特許第6404716号(P6404716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6404716多孔質ムライト含有複合物を作製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404716
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】多孔質ムライト含有複合物を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/85 20060101AFI20181004BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20181004BHJP
   C04B 41/88 20060101ALI20181004BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C04B41/85 D
   C04B38/00 304Z
   C04B41/88 S
   C04B38/00 303Z
   B01D39/20 D
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-542341(P2014-542341)
(86)(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公表番号】特表2015-502905(P2015-502905A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】US2012063894
(87)【国際公開番号】WO2013078005
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年11月4日
(31)【優先権主張番号】61/562,004
(32)【優先日】2011年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ジェイ・フィジック
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・エム・シンケル
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・ピー・ジーバース
【審査官】 浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−128658(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0095690(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/033763(WO,A1)
【文献】 特表2003−517921(JP,A)
【文献】 特開2007−277037(JP,A)
【文献】 PYZIK, Aleksander J, et al.,Formation mechanism and microstructure development in acicular mullite ceramics fabricated by controlled decomposition of fluorotopaz,Journal of the European Ceramic Society,2008年,Vol.28, No.2,PP.383-391,ISSN:0955-2219, DOI:10.1016/j.jeurceramsoc.2007.03.021
【文献】 MOYER, John R., et al.,Stoichiometry of Fluorotopaz and of Mullite Made from Fluorotopaz,J.Am.Ceram.Soc.,1994年,Vol.77, No.4,PP.1087-1089,ISSN:0002-7820, DOI:10.1111/j.1151-2916.1994.tb07275.X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/80−41/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排気流のセラミックフィルタを提供するためにセラミック体の表面積を増加させる方法であって、
アルミン酸塩が針状ムライトでない、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体を提供する工程と、
気体フッ素含有化合物、または、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体がシリコンを含有しないならば、シリコン原子およびフッ素原子の気体ソースと、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体の孔とを700〜1200℃の温度で接触させて、多孔性アルミン酸塩含有セラミック体の孔の表面の少なくとも一部上でフルオロトパーズを形成する工程と、次いで
1000〜1500℃の温度までセラミック体を加熱して、フルオロトパーズをセラミック体の孔の表面へ付加された針状ムライトウィスカーへ転換する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記アルミン酸塩が、チタン酸アルミニウム、非針状ムライト、コーディエライトおよびアルカリアルミノケイ酸塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出発のセラミック体が30%〜85%の多孔率を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記孔のサイズが、水銀ポロシメータによって測定されたとき、5〜50ミクロンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記気体フッ素含有化合物が、1つまたは複数のSiF、AlF、HF、NaSiF、NaF、NHF、メチレンジフルオリド、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロエタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタンおよび1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記出発のセラミック体が、軸方向に延長する多孔性壁との交差によって画成される1つまたは複数の軸方向に延長するセルを有するハニカムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記セラミック体の製品の表面積が出発のセラミック体のものの1.5〜10倍まで増加される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記セラミック体の表面上に金属を堆積させる工程を、工程b)の後にさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高表面積の多孔質セラミックスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質セラミックスはフィルター材料および触媒担体としてますます使用されている。セラミックは通常、他のタイプの多孔質材料(有機ポリマー等)よりもはるかに熱的および化学的に安定的であり、したがって、多くの高温環境および/または腐食環境における使用のための選択肢の材料である。例えば、セラミックフィルターは燃焼排気流からの粒子状物質の除去に広く使用される。車両排気フィルターおよび特にディーゼル微粒子フィルターはかかる適用の例である。触媒コンバーターは、多くの場合1つまたは複数の触媒を積載するセラミックフィルターを含む。
【0003】
これらの適用において使用されるセラミック材料の中には、アルミナ、様々なアルミノケイ酸塩(針状ムライト等)、コーディエライトおよびチアライト、アルカリアルミノケイ酸塩(いわゆる「ジオポリマー」を含む)、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素がある。針状ムライト体はユニークな微細構造を有する。体は、それらの交点でともに結合される高度に伸長した「ウィスカー」から構成される。針状ムライト体の孔は非常に相互に連結し、複雑な幾何学的配置を有する。他のセラミック材料はこの高度に針状の構造を欠損する。それらはその代りに非常に滑らかな孔壁によって特徴づけられるより多くの画成された孔構造を有する傾向がある。
【0004】
より滑らかな孔壁がフィルターを通して通過する気体流に対してより少ない摩擦抗力を生成するので、セラミック体を介する圧力低下が懸念される時、滑らかな孔壁を有することは有益であり得る。これに反して、滑らかな孔を有するセラミック体は多くの場合低表面積を有する。高表面積は、触媒反応が起こり得る利用可能な多くの触媒部位を導くことができるので、例えばセラミック体が担体として使用される時、高表面積を有することは非常に重要であり得る。滑らかな有孔体に関する別の問題は、適用されたコーティングおよび/または触媒材料が時には孔表面に良好に接着しない傾向のあるということである。これらの理由のために、時には多孔性セラミック体の表面積を増加させることが所望される。
【0005】
これをする1つのやり方は、高表面積材料により滑らかな孔をコーティングする試みである。これはコーティング材(コロイド状アルミナ等)の適用によってまたは孔の表面上のナノワイヤーの成長を介して行うことができる。しかしながら、これらのプロセスはより大きな部分への適用については実際的ではなく、適用される材料は一様に適用することが難しく、適用される材料は、多くの場合滑らかな孔表面への低接着に起因して容易に離脱する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体の表面積を増加させるプロセスであって、
(a)気体フッ素含有化合物、または、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体がシリコンを含有しないならば、シリコン原子およびフッ素原子の気体ソースと、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体の孔を700〜1200℃の温度で接触させて、多孔性アルミン酸塩含有セラミック体の孔の表面の少なくとも一部上でフルオロトパーズを形成する工程と、次いで
(b)1000〜1500℃の温度までセラミック体を加熱して、フルオロトパーズをセラミック体の孔の表面へ付加された針状ムライトウィスカーへ転換する工程と
を含むプロセスである。
【0007】
意外にも、たとえ出発体が粒子の単純な蓄積ではなく、むしろ画成された孔構造を有する塊でも、体の孔中に針状ムライトウィスカーを形成するように出発体は反応する。さらに意外にも、出発体の孔構造および全体寸法は、針状ムライトウィスカーの生産に起因して、体の表面の粗度(孔の内面を含む)が有意に増加されるという例外を除いて、本質的に保持される。針状ムライトウィスカーはセラミック構造の残りへ結合され、そのため、確実にそれへ付加され、孔表面からの容易に分離されるようにはならない。したがってこのプロセスは出発のセラミック体の表面積を増加させる効果的な方法である。針状ムライトウィスカーは出発のセラミック体の孔構造の全体にわたって非常に一様に形成される。
【0008】
したがって、本発明は、アルミン酸塩が針状ムライトでなく、孔の少なくともいくつかの内部表面へ結合する針状ムライト結晶を有する、多孔性アルミン酸塩含有セラミック体でもある。
本出願はまた、以下の態様の発明を提供する。
[1] 出発の多孔性アルミニウム含有セラミック体の表面積を増加させる方法であって、
(a)気体フッ素含有化合物、または、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体がシリコンを含有しないならば、シリコン原子およびフッ素原子の気体ソースと、出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体の孔を700〜1200℃の温度で接触させて、多孔性アルミン酸塩含有セラミック体の孔の表面の少なくとも一部上でフルオロトパーズを形成する工程と、次いで
(b)1000〜1500℃の温度までセラミック体を加熱して、フルオロトパーズをセラミック体の孔の表面へ付加された針状ムライトウィスカーへ転換する工程と
を含む方法。
[2] 前記アルミン酸塩が、アルミナ、チタン酸アルミニウム、非針状ムライト、コーディエライトおよびアルカリアルミノケイ酸塩から選択される、[1]に記載の方法。
[3] 前記出発のセラミック体が、孔の存在以外は、理論密度の少なくとも90%まで好ましくは緻密化される、[1]または[2]のいずれか一項に記載の方法。
[4] 前記出発のセラミック体が約30%〜85%の多孔率を有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記孔のサイズが、水銀ポロシメータによって測定されたとき、5〜50ミクロンである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記フッ素含有化合物が、1つまたは複数のSiF、AlF、HF、NaSiF、NaF、NHF、メチレンジフルオリド、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロエタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタンおよび1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記出発のセラミック体が、軸方向に延長する多孔性壁との交差によって画成される1つまたは複数の軸方向に延長するセルを有するハニカムである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記セラミック体の製品の表面積が出発のセラミック体のものの1.5〜10倍まで増加される、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記セラミック体の表面上に金属を堆積させる工程を、工程b)の後にさらに含む、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] アルミン酸塩が針状ムライトでなく、セラミック体が孔の少なくともいくつかの内部表面へ結合する針状ムライト結晶を有する、多孔性アルミン酸塩含有セラミック体。
[11] 前記アルミン酸塩が、アルミナ、チタン酸アルミニウム、非針状ムライト、コーディエライトおよびアルカリアルミノケイ酸塩から選択される、[10]に記載のセラミック体。
[12] 前記出発のセラミック体が、孔の存在以外は、理論密度の少なくとも90%まで緻密化される、[10]または[11]のいずれか一項に記載のセラミック体。
[13] 約30%〜85%の多孔率を有する、[10]〜[12]のいずれか一項に記載のセラミック体。
[14] 前記孔のサイズが、水銀ポロシメータによって測定されたとき、5〜50ミクロンである、[10]〜[13]のいずれか一項に記載のセラミック体。
[15] 軸方向に延長する多孔性壁との交差によって画成される1つまたは複数の軸方向に延長するセルを有するハニカムである、[10]〜[14]のいずれか一項に記載のセラミック体。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは先行技術のα−アルミナフォームの顕微鏡写真図である。
図1B図1Bは、本発明に従う孔表面上への針状ムライト結晶の導入後の、図1Aのα−アルミナフォームの顕微鏡写真図である。
図1C図1Cは、本発明に従う孔表面上への針状ムライト結晶の導入後の、図1Aのα−アルミナフォームのより高倍率の顕微鏡写真図である。
図2A図2Aは先行技術のアルカリアルミノケイ酸塩フォームの顕微鏡写真図である。
図2B図2Bは、本発明に従う孔表面上への針状ムライト結晶の導入後の、図2Aのアルカリアルミノケイ酸塩フォームの顕微鏡写真図である。
図3図3は、本発明に従う孔表面上への針状ムライト結晶の導入後の、アルミナチタン酸塩ハニカムの顕微鏡写真図である。
図4図4は、本発明に従う孔表面上への針状ムライト結晶の導入後の、コーディエライトハニカムの顕微鏡写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
出発のセラミック体は多孔性であり、アルミン酸塩含有セラミック材料を含有する。「アルミン酸塩」によって、セラミック材料が酸素へ結合されたアルミニウムを含有することが単純に意味される。セラミック材料は他の金属または非金属の原子を含有することができる。出発のセラミック体として有用なアルミン酸塩含有セラミックの例には、例えば、アルミナ;チタン酸アルミニウム;ならびに様々なアルミノケイ酸塩(非針状ムライト等)、コーディエライト、アルカリアルミノケイ酸塩(いわゆる「ジオポリマー」材料を含む)および同種のものが含まれる。セラミック体は、例えば別のセラミックまたは金属であり得る別の材料とセラミック材料の複合物であり得る別の材料とセラミック材料の複合物(金属をインフィルトレーションしたセラミックの事例でのように)であり得る。セラミック体は、孔の存在以外は、理論密度の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%まで好ましくは緻密化される。
【0011】
出発のセラミック体は画成された孔を有する肉眼的塊であり、すなわち体は微細な微粒子の形態ではなく、むしろ1つまたは複数のより大きな一体型の塊の形態であり、各々は典型的には塊で10グラム以上である。それらの一体型の塊の各々は10キログラムまでまたはそれ以上であり得る。
【0012】
出発のセラミック体は一般的に約30%〜85%の多孔率を有するだろう。好ましくは、出発のセラミック体は少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約45%、さらにより好ましくは少なくとも約50%、および最も好ましくは少なくとも約55%〜好ましくは多くとも約80%、より好ましくは多くとも約75%、および最も好ましくは多くとも約70%の多孔率を有する。多孔率は浸漬法によって決定される。孔サイズは、例えば1〜100ミクロン(μm)、好ましくは5〜50ミクロン、より典型的には約10〜50ミクロンまたは10〜30ミクロンであり得る。「孔サイズ」は、本発明の目的のために、水銀ポロシメータ(環状横断面の円筒状の孔を推測する)によって測定されるような見掛け体積の平均孔径として表現される。
【0013】
いくつかの実施形態における出発のセラミック体は、軸方向に延長する多孔性壁との交差によって画成された1つまたは複数の軸方向に延長するセルを有するハニカムの形態をとることができる。壁およびかかるハニカム点の交差は、セルの数に加えて、それらの横断面のサイズおよび寸法を定義する。多くの濾過または触媒作用の適用のための典型的なハニカムは、20〜300セル/平方インチ(約3〜46セル/平方センチメートル)の横断面積(軸方向に対して横切る)を含有するだろう。より大きいかまたはより小さな壁厚が使用されるかもしれないが、壁厚は典型的には0.025〜10mm、好ましくは0.05〜1mmである。かかるハニカムは単一体(すなわち、単一ピースにおいて形成された)であり得るか、または個別に製造され、次いで通常セラミックセメントを使用してともに集合されて個別ピースをともに接着させる、より小さなハニカム構造のアセンブリーであり得る。
【0014】
出発のセラミック体は、気体フッ素含有化合物、または出発の多孔性アルミン酸塩含有セラミック体がシリコンを含有しないならば、シリコン原子およびフッ素原子の気体ソースと、接触される。「気体」によって、化合物が、この接触工程の間に存在する温度および圧力の条件下で気体の形態をしていることが意味される。
【0015】
好適なフッ素含有化合物の例には、SiF、AlF、HF、NaSiF、NaF、NHF、メチレンジフルオリド、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロエタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタンおよび1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンが含まれる。
【0016】
出発のセラミック体がシリコン原子を欠損するならば、それはシリコン原子およびフッ素原子の気体ソースと接触される。単一化合物(SiFまたはNaSiF等)はシリコン原子およびフッ素原子の両方を提供することができる。少なくとも1つの気体シリコーン含有化合物および少なくとも1つの気体フッ素含有化合物の混合物を使用することも可能である。
【0017】
出発のセラミック体がシリコン原子を含有している時でさえ、SiFは好ましいフッ素含有化合物である。
【0018】
出発体は、700〜1200℃の温度でフッ素含有化合物またはシリコン原子およびフッ素原子の気体ソースと接触される。ある程度まで、この工程の間に起こるフルオロトパーズを形成する反応は、後続するフルオロトパーズの分解と競合して針状ムライトを形成する。しかしながら、フルオロトパーズを形成する反応は、1000℃まで、好ましくは900℃まで、より好ましくは800℃までのより低い温度で優勢である。これらのより低い温度で第1の工程を実行して、針状ムライト形成反応からフルオロトパーズ形成反応を良好に分離することが通常好ましい。より低い温度では、フルオロトパーズ形成がフルオロトパーズを針状ムライトへ転換する分解反応とは個別に起こることが可能になる。最初に素地体を少なくとも500℃の温度を達成するまで真空または不活性雰囲気(窒素または貴ガス等)下で加熱すること、ならびに、その後はフッ素含有化合物を導入することおよびフルオロトパーズ形成工程のために所望される温度が達成されるまでセラミック体を加熱し続けることによって、この接触工程を実行することが典型的には好ましい。
【0019】
フルオロトパーズ形成反応の間のプロセス気体は、フッ素含有化合物(または場合に応じてシリコン原子およびフッ素原子のソース)を100%まで含有することができるが、反応性ガス化合物(複数可)の重量で80〜99%、特に85〜95%含有する混合物(残りは不活性ガスである)を使用することも可能である。不活性ガスは、例えば出発物質中に含有される不純物からまたはフルオロトパーズ形成反応もしくは針状ムライト形成反応から形成される様々な気体副産物であり得る。
【0020】
プロセス気体のフローはフルオロトパーズ形成工程の間に出発のセラミック体を介して確立することができる。これは、プロセス気体が孔構造を介して透過し、孔の内部表面と接触することを可能にする。
【0021】
この第1の反応段階の全体にわたって、フッ素含有化合物(または場合に応じてシリコン原子およびフッ素原子のソース(複数可))の分圧を所望されるレベルに合わせるかもしくは維持することができ、および/または反応の経過の間の変動を可能にできる。気体反応性化合物(複数可)の分圧に関する制御は、反応率に関するある程度の制御を可能にする。気体反応性化合物(複数可)の典型的な分圧は、400〜1000torr(53.2〜133.3kPa)、特に400〜750torr(53.2〜99.7kPa)である。反応の経過の間に分圧を変動することは可能である。
【0022】
この第1の接触工程の間に、フルオロトパーズはセラミック体の露出した表面上(孔の表面を含む、プロセス気体が孔構造を介して透過する程度まで)に形成される。フッ素含有化合物(および存在するならばシリコン原子のソース)は気体であるので、特にプロセス気体を体を通して流れさせる時、それらは容易に孔構造を介して透過し、内部孔の表面でさえ反応することができる。結果として、フルオロトパーズ形成が典型的には体の孔構造の全体にわたって起こる。
【0023】
プロセス気体が緻密化されたセラミック材料の中へ容易に浸透することができないので、フルオロトパーズ形成はセラミック材料の露出した表面(孔の壁に沿うものも含む)でほとんどもっぱら起こると考えられる。
【0024】
次いで、セラミック体を非酸化雰囲気において1000〜1500℃の温度まで加熱して、フルオロトパーズをセラミック体の孔の表面に付加された針状ムライトウィスカーへ転換する。これらのより高い温度で、この工程がフッ素含有気体ならびに/またはシリコン原子およびフッ素原子の気体ソース(複数可)の存在下において実行される時でさえ、針状ムライトを形成するフルオロトパーズ分解反応は大幅に優勢である。したがって、この工程の間の雰囲気はかかる化合物(複数可)を含むことができる。フッ素含有化合物またはシリコン原子およびフッ素原子のソースの分圧は、場合に応じて、有利には755torr(100kPa)を超えず、0torrを含む任意のより低い値であり得る。フッ素含有化合物もしくはシリコン原子およびフッ素原子のソース(複数可)のどれも含有しないか、または250torr(33.2kPa)以下、好ましくは50〜250torr(6.7〜33.2kPa)もしくは50〜150torr(6.7〜20kPa)である化合物(複数可)の分圧のいずれかの雰囲気中で、この第2の工程を行なうことが好ましい。
【0025】
フルオロトパーズが分解して針状ムライトを形成するにつれて、フルオロトパーズは四フッ化ケイ素気体を放出する。このプロセスは吸熱性である。フルオロトパーズ分解工程の間の温度は、好ましくは少なくとも1050℃または少なくとも1100℃であり、好ましくは1300℃以下または1200℃以下である。フルオロトパーズ分解が完了するまで、体はその温度で保持されるべきである。体がもはや四フッ化ケイ素を放出しない時に分解反応は完了する。
【0026】
フルオロトパーズが分解するにつれて、針状ムライト結晶は形成される。これらの針状ムライト結晶は、第1の反応段階においてフルオロトパーズが形成されたセラミック体のすべての表面(出発体の孔の内面を含む)上に形成される。針状ムライトに典型的なように、針状ムライト結晶は伸長され;ムライト結晶のアスペクト比は典型的には少なくとも5、より好ましくは少なくとも10である。結晶は、1〜50ミクロン、好ましくは1〜20ミクロンの平均直径を有することができる。これらの結晶は、一般的にセラミック体の孔の中へ孔表面から外側に延長する。結晶の長さは、約200ミクロンまで、より典型的には10〜150ミクロンであり得る。
【0027】
生じたセラミック体から残存するフッ素を除去することが必要または所望されるだろう。これは、ある期間少なくとも1200℃(1200〜1460℃等)の温度まで複合物を加熱することによって都合よく遂行される。この加熱工程は、ある程度の水を含有する雰囲気(湿り空気、またはある程度の量の湿気を含有する他の不活性雰囲気等)の存在下において好ましくは実行される。雰囲気中に必要な水の量は一般的に多くなく、周囲湿度は通常十分である。
【0028】
プロセスから得られたセラミック体は、表面積/単位塊の増加ならびに多孔率および/または孔サイズの多くともわずかな減少以外は、全体寸法、壁厚、セルサイズおよび他の寸法の面の点では、出発のセラミック体のものに密接に一致する。表面積は、出発のセラミック体のものの10倍程度に増加させることができる。より典型的には、出発のセラミック体のものの1.5〜10倍または出発体のものの1.5〜5倍に表面積を増加させることができる。形成された針状ムライト結晶の添加された重量は、プロセスから得られた体が出発体のものの1.01〜1.5、好ましくは1.01〜1.25倍の重さであるように、もとの体の重量の1〜50%、好ましくは1〜25%であり得る。
【0029】
本発明に従って作製された体は、多様な濾過適用におよび/または様々なタイプの機能材料のための担体として有用であり、その触媒は特に興味深いものである。
【0030】
体は微粒子フィルター、特に発電装置(可動型または固定型の)排気ガスから微粒子物質を除去するためのものとして使用することができる。このタイプの特異的な適用は、内燃エンジン、特にディーゼルエンジンのためのすすフィルターである。
【0031】
機能材料は様々な方法を使用して、体に適用することができる。機能材料は有機または無機であり得る。これらの多くが所望される触媒特性を有するか、吸着剤として機能するか、または他のいくつかの必要機能を実行するので、無機機能材料(金属および金属酸化物等)は特に興味深いものである。体上に金属または金属酸化物を導入する1つの方法は、体に金属の塩または酸の溶液を含浸させること、および次いで加熱またはそうでなければ溶媒を除去し、必要であるならばか焼しまたはそうでなければ塩または酸を分解して、所望される金属または金属酸化物を形成することによる。
【0032】
したがって、例えばアルミナコーティングまたは別の金属酸化物のコーティングは、触媒または吸着材が堆積することができるより高い表面積を提供するために、多くの場合適用される。アルミナは体にコロイド状アルミナを含浸させ、続いて乾燥させること、典型的には含浸させた体を介して気体を通過することによって、堆積させることができる。所望される量のアルミナを堆積させるのに必要なときに、この手順は反復することができる。他のセラミックコーティング(チタニア等)は類似した様式で適用することができる。本発明の利点は、内部孔表面(および生じた高表面積)上の針状ムライトウィスカーの存在に起因して、金属および他の触媒は、多くの場合中間体コーティング(アルミナ等)を最初に適用する必要性なしに、体上に直接堆積されて、内部孔表面を粗くすることができる。
【0033】
体を可溶性金属の塩(例えば硝酸白金、塩化金、硝酸ロジウム、テトラアミン硝酸パラジウム、ギ酸バリウム等)に含浸させ、続いて乾燥および好ましくはか焼することによって、金属(バリウム、白金、パラジウム、銀、金および同種のもの等)を体上に堆積させることができる。発電装置排気流のための触媒コンバーター(特に車両のための)は、その様式で体から調製することができる。金属を体上に堆積させて、微粒子(すす、NOx化合物、一酸化炭素および車両エンジンから等の発電装置排気からの炭化水素等)を同時に除去することができるフィルターを形成することができる。
【0034】
多孔性セラミック体上に様々な無機材料を堆積させるための好適な方法は例えばUS2005/0113249およびWO01/045828中で記載される。これらのプロセスは本発明の体に関して一般的に有用である。
【0035】
以下の実施例は本発明を図示するために提供されるが、その範囲を限定することは意図しない。すべての容およびパーセンテージは特別の指示の無い限り重量である。
【実施例】
【0036】
実施例1
滑らかな高密度壁および約90体積%の多孔率を有する商業的に入手可能なα−アルミナフォームは、SiF雰囲気(SiF分圧400torr)下で約800℃の温度まで8時間加熱される。次いで温度を1150℃まで2時間増加させて、フォームの外部および内部の孔表面上に針状ムライト結晶を形成させる。出発のフォームの表面積は0.06m/gである。記載された処理後に、フォームの表面積は0.2m/gまたは初期値の約350%に増加する。
【0037】
図1Aは滑らかで高密度の壁を示す出発のアルミナフォームの顕微鏡写真図である。図1Bおよび1Cは処理されたフォームの顕微鏡写真図である。針状ムライトのとがったクラスターが孔壁上に成長したことが観察される。針状ムライト結晶の平均長は50〜150ミクロンの範囲中である。
【0038】
実施例2
アルカリアルミノケイ酸塩フォームは、SiO、AlおよびNaOの混合物を1100℃でか焼することによって作製される。このフォームは図2A中で示されるように滑らかな高密度壁を有する。このフォームを実施例1中で記載される一般的様式で処理して、孔表面上に針状ムライト結晶を生産する。図2Bは処理されたフォームの顕微鏡写真図である。図2B中で理解することができるように、孔表面は非常に粗くなり、それらの表面積は有意に増加される。
【0039】
実施例3
ウレタンフォームを前駆体スラリー中で浸漬し、乾燥し、1000℃でか焼して、アルミナフォームを形成する。ウレタンフォームは、か焼工程の間に燃焼される。アルミナフォームを実施例1中で記載されるものと同じ一般的様式で処理する。内部孔表面は長さおよそ50ミクロンの針状ムライト結晶によりカバーされるようになる。
【0040】
実施例4
多孔性セル壁を有するチタン酸アルミニウムハニカムを実施例1中で記載されるものと同じ一般的様式で処理する。針状ムライト結晶はセル壁の表面上に形成される。SiFへのより長期の露光に際して、針状ムライト結晶は壁中で孔内でも形成される。図3は処理されたチタン酸時間アルミニウムハニカムの顕微鏡写真図であり、壁表面上の針状ムライト結晶の存在を示す。
【0041】
実施例5
多孔性セル壁を有するコーディエライトハニカムを1,1,1,2−テトラフルオロエタン気体と1000℃で5時間、および次いで1100℃で2時間反応させて、針状ムライト結晶を生産する。この処理の結果として、コーディエライトのおよそ10%は針状ムライトに転換され、それはセル壁上およびセル壁の孔中に結晶を形成する。針状ムライト結晶は長さ20〜30ミクロンである。図4は、処理されたハニカムの表面の一部の顕微鏡写真図で、針状ムライト結晶の存在を示す。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4