計が第2無線通信モジュール17にかざされると、体温計から、NFC通信によって、測定データ(体温のデータ)が端末装置1へ送信される。すると、端末装置1は、当該体温の値を体温表示欄106に表示する。
【0062】
SpO2表示欄107および血糖値表示欄108には、それぞれ、上述した体温計の場合と同様にして生体情報測定装置6の1つであるパルスオキシメータや血糖計から取得されたデータが表示される。
【0063】
送信ボタン141は、操作部14に含まれる操作ボタンである。看護師が送信ボタン141をタップすると、端末装置1は、生体情報測定装置6から取得した測定データを、看護師(測定者)の情報、および、患者(被測定者)の情報とともに、データ収集サーバ2へ送信する。
【0064】
次に、データ収集サーバ2について説明する。図4は、データ収集サーバ2の構成を示すブロック図である。データ収集サーバ2は、制御部(CPU)21と、メモリ22と、ネットワークインタフェース24とを有する。
【0065】
制御部(CPU)21は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)およびその補助回路で構成され、データ収集サーバ2を構成する各部を制御し、メモリ22に記憶されたプログラムおよびデータに従って各種の処理を実行する。制御部(CPU)21は、1つまたは複数のプログラムをそれぞれ独立・並列的に随時実行することができ、それらプログラムを実行することによって、図6B図9B図11B等に記載された処理を実行することができる。
【0066】
なお、制御部21の構成は、CPUおよびその周辺の補助回路に限定されない。制御部21は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルロジックデバイスや、マイクロコントローラ、といったプロセッサとして実装可能である。また、制御部21の実装上の構成は上述した例に限定されない。
【0067】
メモリ22は、制御部(CPU)21が実行するプログラムを格納し、またプログラムを実行するために必要な作業領域として用いられる。メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)といった記憶装置である。また、記憶部12の記憶領域を補助するための補助記憶装置の記憶媒体として、半導体メモリ(メモリカード、SSD(Solid State Drive))などを用いることができる。
【0068】
データ収集サーバ2は、上記したプログラムを実行することにより、端末装置1から送信される識別情報に基づいて、看護師や患者の認証を行う。また、データ収集サーバ2は、端末装置1から送信される測定データ等を受信し、受信した測定データに基づいて、電子カルテサーバ3sに対し、電子カルテへの測定データの記録を要求する。
【0069】
さらに、データ収集サーバ2は、上記したプログラムを実行することにより、看護師データベース(測定者データベース)23n、および、患者データベース(被測定者データベース)23pとして動作する。
【0070】
図5Aは、看護師データベース23nに記録されるデータの例を示す図である。看護師データベース23nは、看護師識別情報(識別子ID)と、看護師の名前等とを対応付けて記録するデータベースである。端末装置1から看護師識別情報が送られてくると、データ収集サーバ2は、受信した看護師識別情報をキーとして看護師データベース23nを検索し、当該看護師識別情報に対応する看護師の情報(名前等)を取得する(看護師の認証)。データ収集サーバ2は、そのようにして取得した看護師の情報を、端末装置1へ送信する。なお当然のことながら、看護師データベース23nは、名前以外の看護師の情報を記録することも可能である。
【0071】
図5Bは、患者データベース23pに記録されるデータの例を示す図である。患者データベース23pは、患者識別情報(識別子ID)と、患者の名前と、患者が前回の生体情報の測定を受けた位置(病室、ベッド番号等)の情報を対応付けて管理するデータベースである。患者が前回の生体情報の測定を受けた位置(病室、ベッド番号等)の情報は、例えば、前回端末装置1から生体情報の測定データが送られてきたときの端末装置1の位置に関する情報でよい。つまり、端末装置1は、データ収集サーバ2への測定データの送信の際、自機の現在位置についての情報をデータ収集サーバ2へ送信し、データ収集サーバ2は、送られてきた現在位置についての情報に基づいて被測定者(患者)に関する患者データベース23pの「前回データ収集位置」のデータを更新する。端末装置1から患者識別情報が送られてくると、データ収集サーバ2は、受信した患者識別情報をキーとして患者データベース23pを検索し、当該患者識別情報に対応する患者の情報(名前、前回生体情報の測定を受けた病室やベッドの番号等)を取得する(患者の認証)。データ収集サーバ2は、そのようにして取得した患者の情報を、端末装置1へ送信する。なお当然のことながら、患者データベース23pは、名前や前回データ収集位置以外の患者の情報(性別、年齢等)を記録することも可能である。また、患者データベース23pは、各患者について、複数の、当該患者が過去に生体情報の測定を受けた位置に関するデータを保持してもよい。その場合、各測定について測定日時に関する情報を併せて記録してよい。
【0072】
以上のような構成を有する本実施形態による看護支援システムでは、端末装置1が、NFC通信により、体温計等の生体情報測定装置6が測定した体温等の生体情報を取得し、端末装置1は、そのようにして取得した生体情報を、データ収集サーバ2へ送る。データ収集サーバ2は、看護師IDタグ5および患者IDタグ7により認証された看護師(測定者)および患者(被測定者)の情報を生体情報と関連づけて電子カルテサーバ3sへ送る。生体情報を受信した電子カルテサーバ3sは、患者(上記の被測定者)の電子カルテに生体情報の測定結果を記録する。生体情報の測定結果が記録された電子カルテは、電子カルテ閲覧端末装置3cを通じて、医師や看護師の閲覧に供される。
【0073】
次に、図6A図6B、および、図7を参照して、看護師の認証(測定者の特定)について説明する。
【0074】
図6Aは、看護師の認証(測定者の特定)において、端末装置1(の制御部11)が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
制御部11は、識別情報取得部として動作して、第1無線通信モジュール16が看護師IDタグ5を検出したかどうかをチェックする(ステップS1)。看護師IDタグ5が検出されると(ステップS1における「YES」)、処理は、ステップS2へ進む。
【0076】
ステップS2において、制御部11は、測定者特定部として動作して、第1無線通信モジュール16が看護師IDタグ5から受信した識別情報に基づいて、データ収集サーバ2へ看護師の認証を要求する。
【0077】
ここでデータ収集サーバ2側の動作について説明する。図6Bは、看護師の認証(測定者の特定)において、データ収集サーバ2(の制御部21)がする処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
データ収集サーバ2の制御部21は、ネットワークインタフェース24を通じて端末装置1から看護師の認証にかかるリクエストを受信したかどうかをチェックする(ステップS101)。看護師の認証にかかるリクエストの受信を確認すると(ステップS101における「YES」)、処理は、ステップS102へ進む。
【0079】
ステップS102において、制御部21は、看護師データベース23n(図5A)にアクセスして当該リクエストとともに受信した看護師識別情報をキーとして看護師の情報を検索する。例えば、リクエストとともに受信した看護師識別情報が「NID0001」であった場合、制御部21は、看護師データベース23nから、看護師の情報として、看護師の名前「N」を取得する。
【0080】
次に、ステップS103において、制御部21は、看護師識別情報に基づいて取得した看護師の情報を、端末装置1へ送る。例えば、データ収集サーバ2は、看護師の情報(名前「N」)を、院内ネットワーク9を通じて、端末装置1へ送る。
【0081】
図6Aに戻り、ステップS3において、端末装置1の制御部11は、測定者特定部として動作して、データ収集サーバ2から、看護師の情報を取得し、測定者としての看護師を特定する。図7は、このようにしてなされる看護師の認証後の端末装置1の表示の例を示す図である。同図に例示されるように、看護師の認証(特定)が成功すると、端末装置1の表示部13の看護師氏名表示欄101に特定された看護師の氏名が表示される。
【0082】
次に、図8図9A図9B図10A図10B図10Cを参照して、患者の認証(被測定者の特定)と、被測定者の前回の生体情報の測定位置の表示について説明する。
【0083】
図8は、携帯端末1を携えた看護師Nが101号病室に入室した状況を示す模式図である。同図で看護師Nは、ベッド101−3に横たわる患者の近くに立っている。図9Aは、患者の認証(被測定者の特定)および被測定者の前回の生体情報の測定位置の表示において、端末装置1(の制御部11)がする処理の流れを示すフローチャートである。本図に示すステップのうち、主としてステップS4乃至ステップS6が、患者の認証に関連してなされる処理であり、主としてステップS7乃至ステップS10が、被測定者の前回の生体情報の測定位置の表示に関連してなされる処理である。
【0084】
図9Aを参照すれば、制御部11は、識別情報取得部として動作して、第1無線通信モジュール16が患者IDタグ7を検出したかどうかをチェックする(ステップS4)。図8に示されるように、端末装置1を携帯する看護師Nは、患者Gさんの近くに立っている。このとき、端末装置1は、Gさんの患者IDタグ7を検出する。患者IDタグ7が検出されると(ステップS4における「YES」)、処理は、ステップS5へ進む。
【0085】
ステップS5において、制御部11は、被測定者特定部として動作して、第1無線通信モジュール16が患者IDタグ7から受信した識別情報に基づいて、データ収集サーバ2へ患者の認証を要求する。図8に示される例では、端末装置1は、患者Gさんの患者IDタグ7の記憶媒体に保持される識別情報に基づいて、データ収集サーバ2に対し、患者の認証をリクエストする。
【0086】
ここでデータ収集サーバ2側の動作について説明する。図9Bは、患者の認証(被測定者の特定)において、データ収集サーバ2(の制御部21)がする処理の流れを示すフローチャートである。
【0087】
データ収集サーバ2の制御部21は、ネットワークインタフェース24を通じて端末装置1から患者の認証にかかるリクエストを受信したかどうかをチェックする(ステップS104)。患者の認証にかかるリクエストの受信を確認すると(ステップS104における「YES」)、処理は、ステップS105へ進む。
【0088】
ステップS105において、制御部21は、患者データベース23p(図5B)にアクセスして当該リクエストとともに受信した患者識別情報をキーとして看護師の情報を検索する。例えば、リクエストとともに受信した看護師識別情報が「PID0007」であった場合、制御部21は、患者データベース23pから、患者の情報として、患者の名前「G」や、前回生体情報の測定を受けた位置(病室、ベッド番号等)を取得する。
【0089】
次に、ステップS106において、制御部21は、患者識別情報に基づいて取得した患者の情報を、端末装置1へ送る。例えば、データ収集サーバ2は、患者の情報(名前「G」、前回データ収集位置「102号室第3ベッド」)を、院内ネットワーク9を通じて、端末装置1へ送る。
【0090】
なお、患者データベース23pが、各患者について、複数の、過去に生体情報の測定を受けた位置のデータを保持している場合、データ収集サーバ2は、ステップS106において、当該複数の過去の生体情報測定位置のデータを、端末装置1へ送信してよい。あるいは、データ収集サーバ2は、ステップS106において、当該複数の過去の生体情報測定位置のうちの1つの測定位置のデータを、過去の生体情報測定位置のデータとして、端末装置1へ送信してもよい。例えば、データ収集サーバ2は、当該複数の過去の生体情報測定位置のうち、同一位置を示すデータが最も多い測定位置のみを、過去の生体情報測定位置のデータとして、端末装置1へ送信してもよい。その場合、端末装置1は、被測定者として特定された患者が過去において最も多く生体情報の測定を受けた位置を、当該患者の過去の生体情報の測定位置として使用する。
【0091】
図9Aに戻り、ステップS6において、端末装置1の制御部11は、被測定者特定部として動作して、データ収集サーバ2から、患者の情報を取得し、被測定者としての患者を特定するとともに、制御部11は、測定位置情報取得部として動作して、取得した患者の情報から被測定者の前回の生体情報の測定位置に関する情報を取得する。ここで、患者の前回の生体情報の測定位置に関する情報とは、例えば、病室やベッド番号等に関する情報である。
【0092】
なお、データ収集サーバ2が、ステップS106(図9B)において、複数の過去の生体情報測定位置のデータを端末装置1へ送信した場合、端末装置1は、当該複数の過去の生体情報測定位置に関するデータを受信する。その場合、端末装置1は、例えば、当該複数の過去の生体情報測定位置のうち、同一位置を示すデータが最も多い測定位置を、生体情報の測定位置として採用してもよい。あるいは、端末装置1は、当該複数の過去の生体情報測定位置のうち、測定時刻が最も新しい測定位置を、前回の生体情報の測定位置として採用してもよい。
【0093】
次に、端末装置1は、位置情報取得部として動作して、端末装置1の現在位置の情報を取得する(ステップS7)。位置情報取得部による現在位置の情報の取得は、具体的には、制御部11がGPSモジュール15に対し位置情報の取得を指示し、これに応じてGPSモジュール15が制御部11へ返す位置情報を取得することによりなされる。なお、位置情報取得部による現在位置の情報の取得は、位置情報サーバ4に対し現在位置の情報をリクエストして、位置情報サーバ4から現在位置の情報を取得することによりなされてもよい。
【0094】
端末装置1は、次にステップS8において、現在位置と、被測定者である患者の前回の生体情報の測定位置(過去の生体情報測定位置)と、が同一の範囲であるかどうか判断する。例えば、端末装置1は、現在位置と前回の生体情報の測定位置との隔たりを求め、求めた隔たりが予め定めた距離(例えば、1.5m)未満であれば、同一であると判断し、そうでなければ、同一でないと判断する。なお、上記1.5mは単なる例に過ぎない。判断の閾値は、病棟や病室の寸法および形状により変化してよい。ステップS8において、同一の範囲内であると判断された場合(ステップS8における「YES」)、処理は、ステップS11へ進み、同一の範囲内でないと判断された場合(ステップS8における「NO」)、処理は、ステップS9へ進む。
【0095】
ステップS9において、端末装置1の制御部11は、表示部13の患者氏名表示欄102に患者の氏名を表示させるとともに、病棟のマップ画像を表示させ、当該マップ画像上に端末装置1の現在位置を示すマーカと、患者の前回の生体情報の測定位置を示すマーカを表示させる。そしてさらに制御部11は、注意喚起メッセージを表示部13に表示させる。すなわち、表示部13は、注意喚起のための情報を出力(表示する)報知部として動作する。なお、注意喚起のための情報の出力は、表示部13への表示に限定されない。例えば、端末装置1は、注意喚起のための音を出力してもよい。
【0096】
図10Aは、ステップS9での処理により表示部13に表示される画面の例である。この例は、図8に示した、病室101号室の101−3号ベッドにおいて患者Gさんが認証された場合の例である。図5Bの患者データベース23pに記録されているように、患者Gさんは前回、102号病室の第3ベッド(102−3号ベッド)において生体情報の測定を受けている。そのため、表示部13には、端末装置1の現在位置を示すマーカ109と、患者が前回、生体情報の測定を受けた位置を示すマーカ110が、互いに別々の病室に含まれるようにして表示される。端末装置1は、表示部13に病棟のフロアマップ114aを表示し、そのフロアマップ画像に、端末装置1の位置を示すマーカ109と、被測定者として特定された患者が前回、生体情報の測定を受けた位置を示すマーカ113とを、重畳して表示する。また、前回の測定位置と現在位置とをそれぞれ文字情報112、113としても表示する。そしてさらに、「前回と病室が異なります」といった注意喚起メッセージ111aを表示する。
【0097】
この注意喚起メッセージの表示は、看護師がメッセージ111aの範囲内をタップすると消去される(ステップS10)。
【0098】
図10Bは、ステップS9での処理により表示部13に表示される画面の別例である。この例は、病室101号室の101−3号ベッドにおいて患者Bさんが認証された場合の例である。図5Bの患者データベース23pに記録されているように、患者Bさんは前回、101号病室の第2ベッド(101−2号ベッド)において生体情報の測定を受けている。そのため、表示部13には、端末装置1の現在位置を示すマーカ109と、患者が前回、生体情報の測定を受けた位置を示すマーカ110が、同一の病室に含まれるようにして表示される。この場合、表示部13には、病棟のフロアマップとよりスケールが拡大された病室のマップ画像115を表示し、その病室のマップ画像に、マーカ109、110が表示される。そしてさらに、「前回とベッドが異なります」といった注意喚起メッセージ111bが表示される。
【0099】
他方、ステップS11においては、端末装置1の制御部11は、ステップS9と同様にして、マップ画像上に端末装置1の現在位置のマーカと、患者の前回の生体情報の測定位置を示すマーカを表示させる。ただし、注意喚起メッセージは表示されない。
【0100】
図10Cは、ステップS11での処理により表示部13に表示される画面の例である。この例は、病室101号室の101−3号ベッドにおいて患者Cさんが認証された場合の例である。図5Bの患者データベース23pに記録されているように、患者Cさんは前回、101号病室の第3ベッド(101−3号ベッド)において生体情報の測定を受けている。そのため、表示部13には、端末装置1の現在位置を示すマーカ109と、患者が前回、生体情報の測定を受けた位置を示すマーカ110が、病棟のフロアマップとよりスケールが拡大された病室のマップ画像115上に表示される。
【0101】
以上、患者の認証(被測定者の特定)と、被測定者の前回の生体情報測定位置の表示について説明した。このように、本看護システムの端末装置1は、認証により被測定者が特定されると、当該被測定者が前回、生体情報の測定を受けた位置に関する情報を患者データベース23p(図5B)から取得し、端末装置1の現在位置と、被測定者が前回、生体情報の測定を受けた位置を、表示部13に表示する。よって、看護師は、表示部13を通じて、自身の現在位置と、被測定者が前回、生体情報の測定を受けた位置と、の位置関係を簡便に確認することができるようになる。通常、患者は、生体情報の測定を毎回同じベッドで受けることが多い。そのため、看護師が、表示部13の表示を通じて患者の前回の測定位置と現在位置とが大きく異なることを知り得た場合には、看護師は、患者を再確認したり、患者の認証を再試行したりすることにより、患者の取り違えを未然に防止することができるようになる。
【0102】
なお、端末装置1が、データ収集サーバ2から、複数の過去の生体情報測定位置に関するデータを受信した場合には、端末装置1は、例えば、当該複数の過去の生体情報測定位置のうち、同一位置を示すデータが最も多い測定位置を、生体情報の測定位置として表示してよい。あるいは、端末装置1は、当該複数の過去の生体情報測定位置のうち、測定時刻が最も新しい測定位置を、前回の生体情報の測定位置として採用してもよい。さらにあるいは、端末装置1は、当該複数の過去の生体情報測定位置の全部もしくは一部を、測定位置ごとにマーカの形状や色や大きさ等を変えてそれらを表示してもよい。このとき、色や大きさは、当該測定位置における測定回数や頻度などが反映されたものであってよい。
【0103】
以上のようにして患者(被測定者)の特定がなされると、端末装置1は、生体情報測定装置6から患者の生体情報の測定データを受信し、受信した測定データをデータ収集サーバ2へ送信するための処理を行う。ここから、図11A、および、図11Bを参照して、この処理について説明する。
【0104】
図11Aは、端末装置1がする処理のフローチャートを示す図である。ステップS12において、端末装置1の制御部11は、生体情報取得部として動作して、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置6から被測定者の生体情報を取得する。例えば、看護師が、体温計を用いて患者の体温を計測し、計測が完了した体温計を、端末装置1の第2無線通信モジュール17に近接させると、端末装置1は、NFC通信により、体温計から体温のデータを取得する。端末装置1は、継続的に第2無線通信モジュール17に近接する生体情報測定装置6の有無をチェックし続け、生体情報測定装置6が検出されると随時、生体情報の測定データを生体情報測定装置6から取得する。
【0105】
なお、生体情報のデータの取得は、上述したNFC通信による手法に限定されない。例えば、看護師が血圧計や巻き尺などを使用して患者の血圧や腹囲などを計測し、計測値を看護師が直接端末装置1に入力してもよい。
【0106】
端末装置1は、継続的に第2無線通信モジュール17に近接する生体情報測定装置6の有無をチェックし続けるとともに、ステップS13において、データ送信の指示の入力の有無をチェックする。ここでのデータ送信の指示の入力は、例えば、看護師が、送信ボタン141(図3)をタップすることによりなされればよい。
【0107】
端末装置1に対しデータ送信の指示が入力されると(ステップS13における「YES」)、制御部11は、生体情報送信部として動作して、データ収集サーバ2へ被測定者の生体情報の測定データを送信する(ステップS14)。このとき、制御部11は、足手データとともに、測定者である看護師の情報(氏名等)と、被測定者である患者の情報(氏名等)と、現在位置の情報を、データ収集サーバ2へ送信する。
【0108】
図11Bは、データ収集サーバ2が端末装置1から測定データ等を受信したときにする処理のフローチャートである。
【0109】
ステップS107において、データ収集サーバ2の制御部21は、端末装置1から測定データを受信したかどうかをチェックする。測定データが受信された場合(ステップS107における「YES」)、処理は、ステップS108へ進む。
【0110】
ステップS108において、制御部21は、受信した測定データを、測定者および被測定者の情報とともに、電子カルテサーバ3sへ送信し、電子カルテサーバ3sに対し当該測定データ等の電子カルテへの記録を要求する。
【0111】
要求を受けた電子カルテサーバ3sは、測定データを、被測定者の電子カルテに記載する処理を行う。以上により、測定データの電子カルテへの記録が完了する。
【0112】
ステップS109において、制御部21は、端末装置1から受信した現在位置の情報に基づいて、患者データベース23p(図5B)の「前回データ収集位置」の記録を更新する。
【0113】
なお、患者データベース23pが、各患者について複数の過去のデータ収集位置(生体情報測定位置)を記録する場合には、制御部21は、端末装置1から受信した現在位置の情報に基づいて、当該現在地を、患者データベース23p(図5B)の「前回データ収集位置」の記録に追加する。
【0114】
以上、ここまで説明したように、本実施形態による看護システムにおいては、ICタグを用いた個人認証により、看護師および患者の認証および特定を迅速に行うことができる。さらに、本システムの端末装置1は、看護師の現在位置(端末装置1の現在位置)および上記個人認証により特定された患者が前回、性情報の測定を受けた位置(過去の生体情報測定位置)が、表示部13上にグラフィカルに表示される。そのため、ユーザ(看護師)は、被測定者として特定された患者の前回の生体情報測定位置(過去の生体情報測定位置)と現在位置との位置関係をリアルタイムで確認することができ、患者の取り違えを未然に防止することができる。また、患者により生体情報の測定項目が異なる場合には、測定項目の誤りを未然に防止することができる。
【0115】
上記実施形態においては、端末装置1は、所謂タブレット端末として説明した。しかしながら、端末装置1は、タブレット端末に限定されない。端末装置1は、例えば、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、ポケット・コンピュータ、ラグドコンピュータ(rugged computer)、スマートデバイス(スマートフォン、スマートウォッチ、スマートグラス)、ウェアラブルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等であってもよく、また、これらに限定されない。
【0116】
上記実施形態においては、看護師IDタグ5および患者IDタグ7は、ICタグ(RFIDタグ)であるとして説明した。しかしながら、看護師IDタグ5および患者IDタグ7は、ICタグに限定されない。看護師IDタグ5および患者IDタグ7は、様々な通信方式で識別情報を端末装置1へ送信できる機器であってよい。様々な通信方式とは、例えば、ISO/IEC7816、ISO/IEC10536、ISO/IEC14443、ISO/IEC18092、ISO/IEC15693、マイクロ波を利用した遠隔型非接触通信、IEEE802.11 a/b/g/n、Bluetooth等であってよく、また、これらに限定されない。また、看護師IDタグ5および患者IDタグ7と端末措置1との通信は、有線接続された信号線を介してなされてもよい。また、看護師IDタグ5および患者IDタグ7は、バーコード、二次元バーコード(QRコード(登録商標))でもよい。
【0117】
上記実施形態においては、端末装置1は、GPSモジュール15、あるいは、位置情報サーバ4によるWi−Fiアクセスポイントとの通信状況にもとづく位置推定により、自装置の現在位置の情報を取得するとして説明した。しかしながら、端末装置1がする現在位置情報の取得は、これらに限定されない。位置情報の決定は、端末装置1に内蔵、または、看護師に携帯される位置検出用の(Bluetooth、Wi−Fi等を用いた)通信機器と、院内各所に設置され当該通信機器の存在を検出する受信装置と、受信装置による検出結果を集約して位置検出用の通信機器の現在位置を推定するサーバ装置とで行うことも可能である。この場合において通信機器が看護師に携帯される場合には、端末装置1は、認証済みの看護師の現在位置を当該サーバ装置へ問い合わせすることにより、自装置の現在位置の情報を取得すればよい。あるいは、位置情報の決定は、患者に装着される位置検出用の(Bluetooth、Wi−Fi等を用いた)通信機器と、院内各所に設置され当該通信機器の存在を検出する受信装置と、受信装置による検出結果を集約して位置検出用の通信機器の現在位置を推定するサーバ装置とで行うことも可能である。この場合において通信機器が患者に装着される場合には、端末装置1は、認証済みの患者の現在位置を当該サーバ装置へ問い合わせすることにより、自装置の現在位置の情報を取得すればよい。
【0118】
生体情報測定装置6は、血圧計、体温計、パルスオキシメータ、血糖計、体重計、体組成計を含み、これらに限定されない。生体情報測定装置6によって測定される生体情報は、血圧、脈拍数、体温、酸素飽和度、血糖値、体重、体脂肪率を含み、これらに限定されない。上記実施形態においては、生体情報測定装置6は、NFC通信を行って、端末装置1へ測定データを転送するとして説明した。しかしながら、生体情報測定装置6と端末装置1との通信は、NFC通信に限定されない。通信方式は、例えば、ISO/IEC7816、ISO/IEC10536、ISO/IEC14443、ISO/IEC18092、ISO/IEC15693、マイクロ波を利用した遠隔型非接触通信、IEEE802.11 a/b/g/n、Bluetooth等であってよく、また、これらに限定されない。また、生体情報測定装置6と端末措置1との通信は、有線接続された信号線を介してなされてもよい。
【0119】
上記実施形態においては、被測定者(患者)が前回生体情報の測定を受けた位置(あるいは、1つまたは複数の、被測定者(患者)が過去に生体情報の測定を受けた位置)に関する情報を保持するデータベースは、データ収集サーバ2内に構成されるデータベース(患者データベース23p)であるとして説明した。しかしながら、データベースは、データ収集サーバ2以外のサーバ装置内に構成されてよい。あるいは、端末装置1が自機の内部に、被測定者(患者)が前回生体情報の測定を受けた位置(あるいは、1つまたは複数の、被測定者(患者)が過去に生体情報の測定を受けた位置)に関する情報を保持するデータベースを保有してもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 :看護支援端末装置
2 :データ収集サーバ
3s:電子カルテサーバ
3c:電子カルテ閲覧端末装置
4 :位置情報サーバ
5 :看護師IDタグ
6 :生体情報測定装置
7 :患者IDタグ
8 :無線LANアクセスポイント
9 :ネットワーク
11 :制御部(CPU)
12 :記憶部
13 :表示部
14 :操作部
15 :GPSモジュール
16 :第1無線通信モジュール
17 :第2無線通信モジュール
18 :第3無線通信モジュール
21 :制御部(CPU)
22 :メモリ
23n:看護師データベース
23p:患者データベース
24 :ネットワークインタフェース
101 :看護師氏名表示欄
102 :患者氏名表示欄
103 :血圧値表示欄
104 :血圧値表示欄
105 :脈拍数表示欄
106 :体温表示欄
107 :SpO2表示欄
108 :血糖値表示欄
109 :フロアマップ
110 :マーカ
112 :病棟マップ
113 :マーカ
114 :フロアマップ
115 :注意喚起メッセージ
141 :送信ボタン
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B