(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404759
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】アンモニア合成装置
(51)【国際特許分類】
C01C 1/02 20060101AFI20181004BHJP
C01C 1/04 20060101ALI20181004BHJP
B01J 21/04 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
C01C1/02 D
C01C1/04 F
B01J21/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-70669(P2015-70669)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-190746(P2016-190746A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 良
【審査官】
村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−060614(JP,A)
【文献】
特開2010−184230(JP,A)
【文献】
特開2004−169665(JP,A)
【文献】
特開2009−072716(JP,A)
【文献】
特開2007−326013(JP,A)
【文献】
特開昭55−125452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01C 1/00−3/20
B01J 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧した反応管内に供給した窒素と水素の混合ガスに、単一のマイクロ波発生装置から導波管を通してマイクロ波を照射し、前記反応管内にプラズマを発生させて前記混合ガスからアンモニアを合成する装置において、前記導波管と連通する照射管内に石英管からなる反応管を設置するとともに、前記照射管の前記反応管側に複数個の照射孔を備えて構成したことを特徴とするアンモニア合成装置。
【請求項2】
前記反応管内にアンモニアの合成率を向上させる活性アルミナを触媒として設置することを特徴とする請求項1記載のアンモニア合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素及び水素の混合ガスからアンモニアを合成する際に、その合成率を向上させることのできる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアンモニアの合成法として、ハーバーボッシュ法やウーデ法、クロード法等が知られている。これらは何れも低圧合成が理論上不可能とされており、高温高圧条件が必須となる。
【0003】
低圧下によるアンモニア合成法としては、下記特許文献1に記載の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−60614号公報
【0005】
上記特許文献1記載の技術は、低温低圧下において、水素を吸着させた遷移金属に、プラズマ等によって励起させた窒素を接触させてアンモニアを合成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、プラズマ等の熱的非平衡状態を利用して、低温低圧下でアンモニア合成することは可能である。本発明も上記特許文献1記載の技術と同様に、プラズマを利用して低温低圧下でアンモニアを合成する技術に関し、先の出願(例えば、特許第5508741号)等で用いた処理装置を活用しつつ、アンモニアの合成率を極力向上させる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、減圧した反応管内に
供給した窒素と水素の混合ガスに、単一のマイクロ波発生装置から導波管を通してマイクロ波を照射し、前記反応管内に
プラズマを発生させて前記混合ガスからアンモニアを合成する装置において、
前記導波管と連通する照射管内に石英管からなる反応管を設置するとともに、前記照射管の前記反応管側に複数個の照射孔を備えて構成したことに特徴を有する。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、反応管内にアンモニアの合成率を向上させる活性アルミナを触媒として設置することに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、反応管内に体積の大きなプラズマを生成することができるので、アンモニアの合成率を高めることができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、活性アルミナの触媒効果によってアンモニアの合成率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のアンモニア合成装置を示す図である。
【
図2】前記アンモニア合成装置内に触媒を設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1に本発明のアンモニア合成装置Aを示す。
【0013】
アンモニア合成装置Aは、窒素及び水素からなる混合ガスを反応管1内に供給するガス供給部2と、合成したアンモニアガスを排気する排気部3、及び、反応管1にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部4と、反応管1内の気圧を調節する図示しない系内圧力調節部から概略構成されている。なお、反応管1はマイクロ波が反応管1内に照射できるよう、例えば、透明の石英管によって形成されている。
【0014】
前記マイクロ波照射部4は、図示しないマイクロ波発生装置から発振されるマイクロ波を反応管1まで導く導波管5と、導波管5と連通して反応管1に沿って配置される照射管6から構成されている。照射管6には反応管1側に複数個(例えば、4個)の照射口7が形成されている。
【0015】
図1に示すアンモニア合成装置Aによりアンモニア合成をする場合は、まず、反応管1内を図示しない系内圧力調節部によって、例えば、150〜600[Pa]に減圧した後、ガス供給部2から窒素及び水素の混合ガスを供給する。
【0016】
この状態で、図示しないマイクロ波発生装置からマイクロ波を、導波管5から照射管6へ導くと、マイクロ波は照射管6に形成した複数個の照射口7から反応管1内に照射され、反応管1内に体積の大きなプラズマを生成する。
【0017】
体積の大きなプラズマの生成によって、反応管1内で生成されるアンモニアの合成率は向上する。
【0018】
図2は反応管1内に触媒を配置した状態を示している。触媒としては活性アルミナが有効であり、反応管1内に立設した触媒容器8内に収容されている。
【0019】
図2の場合も前述した実施例と同様に、反応管1内を減圧してガス供給部から窒素及び水素の混合ガスを供給する。そして、マイクロ波照射部4の導波管5からマイクロ波を反応管1内に照射することにより、反応管1内にプラズマを発生させる。
【0020】
すると、反応管1内の混合ガスは活性アルミナの触媒効果によって、触媒を配置しない場合と比較して2倍程度、アンモニアの合成率を向上させることができる。また、マイクロ波の出力や反応管1内の圧力によっては、活性アルミナに酸化マグネシウムや酸化鉄を担持することで、アンモニア合成率を向上させることができる。
【0021】
生成したアンモニアガスは排気部3から反応管1外部へ取り出し貯蔵しておく。
【0022】
なお、
図1に示す照射管6及び照射口7を
図2に示す実施例に適用しても良い。
【0023】
以上説明したように、本発明のアンモニア合成装置によれば、小型の装置構成により、高い合成率でアンモニアの生成を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
非平衡プラズマ燃焼を用いたガス合成に利用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 反応管
2 ガス供給部
3 排気部
4 マイクロ波照射部
5 導波管
6 照射管
7 照射口
8 触媒容器
A アンモニア合成装置