特許第6404744号(P6404744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404744
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】引き戸式ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20181004BHJP
   E06B 9/04 20060101ALI20181004BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   E05D15/06 125C
   E06B9/04 K
   E06B3/46
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-35268(P2015-35268)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-156210(P2016-156210A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 功
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−92048(JP,A)
【文献】 実公平5−4547(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00 − 15/58
E06B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を幅方向にスライド移動するドア体と、開口部の戸尻側半部に設けられる戸袋と、開口部の上方に設けられ、ドア体をスライド移動させるべくドア体に連動連結される駆動装置とを備え、該駆動装置の駆動に基づきドア体をスライド移動させることで開口部の戸先側半部を開閉するように構成してなる引き戸式ドア装置において、前記戸袋を、ドア体の見込み方向両側に位置する第一、第二パネル体で構成し、これら第一、第二パネル体をそれぞれ開口部の幅方向にスライド移動自在に設けるとともに、開口部の上方に、前記ドア体の上部をスライド移動自在にガイドするドア体用レールと、第一、第二パネル体の上部をそれぞれスライド移動自在にガイドする第一、第二パネル体用レールとを設けるにあたり、第一、第二パネル体用レールのうち一方のパネル体用レールを駆動装置よりも上方に配し、ドア体用レールと第一、第二パネル体用レールのうち他方のパネル体用レールとを駆動装置よりも下方に配する一方、これら駆動装置よりも下方に配されるドア体用レールと他方のパネル体用レールとを上下に並設させて設けたことを特徴とする引き戸式ドア装置。
【請求項2】
請求項1において、他方のパネル体用レールは、開口部上枠の一方の見付け面部を形成する枠材に一体形成される一方、ドア体用レールは、該ドア体用レールの下面部が他方のパネル体用レールの上面部に当接する状態で他方のパネル体用レールの上側に並設されることを特徴とする引き戸式ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商店や公共施設等の建築物の出入り口部等に設けられる引き戸式ドア装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、引き戸式ドア装置のなかには、開口部を幅方向にスライド移動するドア体と、開口部の戸尻側半部に設けられる戸袋と、開口部の上方に設けられ、ドア体をスライド移動させるべくドア体に連動連結される開閉機とを備え、該開閉機の駆動に基づきドア体をスライド移動させることで開口部の戸先側半部を開閉するように構成したものがある。このものにおいて、前記戸袋を、ドア体の見付け方向両側に位置する第一、第二パネル体で構成する場合、これらパネル体の両方が躯体側に固定されたフィックス板であると、戸袋内に入り込んだゴミ等を取出す等の清掃作業が困難であるうえ、パネル体を例えばガラス材で形成したものでは、戸袋内部側のガラス面を払拭清掃できないという問題がある。
そこで従来、戸袋を構成する第一、第二パネル体のうちの一方のパネル体を、開口部の幅方向にスライド移動に構成するとともに、ドア体の戸先部分と一方のパネル体の戸尻部分とがすれ違うことで、一方のパネル体とドア体とを引き違い可能に構成し、これにより戸袋内の清掃、およびパネル体の戸袋内部側面の払拭清掃を行えるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5164175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のものは、ドア体の戸先部分と一方のパネル体の戸尻部分とをすれ違わせる場合に、ドア体の戸先部分の縦框とパネル体の戸先部分の縦框とのあいだに指を挟んでしまう惧れがある。また、ドア体の戸先部分の縦框に、ドア体を開閉させるための起動センサとしてのタッチセンサ等が設けられていると、該タッチセンサがドア体と一方のパネル体とのすれ違いの邪魔になる惧れがあり、これを回避するためにはドア体と一方のパネル体との見込み方向の間隙を広く採らなければならず、引き戸式ドア装置の見込み寸法が大きくなってしまうという問題もある。
そこで、戸袋を構成する第一、第二パネル体の両方を開口部の幅方向にスライド移動に構成することで、パネル体とドア体とを引き違い可能にしなくても、戸袋内の清掃、および第一、第二パネル体の戸袋内部側面の払拭清掃を行えるようにすることが提唱される。しかるに、このように第一、第二パネル体の両方をスライド移動自在に構成した場合、ドア体の上部をスライド移動自在にガイドするドア用レールに加え、第一、第二パネル体の上部をそれぞれスライド移動自在にガイドする二本の第一、第二パネル体用レールが必要になる。つまり、開口部の上方にドア用レールと第一、第二パネル体用レールとの計三本のレールを設ける必要があるが、この場合に、三本のレールが占める見込み寸法が大きくなって引き戸式ドア装置が大型化してしまうことが懸念され、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、 開口部を幅方向にスライド移動するドア体と、開口部の戸尻側半部に設けられる戸袋と、開口部の上方に設けられ、ドア体をスライド移動させるべくドア体に連動連結される駆動装置とを備え、該駆動装置の駆動に基づきドア体をスライド移動させることで開口部の戸先側半部を開閉するように構成してなる引き戸式ドア装置において、前記戸袋を、ドア体の見込み方向両側に位置する第一、第二パネル体で構成し、これら第一、第二パネル体をそれぞれ開口部の幅方向にスライド移動自在に設けるとともに、開口部の上方に、前記ドア体の上部をスライド移動自在にガイドするドア体用レールと、第一、第二パネル体の上部をそれぞれスライド移動自在にガイドする第一、第二パネル体用レールとを設けるにあたり、第一、第二パネル体用レールのうち一方のパネル体用レールを駆動装置よりも上方に配し、ドア体用レールと第一、第二パネル体用レールのうち他方のパネル体用レールとを駆動装置よりも下方に配する一方、これら駆動装置よりも下方に配されるドア体用レールと他方のパネル体用レールとを上下に並設させて設けたことを特徴とする引き戸式ドア装置である。
請求項2の発明は、請求項1において、他方のパネル体用レールは、開口部上枠の一方の見付け面部を形成する枠材に一体形成される一方、ドア体用レールは、該ドア体用レールの下面部が他方のパネル体用レールの上面部に当接する状態で他方のパネル体用レールの上側に並設されることを特徴とする引き戸式ドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ドア体とパネル体とが引違い可能でなくても、戸袋内の清掃や、第一、第二パネル体の室内外両面の払拭清掃等を容易に行うことができる。しかも、ドア体用レールおよび第一、第二パネル体用レールの三本のレールを見込み方向に幅狭な状態で配することができて、引き戸式ドア装置のコンバクト化に寄与できる。
請求項2の発明とすることにより、ドア体用レールと第二パネル体用レールとが互いに支持された状態になって、両レールの強度アップを図れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】引き戸式ドア装置の室内側から視た正面図である。
図2】ドア体および第一、第二パネル体の移動を示す説明図であって、(A)、(B)は通常時におけるドア体の開閉移動を示す図、(C)は第一パネル体をメンテナンス姿勢にしたときの図、(D)は第二パネル体をメンテナンス姿勢にしたときの図、(E)は第一および第二パネル体をメンテナンス姿勢にしたときの図である。
図3】開口部上枠の一部を切欠いた引き戸式ドア装置の室内側から視た拡大正面図である。
図4】開口部上枠の一部を切欠いた引き戸式ドア装置の室外側から視た拡大正面図である。
図5】引き戸式ドア装置の縦断面図である。
図6図5の要部拡大図である。
図7】引き戸式ドア装置の横断面図である。
図8】ドア体用ローラユニット、およびドア体用ローラユニットと動力伝動体との連結を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は建築物の開口部に設けられた引き戸式ドア装置であって、該引き戸式ドア装置1を構成するドア体2は、開口部を幅方向(左右方向)にスライド移動することによって、開口部の戸先側半部に設けられる出入口Aを開閉するとともに、出入口Aを開くときには開口部の戸尻側半部に設けられる戸袋Bに収納されるように構成されている。また、3は開口部が開設される躯体であって、該躯体3は、本実施の形態では、室R(例えば喫煙室)の室内と室外とを仕切るためのガラス材からなるパーティションであり、該パーティション(躯体3)に開設された開口部に引き戸式ドア装置1が設けられている。尚、本発明では、ドア体2の戸先側を開口部や後述する各部材(第一パネル体7、第二パネル体8、ドア体用レール6、第一パネル体用レール13、第二パ
ネル体用レール14、開口部上枠26、外側枠材27、内側枠材28等)の戸先側とし、ドア体2の戸尻側を開口部や各部材の戸尻側とする。
【0009】
前記ドア体2は、ガラス材の四周を上框2a、下框2b、左右の縦框2c、2dによって枠組形成したものであって、上框2aには、後述する左右一対のドア体用ローラユニット4が取付けられている。そして、該ドア体用ローラユニット4に設けられたドア体用走行ローラ5が、開口部の上方に配設される後述のドア体用レール6に吊持された状態で左右方向スライド移動自在にガイドされるように構成されており、これによりドア体2は開口部を幅方向(左右方向)にスライド移動して、出入口Aを閉じる全閉姿勢と、出入口Aを開いて戸袋Bに収納される全開姿勢とに変姿するように構成されている。
【0010】
一方、前記開口部の戸尻側半部に設けられる戸袋Bは、ドア体2の見込み方向両側(ドア体2を挟んで室内側および室外側)に位置し、面方向がドア体2の面方向と平行な第一、第二パネル体7、8を用いて構成されている。そして、ドア体2が出入口Aを開くときには上記第一、第二パネル体7、8の対向間にドア体2が引き込まれるようになっており、これにより、開閉移動するドア体2の戸尻側が人や物体に当接してしまうことを防止できるようになっている。尚、本実施の形態において、ドア体2の見込み方向室外側に位置する第一パネル体7が本発明の一方のパネル体に相当し、室内側に位置する第二パネル体8が他方のパネル体に相当する。
【0011】
前記第一、第二パネル体7、8は、前記ドア体2と同様に、ガラス材の四周を上框7a、8a、下框7b、8b、左右の縦框7c、7d、8c、8dによって枠組形成したものであって、上框7a、8aには、後述する左右一対の第一、第二パネル体用ローラユニット9、10がそれぞれ取付けられている。そして、該第一、第二パネル体用ローラユニット9、10にそれぞれ設けられた第一、第二パネル体用走行ローラ11、12が、開口部の上方に配設される後述の第一、第二パネル体用レール13、14に吊持された状態で左右方向スライド移動自在にガイドされるように構成されており、これにより第一、第二パネル体7、8は開口部を幅方向(左右方向)にスライド移動して、開口部の戸尻側半部に位置して戸袋Bを形成する戸袋姿勢と、該戸袋姿勢から開口部の戸先側に移動して戸袋Bの室外側、室内側、或いは室内外両側を開放するメンテナンス姿勢とに変姿するように構成されている。尚、以下の説明において、ドア体2、第一、第二パネル体7、8の左右の縦框2c、2d、7c、7d、8c、8dのうち戸先側の縦框を戸先側縦框2c、7c、8cと称し、戸尻側の縦框を戸尻側縦框2d、7d、8dと称する。
【0012】
そして、前記第一、第二パネル体7、8は、ドア体2が出入口Aの開閉作動を行う通常時には戸袋姿勢にロックされているが、該ロックを解除して第一、第二パネル体7、8の一方、或いは両方を開口部戸先側に移動させてメンテナンス姿勢に変姿させることにより、戸袋Bの室外側半部、室内側半部、或いは室内外両側が開放された状態になって、戸袋B内の清掃や、第一、第二パネル体7、8の室内側および室外側のガラス面の払拭清掃等を容易に行うことができるようになっている(図2参照)。尚、図中、15は第一、第二パネル体7、8を戸袋姿勢にロックするためのロック手段(施錠装置)であって、該ロック手段15は、本実施の形態では鎌錠が採用されている。
【0013】
ここで、第一、第二パネル体7,8には、メンテナンス姿勢にしたときにドア体2との引き違いを防止するための引き違い防止用ストッパ16、17が設けられている。該引き違い防止用ストッパ16、17は、本実施の形態では、第一、第二パネル体7、8の戸尻側縦框7d、8dの上部から上框7a、8aの戸尻側端部に至る部位にドア体2側に向けて突出するように設けられていて、第一、第二パネル体7、8をメンテナンス姿勢にしたときにドア体2の戸尻側縦框2dに当接するようになっている(図2参照)。そして、該引き違い防止用ストッパ16、17がドア体2の戸尻側縦框2dに当接することで、ドア体2と第一、第二パネル体7、8との引き違いが禁止されるとともに、引き違い防止用ストッパ16、17がドア体2の戸尻側縦框2dに当接している状態では、ドア体2の戸先側縦框2cの戸尻側端部よりも第一、第二パネル体7、8の戸先側縦框7c、8cの戸先側端部が戸尻側に位置していて、ドア体2と第一、第二パネル体7、8の戸先側縦框2c、7c、8c同士が重ならないように設定されており、これにより、第一、第二パネル体7,8をメンテナンス姿勢にしたときにドア体2の戸先側縦框2cと第一、第二パネル体7、8の戸先側縦框7c、8cとのあいだに指を挟んでしまうことを防止できるとともに、ドア体2の戸先側縦框2cに例えばタッチセンサ等のセンサが設けられていても、該センサに第一、第二パネル体7、8の戸先側縦框7c、8cが衝突してしまうことを防止できるようになっている。
【0014】
一方、前記ドア体2および第一、第二パネル体7、8は、上框2a、7a、8aおよび下框2b、7b、8bが全て同形状、同高さ位置となるように設計されていて意匠性に優れているが、ドア体2および第一パネル体7の上框2a、7aの上側には、ドア体用、第一パネル体用のスペーサ18、19がドア体上框2a、第一パネル体上框7aの左右幅略全長に亘って設けられている。そして、ドア体2および第一パネル体7は、スペーサ18、19の上側に前記左右一対のドア体用ローラユニット4、第一パネル体用ローラユニット9が取付けられている。
【0015】
前記ドア体用ローラユニット4は、左右一対のドア体用走行ローラ5と、これらドア体用走行ローラ5をドア体2に取付けるためのドア体用ローラ取付ブラケット20とにより構成されており、該ドア体用ローラ取付ブラケット20は、前記ドア体用のスペーサ18の上面に固定される取付板20aと、該取付板20aから上方に向けて立設される立上がり片20bと、該立上がり片20bにボルト20cにより固定される支持板20dとを備えて構成されている。そして該支持板20dに、室内外方向を向く支軸を介して前記左右一対のドア体用走行ローラ5がそれぞれ回転自在に軸承されているが、この場合にドア体用走行ローラ5は、ドア体2の見込み幅よりも室内側に突出していて、ドア体2に対して室内側に偏奇した状態となるように設計されている。また、前記支持板20dの左右端部には、後述する位置決め用ストッパ21に当接するストッパ当接部20fが室内側に向けて折曲形成されている。さらに、左右一対のドア体用ローラユニット4のうち戸先側のドア体用ローラユニット4のドア体用ローラ取付ブラケット20の支持板20dには、後述する動力伝動体39に連結される連結部材23が止着されている。尚、図中、20gはドア体用のスペーサ18の上面とドア体用ローラ取付ブラケット20の取付板20aとの間に介装されるシムであって、取付板20aは、シム20gおよびスペーサ18を貫通してドア体上框2aに螺入されるボルト20hによりスペーサ18の上面に固定されるようになっている。
【0016】
また、第一パネル体用ローラユニット9は、左右一対の室外側、室内側の第一パネル体用走行ローラ11と、これら第一パネル体用走行ローラ11を第一パネル体7に取付けるための第一パネル体用ローラ取付ブラケット24とにより構成されており、該第一パネル体用ローラ取付ブラケット24は、前記第一パネル体用のスペーサ19の上面に固定される取付板24aと、該取付板24aから上方に向けて立設される立上がり片24bと、該立上がり片24bの上部にボルト24cにより固定され、立上がり片24bからさらに上方に伸びる支持板24dとを備えて構成されている。そして該支持板24dの上部に、室内外方向を向く支軸を介して前記左右一対の室外側、室内側の第一パネル体用走行ローラ11がそれぞれ回転自在に軸承されている。尚、図中、24fは第一パネル体用のスペーサ19の上面と第一パネル体用ローラ取付ブラケット24の取付板24aの間に介装されるシムであって、取付板24aは、前述したドア体用ローラ取付ブラケット20の取付板20aと同様に、シム24fおよび第一パネル体用のスペーサ19を貫通して第一パネル体上框7aに螺入されるボルト24gによりスペーサ19の上面に固定されるようになっている。
【0017】
また、第二パネル体用ローラユニット10は、左右一対の室外側、室内側の第二パネル体用走行ローラ12と、これら第二パネル体用走行ローラ12を第二パネル体8に取り付けるための第二パネル体用ローラ取付ブラケット25とにより構成されており、該第二パネル体用ローラ取付ブラケット25は、第二パネル体上框8aの上部に内装される状態で第二パネル体上框8aに取付けられる取付ケース25aと、下端側が取付ケース25aに支持された状態で第二パネル体上框8aの上面から上方に突出する支持片25bとを備えて構成されている。そして該支持片25bに、室内外方向を向く支軸を介して前記左右一対の室外側、室内側の第二パネル体用走行ローラ12がそれぞれ回転自在に軸承されている。
【0018】
一方、26は開口部の上方に設けられる金属製の開口部上枠(無目)であって、該開口部上枠26は、後述する外側枠材27と内側枠材28とカバー体(無目カバー)29とを備えて構成されている。尚、30、31は開口部の左右側方に設けられる開口部縦枠である。
【0019】
前記外側枠材27は、開口部上枠26の室内側の見付け面を形成する室内側見付け面部27aと、該室内側見付け面部27aの上部から室外側に向けて折曲形成される上側見込み面部27bとが一体形成された略逆L字形状のものであって、その左右両端部はビス(図示せず)により開口部縦枠30、31に固定されているが、該外側枠材27の上側見込み面部27bの室外側端部には、前記第一パネル体用レール13がビス27cを介して固定されている。該第一パネル体用レール13は、開口部上枠26の左右幅略全長に亘るように設けられているとともに、室外側、室内側の壁面部13a、13bと、これら壁面部13a、13bの上端部同士を連結する上面部13cと、室外側、室内側の壁面部13a、13bの下部にそれぞれ形成される室外側、室内側のレール部13d、13eとを備えている。そして、これら室外側、室内側のレール部13d、13eに室外側、室内側の第一パネル体用走行ローラ11がそれぞれスライド移動自在に支持され、これにより第一パネル体7は、第一パネル体用レール13に吊持された状態で開口部を幅方向にスライド移動するようになっている。
【0020】
また、前記外側枠材27の室内側見付け面部27aの下部には、前記第二パネル体用レール14が一体形成されている。該第二パネル体用レール14は、開口部上枠26の左右幅略全長に亘るように設けられているとともに、室外側、室内側の壁面部14a、14bと、これら壁面部14a、14bの上端部同士を連結する上面部14cと、室外側、室内側の壁面部14a、14bの下部にそれぞれ形成される室外側、室内側のレール部14d、14eとを備えている。そして、これら室外側、室内側のレール部14d、14eに室外側、室内側の第二パネル体用走行ローラ12がそれぞれスライド移動自在に支持され、これにより第二パネル体8は、第二パネル体用レール14に吊持された状態で開口部を幅方向にスライド移動するようになっている。尚、第二パネル体用レール14の室内側の壁面部14bの外側面は、外側枠材27の室内側見付け面部27aの外側面と面一状となって開口部上枠26の室内側の見付け面を形成している。また、外側枠材27は、本発明の開口部上枠の一方の見付け面部を形成する枠材に相当する。
【0021】
一方、内側枠材28は、前記外側枠材27の室内側見付け面部27aの内側面に沿って左右方向長尺に設けられており、その左右両端部は取付け金具32および取付けボルト32aを介して左右の開口部縦枠30、31に固定されている。そして、該内側枠材28の上半部は、後述する駆動装置33や該駆動装置33を制御する制御器40、端子台41、光電センサ用のアンプ42等の機器が取付けられる機器配設部28aになっている一方、内側枠材28の下半部には、前記ドア体用レール6が一体形成されている。該ドア体用レール6は、開口部上枠26の左右幅略全長に亘るように設けられているとともに、外側枠材27の室内側見付け面部27aの内側面に沿う壁面部6aと、該壁面部6aの上部から室外側に突出する上面部6bと、壁面部6aの下部から室外側に突出する下面部6cと、該下面部6cの室外側端部に形成されるレール部6dとを備えているが、上記下面部6cは前記第二パネル体用レール14の上面部14cに上側から当接している。つまり、ドア体用レール6は、その下面部6cが第二パネル体用レール14の上面部14cに当接する状態で、第二パネル体用レール14の上側に並設されている。そして、該ドア体用レール6のレール部6dにドア体用走行ローラ5がスライド移動自在に支持され、これによりドア体2は、ドア体用レール6に吊持された状態で開口部を幅方向にスライド移動するようになっている。
尚、図中、21はドア体用レール6の戸先側端部、戸尻側端部に設けられる全閉用、全開用の位置決め用ストッパであって、該位置決め用ストッパ21は、ドア体2が全閉姿勢、全開姿勢になったときに前記ドア体用ローラ取付ブラケット20に設けられたストッパ当接部20fに当接するように設定されている。
また、前記ドア体2、第一、第二パネル体7、8の下框2b、7b、8bの下部には、下方が開口したガイド溝部2e、7e、8eが左右幅略全長に亘って形成されており、該ガイド溝部2e、7e、8eには、開口部の床面に固定されたガイド突起34が嵌入している。そして、ドア体2、第一、第二パネル体7、8が開口部をスライド移動する場合には、前記ガイド突起34がガイド溝部2e、7e、8eを左右方向に相対的にスライド移動し、これによりドア体2、第一、第二パネル体7、8の下部側のスライド移動のガイドがなされるように構成されている。
【0022】
而して、外側枠材27の上側見込み面部27bの室外側端部には第一パネル体用レール13が固定され、外側枠材27の室内側見付け面部27aの下部には第二パネル体用レール14が一体形成され、また、内側枠材28の下部にはドア体用レール6が一体形成されているが、この場合に、第一パネル体用レール13は、内側枠材28に取付けられた駆動装置33よりも上方に位置する一方、ドア体用レール6および第二パネル体用レール14は、駆動装置33よりも下方に位置するように配置されている。これにより、ドア体用レール6および第一、第二パネル体用レール13、14の三本のレールを、平面視において駆動装置33と見込み方向に重なる状態で配することができることになるが、さらに、駆動装置33よりも下方に配されるドア体用レール6と第二パネル体用レール14とは上下に並設されており、而して、ドア体用レール6および第一、第二パネル体用レール13、14の三本のレールを、見込み方向に幅狭な状態で開口部上枠26内に配することができるようになっている。尚、本実施の形態において、第一パネル体用レール13は本発明の一方のパネル体用レールに相当し、第二パネル体用レール14は本発明の他方のパネル体用レールに相当する。
【0023】
また、前記カバー体29は、開口部上枠26の室外側の見付け面を形成するとともに、その上端部が外側部材27の上側見込み面部27bの室外側端部に着脱自在に係止され、左右両端側下部が開口部縦枠30、31にカバー固定金具35および固定ボルト(図示せず)を介して着脱自在に固定されるようになっている。そして、開口部上枠26内に配設される機器、例えば前記内側部材28に取付けられた駆動装置33のメンテナンスを行うような場合には、カバー体29を取外すことができるようになっている。この場合に、カバー体29にはドア体用、第一パネル体用、第二パネル体用の何れのレール6、13、14も設けられていないため、カバー体29の取付け、取りしを簡単に行うことができるようになっている。
【0024】
ここで、ドア体2、第一パネル体7がそれぞれドア体用レール6、第一パネル体用レール13に吊持された状態で、ドア体2、第一パネル体7の吊持部、つまりドア体用ローラユニット4、第一パネル体用ローラユニット9が室外側から目視できないように、これらローラユニット4、9がカバー体29によって覆われた状態になること、つまりカバー体29の下端部がドア体2、第一パネル体7の上端部よりも下方に位置するように構成することが、意匠向上の点から望まれる。一方、開口部上枠26の見込み寸法をなるべく小さくするには、開口部上枠26の室外側の見付け面を形成するカバー体29を室内側の見付け面を形成する室内側見付け面部27aになるべく近づけて配置することが要求される。しかしながら、カバー体29の下端部をドア体2、第一パネル体7の上端部よりも下方に位置させ、且つ、カバー体29を室内側見付け面部27aに近づけて配置すると、カバー体29の下端部が、ドア体2、第一、第二パネル体7、8のうち最も室外側に位置する第一パネル体7の上端部に干渉してしまう惧れが生じる。
このため、本実施の形態では、ドア体2、第一パネル体7の上側にドア体用、第一パネル体用のスペーサ18、19を設け、これらスペーサ18、19の上端部よりもカバー体29の下端部が下方に位置するように構成して、ドア体2、第一パネル体7の吊持部(ドア体用ローラユニット4、第一パネル体用ローラユニット9)が室外側から目視できないようにするとともに、第一パネル体用のスペーサ19の室外側面が第一パネル体上框7aの室外側面よりも室内側に位置するようにスペーサ19の見込み幅寸法を幅狭に形成し、これにより、カバー体29を室内側見付け面部27aにできるだけ近づけて配置しても、カバー体29の下端部が第一パネル体用のスペーサ19に干渉してしまうことを回避できるようになっている。尚、ドア体2は、第一パネル体7よりも室内側に位置しているため、ドア体用のスペーサ18はカバー体29に干渉する惧れはないが、部品の共通化および意匠上、第一パネル体用のスペーサ19と同形状のもの、つまり、ドア体用のスペーサ18の室外側面がドア体上框2aの室外側面よりも室内側に位置するようにスペーサ18の見込み幅寸法が幅狭に形成されたものが用いられている。また、第二パネル体8は、戸袋姿勢のときには第一パネル体7の室内側に位置しているため、該第二パネル体8の吊持部(第二パネル体用ローラユニット10)が室外側から目視される惧れはない。
【0025】
一方、第二パネル体8にはスペーサが設けられていないとともに、第二パネル体8を吊持する第二パネル体用レール14は、前記ドア体、第一パネル体用のスペーサ18、19の室内側に位置している。つまり、前述したように、ドア体用走行ローラ5はドア体2の見込み幅よりも室内側に突出しており、該ドア体用走行ローラ5を支持するドア体用レール6は、開口部上枠26の室内側見付け面部27aに沿って設けられる内側枠材28に一体形成されている。而して、ドア体用レール6は、ドア体2の室内側に位置する第二パネル体8の上方に位置していることになるが、第二パネル体8にはスペーサが設けられていないため、第二パネル体上框8aの上面とドア体用レール6の下面部6cとの間には、ドア体用、第一パネル体用のスペーサ18、19の室内側にスペースが形成され、該スペースに第二パネル体用レール14が配されている。これにより、ドア体用、第一パネル体用のスペーサ18、19の室内側のスペースを利用して第二パネル体用レール14の配設スペースを確保できるとともに、前述したように、ドア体用レール6と第二パネル体用レール14とは、ドア体用レール6の下面部6cと第二バネル体用レール14の上面部14cとが当接する状態で上下に並設されていて、両レール6、14の強度アップが図られている。
【0026】
次いで、前記内側枠材28の機器配設部28aに取付けられる駆動装置33について説明すると、該駆動装置33は、ドア体2をスライド移動させるべくドア体2に連動連結されるものであって、機器配設部28aの戸尻側端部に配される電動モータを備えた開閉機36、該開閉機36の出力軸に連結される駆動プーリー37、機器配設部28aの戸先側端部に配される従動プーリー38、駆動プーリー37と従動プーリー38とのあいだに懸回される動力伝動体(例えば歯付ベルト等の伝動ベルトや伝動チエン)39等を備えて構成されている。そして、上記動力伝動体39は、戸先側のドア体用ローラユニット4のドア体用ローラ取付ブラケット20の支持板20dに連結部材23を介して連結されており、而して、開閉機36の駆動に伴い駆動プーリー37が回転することにより動力伝動体39が左右方向に変位し、該動力伝動体39の変位に追随する状態で戸先側のドア体用ローラユニット4が強制的に移動してドア体2を開閉移動せしめるように構成されている。これにより、開口部上枠26に取付けられた検出センサ43からの信号を受けて開閉機36が駆動した場合に、該開閉機36の駆動に基づきドア体2が左右方向にスライド移動して出入口Aの開閉を行うようになっている。
尚、図中、39aは動力伝動体39の張力調整用のターンバックル、39bはターンバックル39aに動力伝動体39を連結するためのホルダーであって、本実施の形態では、該ホルダー39bに、動力伝動体39とドア体用ローラユニット4とを連結するための連結部材23がボルトを介して固定されている。
また、43aはドア体2の戸先側縦框2cに取付けられたタッチプレートであって、該タッチプレート43aはドア体2を開こうとする人がタッチするものであるが、本実施の形態のタッチプレート43aは検出を行うセンサではなく、タッチプレート43aにタッチしている人が開口部上枠26に取付けられた検出センサ43によって検出されるようになっている。さらに、本実施の形態では、図示しないが、出入口Aを左右方向に横切る光線を用いた光電センサも併用されている。
【0027】
叙述の如く構成された本形態において、引き戸式ドア装置1は、開口部を幅方向にスライド移動するドア体2と、開口部の戸尻側半部に設けられる戸袋Bと、開口部の上方に設けられ、ドア体2をスライド移動させるべくドア体2に連動連結される駆動装置33とを備え、該駆動装置33の駆動に基づきドア体2をスライド移動させることで開口部の戸先側半部を開閉するように構成されているが、このものにおいて、前記戸袋Bは、ドア体2の見込み方向両側に位置する第一、第二パネル体7,8により構成されるとともに、これら第一、第二パネル体7、8はそれぞれ開口部の幅方向にスライド移動自在に設けられている。そして、開口部の上方には、ドア体2の上部に設けられたドア体用走行ローラ5をスライド移動自在にガイドするドア体用レール6と、第一、第二パネル体7,8の上部に設けられた第一、第二パネル体用走行ローラ11、12をそれぞれスライド移動自在にガイドする第一、第二パネル体用レール13、14とが配されるが、この場合に、第一パネル体用レール13は駆動装置33よりも上方に配され、ドア体用レール6と第二パネル体用レール14とは駆動装置33よりも下方に配されており、さらに、これら駆動装置33よりも下方に配されるドア体用レール6と第二パネル体用レールとは上下に並設する状態で設けられている。
【0028】
このように、本発明が実施されたものにあっては、戸袋Bを構成する第一、第二パネル体7、8がそれぞれ開口部の幅方向にスライド移動自在に設けられており、而して、第一、第二パネル体7、8の一方、或いは両方を開口部戸先側に移動させることで、戸袋Bの室外側半部、室内側半部、或いは室内外両側が開放された状態になって、戸袋B内の清掃や、第一、第二パネル体7、8の室内外両側のガラス面の払拭清掃等を容易に行うことができる。しかもこの場合に、ドア体2と第一、第二パネル体7、8とを引き違いさせる必要はないから、第一、第二パネル体7、8を戸先側に移動させたときにドア体2の戸先側縦框2cと第一、第二パネル体7、8の戸先側縦框7c、8cとの間に指を挟んでしまうことを防止するための引き違い防止用ストッパ16,17を設けたり、ドア体を開閉させるための起動センサとしてのタッチセンサ等をドア体2の戸先側縦框2cに設けたりすることが可能となる(本実施の形態ではタッチセンサは設けられていない)。
【0029】
さらに、開口部の上方に設けられるドア体用レール6、第一、第二パネル体用レール13、14の三本のレールのうち、第一パネル体用レール13は駆動装置33よりも上方に配され、ドア体用レール6と第二パネル体用レール14とは駆動装置33よりも下方に配されているから、三本のレール6、13、14の全てを、平面視において駆動装置33と見込み方向に重なる状態で配することができる。しかも、駆動装置33よりも下方に配されるドア体用レール6と第二パネル体用レール14とは上下に並設されており、而して、ドア体用レール6および第一、第二パネル体用レール13、14の三本のレールを、見込み方向に幅狭な状態で開口部上枠26内に配することができることになって、引き戸式ドア装置1のコンバクト化に寄与できる。
【0030】
さらにこのものにおいて、前記第二パネル体用レール14は、開口部上枠26の一方の見付け面部を形成する外側枠材27に一体形成される一方、ドア体用レール6は、該ドア体用レール6の下面部6cが第二パネル体用レール14の上面部14cに当接する状態で第二パネル体用レール14の上側に並設されており、これにより、上下に並設されるドア体用レール6と第二パネル体用レール14とを上下方向の寸法を可及的に小さくした状態で配することができるとともに、両レール6、14が互いに支持された状態になって、両レール6、14の強度アップを図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、駆動装置の駆動に基づきドア体をスライド移動させて出入口を開閉する引き戸式ドア装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 引き戸式ドア装置
2 ドア体
6 ドア体用レール
7 第一パネル体
8 第二パネル体
13 第一パネル体用レール
14 第二パネル体用レール
26 開口部上枠
27 外側枠材、
27a 室内側見付け面部
33 駆動装置
B 戸袋
図1
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