特許第6404712号(P6404712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404712オイル検出の方法、装置およびそのためのタガント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404712
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】オイル検出の方法、装置およびそのためのタガント
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   G01N21/64 F
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-512185(P2014-512185)
(86)(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公表番号】特表2014-515487(P2014-515487A)
(43)【公表日】2014年6月30日
(86)【国際出願番号】US2012039870
(87)【国際公開番号】WO2012162701
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年5月15日
【審判番号】不服2017-4618(P2017-4618/J1)
【審判請求日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】61/490,403
(32)【優先日】2011年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/338,971
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516017499
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サービシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】カデュー,エドモンド・ジェイ,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ファエンザ,ウィリアム・ジェイムズ
【合議体】
【審判長】 三崎 仁
【審判官】 ▲高▼橋 祐介
【審判官】 東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特公平4−473(JP,B2)
【文献】 特開昭64−59095(JP,A)
【文献】 特表2002−505426(JP,A)
【文献】 特表2002−513155(JP,A)
【文献】 特開平6−66728(JP,A)
【文献】 VICTORIA B. RODRIGUEZ, ENCAPSULATION AND STABILIZATION OF INDOCYANINE GREEN WITHIN POLY(STYRENE−ALT−MALEIC ANHYDRIDE)BLOCK−POLY(STYRENE) MICELLES FOR NEAR−INFRARED IMAGING, JOURNAL OF BIOMEDICAL OPTICS, 米国, SPIE−INTERNATIONAL SOCIETY FOR OPTICAL ENGINEERING, 2008年1月30日, Vol.13 No.1, pp.14025−1〜14025−10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費者製品中の油または潤滑剤の汚染を検出する方法であって、
第1および第2のそれぞれ異なる有機化合物蛍光タガントを前記消費者製品用のそれぞれ異なる加工機械中の油または潤滑剤に添加するステップと、
赤外検出装置を通過して前記消費者製品を運搬するステップと、
前記消費者製品が前記検出装置を通過する時に、前記検出装置から赤外線を前記消費者製品に照射するステップと、
前記照射された消費者製品から放出される赤外線を検出するステップと
前記第1の有機化合物蛍光タガントを前記第2の有機化合物蛍光タガントから区別することにより、油または潤滑剤の汚染源を見分けるステップと
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも前記第1の有機化合物蛍光タガントが、第1の波長で赤外線を吸収し、前記第1の波長とは異なる第2の波長で蛍光を放出するストークスシフトタガントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の波長が約805ナノメートルであり、前記第2の波長が約840ナノメートルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1および第2の有機化合物蛍光タガントが油溶性である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも前記第1の有機化合物蛍光タガントがインドシアニングリーン誘導体である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記消費者製品が食料品である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記消費者製品が、紙に巻かれているシガレットロッドである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記測定が前記有機化合物蛍光タガントの存在を示す場合、前記消費者製品を拒絶することをさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第1の波長で赤外線を吸収し、前記第1の波長とは異なる、第2の波長で赤外線を放出するインドシアニングリーン誘導体であるストークスシフトタガントと、
油または潤滑剤と
含み、
前記タガントが、以下の化学構造:
【化1】
を有する、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タバコ、タバコ製品、食品医薬品、パッケージング、ならびにその他の消費財および製品、タガント(Taggant)用途および定量的診断のための光波長変換材料の、油および/またはグリース汚染の検出のためのオンライン検査方法および装置が、本明細書で開示される。
【背景技術】
【0002】
タバコの楽しみを提供するために設計された消費者製品および製品の加工および包装において、油、グリースおよび潤滑剤が、製造されている製品に不注意に接触することがある。
【0003】
タバコの楽しみを提供するために設計された製品の場合、タバコ葉は、カットフィラーとして提供される時間の前に加工される。例えば、葉は、収穫中、寝かせている間および除茎所への搬送中に、機械に接触する可能性がある。葉が、除茎所でストリップ形状で提供され、所望のサイズに切断またはそうでなければ細断される場合、油、グリースおよび潤滑剤がタバコに不注意に接触する可能性がある。同様に、タバコの加工に使用される様々な機械の操作で使用される潤滑剤が、タバコに不注意に接触し得る。潤滑剤の汚染源は、機械の特定の部品または機械のその部品の構成部品が最適な形での操作に失敗した場合などに、変わり得る。
【0004】
潤滑剤は、ガスケットまたはシールを通った、スライディング機構から、ドラムシステムから、ギヤボックスから、ポンプから、密閉した転がり軸受ユニットから、チェーンおよびベルトからなどの潤滑剤の漏出によって、タバコに不注意に接触することがある。潤滑剤は、調整シリンダー、脱穀機、分離器、リドライヤー、レシーバー、給餌器、コンベヤー、カッター、ブレンダ−、タバコプレスならびにタバコ除茎所およびタバコの一次加工作業で通常使用される設備のその他のこのような部品で使用される。
【0005】
同様の組成の潤滑剤は、タバコ処理およびシガレット製造の様々な段階を通して使用される。従来、シガレット製造者にとって、そのタバコおよび/またはそのシガレット中の油の存在を検出し、一度検出されている特定の潤滑剤源を位置付けることは困難なことであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タバコおよびタバコ製品の潤滑剤などの存在の検査が、オンラインで、すなわち、作製プロセス中にリアルタイムで、一度検出されている汚染源を特定する性能を用いて行うことができれば、有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、製造品中の油または潤滑剤の汚染を検出する方法であって、前記製品用の加工機械中に含有される油または潤滑剤に蛍光タガントを添加するステップ;赤外検出装置を通過して前記製品を運搬するステップ;前記製品が検出装置を通過する時に前記検出装置から赤外線を前記製品に照射するステップ;および前記照射された製品から放出される赤外線を検出するステップを含む方法が、開示される。
【0008】
別の態様において、タバコ製品中の油または潤滑剤の汚染を検出するための方法であって、タバコ加工機械中に含有される油または潤滑剤に蛍光タガントを添加するステップ;赤外検出装置を通過してタバコ製品を運搬するステップ;前記タバコ製品が前記検出装置を通過する時に前記検出装置から前記タバコ製品に第1の波長の赤外線を照射するステップ;および前記照射されたタバコ製品から放出される赤外線を検出するステップを含む方法が、開示される。
【0009】
さらに別の態様において、油の汚染の位置付けをするためのシステムであって、タバコロッドに向けられた高強度赤外光源および前記油に処理したインドシアニングリーン(ICG)誘導体からの信号を発した第2の波長を検出するように調整された高速NIR分光計センサーを含む赤外検出装置を有するタバコロッドのためのチッピングマシンを含むシステムが、開示される。
【0010】
さらなる態様において、製造作業および/または加工作業によって作製される製品中の潤滑剤の汚染を検出するための方法が開示される。この方法は、第1のタガントを作業の第1の機械の潤滑剤に添加するステップ、第2のタガントを作業の第2の機械の潤滑剤に添加するステップ、製品に照射して、そこに応答する製品から放出される放射線を検出するステップであって、潤滑剤の汚染源を識別するように第1のタガントを第2のタガントから区別することを含む検出ステップを含む。
【0011】
照射された製品は、最初の放射線を吸収し、最初の放射線とは異なる波長の放射線を再放出し、これらは、次いで本明細書で開示した通りに検出することができる。
【0012】
さらにまた別の態様において、第1の波長で放射線を吸収し、前記第1の波長とは異なる第2の波長で放射線を放出するストークスシフトタガント、および油または潤滑剤を含む蛍光タガント組成物が開示される。
【0013】
さらなる態様において、油溶性蛍光タガントおよび油または潤滑剤を含む、タガント組成物が開示される。
【0014】
またさらなる態様において、インドシアニングリーン(ICG)のテトラブチルアンモニウムクロリド誘導体を含む化合物が開示される。
【0015】
本明細書で開示される形態は、添付の図面の図において例示の目的で図示されるが、限定を目的とするものではなく、その図面における同様の番号は、同様の要素を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】シガレット製造のプロセス中の様々な段階を示すブロック図である。
図2】本発明の検出装置を含むフィルターチッピングマシンの正面図の図形である。
図3】本発明の検出装置の詳細な線図である。
図4】ストークスシフトを図示する、インドシアニングリーン(ICG)誘導体タガントの赤外吸収および放出ピークを表す図である。
図5】二次放出ピークを図示する、改変ICG−誘導体の赤外吸収および放出ピークを表す図である。
図6】実施例1の改変ICG−誘導体の赤外吸収ピークを表す図である。
図7】実施例1の改変ICG−誘導体の赤外励起および放出ピークを表す図である。
図8】本発明によるICG−誘導体のH−核磁気共鳴スキャンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な態様が、例示の目的で選択された具体的な形態に関してここで説明する。本明細書に開示されている装置、システムおよび方法の趣旨および範囲は、選択された形態に限定されるものではないことが理解されよう。さらに、本明細書で提供されている図は、任意の特定の割合または尺度に対して描かれたものではなく、例示された形態に多くの変形がなされ得ることに留意されたい。ここで、同様の数字が、全体にわたって同様の要素を指定するために使用されている、図1〜8を参照する。
【0018】
本明細書で使用される、単数の文法形態で書かれている以下の用語:「a」「an」および「the」のそれぞれは、本明細書で具体的に定義または記述されていない限り、または文脈上明確な反対の指示がない限り、記述されている複数の実体または物体にも関し、包含する。例えば、本明細書で使用される表現「デバイス」、「アセンブリ」、「機構」、「構成部品」および「要素」は、それぞれ「複数のデバイス」、「複数のアセンブリ」、「複数の機構」、「複数の構成部品」、および「複数の要素」にも関し、包含する。
【0019】
本明細書で使用される以下の用語:「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」、およびこれらの言語上のまたは文法的な異形、派生語、および/または同根語のそれぞれは、「含むが、これらだけには限らない」を意味する。
【0020】
例示的な説明、実施例および添付の特許請求の範囲を通して、パラメーター、特性、物体または寸法の数値は、数値範囲の形式の単位で記述または説明することができる。記述された数値範囲の形式は、本明細書で開示された形態の実施を図示するために提供され、本明細書で開示された形態の範囲を確固として限定するものとして理解または解釈されないものとして、十分に理解されたい。
【0021】
さらに、数値範囲を記述または説明するために、表現「約第1の数値と約第2の数値の間の範囲内」は、表現「約第1の数値〜約第2の数値の範囲内」と同等であると考えられ、同じ意味であり、したがって、2つの同等の意味の表現は、交互に用いることができる。
【0022】
本明細書で開示される様々な形態は、本明細書において具体的に反対の記述がない限り、以下の例示的な説明、添付の図面および実施例に記載の、順番もしくは順序、および数の、ステップもしくは手順、ならびにサブステップもしくはサブ手順の、方法の形態の作業もしくは遂行の詳細、またはタイプ、組成、配置、配列、順番およびシステムの数、システムのサブユニット、デバイス、アセンブリ、サブアセンブリ、機構、構造、構成部品、要素および形状、ならびに周辺機器、施設、付属品およびシステムの形態の材料の詳細に、これらの用途が限定されるものではないことを理解されたい。本明細書に開示された装置、システムおよび方法は、様々なその他の代替形態に従っておよび様々なその他の代替方法において、実行または遂行することができる。
【0023】
本開示を通して本明細書で使用されるすべての技術的および科学的な言葉、用語および/または表現は、本明細書で具体的に定義または記述されていない限り、当業者によって通常理解される通り、同一または同様の意味を有することも理解されたい。本開示を通して本明細書で用いられる表原法、専門用語および表記法は、説明のためであり、制限とみなすべきではない。
【0024】
非限定的な例示の目的で、潤滑剤を塗った機械と接触する製品上での誤った潤滑剤の検出など、潤滑剤に関連したタガント用途および定量的診断のための、新しい油溶性の、光波長変換の、好ましくはアップコンバーティングな組成物が、本明細書で開示される。その他のタガント用途として、偽造防止、ブランド保護または機械が正しい潤滑剤を含有することの検証、およびその他の考えられる用途が考慮され、挙げられるが、これらだけには限らない。検出システムは、ほぼリアルタイムで、低コストで、小型の、携帯可能な高感度の検出、現実世界の環境における製造加工システムに対する改変の監視および診断の開発を可能にする。これは、ほぼすべての試料または環境的背景に対する高感度の検出を可能にする独特の方法(例えば可視光の赤外光への、赤外光の可視光への変換、赤外光の高エネルギー赤外光へのアップコンバージョン)である。
【0025】
システムを使用して、分析混合物に添加した分子の理論上の粒子検出(10−23モル)が、オンライン検証方法、さらに手持ちの検出用途の使用を通して達成することができる。10−20モルの検出感度は、多様な検出スキームにおいて可能であり、10−14モル感度の直接視覚的検出でさえ、様々な色および組成物の背景に対して、手持ちの3.0〜9.0ボルトのレーザーダイオードシステムを使用して、実証されている。これらの材料の狭い放射帯域幅および小粒子は、多重の検体(すなわち、多重アッセイ)の同時検出を可能にする。
【0026】
1つの形態において、本明細書で開示される検出システムは、多くのプロセスにおいて、例えば生育、採集、加工および/または例えば食料品、飲料、紙巻きおよび非紙巻きシガー、シガリロ、スヌースおよびその他の無煙のタバコ製品、喫煙具、電子シガレット、蒸留製品、医薬品、冷凍食料品およびその他の食料品などの包装される消費財の包装においてなど、製造プロセス中の潤滑剤汚染の影響を受けやすい消費者製品のために使用することができる。さらなる用途として、衣類、家具、木材または油がないことが望ましい任意のその他の製造またはパッケージされた製品を挙げることができる。
【0027】
本発明によれば、検出可能なタガント化合物は、製造・加工機械で使用される様々な潤滑剤に添加され、有利には異なる特徴を有するタガント化合物は、1つまたは複数のこれらのタガント化合物の検出が、製造品において潤滑剤汚染源の位置の迅速な特定を可能にすることができるように、異なる加工位置で潤滑剤に添加される。
【0028】
有利には、タガント化合物は、光の特定の波長に曝露される場合、蛍光によって検出可能になる化合物である。とりわけ、適したタガントは、1つの波長でエネルギーを吸収し、異なる波長で蛍光を発する/放出するタガントである。このような材料は、ストークスシフト材料として当技術分野でよく知られており、近年、例えば紙幣などの証券のセキュリティマーキング用のインクで、このような証券が偽造またはコピーされにくくするための使用が増加してきた。しかし、いくつかの従来のストークスシフトおよび反ストークスコンバージョン材料は、米国公開特許出願第2010/0219377号に記載されているものなどの、潤滑剤に不溶性の、ドープした希土類金属粒子などの無機化合物からなる。タガント化合物は、油または潤滑剤中で溶解性または分散性になるように配合できれば、有利であろう。
【0029】
1つの形態において、タガントは、天然のクロロフィルからの精製された結晶からなる有機化合物とすることができる。適した天然のクロロフィル結晶として、クロロフィルA(CAS番号 1406−65−1)およびクロロフィルB(CAS番号 519−62−0)が挙げられる。これらのタガントは、ダウンコンバーティングまたは蛍光性として知られており、IR光の特定の狭い波長領域(680ナノメートル)に感受性がある。タガントは、異なる波長(715ナノメートル)でこの特定の光を反射する。同様の化合物は、ベンゼ−インドリウムパークロレートまたはベンゼ−インドリウムトシレートとすることができる。このような材料は、およそ670ナノメートルで吸収し、713ナノメートルの波長で放出する。ダウンコンバージョン特性を有する別の材料は、インドシアニングリーン(ICG)である。クロロフィルAの化学構造を以下に提供する。
【化1】
この化合物は、有機化学物質であるので、容易に油および潤滑剤に溶解する。
【0030】
別の形態において、油溶性の蛍光性材料は、インドシアニングリーン(ICG)に基づいて開発され、その化学構造を以下に提供する。
【化2】
【0031】
ICGは、人体における細胞および血流を撮像するために、医療産業で近年使用される赤外蛍光化合物であるナトリウム4−[2−[(1E,3E,5E,7Z)−7−[1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−ベンゾ[e]インドール−2−イリデン]ヘプタ−1,3,5−トリエチル]−1,1−ジメチル−ベンゾ[e]インドール−3−イウム−3−イル]ブタン−1−スルホネートであり、その従来の形態は、水溶性である。
【0032】
新しく開発されたタガントは、Persis Science LLC、Andreas PAから入手可能なICG−誘導体である。ICGのテトラブチルアンモニウムクロリド錯体の化学構造を以下に提供し、分析用の構造情報を図8に提供する。
【化3】
【0033】
新しいICG−誘導体は、約760〜約810ナノメートルの間のIR光の特定の狭い吸収帯に感受性があり(図6)、約810〜約840ナノメートルの間の異なる帯で光を放出し(図7)、約785ナノメートル(図7)および805ナノメートル(図4)の別々の吸収ピーク、ならびに約840ナノメートル(図4)の別々の放出ピークを有する。
【0034】
ICG誘導体は、潤滑剤の重量に基づいて、およそ1ppbの量で5%まで、好ましくは1ppm〜2000ppmの範囲で、油または潤滑剤に添加することができる。
【0035】
その上、ICG錯化剤の性質は、840ナノメートルでの最大放出ピークに隣接した1つまたは複数の二次NIR発光波長を与えるために改変することができる。錯化剤にこのような変形を用いて、および全体のプロセスにおける異なる位置で潤滑剤に異なって誘導体化したICG化合物を添加することによって、単一の検出器を、プロセスの最後に位置付けることができ、汚染が検出された場合、汚染された製品は、プロセスから除去され、前記二次NIR放出ピークをさらに分析し、汚染源の位置を決定することができる。図2は、一次放出ピークの肩上のより長い波長の二次放出ピークを示す、改変ICG−複合体の吸収および放出ピークの図示である。
【0036】
1つの形態において、本発明の検出システムは、多くのプロセスにおいて、例えば生育、採集、加工および/または例えば食料品、飲料、紙巻きおよび非紙巻きシガー、シガリロ、スヌースおよびその他の無煙のタバコ製品、喫煙具、電子シガレット、蒸留製品、医薬品、化粧品、食品およびその他の消費財などの包装される消費財の包装においてなど、製造プロセス中の潤滑剤汚染の影響を受けやすい消費者製品のために、使用することができる。さらなる用途として、衣類、家具、仕上がり木材もしくは材木または油の汚点がないことが望ましい任意のその他の製造または包装された製品を挙げることができる。
【0037】
1つの形態において、検出システムは、強力なIR光源がタバコ製品に向けられ、タガントから放出されたIR光が集められ、油に添加された特定のタガントからの発光信号を検出するために調整された高速NIR分光計センサーを使用して分析される、近赤外(NIR)発光を利用する。適正な測定を行うことによって、検出器が励起波長を見ることができることから防ぐ。これは、検出器全体に配置された適切なフィルターの使用を介してなされる。レーザーからの光は、約800Hzの周波数でパルスされ、検出器は、タガントを検出するために逆にパルスされる。NIR光は、タバコロッドなどの様々な材料を数ミリメートルの深さまで、透過することができ、完成したシガレットの表面下の検査すら可能になる。高速NIRセンサーは、約2,000フィート/分または4,000フィート/分以上の速度でタグ付けされた油/潤滑剤を検出することができる。シガレットの作製において、高速NIRセンサーは、毎分15,000(約4,920フィート/分)の速度で、またはさらに毎分20,000(約6,560フィート/分)の速度で、完成したシガレットのタグ付けされた油/潤滑剤を検出することができる。
【0038】
高速検出器は、その「吸収」周波数でタガントを励起するのに使用されるIRレーザーダイオード、およびタガントの「発光」周波数で光を受信するように調整されているセンサーを含む。センサーがタガントの存在を検出する場合、センサーは、その出力接点の状態を変更することができる。これらの出力接点を使用して、製造設備を停止し、警告を設定しおよび/または油汚染された製品を拒絶することができる。
【0039】
タガントは、油/潤滑剤の重量に基づいて、約10ppmおよび100ppmの間の濃度で、典型的には約50ppmの濃度で、機械の潤滑剤を加工するために添加することができる。これらのタガント濃度レベルで、検出システムは、わずか10マイクロリットルの油、またはわずか1マイクロリットルのタグ付けされた油でさえ、検出することができる。
【0040】
しかし、既に様々な機械内の適所にある油または潤滑剤のより容易な処理を提供するために、任意の特定の油におけるタガントのマスターバッチを配合するのをより便利にすることができ、ここで、タガントは、基油/潤滑剤のバランスにおいて、例えば約0.1〜約5wt%のタガント、または約0.2〜約2wt%のタガントでさえ、基油/潤滑剤においてより高濃度で混合される。次いで、このようにタグ付けされたマスターバッチの一部は、容易に搬送され、例えば、タグ付けされた少量のマスターバッチを機械の油だめに添加することによって、処理されるべき機械中の既に適所にある油/潤滑剤に添加される。
【0041】
タガントが、油溶性タガントではない場合、例えば無機粒子である場合、任意選択の界面活性剤または分散添加剤が、基油中のタガント粒子の分散を促進するのに有効な量で添加することができる。このような界面活性剤/分散剤は、当技術分野でよく知られており、これらの独自性は、本明細書で繰り返す必要はない。
【0042】
NIR発光検出器は、知られている位置で検出器によって受信された信号が、ほぼすぐに加工された材料中の油汚染を示すように、プロセスに沿って実質的にどこにでも配置することができ、直接検出器の上流に汚染源の位置を容易に示す。
【0043】
代替形態において、ICG錯化剤の性質は、840ナノメートルでの最大波長ピークに隣接した1つまたは複数の二次NIR発光波長を与えるために改変することができる。錯化剤にこのような変形を利用して、および全体のプロセスにおける異なる位置で潤滑剤に異なって誘導体化したICG化合物を添加することによって、単一の検出器を、プロセスの最後に位置付けることができ、汚染が検出された場合、汚染された製品はプロセスから除去され、前記二次NIR放出ピークをさらに分析し、汚染源の位置を決定することができる。
【0044】
ここで図1を参照すると、シガレット製造のプロセス中の様々な段階を示すブロック図が、提示される。図示した通りである。タバコは、まずシガレット製造または湿潤無煙タバコ(MST)の作製で使用するためのタバコの場合、少なくとも一部が機械で収穫されることになる農園10で収穫される。葉の形態のタバコは、ベール梱包され、農園10から受け入れステーション20で受け入れられる。再度、タバコベールには、受け入れステーション20で潤滑剤を塗った機械と不注意に接触する機会が存在する。ベール梱包されたタバコは、機械によって大きな茎が除去される除茎所30に移送され、除茎したタバコを作製することができる。除茎したタバコは、ベールに詰められ、次いで、最大数年の適した期間保存される。次いで、除茎したタバコは、製造拠点40に移送され、様々なタイプのタバコストリップが所定の製法に従って機械ブレンドされ得る。ブレンドされたタバコは、様々な香味料を添加することによって処理して、箱詰めタバコをもたらすことができ、次いで切断され、タバコの「カットフィラー」がもたらされる。吹かしタバコ、再生タバコ、拒絶されたシガレットから再利用されたタバコなどを含めた様々なその他のタイプのタバコが、カットフィラーに添加され、最終製品ブレンドをもたらすことができる。次いで、ブレンドは、連続シガレットロッド製造装置を含む製造/包装機械50に供給することができる。次いで、連続ロッドが切断され、任意選択で紙巻きされ、典型的に高速機械の使用を介して包装される。
【0045】
上記の説明から理解され得るように、タバコ加工において、タバコは、農場での生育および収穫作業中に使用される機械、受け入れステーションまたは競売場での取扱設備、除茎所における機械など、一次製造拠点のコンベヤー、調節器、カッターおよびサイロによる、最終的に製造/包装製造拠点における製造者、紙巻作業者および包装者による、全体のプロセスにおける多くの異なる時点で、機械と接触する。これらの位置のそれぞれで機械の潤滑剤において異なるタガントを利用することによって、別々の汚染源および/または汚染の位置が、完成品の検査/検出によって容易に決定できる。
【0046】
図2において、そのそれぞれが単位長さの単一の無風味のシガレットCを含有する軸方向に並行な周辺フルートを有する回転ドラム型コンベヤー101を支持するフレームを含む、タバコロッド用の典型的なフィルターチッピングマシン100が示される。コンベヤー101の隣接したフルート中のシガレットCは、コンベヤー101の異なる軸端にそれぞれ近接する2つの列を形成するように、コンベヤー101の軸方向に見られるように互いに関連してねじれている。1列の連続する無風味のシガレットCは、2つの回転ドラム型調心コンベヤー102の1つの連続するフルートに移送され、その他の列のシガレットCは、その他の調心コンベヤー102の連続するフルートに移送される。コンベヤー102は、異なる速度でおよび/または異なる距離を介して、それぞれの無風味のシガレットCを前進させ、1列の各シガレットCを、移送ステーションまでにその他の列のシガレットCと並べられ、そこで、連続する軸方向に並んだ無風味のシガレットCの組(これらの隣接した(内部の)終端の間に隙間を有する)は、回転ドラム型アセンブリコンベヤー103の連続する軸方向に並行な周辺フルートに収容される。
【0047】
フィルターチッピングマシンのフレームの上部のマガジンまたはホッパー104は、6倍の単位長さのフィルターロッドセクションの供給を含有する。マガジン104の出口は、6倍の単位長さの別々のフィルターロッドセクションを回転ドラム型裁断コンベヤー106の連続する軸方向に並行な周辺フルートに収容する。後者は、6倍の単位長さのそれぞれの接近するフィルターロッドセクションをそれぞれ2倍の単位長さの3つの同軸のフィルターロッドセクションの群にさらに分割する、2つの軸または周囲にねじれた回転丸ナイフ107と協働する。
【0048】
連続する群は、互いに関連したおよび円周方向の第3のフィルターロッドセクションに関連した各群の少なくとも2つのフィルターロッドセクションで移動し、2倍の単位長さの連続するフィルターロッドセクションを回転ドラム型シャッフリングコンベヤー109の連続するフルートに移送する、複合回転ドラム型ねじれコンベヤー108のフルートに送られる。後者は、適したカムなど(図示せず)と協働し、回転ドラム型加速挿入複合コンベヤー111の連続するフルートに横向きに前進する整列したフィルターロッドセクションの単一の列を形成する。コンベヤー111は、コンベヤー103と111の間の移送ステーションを超えて前進したコンベヤー103のこのような各フルートが単位長さの軸方向に間隙を介した2つのタバコロッドおよびこれらの間の2倍の単位長さのフィルターロッドセクションを含む3つの同軸のロッド形物品の群を含有するように、2倍の単位長さの別々のフィルターロッドセクションを、アセンブリコンベヤー103の接近するフルート中の連続する1組の無風味のシガレットの間の前述の隙間に挿入する。2つのカムなど(図示せず)の間を連続する群が前進させられ、タバコロッドを互いに向かって軸方向に移動させると、これらの内側端が、これらの間のフィルターロッドセクションのそれぞれの末端に隣接する。こうして凝縮されたまたは短縮された群は、回転ドラム型移送コンベヤー112の連続するフルートに移送される。
【0049】
フィルターチッピングマシンのフレームは、リール114の芯上に巻き込まれる細長いウェブまたはストリップ113の供給のための吐き出しリール114をさらに支持する。ウェブ113は、従来の巻上ツール117の顕著な縁を超えてウェブ113を前進させるローラー116によって縦方向に前進し、回転ドラム型吸引コンベヤー119は、その後すぐに適した接着剤の薄膜でウェブの1つの側面をコーティングする役割を果たすペースター118におよびペースター118を超えてウェブ113を前進させる。ウェブ113の接着剤コーティングした先端は、吸引コンベヤー119の周辺で、必要な間隔で切断され、移送コンベヤー112のフルートにおけるロッド形物品の連続する群に接着される別々の部分または結合バンドをコーティングした一連の接着剤をもたらす。各結合バンドは、2倍の単位長さのそれぞれのフィルターロッドセクションの両方の軸端に沿っておよびそれをわずかに超えて伸びる。
【0050】
ロッド形物品の連続する群(このような各群は結合バンドを保有する)は、それぞれのフィルターロッドセクションの周りおよび単位長さの無風味のシガレットCのそれぞれの組の近接する内側端の周りに結合バンドを巻き込ませるように、通常固定されているローリング部材123と協働するドラム型ローリングまたはラッピングコンベヤー122上に移送される。このように得られた2倍の単位長さのフィルターシガレットCは、回転ドラム型接着剤乾燥または固定コンベヤー124のフルート中に送られ、コンベヤー124は、2倍の単位長さの連続するフィルターシガレットCを、筒状のラッパー(変換したまたは巻いた結合バンド)の中途を超えて2倍の単位長さの各フィルターシガレットCを裁断する丸ナイフと協働する回転ドラム型分割コンベヤー126の周辺フルートに順に送り、反転デバイス129のコンベヤー127は、単位長さの同軸のフィルターシガレットCの組を受け入れる。デバイス129は、逆になった各組の1つのフィルターシガレットCを反転させ、すべてのフィルターシガレットCの単一の長さのフィルターマウスピースは、反転デバイス129のさらなるコンベヤー128上までに同じ方向を向き、反転および非反転フィルターシガレットCは、並行のシガレットCの単一の列を形成し、横向きに移動させる。
【0051】
コンベヤー128は、少なくとも1つの検査ドラム131の連続するフルート、続いて試験拒絶複合ドラム132に単一の列の連続するフィルターシガレットCを送る。理解され得るように、本発明は、チッピングマシンの検査ドラムの各フルートが、2つのシガレットを受け入れる場合を考慮している。単一のシガレットを受け入れる検査ドラムのフルートに対する本明細書でのいずれの言及は、このような場合も同様に包含することを意味する。検査ドラム131は、それぞれがシガレットCに約805nmの波長を有するIR放射線を照射し、約840nmの、または約840nm(タガントがICG誘導体の場合)の波長で反射したIR放射線を検出する、1つまたは複数のNIR試験デバイス140を通過して、単位長さの連続するフィルターシガレットCを前進させることができる。従来通り、検査ドラム131を用いて、ルーズエンド、フィルターチップの周囲の空気漏れなども検出することができる。拒絶ドラム132は、本発明による1つまたは複数のタガントを含有することが検出されるこれらのフィルターシガレットCを排出する制御デバイス140からの信号を受信し、この制御デバイス140と協働する。引き取りコンベヤー(take−off)(例えば、いくつかのプーリ、滑車またはスプロケットホイール134に這わせたエンドレス可撓性要素136を有するエンドレスベルトまたはチェーンコンベヤー、その1つのみを図2に実際に示す)は、減速デバイス133と協働し、次の加工ステーションに、例えば容器にまたは包装機械または別の目的地に、単位長さの十分なフィルターシガレットCを前進させる働きをする。
【0052】
図3は、真空を介して波型ホイール上に一連の紙巻きシガレットCを保持する検査ドラム131の詳細な図である。各シガレットCは、IR検出デバイス140を通過する際に、シガレットCの全長に沿って約805nmの波長でIR放射線が放射され、シガレットCに含有され得るタグ付けされたいずれかの油から約840nmでまたは約840nmの波長でIR放射線を即座に放出する。放出されたIR放射線は、特定されたシガレットCを拒絶(reject)するために拒絶ドラム132に信号を送る、IR検出デバイス140によって順に検出される。
【0053】
図4は、今開示しているICG−誘導体タガントの吸収および放出ピークの例示であり、図5は、一次放出ピークの肩上のより長い波長の二次放出ピークを示す、改変ICG誘導体の吸収および放出ピークの例示である。
【0054】
1つの形態において、NIR検出デバイスがタガント一次放出ピークの存在を検出する場合、特定されたシガレットは、拒絶され、システムから排出される。排出の後、シガレットは、システムを通して潤滑剤汚染源を決定するために、いずれかの種類の異なって誘導体化したICGタガントから二次波長ピークを特定することができる別のNIR検出デバイスによって再分析することができる。
【0055】
別の形態において、原材料から作製される製造品中の油または潤滑剤の汚染を検出する方法が提供される。この方法は、製造作業のための原材料を準備するための機械の油または潤滑剤に、第1のタガントを添加するステップ、製品を製造するための製造作業で使用される機械の油または潤滑剤に第2のタガントを添加するステップ、油または潤滑剤の汚染源(すなわち、油の源が、原材料(または直接材料)の作製、または原材料が一部となる最終製品の作製に由来するか否か)を識別するために、第1のタガントを第2のタガントから区別するように適応されている検出装置を通過して製品を運搬するステップを含む。1つの形態において、例示のためにおよび限定の目的ではなく、第1のタガントは、発送用の原材料を準備するための機械の油または潤滑剤に添加される。さらに、例示のためにおよび限定の目的ではなく、第2のタガントは、包装機械の油または潤滑剤に添加することができる。製品は、検出装置を通過する際に検出装置から赤外線で照射され、照射された製品から放出される赤外線が検出される。複数の機械が、原材料を作製するために関与する場合、その際複数のタガントは、それらのそれぞれについて個々に利用されることが想定される。同様に、複数の機械が、最終製品を作製するために関与する場合、その際複数のタガントも、そのそれぞれについて個々に利用される。
【0056】
具体的な形態は、ここでさらに例示の目的で説明する。以下の実施例は、本明細書に開示された主題のある種の形態を実証するが、これらは、その範囲を限定するものとしてではなく完全な説明をもたらすものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0057】
500mgの誘導体化したICG(製品番号OT−1013、Andreas PAのPersis Science LLCから入手可能)を、スピードミキサーを用いて1.0kgのKluberoil68に分散させる。Kluberoil68は、Kluber Lubrication North America L.P.、Londonderry,NHから入手可能である。この材料を、2100RPMの速度で10.0分間混合する。得られた濃縮物を、高速分散下で撹拌しながら、さらなる100.0kgのKluberoil68をゆっくり添加する。材料の試料を、Shimadzu5301蛍光光度計中に配置し、励起および発光のスペクトルグラフを記録する。785の波長で励起する場合、810ナノメートル〜960ナノメートルの強い赤外発光が認められる。実施例1の改変ICG−誘導体に対する赤外吸収ピークの説明は図6を、実施例1の改変ICG−誘導体に対する赤外励起および放出ピークの説明は図7を参照されたい。
【実施例2】
【0058】
上記の実施例を、入手可能な赤外色素のテトラブチルアンモニウムブロミド錯体である、St.Louis、MOのSigma−Aldrichから入手可能なIR830をわずかに使用して修正する。混合後、約0.5mWの785光で励起する場合、材料はおよそ833ナノメートルの蛍光を生成することになることに留意されたい。
【実施例3】
【0059】
アップコンバーティングナノ粒子、MED C−19(Yb:Er3+)を、DMSOのスラリーの形態でPersis Science,LLCから入手した。DMSOを水相から透析して、水相の粒子を脱離した。粒子を乾燥させ、スピードミキサーを用いてKluberoil68に分散した。Spex Fluorolog−3を光学的に用いて分散を測定した。油の懸濁液を、970nmで励起し、400〜700nmの可視部分で検出を行い、タグ付けされた油の存在を決定した。
【実施例4】
【0060】
商品名CD−335でHoneywell Corporationから入手可能な0.5wt%のユウロピウムキレートを、水平な媒体ミルを用いて99.5wt%のLubriplate 220オイルに組み込んだ。363nmの波長でUV LEDおよび600nm−700nmのノッチフィルターを有するAPD検出器を用いて、適性な検出を達成した。
【実施例5】
【0061】
Epolin,Inc−358 Adams St.Newark NJ 07105から市販されている赤外吸収ジチオレン染料1.0wt%を、窒素下で撹拌棒を用いて5時間、99部のKluber Oil 220と混合することを介して溶解した。得られた混合物を、赤外吸収に対して分析した。およそ1060nmのピークで、800nm〜1200nmの吸収が起きた。Cognex In−Sightビジョンシステムによるコントラスト撮像によって、および850nmの波長を有するMonster LEDライトシステムを使用して、検出を達成した。Midwest 光学フィルター850帯域を使用して、吸収を分離した。
【0062】
理解され得るように、その他のタバコおよび非タバコ関連の消費者製品用途は、本明細書で開示した本発明から利益を得ることができる。考えられるタバコ関連の用途として、シガー、シガリロ、MST、袋入りタバコ製品、嗅ぎタバコ、噛みタバコおよびスヌースが挙げられる。本明細書で開示したタガントは、当該の製造プロセスに沿った時点で様々な製造作業を実施する様々な機械および機械モジュールに対するこれらの教示に従って適用することができる。本明細書で開示したシステムおよび方法は、このような用途との互換性のために改変することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8