(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1〜
図6を参照して説明する。
ケーブルAと、それを接続しようとする被接続部材Bとは、コネクタCによって互いに接続されるようになっている。
被接続部材Bは、例えば、電子機械器具、光学機械器具、または流体機械器具等のケースとすることができる。
【0033】
コネクタCは、プラグ1とソケット2とを互いに中心軸線L方向(以下の説明では、理解を容易にするため、ケーブルA、被接続部材B、プラグ1およびソケット2の中心は、すべて中心軸線Lに一致させたものとして説明する。第2以後のの実施形態においても同じ)に差し込むことにより接続するようにしたもので、この例では、プラグ1をケーブルAにおける外装チューブA1の一端部内に、その中心と同芯とした中心軸線L回りに回転可能、かつ中心軸線L方向にわずかに移動可能として設け、かつソケット2を、被接続部材Bに、回転不能として設けてある。
【0034】
プラグ1は、外装チューブA1の一端部内面に固着され、かつ外装チューブA1の一部をなす筒体3内に回転可能として嵌合された本体4を有している。
【0035】
ケーブルAは、この例では、金属または合成樹脂材料よりなる硬質の円筒体とした外装チューブA1と、その中に、弾性撓曲可能として蛇行状に配設した、可撓性の電気的導通手段をなす多芯ケーブル5とからなるものとしてある。
多芯ケーブル5のような電気的導通手段に代えて、光学的、または流体的な導通手段を配設することもある。
【0036】
筒体3の先端部(
図1および
図2における左端部)の内面には、凹入段部3aが設けられ、その凹入段部3aの奥端面である、本体4の中心軸線Lと直交する段差面3bから筒体3の基端(
図1および
図2における右端)にかけての内面には、先端に向かって漸次縮径するテーパ孔3cが形成されている。
筒体3の先端部には、外向きフランジ3dが設けられ、これに外装チューブA1の先端が当接するようにして、筒体3は、外装チューブA1内に嵌合され、かつ固着されている。
【0037】
本体4は、基端部に多芯ケーブル5の一端部が嵌合された防水性の弾性材料よりなるほぼ円筒形の外装筒体6と、その先端部内面に設けられた硬質合成樹脂材料よりなる差し込み部材7と、差し込み部材7の基端部に設けられた、より硬質の合成樹脂材料よりなる接触子保持部材8と、外装筒体6内における接触子保持部材8より基端寄りに充填された合成樹脂材料よりなる充填材9とを備えている。
【0038】
外装筒体6の長手方向の中間部外周には、環状の凹溝10が設けられ、ここには、先端部に拡径フランジ11aが設けられた補強リング11が外嵌されている。
【0039】
外装筒体6における凹溝10から基端までの外周面には、筒体3のテーパ孔3cと補形をなすテーパ面6aが形成されている。
【0040】
筒体3は、その凹入段部3aに補強リング11の拡径フランジ11aが嵌合するようにして、外装筒体6に外嵌されており、テーパ孔3cが外装筒体6のテーパ面6aに密接しているとき、凹入段部3aの段差面3bと拡径フランジ11aとの間に空隙12が形成されるようにしてある。
【0041】
したがって、本体4は、
図2に示すように、外装筒体6のテーパ面6aが、筒体3のテーパ孔3cに当接するまで、ケーブルAの先端から最大に突出することができ、その状態から、テーパ面6aが筒体3のテーパ孔3cから離間し、かつ空隙12が閉塞されるまで、すなわち、補強リング11の拡径フランジ11aが筒体3の段差面3bに当接するまで、ケーブルA内に向かって、中心軸線L方向に摺動することができる。
【0042】
補強リング11の拡径フランジ11aが筒体3の段差面3bに当接しているときは、本体4は、筒体3および外装ケーブルA1に対して、中心軸線L回りに円滑に回転することができ、逆に、本体4がケーブルAの先端から最大に突出し、外装筒体6のテーパ面6aが、筒体3のテーパ孔3cに密接したときは、そのときの相互の摩擦接触により、本体4は、筒体3および外装ケーブルA1に対して相対回転可能となる。
【0043】
外装筒体6の先端部外周面は、先端に向かって漸次縮径する浅いテーパ面6bをなしている。
外装筒体6の先端部内面には、弾性係合爪13が設けられている。
【0044】
差し込み部材7は、2個の拡径フランジ14、15が外装筒体6内に埋設されるようにしてモールド成形されることにより、外装筒体6に固着された基端部7aと、その拡径フランジ14の先端側に連設された、拡径フランジ14より小径の差し込み部7bとからなっている。
【0045】
差し込み部材7における基端部7aの拡径フランジ14と差し込み部7bの外周面と、外装筒体6の先端部内面との間に、後述するソケット2の円筒部27が回転可能として嵌合するようにした円筒形の嵌合部16が形成されている。
【0046】
嵌合部16の底面をなす拡径フランジ14には、傾斜カム面17が設けられている。
理解を容易にするため、説明上、差し込み部材7における差し込み部7bの外周に所要厚さの筒部7cが一体的に形成され、この筒部7cの先端面に傾斜カム面17が形成されているものとするが、この傾斜カム面17は、嵌合部16の底面に形成されているのと実質的に同じである。
【0047】
傾斜カム面17は、本体4の中心軸線Lに対して傾斜する傾斜面17aと、その基底部に設けた、中心軸線Lと平行の進入溝17bと、傾斜面17aの先端部に設けた先尖部17cとからなっている。
【0048】
中心軸線Lと一致する差し込み部材7における差し込み部7bの中心には、ピン挿入孔18が、また、その外周部には、5個のピン挿入孔19が、円周方向に等間隔に設けられている。
【0049】
差し込み部材7におけるピン挿入孔18の奥部には、受け部材をなす円筒状の雌型接触子20が、また各ピン挿入孔19の奥部には、
図5および
図6に示すような受け部材をなす平板状の雌型接触子21が、それぞれ接触子保持部材8により基部が強力に保持されて配設されている。
【0050】
雌型接触子20の長手方向の中間部には、抜け止め用の環状突条20aが設けられている。また、雌型接触子20の先端部は、すり割り20bを設けることにより、二股状をなしている。
【0051】
各雌型接触子21の後部には、抜け止め用の2個の切り起し部21a、21bが設けられている。各雌型接触子21の先端部は、
図5に示すように、二股状をなしている。
【0052】
接触子保持部材8の基端より突出する雌型接触子20、21の基端部には、多芯ケーブル5の端末より本体4内に引き出された被覆導線である芯線22の端末が、ハンダ付け等により接続されている。
多芯ケーブル5の端末部には、抜け止め金具23が設けられている。
【0053】
ソケット2は硬質合成樹脂材料製の本体24を備えている。
本体24は、長手方向の中間部外周に拡径鍔部25を有し、それより先端側(
図1および
図2における右方)に、内部にプラグ1の本体4における差し込み部7bが嵌合しうる差し込み孔26を有し、かつプラグ1の本体4における嵌合部16に嵌合しうる、本体24の中心軸線Lと同芯の円筒部27が設けられ、さらに、拡径鍔部25より基端側(
図1および
図2における左方)の外周面に、雄ねじ部28と環状の係合溝29とが順次設けられている。
【0054】
円筒部27における基端寄りの外周面には、プラグ1における弾性係合爪13が係脱しうるようにした、断面形状が山形の環状突条27aが設けられている。
円筒部27の内面には、内径、外径および肉厚を、プラグ1の本体4における筒部7cのそれと同一とした筒部27bが、円筒部27の一部をなすようにして、円筒部27と一体的に設けられており、筒部27bの先端面には、カムフォロワ30が、傾斜カム面17と対向するするようにして設けられている。
【0055】
カムフォロワ30は、プラグ1の中心軸線Lに対する傾斜面17aの傾斜角度と同一か、またはそれに近い傾斜角度をもって本体24の中心軸線Lに対して傾斜する傾斜面30aと、その先端部に設けられ、かつプラグ1の傾斜カム面17における進入溝17b内に進入可能な先尖状の突片30bとからなっている。
【0056】
本体24の中心軸線L上には、長寸のセンターピン31が、また、その外周部には、5個のコネクタピン32が、円周方向に等間隔に設けられている。
センターピン31およびコネクタピン32の先端部は、円筒部27内の差し込み孔26内に突出している。特に、センターピン31の先端は、コネクタピン32の先端より本体24の先端側に長く突出している。
また、センターピン31の先端は、プラグ1の差し込み部7bがソケット2の差し込み孔26に嵌合し、かつ円筒部27がプラグ1の嵌合部16に嵌合するようにして、プラグ1をソケット2の軸線方向に差し込んだとき、カムフォロワ30の突片30bの先端が傾斜カム面17に当接するより先に、プラグ1のピン挿入孔18に進入するように、その突出長さを定めてある。
センターピン31およびコネクタピン32の基端部は、本体24の基端より外側に突出している。また、センターピン31およびコネクタピン32の長手方向の中間部には、抜け止め用の拡径鍔部31a、32aが設けられている。
【0057】
ソケット2におけるカムフォロワ30の突片30bに対するセンターピン31およびコネクタピン32の円周方向の位置関係は、プラグ1における傾斜カム面17の進入溝17bに対するピン挿入孔18、19の円周方向の位置関係と同一としてある。
【0058】
ソケット2の本体24は、その拡径鍔部25が、被接続部材Bである電子機械器具のケースの一部をなす板材33の表面に当接するようにして、雄ねじ部28等を板材33に設けた嵌合孔34に嵌合し、雄ねじ部28に螺合させたナット35を、板材33の内面側から締め付けることにより、板材33に固定され、センターピン31およびコネクタピン32の基端に、ケース内の電気、電子部品に接続されたリード線(図示略)等をハンダ付け等をもって固着して使用される。
【0059】
多芯ケーブル5の芯線22に接続されたプラグ1の本体4における雌型接触子20、21と、電気または電子機械器具内のリード線に接続されたセンターピン31およびコネクタピン32とにより、プラグ1とソケット2とが、それらの互いの中心軸線L回りの円周方向の正規の位置で接続されたとき、互いに電気的に接続されるようにした接続手段Dが形成されている。
この例では、接続手段Dを、電気的な接続手段としてあるが、光学的、または流体的な接続手段とすることもある。
【0060】
次に、ケーブルAの被接続部材Bへの着脱時の取り扱い要領およびそのときの作用について説明する。
ケーブルAにおける外装チューブA1の先端部近傍を把持して、プラグ1の本体4を、その差し込み部7bが被接続部材Bにおけるソケット2の差し込み孔26に嵌合し、かつソケット2の円筒部27がプラグ1の嵌合部16に嵌合するようにして、ソケット2の軸線方向に差し込むと、そのときのプラグ1とソケット2との当接時および差し込み時の摩擦抵抗により、外装チューブA1と一体の筒体3が本体4より先行してソケット2側に移動し、筒体3のテーパ孔3aは本体4のテーパ面6aから離間し、かつ本体4の中心軸線Lと直交する凹入段部3aの段差面3bが、補強リング11の拡径フランジ11aに当接する。
この状態では、外装チューブA1をもって、本体4をソケット2に向かって強く押し進めることができ、また、筒体3のテーパ孔3aが本体4のテーパ面6aから離間しているので、本体4は筒体3に対して相対回転し易くなる。
【0061】
ソケット2へのプラグ1の差し込みが進むと、まず、センターピン31の先端部が、プラグ1の本体4における中央のピン挿入孔18に進入し、プラグ1とソケット2との芯合わせが行われる。
したがって、その後のソケット2へのプラグ1の差し込み時に、ソケット2に対してプラグ1の芯が振れることはなくなり、プラグ1をソケット2に円滑に差し込むことができる。
【0062】
ソケット2に対するプラグ1の本体4の円周方向の位置が、正規の位置に一致しているときは、センターピン31の先端部が、プラグ1の本体4における中央のピン挿入孔18に進入した後、カムフォロワ30の突片30bの先端部が、本体4における傾斜カム面17の進入溝17bに進入し、次いで、5個のコネクタピン32が、対応するプラグ1の本体4におけるピン挿入孔19に挿入され、それからプラグ1がソケット2に完全に差し込まれるまでの間に、センターピン31およびコネクタピン32が、プラグ1の本体4内における雌型接触子20、21に接触し、電気的な接続手段Dの接続がなされる。
【0063】
ソケット2に対するプラグ1の本体4の円周方向の位置が、正規の位置に一致していないときは、センターピン31の先端部が、プラグ1の本体4における中央のピン挿入孔18に進入した後、カムフォロワ30の突片30bの先端部が、本体4における傾斜カム面17の傾斜面17aに当接し、次いでその傾斜面17aに沿って摺動する際に、そのときの分力により、本体4は、ソケット2および筒体3に対して、正規の位置に向かって回転させられる。
【0064】
このときのソケット2に対する本体4の回転は、センターピン31の先端部が、プラグ1の本体4における中央のピン挿入孔18に進入し、プラグ1とソケット2との芯振れが防止され、かつ筒部7cの外周面が、ソケット2における円筒部27の内面によって案内され、外装筒体6の内面が、円筒部27の外周面によって案内されていることにより、円滑に行われる。
また、このときの筒体3に対する本体4の回転は、筒体3のテーパ孔3cが、外装筒体6のテーパ面6aから離間し、かつ本体4の中心軸線Lと直交する凹入段部3aの段差面3bが、補強リング11の拡径フランジ11aに当接していることにより、円滑に行われる。
【0065】
本体4が、ソケット2に対して正規の位置まで回転させられると、カムフォロワ30の突片30bの先端部が、本体4における傾斜カム面17の進入溝17bに進入し、次いで、5個のコネクタピン32が、対応するプラグ1の本体4におけるピン挿入孔19に挿入され、それからプラグ1がソケット2に完全に差し込まれるまでの間に、センターピン31およびコネクタピン32が、プラグ1の本体4内における雌型接触子20、21に接触し、電気的な接続手段Dの接続がなされる。
【0066】
プラグ1がソケット2に完全に差し込まれる少し前に、プラグ1の本体4における弾性係合爪13が、ソケット2の円筒部27の外周面に設けた環状突条27aを弾性変形して乗り越えた後、環状突条27aに係合することにより、プラグ1はソケット2から妄りに外れることはなくなる。
【0067】
図3および
図4に示すように、プラグ1がソケット2に完全に差し込まれた状態では、外装筒体6が防水性の弾性材料により形成され、それがソケット2の円筒部27の外周面に密接していることにより、接続手段Dであるセンターピン31およびコネクタピン32と、雌型接触子20、21との接触部分に、雨水や塵埃等が進入するのを防止することができ、防水性能や防塵性能を高めることができる。
【0068】
プラグ1をソケット2から外すには、外装チューブA1の任意の部分を把持して、プラグ1から離れる方向に引くだけでよい。
その引き始めに、筒体3のテーパ孔3aが、本体4のテーパ面6aに密接し、筒体3と本体4とが楔作用により強固に結合され、次いで、プラグ1の本体4における弾性係合爪13が、弾性変形してソケット2の円筒部27の外周面に設けた環状突条27aを乗り越え、次いで、プラグ1の差し込み部7bがソケット2の本体24の差し込み孔26から離脱するとともに、接続手段Dであるセンターピン31およびコネクタピン32が、雌型接触子20、21から離脱して、接続手段Dの接続状態が解除される。
【0069】
以上から明らかなように、本発明の第1の実施形態においては、コネクタCにおけるプラグ1が、ケーブルAの外装チューブA1の一端部内に収容されているので、プラグ1、およびプラグ1とソケット2との接続部分が外部に露呈することがなく、接続部分を目立たなくすることができるとともに、美麗な外観を呈することができる。
しかも、外装チューブA1を把持して、その先端を被接続部材Bに向かって押し付けるだけで、傾斜カム面17とカムフォロワ30との摺接により、プラグ1が外装チューブA1に対して回転して、それらが互いに中心軸線L回りの回転方向に位置決めされ、その後、接続手段Dが接続されるので、プラグ1とソケット2との中心軸線L回りの向きを気にすることなく、プラグ1とソケット2との接続作業を容易に行うことができる。
したがって、プラグ1とソケット2との接続個所が視認できなくても、それらの接続作業を、手探りでも、簡単かつ迅速に行うことができる。
【0070】
さらに、次のような効果をも奏することができる。
(a) 外装チューブA1の一端部内に、プラグ1を、中心軸線L回りに回転可能、かつ中心軸線L方向に移動可能として配設し、プラグ1が、外装チューブA1の先端方向に移動したときは、外装チューブA1と結合して回転不能、外装チューブA1の基端方向に移動したときは回転可能としてあるので、外装チューブA1を被接続部材Bに押し付けた際は、外装チューブA1内のプラグ1は回転可能となり、傾斜カム面17とカムフォロワ30との中心軸線L回りの相対回転が円滑に行われ、外装チューブA1を被接続部材Bから引き離す際は、外装チューブA1とその中のプラグ1は互いに結合されて、プラグ1とソケット2との引き離しが円滑に行われる。
【0071】
(b) 外装チューブA1の一端部内に配設したプラグ1の外周面と、外装チューブA1の内面との対向面の少なくともいずれか一方(この例では両方)を、外装チューブA1の先端に向かって漸次縮径するテーパ面とし、プラグ1が、外装チューブA1の先端側に相対的に移動したとき、両対向面が互いに回転不能として結合するようにしてあるので、外装チューブA1を被接続部材Bから引き離す際に、外装チューブA1の内面とプラグ1の外周面との対向面が互いに当接し、そのときに、両対向面が楔作用により、互いに強固に結合され、プラグ1とソケット2との引き離しが円滑に行われる。
【0072】
(c) 外装チューブA1を硬質の筒体とし、その中に、導通手段である多芯ケーブル5を弾性撓曲可能として配設してあるので、外装チューブA1の先端から離れた部分を把持して、その先端を被接続部材Bに向かって押し付けることができるので、被接続部材B側のソケット2が、被接続部材Bの奥まった所に設けられていても、プラグ1とソケット2との接続作業を容易に行うことができる。
【0073】
(d) プラグ1とソケット2とを互いに軸線方向に差し込んだとき、まずセンターピン31がピン挿入孔18に挿入されて芯合わせができた後、傾斜カム面17とカムフォロワ30とが当接し、かつ相対的に摺動するので、その摺動が円滑に行われ、芯のずれに伴う摺動面の片当たりや、スティク現象の発生等により、プラグ1とソケット2とが正規の位置に位置決めされる前に、それらの相対回転が停止し、何度も差し込み直さなければならなかったり、それらの摺接部分の磨耗が激しくなる等の問題を解決することができる。
【0074】
(e) カムフォロワ30に、センターピン31またはピン挿入孔18と平行に突出する突片30bを設け、かつ傾斜カム面17の基底部に、突片30bが嵌合しうる進入溝17bを設けてあるので、接続手段Dの接続のためのストロークを確保することができる。
【0075】
図7〜
図10は、本発明の第2の実施形態を示す。
この第2の実施形態においては、第1の実施形態におけるのと同様に、ケーブルAと、それを接続しようとする被接続部材Bとは、コネクタCによって互いに接続されるようになっている。
被接続部材Bは、例えば、電子機械器具、光学機械器具、または流体機械器具等のケースとすることができる。
【0076】
コネクタCは、プラグ51とソケット52とを互いに中心軸線L方向に差し込むことにより接続するようにしたもので、プラグ51をケーブルAにおける外装チューブA1の一端部内に、その中心と同芯とした中心軸線L回りに回転可能、かつ中心軸線L方向にわずかに移動可能として設け、かつソケット52を、被接続部材Bに、回転不能として固着してある。
【0077】
プラグ51は、外装チューブA1の一端部内面に固着され、かつ外装チューブA1の一部をなす筒体53内に、中心軸線L回りに回転可能、かつ中心軸線L方向にわずかに移動可能として嵌合されたプラグ本体54を有している。
【0078】
ケーブルAは、この例では、可撓性および伸縮性を有する軟質合成樹脂材料により形成した円筒形の外装チューブA1と、その中に、弾性撓曲可能として蛇行状に配設した、可撓性の電気的導通手段をなす多芯ケーブル71とからなるものとしてある。
多芯ケーブル71のような電気的導通手段に代えて、光学的、または流体的な導通手段を配設することもある。
【0079】
以上のコネクタCの構造は、第1の実施形態におけるコネクタCとほぼ共通しているが、第2の実施形態においては、プラグ51とソケット52との内部構造を、第1の実施形態におけるものと異ならせてある。
【0080】
ソケット52は、第1の実施形態におるのと同様にして被接続部材Bに固着した円筒形の筒体55の中に嵌合したソケット本体56を有している。
筒体53と筒体55とは、ともに金属製とし、プラグ本体54とソケット本体56とは、防水性と適度の弾性とを有する合成樹脂製とするのが好ましい。
【0081】
筒体53の先端部外周面には、拡径フランジ57が設けられており、この拡径フランジ57に、外装チューブA1の先端面が当接するまで、筒体53は外装チューブA1内に嵌合され、接着剤または締付バンド等の固着手段をもって、外装チューブA1に固着されている。
図8に示すように、筒体53の内面には、基端側の大径孔58と先端側の小径孔59との間に段差部60が形成されている。
筒体53の先端部には、先端に向かって漸次縮径するテーパ筒状の内向き傾斜部61が設けられている。
【0082】
プラグ本体54は、筒体53内に、その中心軸線L回りに回転可能、かつ中心軸線L方向に移動可能として嵌合されているが、中心軸線L方向には移動不能なように、筒体53に抜け止めして実施することもある。
【0083】
プラグ本体54は、基端側の円柱状の基部62と先端側の筒部63との間に、先端側に向かって漸次縮径するテーパ状の縮径部64が形成され、かつ筒部63内に、傾斜カムブロック65が一体的に形成されたものよりなっている。
【0084】
傾斜カムブロック65の先端には、傾斜カム面66が形成されている。
傾斜カム面66は、筒部63の中心軸線Lを含んで、筒部63の内部空間を2分割する平面をなす直方形の段差面66aと、この段差面66aの先端から、段差面66aに対して角度θ1(180°<θ1<270°)をもって、筒部63の半部の内面に向かって延出する第1傾斜面66bと、段差面66aの基端から、段差面66aに対して角度θ2(90°<θ1<180°)の角度をもって、筒部63の他の半部の内面に向かって延出する第2傾斜面66cとを備えている。
【0085】
第1傾斜面66bと第2傾斜面66cとは、互いに平行とするのが好ましい。
また、第1傾斜面66bの頂部には、筒部63の中心軸線Lと直交する方向を向く短寸の稜線66dを有する尖先部66eを形成するべく、第1傾斜面66bより肉盛りされ、逆に、第2傾斜面66cの基端寄りの端部には、第1傾斜面66bにおける肉盛りされた尖先部66eと補形をなす凹部66fが形成されている。
【0086】
第1傾斜面66bには、3個のピン挿入孔67が、また第2傾斜面66cには、3個のピン突出孔68が、それぞれ段差面66aと平行をなすように1列に並べて設けられている。
各ピン突出孔68には、接触子であるピン69の一部が第2傾斜面66cより突出するようにして、ピン69の他部が埋設されており、各ピン挿入孔67の奥部には、ピン69と同様の後述するピン90がピン挿入孔67に挿入されたとき、それを把持するようにして接触するようにした、チューリップ形の受け部材70が埋設されている。
【0087】
各ピン69および受け部材70には、プラグ本体54に接続された多芯ケーブル71の端末よりプラグ本体54内に引き出された被覆導線である芯線72の端末が接続されている。
この例では、芯線72の数は6本としてある。
【0088】
ピン69、受け部材70、多芯ケーブル71の端部、およびそこから引き出された6本の芯線72の端部は、プラグ本体54の樹脂成形時に、プラグ本体54内に埋設することができる。
【0089】
プラグ本体54の外周面における縮径部64には、
図9に示すようなほぼ円筒状の抜止め部材73が外嵌されている。
【0090】
抜止め部材73は、
図8〜
図10に示すように、プラグ本体54の外周面における縮径部64の基端寄りに外嵌され、かつ固着された円筒部73aと、この円筒部73aに基端部が連設され、かつ相互間にスリット74を設けることにより、円周方向に互いに離間した円弧状の4個の弾性係合片75とからなっている。
【0091】
各弾性係合片75の先端には、先端から基端に向かって外向きに傾斜する傾斜面76aを有する弾性係合爪76が設けられている。
各弾性係合片75における弾性係合爪76から基端に向かう外周には、プラグ51とソケット52との結合時に、ソケット52における後述する被係止部84が嵌合しうるようにした凹部77、筒体53における内向き傾斜部61の先端が当接するようにした凸部78、内向き傾斜部61の先端部が嵌合しうるようにした凹部79、および内向き傾斜部61の内側の傾斜面61aが摺接しうるようにした、基端に向かって外向きに傾斜する傾斜面80aを有する隆起部80が、順次設けられている。
凸部78は、筒体53の先端が当接するストッパをなし、筒体53が、それ以上プラグ本体54の先端側に相対的に移動しないようにしてある。
すなわち、この凸部78は、弾性係合爪76がソケット52の被係止部84に完全に係合するより先に、外装チューブA1およびそれと一体の筒体53の先端が被接続部材Bまたはそこに設けられたソケット52に当接しないように、外装チューブA1に対するプラグ51の移動範囲を制限する移動範囲規制手段をなしている。
【0092】
被接続部材B側の筒体55の外周面における先端部寄りには、拡径鍔部81が、またそれより基端部寄りには、雄ねじ部82が設けられている。
筒体55は、拡径鍔部81を、第1の実施形態におけるのと同一とした被接続部材Bである電子機械器具のケースの一部をなす板材33の表面に当接するようにして、雄ねじ部82等を板材33に設けた嵌合孔34に嵌合し、雄ねじ部82に螺合させたナット35を、板材33の内面側から締め付けることにより、板材33に固定されている。
【0093】
筒体55の先端部の内面には、環状凹溝83が設けられ、この環状凹溝83より先端側の内向きに突出する部分が、抜止め部材73における弾性係合爪76が係合する被係止部84をなしている。
【0094】
ソケット本体56は、筒体55の基端部内面に固着された円柱状の基部85と、この基部85より、筒体55の内面との間に、プラグ本体54における筒部63が進入しうる空間を残して、筒体55の先端に向かって突出する傾斜カムブロック86とを備えている。
【0095】
傾斜カムブロック86は、プラグ本体54における傾斜カムブロック65と同一形状、同一構造をなし、プラグ51とソケット52とを互いに接続する際に、傾斜カムブロック65における傾斜カム面66と対向する対向面には、傾斜カムブロック65における傾斜カム面66と同一の傾斜カム面87が形成されている。
【0096】
すなわち、傾斜カム面87は、傾斜カム面66における段差面66a、第1傾斜面66b、第2傾斜面66c、稜線66dを有する尖先部66e、および凹部66fと同一の、段差面87a、第1傾斜面87b、第2傾斜面87c、稜線87dを有する尖先部87e、および凹部87fを備えている。
【0097】
また、傾斜カムブロック86には、傾斜カムブロック65におけるピン挿入孔67、ピン突出孔68、ピン69、および受け部材70と同一の、ピン挿入孔88、ピン突出孔89、ピン90、およびチューリップ形の受け部材91が、傾斜カムブロック65におけるのと同一の配置で設けられている。
【0098】
ソケット本体56内における3個のピン90と、3個の受け部材91との基端部には、ソケット本体56の基部85の基端より突出する接続ピン92がそれぞれ接続されている。
【0099】
ピン90、受け部材91、および接続ピン92は、ソケット本体56の樹脂成形時に、ソケット本体56内に埋設することができる。
【0100】
以上のような構成としたコネクタCにおいて、プラグ本体54における傾斜カム面66と、ソケット本体56における傾斜カム面87とのいずれか一方は、単なるカムフォロワーとすることができ、この例では、このカムフォロワーを、傾斜カム面と同一形状としたということができる。
【0101】
また、プラグ本体54におけるピン69、ピン挿入孔67および受け部材70、並びにソケット本体56におけるピン90、ピン挿入孔88および受け部材91は、プラグ本体54とソケット本体56との対向部に設けられ、両本体が中心軸線L回りの回転方向に位置決めされたとき、互いに接触するようにした電気的な接続手段Dをなしている(
図7参照)。
【0102】
ケーブルAを被接続部材Bに接続するには、ケーブルAにおける外装チューブA1の先端部近傍を把持して、プラグ本体54の筒部63を、被接続部材Bにおけるソケット52の筒体55内に、互いに中心軸線Lが一致するようにして差し込む。
このとき、プラグ本体54とソケット本体56とがそれらの中心軸線L回りの回転方向の正規の位置において向き合っていない限り、プラグ本体54における傾斜カム面66の第1傾斜面66bと、ソケット本体56における傾斜カム面87の第1傾斜面87bとの少なくとも一部が互いに当接した後、それらの傾斜に沿って摺動することにより、プラグ本体54が筒体55内において中心軸線L回りに回転させられる。
【0103】
このとき、プラグ本体54は、筒体53内においても相対的に回転できるので、把持した外装チューブA1がつれ回されることはなく、外装チューブA1を把持したまま、プラグ51をソケット52にさらに差し込むことができる。
【0104】
プラグ本体54が、ソケット本体56の中心軸線L回りの回転方向における正規の位置まで回転させられると、それ以後は、その位置関係を保ったまま、プラグ本体54における傾斜カム面66の段差面66aと、ソケット本体56における傾斜カム面87の段差面87aとが互いに摺接しつつ、プラグ51はソケット52にさらに差し込まれ、プラグ本体54のピン69は、ソケット本体56におけるピン挿入孔88を通って、受け部材91に、またソケット本体56のピン90は、プラグ本体54におけるピン挿入孔67を通って、受け部材70にそれぞれ挿入され、電気的な接続がなされる。
【0105】
プラグ51がソケット52に完全に差し込まれると、抜止め部材73の弾性係合爪76が、筒体55における被係止部84に係合して、プラグ51はソケット52から抜け止めされる。
弾性係合爪76を筒体55における被係止部84に係合させる際に、筒体53における内向き傾斜部61の先端が、抜止め部材73における凸部78に当接することにより、弾性係合爪76を被係止部84内に確実に押し込むことができる。
【0106】
プラグ51がソケット52に完全に差し込まれたとき、プラグ本体54の筒部63とソケット本体56の傾斜カムブロック86との接触部分、特に、傾斜カム面66、87同士が密接または圧接するようにしておくと、ピン69、90と受け部材91、70との接触部分の防水を図ることができる。
【0107】
プラグ51をソケット52から外すときは、外装チューブA1を、筒体53とともにソケット52から離れる方向に引くだけでよい。
そのとき、筒体53の内向き傾斜部61の内側の傾斜面61aが、抜止め部材73における隆起部80の傾斜面80aに摺接して、各弾性係合片75が互いに内方に弾性撓曲させられ、抜止め部材73の弾性係合爪76が、筒体55における被係止部84から内方に外された後、プラグ51はソケット52から抜き出される。
【0108】
第2の実施形態の構成によると、第1の実施形態におけるのと同様の効果を奏することができるほかに、次のような効果をも奏することができる。
(f) 外装チューブA1を、可撓性および伸縮性を有する材料により形成してあるので、ケーブルAを撓ませて配線することができるとともに、外装チューブA1を撓ませても、その内部の導通手段である可撓性を有する多芯ケーブル71も、外装チューブに追従して撓むことができる。
【0109】
(g) 弾性係合爪76がソケット52に係合することにより、プラグ51がソケット52から、振動等により抜け外れるのが防止され、しかも、外装チューブA1を被接続部材Bから引き離す際には、外装チューブA1と一体の筒体53に設けた内向き傾斜部61の内側の傾斜面61aが抜止め部材73における隆起部80の傾斜面80aに摺接して、弾性係合爪76がソケット52から離脱する方向に押動されるので、プラグ51をソケット52から容易に抜き外すことができる。
【0110】
(h) 外装チューブA1の先端を被接続部材Bに向けて押し付けて、プラグ51とソケット52とを接続する際に、移動範囲規制手段である凸部78によって、外装チューブA1に対するプラグ51の移動範囲が制限され、弾性係合爪76がソケット52の被係止部84に完全に係合するより先に、外装チューブA1の先端が被接続部材Bまたはそこに設けたソケット52に当接することが防止され、弾性係合爪76は確実にソケット52に係合することができる。
【0111】
(i) 筒部63内において、プラグ本体54の傾斜カム面66とソケット本体56の傾斜カム面87とが摺接するようにしてあるので、両傾斜カム面66、87の摺接面が、筒部63によって防護され、両傾斜カム面66、87間に異物が混入するのが防止されるだけでなく、筒部63によって、相手方の本体が進入するのが案内され、プラグ51とソケット52との差し込み作業を円滑に行うことができる。
【0112】
(j) プラグ本体54とソケット本体56との対向部に、それらの中心軸線Lと平行な段差面66a、87aを設け、プラグ本体54とソケット本体56とが、中心軸線L回りの回転方向に位置決めされた後、この段差面66a、87a同士が互いに摺接して、プラグ本体54とソケット本体56とが、互いに中心軸線L方向に接近しうるようにしてあるので、プラグ51とソケット52との軸線方向の差し込みストロークを大として、電気的な接続手段の接触面積を増大させることができるとともに、段差面66a、87a同士の摺接により、プラグ本体54とソケット本体56とは、中心軸線L回りの回転方向に対して強固に結合され、接続部の強度を大とすることができる。
【0113】
図11および
図12は、本発明の第3の実施形態を示す。
この第3の実施形態においては、ケーブルAにおける外装チューブA1の一端部内に、プラグ101をその中心と同芯とした中心軸線L回りに相対回転不能、かつ中心軸線L方向にわずかに移動可能として設け、被接続部材Bに、ソケット102を、中心軸線L回りに回転可能、かつ中心軸線L方向に移動不能として設け、さらに、被接続部材Bに、ソケット102を、中心軸線L回りの予め定めた中立位置に向かって付勢する中立位置復帰手段Eを設けてある。
また、コネクタCにおけるプラグ101とソケット102との具体的な内部構造を、第1の実施形態および第2の実施形態におけるものと異ならせてある。
【0114】
第3の実施形態においては、外装チューブA1の一端部内に設けた筒体103、プラグ本体104、および抜止め部材105は、第2の実施形態における筒体53、プラグ本体54、および抜止め部材73とほぼ同一としてあるが、筒体103を、複数の止めねじ106をもって、外装チューブA1の内面に固着するとともに、その複数の止めねじ106の先端部を、プラグ本体104の外周面に設けた、中心軸線Lと平行をなすキー溝107(
図12)に、キーとして嵌合することにより、プラグ本体104を、筒体103および外装チューブA1に対して回り止めしてある点で、第2の実施形態におけるものと相違している。
【0115】
したがって、プラグ本体104は、筒体103および外装チューブA1に対して回り止めされているが、中心軸線L方向には移動できるので、第2の実施形態におけるのと同様に、プラグ101とソケット102とが互いに接続されている状態で、外装チューブA1をソケット102から離れる方向に引くと、抜止め部材105の隆起部108の傾斜面108aが、筒体103の内向き傾斜部109により内向きに押動されて、抜止め部材105の先端部に設けた弾性係合爪110が、ソケット102に設けた被係止部111から離脱させられるようになっている。
【0116】
プラグ101をソケット102に差し込む際の抜止め部材105の作用は、第2の実施形態におけるのと同一であるので、その説明は省略する。
【0117】
第1および第2の実施形態におけるのと同一とした被接続部材Bである電子機械器具のケースの一部をなす板材112には、先端部寄りに拡径鍔部113が設けられた筒体114が、拡径鍔部113より基端側を、板材112に設けた嵌合孔112aに嵌合し、かつその拡径鍔部113を板材112の表面に当接させて、固定ねじ116をもって固着することにより取付けられている。
【0118】
筒体114内には、先端部寄りの外周面に環状突条117が設けられたソケット本体118が、筒体114の中心軸線Lと同芯として、また中心軸線L回りに相対回転可能、かつ中心軸線L方向に移動不能として嵌合されている。
【0119】
筒体114の内面には、先端寄りの小径孔119と基端寄りの大径孔120との間に段差面121が形成されている。
ソケット本体118は、拡径鍔部113が段差面121に当接するようにして、大径孔120に嵌合され、かつ基端が、筒体114の基端部に着脱自在に取付けられた端部キャップ122の内面に当接することにより、筒体114に対して中心軸線L方向に移動不能となっている。
【0120】
端部キャップ122は、その内端面に円周方向に適宜の間隔をもって突設した複数の弾性係合爪123を、筒体114の基端部内面に設けた環状凹溝124に係止させることにより、筒体114の基端に取付けられている。
また、端部キャップ122には、筒体114の外周部の一部に、基端より先端に向けて切り込まれた凹溝125内に嵌合し、凹溝125の基端側の開口を閉塞するようにした突片126が設けられている。
【0121】
筒体114の大径孔120内には、中立位置復帰手段Eをなすねじりコイルばね127が、ソケット本体118に外嵌するようにして配設されている。
ねじりコイルばね127は、コイル部127aの一方の端末に、求心方向を向く内向き折曲部127bが形成され、かつコイル部127aの他方の端末に、離心方向を向く外向き折曲部127cが形成されたものよりなっている。
ねじりコイルばね127における内向き折曲部127bを、ソケット本体118の外周面における環状突条117に近い部分に設けた嵌合孔128に嵌合することにより、ソケット本体118に止着し、かつ外向き折曲部127cを、筒体114における凹溝125に嵌合して、凹溝125の基端側の開口を、上記のように端部キャップ122の突片126をもって閉塞することにより、筒体114に止着することによって、ソケット本体118は、中心軸線L回りの時計回りおよび反時計回りのいずれの方向に回転させられても、その後外力が解除されたときは、ねじりコイルばね127の付勢力によって、ねじりコイルばね127に応力が発生しなくなる、中心軸線L回りの予め定めた中立位置まで復帰回転させられるようになっている。
【0122】
次に、コネクタCにおけるプラグ101とソケット102との具体的な内部構造について説明する。
ソケット本体118内には、プラグ本体104の先端部に設けた筒部129が嵌合しうるようになっており、プラグ本体104の筒部129の内部と、ソケット本体118の内部とには、互いに同一形状、同一構造とした傾斜カムブロック131、132が、互いに対向するようにして設けられている。
【0123】
両傾斜カムブロック131、132の先端には、互いに同一の傾斜カム面133が形成されている。
傾斜カム面133は、中心軸線Lを含むか、またはそれと平行をなす直方形の段差面133aと、この段差面133aの先端から、段差面133aに対して角度θ1(180°<θ1<270°)をもって、先端に向かって斜めに延出する第1傾斜面133bと、段差面133aの基端から、段差面133aに対して角度θ2(90°<θ1<180°)をもって、第1傾斜面133bとは逆側に向かって斜めに延出する第2傾斜面133cとを備えている。
第1傾斜面133bと第2傾斜面133cとは、互いに平行とするのが好ましい。
【0124】
各傾斜カムブロック131、132における段差面133aには、中心軸線L方向を向く複数の浅い凹溝134が横方向に並べて設けられ、各凹溝134には、板ばね状の接触片135がそれぞれ設けられている。
凹溝134および接触片135の数は、多芯ケーブル136の芯線137の数に応じて定められるが、ここでは、例示的に3個としてある。
【0125】
傾斜カムブロック131における各接触片135は、多芯ケーブル136の芯線137に、また傾斜カムブロック132における各接触片135は、接続ピン138に、それぞれ接続されている。
【0126】
ソケット本体118における筒体114の先端部内面には、環状凹溝139が設けられ、この環状凹溝139が、抜止め部材105における弾性係合爪110が係脱しうる被係止部111をなしている。
【0127】
第3の実施形態においては、プラグ本体104における傾斜カムブロック131の傾斜カム面133と、ソケット本体118における傾斜カムブロック132の傾斜カム面133とのいずれか一方は、他方の傾斜カム面133に対する単なるカムフォロワーとすることができる。この例では、このカムフォロワーを、傾斜カム面と同一形状としたということができる。
【0128】
また、プラグ本体104における接触片137と、ソケット本体118における接触片137とは、プラグ本体104とソケット本体118との対向部に設けられ、両本体が中心軸線L回りの回転方向に位置決めされたとき、互いに接触するようにした電気的な接続手段Dをなしている。
【0129】
ケーブルAを被接続部材Bに接続するには、ケーブルAにおける外装チューブA1の先端部近傍を把持して、プラグ本体104の筒部129を、被接続部材Bにおけるソケット本体118の筒体114内に、互いに中心軸線Lが一致するようにして差し込む。
このとき、プラグ本体104とソケット本体118とがそれらの中心軸線L回りの回転方向の正規の位置において向き合っていない限り、プラグ本体104における傾斜カム面133の第1傾斜面133bと、ソケット本体118における傾斜カム面133の第1傾斜面133bとの少なくとも一部が互いに当接した後、それらの傾斜に沿って摺動することにより、ソケット本体118が、ねじりコイルばね127の付勢力に抗して、筒体114内において、中心軸線L回りに回転させられる。
【0130】
ソケット本体118が、差し込まれたプラグ本体104における傾斜カム面133の向きに正対する位置まで回転させられると、それ以後は、その位置関係を保ったまま、プラグ本体104における傾斜カム面133の段差面133aと、ソケット本体118における傾斜カム面133の段差面133aとが互いに摺接しつつ、プラグ101はソケット102に、中心軸線L方向に互いに接近するようにさらに差し込まれ、互いに対向する両接触片135、135同士が摺接することにより、プラグ101とソケッ10ト2との電気的な接続がなされる。
【0131】
プラグ101とソケット102とが互いに接続されている状態で、外装チューブA1をソケット102から離れる方向に引くと、上述したように、抜止め部材105の隆起部108の傾斜面108aが、筒体103の内向き傾斜部109により内向きに押動されて、抜止め部材105の先端部に設けた弾性係合爪110が、ソケット102に設けた被係止部111から離脱させられ、プラグ101をソケット102から簡単に抜き出すことができる。
【0132】
プラグ101がソケット102から抜き出されるのと同時に、ソケット本体118は、中心軸線L回りの時計回りおよび反時計回りのいずれの方向に回転さられていた場合で、ねじりコイルばね127の復元力により、元の中心軸線L回りの中立位置まで復帰回転させられる。
【0133】
したがって、プラグ101の度重なる着脱によって、ソケット102が同一方向に漸次回転させられ、ソケット102の接続ピン138に接続されていた電子機器におけるリード線等(図示略)が捩られるの防止することができる。
また、被接続部材Bにソケット102を回転可能として設けることにより、プラグ101を、ケーブルAの外装チューブA1に相対回転不能として設けることができ、もって外装チューブA1内において、多芯ケーブル136に捩じれが生じるのを防止することができるとともに、プラグ101のケーブルAへの取付構造を簡素化することができる。
【0134】
なお、第3の実施形態においては、被接続部材Bに、ソケット102を回転可能として設けるとともに、ソケット102を中立位置に復帰させる中立位置復帰手段Eを設けてあるが、ケーブルAの外装チューブA1に、プラグ101を回転可能として設け、かつプラグ101を中立位置に復帰させる中立位置復帰手段Eを外装チューブA1に設けてもよい。
【0135】
第3の実施形態によると、上記の他に、次のような効果をも奏することができる。
(k) 電気的な接続手段Dを、プラグ本体104とソケット本体118との段差面133aに設けた接触片135とし、プラグ101とソケット102とを互いに中心軸線L方向に差し込んだとき、両接触片135、135が互いに摺接するようにしてあるので、コネクタC全体の構造を簡素化することができる。
(l) 中立位置復帰手段Eを、ソケット本体118に外嵌され、かつ一方の端末がソケットに止着され、かつ他方の端末が被接続部材Bと一体の筒体114に止着されたねじりコイルばね127としてあるので、中立位置復帰手段Eの構造を簡素化することができる。
【0136】
図13および
図14は、本発明の第4の実施形態を示す。
この第4の実施形態においては、ケーブルAにおける外装チューブA1の先端部A1aを直角、またはその他の任意の角度に折曲し、その先端部A1aに、プラグ101および筒体103を、第3の実施形態(
図11および
図12)におけるのと同様にして設けるとともに、多芯ケーブル136を、外装チューブA1内に、その屈曲部分内で屈曲するようにして配設してある。
それ以外の構成は、第3の実施形態におけるのと同一であるので、第2の実施形態におけるのと同一または類似の部材には同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0137】
第4の実施形態においては、
図14に示すように、被接続部材Bに設けたソケット102の中心軸線Lと直交するあらゆる方向から延出させてきたケーブルAにおける外装チューブA1の先端部A1aを、ソケット102の中心軸線Lに一致させてソケット102に向かって差し込むだけで、ケーブルAと被接続部材Bとを簡単に接続させることができる。
また、ケーブルAを、被接続部材Bにおける板材112に沿って、板材112から余り離れることのないようにして配設することができるとともに、プラグ101とソケット102との接続部における板材112からの突出量を小とすることができる。
【0138】
図15および
図16は、本発明の第5の実施形態を示す。
この第5の実施形態は、
図7〜
図10に示す本発明の第2の実施形態の着脱部分の変形例を示す。第2の実施形態におけるのと同一または類似の部材には同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
この第5の実施形態においては、第2の実施形態における筒体53に相当する筒体53の基端部に形成した小径筒部53aに、外装チューブA1の先端部を嵌合し、かつ筒体53における小径筒部53aの外側に設けた雄ねじ筒53bに螺合したナット140の内向きフランジ140aにより、雄ねじ筒53bの開口端部に形成した皿孔53cに嵌合したOリング141を締め付けることによって、筒体53を外装チューブA1の先端部に強固に固着し、筒体53を外装チューブA1の一部としてある。
【0139】
筒体53の先端部寄りの外周面には、拡径フランジ53dが設けられており、この拡径フランジ53dに、ナット142の内向きフランジ142aが係合することにより、ナット142は、筒体53に対して相対回転は可能であるが、筒体53の先端方向には外れ止めされている。
筒体53における拡径フランジ53dより先端側の外周面には、Oリング143が外嵌されている。
【0140】
筒体53内には、プラグ本体54が回転自在に設けられており、かつ抜け止め部材144により、筒体53から抜け止めされている。
プラグ本体54には、第2の実施形態におけるのと同様に、多芯ケーブル71が接続され、かつその芯線72に接続された複数のピン69および受け部材70が設けられている。また、プラグ本体54の先端面には、傾斜カム面66が形成されている。
【0141】
第5の実施形態においては、第2の実施形態における筒体55に相当する筒体55の先端部には、拡径鍔部81に代えて、拡径雄ねじ部145が設けられている。
筒体55の外周における拡径雄ねじ部145の基部に設けた縮径段部145aには、Oリング146が外嵌されている。筒体55の外周における縮径段部145aより基端寄りには、縮径段部145aよりさらに小径の雄ねじ部147が設けられている。
【0142】
筒体55は、Oリング146が、被接続部材Bである電子機械器具のケースの一部をなす板材33の表面に当接するようにして、雄ねじ部147を板材33に設けた嵌合孔34に嵌合し、雄ねじ部147に螺合させたナット148を、板材33の内面側から締め付けることにより、板材33に固定されている。
【0143】
筒体55内に嵌合して固着したソケット本体56には、第2の実施形態におけるのと同様に、傾斜カム面87、ピン90、受け部材91、接続ピン92等が設けられている。
【0144】
第5の実施形態においては、ケーブルAにおける外装チューブA1の先端部近傍、筒体53、またはナット140もしくは142を把持して、プラグ本体54の先端部を、被接続部材Bにおけるソケット52の筒体55内に、互いに中心軸線Lが一致するようにして差し込むと、プラグ本体54における傾斜カム面66と、ソケット本体56における傾斜カム面87との摺接によって、プラグ本体54が筒体55内において中心軸線L回りに回転させられ、プラグ本体54とソケット本体56とが、中心軸線L回りの回転方向に互いに正規の位置に位置決めされ、かつプラグ本体54のピン69は、ソケット本体56における受け部材91に、またソケット本体56のピン90は、プラグ本体54における受け部材70にそれぞれ挿入され、電気的な接続がなされる。
【0145】
その後、ナット142を、筒体55の拡径雄ねじ部145に螺合させて、締め付けることにより、プラグ51とソケット52とは、強固に接続される。
【0146】
この第5の実施形態によると、ナット142と筒体55の拡径雄ねじ部145との螺合により、ケーブルAが被接続部材Bから外れるのを確実に防止することができる。
【0147】
図17および
図18は、本発明の第6の実施形態を示す。
この第6の実施形態においては、プラグ150におけるプラグ本体151の先端部151aを、基部151bに対してほぼ直角(90°以外の角度としてもよい)に折曲して形成し、上記基部151bを、ケーブルAにおける外装チューブA1の一端部に嵌合して固着し、かつ先端部151aには、第2の実施形態(
図7〜
図10)における抜け止め部材73と同様の抜け止め部材152を装着するとともに、その外側に、先端に向かって漸次縮径するテーパ筒状の内向き傾斜部153が設けられた係止解除用筒体154を、中心軸線L方向に移動可能、かつ中心軸線L回りに回転不能として設けてあるので、ケーブルAを、被接続部材Bから外すとき、係止解除用筒体154を被接続部材Bから離れる方向に移動させると、抜け止め部材152における複数の弾性係合片155の外周面に設けた隆起部156の傾斜面156aが、係止解除用筒体154の内向き傾斜部153により内向きに押動されて、弾性係合片155の先端部外周に設けられた弾性係合爪157が、被接続部材Bの被係止部158から内方に外された後、プラグ150はソケット159から容易に抜き出されるようになっている。
【0148】
プラグ150をソケット159に差し込む際の抜止め部材152の作用は、第2および第3の実施形態におけるのと同一であるので、その説明は省略する。
【0149】
被接続部材Bである電子機械器具のケースの一部をなす板材160には、第3の実施形態(
図11および
図12)におけるのと同様に、先端部寄りに拡径鍔部161が設けられた筒体162が、拡径鍔部161より基端側を、板材160に設けた嵌合孔163に嵌合し、かつその拡径鍔部161を板材160の表面に当接させて、固定ねじ164をもって固着することにより取付けられている。
【0150】
筒体162内には、先端部寄りの外周面に環状突条165が設けられたソケット本体166が、筒体162の中心軸線Lと同芯として、また中心軸線L回りに相対回転可能、かつ中心軸線L方向に移動不能として嵌合されている。
【0151】
ソケット本体166の外周面と、筒体162の内面との間には、中立位置復帰手段Eをなすねじりコイルばね167が、第3の実施形態におるのと同様にして設けられ、これによって、ソケット本体166は、プラグ150がソケット159から離脱させられたとき、必ず中心軸線L回りの予め定めた中立位置に復帰させられるようになっている。
【0152】
プラグ本体151とソケット本体166との関係は、第2の実施形態(
図7〜
図10)におけるプラグ本体54とソケット本体56との関係、および第5の実施形態(
図15および
図16)におけるプラグ本体54とソケット本体56との関係と同一としてある。
【0153】
この第6の実施形態によると、第4の実施形態(
図13および
図14)におけるのと同様に、被接続部材Bに設けたソケット159の中心軸線Lと直交するあらゆる方向から延出させてきたケーブルAにおける外装チューブA1の先端部に設けたプラグ本体151の先端部151aを、ソケット159の中心軸線Lに一致させてソケット159に向かって差し込むだけで、ケーブルAと被接続部材Bとを簡単に接続させることができる。
また、ケーブルAを、被接続部材Bにおける板材112に沿って、板材112から余り離れることのないようにして配設することができるとともに、プラグ150とソケット159との接続部における板材112からの突出量を小とすることができる。
さらに、係止解除用筒体154を把持して、被接続部材Bから離れる方向に引くだけで、プラグ150をソケット159から簡単に抜き出すことができるとともに、係止解除用筒体154を把持して、プラグ150をソケット159に簡単に差し込むことができる。
【0154】
図19は、本発明の第7の実施形態を示す。
第7の実施形態においては、ケーブルAにおける外装チューブA1を硬質の筒体とし、この外装チューブA1の一端に、第1の実施形態におけるのと同一としたプラグ1を、第1の実施形態におけるのと同様にして設け、かつ外装チューブA1の他端にも、上記と同一のプラグ1を、第1の実施形態におけるのと同様にして設けてある。
【0155】
このような構成によると、第1の実施形態におけるのと同一としたソケット2を、
図19に2点鎖線で示すように、被接続部材Bにおける板材170に設けた凹部171の奥端部に設けた場合でも、硬質の筒体とした外装チューブA1を凹部171内に差し込んで、プラグ1をソケット2に簡単に接続させることができる。
特に、このとき、プラグ1の中心軸線L回りの向きを気にすることなく、プラグ1をソケット2に差し込めばよいので、接続作業を容易に行うことができる。
【0156】
また、ケーブルAの両端のいずれをも、同様にして被接続部材Bに接続することができるので、どちらの端部を接続すべきか迷うことがなく、取り扱いが容易である。
【0157】
なお、硬質の筒体とした外装チューブA1の両端に、第2の実施形態におけるのと同一としたプラグ51、または第3の実施形態におけるのと同一としたプラグ101を設けることもある。
【0158】
図20は、本発明の第8の実施形態を示す。
第8の実施形態においては、ケーブルAにおける外装チューブA1の一端に、第1の実施形態におけるのと同一としたプラグ1を、第1の実施形態におけるのと同様にして設け、かつ外装チューブA1の他端に、第1の実施形態におけるのと同一としたソケット2を接続してある。
外装チューブA1は、硬質の筒体としてもよいし、軟質のものとしてもよい。
【0159】
このような構成によると、複数の同一のケーブルAを、1個のケーブルAの一端に設けたプラグ1を、他のケーブルAの他端に設けたソケット2に接続することにより、連続して順次繋いでゆくことができる。
【0160】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、次のような変形した態様での実施が可能である。
(1) 各実施形態において、ケーブルAおよび被接続部材Bへのプラグとソケットとの取付関係を逆にする。例えば、第1の実施形態において、ケーブルAにソケット2を設け、かつ被接続部材Bにプラグ1を設ける。
(2) ソケット2に多芯ケーブル5と同様のものを接続して、コネクタをケーブルの中間接続用コネクタとする。
(3) ソケット2も、プラグ1と同様に、筒体と、その中に回転可能として嵌合した本体とからなるものとする。
(4) カムフォロワ30の基端部に、傾斜カム面17における進入溝17bと同一のものを設け、かつ傾斜カム面17の先端にカムフォロワ30における突片30bと同一のものを設け、カムフォロワ30を、傾斜カム面17と同一形状の傾斜カム面とし、それらをプラグ1とソケット2の対向面に設ける。
このような構成とすると、設計を簡素化することができる。
(5) センターピン31およびコネクタピン32をプラグ1側に、かつピン挿入孔18、19および受け部材である雌型接触子20、21をソケット2側に設ける。
(6) センターピン31を、筒体の中にオプチカルファィバ、または複数のオプチカルファィバを束ねた光ケーブルを嵌合したものとし、かつセンターピン31が差し込まれる受け部材を光コネクタとし、それらによって光学的な接続手段を形成し、またコネクタピン32とその受け部材である雌型接触子21とは電気的な接続手段のままとして、異種媒体を同時に接続可能なハイブリッドのコネクタとする。
センターピン31を、気体または液体を流通させる配管とし、かつセンターピン31が差し込まれる受け部材を管継手とし、それらによって流体的な接続手段を形成するようにしてもよい。